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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174203
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】インクボトル
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241206BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20241206BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B41J2/175 133
B65D47/12 200
B41J2/01 301
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024173894
(22)【出願日】2024-10-02
(62)【分割の表示】P 2020122278の分割
【原出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長岡 恭介
(72)【発明者】
【氏名】井上 良二
(72)【発明者】
【氏名】永井 議靖
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 健太
(72)【発明者】
【氏名】松村 英明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 泰司
(57)【要約】
【課題】蓋部材に衝撃が加わった際に、液体が漏洩することを抑制すること。
【解決手段】液体収容容器は、収容部に収容されている液体を注出する注出口と、外側に雄ネジ部を配した結合部と、を有する注出口部材と、雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を内部に有し、注出口部材に装着可能に構成された蓋部と、を備え、結合部において、雄ネジ部が分断されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録装置のインクタンクにインクを補充可能なインクボトルであって、
インクを収容可能な収容部と、
前記収容部に接続され、前記収容部に収容されているインクを注出可能な注出口と、外側に雄ネジ部を配した結合部と、を有する注出口部と、
前記雄ネジ部と螺合するように構成された雌ネジ部を内部に有し、前記注出口部に脱着可能に構成された蓋部と、
を備え、
前記結合部において、前記雄ネジ部が分断されており、当該分断された前記雄ネジ部は全体として1つの螺旋形状を形成しており、
前記注出口部は、インク注出方向から見て、
前記結合部において前記雄ネジ部の隆起部分を除いた部分の直径によって形成される円に沿い、かつ前記雄ネジ部を含む第1乃至第4の円弧部を含む複数の円弧部と、
前記円に対して内径側に形成され、かつ前記円の中心に対して180°回転対称に設けられた第1の平面部及び第2の平面部からなる平面部と、
前記円に対して内径側に形成され、かつ前記円の中心に対して180°回転対称に設けられた空間の一端となる部分である、第1の凹部及び第2の凹部を含む複数の凹部と、
を有し、
前記第1の円弧部、前記第1の平面部、および前記第2の円弧部がこの順に連続して設けられており、
前記第3の円弧部、前記第2の平面部、および前記第4の円弧部がこの順に連続して設けられており、
前記第1の円弧部と前記第3の円弧部の間に前記第1の凹部を有し、前記第2の円弧部と前記第4の円弧部の間に第2の凹部を有する、インクボトル。
【請求項2】
前記平面部および前記凹部は、前記雄ネジ部を有さない、請求項1に記載のインクボトル。
【請求項3】
前記円における前記平面部に対応する円弧と前記平面部との距離が、0.5mm以上である、請求項1または2に記載のインクボトル。
【請求項4】
前記結合部において前記円に対する第1及び第2の前記平面部と複数の前記凹部の割合が、10%以上かつ90%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクボトル。
【請求項5】
前記結合部において前記円に対する第1及び第2の前記平面部と前記複数の凹部の割合が、20%以上かつ70%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクボトル。
【請求項6】
前記注出口部には、前記第1の凹部、前記第1の円弧部、前記第1の平面部、前記第2の円弧部、前記第2の凹部、がこの順に連続して設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインクボトル。
【請求項7】
前記蓋部と前記注出口部との当接箇所による密閉部をさらに備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインクボトル。
【請求項8】
前記注出口部は、液止弁を内部に備え、
前記蓋部は、前記蓋部の閉栓に伴って前記液止弁を開放する突起を内部に備え、
前記蓋部が前記注出口部に装着された状態において前記突起が前記液止弁を開放する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインクボトル。
【請求項9】
前記液止弁は、オリフィス部と、弁体と、弁体を付勢する付勢機構とを有し、
前記付勢機構によって、前記オリフィス部と前記弁体とのギャップが閉塞される、請求項8に記載のインクボトル。
【請求項10】
前記結合部の前記凹部は、前記インクタンクの外側を取り囲むように設けられたソケットに形成された凸部に設けられた凸部と係合するように構成されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクボトル。
【請求項11】
前記凹部は、前記インクタンクにインクを補充する際に、前記凸部と係合する、請求項10に記載のインクボトル。
【請求項12】
前記インクジェット記録装置には複数の前記インクタンクが備えられ、前記インクタンクの前記ソケットは、それぞれ異なる形状を有し、
前記結合部の前記凹部は、前記複数のインクタンクのうちの一つのインクタンクの前記ソケットに形成された前記凸部のみと係合することが可能であり、他のインクタンクの前記ソケットに形成された前記凸部と係合しない、請求項10または11に記載のインクボトル。
【請求項13】
前記複数の凹部のうち、
少なくとも一部の凹部が前記凸部と係合し、他の凹部は前記凸部と係合しない、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のインクボトル。
【請求項14】
前記インクタンクのソケットは、複数の前記凸部を有し、
前記結合部は、複数の前記凹部を有し、
前記複数の凹部が前記複数の凸部とそれぞれ係合する、請求項10乃至13のいずれか一項に記載のインクボトル。
【請求項15】
前記インクタンクを密閉するタンクカバーを有し、当該タンクカバーを開けることでインクを補充可能に構成されている前記インクジェット記録装置にインクを補充可能な、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインクボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを収容するインクボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置のような液体吐出装置で使用される液体タンクには、液体を補充できるものがある。例えば、液体を注入するための注出口を備えた液体収容容器を用いて、その注出口から液体タンクに液体を補充することができる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1においては、液体収容容器本体の全周に雄ネジが設けられ、この雄ネジに螺合可能な雌ネジが設けられた蓋部材を液体収容容器本体に装着して固定することで、液体収容容器本体から液体が流出することを封止する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-144240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、液体収容容器本体の雄ネジ部が全周に設けられている場合、落下等で蓋部材に衝撃が加わった際に、蓋部材の割れ又は液体封止箇所の変形により、液体収容容器本体から液体が漏洩する虞がある。
【0006】
本発明は、蓋部材に衝撃が加わった際に、インクが漏洩することを抑制するインクボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかるインクボトルは、インクジェット記録装置のインクタンクにインクを補充可能なインクボトルであって、インクを収容可能な収容部と、前記収容部に接続され、前記収容部に収容されているインクを注出可能な注出口と、外側に雄ネジ部を配した結合部と、を有する注出口部と、前記雄ネジ部と螺合するように構成された雌ネジ部を内部に有し、前記注出口部に脱着可能に構成された蓋部と、を備え、前記結合部において、前記雄ネジ部が分断されており、当該分断された前記雄ネジ部は全体として1つの螺旋形状を形成しており、前記注出口部は、インク注出方向から見て、前記結合部において前記雄ネジ部の隆起部分を除いた部分の直径によって形成される円に沿い、かつ前記雄ネジ部を含む第1乃至第4の円弧部を含む複数の円弧部と、前記円に対して内径側に形成され、かつ前記円の中心に対して180°回転対称に設けられた第1の平面部及び第2の平面部からなる平面部と、前記円に対して内径側に形成され、かつ前記円の中心に対して180°回転対称に設けられた空間の一端となる部分である、第1の凹部及び第2の凹部を含む複数の凹部と、を有し、前記第1の円弧部、前記第1の平面部、および前記第2の円弧部がこの順に連続して設けられており、前記第3の円弧部、前記第2の平面部、および前記第4の円弧部がこの順に連続して設けられており、前記第1の円弧部と前記第3の円弧部の間に前記第1の凹部を有し、前記第2の円弧部と前記第4の円弧部の間に第2の凹部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋部材に衝撃が加わった際に、液体が漏洩することを抑制するインクボトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】液体吐出装置の外観を示す斜視図である。
図2】液体吐出装置の内部構成を示す斜視図である。
図3】液体吐出装置における液体タンクが収納された部分の拡大斜視図と平面図である。
図4】液体収容容器の外観を示す図である。
図5】液体収容容器の部品構成図と断面図である。
図6】ノズルを説明する図である。
図7】ノズルの他の例を示す図である。
図8】液体収容容器の断面図を示す図である。
図9】実施例で用いたノズルの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。尚、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。また、実施形態に記載されている構成要素の相対配置、形状などは、あくまで例示である。
【0011】
<<第1実施形態>>
図1は、本実施形態の液体吐出装置1の外観を示す斜視図である。図1に示す液体吐出装置1は、シリアル型のインクジェット記録装置である。図1に示す液体吐出装置1は、筐体11と、筐体11の内部に配置された液体タンク12とを備える。液体タンク12は、記録媒体(不図示)に吐出される液体であるインクを収容する。
【0012】
図2は、図1に示した液体吐出装置1の内部構成を示す斜視図である。図2において液体吐出装置1は、記録媒体(不図示)を搬送するための搬送ローラ13と、液体を吐出する記録ヘッド14が設けられたキャリッジ15と、キャリッジ15を駆動するためのキャリッジモータ16とを備える。記録媒体は、記録ヘッド14から吐出された液体によって画像が形成されるものであれば、特に限定されない。例えば、記録媒体としては、紙、布、光ディスクラベル面、プラスチックシート、またはOHPシートなどが挙げられる。
【0013】
液体は、液体タンク12に収容されており、液体流通路17を介して記録ヘッド14に供給され、記録ヘッド14から吐出される。本実施形態では、液体として、4色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック)のインクが使用され、液体タンク12として、各色のインクを収容する4つの色別の液体タンク12a~12dが設けられている。以下、個々の液体タンクを識別して言及する場合、液体タンク12a~12dなどを末尾にアルファベットを付し、任意の液体タンクを言及する場合、液体タンク12と称するものとする。色別の液体タンク12a~12dのそれぞれは、筐体11の内部における液体吐出装置1の前面部に配置されている。
【0014】
図3(a)は、図1に示した液体吐出装置1の液体タンク12b~12dが収納された部分の拡大斜視図の一例であり、図3(b)は、図3(a)で示した斜視図の平面図である。液体タンク12は、液体を収容するための液体タンク本体121と、液体タンク本体121内の液体収容室に連通する連通流路122とを有する。また、液体補充時以外に連通流路122を覆い、液体タンク本体121の収容室を密閉するために装着可能なタンクカバー123(図2参照)を有する。液体を液体タンク12に補充する場合には、液体収容容器2(図4参照)の注出口を連通流路122に挿入し、液体を注入する。液体補充時以外はタンクカバー123で液体収容室を密閉することで、液体タンク12内部の液体の蒸発を抑制することができる。連通流路122は、内部に鉛直方向に並列に延びる2つの流路を備えており、気液交換によって液体収容容器2内の液体が液体タンクに注入される仕組みとなっている。液体吐出装置1において、液体収容容器2の注出口を挿入する部分にはソケット18が設けられている場合がある。ソケット18が設けられている場合、ソケット18には内周壁から内側に突出する凸部19が設けられている。ソケット18は、液体タンク12ごとに設けられており、凸部19の形状は、液体容器の入れ間違い抑制の為にソケット18ごとに異なっている。凸部19は、連通流路122の中心軸に対して、180°の回転対称に存在している。
【0015】
図4は、液体タンク12に液体を補充する液体容器である液体収容容器2の外観を示す立面図である。図4における液体収容容器2は、液体を収容する収容部(本体部)であるボトル21と、ボトル21と接続されたノズル22と、ノズル22に着脱可能なキャップ23とを有する。ノズル22は、ボトル21に収容された液体を注出する際の出口としての機能を有する注出口部材である。キャップ23は、ノズル22に装着されることで、液体収容容器2(具体的には、ボトル21)の内部を外気から遮蔽する蓋部である。ボトル21とノズル22とを接続する方法は、可撓性の部品を挟んでシールする方法、または、ボトル21とノズル22とを共に樹脂部品とし、二部品を溶着する方法などがある。ボトル21およびノズル22は、一体の部品であってもよい。
【0016】
図5(a)は、図4に示す液体収容容器2の部品構成図の例を示す図である。図5(b)は、図5(a)に示す液体収容容器2の部品構成図を結合した状態の断面図である。液体収容容器2のボトル21は、上部に形成されたボトル溶着部21aと、下部に形成された液体収容部21bとを含む。ノズル22は、液体を注出する注出口22aと、外側に雄ネジ構造が形成された結合部22bと、内側または底面に溶着面が形成されたノズル溶着部22cとを含む。蓋部であるキャップ23は、注出口部材であるノズル22に着脱可能に構成されており、注出口22aを開閉可能としている。ボトル21を形成する材料としては、PE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)等が挙げられる。ノズル22を形成する材料としては、PE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)等が挙げられる。ノズル22は、ノズル溶着部22cがボトル溶着部21aと溶着することでボトル21と接合される。ボトル21とノズル22とを溶着により接合する場合は、ボトル21およびノズル22は同種の材料であることが好ましい。ノズル22内部には、開口を有するシール24と、シール24の開口を開閉するバルブ25と、バルブ25を付勢するバネ26と、バネ26を固定するホルダ27とが備えられている。
【0017】
キャップ23をノズル22に装着する方法の例として、ノズル22とキャップ23とを螺合する方法が挙げられる。具体的には、図5(a)および図5(b)に示すように、ノズル22の外側に雄ネジ構造が形成された結合部22bと、キャップ23の下部の内側に雌ネジ構造が形成されたキャップネジ部23aとを用いて螺合する方法が挙げられる。このようにキャップ23は、キャップネジ部23aが結合部22bと螺合することでノズル22に装着される。この際、キャップ23のキャップシール部23bとノズル22の注出口22aの一部とが嵌合し、液体収容容器2の内部が密閉される。即ち、キャップシール部23bとノズル22の注出口22aの一部との当接箇所によって密閉部が形成される。
【0018】
図6は、本実施形態の注出口部材であるノズル22を説明する図である。図6(a)は、ノズル22の部品形状の斜視図の一例である。図6(b)は、図6(a)の上面図である。本実施形態のノズル22の雄ネジ部221は、分断された構造となっている。即ち、雄ネジ部221は、ノズル22の全周にわたって連続して形成されておらず、一部が分断されている。分断された雄ネジ部221は、全体として一つの螺旋形状を形成しており、分断された雄ネジがそれぞれキャップの雌ネジと螺合する構成となっている。尚、キャップ23のキャップネジ部23aの一部にも分断部が形成されていてもよい。
【0019】
雄ネジ部221の分断された部分の少なくとも一部には、凹部223が形成されている。本実施形態における凹部223とは、図6(b)に示すように、ノズル22の上面図において、雄ネジ部221を有する結合部22bの根本からなる円222(点線で示す)に対して内径側に形成される空間の一端となる部分のことである。円222の直径は、キャップ開封時の回転半径に相当する径であり、概ね15mm以上40mm以下である。円222の直径は、結合部22bにおいて、雄ネジ部221の隆起部分を除いた部分の直径に対応する。ノズル22の凹部223の幅224としては、落下耐性への効果の観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましい。ここで、凹部223の幅224とは、円222のうち凹部223に対応する円弧と、凹部223との距離に対応するものである。本例では、ノズル22の上面図において円222とノズル22との最大距離に対応する。円222に対する凹部223の割合としては、落下耐性への効果の観点から10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。一方、振動等に対するキャップの緩み防止の観点から、円222に対する凹部223の割合は、90%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。ここで、円222に対する凹部223の割合とは、円222の全周の角度である360°に対する凹部223の角度の割合を示す。図6(a)および(b)に示す例では、凹部223は、回転対称に二箇所に設けられている。このため、円222に対する凹部223の割合は、図6(b)に示す角度θ×2/360で求められる。
【0020】
以上のように、ノズル22の雄ネジ部221を分断させることで、落下等で蓋部材であるキャップ23に衝撃が加わった際にも、液体収容容器2本体から液体が漏洩することを抑制できる。尚、図6(a)および(b)の例では、凹部223は、180°回転対称に二箇所に設けられている例を説明したが、凹部223は、複数個所に設けられていなくてもよい。凹部223は、少なくとも一箇所に設けられていればよい。また、凹部223は、液体吐出装置1の液体タンク12に液体を補充する際に位置決めとして用いられる部位と共通したものでもよい。以下、図7を用いて、位置決めに用いられる凹部を説明する。
【0021】
図7は、本実施形態におけるノズル22の他の例を示す図である。図7(a)は、ノズル22の部品形状の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)の上面図である。図7のノズル22では、180°の回転対称に存在する凹部223aを有しており、凹部223aが、液体吐出装置1の液体タンク12に設けられたソケット18の内周壁から内側に突出する凸部19に係合する構成となっている。液体タンク12の色別に形状が異なる凸部19に係合する凹部223aを有する液体収容容器2を用いることによって、液体タンク12への異なる色の液体収容容器2の液体を注入する誤注入を防止できる。さらにこのような構成をとることで、ノズルネジ部として機能する結合部22bに、液体吐出装置1との位置決め部を設けることになるため、液体収容容器2の小型化にも寄与することができる。尚、図7では、図6に示す凹部223に加えて、液体タンク12の凸部19に係合する凹部223aを別途設けている例を示しているが、凹部223が設けられていなくてもよい。即ち、結合部22bには、液体タンク12の凸部19に係合する凹部223aのみが設けられていてもよい。
【0022】
以上がノズル22の雄ネジ部221の説明である。次に、図5を再度参照して、ノズル22の内部構造を説明する。ノズル22には、先端(上端)に連通流路122が挿入される開口を有するオリフィス部であるシール24が配されている。そして、液止弁の弁体であるバルブ25をバネ26で開口側に付勢することでシール24とバルブ25とのギャップが閉塞され、液体収容容器2が密閉される。本実施形態では、付勢機構としてバネ26を用い、ノズル22の内空間に固定したホルダ27にバネ26を保持させている。シール24は、ゴムまたはエラストマー等の可撓性部材で構成されている。バルブ25を形成する材料としては、PE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)等が挙げられる。バネ26を形成する材料としては、SUS(ステンレス)等が挙げられる。ホルダ27を形成する材料としては、PE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)等が挙げられる。ホルダ27をノズル22に固定する方法としては、溶着等が挙げられる。
【0023】
液体収容容器2から液体タンク12へ液体を供給する際には、シール24の開口から連通流路122がノズル22内に挿入されることで、バルブ25が開放される。そして、前述したように、液体収容容器2のノズル22に、液体吐出装置1のソケット18の凸部19に係合する凹部223aが設けられている場合、ソケット18によって液体収容容器2の位置決めをすることができる。そして、液体収容容器2内の液体は水頭差によって連通流路122を介して液体タンク本体121の収容室に供給される。尚、図5(b)にあるように、キャップ23に突起23f等を設けることで、開栓および閉栓時にバルブ25を開放する場合もある。これにより、液体収容容器2内の圧力が外部の気圧より高い場合にも、液体タンク12へ液体を供給する際に液体タンク12に液体が勢いよく流入し液体タンクが溢れることを抑制できる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態では、ノズル22の雄ネジ部221を分断させている。このため、落下等で蓋部材であるキャップ23に衝撃が加わった際にも、ノズル22の雄ネジ部221が全周に設けられていないので、衝撃がキャップとノズル間で伝播することを抑制できる。従って、キャップ23とノズル22との間のシール部から液体が漏れ出すことを抑制したり、キャップの割れを抑制したりすることができる。また、ノズル22に凹部223(または凹部223a)が形成されていることで、ノズル22の剛性が下がるので、キャップ23への衝撃をさらに抑制することができる。
【0025】
<<実施例>>
以下に各種の実施例を説明する。尚、以下は、例示に過ぎず、これらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
<実施例1>
図8は、各実施例で用いた液体収容容器2の断面図を示す図である。図8に示した液体収容容器2においては、ボトル21として、外径Φ64mm、高さ100mmのポリプロピレン製ボトルを用いた。キャップ23として、外径Φ33mm、雌ネジ部の内径Φ27.2mmのポリプロピレン製キャップを用いた。
【0027】
図9は、各実施例で用いたノズル22の上面図を示している。図9(a)は、実施例1に用いたノズル22の上面図を示している。ノズル22として、雄ネジ部の根本からなる円222が、Φ27.0mm、凹部の幅224が0.5mm、円222に対する凹部の割合が17%であるポリプロピレン製ノズルを用いた。その他の構成は、図5と同様の構成にして、液体収容容器2を作製した。
【0028】
<実施例2>
図9(b)に示す実施例2のノズル22は、凹部の幅224が1.0mm、円222に対する凹部の割合が25%である。その他は、実施例1と同様にした液体収容容器2を作製した。
【0029】
<実施例3>
図9(c)に示す実施例3のノズル22は、凹部の幅224が2.5mm、円222に対する凹部の割合が39%である。その他は、実施例1と同様にした液体収容容器2を作製した。
【0030】
<実施例4>
図9(d)に示す実施例4のノズル22は、凹部の幅224が3.5mm、円222に対する凹部の割合が48%である。その他は、実施例1と同様にした液体収容容器2を作製した。
【0031】
<実施例5>
図9(e)に示す実施例5のノズル22は、凹部の幅224が2.5mmである。さらに、液体吐出装置1のソケット18の凸部19に係合し、180°の回転対称に存在する二箇所の凹部223aを設けた。円222に対する凹部の割合は、73%である。その他は、実施例1と同様にした液体収容容器2を作製した。
【0032】
<実施例6>
図9(f)に示す実施例6のノズル22は、凹部の幅224が2.5mmである。さらに、液体吐出装置1のソケット18の凸部19に係合し、180°の回転対称に存在する二箇所の凹部223aを設けた。円222に対する凹部の割合は、59%である。その他は、実施例1と同様にした液体収容容器2を作製した。
【0033】
<実施例7>
図9(g)に示す実施例7のノズル22は、凹部の幅224が2.5mmである。さらに、液体吐出装置1のソケット18の凸部19に係合し、180°の回転対称に存在する六箇所の凹部223aを設けた。円222に対する凹部の割合は、59%である。その他は、実施例1と同様にした液体収容容器2を作製した。
【0034】
<実施例8>
図9(h)に示す実施例8のノズル22は、凹部の幅224が2.5mmである。さらに、液体吐出装置1のソケット18の凸部19に係合し、180°の回転対称に存在する2箇所の凹部223aを設けた。円222に対する凹部の割合は、66%である。その他は、実施例1と同様にした液体収容容器2を作製した。
【0035】
<比較例1>
図9(i)に示す比較例1のノズル22は、凹部がない構成である。このため、円222に対する凹部の割合は、0%である。その他は、実施例1と同様にした液体収容容器2を作製した。
【0036】
<落下耐性の評価>
実施例1~8および比較例1で作製した液体収容容器2に、200mlのインクを注入し、180cmの高さより落下耐性の評価を行い、以下の基準で評価した。評価結果を表1に「落下耐性」として示す。
【0037】
【表1】
【0038】
ここで、表1における形状a~iは、図9の(a)~(i)の各ノズルに対応する。また、表1における落下耐性は、以下を示している。
A:キャップのシール部からインクの染み出しが見られなかった。
B:キャップのシール部から僅かにインクの染み出しが見られた。
C:ボトル外部にインクが漏れた、またはキャップ割れが見られた。
【0039】
実施例1~8では、ボトル外部へのインク漏れ、またはキャップ割れが見られなかった。実施例1~4の比較によれば、ノズルの凹部の幅が1mm以上あれば、落下耐性がさらに良化した。また、実施例5~8の比較によれば、雄ネジの根本からなる円に対する凹部の割合が70%以下であれば、落下耐性がさらに良化した。一方、比較例1では、雄ネジ部が分断されておらず凹部が設けられていない構成であり、落下耐性が良化しなかった。
【0040】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態において、液体収容容器は、液体吐出装置の液体タンクに液体を補充するために用いられる例を説明したが、任意の装置の液体タンクに液体を補充するために用いるものであってもよい。また、液体収容容器に収容される液体としてインクを用いる例を説明したが、任意の液体を収容してよい。
【符号の説明】
【0041】
2 液体収容容器
22 ノズル
22b 結合部
221 雄ネジ部
222 円
223 凹部
223a 凹部
23 キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9