(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017426
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】滑り防止機能付き棚板
(51)【国際特許分類】
B65G 1/14 20060101AFI20240201BHJP
A47B 96/02 20060101ALI20240201BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20240201BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65G1/14 B
A47B96/02 B
A47B55/00
B65G1/00 501F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120050
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】519354854
【氏名又は名称】ジャロックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145425
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和由
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 力丸
【テーマコード(参考)】
3B067
3F022
【Fターム(参考)】
3B067AA07
3B067AA10
3B067DA00
3B067EA02
3B067EA06
3F022FF01
3F022MM67
(57)【要約】
【課題】地震や衝撃等の外的要因によって棚板上の製品に位置ずれが発生することを防止し、更に連結機能も有する滑り防止機能付き棚板を提供する。
【解決手段】棚板1は本体の強度部材1Aと、強度部材1Aと一体成型された樹脂部材6とを具備しており、棚板1は、強度部材1Aと一体成型された樹脂部材6とを具備しており、強度部材1Aは、略直方体形状をなし、直方体の上面長手方向全長に亘って樹脂部材6が帯状に配設されており、上面6aは強度部材の上面より水平高度が低くならない様に配設され、棚板1に載置される物品Pの底面Paと上記樹脂部材6の上面6aとの間の摩擦力により、地震、衝撃発生時の物品Pの位置ずれを防止する。棚板1はまた複数の棚板1を互いの側面の係合用溝を対向させて配置した際の合わせ面の間隙部において、係合用溝各々に嵌合する断面形状を有し、間隙部に装入されて用いられる連結材であるA型ジョイント2及びB型ジョイント3を具備している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の棚受上にその長手方向の両端がそれぞれ載置されて支持される棚板において、該棚板は、
本体の強度部材と、
該強度部材と一体成型された樹脂部材と、を具備しており、
上記強度部材は、略直方体形状をなし、該直方体の上面長手方向全長に亘って上記樹脂部材が帯状に配設されている、
ことを特徴とする滑り防止機能付き棚板。
【請求項2】
上記強度部材の材質はプラスチックであって、上記樹脂部材との一体成型は、押出成形を使用して行われることを特徴とする、請求項1に記載の滑り防止機能付き棚板。
【請求項3】
上記強度部材の上面に配設される上記帯状の樹脂部材は、該樹脂部材の上面が上記強度部材の上面より水平高度が低くならない様に配設され、上記棚板に載置される物品の底面と上記樹脂部材の上面との間の摩擦力により、地震、衝撃発生時の上記物品の位置ずれを防止することを特徴とする、請求項1または2に記載の滑り防止機能付き棚板。
【請求項4】
上記棚板は、長手方向の一方又は両方の側面に当該棚板と同一形状の棚板との連結用係止部を備えており、
上記棚板の長さ方向と直角の断面形状は、全長に亘って上記棚板のたわみ防止用部材の装入部を有しており、
上記棚板は、複数の上記棚板を互いの上記側面の上記係止部を対向させて配置した際の合わせ面の間隙部において、上記係止部の各々に嵌合する断面形状を有し、上記間隙部に装入されて用いられる連結材であって、該連結材のみで上記棚板本体同士を連結する連結材を具備することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の滑り防止機能付き棚板。
【請求項5】
上記連結材は上記合わせ面から上記棚板の上面に突出する仕切り板を有していることを特徴とする、請求項4に記載の滑り防止機能付き棚板。
【請求項6】
上記連結式棚板は、上記棚板の端部側面の上記係止部に嵌合する断面形状を有し、上記係止部に係合されて用いられる連結材であって、上記棚板の上面に突出する仕切り板を有しているものを具備することを特徴とする、請求項4に記載の滑り防止機能付き棚板。
【請求項7】
上記樹脂部材はテープ状に成形されたものを貼り付けることにより上記強度部材に配設されることを特徴とする、請求項1または3~6のいずれか1項に記載の滑り防止機能付き棚板。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の滑り防止機能付き棚板の製造方法であって、プラスチック材料、樹脂材料を使用する押出成形により、上記棚板の長手方向と直角の断面形状において、上記棚板の上辺の複数個所に上記樹脂部材が配設される態様とすることにより、上記棚板の長手方向全長に亘り帯状に上記樹脂部材が配設される、ことを特徴とする滑り防止機能付き棚板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り防止機能付き棚板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流の自動化が進展し、倉庫に保管される商品等の搬出入作業をロボットが担うケースが増大している。この背景として、インターネットによる商品取引の増大などにより、保管する商品の少量多品種化が進み、商品の絶対量も増大したこと、また、これによって倉庫の上部空間を有効利用するべく棚の高層化が進んだという経緯がある。
【0003】
高層化した棚への商品の搬出入については、当初は人間がフォークリフトや昇降装置を使用してピッキングを行っていたが、省力化の要請や、商品数の増大による更なる高層化への対応としてこの作業のロボット化が進んできたのである。
ピッキングがロボット化されたことで棚に載置された商品の位置ずれが大きな問題となっている。ロボットは商品搬入時にデータによって定められた位置に正確に商品を置き、商品搬出時にはその商品の位置データに従ってピッキングを行う。この際、地震による揺れや、商品搬送ロボット等が棚へ衝突した際の衝撃により商品が棚の上で滑り、位置ずれが生じてしまうとロボットは商品のピッキングを正しく行うことができなくなるからである。
【0004】
従来、倉庫における棚の耐震対策としては、棚自体の転倒防止や、商品の落下防止が主体であり、棚上の商品の位置ずれ防止にまでは注意が向けられていなかった。しかし、上述のように、ロボット化が進んだ現在においては商品の位置ずれが問題となるのである。そして、この問題はかなり深刻なものになると考えられる。商品の位置ずれは大きな地震でなくても、わが国では毎年何度も起きる程度の比較的小さな地震や上記衝撃でも生じ、その場合は倉庫のすべての棚の全商品について位置ずれの補正を人力で行わなければならなくなり、膨大な時間と労力が費やされるからである。
特許文献1~3には、製品等の滑り防止対策の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-016985号公報
【特許文献2】特開2014-155679号公報
【特許文献3】特開平11-208830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~3の技術は、いずれも対象となる製品や棚の構成が異なり、上記で求められている製品の滑り防止機能を奏するものではない。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑み、地震や衝撃等の外的要因によって棚板上の製品に位置ずれが発生することを防止する滑り防止機能付き棚板を提供することを課題とする。
本発明はさらに、棚板本体の有する連結機能により様々の製品の収納条件や棚の設置条件に応じた仕様に対応可能な滑り防止機能付き棚板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、一対の棚受上にその長手方向の両端がそれぞれ載置されて支持される棚板において、棚板は本体の強度部材と、
強度部材と一体成型された樹脂部材とを具備しており、強度部材は、略直方体形状をなし、直方体の上面長手方向全長に亘って上記樹脂部材が帯状に配設されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、さらに、強度部材の材質はプラスチックであって、樹脂部材との一体成型は、押出成形を使用して行われることを特徴とする。
請求項3の発明は、さらに、強度部材の上面に配設される帯状の樹脂部材は、樹脂部材の上面が強度部材の上面より水平高度が低くならない様に配設され、棚板に載置される物品の底面と樹脂部材の上面との間の摩擦力により、地震、衝撃発生時の物品の位置ずれを防止することを特徴とする。
請求項4の発明は、さらに、棚板は、長手方向の一方又は両方の側面に棚板と同一形状の棚板との連結用係止部を備えており、棚板の長さ方向と直角の断面形状は、全長に亘って棚板のたわみ防止用部材の装入部を有しており、棚板は、複数の棚板を互いの側面の係止部を対向させて配置した際の合わせ面の間隙部において、係止部の各々に嵌合する断面形状を有し、間隙部に装入されて用いられる連結材であって、連結材のみで棚板本体同士を連結する連結材を具備することを特徴とする。
請求項5の発明は、さらに、連結材は合わせ面から棚板の上面に突出する仕切り板を有していることを特徴とする。
請求項6の発明は、さらに、連結式棚板は、棚板の端部側面の上記係止部に嵌合する断面形状を有し、係止部に係合されて用いられる連結材であって、棚板の上面に突出する仕切り板を有しているものを具備することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1または3~6のいずれか1項に記載の発明において、樹脂部材はテープ状に成形されたものを貼り付けることにより強度部材に配設されることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載の発明において、滑り防止機能付き棚板の製造方法であって、プラスチック材料、樹脂材料を使用する押出成形により、棚板の長手方向と直角の断面形状において、棚板の上辺に樹脂部材が配設される態様とすることにより、棚板の長手方向全長に亘り帯状に樹脂部材が配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、地震や衝撃等の外的要因によって棚板上の製品が位置ずれの発生を防止する滑り防止機能付き棚板が提供される。
さらに、本発明の滑り防止機能付き棚板は、棚板本体の有する連結機能により様々の製品の収納条件や棚の設置条件に応じた棚仕様に対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の滑り防止機能付き棚板を備える棚の全体斜視図である。
【
図2】本発明の滑り防止機能付き棚板の組み立て斜視図である。
【
図3】本発明の滑り防止機能付き棚板の断面図であり、(a)は2枚の棚板の、(b)は3枚の棚板の、(c)は4枚の棚板の連結状態を示す。
【
図4】本発明の滑り防止機能付き棚板の断面図である。
【
図5】A型ジョイントの断面図であり、(a)は組み立て状態、(b)は単独の状態を示す。
【
図6】B型ジョイントの断面図であり、(a)は組み立て状態、(b)は単独の状態を示す。
【
図7】C型ジョイントの断面図であり、(a)は組み立て状態、(b)は単独の状態を示す。
【
図8】D型ジョイントの断面図であり、(a)は組み立て状態、(b)は単独の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の滑り防止機能付き棚板の第1の実施形態について図を用いて説明する。まず、本実施形態の構成について説明する。
図1~
図4に示すように、一対の棚受30上にその長手方向の両端がそれぞれ載置されて支持される棚板1において、棚板1は本体の強度部材1Aと、強度部材1Aと一体成型された樹脂部材6とを具備しており、棚板1は、強度部材1Aと一体成型された樹脂部材6とを具備しており、強度部材1Aは、略直方体形状をなし、直方体の上面1d長手方向全長に亘って樹脂部材6が帯状に配設されている。
さらに、強度部材1Aの材質はプラスチックであって、樹脂部材6との一体成型は、押出成形を使用して行われる。
さらに、強度部材1Aの上面1dに配設される帯状の樹脂部材6は、樹脂部材6の上面6aが強度部材の上面より水平高度が低くならない様に配設され、棚板1に載置される物品Pの底面Paと上記樹脂部材6の上面6aとの間の摩擦力により、地震、衝撃発生時の物品Pの位置ずれを防止する。
【0012】
本実施形態の滑り防止機能付き棚板としての構成の主たる特徴は上記の通りであるが、棚板1はさらに以下の構成も具備している。
以下に、本実施形態の滑り防止機能付き棚板の連結式棚板としての構成及び機能について説明する。
図1~
図4に示すように、棚板1は一対の棚受30上にその長手方向の両端がそれぞれ載置されて支持されており、棚板1は、一方又は両方の長手方向の側面1aに棚板1ともう1枚の棚板1との連結用として2つの第1の溝1bと、2つの第2の溝1cを備えており、棚板1の長さ方向と直角の断面形状は、全長に亘って棚板1のたわみ防止用部材(不図示)の装着用のガイド1h及び1iを有している。
【0013】
連結式棚板は複数の棚板1を互いの側面1aの係合用溝1b、1cを対向させて配置した際の合わせ面の間隙部において、係合用溝1b、1c各々に嵌合する断面形状を有し、間隙部に装入されて用いられる連結材であるA型ジョイント2及びB型ジョイント3を具備している。
【0014】
連結式棚板は他の連結材として棚板1同士の合わせ面から棚板1の上面1dに突出する仕切り板4cを有しているC型ジョイント4を具備している。
【0015】
連結式棚板は、この他に、棚板1の端部側面1aの係合用溝1b、1cに嵌合する断面形状を有し、係合用溝1b、1c係合されて用いられる連結材であって、棚板1の上面に突出する仕切り板5cを有するD型ジョイント5を具備している。以下、この棚板1と上述の各種ジョイントを合わせて連結式棚板Wと呼ぶ。
棚板1及び連結材は例えばポリ塩化ビニルから形成される。ポリ塩化ビニルは耐炎性を有し、リサイクルが可能である点や、金属と比較して錆びることがなく、耐候性がよいという点で好ましい。
【0016】
棚板1の断面は
図4に示すように、上面1d、下面1e及び両側面1aによって囲まれた矩形形状をなしている。両側面1aには各々第1の溝1bが2か所、第2の溝1cが2か所棚板1の厚さ方向に対称に配設されている。これらの溝は後述する各種ジョイント2~5の係合部が嵌合する部分である。
【0017】
矩形形状の内部には4か所の隅部にリブ1fが配設され、中央部にはハの字型に上面側から下面側に向かって開いた態様でリブ1gが配設されている。
さらに、左右のリブ1fの内側には上下面の対向する位置にガイド1hが配設され、中央のリブ1gの内側にはガイド1iがハの字型に開いた態様で配設されている。これらのガイド1h、1iはそれらの内側に金属や木材等の補強材を装着するためのスペースを構成している。これらのスペースに長手方向端部から補強材を挿入して装着することで棚板1にさらなる強度を付与することができる。
【0018】
A型ジョイント2は、長手方向の全長寸法が棚板1のそれと等しく、
図2、
図3(a)~(c)及び
図5(a)に示すように、2枚の棚板1の側面1aを合わせた間隙部に装着されて棚板1同士の連結材として用いられる。
A型ジョイント2には
図5(b)に示すように、断面の上端部、下端部の左右に各々1つずつ第1の係合部2aが配設され、中央部の上下左右にも各々1つずつ第2の係合部2bが配設されている。上記連結材として棚板1の側面1aと嵌合する際、第1の係合部2aは棚板1の溝1bと、第2の係合部2bは棚板1の溝1cと各々係合される。
【0019】
B型ジョイント3も長手方向の全長寸法が棚板1のそれと等しく、
図2、
図3(b)、(c)及び
図6(a)に示すように、2枚の棚板1の側面1aを対向させて配置した中間部に装着されて棚板1同士の連結材として用いられる。B型ジョイント3はそれ自体が補強部材としての役割を有しており、3枚以上の棚板1が連結される場合に、幅方向の強度が低下しないように、具体的にはA型ジョイント2が2か所で用いられないように連結材として用いられる。
【0020】
B型ジョイント3には
図6(a)、(b)に示すように、A型ジョイント2と異なり棚板1と同一の厚さ(鉛直方向)を有しており、また、水平方向に所定の幅寸法を有している。断面の上部近傍と下部近傍の左右に各々1つずつ第1の係合部3aが配設され、中央部の上下左右にも各々1つずつ第2の係合部3bが配設されている。上記連結材として棚板1の側面1aと嵌合する際、第1の係合部3aは棚板1の溝1bと、第2の係合部3bは棚板1の溝1cと各々係合される。
【0021】
C型ジョイント4も長手方向の全長寸法が棚板1のそれと等しく、
図2及び
図7(a)に示すように、2枚の棚板1の側面1aを合わせた間隙部に装着されて棚板1同士の連結材として用いられる。C型ジョイント4の2枚の棚板1に挟まれる部分の断面形状はA型ジョイント2と同一であり、その部分の上端部及び下端部からはそれぞれ上方及び下方に延長される板状の部材が設けられている。上方へ延長される部材はストッパー4cとして棚板1の上面1dから突出し、連結式棚板の手前側と奥側とを分ける仕切り板として機能する。
【0022】
D型ジョイント5も長手方向の全長寸法が棚板1のそれと等しく、
図2及び
図8(a)に示すように、棚板1の側面1aに装着されて棚板1の端部側面1aにおける仕切り板として用いられる。D型ジョイント5の棚板1に係合する部分の断面形状はA型ジョイント2と同一であり、その部分の上端部及び下端部からそれぞれ上方及び下方に延長される板状の部材が設けられている。上方へ延長される部材はストッパー5cとして棚板1の上面1dから突出し、棚板1の端部側面1aに設けられる仕切り板として機能する。また、D型ジョイント5は長手方向の寸法を所定の短いものとすれば、棚板1の通路に面した側の側面に設けられるネームプレートとしても使用できる。
【0023】
次に、第1の実施形態の機能・効果について説明する。
第1の実施形態の滑り防止機能付き棚板には上述のように強度部材1Aの上面1dに帯状の樹脂部材6が配設されているのであるが、樹脂部材6の上面6aが強度部材1Aの上面1dより水平高度が低くならない様に配設され、棚板1に載置される物品Pの底面Paと樹脂部材6の上面6aとの間の摩擦力により、地震、衝撃発生時の物品Pの位置ずれを防止する。
このように、地震や衝撃等の外的要因によって棚板上の製品に位置ずれが発生することを防止して、地震等の災害時でも製品の位置修正作業を行うことなく速やかにロボットによるピッキングを行うことが可能となる。
大地震が発生した際は製品の位置ずれあるいは落下は避けられないと考えられるが、少なくとも頻度の大きい小さめの地震や、商品搬送ロボット等が棚へ衝突した際の衝撃に関しては、発生の度に製品の位置ずれを長時間かけて直すといった作業負担の大幅な低減が図れる。
さらに、本発明の滑り防止機能付き棚板は、棚板本体の有する連結機能により様々の製品の収納条件や棚の設置条件に応じた棚仕様に対応することが可能である。
【0024】
次に、本発明の滑り防止機能付き棚板の第2の実施形態について図を用いて説明する。まず、本実施形態の構成について説明する。
本実施形態の棚板1は、
図2、
図4に示す樹脂部材6として、上述の第1の実施形態とは異なり、テープ状に成形されたものを本体強度部材1Aに貼り付けることにより構成される。
【0025】
このような構成により、本実施形態の滑り防止機能付き棚板では、第1の実施形態のように特別な押出成形により2種の材料を押出成形して棚板1を成形しなくても、テープ状に成形された樹脂部材6を本体強度部材1Aに貼り付けるだけで上記第1実施形態の滑り防止機能付き棚板と同様の機能、効果を奏することが可能となる。
【0026】
本実施形態には、既存の任意の形状の棚板に滑り防止機能を事後的に付与することが可能であるという効果がある。また、必要とされる滑り防止機能付き棚板の数量が比較的少ない場合には、テープ状の樹脂部材6の貼り付け工程の作業負担が軽いため本実施形態が効果的であると考えられる。
【0027】
次に、本発明の第3の実施形態である滑り防止機能付き棚板の製造方法について説明する。
本実施形態の滑り防止機能付き棚板の製造方法ではプラスチック材料、樹脂材料を使用する押出成形により、棚板の長手方向と直角の断面形状において、棚板の上辺に樹脂部材が配設される態様とすることにより、棚板の長手方向全長に亘り帯状に樹脂部材が配設される。
【0028】
本実施形態は本体強度部材としてのプラスチック材料と、滑り防止機能材料としての樹脂材料という異なる材料により構成される製品を押出成形により作製する方法についてのものである。
【0029】
まず、押出成形について説明する。
押出成形とは、加熱して融解された樹脂やプラスチックを金型の中から押し出し、そのまま空気や水で冷却して固化させて連続的に成形する方法である。
金型の内部で樹脂等を冷却させるのではなく、投入口より入れられた樹脂等の材料が加熱シリンダー内で加熱され、金型の押し出し口から押し出されて一定の形状を成形し、その後材料が冷却されて硬化していくので、一定の形をした成形品を連続的に成形するのに適した方法である。
【0030】
押出成形による成形品はどこを切断しても同じ断面形状を有するのが特徴である。金型の押し出し口を様々な形状のものに変えることで、目的の製品の形状を成形でき、製品によっては表面が滑らかで仕上げが不要というメリットもある。
押出成形は金型の設備を交換するだけで樹脂の形状を自由に、連続的に、安定して成形することができるため、樹脂やプラスチックなどを加工する方法としては極めて合理的な加工方法である。
【0031】
本実施形態は、この押出成形を用いて滑り防止機能付き棚板を異なる2種類の材質、すなわち棚板本体のプラスチック材料と、滑り防止のための樹脂材料を
図2、
図4のような構成で成形して製造するものである。
【0032】
本実施形態の機能、効果として、棚に載置される物品の滑り防止機能と、多様な設置条件に対応できる棚板の連結機能を併せ持つ本発明の滑り防止機能付き棚板を、安定した品質で、また多くの需要に応える態様で供給できることにより、今後さらに需要が高まると考えられる棚板における物品の滑り防止に対応可能な技術である点に注目すべきであると考えられる。
【符号の説明】
【0033】
1 滑り防止機能付き棚板(棚板)
1A 強度部材
1a 側面
1b 第1の溝
1c 第2の溝
1d 上面
1e 下面
1f 第1のリブ
1g 第2のリブ
1h 第1のガイド
1i 第2のガイド
2 A型ジョイント
2a 第1の係合部
2b 第2の係合部
3 B型ジョイント
3a 第1の係合部
3b 第2の係合部
4 C型ジョイント
4a 第1の係合部
4b 第2の係合部
4c ストッパー
5 D型ジョイント
5a 第1の係合部
5b 第2の係合部
5c ストッパー
6 樹脂部材
6a 上面
10 棚
20 支柱
30 棚受
P 物品
Pa 底面
W 連結式棚板