(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174281
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】螺旋状回収チャネルを有するトナーカートリッジ
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241210BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G03G15/08 310
G03G15/08 343
G03G21/00 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009910
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 崇
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴之
【テーマコード(参考)】
2H077
2H134
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA05
2H077AA35
2H077AB02
2H077AB12
2H077AB14
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD13
2H077CA02
2H077CA19
2H134GA01
2H134GB02
2H134JA02
2H134KA24
2H134KB11
2H134KB12
2H134KC10
2H134KF04
2H134KG03
2H134KG07
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】トナーカートリッジ70は、トナーを搬送するために中心軸線周りに回転可能なトナーボトル71と、前記トナーボトルの回転に伴って回転可能な螺旋状回収チャネル72であって、前記螺旋状回収チャネルは、廃トナーを受け入れる入口を有し、前記螺旋状回収チャネルは、前記螺旋状回収チャネルが回転すると前記入口から前記廃トナーを搬送するために、前記トナーボトルの前記中心軸線に沿って形成された螺旋形状を有する、前記螺旋状回収チャネルと、を備える。
【効果】トナーボトルを回転させることで、アルキメデスポンプの原理のように、入口から受け入れた廃トナーを容易に螺旋状回収チャネルで搬送することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを搬送するために中心軸線周りに回転可能なトナーボトルと、
前記トナーボトルの回転に伴って回転可能な螺旋状回収チャネルであって、前記螺旋状回収チャネルは、廃トナーを受け入れる入口を有し、前記螺旋状回収チャネルは、前記螺旋状回収チャネルが回転すると前記入口から前記廃トナーを搬送するために、前記トナーボトルの前記中心軸線に沿って形成された螺旋形状を有する、前記螺旋状回収チャネルと、を備える、
トナーカートリッジ。
【請求項2】
前記螺旋状回収チャネルは、前記トナーボトルに固定されている、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
前記螺旋状回収チャネルは、前記トナーボトルの外表面に巻き付けられたチューブにより形成される、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
前記トナーボトルの内表面には、前記トナーを前記トナーボトルの出口に向けて搬送する螺旋状突起が形成されており、
前記螺旋状回収チャネルは、前記トナーボトルの前記螺旋状突起の螺旋方向と逆方向に巻かれている、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項5】
前記トナーボトルの内表面には、前記トナーを前記トナーボトルの出口に向けて搬送する螺旋状突起が形成されており、
前記螺旋状回収チャネルは、前記トナーボトルの前記螺旋状突起の螺旋方向と同方向に巻かれている、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項6】
前記廃トナーを前記螺旋状回収チャネルに供給する搬送管を備え、
前記搬送管は、
前記螺旋状回収チャネルの前記入口に接続された排出口と、
前記廃トナーを前記排出口に向けて搬送するために前記トナーボトルの回転に伴って回転するオーガと、を有する、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項7】
前記螺旋状回収チャネルは、略3mm以上の直径を有する略円形の内部断面を有する、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項8】
前記螺旋状回収チャネルは、前記螺旋状回収チャネル内に前記廃トナーを貯留するために、前記トナーボトルの中心軸線方向における前記入口とは反対側の端部が閉塞されている、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項9】
前記螺旋状回収チャネルは、前記螺旋状回収チャネルを搬送された前記廃トナーを排出するために、前記トナーボトルの中心軸線方向における前記入口とは反対側の端部が開放されている、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項10】
画像形成装置の現像装置にトナーを供給するトナーボトルと、
前記画像形成装置のクリーニング装置から廃トナーを受け入れる入口を有し、受け入れた前記廃トナーを前記入口から離れる方向に搬送するように回転可能な螺旋状回収チャネルと、を備える、
画像形成装置のトナーカートリッジ。
【請求項11】
前記螺旋状回収チャネルは、前記トナーボトルの回転と一体的に回転するように前記トナーボトルに固定されている、
請求項10に記載の画像形成装置のトナーカートリッジ。
【請求項12】
前記トナーボトルの内表面には、前記トナーを前記トナーボトルの出口に向かう第一搬送方向に搬送する螺旋状に巻かれた螺旋状突起が形成されており、
前記螺旋状回収チャネルは、前記廃トナーを前記第一搬送方向と略反対の第二搬送方向に搬送するために、前記トナーボトルの前記螺旋状突起の螺旋方向と逆方向に前記トナーボトルの外表面に巻かれたチューブにより形成される、
請求項10に記載の画像形成装置のトナーカートリッジ。
【請求項13】
前記トナーボトルの内表面には、前記トナーを前記トナーボトルの出口に向かう搬送方向に搬送する螺旋状に巻かれた螺旋状突起が形成されており、
前記螺旋状回収チャネルは、前記廃トナーを前記トナーボトルの前記搬送方向と同じ方向に搬送するために、前記トナーボトルの前記螺旋状突起と同じ螺旋方向に巻かれている、
請求項10に記載の画像形成装置のトナーカートリッジ。
【請求項14】
前記廃トナーを前記螺旋状回収チャネルに供給するために、前記クリーニング装置と前記螺旋状回収チャネルとの間に連結された搬送管を備え、
前記搬送管は、
前記螺旋状回収チャネルの前記入口に連結された排出口と、
前記廃トナーを前記排出口に向けて搬送するために前記トナーボトルの回転に伴って回転するオーガと、を有する、
請求項10に記載の画像形成装置のトナーカートリッジ。
【請求項15】
前記螺旋状回収チャネルは、略3mm以上の直径を有する略円形の内部断面を有する、
請求項10に記載の画像形成装置のトナーカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
画像形成装置では、トナーカートリッジから現像装置にトナーが供給される。現像装置に供給されたトナーは、感光体ドラムに現像され、感光体ドラムから用紙又は中間転写ベルトに転写される。用紙又は中間転写ベルトに転写されず感光体ドラム上に残ったトナーは、廃トナーとしてクリーニング装置によって回収される。トナーカートリッジには、トナーボトルの内部にトナー回収容器を配置し、廃トナーを収容可能としたものもある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図2】
図2は、
図1に示すトナーカートリッジの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すトナーカートリッジ及びクリーニング装置の一部の断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すIV-IV線における断面図である。
【
図5】
図5は、螺旋状回収チャネルの端部の例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、搬送管の動作の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、搬送管の動作の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、螺旋状回収チャネルの内部断面の直径と螺旋状回収チャネルを移動する廃トナーの圧力損失との関係の例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、螺旋状回収チャネルの内部断面の直径と螺旋状回収チャネルによる廃トナーの搬送性との関係の例を示すグラフである。
【
図10】
図10は、螺旋状回収チャネルにおける廃トナーの回収容量を示すグラフである。
【
図11】
図11は、他の例のトナーカートリッジの一部を示す断面図である。
【
図12】
図12は、他の例のトナーカートリッジの一部を示す断面図である。
【
図13】
図13は、他の例のトナーカートリッジの一部を示す正面図である。
【
図14】
図14は、他の例のトナーカートリッジの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
例のトナーカートリッジは、中心軸線周りに回転可能なトナーボトルであって、トナーを前記トナーボトルの出口に向けて搬送する前記トナーボトルと、前記トナーボトルの回転に伴って回転可能な螺旋状回収チャネルであって、前記螺旋状回収チャネルは、廃トナーを受け入れる入口を有し、前記螺旋状回収チャネルは、前記螺旋状回収チャネルが回転すると前記入口から前記廃トナーを搬送するために、前記トナーボトルの前記中心軸に沿って形成された螺旋形状を有する、前記螺旋状回収チャネルと、を備える。このトナーカートリッジは、螺旋状回収チャネルを備え、螺旋状回収チャネルは、トナーボトルの中心軸線に沿って形成された螺旋形状を有する。このため、トナーボトルを回転させることで、アルキメデスポンプの原理のように、入口から受け入れた廃トナーを容易に螺旋状回収チャネルで搬送することができる。
【0004】
他の例の画像形成装置のトナーカートリッジは、画像形成装置の現像装置にトナーを供給するトナーボトルと、前記画像形成装置のクリーニング装置から廃トナーを受け入れる入口を有し、受け入れた前記廃トナーを前記入口から離れる方向に搬送するように回転可能な螺旋状回収チャネルと、を備える。この画像形成装置のトナーカートリッジは、螺旋状回収チャネルを備え、螺旋状回収チャネルは、トナーボトルの中心軸線に沿って形成された螺旋形状を有する。このため、トナーボトルを回転させることで、アルキメデスポンプの原理のように、入口から受け入れた廃トナーを容易に螺旋状回収チャネルで搬送することができる。
【0005】
以下、図面を参照して、例の画像形成装置について説明する。なお、図面に基づいて説明するにあたり、同一の要素又は同一の機能を有する類似する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0006】
図1は、例の画像形成装置1の模式図である。
図1に示す画像形成装置1は、搬送装置10と、感光体ドラム20と、現像装置30と、転写装置40と、定着装置50と、排出装置60と、を備える。
【0007】
搬送装置10は、画像が形成される記録媒体としての用紙Mを搬送する。感光体ドラム20は、トナー像を形成するための静電潜像を形成する。感光体ドラム20の周上には、現像装置30と、帯電装置22と、露光装置23と、クリーニング装置24と、が設けられている。帯電装置22は、感光体ドラム20の表面を所定の電位に帯電させる。露光装置23は、帯電装置22によって帯電した感光体ドラム20の表面を、用紙Mに形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体ドラム20の表面に、用紙Mに形成する画像に対応した静電潜像が形成される。
【0008】
現像装置30は、トナーカートリッジ70からのトナーの供給を受けて、感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。現像装置30は、感光体ドラム20の表面にトナーを供給する現像ローラ31を有する。現像ローラ31が感光体ドラム20の表面にトナーを供給することで、感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像が現像される。つまり、現像装置30に供給されたトナーは、感光体ドラム20に現像される。これにより、感光体ドラム20の表面に、静電潜像に対応したトナー像、つまり用紙Mに形成する画像に対応したトナー像が形成される。
【0009】
転写装置40は、現像装置30により感光体ドラム20に現像されたトナー像を用紙Mに転写する。なお、画像形成装置1が中間転写ベルト(不図示)を備える場合、転写装置40は、現像装置30により感光体ドラム20に現像されたトナー像を中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルトは、感光体ドラム20から転写されたトナー像を用紙Mに転写する。そして、クリーニング装置24は、用紙M又は中間転写ベルトに転写されずに感光体ドラム20上に残ったトナーを、廃トナーとして回収する。定着装置50は、転写装置40によりトナー像が転写された用紙Mを加熱及び加圧することで、用紙M上のトナー像を用紙Mに定着させる。排出装置60は、定着装置50によりトナー像が定着された用紙Mを装置外部へ排出する。
【0010】
図2は、
図1に示すトナーカートリッジ70の斜視図である。
図3は、
図1に示すトナーカートリッジ及びクリーニング装置の一部の断面図である。
図4は、
図3に示すIV-IV線における断面図である。
図1~
図4に示すように、トナーカートリッジ70は、トナーボトル71と、螺旋状回収チャネル72と、搬送管73と、を備える。トナーカートリッジ70は、画像形成装置1に対して取り替え可能とされている。つまり、画像形成装置1では、トナーカートリッジ70の残トナー量が規定値を下回ると、画像形成装置1からトナーカートリッジ70が取り外されて、新しいトナーカートリッジ70が画像形成装置1に装着される。
【0011】
トナーボトル71は、画像形成装置1の現像装置30にトナーを供給するための容器である。トナーボトル71は、略円筒状に形成されている。トナーボトル71の内部には、トナーを収容する収容空間75が形成されている。トナーボトル71は、トナーボトル71の中心軸線Lを中心に回転可能となっている。トナーボトル71には、出口76と、螺旋状突起77と、が形成されている。
【0012】
出口76は、収容空間75に収容されているトナーをトナーボトル71から排出するための開口である。出口76は、トナーボトル71の中心軸線方向Dにおける一方側の端部78に形成されている。出口76は、例えば、トナーボトル71の外周面に形成されて、収容空間75をトナーボトル71の半径方向外方に開放する。
【0013】
螺旋状突起77は、トナーボトル71が回転することにより、収容空間75に収容されているトナーを出口76に向けて搬送する。つまり、螺旋状突起77は、トナーボトル71が回転することにより、収容空間75に収容されているトナーを出口76に向かう第一搬送方向D1に搬送する。第一搬送方向D1は、トナーボトル71の中心軸線方向Dに沿った方向である。螺旋状突起77は、収容空間75に突出するように、トナーボトル71の内表面に形成されている。螺旋状突起77は、トナーボトル71の中心軸線Lを中心線とした螺旋状に形成されている。螺旋状突起77は、例えば、トナーボトル71を外周側から内周側(収容空間75側)に凹ませることにより形成される。螺旋状突起77の螺旋方向は、トナーカートリッジ70が回転した際に、収容空間75に収容されているトナーを出口76に向けて搬送できる方向である。
【0014】
トナーボトル71には、出口76から排出されたトナーを現像装置30に供給するための供給管79が接続されている。供給管79は、トナーボトル71の出口76と、現像装置30の供給口32と、に接続されている。現像装置30の供給口32は、トナーボトル71からトナーが供給される開口であり、現像装置30においてトナーが収容される現像室33に連通されている。
【0015】
螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71が回転することで、クリーニング装置24で回収された廃トナーを回収する。ここで、クリーニング装置24について説明する。クリーニング装置24は、スクレーパー25と、チャネル26と、搬送オーガ27と、を有する。
【0016】
スクレーパー25は、感光体ドラム20が回転することで、感光体ドラム20上に残存するトナーを掻き取る。スクレーパー25により感光体ドラム20から掻き取られたトナーが、廃トナーとなる。スクレーパー25は、感光体ドラム20の中心軸線に沿って延びて、感光体ドラム20に当接されている。スクレーパー25は、例えば、板状部材又はフィルム状部材により形成される。
【0017】
チャネル26は、スクレーパー25で掻き取った廃トナーを一時的に収容する。チャネル26は、例えば、感光体ドラム20の中心軸線に沿って延びている。チャネル26の延在方向における一方側の端部には、廃トナーを排出するための開口28が形成されている。
【0018】
搬送オーガ27は、搬送オーガ27の中心軸線周りに回転することで、チャネル26に収容されている廃トナーを開口28に向けて搬送する。つまり、チャネル26に一時的に収容されている廃トナーは、搬送オーガ27により開口28から排出されることで、回収される。搬送オーガ27は、例えば、感光体ドラム20の中心軸線に沿って延びるロッド27aと、ロッド27aから突出してロッド27aの周りを螺旋状に延びる螺旋状突起27bと、により構成される。
【0019】
螺旋状回収チャネル72は、廃トナーを受け入れる入口80を有する。螺旋状回収チャネル72の内部には、入口80から続く回収路81が形成されている。つまり、螺旋状回収チャネル72は、回収路81の断面である略円形の内部断面82を有する。回収路81は、廃トナーを回収するために廃トナーが流通する流路である。また、螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71の中心軸線Lに沿って形成された螺旋形状を有する。つまり、螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71の中心軸線Lを中心軸とした螺旋状に形成されている。回収路81も、螺旋状回収チャネル72と同様に、トナーボトル71の中心軸線Lを中心軸とした螺旋状に形成されている。螺旋状回収チャネル72は、例えば、トナーボトル71の外表面に巻き付けられたチューブにより形成される。
【0020】
螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71の回転に伴って回転可能である。トナーボトル71と螺旋状回収チャネル72とが一体的に回転するように、螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71に直接的又は間接的に固定されている。このため、螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71が回転することで、トナーボトル71と一体的に回転する。
【0021】
螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71の螺旋状突起77の螺旋方向と逆方向に巻かれている。螺旋状回収チャネル72の螺旋方向は、トナーボトル71が回転した際に、螺旋状回収チャネル72に回収された廃トナーをトナーボトル71の出口76とは反対側に向けて搬送できる方向である。このため、螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71の回転により回転するとで、アルキメデスポンプの原理のように、入口80から回収した廃トナーを、入口80から離れる方向に、つまり、第一搬送方向D1とは略反対の第二搬送方向D2に搬送する。
【0022】
図5は、螺旋状回収チャネルの端部の例を示す断面図である。
図5に示すように、螺旋状回収チャネル72は、螺旋状回収チャネル72内に廃トナーを貯留するために、トナーボトル71の中心軸線方向Dにおける入口80とは反対側の端部83が閉塞されている。例えば、螺旋状回収チャネル72の端部83には、端部83を閉塞するキャップ84が被せられている。
【0023】
図2~
図4に示すように、搬送管73は、廃トナーを螺旋状回収チャネル72に供給する。搬送管73は、画像形成装置1のクリーニング装置24のチャネル26と螺旋状回収チャネル72との間に連結されている。なお、搬送管73とクリーニング装置24との間には、クリーニング装置24から搬送管73に廃トナーを搬送する別の搬送管85が配置されている。
【0024】
搬送管73は、トナーボトル71の中心軸線Lに沿って延びる円管状に形成されている。搬送管73は、トナーボトル71の一方側の端部78に固定されている。一方側の端部78は、トナーボトル71の中心軸線方向Dにおける出口76と同じ側、つまり、第一搬送方向D1におけるトナーボトル71の下流側の端部である。搬送管73は、排出口86と、オーガ87と、を有する。
【0025】
排出口86は、搬送管73に収容されている廃トナーを搬送管73から排出するための開口である。排出口86は、トナーボトル71の一方側の端部78に形成されている。排出口86は、搬送管73の外周面に形成されて、搬送管73の内部空間を搬送管73の半径方向外方に開放する。そして、排出口86は、螺旋状回収チャネル72の入口80に接続されている。例えば、トナーボトル71は、排出口86からトナーボトル71の外周面までの部分が切り欠かれている。そして、螺旋状回収チャネル72は、この切り欠かれた部分に配置されることで、螺旋状回収チャネル72の入口80が排出口86に接続されている。
【0026】
オーガ87は、廃トナーを排出口86に向けて搬送するために、トナーボトル71の回転に伴って回転する。オーガ87は、例えば、トナーボトル71の中心軸線L上に配置されて、トナーボトル71と一体的に回転する。オーガ87は、例えば、トナーボトル71の中心軸線Lに沿って延びるロッド87aと、ロッド87aから突出してロッド87aの周りを螺旋状に延びる螺旋状突起87bと、により構成される。
【0027】
図6は、搬送管73の動作の一例を示す断面図である。
図7は、搬送管73の動作の一例を示す断面図である。
図3及び
図6に示すように、排出口86が上方を向いているときは、オーガ87により搬送された廃トナーは搬送管73から螺旋状回収チャネル72に供給されない。
図3及び
図7に示すように、トナーボトル71と一体的に回転する搬送管73が回転し、排出口86が下方に向けられると、オーガ87により搬送された廃トナーは、自然落下により搬送管73から螺旋状回収チャネル72に供給される。
【0028】
このように構成されるトナーカートリッジ70では、トナーボトル71が回転することで、トナーボトル71の収容空間75に収容されているトナーは、螺旋状突起77により第一搬送方向D1に搬送されて出口76から排出される。出口76から排出されたトナーは、供給管79を通って現像装置30に供給される。一方、クリーニング装置24で回収されて搬送管73に供給された廃トナーは、回転するオーガ87により第二搬送方向D2に搬送されて排出口86から排出される。排出口86から排出された廃トナーは、入口80から螺旋状回収チャネル72の回収路81に供給される。そして、トナーボトル71が回転することで、螺旋状回収チャネル72の回収路81に供給された廃トナーは、入口80から端部83に向けて第二搬送方向D2に搬送される。
【0029】
図8は、螺旋状回収チャネル72の内部断面82の直径と螺旋状回収チャネル72を移動する廃トナーの圧力損失との関係の例を示すグラフである。
図9は、螺旋状回収チャネル72の内部断面82の直径と螺旋状回収チャネル72による廃トナーの搬送性との関係の例を示すグラフである。
図8及び
図9に示すように、螺旋状回収チャネル72の内部断面82の直径(螺旋状回収チャネル72の内径)が小さくなるほど、螺旋状回収チャネル72を移動する廃トナーの圧力損失が大きくなる。その結果、廃トナーの詰まり等により、螺旋状回収チャネル72による廃トナーの搬送性が悪くなる。
【0030】
廃トナーは、現像装置30に供給されるトナーの25%程度となる。このため、トナーボトル71により供給するトナーが270ccである場合、廃トナーは67.5ccとなる。そこで、螺旋状回収チャネル72の内部断面82の直径(螺旋状回収チャネル72の内径)と、第一搬送方向D1における螺旋状回収チャネル72のピッチと、螺旋状回収チャネル72の巻き数と、を変えて、螺旋状回収チャネル72における廃トナーの回収容量を求めた。廃トナーは、螺旋状回収チャネル72の鉛直方向における下半分に溜まる。廃トナーの嵩密度は、0.65g/ccとした。計算結果を
図10に示す。
【0031】
図10に示すように、例1のトナーカートリッジでは、螺旋状回収チャネル72の内部断面82の直径(螺旋状回収チャネル72の内径)を6mm、第一搬送方向D1における螺旋状回収チャネル72のピッチを12mm、螺旋状回収チャネル72の巻き数を28とした。例2のトナーカートリッジでは、螺旋状回収チャネル72の内部断面82の直径(螺旋状回収チャネル72の内径)を8mm、第一搬送方向D1における螺旋状回収チャネル72のピッチを22mm、螺旋状回収チャネル72の巻き数を15とした。例3のトナーカートリッジでは、螺旋状回収チャネル72の内部断面82の直径(螺旋状回収チャネル72の内径)を10mm、第一搬送方向D1における螺旋状回収チャネル72のピッチを35mm、螺旋状回収チャネル72の巻き数を9とした。
【0032】
例1のトナーカートリッジでは、螺旋状回収チャネル72における廃トナーの回収容量が73.9ccとなった。例2のトナーカートリッジでは、螺旋状回収チャネル72における廃トナーの回収容量が70.7ccとなった。例3のトナーカートリッジでは、螺旋状回収チャネル72における廃トナーの回収容量が67ccとなった。そして、何れのトナーカートリッジにおいても、トナーボトルを回転させることで廃トナーを回収することができた。
【0033】
また、螺旋状回収チャネル72の径が小さくなり過ぎると、螺旋状回収チャネル72の巻き数が過大となって、配置スペースが大きくなるとともにコストアップすることも考えられる。このため、上記結果も踏まえると、内部断面82の直径は、例えば、略3mm以上、略6mm以上、又は略8mm以上とすることができる。
【0034】
このように、このトナーカートリッジ70は、螺旋状回収チャネル72を備え、螺旋状回収チャネル72は、トナーボトル71の中心軸線Lに沿って形成された螺旋形状を有する。このため、トナーボトル71を回転させることで、アルキメデスポンプの原理のように、入口80から受け入れた廃トナーを容易に螺旋状回収チャネル72で搬送することができる。
【0035】
本明細書に記載の全ての側面、利点及び特徴が、必ずしも、いずれかひとつの特定の例及び実施形態により達成される又は含まれるわけではないことは理解されたい。実際、本明細書において様々な例を記載し示したが、他の例もその配置及び詳細について修正することができることは明らかであるべきだ。ここに請求される保護主題の精神及び範囲に包含される全ての修正及び変形を請求する。
【0036】
例えば、螺旋状回収チャネルは、チューブにより形成されていなくてもよい。例えば、
図11に示すように、螺旋状回収チャネル72Aは、トナーボトル71Aに一体的に形成されたものであってもよい。
【0037】
また、
図12及び
図13に示すように、螺旋状回収チャネル72Bを搬送された廃トナーを排出するために、螺旋状回収チャネル72Bの入口とは反対側の端部83Bは開放されていてもよい。この場合、例えば、
図13に示すように、螺旋状回収チャネル72Bの端部83Bは、廃トナーをトナーボトル71Bの収容空間75に戻すために、トナーボトル71Bに接続されてトナーボトル71Bの収容空間75に開放されていてもよい。
【0038】
また、
図14に示すように、螺旋状回収チャネル72Cは、トナーボトル71Cの螺旋状突起77Cの螺旋方向と同方向に巻かれていてもよい。つまり、螺旋状回収チャネル72Cの螺旋方向は、トナーボトル71Cが回転した際に、廃トナーを、トナーと同様に第一搬送方向D1に搬送する方向であってもよい。
【0039】
また、螺旋状回収チャネルは、トナーボトルに固定されていなくてもよく、また、トナーボトルとは独立して回転可能であってもよい。