IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置、及び車両 図1
  • 特開-半導体装置、及び車両 図2
  • 特開-半導体装置、及び車両 図3
  • 特開-半導体装置、及び車両 図4
  • 特開-半導体装置、及び車両 図5
  • 特開-半導体装置、及び車両 図6
  • 特開-半導体装置、及び車両 図7
  • 特開-半導体装置、及び車両 図8
  • 特開-半導体装置、及び車両 図9
  • 特開-半導体装置、及び車両 図10
  • 特開-半導体装置、及び車両 図11
  • 特開-半導体装置、及び車両 図12
  • 特開-半導体装置、及び車両 図13
  • 特開-半導体装置、及び車両 図14
  • 特開-半導体装置、及び車両 図15
  • 特開-半導体装置、及び車両 図16
  • 特開-半導体装置、及び車両 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174287
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】半導体装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241210BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20241210BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241210BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 G
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092029
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】中村 翼
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 健吾
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770PA21
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA05
5H770QA08
(57)【要約】
【課題】沿面距離に依存する絶縁性を確保しつつ半導体装置をより小型化する。
【解決手段】半導体装置(1)のケース部材(300)における第1の主端子(370)の外方端子部(371)と第2の主端子(350)の外方端子部(351)とが第1の面(301)に所定の間隙で配置される端子配置部(306A)は、第1の主端子の外方端子部と第2の主端子の外方端子部との間の、第1の面の平面視において第1の方向(X方向)とは異なる第2の方向(Y方向)に延伸する凹部(310)であって、第2の方向における凹部の一方の端が、第1の主端子の外方端子部及び第2の主端子の外方端子部における回路板(2)が収容される収容部(320)に近い端部よりも収容部側に位置する凹部と、収容部に面した壁面(302)のうちの凹部の一方の端を第2の方向に延長した位置において収容部側に突出し、凹部と収容部とを隔てる突出部(312)と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線板上に半導体素子が配置された回路板と、
前記回路板が収容された収容部を有するケース部材と、
各々が前記ケース部材の端子配置部に露出した外方端子部と前記ケース部材の前記収容部内で前記回路板の導体と電気的に接続された内方端子部とを有する複数の主端子と、を備え、
前記ケース部材は、前記端子配置部の前記外方端子部が配置された第1の面の平面視において前記端子配置部と前記収容部とが隣接する形状であり、
前記複数の主端子は、前記ケース部材の前記第1の面の平面視における前記端子配置部と前記収容部との境界に沿った第1の方向に所定の間隙で前記外方端子部が配置された第1の主端子と第2の主端子とを含み、
前記ケース部材の前記端子配置部は、
前記第1の面における前記第1の主端子の前記外方端子部と前記第2の主端子の前記外方端子部との間に、前記第1の面から前記第1の面とは反対側の第2の面の方向に変位し、前記第1の面の平面視において前記第1の方向とは異なる第2の方向に延伸する凹部であって、
前記第2の方向における前記凹部の一方の端が、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部側に位置し、
前記第2の方向における前記凹部の他方の端が、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部から遠い端部よりも前記収容部から遠方に位置する、前記凹部と、
前記収容部に面した壁面のうちの前記凹部の前記一方の端を前記第2の方向に延長した位置において前記収容部側に突出し、前記凹部と前記収容部とを隔てる突出部と、を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記ケース部材の前記端子配置部は、前記第1の面と前記収容部との間に、前記端子配置部と前記収容部との境界に沿って前記第1の面から前記第2の面とは反対の方向に突出する段差部を有し、
前記段差部は、前記外方端子部側を向いた面のうちの前記凹部の前記一方の端を前記第2の方向に延長した位置が前記収容部側に変位している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記第1の面の平面視における前記一方の端が前記段差部の前記外方端子部側を向いた面の位置に到達している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部側に、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部から遠方となる第1の区間よりも前記第1の方向の距離が長くなる区間を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記端子配置部の前記第1の面は、前記第1の主端子の前記外方端子部が配置された領域と、前記第2の主端子の前記外方端子部が配置された領域とが、前記凹部により分離している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記端子配置部の前記第1の面は、前記第1の主端子の前記外方端子部が配置された領域と、前記第2の主端子の前記外方端子部が配置された領域とが、前記凹部の前記一方の端よりも前記収容部側に位置する領域を介して連続している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記凹部は、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部側に、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部から遠方となる第1の区間よりも、前記第1の面からの深さが浅い区間を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記回路板は、前記半導体素子が前記配線板よりも前記端子配置部の前記第1の面に近い向きで前記収容部内に収容され、
前記ケース部材は、前記収容部に面した壁面のうちの前記突出部により前記収容部側に突出した部分の前記第2の面に近い端が、前記配線板の前記半導体素子が配置された面よりも前記第1の面側に位置する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ケース部材は、前記収容部に面した壁面のうちの前記突出部により前記収容部側に突出した部分の突出量が、前記第1の面から前記第2の面に向かうにつれて小さくなる、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記回路板は、第1の入力端と、第2の入力端と、出力端とを有するインバータ回路が形成されており、
前記第1の主端子が前記インバータ回路の前記第1の入力端と電気的に接続され、前記第2の主端子が前記インバータ回路の前記第2の入力端と電気的に接続される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ケース部材は、前記収容部を挟んで前記第1の主端子及び前記第2の主端子が配置された前記端子配置部とは反対側に、前記出力端と電気的に接続される第3の主端子が配置された端子配置部を有する、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ケース部材は、前記第1の面側及び前記第2の面側が開口した中空部を前記収容部とする概略環形状である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記配線板の前記半導体素子が配置された面とは反対側の面に熱的に接続される冷却器をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の半導体装置を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置等の電力変換装置に用いられる半導体装置は、半導体素子が搭載された配線板を収容するケースを備える。ケースは、絶縁性のケース部材と、半導体素子の電極と電気的に接続される複数の端子とを備える(例えば、特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01-144662号公報
【特許文献2】特開2002-164503号公報
【特許文献3】特開2014-183196号公報
【特許文献4】特開平09-232512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した半導体装置のケースでは、印加される電位が異なる2つの主端子の間の沿面距離に依存する絶縁性を確保しつつ半導体装置をより小型化させることが難しい。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、沿面距離に依存する絶縁性を確保しつつ半導体装置のより小型化を可能にすることを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る半導体装置は、配線板上に半導体素子が配置された回路板と、前記回路板が収容された収容部を有するケース部材と、各々が前記ケース部材の端子配置部に露出した外方端子部と前記ケース部材の前記収容部内で前記回路板の導体と電気的に接続された内方端子部とを有する複数の主端子と、を備え、前記ケース部材は、前記端子配置部の前記外方端子部が配置された第1の面の平面視において前記端子配置部と前記収容部とが隣接する形状であり、前記複数の主端子は、前記ケース部材の前記第1の面の平面視における前記端子配置部と前記収容部との境界に沿った第1の方向に所定の間隙で前記外方端子部が配置された第1の主端子と第2の主端子とを含み、前記ケース部材の前記端子配置部は、前記第1の面における前記第1の主端子の前記外方端子部と前記第2の主端子の前記外方端子部との間に、前記第1の面から前記第1の面とは反対側の第2の面の方向に変位し、前記第1の面の平面視において前記第1の方向とは異なる第2の方向に延伸する凹部であって、前記第2の方向における前記凹部の一方の端が、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部側に位置し、前記第2の方向における前記凹部の他方の端が、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部から遠い端部よりも前記収容部から遠方に位置する、前記凹部と、前記収容部に面した壁面のうちの前記凹部の前記一方の端を前記第2の方向に延長した位置において前記収容部側に突出し、前記凹部と前記収容部とを隔てる突出部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、沿面距離に依存する絶縁性を確保しつつ半導体装置をより小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す上面図である。
図2図1の半導体装置における1つの回路形成部の構成を拡大した上面図である。
図3図2のA-A’線で切断した半導体装置の構成例を示す断面側面図である。
図4図1の半導体装置を適用したインバータ装置の回路構成例を示す図である。
図5】一実施の形態に係るケースにおける外方端子部間の絶縁性を確保する方法の例を説明する斜視図である。
図6】外方端子部間の凹部の形状の第1の例を示す上面図である。
図7】外方端子部間の凹部の形状の第1の例を示す正面図である。
図8図6のB-B’線で切断したケースにおける凹部の形状の第1の例を示す断面側面図である。
図9】沿面距離を長くしたケースの従来例を示す斜視図である。
図10図9に例示したケースの部分の正面図である。
図11】凹部の第1の変形例を説明する上面図である。
図12】凹部の第2の変形例を説明する上面図である。
図13】凹部の第3の変形例を説明する上面図である。
図14】凹部の第4の変形例を説明する上面図である。
図15】凹部の別の変形例を説明する側面断面図である。
図16】凹部のさらに別の変形例を説明する正面図である。
図17】本発明に係る半導体装置を適用した車両の一例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、参照する各図におけるX軸、Y軸、及びZ軸は、例示する半導体装置等における平面や方向を定義する目的で示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、右手系を成している。以下の説明では、X軸に平行な方向をX方向と呼び、Y軸に平行な方向をY方向と呼び、Z軸に平行な方向をZ方向と呼ぶ。また、X方向、Y方向、及びZ方向の各方向は、図示されるX軸、Y軸、及びZ軸の矢印(正負)の方向と関連付ける場合には、「正側」又は「負側」が付される。
【0010】
本明細書では、Z方向を上下方向と呼ぶことがある。本明細書において、「上」や「上方」は、基準となる面、部材、位置等よりもZ方向正側であることを意図し、「下」や「下方」は、基準となる面、部材、位置等よりもZ方向負側であることを意図する。例えば、「部材Aの上に部材Bが配置される」と記載されるとき、部材Bは、部材AからみてZ方向正側に配置される。また、「部材Aの上面」と記載されるとき、その面は、部材AにおけるZ方向正側の端に位置し、Z方向正側を向いた面である。本明細書において、「上面視」は、対象となる物品(例えば、半導体装置等)をZ方向正側からみたときの平面視を意図する。本明細書において、「正面視」は、対象となる物品をY方向負側からみたときの平面視を意図する。本明細書において、「側面視」は、対象となる物品をX方向負側又はX方向正側からみたときの平面視を意図し、X方向負側からみたときの平面視を「左側面視」と呼び、X方向正側からみたときの平面視を「右側面視」と呼ぶこともある。これらの方向や面は、説明の便宜上用いる文言であり、半導体装置の取付姿勢等によっては、X軸、Y軸、及びZ軸の方向のそれぞれとの対応関係が変わることがある。例えば、ケース部材における主端子の外方端子部が配置される面は、本明細書ではケース部材の上面と呼ぶが、これに限らず、ケース部材の下面、側面等と呼ばれてもよい。また、各図における縦横比や各部材同士の大小関係は、あくまで模式的に表されており、実際に製造される半導体装置等における関係とは必ずしも一致しない。説明の便宜上、各部材同士の大小関係を誇張して表現している場合も想定される。
【0011】
また、以下の説明で例示する半導体装置は、例えば、産業用又は電装用(例えば、車載用モータ)のインバータ装置等の電力変換装置に適用されるものであってよい。このため、以下の説明では、既知の半導体装置と同一の、又は類似した構成、機能、動作、製造方法等についての詳細な説明を省略する。
【0012】
図1は、一実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す上面図である。図2は、図1の半導体装置における1つの回路形成部の構成を拡大した上面図である。図3は、図2のA-A’線で切断した半導体装置の構成例を示す断面側面図である。図2の上面図には、図1の半導体装置においてX方向に並ぶ3つの回路形成部のうちの中央の回路形成部が示されている。図3の断面側面図は、図2のA-A’線で切断した半導体装置のうちのA-A’線よりも左側の部分の右側面視を示している。なお、図1図3では、半導体素子等を封止する封止材の図示を省略している。
【0013】
図1図3に例示した半導体装置1は、回路板2と、ケース3と、放熱ベース5とを含む。
【0014】
例示した半導体装置1は、放熱ベース5の上面に3つの回路板2が配置されている。3つの回路板2は、実質的に同一の構成であり、配線板200と、配線板200の上面に配置された2つの半導体素子280A及び280Bとを含む。なお、放熱ベース5の上面に配置する回路板2の数は、3つに限定されない。また、1つの配線板200の上面に配置する半導体素子の数は、2つに限定されない。
【0015】
配線板200は、絶縁基板210と、絶縁基板210の上面に設けられた導体パターン221~223と、絶縁基板210の下面に設けられた導体パターン224とを含む。配線板200は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板やAMB(Active Metal Brazing)基板であり得る。配線板200は、積層基板、絶縁回路基板等と呼ばれてもよい。
【0016】
絶縁基板210は、特定の基板に限定されない。絶縁基板210は、例えば、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si)、又は酸化アルミニウム(Al)と酸化ジルコニウム(ZrO)との複合材料等のセラミックス材料によって形成されたセラミックス基板であってよい。絶縁基板210は、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁樹脂を成形した基板、ガラス繊維等の基材に絶縁樹脂を含侵させた基板、平板状の金属コアの表面を絶縁樹脂でコーティングした基板等であってもよい。
【0017】
絶縁基板210の上面に設けられた導体パターン221~223は、配線部品として機能するものであり、例えば、銅やアルミニウム等の金属板又は金属箔等によって形成される。絶縁基板210の上面に設けられた導体パターン221~223は、導体層、導体板、導電層、配線パターン等と呼ばれてもよい。以下の説明では、導体パターン221~223を区別する場合には、それぞれを、第1の導体パターン221、第2の導体パターン222、第3の導体パターン223、と記載する。
【0018】
配線板200の上面に配置された2つの半導体素子280A及び280Bは、それぞれ、例えば、スイッチング素子であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子と、IGBT素子に逆並列に接続されるFWD(Free Wheeling Diode)素子等のダイオード素子の機能とを一体化したRC(Reverse Conducting)-IGBT素子で構成される。この種の半導体素子280A及び280Bは、それぞれ、下面に第1の主電極(図示せず)が設けられ、上面に第2の主電極281及び制御電極(ゲート電極)282が設けられている。半導体素子280A及び280Bのスイッチング素子がIGBT素子である場合、下面側の第1の主電極がコレクタ電極と呼ばれ、上面側の第2の主電極281がエミッタ電極と呼ばれてもよい。また、半導体素子280A及び280Bのスイッチング素子及びダイオード素子を形成する基板は、シリコン基板に限らず、例えば、SiC(シリコンカーバイド)基板、GaN(窒化ガリウム)基板等であってもよい。
【0019】
図2の例では、半導体素子280Aが第1の導体パターン221の上面に配置されており、半導体素子280Bが第2の導体パターン222の上面に配置されている。第1の導体パターン221は、半導体素子280Aの下面に設けられた第1の主電極(図示せず)と接合材(図示せず)により接合されている。接合材は、はんだ等の周知の接合材であってよい。また、第2の導体パターン222は、半導体素子280Bの下面に設けられた第1の主電極(図示せず)と接合材(図示せず)により接合されている。
【0020】
半導体素子280Aの下面に設けられた第1の主電極は、第1の導体パターン221を介して、ケース3に設けられた第1の主端子370と電気的に接続されている。第1の導体パターン221と第1の主端子370とは、例えば、はんだ等の周知の接合材(図示せず)により接合されている。半導体素子280Aの上面に設けられた第2の主電極281は、配線部品6Aを介して、第2の導体パターン222と電気的に接続されている。配線部品6Aは、銅板等の導体板を折り曲げて形成したものであり、リード、リードフレーム等と呼ばれる。配線部品6Aは、一部分がはんだ等の周知の接合材(図示せず)により半導体素子280Aの第2の主電極281と接合され、別の一部分がはんだ等の周知の接合材(図示せず)により第2の導体パターン222と接合されている。また、半導体素子280Aの上面に設けられた制御電極282は、ボンディングワイヤ(配線部品6C)により、ケース3に設けられた制御端子390と電気的に接続されている。
【0021】
半導体素子280Bの下面に設けられた第1の主電極は、第2の導体パターン222を介して、ケース3に設けられた第3の主端子330と電気的に接続されている。第2の導体パターン222と第3の主端子330とは、例えば、はんだ等の周知の接合材(図示せず)により接合されている。半導体素子280Bの上面に設けられた第2の主電極281は、配線部品6B及び第3の導体パターン223を介して、ケース3に設けられた第2の主端子350と電気的に接続されている。配線部品6Bは、銅板等の導体板を折り曲げて形成したものであり、リード、リードフレーム等と呼ばれる。配線部品6Bは、一部分がはんだ等の周知の接合材(図示せず)により半導体素子280Bの第2の主電極281と接合され、別の一部分がはんだ等の周知の接合材(図示せず)により第3の導体パターン223と接合されている。また、半導体素子280Bの上面に設けられた制御電極282は、ボンディングワイヤ(配線部品6D)により、ケース3に設けられた制御端子395と電気的に接続されている。
【0022】
なお、半導体装置1における2つの導電部材間を電気的に接続する方法は、上述した方法とは異なる方法であってもよい。例えば、配線板200の第1の導体パターン221とケース3の第1の主端子370との電気的な接続、第2の導体パターン222と第3の主端子330との電気的な接続、及び第3の導体パターン223と第2の主端子350との電気的な接続は、それぞれ、レーザ溶接、又は超音波接合等によって行われてもよい。また、例えば、半導体素子280Aの第2の主電極281に電気的に接続される配線部品6A及び半導体素子280Bの第2の主電極281に電気的に接続される配線部品6Bは、いずれか一方又は両方が、ボンディングワイヤであってもよい。
【0023】
絶縁基板210の下面に設けられた導体パターン224は、半導体素子280A及び280Bが発した熱を放熱ベース5に伝導する熱伝導部材として機能するものであり、例えば、銅やアルミニウム等の金属板又は金属箔等によって形成される。放熱ベース5は、下方に配置される冷却器9(図3参照)の一部であってもよいし、冷却器9に取り付けられる、冷却器9とは別の熱伝導部材であってもよい。導体パターン224は、はんだ等の接合材(図示せず)によって放熱ベース5の上面に接合される。導体パターン224は、放熱層、放熱パターンと呼ばれてもよい。なお、本実施の形態の半導体装置1において、冷却器9は任意の構成である。
【0024】
ケース3は、放熱ベース5の上面に配置された回路板2及び配線部品6A~6Dを収容可能な収容部320を有するケース部材300と、上述した第1の主端子370、第2の主端子350、第3の主端子330、制御端子390、及び制御端子395と、を含む。この種のケース3は、インサート成形を利用した方法等の、周知の製造方法により製造される。
【0025】
図1図3に例示したケース3のケース部材300は、上端及び下端が開口した3つの収容部(中空部)320を有する概略環形状であり、1つの収容部320に1つの回路板2が収容される。上述した第1の主端子370、第2の主端子350、第3の主端子330、制御端子390、及び制御端子395の組は、ケース部材300の収容部320に収容される回路板2毎に、ケース部材300に設けられている。
【0026】
第1の主端子370、第2の主端子350、及び第3の主端子330は、それぞれ、ケース部材300における端子配置部に露出した外方端子部と、ケース部材300の収容部320内で回路板2の導体と電気的に接続された内方端子部とを有する。例えば、第2の主端子350は、図3に示したように、端子配置部306Aの上面301に沿って配置された外方端子部351と、端子配置部306Aの収容部320に面した壁面302から収容部320内に延伸する内方端子部352とを有する。外方端子部351と内方端子部352との間の中間部(図示せず)は、ケース部材300(端子配置部306A)内に埋設されている。外方端子部351は、端子配置部306Aの上面301から上方に突出させた平板状の部分を上面301に沿うように折り曲げて上面301に配置されている。本実施の形態の半導体装置1における外方端子部351は、端子配置部306Aの上面301に形成されたナット穴304内にナット7Bをはめ込んだ後、ナット穴304を覆うように折り曲げて上面301に沿わせている。外方端子部351には、ナット7Bのねじ穴と重なる開口353が形成されている。第2の主端子350の内方端子部352は、配線板200の第3の導体パターン223と電気的に接続される。
【0027】
第1の主端子370は、外方端子部371及び内方端子部372を有し、外方端子部371と内方端子部372との間の中間部(図示せず)は、端子配置部306A内に埋設されている。第1の主端子370の外方端子部371は、第2の主端子350の外方端子部351と所定の間隙で隣り合うように、端子配置部306Aの上面301に沿って配置されている。第1の主端子370の外方端子部371は、端子配置部306Aの上面301に形成されたナット穴(図示せず)にはめ込まれたナット7A(図2参照)を覆っており、ナット7Aのねじ穴と重なる開口373が形成されている。第1の主端子370の内方端子部372は、端子配置部306Aの収容部320に面した壁面302から収容部320内に延伸し、配線板200の第1の導体パターン221と電気的に接続される。
【0028】
第3の主端子330は、外方端子部331及び内方端子部332を有し、外方端子部331と内方端子部332との間の中間部(図示せず)は、収容部320を挟んで端子配置部306Aとは反対側に位置する端子配置部306Bに埋設されている。第3の主端子330の外方端子部331は、端子配置部306Bの上面301に沿って配置されている。第3の主端子330の外方端子部331は、端子配置部306Bの上面301に形成されたナット穴305にはめ込まれたナット7Cを覆っており、ナット7Cのねじ穴と重なる開口333が形成されている。第3の主端子330の内方端子部332は、端子配置部306Bの収容部320に面した壁面303から収容部320内に延伸し、配線板200の第2の導体パターン222と電気的に接続される。
【0029】
ケース3のナット穴にはめ込まれたナット7A~7Cは、例えば、第1の主端子370、第2の主端子350、及び第3の主端子330のそれぞれを給電ケーブルの端子、バスバー等と接続するためのボルト8(図3参照)を螺合させることに利用される。
【0030】
制御端子390及び制御端子395は、それぞれ、ケース部材300(端子配置部306B)の上面301から上方に延伸する外方端子部(図示せず)と、収容部320に面した壁面303から収容部320内に延伸する内方端子部(図示せず)とを有する。制御端子390及び制御端子395は、それぞれ、外方端子部と内方端子部との間の中間部が、ケース部材300に埋設されている。制御端子390の数及び制御端子395の数は、図1及び図2に例示した5本に限定されない。制御端子390の数及び制御端子395の数は、例えば、半導体素子280A及び280Bの制御電極282の数等に応じて決定される。制御端子390及び制御端子395は、回路板2の動作を制御する制御回路(図示せず)に接続される。
【0031】
ケース3の収容部320には、回路板2、配線部品6A~6D、並びにケース3の主端子及び制御端子の内方端子部等を封止する封止材(図示せず)が充填される。封止材は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコーンゲル等である。ケース3の収容部320は、図1に例示したように回路板2毎に区分けをせずに(すなわち3つの別個の収容部にせずに)、1つの収容部として形成されていてもよい。
【0032】
ケース3のケース部材300は、例えば、図1に示したように、上面視で外縁部に、上述した端子配置部306A及び306Bとは別の、貫通穴307が形成されている複数の穴形成部を有する。ケース3は、例えば、貫通穴307に挿通したボルト(図示せず)を冷却器9の上面に形成されたねじ穴と螺合させることにより、冷却器9に取り付けられる。放熱ベース5は、例えば、ケース3のケース部材300の下面に接着されており、ケース3を冷却器9に取り付けることにより冷却器9と接触する。放熱ベース5と冷却器9とは、例えば、サーマルグリスやサーマルコンパウンド等の熱伝導部材を介して密着されてもよい。また、放熱ベース5は、上面視においてケース3の貫通穴307と重なる位置に貫通穴を有する形状であってもよい。
【0033】
図1に例示した半導体装置1は、3つの単相インバータ回路を含み、例えば、三相インバータ装置を構成することができる。
【0034】
図4は、図1の半導体装置を適用したインバータ装置の回路構成例を示す図である。
【0035】
図4には、インバータ装置11の例として、電圧形の三相インバータ装置における回路構成の一例を示している。インバータ装置11は、3つの単相インバータ回路1101(U)、1101(V)、及び1101(W)と、平滑コンデンサ1102と、制御回路1103とを含む。単相インバータ回路1101(U)は、直流を交流に変換し、U相の交流として出力する。単相インバータ回路1101(V)は、直流を交流に変換し、V相の交流として出力する。単相インバータ回路1101(W)は、直流を交流に変換し、W相の交流として出力する。本明細書では三相交流における3つの相をU相、V相、W相と呼ぶが、他の呼び方であってもよい。
【0036】
インバータ装置11は、3つの単相インバータ回路1101(U)、1101(V)、及び1101(W)と、平滑コンデンサ1102とが並列に接続されている。図4に等価回路で例示した、3つの単相インバータ回路1101(U)、1101(V)、及び1101(W)の各々の回路構成は、図2及び図3を参照して上述した、半導体装置1における1つの回路板2(1つの配線板200と2つの半導体素子280A及び280Bとの組)を用いて形成される回路と対応する。
【0037】
インバータ装置11は、直流電源12の正極を接続する第1の入力端IN(P)と、直流電源12の負極を接続する第2の入力端IN(N)と、三相交流を出力する出力端OUT(U)、OUT(V)、OUT(W)とを有する。第1の入力端IN(P)は、半導体装置1の第1の主端子370に接続され、第2の入力端IN(N)は、半導体装置1の第2の主端子350に接続される。出力端OUT(U)、OUT(V)、OUT(W)は、半導体装置1の第3の主端子330に接続される。
【0038】
図4に例示した単相インバータ回路1101(U)、1101(V)、及び1101(W)の各々は、ハーフブリッジインバータ回路である。単相インバータ回路1101(U)は、上アームと呼ばれることがある第1の入力端IN(P)と出力端OUT(U)との間に接続された半導体素子280Aにおけるスイッチング素子410(例えば、IGBT素子)のコレクタ電極が、第1の主端子370を介して第1の入力端IN(P)に接続される。また、単相インバータ回路1101(U)は、下アームと呼ばれることがある第2の入力端IN(N)と出力端OUT(U)との間に接続された半導体素子280Bにおけるスイッチング素子412のエミッタ電極が、第2の主端子350を介して第2の入力端IN(N)に接続される。単相インバータ回路1101(U)における上アームのスイッチング素子410のエミッタ電極と下アームのスイッチング素子412のコレクタ電極は、第3の主端子330を介して、三相交流におけるU相の交流を出力する出力端OUT(U)に接続される。また、上アームのスイッチング素子410にはダイオード素子411が逆並列に接続されており、下アームのスイッチング素子412にはダイオード素子413が逆並列に接続されている。他の2つの単相インバータ回路1101(V)及び1101(V)は、それぞれ、上述した単相インバータ回路1101(U)における出力端OUT(U)を、出力端OUT(V)及びOUT(V)に置き換えた構成である。
【0039】
各単相インバータ回路1101(U)、1101(V)、及び1101(W)が出力する交流は、制御回路1103から、制御端子390を介して上アームのスイッチング素子410のゲート(半導体素子280Aの制御電極282)に印加される制御信号、及び制御端子595を介して下アームのスイッチング素子412のゲート(半導体素子280Bの制御電極282)に印加される制御信号により、位相が互いに120度ずつずれるように制御される。インバータ装置11の出力端OUT(U)、OUT(V)、OUT(W)には、交流で動作する負荷(例えば、交流モータ)13が接続される。
【0040】
なお、本実施の形態の半導体装置1を含むインバータ装置11の回路構成は、図4に例示した回路構成に限定されない。また、本実施の形態の半導体装置1を含むインバータ装置11の動作も特定の動作に限定されない。例えば、半導体装置1を含むインバータ装置11は、3つの単相フルブリッジインバータ回路が並列に接続されるものであってもよい。
【0041】
更に、図4を参照して上述したインバータ装置11は、本実施の形態に係る半導体装置1が適用される装置の例示に過ぎない。
【0042】
半導体素子280A及び280Bのスイッチング素子410及び412は、上述したIGBT素子に限らず、例えば、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)等で構成されてもよい。スイッチング素子がMOSFET素子の場合、半導体素子280A及び280Bの下面側の主電極がドレイン電極と呼ばれ、上面側の主電極281がソース電極と呼ばれてもよい。また、ダイオード素子411及び413は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、JBS(Junction Barrier Schottky)ダイオード、MPS(Merged PN Schottky)ダイオード、PNダイオード等で構成されてもよい。また、半導体素子280A及び280Bの上面に設けられる制御電極282は、ゲート電極と、補助電極とを含んでもよい。例えば、補助電極は、上面側の主電極と電気的に接続され、ゲート電位に対する基準電位となる補助エミッタ電極あるいは補助ソース電極であってよい。また、補助電極は、インバータ装置11等に含まれることがある温度センス部と電気的に接続され、半導体素子280A及び280Bの温度を測定する温度センス電極であってよい。半導体素子280A及び280Bの上面に形成されたこれらの電極(第2の主電極281、並びにゲート電極及び補助電極を含む制御電極282)は、総じて上面電極と呼ばれてもよい。また、スイッチング素子410及び412、ダイオード素子411及び413を形成する基板は、シリコン基板に限らず、例えば、SiC(シリコンカーバイド)基板、GaN(窒化ガリウム)基板等であってもよい。
【0043】
また、図4を参照して上述した単相インバータ回路において1つの半導体素子に含まれるものとして説明されるスイッチング素子とダイオード素子とは、別個の半導体素子により提供されてもよい。例えば、上アームのスイッチング素子410とダイオード素子411とは、スイッチング素子410が形成された半導体素子と、ダイオード素子411が形成された半導体素子とにより提供されてもよい。半導体素子の形状、配置数、配置箇所等は適宜変更が可能である。配線板200の上面側に設けられる配線部品としての導体パターンのレイアウトは、半導体素子の種類、形状、配置する数、配置箇所等に応じて変更される。
【0044】
本実施の形態に係る半導体装置1におけるケース3は、上述したように、第1の主端子370の外方端子部371と第2の主端子350の外方端子部351とが、ケース部材300における単一の端子配置部306Aの上面301のうちの、端子配置部306Aと収容部320との境界に沿った第1の方向(X方向)に所定の間隙で配置されている。このように、印加される電圧の電位が異なる2つの外方端子部351及び371が近接して配置される場合、半導体装置1の小型化の観点では、これら2つの外方端子部351及び371の距離(間隙)を絶縁性が確保される範囲内でより短くすることが好ましい。
【0045】
図5は、一実施の形態に係るケースにおける外方端子部間の絶縁性を確保する方法の例を説明する斜視図である。図6は、外方端子部間の凹部の形状の第1の例を示す上面図である。図7は、外方端子部間の凹部の形状の第1の例を示す正面図である。図8は、図6のB-B’線で切断したケースにおける凹部の形状の第1の例を示す断面側面図である。図8の断面側面図は、図6のB-B’線で切断したケース3のうちのB-B’線よりも左側の部分の右側面視を示している。
【0046】
本実施の形態の半導体装置1に用いられるケース3は、図5図8に例示したように、ケース部材300における端子配置部306Aの上面301のうちの第1の主端子370の外方端子部371と第2の主端子350の外方端子部351との間隙部分に凹部310が形成される。凹部310は、外方端子部351及び371が配置された上面301から下面308の方向に変位しており、上面視において2つの外方端子部351及び371が配置された第1の方向(X方向)とは異なる第2の方向(Y方向)に延伸している。第2の方向における凹部310の一方の端は、外方端子部351及び371の収容部320に近い端部351b及び371bの位置YNよりも収容部320側に位置する。第2の方向における凹部310の他方の端は、外方端子部351及び371の収容部320から遠い端部351c及び371cの位置YFよりも収容部320から遠方に位置し、端子配置部306Aの収容部320に面した壁面302とは反対側の面(図示せず)に到達している。図7及び図8に例示した下面308は、端子配置部306Aにおける、外方端子部351及び371が配置された第1の面(上面301)とは反対側の第2の面の一例である。
【0047】
上述のように、収容部320内には回路板2等を封止する封止材が充填される。このため、凹部310は、収容部320に充填された封止材が凹部310内に流出しないよう、第2の方向における収容部320に近いほうの端が端子配置部306Aによって収容部320から隔てられるように形成される。また、ケース部材300の端子配置部306Aは、外方端子部351及び371が配置された上面301と収容部320との間に、上面301から上方(すなわち下面とは反対の方向であるZ方向正側)に突出する段差部311が形成されている。このような場合、外方端子部351及び371の収容部320に近い端部351b及び371b間の沿面距離は、例えば、凹部310の第1の壁面310a、底面310c、第2の壁面310bに沿った第1の沿面距離(図7参照)と、凹部310の上端開口を迂回する第2の沿面距離(図6参照)の2通りがある。
【0048】
図7に例示した、凹部310に沿った第1の沿面距離は、外方端子部351及び371の互いに向かい合う側面351a及び371a内の各点の沿面距離と同一である。このため、凹部310の深さDは、第1の沿面距離G+2×D(Gは外方端子部351及び371の間隙)が外方端子部351及び371間の絶縁性を確保し得る値に設定される。また、凹部310を形成した場合、上述した凹部310の上端開口を迂回する第2の沿面距離(図6参照)も外方端子部351及び371間の絶縁性を確保し得る値に設定されることが望まれる。このため、本実施の形態のケース部材300では、端子配置部306Aの収容部320に面した壁面302のうちの凹部310を第2の方向に延長した位置に、端子配置部306Aを収容部320側に突出させた突出部312を形成する。また、端子配置部306Aの壁面302に部分的に突出部312を形成する場合、例えば、端子配置部306Aの上面301における収容部320側の端に沿った段差部311を、第1の主端子370の外方端子部371と向かい合う側面311aと、第2の主端子350の外方端子部351と向かい合う側面311eとの間に、収容部320側に変位した側面311b、311c、311dを有するように形成する。これにより、端子配置部306Aの凹部310と収容部320とが隔てられた状態で、第2の方向での、外方端子部351及び371の収容部320に近い端部351b及び371bと、凹部310の一方の端との距離を長くすることができる。また、端子配置部306Aの収容部320に面した壁面302に部分的に突出部312を形成することにより、例えば、外方端子部351及び371の収容部320に近い端部351b及び371bから壁面302までの距離の増大を防ぐことができ、上面視における半導体装置1の大型化を防ぐことができる。
【0049】
ケース部材300の端子配置部306Aに上述した凹部310を形成する場合、第1の壁面310aと第2の壁面310bとの距離(幅)Wは、外方端子部351の側面351aと外方端子部371の側面371aとの距離(間隙)Gよりも小さければよく、例えば、W=1.5mm程度にすることができる。
【0050】
ケース部材300の端子配置部306Aに上述した凹部310が形成されている半導体装置1では、電位の異なる電圧が印加される主端子間の距離(間隙)Gを短くすることによる沿面距離の減少を抑制することができ、沿面距離に依存する絶縁性を確保しつつ半導体装置1をより小型化することが可能となる。具体的には、特許文献4(特開平09-232512号公報)のような隣り合う端子間に沿面距離に依存する絶縁性を十分に確保することが可能な程度に大きい空隙を有するものと比べて、沿面距離に依存する絶縁性を確保しつつ半導体装置1をより小型化することが可能となる。
【0051】
また、上述した半導体装置1のケース3は、入力端であり得る第1の主端子370の外方端子部371及び第2の主端子350の外方端子部351と、出力端であり得る第3の主端子330の外方端子部331とを、上面視において回路板2が収容される収容部320を挟んだ位置関係になるように配置する。このため、本実施の形態に係る半導体装置1は、例えば、特許文献1(特開平01-144662号公報)の3つの電極板、及び特許文献3(特開2014-183196号公報)の3つの外部配線接続用端子のように蓋体の上面に一方向に並べて配置する場合と比べて、上面視における平面形状(特に縦横比)の偏りを小さくすることができる。また、特許文献3のような蓋体における2つの外部配線接続用端子が配置された面が、その2つの外部配線用接続端子の側面が互いに向かい合っている位置でつながっている場合と比べて、沿面距離に依存する絶縁性を確保し得る外部配線接続用端子の間隙を短くすることができる。従って、本実施の形態の半導体装置1は、特許文献1や特許文献3の半導体装置と比べて、例えば、設置場所や設置する向きに関する自由度を高くすることができる。また、3つの電極板を蓋体の上面に一方向に並べて配置する場合と比べて、各主端子の外方端子部に給電ケーブルの端子やバスバー等を接続する作業が容易になる。
【0052】
更に、図5図8を参照して上述したケース3の端子配置部306Aは、凹部310の延伸方向(Y方向)における一方の端を延長した位置に、収容部320側に突出した突出部312を有する。突出部312は、例えば、図8に示したように、下端312bが端子配置部306Aの下面308よりも上方に位置するように形成する。このようにすると、例えば、端子配置部306Aの下面308を含むケース部材300の下面側から回路板2を収容部320内に収容するときに必要となる収容部320の寸法を増大させることなく、凹部310を迂回する第2の沿面距離を長くすることができる。このため、例えば、特許文献2(特開2002-164503号公報)のような絶縁壁が設けられる凹部側に熱硬化性エポキシ樹脂が突出する構成と比べて、上面視における沿面距離を長くすることができ、沿面距離に依存する絶縁性を容易に確保することができる。
【0053】
図9は、沿面距離を長くしたケースの従来例を示す斜視図である。図10は、図9に例示したケースの部分の正面図である。
【0054】
図9及び図10に例示したケース3’の端子配置部306A’は、上面301における第1の主端子370の外方端子部371と第2の主端子350の外方端子部351との間に、上述した凹部310の代わりに壁部319が形成されている。このような壁部319が形成されている場合、上面301からの壁部319の高さをHとすると、壁部319を挟んで互いに向かい合う外方端子部351の側面351aと外方端子部371の側面371aとの沿面距離は、距離G+2×Hとなる。このため、壁部319の高さHを高くすることにより沿面距離を長くすることができる。
【0055】
しかしながら、図9及び図10に例示した壁部319を有するケース3’は、端子配置部306A’の下面308から壁部319の上端面までの距離(Z方向の寸法)が長くなる。このため、ケース3’を用いた半導体装置は、本実施の形態に係る半導体装置1と比べて、設置場所や設置する向きに関する自由度が低くなる。また、第1の主端子370の外方端子部371及び第2の主端子350の外方端子部351に近接した壁部319を有することにより、例えば、これらの外方端子部に給電ケーブルの端子やバスバー等を接続する作業が難しくなることがある。更に、ケース3’を製造(形成)するときに、上面301から上方に延伸する薄い壁部319と対応する空間を有する金型内に加熱した絶縁樹脂を流し込むと、壁部319の部分にひずみやボイドが生じることがある。
【0056】
これに対し、本実施の形態のケース3は、凹部310により沿面距離を確保するので、壁部319を形成する場合と比べてZ方向の寸法を小さくでき、設置場所や設置する向きに関する自由度を高くすることができる。また、第1の主端子370の外方端子部371及び第2の主端子350の外方端子部351に近接した壁部319がなくなることにより、外方端子部に給電ケーブルの端子やバスバー等を接続する作業が容易になる。更に、ケース3を製造したときのひずみやボイドの発生を抑制することができる。加えて、壁部319の代わりに凹部310を形成することにより、ケース部材300の製造に要する絶縁材料の量を低減することができる。
【0057】
なお、本実施の形態に係るケース3の凹部310の形状は、図5図8を参照して上述した形状に限定されない。凹部310の形状は、例えば、図11図16を参照して以下に説明するような形状のいずれかであってもよいし、いくつかの形状が組み合わされたものであってもよい。
【0058】
図11は、凹部の第1の変形例を説明する上面図である。図12は、凹部の第2の変形例を説明する上面図である。図13は、凹部の第3の変形例を説明する上面図である。図14は、凹部の第4の変形例を説明する上面図である。図15は、凹部の別の変形例を説明する側面断面図である。図16は、凹部のさらに別の変形例を説明する正面図である。図11図14は、それぞれ、ケース部材300の端子配置部306Aのうちの、凹部310の収容部320側の端部とその周辺のみを示している。図15は、図6のB-B’線で切断したケース3のうちのB-B’線よりも左側の部分の右側面視と対応する。
【0059】
図11及び図12に例示したケース3の凹部310は、上面視における収容部320側の端部に、第1の主端子370の外方端子部371及び第2の主端子350の外方端子部351の収容部320に近い端371b及び351bの位置YNよりも収容部320から遠い部分の幅W1よりも幅が広くなっている区間を有する。図11に例示した凹部310の端部は、上面視における凹部310の延伸方向(Y方向)で見た幅W1の区間の端から収容部320側に向かって連続的に幅が広くなって最大幅W2になっている。図12に例示した凹部310の端部は、上面視における凹部310の延伸方向(Y方向)で見た幅W1の区間の端において、幅W1から最大幅W2に変動している。このように、凹部310における収容部320側の端部に、互いに向かい合う第1の主端子370の外方端子部371と第2の主端子350の外方端子部351との間を通る区間の幅W1よりも広くなる区間を設けることにより、外方端子部351と外方端子部371との間の凹部310を迂回する第2の沿面距離を更に長くすることができる。
【0060】
図5及び図6、並びに図11及び図12に例示したケース3の凹部310は、収容部320側の端部が段差部311の側面311b~311dに到達している。言い換えると、上述したケース3の端子配置部306Aにおける外方端子部371が配置された上面301と外方端子部351が配置された上面301とは、凹部310により分離されている。しかしながら、凹部310は、例えば、図13に示したように、収容部320側の端部が段差部311の側面311b~311dに到達していなくてもよい。図13に例示した凹部310は、上面視における収容部320側の端部の幅W2が、互いに向かい合う第1の主端子370の外方端子部371と第2の主端子350の外方端子部351との間を通る区間の幅W1よりも広い。そのため、凹部310の収容部320側の端部が段差部311の側面311b~311dに到達していない場合でも、凹部310を迂回する第2の沿面距離を長くすることができる。
【0061】
また、外方端子部351と外方端子部371との凹部310を迂回する第2の沿面距離を長くする場合、例えば、図14に示すように、段差部311における収容部320側に突出させる部分の上面視での形状を矩形波状にしてもよい。図14には、端子配置部306Aにおける外方端子部371が配置された上面301と外方端子部351が配置された上面301とが段差部311の矩形波状の部位に沿って連続している例を示しているが、2つの上面301は凹部310により分離していてもよい。また、段差部311における矩形波状の部位は、例えば、側面311bが凹部310の第1の壁面310aを延長した面であり、側面311dが凹部310の第2の壁面310bを延長した面であってもよい。更に、図示は省略するが、段差部311における収容部320側に突出させる部分の上面視での形状は、他の形状、例えば、三角波状や円弧状であってもよい。
【0062】
図15には、互いに向かい合う外方端子部351の側面351aと外方端子部371の側面371aとの間を通る区間の深さD1と、当該区間よりも収容部320側の区間の深さD2との関係がD1>D2である凹部310を例示している。深さD1は、図7を参照して上述した凹部310の第1の壁面310a、底面310c、及び第2の壁面310bに沿った第1の沿面距離と関連付けられる深さDと対応する。一方、凹部310の延伸方向における外方端子部351及び外方端子部371の収容部320側の端部の位置YNよりも収容部320では、図6等を参照して上述したように、端子配置部306Aの凹部310を迂回する第2の沿面距離が外方端子部351及び371間の絶縁性と関連付けられる。このため、凹部310の延伸方向における位置YNよりも収容部320側の区間の凹部310の深さD2は、位置YNよりも収容部320から遠方の区間の深さD1と同一でなくてもよい。図15に例示したようにD1>D2(>0)となる凹部310を形成すると、例えば、凹部310が形成された部分におけるケース部材300(端子配置部306A)の変形を抑制することができる。なお、凹部310は、例えば、外方端子部351及び外方端子部371における収容部320から遠方の端部の位置YFよりも更に収容部320から遠方となる区間の深さを、位置YNよりも収容部320側と同様に第1の沿面距離と関連付けられる深さD1より小さくしてもよい。
【0063】
また、図15に例示したケース3では、端子配置部306Aの壁面302のうちの収容部320側に突出する突出部312は、突出部312の下端が壁面302と鈍角で接するように、上下方向(Z方向)に対して角度θだけ傾いた傾斜面312cを含んでいる。図8に例示したケース3の突出部312は、下端312bと壁面303とが直角で接している。このため、収容部320内に封止材を充填する際に、突出部312の下端312bと壁面302との接続部分に充填不良(ボイド)が生じる可能性がある。これに対し、図15に例示したケース3では、突出部312の下端部分と壁面302とが鈍角で接続するので、収容部320内に封止材を注入した際に突出部312の傾斜面312cと壁面302との接続部分に充填不良(ボイド)が生じることを抑制できる。なお、傾斜面312cの角度θは、特定の角度に限定されない。また、突出部312の傾斜面312cは、上端から下端までの全体にわたっていてもよい。また、突出部312は、例えば、収容部320側に凸の曲面状の面で構成されてもよい。
【0064】
更に、凹部310は、上端(開口端)から底面310cまで単一の幅である形状に限定されない。例えば、凹部310は、図16に示したように、上端から深さD3までは幅W1であり、深さD3から深さD4までは幅W3(<W1)となる形状であってもよい。この種の凹部310の幅は、2通りに限らず、3通り以上であってもよい。
【0065】
上述した実施の形態の半導体装置1は、特定の用途に限定されないが、冷却器9を備えた半導体装置1は、特に、高温度の環境下で使用することに適している。例えば、上述した実施の形態の半導体装置1は、車載用モータのインバータ装置等の電力変換装置に適用され得る。図17を参照して、本発明に係る半導体装置1が適用された車両について説明する。
【0066】
図17は、本発明に係る半導体装置を適用した車両の一例を示す平面模式図である。図17に示す車両1501は、例えば、4つの車輪1502を備えた四輪車で構成される。車両1501は、例えば、モータ等によって車輪を駆動させる電気自動車、モータの他に内燃機関の動力を用いたハイブリッド車であってもよい。また、半導体装置1を適用する車両は、四輪車に限らず、二輪車や鉄道車両等であってもよい。
【0067】
車両1501は、車輪1502に動力を付与する駆動部1503と、駆動部1503を制御する制御装置1504と、を備える。駆動部1503は、例えば、エンジン、モータ、エンジンとモータのハイブリッドの少なくとも1つで構成されてよい。
【0068】
制御装置1504は、駆動部1503の制御(例えば、電力制御)を実施する。制御装置1504は、上述した実施の形態の冷却器9を含む半導体装置1を備える。半導体装置1は、駆動部1503に対する電力制御を実施するように構成され得る。
【0069】
本発明に係る半導体装置1の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらに、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0070】
以下、上述した実施の形態における特徴点を整理する。
【0071】
上述した実施の形態に係る半導体装置は、配線板上に半導体素子が配置された回路板と、前記回路板が収容された収容部を有するケース部材と、各々が前記ケース部材の端子配置部に露出した外方端子部と前記ケース部材の前記収容部内で前記回路板の導体と電気的に接続された内方端子部とを有する複数の主端子と、を備え、
前記ケース部材は、前記端子配置部の前記外方端子部が配置された第1の面の平面視において前記端子配置部と前記収容部とが隣接する形状であり、
前記複数の主端子は、前記ケース部材の前記第1の面の平面視における前記端子配置部と前記収容部との境界に沿った第1の方向に所定の間隙で前記外方端子部が配置された第1の主端子と第2の主端子とを含み、
前記ケース部材の前記端子配置部は、
前記第1の面における前記第1の主端子の前記外方端子部と前記第2の主端子の前記外方端子部との間に、前記第1の面から前記第1の面とは反対側の第2の面の方向に変位し、前記第1の面の平面視において前記第1の方向とは異なる第2の方向に延伸する凹部であって、前記第2の方向における前記凹部の一方の端が、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部側に位置し、前記第2の方向における前記凹部の他方の端が、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部から遠い端部よりも前記収容部から遠方に位置する、前記凹部と、
前記収容部に面した壁面のうちの前記凹部の前記一方の端を前記第2の方向に延長した位置において前記収容部側に突出し、前記凹部と前記収容部とを隔てる突出部と、を有する。
【0072】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記ケース部材の前記端子配置部は、前記第1の面と前記収容部との間に、前記端子配置部と前記収容部との境界に沿って前記第1の面から前記第2の面とは反対の方向に突出する段差部を有し、前記段差部は、前記外方端子部側を向いた面のうちの前記凹部の前記一方の端を前記第2の方向に延長した位置が前記収容部側に変位している。
【0073】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記凹部は、前記第1の面の平面視における前記一方の端が前記段差部の前記外方端子部側を向いた面の位置に到達している。
【0074】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記凹部は、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部側に、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部から遠方となる第1の区間よりも前記第1の方向の距離が長くなる区間を有する。
【0075】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記端子配置部の前記第1の面は、前記第1の主端子の前記外方端子部が配置された領域と、前記第2の主端子の前記外方端子部が配置された領域とが、前記凹部により分離している。
【0076】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記端子配置部の前記第1の面は、前記第1の主端子の前記外方端子部が配置された領域と、前記第2の主端子の前記外方端子部が配置された領域とが、前記凹部の前記一方の端よりも前記収容部側に位置する領域を介して連続している。
【0077】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記凹部は、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部側に、前記第1の主端子の前記外方端子部及び前記第2の主端子の前記外方端子部の前記収容部に近い端部よりも前記収容部から遠方となる第1の区間よりも、前記第1の面からの深さが浅い区間を有する。
【0078】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記回路板は、前記半導体素子が前記配線板よりも前記端子配置部の前記第1の面に近い向きで前記収容部内に収容され、前記ケース部材は、前記収容部に面した壁面のうちの前記突出部により前記収容部側に突出した部分の前記第2の面に近い端が、前記配線板の前記半導体素子が配置された面よりも前記第1の面側に位置する。
【0079】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記ケース部材は、前記収容部に面した壁面のうちの前記突出部により前記収容部側に突出した部分の突出量が、前記第1の面から前記第2の面に向かうにつれて小さくなる。
【0080】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記回路板は、第1の入力端と、第2の入力端と、出力端とを有するインバータ回路が形成されており、前記第1の主端子が前記インバータ回路の前記第1の入力端と電気的に接続され、前記第2の主端子が前記インバータ回路の前記第2の入力端と電気的に接続される。
【0081】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記ケース部材は、前記収容部を挟んで前記第1の主端子及び前記第2の主端子が配置された前記端子配置部とは反対側に、前記出力端と電気的に接続される第3の主端子が配置された端子配置部を有する。
【0082】
上記実施の形態に係る半導体装置において、前記ケース部材は、前記第1の面側及び前記第2の面側が開口した中空部を前記収容部とする概略環形状である。
【0083】
上記実施の形態に係る半導体装置は、前記配線板の前記半導体素子が配置された面とは反対側の面に熱的に接続される冷却器をさらに備える。
【0084】
上述の実施の形態に係る車両は、上記実施の形態に係る半導体装置を備える。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明は、沿面距離に依存する絶縁性を確保しつつ半導体装置をより小型化することができるという効果を有し、特に、電力変換装置として用いられる産業用又は電装用の半導体装置、及び車両に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 半導体装置
2 回路板
200 配線板
210 絶縁基板
221~224 導体パターン
280A、280B 半導体素子
3 ケース
300 ケース部材
301 上面
302、303 壁面
304、305 ナット穴
306A、306B 端子配置部
308 下面
310 凹部
311 段差部
312 突出部
320 収容部
330、350、370 主端子
331、351、371 外方端子部
332、352、372 内方端子部
390、395 制御端子
410、412 スイッチング素子
411、413 ダイオード素子
5 放熱ベース
6A~6D 配線部品
7A~7C ナット
8 ボルト
9 冷却器
11 インバータ装置
1101(U)、1101(V)、1101(W) 単相インバータ回路
1102 平滑コンデンサ
1103 制御回路
1501 車両
1502 車輪
1503 駆動部
1504 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17