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特開2024-174289判定装置、判定方法および判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174289
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法および判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20241210BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241210BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H02S50/00
H02J3/00 170
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092033
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠司
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 芳久
【テーマコード(参考)】
5F251
5G066
【Fターム(参考)】
5F251EA06
5F251JA08
5F251JA27
5F251KA02
5F251KA05
5F251KA08
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムにおける発電部の異常をより正確に検知する。
【解決手段】判定装置は、太陽電池パネルにおける対象部分の発電量の大きさに基づいて設定される閾値を取得する閾値取得部と、各ストリングの出力の実績値を取得する実績値取得部と、対象ストリングの出力の前記実績値および参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出する予測値算出部と、前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出する特徴量算出部と、前記特徴量に基づく評価値と前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う判定部とを備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、
前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得する閾値取得部と、
前記各ストリングの出力の実績値を取得する実績値取得部と、
前記実績値取得部により取得された、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出する予測値算出部と、
前記予測値算出部により算出された前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づく評価値と、前記閾値取得部により取得された前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う判定部とを備える、判定装置。
【請求項2】
前記対象部分は、バイパス回路を含み、
前記閾値は、前記対象部分の出力が正常である前記太陽電池パネルを含む前記ストリングである正常ストリングの出力特性と、前記バイパス回路の短絡により前記対象部分の出力が低下している前記太陽電池パネルを含む前記ストリングである出力低下ストリングの出力特性とに基づいて設定される、請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記閾値は、第3電圧値における前記正常ストリングの出力、および前記第3電圧値における前記出力低下ストリングの出力に基づいて設定され、
前記第3電圧値は、前記正常ストリングの電力電圧特性におけるピーク電力に対応する第1電圧値よりも大きく、かつ前記出力低下ストリングの電力電圧特性におけるピーク電力に対応する第2電圧値と前記第1電圧値との差分の絶対値を前記第1電圧値に加えた値よりも小さい、請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記予測値算出部は、前記対象ストリングの出力の前記実績値、前記参照ストリングの出力の前記実績値、および前記対象ストリングの出力の前記実績値と前記参照ストリングの出力の前記実績値との比のうちの少なくともいずれか1つが所定条件を満たす時間帯の前記実績値を除外して前記予測値を算出する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、判定対象期間における複数の前記対象時刻における前記特徴量に基づく前記評価値を用いて前記判定処理を行い、
前記予測値算出部は、前記判定対象期間よりも過去の前記実績値に基づいて、前記予測値を算出する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記複数のストリングの出力の前記実績値の代表値と、前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である出力比に基づいて、前記判定処理において前記対象ストリングの出力が低下していると判定した判定結果を有効化するか否かを判断する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記実績値の複数の計測タイミングにそれぞれ対応する複数の前記出力比と、前記複数の出力比のうちの所定範囲内の前記出力比との差分が所定値以上である場合、前記判定結果を無効化する、請求項6に記載の判定装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記対象時刻以前の期間における前記出力比の低下率が所定値以上である場合、前記判定結果を無効化する、請求項6に記載の判定装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記対象時刻以降の期間における前記出力比の低下率が所定値以上である場合、前記判定結果を無効化する、請求項6に記載の判定装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記対象時刻以降の期間における複数の計測タイミングにそれぞれ対応する複数の前記出力比のうちの所定範囲内の前記出力比の増加率が所定値以上である場合、前記判定結果を無効化する、請求項6に記載の判定装置。
【請求項11】
前記判定部は、前記対象時刻を含む期間における複数の前記実績値のうちの、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を示す前記実績値、の割合が所定値以上である状態が継続する期間の長さに基づいて、前記判定処理において前記対象ストリングの出力が低下していると判定した判定結果を有効化するか否かを判断する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項12】
太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置における判定方法であって、
前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得するステップと、
前記各ストリングの出力の実績値を取得するステップと、
取得した、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出するステップと、
算出した前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出するステップと、
算出した前記特徴量に基づく評価値と、取得した前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行うステップとを含む、判定方法。
【請求項13】
太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置、において用いられる判定プログラムであって、
コンピュータを、
前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得する閾値取得部と、
前記各ストリングの出力の実績値を取得する実績値取得部と、
前記実績値取得部により取得された、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出する予測値算出部と、
前記予測値算出部により算出された前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づく評価値と、前記閾値取得部により取得された前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う判定部、
として機能させるための、判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定装置、判定方法および判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムの設備高経年化および設備数の増加、ならびに太陽光発電システムの管理者の人材不足等を背景として、太陽光発電システムの出力を自動監視するための技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2012-205078号公報)には、以下のような太陽光発電用監視システムが開示されている。すなわち、太陽光発電用監視システムは、複数の太陽電池パネルからの出力を集約して電力変換装置に送り込む太陽光発電システムについて、前記太陽電池パネルの発電状況を監視する太陽光発電用監視システムであって、前記複数の太陽電池パネルからの出力電路が集約された場所に設けられ、各太陽電池パネルの発電量を計測する計測装置と、前記計測装置に接続され、前記計測装置による発電量の計測データを送信する機能を有する下位側通信装置と、前記下位側通信装置から送信される前記計測データを受信する機能を有する上位側通信装置と、前記上位側通信装置を介して前記太陽電池パネルごとの前記計測データを収集する機能を有する管理装置とを備えている。
【0003】
また、特許文献2(国際公開第2019/187525号)には、以下のような判定装置が開示されている。すなわち、判定装置は、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、前記複数の発電部の出力電流の計測結果をそれぞれ示す複数の計測情報を取得する取得部と、前記太陽光発電システムの過積載に起因する状態の発生を検知する検知部と、前記状態が発生している場合における前記出力電流の変動に基づいて、前記出力電流に対応する前記発電部の異常を判定する判定部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-205078号公報
【特許文献2】国際公開第2019/187525号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に記載の技術を超えて、太陽光発電システムにおける発電部の異常をより正確に検知することが可能な技術が望まれる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、太陽光発電システムにおける発電部の異常をより正確に検知することが可能な判定装置、判定方法および判定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の判定装置は、太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得する閾値取得部と、前記各ストリングの出力の実績値を取得する実績値取得部と、前記実績値取得部により取得された、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出する予測値算出部と、前記予測値算出部により算出された前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出する特徴量算出部と、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づく評価値と、前記閾値取得部により取得された前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う判定部とを備える。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える判定装置として実現され得るだけでなく、判定装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、判定装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、太陽光発電システムにおける発電部の異常をより正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る太陽電池パネルの構成を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る発電状態管理システムの構成を示す図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る発電状態管理システムにおける監視装置の構成を示す図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る検知装置の構成を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部に保存されている下限閾値ThLの設定方法の一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部に保存されている上限閾値ThHの設定方法の一例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施の形態に係る検知装置が検知処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図12図12は、本開示の実施の形態に係る検知装置が主処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図13図13は、本開示の実施の形態に係る検知装置が後処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図14図14は、本開示の実施の形態に係る検知装置が後処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図15図15は、本開示の実施の形態に係る検知装置が後処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本開示の実施の形態に係る判定装置は、太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得する閾値取得部と、前記各ストリングの出力の実績値を取得する実績値取得部と、前記実績値取得部により取得された、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出する予測値算出部と、前記予測値算出部により算出された前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出する特徴量算出部と、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づく評価値と、前記閾値取得部により取得された前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う判定部とを備える。
【0013】
このように、対象ストリングの出力の予測値および実績値に基づく評価値と、太陽電池パネルにおける対象部分の発電量の大きさに基づいて設定される閾値との比較結果に基づいて、対象ストリングにおける出力低下を判定する構成により、対象部分における発電が停止した場合における対象ストリングの出力の低下率が微小な場合においても、対象部分の発電量に相当する出力低下をより正確に判定することができる。これにより、出力が低下したと判定した対象ストリングにおける対象部分に関する異常を正確に検知することができる。したがって、太陽光発電システムにおける発電部の異常をより正確に検知することができる。
【0014】
(2)上記(1)において、前記対象部分は、バイパス回路を含んでもよく、前記閾値は、前記対象部分の出力が正常である前記太陽電池パネルを含む前記ストリングである正常ストリングの出力特性と、前記バイパス回路の短絡により前記対象部分の出力が低下している前記太陽電池パネルを含む前記ストリングである出力低下ストリングの出力特性とに基づいて設定されてもよい。
【0015】
このような構成により、バイパス回路の短絡による対象部分の出力低下をより正確に検知することができる。
【0016】
(3)上記(2)において、前記閾値は、第3電圧値における前記正常ストリングの出力、および前記第3電圧値における前記出力低下ストリングの出力に基づいて設定されてもよく、前記第3電圧値は、前記正常ストリングの電力電圧特性におけるピーク電力に対応する第1電圧値よりも大きく、かつ前記出力低下ストリングの電力電圧特性におけるピーク電力に対応する第2電圧値と前記第1電圧値との差分の絶対値を前記第1電圧値に加えた値よりも小さくてもよい。
【0017】
このような構成により、バイパス回路の短絡による電力電圧特性の変化に基づいて、バイパス回路の短絡による対象ストリングの出力低下をより正確に判定することができる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記予測値算出部は、前記対象ストリングの出力の前記実績値、前記参照ストリングの出力の前記実績値、および前記対象ストリングの出力の前記実績値と前記参照ストリングの出力の前記実績値との比のうちの少なくともいずれか1つが所定条件を満たす時間帯の前記実績値を除外して前記予測値を算出してもよい。
【0019】
このような構成により、たとえば、極端な天候の時間帯および局所的な影が発生した時間帯における各ストリングの出力の実績値を除外し、対象ストリングの出力のより正確な予測値を算出することができる。
【0020】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記判定部は、判定対象期間における複数の前記対象時刻における前記特徴量に基づく前記評価値を用いて前記判定処理を行ってもよく、前記予測値算出部は、前記判定対象期間よりも過去の前記実績値に基づいて、前記予測値を算出してもよい。
【0021】
このような構成により、対象ストリングにおいて既に異常が発生している可能性がある判定対象期間よりも過去の、対象ストリングにおいて異常が発生している可能性がより低い期間における実績値に基づいて、対象ストリングの出力のより正確な予測値を算出することができる。
【0022】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記判定部は、前記複数のストリングの出力の前記実績値の代表値と、前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である出力比に基づいて、前記判定処理において前記対象ストリングの出力が低下していると判定した判定結果を有効化するか否かを判断してもよい。
【0023】
このような構成により、対象ストリングの出力の実績値と、他のストリングの出力の実績値の代表値との関係に基づいて、判定処理における判定結果の適否を判断し、誤った判定結果を無効化することができる。
【0024】
(7)上記(6)において、前記判定部は、前記実績値の複数の計測タイミングにそれぞれ対応する複数の前記出力比と、前記複数の出力比のうちの所定範囲内の前記出力比との差分が所定値以上である場合、前記判定結果を無効化してもよい。
【0025】
このような構成により、対象部分の発電量に相当する出力低下が発生したと判定した対象ストリングの出力低下を、影の影響によるものであると判断し、判定処理における判定結果を無効化することができる。
【0026】
(8)上記(6)または(7)において、前記判定部は、前記対象時刻以前の期間における前記出力比の低下率が所定値以上である場合、前記判定結果を無効化してもよい。
【0027】
このような構成により、対象部分の発電量に相当する出力低下が発生したと判定した対象ストリングの出力低下が、判定タイミングの前から進行している場合において、当該出力低下は影の影響によるものであると判断し、判定処理における判定結果を無効化することができる。
【0028】
(9)上記(6)から(8)のいずれかにおいて、前記判定部は、前記対象時刻以降の期間における前記出力比の低下率が所定値以上である場合、前記判定結果を無効化してもよい。
【0029】
このような構成により、対象部分の発電量に相当する出力低下が発生したと判定した対象ストリングの出力低下が、判定タイミング以降において進行した場合において、当該出力低下は影の影響によるものであると判断し、判定処理における判定結果を無効化することができる。
【0030】
(10)上記(6)から(9)のいずれかにおいて、前記判定部は、前記対象時刻以降の期間における複数の計測タイミングにそれぞれ対応する複数の前記出力比のうちの所定範囲内の前記出力比の増加率が所定値以上である場合、前記判定結果を無効化してもよい。
【0031】
このような構成により、対象部分の発電量に相当する出力低下が発生したと判定した対象ストリングの出力が、判定タイミング以降において増加した場合において、対象部分の不具合が解消されたと判断し、判定処理における判定結果を無効化することができる。
【0032】
(11)上記(1)から(10)のいずれかにおいて、前記判定部は、前記対象時刻を含む期間における複数の前記実績値のうちの、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を示す前記実績値、の割合が所定値以上である状態が継続する期間の長さに基づいて、前記判定処理において前記対象ストリングの出力が低下していると判定した判定結果を有効化するか否かを判断してもよい。
【0033】
このような構成により、対象部分の発電量に相当する出力低下が発生したと判定した判定タイミングの前後における、対象ストリングの出力の実績値の推移に基づいて、判定処理における判定結果の適否を判断し、誤った判定結果を無効化することができる。
【0034】
(12)本開示の実施の形態に係る判定方法は、太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置における判定方法であって、前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得するステップと、前記各ストリングの出力の実績値を取得するステップと、取得した、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出するステップと、算出した前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出するステップと、算出した前記特徴量に基づく評価値と、取得した前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行うステップとを含む。
【0035】
このように、対象ストリングの出力の予測値および実績値に基づく評価値と、太陽電池パネルにおける対象部分の発電量の大きさに基づいて設定される閾値との比較結果に基づいて、対象ストリングにおける出力低下を判定する方法により、対象部分における発電が停止した場合における対象ストリングの出力の低下率が微小な場合においても、対象部分の発電量に相当する出力低下をより正確に判定することができる。これにより、出力が低下したと判定した対象ストリングにおける対象部分に関する異常を正確に検知することができる。したがって、太陽光発電システムにおける発電部の異常をより正確に検知することができる。
【0036】
(13)本開示の実施の形態に係る判定プログラムは、太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置、において用いられる判定プログラムであって、コンピュータを、前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得する閾値取得部と、前記各ストリングの出力の実績値を取得する実績値取得部と、前記実績値取得部により取得された、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出する予測値算出部と、前記予測値算出部により算出された前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出する特徴量算出部と、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づく評価値と、前記閾値取得部により取得された前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う判定部、として機能させるためのプログラムである。
【0037】
このように、対象ストリングの出力の予測値および実績値に基づく評価値と、太陽電池パネルにおける対象部分の発電量の大きさに基づいて設定される閾値との比較結果に基づいて、対象ストリングにおける出力低下を判定する構成により、対象部分における発電が停止した場合における対象ストリングの出力の低下率が微小な場合においても、対象部分の発電量に相当する出力低下をより正確に判定することができる。これにより、出力が低下したと判定した対象ストリングにおける対象部分に関する異常を正確に検知することができる。したがって、太陽光発電システムにおける発電部の異常をより正確に検知することができる。
【0038】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0039】
<構成および基本動作>
[太陽光発電システムの構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
【0040】
図1を参照して、太陽光発電システム401は、4つのPCS(Power Conditioning System)ユニット80と、キュービクル6とを備える。キュービクル6は、銅バー73を含む。
【0041】
図1では、4つのPCSユニット80を代表的に示しているが、さらに多数または少数のPCSユニット80が設けられてもよい。
【0042】
図2は、本開示の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
【0043】
図2を参照して、PCSユニット80は、4つの集電ユニット60と、PCS8とを備える。PCS8は、銅バー7と、電力変換部9とを含む。
【0044】
図2では、4つの集電ユニット60を代表的に示しているが、さらに多数または少数の集電ユニット60が設けられてもよい。
【0045】
図3は、本開示の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
【0046】
図3を参照して、集電ユニット60は、4つの太陽電池ユニット75と、集電箱71とを含む。集電箱71は、銅バー72を有する。
【0047】
図3では、4つの太陽電池ユニット75を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池ユニット75が設けられてもよい。
【0048】
図4は、本開示の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
【0049】
図4を参照して、太陽電池ユニット75は、4つの発電部78と、接続箱76とを含む。発電部78は、太陽電池パネル79を有する。接続箱76は、銅バー77を有する。
【0050】
図4では、4つの発電部78を代表的に示しているが、さらに多数または少数の発電部78が設けられてもよい。
【0051】
発電部78は、この例では14個の太陽電池パネル79が直列接続されたストリングである。なお、1つの発電部78において、さらに多数または少数の太陽電池パネル79が設けられてもよい。
【0052】
太陽光発電システム401では、複数の発電部78からの出力ライン1および集約ライン2,5すなわち電力線が、図2に示すPCS8に電気的に接続される。
【0053】
PCS8において、電力変換部9は、たとえば、各発電部78において発電された直流電力を出力ライン1、銅バー77、集約ライン5、銅バー72、集約ライン2、銅バー7および内部ライン3経由で受けると、受けた直流電力を交流電力に変換して集約ライン4へ出力する。
【0054】
集約ライン4は、電力変換部9に接続された第1端と、銅バー73に接続された第2端とを有する。
【0055】
キュービクル6において、各PCS8における電力変換部9から各集約ライン4へ出力された交流電力は、銅バー73を介して系統へ出力される。
【0056】
図5は、本開示の実施の形態に係る太陽電池パネルの構成を示す図である。図5における矢印は、太陽電池パネル79を通して流れる電流の向きを示している。
【0057】
図5を参照して、太陽電池パネル79は、クラスタ92A,92B,92Cを含む。クラスタ92Aは、バイパスダイオード93Aと、複数の太陽電池セル91とを有する。クラスタ92Bは、バイパスダイオード93Bと、複数の太陽電池セル91とを有する。クラスタ92Cは、バイパスダイオード93Cと、複数の太陽電池セル91とを有する。以下、クラスタ92A,92B,92Cの各々をクラスタ92とも称し、バイパスダイオード93A,93B,93Cの各々をバイパスダイオード93とも称する。クラスタ92は、対象部分の一例である。バイパスダイオード93は、バイパス回路の一例である。太陽電池パネル79における複数の太陽電池セル91は、直列接続される。
【0058】
バイパスダイオード93Cのアノードは、クラスタ92Cにおける太陽電池セル91の直列回路の第1端と、電流の向きにおいて上流側の隣接する太陽電池パネル79との間のノードN6に接続される。バイパスダイオード93Cのカソードは、上記直列回路の第2端とクラスタ92Bとの間のノードN5に接続される。
【0059】
バイパスダイオード93Bのアノードは、クラスタ92Bにおける太陽電池セル91の直列回路の第1端とノードN5との間のノードN4に接続される。バイパスダイオード93Bのカソードは、上記直列回路の第2端とクラスタ92Aとの間のノードN3に接続される。
【0060】
バイパスダイオード93Aのアノードは、クラスタ92Aにおける複数の太陽電池セル91の直列回路の第1端とノードN3との間のノードN2に接続される。バイパスダイオード93Aのカソードは、直列回路の第2端と、電流の向きにおいて下流側の隣接する太陽電池パネル79との間のノードN1に接続される。
【0061】
[発電状態管理システムの構成]
図6は、本開示の実施の形態に係る発電状態管理システムの構成を示す図である。
【0062】
図6を参照して、発電状態管理システム301は、太陽光発電システム401に用いられる。発電状態管理システム301は、検知装置101と、複数の監視装置111と、複数の収集装置151とを含む。検知装置101は、判定装置の一例である。
【0063】
図6では、1つの集電ユニット60に対応して設けられた4つの監視装置111を代表的に示しているが、1つの集電ユニット60に対応してさらに多数または少数の監視装置111が設けられてもよい。
【0064】
発電状態管理システム301では、子機である監視装置111におけるセンサの情報が、親機である収集装置151へ定期的または不定期に伝送される。
【0065】
監視装置111は、たとえば集電ユニット60に設けられている。より詳細には、監視装置111は、4つの太陽電池ユニット75にそれぞれ対応して4つ設けられている。各監視装置111は、たとえば、対応の出力ライン1および集約ライン5に電気的に接続されている。
【0066】
監視装置111は、対応の太陽電池ユニット75における発電部78を監視する。たとえば、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット75における各出力ライン1の電流をセンサにより計測する。また、たとえば、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット75における出力ライン1の電圧をセンサにより計測する。
【0067】
収集装置151は、監視装置111による計測結果を示す計測情報を収集する。収集装置151は、たとえばPCS8の近傍に設けられている。より詳細には、収集装置151は、PCSユニット80に対応して設けられ、導線46を介してPCS8における銅バー7に電気的に接続されている。収集装置151は、対応のPCSユニット80における集電ユニット60に設けられた複数の監視装置111から計測情報を収集する。
【0068】
監視装置111および収集装置151は、集約ライン2,5を介して電力線通信(PLC:Power Line Communication)を行うことにより情報の送受信を行う。
【0069】
より詳細には、各監視装置111は、対応の出力ライン1の電流および電圧を計測し、計測結果を含む計測情報を生成する。各監視装置111は、生成した計測情報を集約ライン2,5経由で収集装置151へ送信する
【0070】
収集装置151は、集約ライン2,5経由で監視装置111と電力線通信を行い、監視装置111から計測情報を受信する。
【0071】
収集装置151は、監視装置111から受信した計測情報を、たとえばVPN(Virtual Private Network)を介して、検知装置101へ送信する。
【0072】
[監視装置の構成]
図7は、本開示の実施の形態に係る発電状態管理システムにおける監視装置の構成を示す図である。図7では、接続箱76の内部がより詳細に示されている。
【0073】
図7を参照して、出力ライン1の各々は、プラス側出力ライン1pと、マイナス側出力ライン1nとを含む。集約ライン5は、プラス側集約ライン5pと、マイナス側集約ライン5nとを含む。銅バー77は、プラス側銅バー77pと、マイナス側銅バー77nとを含む。
【0074】
図示しないが、図3に示す集電箱71における銅バー72は、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nにそれぞれ対応して、プラス側銅バー72pおよびマイナス側銅バー72nを含む。
【0075】
プラス側出力ライン1pは、対応の発電部78に接続された第1端と、プラス側銅バー77pに接続された第2端とを有する。マイナス側出力ライン1nは、対応の発電部78に接続された第1端と、マイナス側銅バー77nに接続された第2端とを有する。
【0076】
プラス側集約ライン5pは、プラス側銅バー77pに接続された第1端と、集電箱71におけるプラス側銅バー72pに接続された第2端とを有する。マイナス側集約ライン5nは、マイナス側銅バー77nに接続された第1端と、集電箱71におけるマイナス側銅バー72nに接続された第2端とを有する。
【0077】
監視装置111は、取得部11と、通信部14と、4つの電流センサ16と、電圧センサ17とを備える。なお、監視装置111は、出力ライン1の数に応じて、さらに多数または少数の電流センサ16を備えてもよく、たとえば20個の電流センサ16を備えてもよい。
【0078】
監視装置111は、たとえば、発電部78の近傍に設けられている。具体的には、監視装置111は、たとえば、計測対象の出力ライン1が接続された銅バー77が設けられた接続箱76の内部に設けられている。なお、監視装置111は、接続箱76の外部に設けられてもよい。
【0079】
監視装置111は、たとえば、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nとそれぞれプラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nを介して電気的に接続されている。以下、プラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nの各々を、電源線26とも称する。
【0080】
電流センサ16は、たとえば、発電部78とPCS8との間に接続されるホール素子タイプの電流プローブである。電流センサ16は、対応のマイナス側出力ライン1nを通して流れる電流Cを計測する。電流センサ16は、電流Cに応じたレベルの信号を取得部11へ出力する。なお、電流センサ16は、プラス側出力ライン1pを通して流れる電流Cを計測してもよい。
【0081】
電圧センサ17は、プラス側銅バー77pおよびマイナス側銅バー77n間の電圧Vを計測する。電圧センサ17は、電圧Vに応じたレベルの信号を取得部11へ出力する。
【0082】
取得部11は、発電部78の出力の計測結果を取得する。より詳細には、取得部11は、発電部78の出力の計測結果として、電流センサ16による電流Cの計測結果および電圧センサ17による電圧Vの計測結果を取得する。取得部11は、たとえば8時から16時までの計測期間Pmにおいて、各電流センサ16から出力される信号に基づいて、各電流センサ16による電流Cの計測値である電流計測値CMtmを取得する。また、取得部11は、計測期間Pmにおいて、電圧センサ17から出力される信号に基づいて、電圧センサ17による電圧Vの計測値である電圧計測値VMtmを取得する。
【0083】
取得部11は、所定の計測周期Cmに従う計測時刻tmごとに、各電流センサ16による電流計測値CMtmおよび電圧センサ17による電圧計測値VMtmを取得し、取得した電流計測値CMtmおよび電圧計測値VMtmと、計測時刻tmと、4つの電流センサ16および電圧センサ17の各々のIDとを含む計測情報を生成し、生成した計測情報を通信部14へ出力する。計測時刻tmは、対象時刻の一例である。計測周期Cmは、たとえば10分である。
【0084】
通信部14は、集約ライン2,5を介して収集装置151と電力線通信を行うことが可能である。通信部14は、取得部11から計測情報を受けるたびに、受けた計測情報に監視装置111のIDを含めて、PCS8経由で収集装置151へ送信する。
【0085】
収集装置151は、対応のPCSユニット80における集電ユニット60に設けられた各監視装置111から計測情報を受信するたびに、各監視装置111から受信した計測情報と、当該収集装置151のIDとを含む収集情報を生成し、生成した収集情報を検知装置101へ送信する。
【0086】
検知装置101は、各収集装置151から収集情報を受信する。たとえば、検知装置101は、受信した収集情報に基づいて、太陽光発電システム401における発電部78の異常を検知する検知処理を行う。
【0087】
[課題]
再び図5を参照して、太陽光発電システム401では、クラスタ92における太陽電池セル91が高抵抗化または影の影響により出力低下した場合、当該クラスタ92におけるバイパスダイオード93が短絡することにより発電電流の迂回路が形成される。バイパスダイオード93は、短絡した状態が継続することにより開放故障に至る場合がある。この場合、高抵抗化または断線した太陽電池セル91が発熱し、火災が生じる場合がある。クラスタ92の火災を防ぐために、バイパスダイオード93の開放故障に至る前に、バイパスダイオード93の短絡が長期間維持されている状態を太陽光発電システム401における発電部78の異常として検知することが可能な技術が望まれる。
【0088】
ここで、落雷時を除けば、1つの発電部78において複数のクラスタ92が同時に故障することは稀であり、クラスタ92が単独で故障する場合が多い。たとえば、14個の太陽電池パネル79が直列接続された発電部78において、1つのクラスタ92におけるバイパスダイオード93が短絡した場合、当該発電部78の発電量は、約2.38%低下する。また、20個の太陽電池パネル79が直列接続された発電部78において、1つのクラスタ92におけるバイパスダイオード93が短絡した場合、当該発電部78の発電量は、約1.67%低下する。
【0089】
このように、1つのバイパスダイオード93の短絡が発生した場合における発電部78の発電量の低下率は微小であるので、特許文献1および2に記載の技術では、バイパスダイオード93の短絡を検知することは容易ではない。また、影の影響により太陽電池セル91が出力低下した場合におけるバイパスダイオード93の短絡は一時的であるところ、バイパスダイオード93の短絡が長期間維持されている状態を、影の影響による一時的な短絡と区別して検知することは容易ではない。
【0090】
また、特許文献2に記載の技術では、出力抑制が行われていない状態では、発電部78における異常を検知することができない。
【0091】
そこで、本開示の実施の形態に係る検知装置101は、以下のような構成により、上記の課題を解決する。
【0092】
[検知装置の構成]
図8は、本開示の実施の形態に係る検知装置の構成を示す図である。図8を参照して、検知装置101は、取得部31と、処理部32と、記憶部33とを備える。取得部31は、実績値取得部の一例である。処理部32は、閾値取得部の一例であり、予測値算出部の一例であり、特徴量算出部の一例であり、かつ判定部の一例である。取得部31および処理部32の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部33は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0093】
たとえば、検知装置101の機能の一部または全部は、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、検知装置101は、複数のクラウドサーバ等によって構成され得る。なお、検知装置101は、たとえば収集装置151に内蔵されてもよい。
【0094】
記憶部33には、収集装置151のIDと、監視装置111のIDと、電流センサ16のIDと、電圧センサ17のIDと、発電部78のIDと、太陽電池ユニット75のIDと、PCS8との対応関係を示す対応テーブルTb1が保存されている。以下、収集装置151のIDを「収集装置ID」とも称し、監視装置111のIDを「監視装置ID」とも称し、電流センサ16のIDを「電流センサID」とも称し、電圧センサ17のIDを「電圧センサID」とも称し、発電部78のIDを「発電部ID」とも称し、太陽電池ユニット75のIDを「太陽電池ユニットID」とも称する。
【0095】
また、記憶部33は、発電部IDと、フラグF1,F2,F3との対応関係を示すフラグ情報FRを記憶している。フラグF1は、クラスタ92の発電量に相当する出力低下が生じているか否かを示す出力低下フラグである。フラグF2は、発電部78の異常の疑いがあるか否かを示す仮判定フラグである。フラグF3は、発電部78の異常が生じているか否かを示す異常判定フラグである。フラグ情報FRにおけるフラグF1,F2,F3は、初期状態においてオフであり、処理部32によりオフおよびオンを切り替えられる。
【0096】
また、記憶部33は、後述する判定処理に用いられる閾値Thとして、下限閾値ThLおよび上限閾値ThHを記憶している。閾値Thは、太陽電池パネル79におけるクラスタ92の出力の大きさに基づいて予め設定される。
【0097】
たとえば、閾値Thは、クラスタ92の出力が正常である太陽電池パネル79を含む発電部78である正常ストリングの出力特性と、バイパスダイオード93の短絡によりクラスタ92の出力が低下している太陽電池パネル79を含む発電部78である出力低下ストリングの出力特性とに基づいて設定される。ここで、出力低下ストリングは、3つのうちの1つのクラスタ92におけるバイパスダイオード93が短絡している太陽電池パネル79を1つ含むものとする。
【0098】
図9は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部に保存されている下限閾値ThLの設定方法の一例を示す図である。図9において、横軸は電圧[V]であり、縦軸は電力[W]である。図9における実線は、正常ストリングのPVカーブCpv1および出力低下ストリングのPVカーブCpv2を示している。PVカーブCpv1,Cpv2は、電力電圧特性の一例である。
【0099】
図9を参照して、下限閾値ThLは、電圧値Vp3における正常ストリングの出力電力Wa1、および電圧値Vp3における出力低下ストリングの出力電力Wa2に基づいて設定される。より詳細には、下限閾値ThLは、PVカーブCpv2において電圧値Vp3に対応する出力電力Wa2を、PVカーブCpv1において電圧値Vp3に対応する出力電力Wa1で除した値に設定される。ここで、電圧値Vp3は、PVカーブCpv1におけるピーク電力に対応する電圧値Vp1よりも大きく、かつPVカーブCpv2におけるピーク電力に対応する電圧値Vp2と電圧値Vp1との差分Vdifの絶対値を電圧値Vp1に加えた電圧値Vp4よりも小さい電圧値である。電圧値Vp1は第1電圧値の一例であり、電圧値Vp2は第2電圧値の一例であり、電圧値Vp3は第3電圧値の一例である。
【0100】
図10は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部に保存されている上限閾値ThHの設定方法の一例を示す図である。図10の見方は図9と同じである。
【0101】
図10を参照して、上限閾値ThHは、電圧値Vp2における正常ストリングの出力電力Wb1、および電圧値Vp2における出力低下ストリングの出力電力Wb2に基づいて設定される。より詳細には、上限閾値ThHは、PVカーブCpv2において電圧値Vp2に対応する出力電力Wb2を、PVカーブCpv1において電圧値Vp2に対応する出力電力Wb1で除した値に設定される。
【0102】
なお、閾値Thは、クラスタ92の発電電流の大きさに基づいて予め設定されてもよい。すなわち、下限閾値ThLおよび上限閾値ThHは、PVカーブCpv1,Cpv2の代わりに、正常ストリングのIVカーブおよび出力低下ストリングのIVカーブに基づいて設定されてもよい。
【0103】
(取得部)
再び図8を参照して、取得部31は、発電部78の出力の実績値を取得する。たとえば、取得部31は、発電部78の出力の実績値として、電流計測値CMtmを取得する。より詳細には、取得部31は、VPN経由で各収集装置151から収集情報を受信する。取得部31は、受信した収集情報を記憶部33に保存する。
【0104】
たとえば、取得部31は、当日の計測期間Pmの終了時刻が到来すると、記憶部33における対応テーブルTb1および当日の計測期間Pmに受信した収集情報に基づいて、当日の計測期間Pmにおける計測時刻tmと、計測時刻tmにおける電流計測値CMtmとの対応関係を示す時系列データである電流データDcを生成する。取得部31は、発電部78ごとに電流データDcを生成し、生成した電流データDcを発電部IDおよび太陽電池ユニットIDと対応付けて記憶部33に保存する。
【0105】
また、たとえば、取得部31は、発電部78の出力の実績値として、発電部78の発電電力Pの実績値である電力実績値PMtmを取得する。より詳細には、取得部31は、記憶部33における対応テーブルTb1および当日の計測期間Pmに受信した収集情報に基づいて、計測時刻tmにおける電流計測値CMtmと、当該計測時刻tmにおける電圧計測値VMtmとを乗じることにより、当該計測時刻tmにおける発電部78の電力実績値PMtmを算出する。取得部31は、計測時刻tmごとの電力実績値PMtmを算出し、当日の計測期間Pmにおける計測時刻tmと、電力実績値PMtmとの対応関係を示す時系列データである電力データDpを生成する。取得部31は、発電部78ごとに電力データDpを生成し、生成した電力データDpを発電部IDおよび太陽電池ユニットIDと対応付けて記憶部33に保存する。
【0106】
(処理部)
処理部32は、発電部78の異常を検知する検知処理を行う。より詳細には、処理部32は、発電部78におけるバイパスダイオード93の短絡が長期間維持されている状態を、当該発電部78の異常として検知する。たとえば、処理部32は、1日ごとに、太陽光発電システム401におけるすべての発電部78について、順繰りに検知処理を行う。以下では、処理部32における1つの発電部78についての検知処理の詳細について説明する。また、処理部32による検知処理の対象の発電部78を、対象発電部78とも称する。対象発電部78は、対象ストリングの一例である。
【0107】
たとえば、処理部32は、対象発電部78についての検知処理において、後述する前処理および主処理を実行するか、または後述する後処理を実行する。より詳細には、処理部32は、取得部31により記憶部33に当日の各発電部78の電力データDpが保存されると、記憶部33におけるフラグ情報FRを参照して、対象発電部78のフラグF1,F2,F3を確認する。処理部32は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3がすべてオフである場合、当該対象発電部78についての後処理を行わない一方で、当該対象発電部78についての前処理および主処理を行う。一方、処理部32は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3のいずれか1つがオンである場合、当該対象発電部78についての前処理および主処理を行わない一方で、当該対象発電部78についての後処理を行う。
【0108】
(1)前処理
処理部32は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3がすべてオフである場合、所定長の算出対象期間PT1における対象発電部78の電力データDpと、当日の対象発電部78の電力データDpとを記憶部33から取得する。算出対象期間PT1は、後述する判定対象期間PT2よりも過去の期間であり、たとえば当日の2か月前から当日の1か月前までの期間である。
【0109】
また、処理部32は、記憶部33における対応テーブルTb1を参照して、対象発電部78と同じ太陽電池ユニット75に含まれる発電部78である参照発電部78を特定する。当該太陽電池ユニット75は、対象発電部78と、参照発電部78である参照発電部78A,78B,78Cを含むものとする。処理部32は、参照発電部78A,78B,78Cを特定すると、算出対象期間PT1における参照発電部78A,78B,78Cの電力データDpと、当日の参照発電部78A,78B,78Cの電力データDpとを記憶部33から取得する。参照発電部78は、参照ストリングの一例である。
【0110】
(2)主処理
(2-1)電力予測値PAtmの算出
処理部32は、対象発電部78の電力実績値PMtm、および参照発電部78の電力実績値PMtmに基づいて、計測時刻tmにおける対象発電部78の発電電力Pの予測値である電力予測値PAtmを算出する。
【0111】
たとえば、処理部32は、対象発電部78の電力実績値PMtm、参照発電部78の電力実績値PMtm、および対象発電部78の電力実績値PMtmと参照発電部78の電力実績値PMtmとの比のうちの少なくともいずれか1つが所定条件を満たす時間帯の電力実績値PMtmを除外して電力予測値PAtmを算出する。
【0112】
より詳細には、処理部32は、対象発電部78および参照発電部78の電力データDpに基づいて、対象発電部78および参照発電部78のうちの少なくともいずれか1つの発電部78に対応する電力実績値PMtmが定格電力の25%以下である低日射時間帯と、対象発電部78および参照発電部78のうちの少なくともいずれか1つの発電部78に対応する電力実績値PMtmが定格電力の75%以上である高日射時間帯とを検出する。また、処理部32は、対象発電部78および参照発電部78の電力データDpに基づいて、対象発電部78に対応する電力実績値PMtmと、参照発電部78のうちの少なくともいずれか1つに対応する電力実績値PMtmとの比が80%未満であるか、または120%よりも大きい時間帯である影時間帯を検出する。そして、処理部32は、検出した低日射時間帯、高日射時間帯および影時間帯を、除外時間帯として設定する。
【0113】
処理部32は、対象発電部78および参照発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmのうちの、除外時間帯を除く時間帯の電力実績値PMtmを抽出する抽出処理を行う。
【0114】
処理部32は、抽出処理において抽出した電力実績値PMtmのうちの、算出対象期間PT1における電力実績値PMtmを用いて、統計的手法、機械学習手法または深層学習手法に従い、当日の計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtmを算出するための、原点を通る一次回帰式である推定式FMを生成する。処理部32は、生成した推定式FMおよび当日の参照発電部78の電力実績値PMtmを用いて、当日の対象発電部78の電力予測値PAtmを算出する。
【0115】
より詳細には、処理部32は、算出対象期間PT1における対象発電部78および参照発電部78Aの電力実績値PMtmを用いて、推定式FMである推定式FM1を生成する。そして、処理部32は、生成した推定式FM1に、当日の計測時刻tmにおける参照発電部78Aの電力実績値PMtmを代入することにより、当日の計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtmである電力予測値PAtm1を算出する。
【0116】
また、処理部32は、算出対象期間PT1における対象発電部78および参照発電部78Bの電力実績値PMtmを用いて、推定式FMである推定式FM2を生成する。そして、処理部32は、生成した推定式FM2に、当日の計測時刻tmにおける参照発電部78Bの電力実績値PMtmを代入することにより、当日の計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtmである電力予測値PAtm2を算出する。
【0117】
また、処理部32は、算出対象期間PT1における対象発電部78および参照発電部78Cの電力実績値PMtmを用いて、推定式FMである推定式FM3を生成する。そして、処理部32は、生成した推定式FM3に、当日の計測時刻tmにおける参照発電部78Cの電力実績値PMtmを代入することにより、当日の計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtmである電力予測値PAtm3を算出する。
【0118】
なお、処理部32は、当日のすべての計測時刻tmが除外時間帯の時刻であり、抽出処理において当日の計測時刻tmの電力実績値PMtmが抽出されなかった場合、推定式FMの生成および当日の対象発電部78の電力予測値PAtmの算出を行わない。
【0119】
(2-2)平均特徴量FVavの算出
処理部32は、計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtmと、計測時刻tmにおける対象発電部78の電力実績値PMtmとの比である特徴量FVを算出する。
【0120】
より詳細には、処理部32は、当日の計測時刻tmにおける対象発電部78の電力実績値PMtmを、当該計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtm1で除することにより、計測時刻tmごとの特徴量FV1を算出する。特徴量FV1は、参照発電部78Aの電力実績値PMtmを用いて算出される特徴量FVである。
【0121】
また、処理部32は、当日の計測時刻tmにおける対象発電部78の電力実績値PMtmを、当該計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtm2で除することにより、計測時刻tmごとの特徴量FV2を算出する。特徴量FV2は、参照発電部78Bの電力実績値PMtmを用いて算出される特徴量FVである。
【0122】
また、処理部32は、当日の計測時刻tmにおける対象発電部78の電力実績値PMtmを、当該計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtm3で除することにより、計測時刻tmごとの特徴量FV3を算出する。特徴量FV3は、参照発電部78Cの電力実績値PMtmを用いて算出される特徴量FVである。
【0123】
処理部32は、当日の計測時刻tmごとの特徴量FV1を算出すると、当日の各計測時刻tmの特徴量FV1の平均値である平均特徴量FVav1を算出し、算出した平均特徴量FVav1を記憶部33に保存する。
【0124】
また、処理部32は、当日の計測時刻tmごとの特徴量FV2を算出すると、当日の各計測時刻tmの特徴量FV2の平均値である平均特徴量FVav2を算出し、算出した平均特徴量FVav2を記憶部33に保存する。
【0125】
また、処理部32は、当日の計測時刻tmごとの特徴量FV3を算出すると、当日の各計測時刻tmの特徴量FV3の平均値である平均特徴量FVav3を算出し、算出した平均特徴量FVav3を記憶部33に保存する。以下、平均特徴量FVav1,FVav2,FVav3の各々を平均特徴量FVavとも称する。
【0126】
なお、処理部32は、当日のすべての計測時刻tmが除外時間帯の時刻であり、抽出処理において当日の計測時刻tmの電力実績値PMtmが抽出されなかった場合、平均特徴量FVavの算出および記憶部33への保存を行わない。
【0127】
(2-3)判定処理
処理部32は、所定長の判定対象期間PT2における複数の計測時刻tmにおける特徴量FVに基づく評価値RVを算出し、算出した評価値RVを用いて判定処理を行う。判定対象期間PT2は、たとえば直近の7日間である。
【0128】
より詳細には、処理部32は、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav1が3つ以上記憶部33に保存されている場合、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav1の平均値を評価値RV1として算出する。評価値RV1は、参照発電部78Aの電力実績値PMtmを用いて算出される評価値RVである。なお、処理部32は、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav1が3つ未満である場合、評価値RV1の算出を行わない。
【0129】
また、処理部32は、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav2が3つ以上記憶部33に保存されている場合、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav2の平均値を評価値RV2として算出する。評価値RV2は、参照発電部78Bの電力実績値PMtmを用いて算出される評価値RVである。なお、処理部32は、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav2が3つ未満である場合、評価値RV2の算出を行わない。
【0130】
また、処理部32は、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav3が3つ以上記憶部33に保存されている場合、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav3の平均値を評価値RV3として算出する。評価値RV3は、参照発電部78Cの電力実績値PMtmを用いて算出される評価値RVである。なお、処理部32は、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav3が3つ未満である場合、評価値RV3の算出を行わない。
【0131】
処理部32は、評価値RVを算出すると、記憶部33から下限閾値ThLおよび上限閾値ThHを取得する。そして、処理部32は、算出した評価値RVと、取得した下限閾値ThLおよび上限閾値ThHとの比較結果に基づいて、対象発電部78における、クラスタ92の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う。
【0132】
たとえば、処理部32は、参照発電部78ごとに算出した複数の評価値RVのうちの半数以上の評価値RVが、下限閾値ThL以上であり、かつ上限閾値ThH以下である場合、対象発電部78においてクラスタ92の発電量相当の出力低下が生じていると判定する。
【0133】
より詳細には、処理部32は、評価値RV1,RV2,RV3のうちのいずれか2つ以上の評価値RVが、下限閾値ThL以上であり、かつ上限閾値ThH以下である場合、対象発電部78においてクラスタ92の発電量相当の出力低下が生じていると判定する。一方、処理部32は、下限閾値ThL以上であり、かつ上限閾値ThH以下である評価値RVが2つ未満である場合、対象発電部78においてクラスタ92の発電量相当の出力低下が生じていないと判定する。
【0134】
処理部32は、対象発電部78においてクラスタ92の発電量相当の出力低下が生じていると判定した場合、記憶部33におけるフラグ情報FRにおける対象発電部78のフラグF1を、オフからオンに切り替える。
【0135】
(3)後処理
(3-1)フラグF1についての後処理
処理部32は、対象発電部78のフラグF1がオンである場合、所定長の監視対象期間PT3における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する。監視対象期間PT3は、たとえば当日の2か月前から当日までの期間である。
【0136】
また、処理部32は、記憶部33におけるフラグ情報FRおよび対応テーブルTb1を参照して、対象発電部78と同じPCS8に接続されており、かつフラグF1,F2,F3がすべてオフである複数の発電部78の、監視対象期間PT3における電力データDpである参照電力データDpRを記憶部33からそれぞれ取得する。
【0137】
処理部32は、取得した複数の参照電力データDpRを用いて、対象発電部78と同じPCS8に接続されている複数の発電部78の出力の代表値を算出する。より詳細には、処理部32は、当該代表値として、当該複数の参照電力データDpRに含まれる電力実績値PMtmの、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの中央値MEDtmを算出する。なお、処理部32は、代表値として、中央値MEDtmの代わりに、複数の参照電力データDpRに含まれる電力実績値PMtmの、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの最大値、第一四分位数、または第三四分位数等の他の値を算出する構成であってもよい。
【0138】
処理部32は、中央値MEDtmと、対象発電部78の電力実績値PMtmとの比である出力比R1tmに基づいて、判定処理において対象発電部78の出力が低下していると判定した判定結果を有効化するか否かを判断する。
【0139】
より詳細には、処理部32は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとに、対象発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、中央値MEDtmで除した値である出力比R1tmを算出する。処理部32は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの出力比R1tmに基づいて、対象発電部78のフラグF1のオンを維持するか否かを判断する判断処理を行う。
【0140】
(3-1-1)判断処理1
処理部32は、複数の計測時刻tmにそれぞれ対応する複数の出力比R1tmと、当該複数の出力比R1tmのうちの所定範囲内の出力比R1tmとの差分が所定値以上である場合、判定処理において対象発電部78の出力が低下していると判定した判定結果を無効化する。
【0141】
より詳細には、処理部32は、算出したすべての出力比R1tmを、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R1tmである出力比R1Aamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R1tmである出力比R1Apmと、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R1tmである出力比R1Bamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R1tmである出力比R1Bpmとに分類する。たとえば、数値範囲RgAは、0.1以上であり、かつ10以下の範囲である。また、たとえば、数値範囲RgBは、0.8以上であり、かつ1.2以下の範囲である。処理部32は、数値範囲RgAと数値範囲RgBとの重複範囲における午前の計測時刻tmに対応する出力比R1tmについては、出力比R1Aamおよび出力比R1Bamの両方に分類する。また、数値範囲RgAと数値範囲RgBとの重複範囲における午後の計測時刻tmに対応する出力比R1tmについては、出力比R1Apmおよび出力比R1Bpmの両方に分類する。
【0142】
処理部32は、分類した複数の出力比R1Aamを、1日分の計測時刻tmに対応する出力比R1Aamずつ足し込み処理および刈り込み処理を行うことにより、異常値および外れ値が除外された出力比R1Aamである100個の出力比R1A1を抽出する。
【0143】
また、処理部32は、分類した複数の出力比R1Apmを、1日分の計測時刻tmに対応する出力比R1Apmずつ足し込み処理および刈り込み処理を行うことにより、異常値および外れ値が除外された出力比R1Apmである100個の出力比R1A2を抽出する。
【0144】
また、処理部32は、分類した複数の出力比R1Bamを、1日分の計測時刻tmに対応する出力比R1Bamずつ足し込み処理および刈り込み処理を行うことにより、異常値および外れ値が除外された出力比R1Bamである100個の出力比R1B1を抽出する。
【0145】
また、処理部32は、分類した複数の出力比R1Bpmを、1日分の計測時刻tmに対応する出力比R1Bpmずつ足し込み処理および刈り込み処理を行うことにより、異常値および外れ値が除外された出力比R1Bpmである100個の出力比R1B2を抽出する。
【0146】
処理部32は、抽出した100個の出力比R1A1および100個の出力比R1A2の平均値と、抽出した100個の出力比R1B1および100個の出力比R1B2の平均値との差分の絶対値ABを算出し、算出した絶対値ABと所定の閾値Thx1とを比較する。処理部32は、絶対値ABが閾値Thx1以上である場合、対象発電部78は影に起因する出力低下によりフラグF1がオンされたと判断し、対象発電部78のフラグF1をオンからオフに切り替える。一方、処理部32は、絶対値ABが閾値Thx1未満である場合、対象発電部78のフラグF1のオンを維持する。
【0147】
(3-1-2)判断処理2
処理部32は、評価値RVの算出に用いた電力実績値PMtmの計測時刻tm以前の所定長の期間における出力比R1A1,R1A2の低下率DR1が所定値以上である場合、判定処理において対象発電部78の出力が低下していると判定した判定結果を無効化する。
【0148】
より詳細には、処理部32は、対象発電部78の出力低下を判定して対象発電部78のフラグF1をオンした日の1か月前から、当該日までの期間における出力比R1A1,R1A2の低下率DR1を算出し、算出した低下率DR1と所定の閾値Thx2とを比較する。閾値Thx2は、たとえば5%である。処理部32は、低下率DR1が閾値Thx2以上である場合、対象発電部78は影に起因する出力低下によりフラグF1がオンされたと判断し、対象発電部78のフラグF1をオンからオフに切り替える。一方、処理部32は、低下率DR1が閾値Thx2未満である場合、対象発電部78のフラグF1のオンを維持する。
【0149】
(3-1-3)判断処理3
処理部32は、評価値RVの算出に用いた電力実績値PMtmの計測時刻tm以降の所定長の期間における出力比R1A1,R1A2の低下率DR2が所定値以上である場合、判定処理において対象発電部78の出力が低下していると判定した判定結果を無効化する。
【0150】
より詳細には、処理部32は、対象発電部78の出力低下を判定して対象発電部78のフラグF1をオンした日から当日までの期間における出力比R1A1,R1A2の低下率DR2を算出し、算出した低下率DR2と所定の閾値Thx3とを比較する。閾値Thx3は、たとえば2%である。処理部32は、低下率DR2が閾値Thx3以上である場合、対象発電部78は影に起因する出力低下によりフラグF1がオンされたと判断し、対象発電部78のフラグF1をオンからオフに切り替える。一方、処理部32は、低下率DR2が閾値Thx3未満である場合、対象発電部78のフラグF1のオンを維持する。
【0151】
(3-1-4)判断処理4
処理部32は、評価値RVの算出に用いた電力実績値PMtmの計測時刻tm以降の所定長の期間における出力比R1B1,R1B2の増加率IR1が所定値以上である場合、判定処理において対象発電部78の出力が低下していると判定した判定結果を無効化する。
【0152】
より詳細には、処理部32は、対象発電部78の出力低下を判定して対象発電部78のフラグF1をオンした日から当日までの期間における出力比R1B1,R1B2の増加率IR1を算出し、算出した増加率IR1と所定の閾値Thx4とを比較する。閾値Thx4は、たとえば2%である。処理部32は、増加率IR1が閾値Thx4以上である場合、対象発電部78においてクラスタ92の発電量相当の出力低下が解消されたと判断し、対象発電部78のフラグF1をオンからオフに切り替える。一方、処理部32は、増加率IR1が閾値Thx4未満である場合、対象発電部78のフラグF1のオンを維持する。
【0153】
(3-1-5)フラグF1からフラグF2への切り替え
処理部32は、判断処理において、対象発電部78のフラグF1のオンを維持した場合、対象発電部78のフラグF1をオンした日からの経過期間をカウントする。
【0154】
処理部32は、対象発電部78のフラグF1をオンした日からの経過期間が1か月に到達した場合、対象発電部78の異常が発生している可能性があると判定し、対象発電部78のフラグF1をオフに切り替え、対象発電部78のフラグF2をオンに切り替える。そして、処理部32は、対象発電部78の異常が発生している可能性がある旨の判定結果を太陽光発電システム401の管理者へ通知する通知処理を行う。
【0155】
一方、処理部32は、対象発電部78のフラグF1をオンした日からの経過期間が1か月未満である場合、対象発電部78のフラグF1のオンを維持して後処理を終了する。
【0156】
(3-2)フラグF2についての後処理
処理部32は、対象発電部78のフラグF2がオンである場合、監視対象期間PT3における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する。
【0157】
また、処理部32は、記憶部33におけるフラグ情報FRおよび対応テーブルTb1を参照して、対象発電部78と同じPCS8に接続されており、かつフラグF1,F2,F3がすべてオフである複数の発電部78の、監視対象期間PT3における電力データDpである参照電力データDpRを記憶部33からそれぞれ取得する。
【0158】
処理部32は、取得した複数の参照電力データDpRを用いて、対象発電部78と同じPCS8に接続されている複数の発電部78の出力の代表値を算出する。より詳細には、処理部32は、当該代表値として、当該複数の参照電力データDpRに含まれる電力実績値PMtmの、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの中央値MEDtmを算出する。
【0159】
処理部32は、中央値MEDtmと、対象発電部78の電力実績値PMtmとの比である出力比R2tmに基づいて、対象発電部78の異常を検知する。
【0160】
より詳細には、処理部32は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとに、対象発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、中央値MEDtmで除した値である出力比R2tmを算出する。処理部32は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの出力比R2tmに基づいて、対象発電部78のフラグF2のオンを維持するか否かを判断する判断処理を行う。
【0161】
(3-2-1)判断処理5
処理部32は、算出したすべての出力比R2tmを、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R2tmである出力比R2Aamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R2tmである出力比R2Apmと、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R2tmである出力比R2Bamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R2tmである出力比R2Bpmとに分類する。
【0162】
処理部32は、分類した複数の出力比R2Bamを、1日分の計測時刻tmに対応する出力比R2Bamずつ足し込み処理および刈り込み処理を行うことにより、異常値および外れ値が除外された出力比R2Bamである100個の出力比R2B1を抽出する。また、処理部32は、分類した複数の出力比R2Bpmを、1日分の計測時刻tmに対応する出力比R2Bpmずつ足し込み処理および刈り込み処理を行うことにより、異常値および外れ値が除外された出力比R2Bpmである100個の出力比R2B2を抽出する。
【0163】
処理部32は、対象発電部78のフラグF2をオンした日以降の所定長の期間における出力比R2B1,R2B2の増加率IR2が所定値以上である場合、対象発電部78の異常が発生している可能性があると判定した判定結果を無効化する。
【0164】
より詳細には、処理部32は、対象発電部78のフラグF2をオンした日から当日までの期間における出力比R2B1,R2B2の増加率IR2を算出し、算出した増加率IR2と所定の閾値Thx5とを比較する。閾値Thx5は、たとえば2%である。処理部32は、増加率IR2が閾値Thx5以上である場合、対象発電部78においてクラスタ92の発電量相当の出力低下が解消されたと判断し、対象発電部78のフラグF2をオンからオフに切り替える。一方、処理部32は、増加率IR2が閾値Thx5未満である場合、対象発電部78のフラグF2のオンを維持する。
【0165】
(3-2-2)フラグF2からフラグF3への切り替え
処理部32は、判断処理において、対象発電部78のフラグF2のオンを維持した場合、対象発電部78のフラグF2をオンした日からの経過期間をカウントする。
【0166】
処理部32は、対象発電部78のフラグF2をオンした日からの経過期間が1か月に到達した場合、バイパスダイオード93の短絡が長期間維持されていることから、対象発電部78の異常が発生していると判定し、対象発電部78のフラグF2をオフに切り替え、対象発電部78のフラグF3をオンに切り替える。そして、処理部32は、対象発電部78の異常が発生している旨の判定結果を太陽光発電システム401の管理者へ通知する通知処理を行う。
【0167】
一方、処理部32は、対象発電部78のフラグF2をオンした日からの経過期間が1か月未満である場合、対象発電部78のフラグF2のオンを維持して後処理を終了する。
【0168】
(3-3)フラグF3についての後処理
処理部32は、対象発電部78のフラグF3がオンである場合、監視対象期間PT3における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する。
【0169】
また、処理部32は、記憶部33におけるフラグ情報FRおよび対応テーブルTb1を参照して、対象発電部78と同じPCS8に接続されており、かつフラグF1,F2,F3がすべてオフである複数の発電部78の、監視対象期間PT3における電力データDpである参照電力データDpRを記憶部33からそれぞれ取得する。
【0170】
処理部32は、取得した複数の参照電力データDpRを用いて、対象発電部78と同じPCS8に接続されている複数の発電部78の出力の代表値を算出する。より詳細には、処理部32は、当該代表値として、当該複数の参照電力データDpRに含まれる電力実績値PMtmの、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの中央値MEDtmを算出する。
【0171】
処理部32は、中央値MEDtmと、対象発電部78の電力実績値PMtmとの比である出力比R3tmに基づいて、対象発電部78の異常が維持されているか否かを判定する。
【0172】
より詳細には、処理部32は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとに、対象発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、中央値MEDtmで除した値である出力比R3tmを算出する。処理部32は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの出力比R3tmに基づいて、対象発電部78のフラグF3のオンを維持するか否かを判断する判断処理を行う。
【0173】
(3-3-1)判断処理6
処理部32は、算出したすべての出力比R3tmを、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R3tmである出力比R3Aamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R3tmである出力比R3Apmと、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R3tmである出力比R3Bamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R3tmである出力比R3Bpmとに分類する。
【0174】
処理部32は、分類した複数の出力比R3Bamを、1日分の計測時刻tmに対応する出力比R3Bamずつ足し込み処理および刈り込み処理を行うことにより、異常値および外れ値が除外された出力比R3Bamである100個の出力比R3B1を抽出する。また、処理部32は、分類した複数の出力比R3Bpmを、1日分の計測時刻tmに対応する出力比R3Bpmずつ足し込み処理および刈り込み処理を行うことにより、異常値および外れ値が除外された出力比R3Bpmである100個の出力比R3B2を抽出する。
【0175】
処理部32は、対象発電部78のフラグF3をオンした日以降の所定長の期間における出力比R3B1,R3B2の増加率IR3が所定値以上である場合、対象発電部78の異常は解消されたと判断する。
【0176】
より詳細には、処理部32は、対象発電部78のフラグF3をオンした日から当日までの期間における出力比R3B1,R3B2の増加率IR3を算出し、算出した増加率IR3と所定の閾値Thx6とを比較する。閾値Thx6は、たとえば2%である。処理部32は、増加率IR3が閾値Thx6以上である場合、対象発電部78の異常は解消されたと判断し、対象発電部78のフラグF3をオンからオフに切り替える。一方、処理部32は、増加率IR3が閾値Thx6未満である場合、対象発電部78のフラグF3のオンを維持する。
【0177】
[動作の流れ]
図11は、本開示の実施の形態に係る検知装置が検知処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0178】
図11を参照して、まず、検知装置101は、収集情報の到来および計測期間Pmの終了時刻を待ち受け(ステップS11でNOかつステップS12でNO)、各収集装置151から収集情報を受信すると(ステップS11でYES)、受信した収集情報を記憶部33に保存する(ステップS12)。
【0179】
次に、検知装置101は、新たな収集情報の到来および計測期間Pmの終了時刻を待ち受け(ステップS11でNOかつステップS12でNO)、当日の計測期間Pmの終了時刻が到来すると(ステップS12でYES)、各収集装置151から受信した当日の収集情報に基づいて、発電部78ごとに電流データDcおよび電力データDpを生成する(ステップS14)。
【0180】
次に、検知装置101は、記憶部33におけるフラグ情報FRを参照して、対象発電部78のフラグF1,F2,F3を確認する(ステップS15)。
【0181】
次に、検知装置101は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3がすべてオフである場合(ステップS16でYES)、前処理および主処理を行う(ステップS17)。
【0182】
一方、検知装置101は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3のいずれか1つがオンである場合(ステップS16でNO)、後処理を行う(ステップS18)。
【0183】
次に、検知装置101は、太陽光発電システム401におけるすべての発電部78についての検知処理が終了するまで(ステップS19でNO)、ステップS14からステップS18の処理を繰り返し、太陽光発電システム401におけるすべての発電部78についての検知処理が終了すると(ステップS19でYES)、新たな収集情報の到来および計測期間Pmの終了時刻を待ち受ける(ステップS11でNOかつステップS12でNO)。
【0184】
図12は、本開示の実施の形態に係る検知装置が主処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。図12は、図11におけるステップS17の主処理の詳細を示している。
【0185】
図12を参照して、まず、検知装置101は、対象発電部78および参照発電部78の電力データDpに基づいて除外時間帯を設定し、対象発電部78および参照発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmのうちの、除外時間帯を除く時間帯の電力実績値PMtmを抽出する抽出処理を行う(ステップS21)。
【0186】
次に、検知装置101は、計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtmを算出する。より詳細には、検知装置101は、抽出処理において抽出した電力実績値PMtmのうちの、算出対象期間PT1における電力実績値PMtmを用いて、推定式FM1,FM2,FM3を生成する。そして、検知装置101は、推定式FM1,FM2,FM3に、当日の計測時刻tmにおける参照発電部78A,78B,78Cの電力実績値PMtmをそれぞれ代入することにより、電力予測値PAtm1,PAtm2,PAtm3をそれぞれ算出する(ステップS22)。
【0187】
次に、検知装置101は、計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtmと、計測時刻tmにおける対象発電部78の電力実績値PMtmとの比である特徴量FVを算出する。より詳細には、検知装置101は、当日の計測時刻tmにおける対象発電部78の電力実績値PMtmを、当該計測時刻tmにおける対象発電部78の電力予測値PAtm1,PAtm2,PAtm3で除することにより、特徴量FV1,FV2,FV3をそれぞれ算出する(ステップS23)。
【0188】
次に、検知装置101は、平均特徴量FVavを算出する。より詳細には、検知装置101は、当日の各計測時刻tmの特徴量FV1の平均特徴量FVav1、当日の各計測時刻tmの特徴量FV2の平均特徴量FVav2、および当日の各計測時刻tmの特徴量FV3の平均特徴量FVav3を算出し、算出した平均特徴量FVav1,FVav2,FVav3を記憶部33に保存する(ステップS24)。
【0189】
次に、検知装置101は、判定対象期間PT2における複数の計測時刻tmにおける特徴量FVに基づく評価値RVを算出する。より詳細には、検知装置101は、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav1の平均値を評価値RV1として算出し、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav2の平均値を評価値RV2として算出し、判定対象期間PT2において算出した平均特徴量FVav3の平均値を評価値RV3として算出する(ステップS25)。
【0190】
次に、検知装置101は、算出した評価値RVと、閾値Thとの比較結果に基づいて、判定処理を行う。より詳細には、検知装置101は、評価値RVと、閾値Thである下限閾値ThLおよび上限閾値ThHとを比較する(ステップS26)。
【0191】
次に、検知装置101は、下限閾値ThL以上であり、かつ上限閾値ThH以下である評価値RVが半数未満である場合(ステップS27でNO)、対象発電部78においてクラスタ92の発電量相当の出力低下が生じていないと判定し(ステップS28)、主処理を終了する。
【0192】
一方、検知装置101は、複数の評価値RVのうちの半数以上の評価値RVが、下限閾値ThL以上であり、かつ上限閾値ThH以下である場合(ステップS27でYES)、対象発電部78においてクラスタ92の発電量相当の出力低下が生じていると判定する(ステップS29)。
【0193】
次に、検知装置101は、記憶部33におけるフラグ情報FRにおける対象発電部78のフラグF1を、オフからオンに切り替え(ステップS30)、主処理を終了する。
【0194】
図13は、本開示の実施の形態に係る検知装置が後処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。図13は、図11におけるステップS16においてフラグF1がオンである場合の、図11におけるステップS18の詳細を示している。
【0195】
図13を参照して、まず、検知装置101は、監視対象期間PT3における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する(ステップS41)。
【0196】
次に、検知装置101は、対象発電部78と同じPCS8に接続されており、かつフラグF1,F2,F3がすべてオフである複数の発電部78の、監視対象期間PT3における電力データDpである参照電力データDpRを記憶部33からそれぞれ取得する(ステップS42)。
【0197】
次に、検知装置101は、取得した複数の参照電力データDpRを用いて、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの中央値MEDtmを算出する(ステップS43)。
【0198】
次に、検知装置101は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとに、対象発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、中央値MEDtmで除した値である出力比R1tmを算出する(ステップS44)。
【0199】
次に、検知装置101は、算出したすべての出力比R1tmを、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R1tmである出力比R1Aamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R1tmである出力比R1Apmと、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R1tmである出力比R1Bamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R1tmである出力比R1Bpmとに分類する。そして、検知装置101は、異常値および外れ値が除外された、100個の出力比R1A1、100個の出力比R1A2、100個の出力比R1B1および100個の出力比R1B2を抽出する(ステップS45)。
【0200】
次に、検知装置101は、出力比R1A1,R1A2の平均値と出力比R1B1,R1B2の平均値との差分の絶対値ABが閾値Thx1以上であるか(ステップS46でNO)、対象発電部78のフラグF1をオンした日の1か月前から当該日までの期間における出力比R1A1,R1A2の低下率DR1が閾値Thx2以上であるか(ステップS47でNO)、対象発電部78のフラグF1をオンした日から当日までの期間における出力比R1A1,R1A2の低下率DR2が閾値Thx3以上であるか(ステップS48でNO)、または、対象発電部78のフラグF1をオンした日から当日までの期間における出力比R1B1,R1B2の増加率IR1が閾値Thx4以上である場合(ステップS49でNO)、対象発電部78のフラグF1をオンからオフに切り替え(ステップS50)、対象発電部78についての後処理を終了する。
【0201】
一方、検知装置101は、絶対値ABが閾値Thx1未満であり(ステップS46でYES)、低下率DR1が閾値Thx2未満であり(ステップS47でYES)、低下率DR2が閾値Thx3未満であり(ステップS48でYES)、かつ、増加率IR1が閾値Thx4未満である場合(ステップS49でYES)、対象発電部78のフラグF1のオンを維持する(ステップS51)。
【0202】
次に、検知装置101は、対象発電部78のフラグF1をオンした日からの経過期間が1か月未満である場合(ステップS52でNO)、対象発電部78についての後処理を終了する。
【0203】
一方、検知装置101は、対象発電部78のフラグF1をオンした日からの経過期間が1か月に到達した場合(ステップS52でYES)、対象発電部78の異常が発生している可能性があると判定する(ステップS53)。
【0204】
次に、検知装置101は、対象発電部78のフラグF1をオフに切り替え、対象発電部78のフラグF2をオンに切り替える(ステップS54)。
【0205】
次に、検知装置101は、対象発電部78の異常が発生している可能性がある旨の判定結果を太陽光発電システム401の管理者へ通知する通知処理を行い(ステップS55)、対象発電部78についての後処理を終了する。
【0206】
図14は、本開示の実施の形態に係る検知装置が後処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。図14は、図11におけるステップS16においてフラグF2がオンである場合の、図11におけるステップS18の詳細を示している。
【0207】
図14を参照して、まず、検知装置101は、監視対象期間PT3における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する(ステップS61)。
【0208】
次に、検知装置101は、対象発電部78と同じPCS8に接続されており、かつフラグF1,F2,F3がすべてオフである複数の発電部78の、監視対象期間PT3における電力データDpである参照電力データDpRを記憶部33からそれぞれ取得する(ステップS62)。
【0209】
次に、検知装置101は、取得した複数の参照電力データDpRを用いて、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの中央値MEDtmを算出する(ステップS63)。
【0210】
次に、検知装置101は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとに、対象発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、中央値MEDtmで除した値である出力比R2tmを算出する(ステップS64)。
【0211】
次に、検知装置101は、算出したすべての出力比R2tmを、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R2tmである出力比R2Aamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R2tmである出力比R2Apmと、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R2tmである出力比R2Bamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R2tmである出力比R2Bpmとに分類する。そして、検知装置101は、異常値および外れ値が除外された100個の出力比R2B1および100個の出力比R2B2を抽出する(ステップS65)。
【0212】
次に、検知装置101は、対象発電部78のフラグF2をオンした日から当日までの期間における出力比R2B1,R2B2の増加率IR2が閾値Thx5以上である場合(ステップS66でNO)、対象発電部78のフラグF2をオンからオフに切り替え(ステップS67)、当該発電部78についての後処理を終了する。
【0213】
一方、検知装置101は、増加率IR2が閾値Thx5未満である場合(ステップS66でYES)、対象発電部78のフラグF2のオンを維持する(ステップS68)。
【0214】
次に、検知装置101は、対象発電部78のフラグF2をオンした日からの経過期間が1か月未満である場合(ステップS69でNO)、対象発電部78についての後処理を終了する。
【0215】
一方、検知装置101は、対象発電部78のフラグF2をオンした日からの経過期間が1か月に到達した場合(ステップS69でYES)、対象発電部78の異常を検知する。すなわち、検知装置101は、対象発電部78の異常が発生していると判定する(ステップS70)。
【0216】
次に、検知装置101は、対象発電部78のフラグF2をオフに切り替え、対象発電部78のフラグF3をオンに切り替える(ステップS71)。
【0217】
次に、検知装置101は、対象発電部78の異常が発生している旨の判定結果を太陽光発電システム401の管理者へ通知する通知処理を行い(ステップS72)、対象発電部78についての後処理を終了する。
【0218】
図15は、本開示の実施の形態に係る検知装置が後処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。図15は、図11におけるステップS16においてフラグF3がオンである場合の、図11におけるステップS18の詳細を示している。
【0219】
図15を参照して、まず、検知装置101は、監視対象期間PT3における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する(ステップS81)。
【0220】
次に、検知装置101は、対象発電部78と同じPCS8に接続されており、かつフラグF1,F2,F3がすべてオフである複数の発電部78の、監視対象期間PT3における電力データDpである参照電力データDpRを記憶部33からそれぞれ取得する(ステップS82)。
【0221】
次に、検知装置101は、取得した複数の参照電力データDpRを用いて、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとの中央値MEDtmを算出する(ステップS83)。
【0222】
次に、検知装置101は、監視対象期間PT3における計測時刻tmごとに、対象発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、中央値MEDtmで除した値である出力比R3tmを算出する(ステップS84)。
【0223】
次に、検知装置101は、算出したすべての出力比R3tmを、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R3tmである出力比R3Aamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgAの出力比R3tmである出力比R3Apmと、午前の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R3tmである出力比R3Bamと、午後の計測時刻tmに対応する数値範囲RgBの出力比R3tmである出力比R3Bpmとに分類する。そして、検知装置101は、異常値および外れ値が除外された100個の出力比R3B1および100個の出力比R3B2を抽出する(ステップS85)。
【0224】
次に、検知装置101は、対象発電部78のフラグF3をオンした日から当日までの期間における出力比R3B1,R3B2の増加率IR3が閾値Thx6以上である場合(ステップS86でNO)、対象発電部78のフラグF3をオンからオフに切り替え(ステップS87)、対象発電部78についての後処理を終了する。
【0225】
一方、検知装置101は、増加率IR3が閾値Thx6未満である場合(ステップS86でYES)、対象発電部78のフラグF3のオンを維持し(ステップS88)、当該発電部78についての後処理を終了する。
【0226】
なお、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、処理部32は、電力データDpに基づいて、判定処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部32は、電力データDpの代わりに、電流データDcに基づいて判定処理を行う構成であってもよい。
【0227】
また、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、記憶部33は、正常ストリングの出力特性および出力低下ストリングの出力特性に基づいて設定された閾値Thを記憶している構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、下限閾値ThLおよび上限閾値ThHの少なくともいずれか一方は、正常ストリングの出力特性および出力低下ストリングの出力特性に基づかない値であってもよい。
【0228】
また、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、記憶部33は、正常ストリングの出力電力Wa1および出力低下ストリングの出力電力Wa2に基づいて設定された下限閾値ThLを記憶している構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、下限閾値ThLは、出力電力Wa1,Wa2に基づかない値であってもよい。
【0229】
また、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、処理部32は、対象発電部78および参照発電部78の電力データDpに含まれる電力実績値PMtmのうちの、除外時間帯を除く時間帯の電力実績値PMtmを抽出する抽出処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部32は、抽出処理を行わない構成であってもよい。この場合、処理部32は、記憶部33から取得した、算出対象期間PT1におけるすべての電力実績値PMtmを用いて、推定式FMを生成する。
【0230】
また、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、処理部32は、判定対象期間PT2よりも過去の算出対象期間PT1における電力実績値PMtmを用いて推定式FMを生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部32は、判定対象期間PT2と一部重複する過去の期間における電力実績値PMtmを用いて推定式FMを生成する構成であってもよいし、判定対象期間PT2における電力実績値PMtmを用いて推定式FMを生成する構成であってもよい。
【0231】
また、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、処理部32は、後処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部32は、後処理を行わない構成であってもよい。また、処理部32は、フラグF1についての後処理を行う一方で、フラグF2,F3についての後処理を行わない構成であってもよい。処理部32は、フラグF2,F3についての後処理を行わない場合、フラグF1についての後処理において、対象発電部78のフラグF1のオンを維持することにより対象発電部78のフラグF1をオンした日からの経過期間が1か月に到達した場合、対象発電部78の異常が発生していると判定する。
【0232】
また、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、処理部32は、判断処理1、判断処理2、判断処理3および判断処理4を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部32は、判断処理1、判断処理2、判断処理3および判断処理4の一部を行わない構成であってもよい。
【0233】
また、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、処理部32は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3がすべてオフである場合、後処理を行わない一方で、前処理および主処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部32は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3がすべてオフである場合、前処理および主処理に加えて、後処理を行う構成であってもよい。
【0234】
また、本開示の実施の形態に係る検知装置101では、処理部32は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3のいずれか1つがオンである場合、前処理および主処理を行わない一方で、後処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部32は、対象発電部78のフラグF1,F2,F3のいずれか1つがオンである場合、後処理に加えて、前処理および主処理を行う構成であってもよい。これにより、既にバイパスダイオード93の短絡によりクラスタ92の発電量相当の出力低下が生じている対象発電部78において、当該バイパスダイオード93とは別のバイパスダイオード93の短絡による、クラスタ92の発電量相当のさらなる出力低下を判定することができる。より詳細には、処理部32は、対象発電部78において、当該別のバイパスダイオード93の短絡によるさらなる出力低下が生じていると判定した場合、当該対象発電部78における別のフラグF1をオンし、複数のフラグF1の各々について後処理を行う。これにより、複数のバイパスダイオード93の短絡が長期間維持されている状態を、バイパスダイオード93ごとに個別に異常として検知することができる。たとえば、対象発電部78におけるクラスタ92の数の1割以下の数のバイパスダイオード93の短絡が長期間維持されている状態を、個別に異常として検知することができる。
【0235】
あるいは、処理部32は、対象発電部78のフラグF3についての後処理において、対象発電部78のフラグF3をオンした日からの経過期間が所定値に到達した場合、フラグF3をオフに切り替えるとともに、異常に対する対処の要求および新たな異常の検知開始等を太陽光発電システム401の管理者へ通知する通知処理を行う構成であってもよい。
【0236】
<後処理の変形例>
処理部32は、上述した後処理の代わりに、または上述した後処理に加えて、後述する変形処理を行ってもよい。処理部32は、変形処理として、主処理の判定処理において出力低下が生じていると判定した対象発電部78の異常を検知する検知処理を行う。
【0237】
(1)フラグF1についての変形処理
処理部32は、評価値RVの算出に用いた電力実績値PMtmの計測時刻tmを含む分類期間PT4における複数の電力実績値PMtmのうちの、対象発電部78における、クラスタ92の発電量に相当する出力低下を示す電力実績値PMtm、の割合が所定値以上である状態が継続する期間の長さに基づいて、判定処理において対象発電部78の出力が低下していると判定した判定結果を有効化するか否かを判断する。
【0238】
より詳細には、処理部32は、分類期間PT4における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する。分類期間PT4は、たとえば対象発電部78のフラグF1をオンした日の1か月前から当日までの期間である。
【0239】
処理部32は、kNN等の機械学習法を用いて、取得した分類期間PT4における電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、電力実績値PMtmD1、電力実績値PMtmD2、電力実績値PMtmD3または電力実績値PMtmD4に分類する。
【0240】
ここで、電力実績値PMtmD1は、対象発電部78の出力が回復傾向にあることを示す電力実績値PMtmである。電力実績値PMtmD2は、対象発電部78の出力が正常値であることを示す電力実績値PMtmである。電力実績値PMtmD3は、対象発電部78においてクラスタ92の発電量に相当する出力低下が生じていることを示す電力実績値PMtmである。電力実績値PMtmD4は、対象発電部78において影の影響による出力低下が生じていることを示す電力実績値PMtmである。
【0241】
処理部32は、分類期間PT4における1日ごとの、対象発電部78の電力実績値PMtmの数のうちの電力実績値PMtmD3の数の割合Rx1を算出する。処理部32は、算出した割合Rx1と所定の閾値Thyとを比較する。
【0242】
処理部32は、割合Rx1が閾値Thy以上である状態の継続する期間が1か月に到達する前に、割合Rx1が閾値Thy未満となった場合、対象発電部78のフラグF1をオンからオフに切り替える。
【0243】
一方、処理部32は、割合Rx1が閾値Thy以上である状態の継続する期間が1か月に到達した場合、対象発電部78の異常が発生している可能性があると判定し、対象発電部78のフラグF1をオフに切り替え、対象発電部78のフラグF2をオンに切り替える。
【0244】
(2)フラグF2についての変形処理
処理部32は、分類期間PT4における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する。
【0245】
処理部32は、kNN等の機械学習法を用いて、分類期間PT4における電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、電力実績値PMtmD1、電力実績値PMtmD2、電力実績値PMtmD3または電力実績値PMtmD4に分類する。
【0246】
処理部32は、分類期間PT4における1日ごとの、対象発電部78の電力実績値PMtmの数のうちの電力実績値PMtmD3の数の割合Rx2を算出する。処理部32は、算出した割合Rx2と閾値Thyとを比較する。
【0247】
処理部32は、割合Rx2が閾値Thy以上である状態の継続する期間が1か月に到達する前に、割合Rx2が閾値Thy未満となった場合、対象発電部78のフラグF2をオンからオフに切り替える。
【0248】
一方、処理部32は、割合Rx2が閾値Thy以上である状態の継続する期間が1か月に到達した場合、対象発電部78の異常が発生していると判定し、対象発電部78のフラグF2をオフに切り替え、対象発電部78のフラグF3をオンに切り替える。
【0249】
(3)フラグF3についての変形処理
処理部32は、分類期間PT4における対象発電部78の電力データDpを記憶部33から取得する。
【0250】
処理部32は、kNN等の機械学習法を用いて、分類期間PT4における電力データDpに含まれる電力実績値PMtmを、電力実績値PMtmD1、電力実績値PMtmD2、電力実績値PMtmD3または電力実績値PMtmD4に分類する。
【0251】
処理部32は、分類期間PT4における1日ごとの、対象発電部78の電力実績値PMtmの数のうちの電力実績値PMtmD3の数の割合Rx3を算出する。処理部32は、算出した割合Rx3と閾値Thyとを比較する。
【0252】
処理部32は、割合Rx3が閾値Thy以上である状態の継続する期間が1か月に到達する前に、割合Rx3が閾値Thy未満となった場合、対象発電部78のフラグF3をオンからオフに切り替える。
【0253】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0254】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0255】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、
前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得する閾値取得部と、
前記各ストリングの出力の実績値を取得する実績値取得部と、
前記実績値取得部により取得された、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出する予測値算出部と、
前記予測値算出部により算出された前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づく評価値と、前記閾値取得部により取得された前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う判定部とを備え、
前記太陽電池パネルは、太陽電池セルの直列回路を有する複数のクラスタを含み、
前記対象部分は、1つの前記クラスタである、判定装置。
【0256】
[付記2]
太陽電池パネルを含む複数のストリングを備える太陽光発電システムに用いられる判定装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記太陽電池パネルにおける対象部分の出力の大きさに基づいて設定される閾値を取得し、
前記各ストリングの出力の実績値を取得し、
取得した、前記複数のストリングのうちの対象ストリングの出力の前記実績値および前記複数のストリングのうちの参照ストリングの出力の前記実績値に基づいて、対象時刻における前記対象ストリングの出力の予測値を算出し、
算出した前記予測値と、前記対象時刻における前記対象ストリングの出力の前記実績値との比である特徴量を算出し、
算出した前記特徴量に基づく評価値と、取得した前記閾値との比較結果に基づいて、前記対象ストリングにおける、前記対象部分の発電量に相当する出力低下を判定する判定処理を行う、判定装置。
【符号の説明】
【0257】
1 出力ライン
1p プラス側出力ライン
1n マイナス側出力ライン
2,4,5 集約ライン
3 内部ライン
5p プラス側集約ライン
5n マイナス側集約ライン
6 キュービクル
7,72,73,77 銅バー
8 PCS
9 電力変換部
11 取得部
14 通信部
16 電流センサ
17 電圧センサ
26 電源線
26p プラス側電源線
26n マイナス側電源線
31 取得部(実績値取得部)
32 処理部(閾値取得部、予測値算出部、特徴量算出部、判定部)
33 記憶部
46 導線
60 集電ユニット
71 集電箱
75 太陽電池ユニット
76 接続箱
77p プラス側銅バー
77n マイナス側銅バー
78 発電部
79 太陽電池パネル
80 PCSユニット
91 太陽電池セル
92,92A,92B,92C クラスタ(対象部分)
93,93A,93B,93C バイパスダイオード(バイパス回路)
101 検知装置
111 監視装置
151 収集装置
301 発電状態管理システム
401 太陽光発電システム
N1,N2,N3,N4,N5,N6 ノード
Cpv1,Cpv2 PVカーブ
Vdif 差分
Vp1 電圧値(第1電圧値)
Vp2 電圧値(第2電圧値)
Vp3 電圧値(第3電圧値)
Wa1,Wa2,Wb1,Wb2 出力電力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15