(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174290
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】工事管理支援装置および工事管理支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241210BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092039
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】片山 厚子
(72)【発明者】
【氏名】川越 貴子
(72)【発明者】
【氏名】喜田 浩行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 茂郎
(72)【発明者】
【氏名】川井田 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 暢
(72)【発明者】
【氏名】裏橋 信夫
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和巳
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 真吾
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】構造物の工事の進捗状況を容易に把握することができる工事管理支援装置。
【解決手段】工事管理支援装置は、構造物の工事管理を支援する。工事管理支援装置は、画像取得部と、画像合成部と、表示制御部とを備える。画像取得部は、撮影部を有する飛行体によって空撮された複数の空撮画像を取得する。各空撮画像は、撮影部による撮影方向が略鉛直方向となる位置から構造物の少なくとも一部が複数の領域ごとに撮影され、各空撮画像ごとの位置情報が記録されている。画像合成部は、各空撮画像が有する位置情報に基づいて複数の空撮画像を合成することにより、合成画像を生成する。表示制御部は、合成画像を表示する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の工事管理を支援する工事管理支援装置であって、
撮影部を有する飛行体によって空撮された複数の空撮画像を取得する画像取得部であって、各前記空撮画像は、前記撮影部による撮影方向が略鉛直方向となる位置から前記構造物の少なくとも一部が複数の領域ごとに撮影され、各前記空撮画像の位置情報が記録されている、画像取得部と、
各前記空撮画像が有する前記位置情報に基づいて前記複数の空撮画像を合成することにより、合成画像を生成する画像合成部と、
前記合成画像を表示する表示制御部と、を備える、工事管理支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の工事管理支援装置であって、
前記合成画像は、前記構造物の敷地の全体が1枚の画像に収まるように前記複数の空撮画像が合成された画像である、工事管理支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の工事管理支援装置であって、
各前記空撮画像の前記位置情報は、各前記空撮画像を空撮した時点での前記飛行体の経緯度情報と、高度情報とを含む、工事管理支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の工事管理支援装置であって、
前記経緯度情報は、前記飛行体が全球測位衛星システムからの信号を受信することによって取得される、工事管理支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の工事管理支援装置であって、さらに、
飛行プログラム指示部を備え、
前記表示制御部は、前記経緯度情報を含む地図情報データを表示し、
前記飛行プログラム指示部は、前記地図情報データ上で指定された前記飛行体の飛行範囲に基づいて、前記飛行体が空撮を行う際の飛行経路を設定し、前記飛行経路を含む飛行プログラムを前記飛行体に送信する、工事管理支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の工事管理支援装置であって、
前記飛行プログラム指示部は、前記地図情報データ上で指定された前記飛行体の飛行範囲に基づいて、前記飛行体が空撮を行う際の前記撮影部による撮影位置を設定し、
前記飛行プログラムは、前記撮影位置を含む、工事管理支援装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の工事管理支援装置であって、さらに、
前記合成画像上に、前記構造物における前記合成画像上の通芯の位置を示す表示を描画する画像加工部を備える、工事管理支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の工事管理支援装置であって、
前記画像加工部は、前記構造物の工事における複数の作業区域ごとの作業状態を示す表示を描画する、工事管理支援装置。
【請求項9】
請求項8に記載の工事管理支援装置であって、さらに、
前記合成画像を解析することにより、前記構造物における前記合成画像上の前記通芯の位置と、前記構造物の工事における複数の前記作業区域ごとの前記作業状態との少なくとも一方を自動的に認識する画像解析部を備え、
前記画像加工部は、前記画像解析部の解析に基づいて、前記構造物における前記通芯の位置と、前記作業状態との少なくとも一方を示す表示を自動的に描画する、工事管理支援装置。
【請求項10】
構造物の工事管理を支援する工事管理支援システムであって、
飛行体と、
端末装置と、を備え、
前記飛行体は、
複数の空撮画像を取得する撮影部と、
全球測位衛星システムからの信号を受信することにより、各前記空撮画像が撮影された時点での前記飛行体の位置情報を取得する衛星信号受信部と、
前記衛星信号受信部によって取得された前記飛行体の前記位置情報を、各前記空撮画像に記録させる制御部と、
前記複数の空撮画像を前記端末装置に送信する飛行体側通信部と、
を有し、
前記端末装置は、
前記複数の空撮画像を前記飛行体から受信する端末装置側通信部と、
前記端末装置側通信部を介して前記複数の空撮画像を取得する画像取得部と、
各前記空撮画像が有する前記位置情報に基づいて前記複数の空撮画像を合成することにより、合成画像を生成する画像合成部と、
前記合成画像を表示する表示制御部と、
を有する、工事管理支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、工事管理支援装置および工事管理支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物や土木構造物といった構造物の工事管理を支援する工事管理支援装置が知られている。工事管理支援装置は、例えば、工事対象の構造物の図面データや該構造物を撮影した画像データを記憶し、図面データや画像データを用いて図面や画像を表示することにより、工事管理者による工事管理業務を支援する。工事管理業務は、例えば、構造物の工事の進捗状況を施主または現場作業者等に伝達することが挙げられる。
【0003】
従来、工事の進展に伴って撮影される複数枚の写真を用いて、施主等に情報伝達を行う伝達システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記伝達システムにおいて、工事管理者は、工事対象である構造物の工事の進捗状況を施主または現場作業者に伝達するために、現場に赴いて複数の画像を取得したり、複数の画像を用いて進捗状況を説明したりする必要がある。一方、施主または現場作業者は、工事の進捗状況を把握するために、複数の画像を1つ1つ確認することが必要である。そのため、上記伝達システムによる工事の進捗状況の伝達は、工事管理者、施主および現場作業者のいずれの者にとっても手間のかかる作業となっている。
【0006】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、例えば以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本明細書に開示される工事管理支援装置は、構造物の工事管理を支援する。工事管理支援装置は、画像取得部と、画像合成部と、表示制御部とを備える。前記画像取得部は、撮影部を有する飛行体によって空撮された複数の空撮画像を取得する。各前記空撮画像は、前記撮影部による撮影方向が略鉛直方向となる位置から前記構造物の少なくとも一部が複数の領域ごとに撮影され、各前記空撮画像の位置情報が記録されている。前記画像合成部は、各前記空撮画像が有する前記位置情報に基づいて前記複数の空撮画像を合成することにより、合成画像を生成する。表示制御部は、前記合成画像を表示する。
【0009】
本工事管理支援装置によれば、工事対象である構造物を飛行体によって空撮した複数の空撮画像を取得し、複数の空撮画像を合成することにより、合成画像を生成することができる。すなわち、工事管理者は、構造物の工事の進捗状況を施主または現場作業者に伝達するために、現場に赴いて複数の画像を取得したり、複数の画像を用いて進捗状況を説明したりする必要がない。工事管理者は、本工事管理支援装置を操作することによって、構造物の少なくとも一部が表示された合成画像を取得し、1枚の合成画像を用いて進捗状況の説明をすることができる。一方、施主または現場作業者は、1枚の合成画像を見るだけで工事の進捗状況を十分に把握することができる。そのため、本工事管理支援装置によれば、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間を低減することができる。
【0010】
また、本工事管理支援装置によれば、各空撮画像は、撮影部による撮影方向が略鉛直方向となる位置から撮影される。そのため、斜め方向から撮影された空撮画像と比較すると、構造物における各地点の高さの違いによって生じる位置および大きさのずれを低減させることができる。
【0011】
(2)上記工事管理支援装置において、前記合成画像は、前記構造物の敷地の全体が1枚の画像に収まるように前記複数の空撮画像が合成された画像である構成としてもよい。本工事管理支援装置によれば、施主または現場作業者は、構造物の敷地の全体が収められた1枚の合成画像を見るだけで構造物の全体の工事の進捗状況を十分に把握することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0012】
(3)上記工事管理支援装置において、各前記空撮画像の前記位置情報は、各前記空撮画像を空撮した時点での前記飛行体の経緯度情報と、高度情報とを含む構成としてもよい。本工事管理支援装置によれば、各空撮画像ごとの経緯度情報と、高度情報とに基づいて、合成画像を生成することができる。そのため、合成画像の精度を上げることができ、工事管理者による工事の進捗状況の伝達を正確に行うことができる。
【0013】
(4)上記工事管理支援装置において、前記経緯度情報は、前記飛行体が全球測位衛星システムからの信号を受信することによって取得される構成としてもよい。本工事管理支援装置によれば、各空撮画像ごとの経緯度情報を全球測位衛星システムから取得し、取得した経緯度情報に基づいて、合成画像を生成することができる。そのため、合成画像の精度をより効果的に上げることができ、工事管理者による工事の進捗状況の伝達をより正確に行うことができる。
【0014】
(5)上記工事管理支援装置において、さらに、飛行プログラム指示部を備え、前記表示制御部は、前記経緯度情報を含む地図情報データを表示し、前記飛行プログラム指示部は、前記地図情報データ上で指定された前記飛行体の飛行範囲に基づいて、前記飛行体が空撮を行う際の飛行経路を設定し、前記飛行経路を含む飛行プログラムを前記飛行体に送信する構成としてもよい。本工事管理支援装置によれば、工事管理者が地図情報データ上で指定した飛行体の飛行範囲に基づいて、飛行体の飛行経路を設定し、飛行経路を含む飛行プログラムを飛行体に送信することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0015】
(6)上記工事管理支援装置において、前記飛行プログラム指示部は、前記地図情報データ上で指定された前記飛行体の飛行範囲に基づいて、前記飛行体が空撮を行う際の前記撮影部による撮影位置を設定し、前記飛行プログラムは、前記撮影位置を含む構成としてもよい。本工事管理支援装置によれば、工事管理者が地図情報データ上で指定した飛行体の飛行範囲に基づいて、撮影部による撮影位置を設定し、撮影位置を含む飛行プログラムを飛行体に送信することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0016】
(7)上記工事管理支援装置において、さらに、前記合成画像上に、前記構造物における前記合成画像上の通芯の位置を示す表示を描画する画像加工部を備える構成としてもよい。本工事管理支援装置によれば、合成画像上に構造物における通芯の位置を示す表示を描画することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0017】
(8)上記工事管理支援装置において、前記画像加工部は、前記構造物の工事における複数の作業区域ごとの作業状態を示す表示を描画する構成としてもよい。本工事管理支援装置によれば、合成画像上に複数の作業区域ごとの作業状態を示す表示を描画することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0018】
(9)上記工事管理支援装置において、さらに、前記合成画像を解析することにより、前記構造物における前記合成画像上の前記通芯の位置と、前記構造物の工事における複数の前記作業区域ごとの前記作業状態との少なくとも一方を自動的に認識する画像解析部を備え、前記画像加工部は、前記画像解析部の解析に基づいて、前記構造物における前記通芯の位置と、前記作業状態との少なくとも一方を示す表示を自動的に描画する構成としてもよい。本工事管理支援装置によれば、構造物における通芯の位置と、複数の作業区域ごとの作業状態とを画像解析によって自動的に認識することができ、さらに、通芯の位置と、作業状態とを合成画像上に自動的に描画することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0019】
(10)本明細書に開示される工事管理支援システムは、構造物の工事管理を支援する。工事管理支援システムは、飛行体と、端末装置と、を備える。前記飛行体は、複数の空撮画像を取得する撮影部と、全球測位衛星システムからの信号を受信することにより、各前記空撮画像が撮影された時点での前記飛行体の位置情報を取得する衛星信号受信部と、前記衛星信号受信部によって取得された前記飛行体の前記位置情報を、各前記空撮画像に記録させる飛行体制御部と、前記複数の空撮画像を前記端末装置に送信する飛行体側通信部とを有する。前記端末装置は、前記複数の空撮画像を前記飛行体から受信する端末装置側通信部と、前記端末装置側通信部を介して前記複数の空撮画像を取得する画像取得部と、各前記空撮画像が有する前記位置情報に基づいて前記複数の空撮画像を合成することにより、合成画像を生成する画像合成部と、前記合成画像を表示する表示制御部とを有する。
【0020】
本工事管理支援システムによれば、工事対象である構造物を飛行体によって空撮した複数の空撮画像を取得し、複数の空撮画像を合成することにより、合成画像を生成することができる。すなわち、工事管理者は、構造物の工事の進捗状況を施主または現場作業者に伝達するために、現場に赴いて複数の画像を取得したり、複数の画像を用いて進捗状況を説明したりする必要がない。工事管理者は、端末装置を操作することによって、構造物の少なくとも一部が表示された合成画像を取得し、1枚の合成画像を用いて進捗状況の説明をすることができる。一方、施主または現場作業者は、1枚の合成画像を見るだけで工事の進捗状況を十分に把握することができる。そのため、本工事管理支援システムによれば、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間を低減することができる。
【0021】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、工事管理支援装置、工事管理支援システム、工事管理支援方法、それらの装置またはシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態における工事管理支援システム10の構成を示すブロック図
【
図2】本実施形態における工事管理支援処理を示すフローチャート
【
図4】飛行体300による空撮画像APの取得方法の一例を示す説明図
【
図5】画像加工後の合成画像CPの一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.実施形態:
A-1.工事管理支援システム10の構成:
図1は、本実施形態における工事管理支援システム10の構成を示すブロック図である。工事管理支援システム10は、建築物や土木構造物等の構造物の工事の管理を支援するためのものであり、サーバ装置100と、端末装置200と、飛行体300とを備える。サーバ装置100と、端末装置200と、飛行体300とは、ネットワークNWを介して互いに接続されている。
図1には、1つの端末装置200が示されているが、工事管理支援システム10に含まれる端末装置200の数は、2以上でもよい。端末装置200は、特許請求の範囲における工事管理支援装置の一例である。
【0024】
サーバ装置100は、構造物の工事を管理する装置であり、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、操作部140と、表示部150とを備える。記憶部120は、例えばハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)やROM、RAM等により構成されており、サーバ装置100を制御するためのプログラムを記憶する。制御部110は、例えば中央制御ユニット(以下、「CPU」という。)等により構成されており、記憶部120から読み出したプログラムに従って、サーバ装置100の各部を制御する。通信部130は、無線通信方式または有線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。操作部140は、例えばキーボードやマウス等により構成され、工事管理者の操作を受け付ける。表示部150は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、図面や画像データ等を表示する。
【0025】
端末装置200は、工事管理者が使用する装置であり、例えばタブレット型端末やスマートフォン、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブルデバイス等であり、制御部210と、記憶部220と、通信部230と、表示部240と、衛星信号受信部250とを備える。記憶部220は、例えばHDDやROM、RAM等により構成されており、端末装置200を制御するための各種プログラムを記憶する。通信部230は、無線通信方式または有線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。表示部240は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、各種の画像や情報を表示する。通信部230は、特許請求の範囲における端末装置側通信部の一例である。
【0026】
衛星信号受信部250は、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を構成する衛星20から受信した信号を利用して、自己の現在位置を特定する情報(緯度および経度)を取得する装置である。本実施形態で用いるGNSSは、GPSのように1台の受信機を用いる単独測位を採用してもよく、RTK(Real Time Kinematic)-GNSSのように2台以上の受信機を用いる相対測位を採用してもよい。衛星20は、特許請求の範囲における全球測位衛星システムの一例である。
【0027】
制御部210は、例えばCPU等により構成されており、記憶部220から読み出した各種プログラムを実行する。これにより、画像取得部211、画像合成部212、表示制御部213、飛行プログラム指示部214、画像加工部215、画像解析部216等の制御部210の各機能が実現される。これら各機能については、後述の「A-2.工事管理支援処理」において説明する。
【0028】
飛行体300は、例えばドローン等のUAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)である。工事管理支援システム10において、飛行体300は、構造物の空撮を行う。飛行体300は、制御部310と、記憶部320と、回転翼機構330と、撮影部340と、ジンバル350と、衛星信号受信部360と、気圧計測部370と、地磁気センサ380と、通信部390とを備える。
【0029】
記憶部320は、例えばHDDやROM、RAM等により構成されており、飛行体300を制御するための各種プログラムを記憶する。制御部310は、例えばCPU等により構成されており、記憶部320から読み出したプログラムを実行する。回転翼機構330は、少なくとも1つの回転翼と、回転翼を回転させる少なくとも1つのモーターと含み、回転翼の回転により、飛行体300の揚力および推力を生み出す。撮影部340は、例えばカメラである。ジンバル350は、飛行体300の下方に位置しており、水平方向に延伸する回転軸線を有する少なくとも1つの回転軸を有している。ジンバル350は、回転軸によって撮影部340を支持しており、回転軸の回転によって撮影部340の撮影方向を変更する。衛星信号受信部360は、GPSやRTK-GNSS等のGNSSを構成する衛星20から受信した信号を利用して、自己の現在位置を特定する情報(緯度および経度)を取得する装置である。気圧計測部370は、気圧を計測することにより、飛行体300の高度を検出する。地磁気センサ380は、地球の磁力を検出するセンサであり、飛行体300の機首の方位を検出する。通信部390は、無線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。通信部390は、特許請求の範囲における飛行体側通信部の一例である。
【0030】
A-2.工事管理支援処理:
次に、端末装置200により実行される工事管理支援処理について説明する。
図2は、本実施形態における工事管理支援処理を示すフローチャートである。工事管理支援処理は、図面や画像を表示することによって工事管理者による工事管理業務を支援するための処理である。工事管理支援処理は、例えば工事管理者による端末装置200の操作受付部を介した開始指示があったときに開始される。
【0031】
はじめに、端末装置200を用い、飛行体300の飛行プログラムを設定する(S110)。
【0032】
工事管理者は、端末装置200を用いて飛行体300の飛行プログラムを設定する。飛行体300は、工事管理者が端末装置200を用いて設定した飛行プログラムに基づいて飛行し、複数の空撮画像AP(
図5参照)を取得する。飛行プログラムは、飛行経路FCと、撮影位置と、飛行高度と、撮影方向FDとを含む。飛行経路FCおよび撮影位置は、工事管理者が操作受付部を介して指定する飛行範囲FRとラップ率とに基づいて、飛行プログラム指示部214が設定する。飛行高度および撮影方向FDは、工事管理者が操作受付部を介して直接的に設定する。
【0033】
飛行経路FCは、飛行体300が構造物の空撮を行う際の飛行体300の飛行経路である。撮影位置は、飛行体300が構造物の空撮を行う際の撮影部340による撮影位置である。飛行高度は、飛行体300が構造物の空撮を行う際の飛行体300の高度である。撮影方向FDは、詳細は後述するが、飛行体300が空撮を行う際の撮影部340による撮影角度である。
【0034】
飛行範囲FRは、飛行体300によって空撮を行う範囲である。飛行範囲FRの設定方法については後述する。ラップ率は、飛行体300による空撮の際の任意の位置の空撮画像と、該任意の位置の空撮画像と隣り合う他の空撮画像との重複率を意味する。ラップ率は、複数の空撮画像APが合成されることによって生成される合成画像CP(
図5参照)の精度と相関しており、ラップ率を大きくすると合成画像CPの精度が上がり、ラップ率を小さくすると合成画像CPの精度が下がる。以下、飛行プログラムの設定方法について詳細に説明する。
【0035】
図3は、地図情報データMDの一例を示す説明図である。まず、工事管理者は、
図3に示したような地図情報データMDを用いて、飛行範囲FRを指定する。地図情報データMDは、例えば、ネットワークNW上で利用可能なオープンソースの地図アプリケーションを利用することができる。地図情報データMDは、地図情報データMD上に表示された各地点における緯度および経度を示す経緯度情報を含んでいる。制御部210は、通信部230を介して、ネットワークNW上で利用可能な地図アプリケーションから地図情報データMDを予め取得し、地図情報データMDを記憶部220に記憶させる。
【0036】
制御部210は、記憶部220に記憶された地図情報データMDを表示部240に表示させる。工事管理者は、表示部240に表示された地図情報データMDを用いて飛行範囲FRを指定する。工事管理者は、例えば、操作受付部を介して、飛行体300が構造物の空撮を行う際の離陸地点Spと、着陸地点Epと、離陸地点Spから着陸地点Epに至るまでの経由地点Vpとを、地図情報データMD上で指定する。飛行プログラム指示部214は、工事管理者が指定した離陸地点Spと、着陸地点Epと、経由地点Vpとに基づいて、飛行範囲FRを指定する。また、工事管理者は、飛行範囲FRの指定に併せて、操作受付部を介して、ラップ率を指定する。
【0037】
飛行プログラム指示部214は、工事管理者によって指定された飛行範囲FRとラップ率とに基づいて、飛行経路FCおよび撮影位置を設定する。詳細には、飛行プログラム指示部214は、飛行体300が離陸地点Spから着陸地点Epまでを飛行する際に、工事管理者によって設定されたラップ率を満たすよう、適切な飛行経路FCを設定する。また、飛行プログラム指示部214は、飛行体300が飛行経路FC上を飛行する際に、工事管理者によって設定されたラップ率を満たすよう、適切な撮影位置を設定する。以上の操作により、飛行プログラムのうち、飛行経路FCと、撮影位置が設定される。
【0038】
飛行経路FCおよび撮影位置の設定に続いて、工事管理者は、操作受付部を介して、飛行高度と撮影方向FDとを入力する。これにより、飛行経路FCと、撮影位置と、飛行高度と、撮影方向FDとを含む飛行プログラムの設定が完了する。
【0039】
制御部210の飛行プログラム指示部214は、通信部230を介して、工事管理者によって設定された飛行プログラムを飛行体300に送信する。飛行体300の制御部310は、通信部390を介して、端末装置200から送信された飛行プログラムを受信すると、受信した飛行プログラムを記憶部320に記憶させる。
【0040】
次に、飛行体300によって、構造物30の敷地32の全体を複数の領域ごとに空撮した複数の空撮画像APを取得する(S120)。
【0041】
飛行体300は、例えば工事管理者による端末装置200の操作受付部を介した飛行開始指示があったときに飛行プログラムを実行する。制御部310は、回転翼機構330等の動作を制御することによって、飛行体300の飛行プログラムを実行する。飛行体300は、制御部310による指令に基づいて複数の空撮画像APの取得を行う。
【0042】
制御部310は、衛星信号受信部360を介して、衛星20から飛行体300の経緯度情報を受信する。制御部310は、飛行体300が工事管理者によって設定された飛行経路FC上を飛行できるよう、受信した経緯度情報に基づいて回転翼機構330の動作を制御する。制御部310は、飛行体300が撮影位置に到達した際に空撮画像APを取得できるよう、受信した経緯度情報に基づいて撮影部340を制御する。制御部310は、気圧計測部370を介して、飛行体300の高度情報を検出する。制御部310は、飛行体300が工事管理者によって設定された飛行高度を保つことができるよう、検出した高度情報に基づいて回転翼機構330の動作を制御する。制御部310は、飛行体300が工事管理者によって設定された撮影方向FDを保つよう、ジンバル350の回転軸を制御する。
【0043】
図4は、飛行体300による空撮画像APの取得方法の一例を示す説明図である。本実施形態においては、各空撮画像APは、撮影部340による撮影方向FDが略鉛直方向となる位置から撮影される。「撮影方向FDが略鉛直方向となる位置から撮影される」とは、撮影部340に含まれるレンズ342の光軸OAが、地表面GRに対して略垂直となるような方向から撮影されることを指す。「略垂直」とは、光軸OAと地表面GRとが90度となる状態だけでなく、例えば90±5度である状態を含む。前述のように、制御部310は、工事管理者が操作受付部を介して入力した撮影方向FDに基づいてジンバル350の回転軸を制御し、撮影部340による撮影方向FDを調整する。
【0044】
このような方法で取得された各空撮画像APは、位置情報が記録されている。位置情報は、各空撮画像APが撮影された時点の飛行体300の経緯度情報と、高度情報とを含む。経緯度情報は、各空撮画像APが撮影された時点での飛行体300の経緯度情報を、衛星信号受信部360を介して、衛星20から受信することによって取得される。高度情報は、気圧計測部370によって取得される。制御部310は、経緯度情報および高度情報を各空撮画像APに記録する。
【0045】
制御部310は、飛行プログラムに基づいて撮影部340が取得した複数の空撮画像APを記憶部320に記憶させる。制御部310は、通信部390を介して、記憶部320に記憶された複数の空撮画像APをサーバ装置100に送信する。サーバ装置100の制御部110は、通信部130を介して複数の空撮画像APを受信し、記憶部120に記憶させる。
【0046】
次に、複数の空撮画像APを合成することにより、合成画像CPを生成する(S130)。
【0047】
サーバ装置100の制御部110は、通信部130を介して、複数の空撮画像APを端末装置200に送信する。制御部210の画像取得部211は、通信部230を介して、複数の空撮画像APを受信し、記憶部220に記憶させる。
【0048】
画像合成部212は、記憶部220に記憶された複数の空撮画像APを合成することにより、合成画像CPを生成する(
図5参照)。複数の空撮画像APの合成は、各空撮画像APが有する位置情報(すなわち、経緯度情報と高度情報)に基づいて行われる。合成画像CPは、例えば、特開2019-28560号公報に開示された方法によって生成することができる。合成画像CPは、構造物30の敷地32が1枚の画像に収まるように複数の空撮画像APが合成される。合成画像CPの生成が終了した後、制御部210は、合成画像CPを記憶部220に記憶させる。
【0049】
次に、合成画像CPの画像解析をすることにより、構造物30における合成画像CP上の通芯ASの位置と、構造物30の工事における複数の作業区域WAごとの作業状態WSとを認識する(S140)。
【0050】
制御部210の画像解析部216は、各空撮画像APに記録された経緯度情報に基づいて、合成画像CP上の通芯ASの位置を認識する。また、画像解析部216は、構造物30の工事における複数の作業区域WAごとの作業状態WSを認識する(
図5参照)。これらの画像解析は、例えば、画像特徴量に基づく統計的パターン認識といった公知の画像認識技術を用いることにより実現することができる。なお、画像認識には、人工知能(AI)が利用されてもよい。このようにすれば、画像認識精度を向上させることができる。
【0051】
次に、通芯ASの位置を示す表示と、作業状態WSを示す表示とを合成画像CP上に描画する(S150)。
【0052】
図5は、画像加工処理後の合成画像CPの一例を示す説明図である。制御部210の画像加工部215は、画像解析部216によって認識された合成画像CPにおける通芯ASの位置に、通芯ASを示す表示(例えば、XB1,XB2,・・・等)を合成画像CPに自動的に描画する。また、画像加工部215は、画像解析部216によって認識された構造物30の工事における複数の作業区域WAの作業状態WSを示す表示(例えば、鉄骨工事,基礎工事等)を合成画像CPに自動的に描画する。
【0053】
次に、進捗管理画面PSを生成・表示する(S160)。
【0054】
図6は、進捗管理画面PSの一例を示す説明図である。
図6には、端末装置200の表示部240に表示された進捗管理画面PSが示されている。進捗管理画面PSは、ヘッダ領域PUと、進捗状況表示領域PMとを含む。ヘッダ領域PUは、工事対象となる構造物の名称(例えば、〇〇××物流センター)と、進捗状況表示領域PMに示された情報(例えば、現場工事状況)とを表示する領域である。進捗状況表示領域PMは、画像加工部215による加工処理が施された後の合成画像CPを表示する画像表示欄PPと、画像表示欄PPに表示された合成画像CPの撮影日を表示する日付表示欄PDとを含む。以上により、工事管理支援処理が完了する。
【0055】
A-3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の端末装置200は、構造物30の工事管理を支援する。端末装置200は、画像取得部211と、画像合成部212と、表示制御部213とを備える。画像取得部211は、撮影部340を有する飛行体300によって空撮された複数の空撮画像APを取得する。各空撮画像APは、撮影部340による撮影方向FDが略鉛直方向となる位置から構造物30の少なくとも一部が複数の領域ごとに撮影され、各空撮画像APの位置情報が記録されている。画像合成部212は、各空撮画像APが有する位置情報に基づいて複数の空撮画像APを合成することにより、合成画像CPを生成する。表示制御部213は、合成画像CPを表示する。
【0056】
このように、本実施形態の端末装置200によれば、工事対象である構造物30を飛行体300によって空撮した複数の空撮画像APを取得し、複数の空撮画像APを合成することにより、合成画像CPを生成することができる。すなわち、工事管理者は、構造物30の工事の進捗状況を施主または現場作業者に伝達するために、現場に赴いて複数の画像を取得したり、複数の画像を用いて進捗状況を説明したりする必要がない。工事管理者は、端末装置200を操作することによって、構造物30の少なくとも一部が表示された合成画像CPを取得し、1枚の合成画像CPを用いて進捗状況の説明をすることができる。一方、施主または現場作業者は、1枚の合成画像CPを見るだけで工事の進捗状況を十分に把握することができる。そのため、端末装置200によれば、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間を低減することができる。
【0057】
また、本実施形態の端末装置200によれば、各空撮画像APは、撮影部340による撮影方向FDが略鉛直方向となる位置から撮影される。そのため、斜め方向から撮影された空撮画像と比較すると、構造物における各地点の高さの違いによって生じる位置および大きさのずれを低減させることができる。
【0058】
また、本実施形態の端末装置200では、合成画像CPは、構造物30の敷地32の全体が1枚の画像に収まるように複数の空撮画像APが合成された画像である。本実施形態の端末装置200によれば、施主または現場作業者は、構造物30の敷地32の全体が収められた1枚の合成画像CPを見るだけで構造物30の全体の工事の進捗状況を十分に把握することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0059】
また、本実施形態の端末装置200では、各空撮画像APの位置情報は、各空撮画像APを空撮した時点での飛行体300の経緯度情報と、高度情報とを含む。本実施形態の端末装置200によれば、各空撮画像APの経緯度情報と、高度情報とに基づいて、合成画像CPを生成することができる。そのため、合成画像CPの精度を上げることができ、工事管理者による工事の進捗状況の伝達を正確に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態の端末装置200では、経緯度情報は、飛行体300が衛星20からの信号を受信することによって取得される。本実施形態の端末装置200によれば、各空撮画像APの経緯度情報を衛星20から取得し、取得した経緯度情報に基づいて、合成画像CPを生成することができる。そのため、合成画像CPの精度をより効果的に上げることができ、工事管理者による工事の進捗状況の伝達をより正確に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態の端末装置200にでは、さらに、飛行プログラム指示部214を備え、表示制御部213は、経緯度情報を含む地図情報データMDを表示し、飛行プログラム指示部214は、地図情報データMD上で指定された飛行体300の飛行範囲FRに基づいて、飛行体300が空撮を行う際の飛行経路FCを設定し、飛行経路FCを含む飛行プログラムを飛行体300に送信する。本実施形態の端末装置200によれば、工事管理者が地図情報データMD上で指定した飛行体300の飛行範囲FRに基づいて、飛行体300の飛行経路FCを設定し、飛行経路FCを含む飛行プログラムを飛行体300に送信することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0062】
また、本実施形態の端末装置200では、飛行プログラム指示部214は、地図情報データMD上で指定された飛行体300の飛行範囲FRに基づいて、飛行体300が空撮を行う際の撮影部340による撮影位置を設定し、飛行プログラムは、撮影位置を含む。本実施形態の端末装置200によれば、工事管理者が地図情報データMD上で指定した飛行体300の飛行範囲FRに基づいて、撮影部340のよる撮影位置を設定し、撮影位置を含む飛行プログラムを飛行体300に送信することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0063】
また、本実施形態の端末装置200では、さらに、合成画像CP上に、構造物30における合成画像CP上の通芯ASの位置を示す表示を描画する画像加工部215を備える。本実施形態の端末装置200によれば、合成画像CP上に構造物30における通芯ASの位置を示す表示を描画することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0064】
また、本実施形態の端末装置200では、画像加工部215は、構造物30の工事における複数の作業区域WAごとの作業状態WSを示す表示を描画する。本実施形態の端末装置200によれば、合成画像CP上に複数の作業区域WAごとの作業状態WSを示す表示を描画することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0065】
また、本実施形態の端末装置200では、さらに、合成画像CPを解析することにより、構造物30における合成画像CP上の通芯ASの位置と、構造物30の工事における複数の作業区域WAごとの作業状態WSとの少なくとも一方を自動的に認識する画像解析部216を備え、画像加工部215は、画像解析部216の解析に基づいて、構造物30における通芯ASの位置と、作業状態WSとの少なくとも一方を示す表示を自動的に描画する。本実施形態の端末装置200によれば、構造物30における通芯ASの位置と、複数の作業区域WAごとの作業状態WSとを画像解析によって自動的に認識することができ、さらに、通芯ASの位置と、作業状態WSとを合成画像CP上に自動的に描画することができる。そのため、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間をより効果的に低減することができる。
【0066】
また、本実施形態の工事管理支援システム10は、構造物30の工事管理を支援する。工事管理支援システム10は、飛行体300と、端末装置200とを備える。飛行体300は、複数の空撮画像APを取得する撮影部340と、衛星20からの信号を受信することにより、各空撮画像APが撮影された時点での飛行体300の位置情報を取得する衛星信号受信部360と、衛星信号受信部360によって取得された飛行体300の位置情報を、各空撮画像APに記録させる制御部310と、複数の空撮画像APを端末装置200に送信する通信部390とを有する。端末装置200は、複数の空撮画像APを飛行体300から受信する通信部230と、通信部230を介して複数の空撮画像APを取得する画像取得部211と、各空撮画像APが有する位置情報に基づいて複数の空撮画像APを合成することにより、合成画像CPを生成する画像合成部212と、合成画像CPを表示する表示制御部213とを有する。
【0067】
このように、本実施形態の工事管理支援システム10によれば、工事対象である構造物30を飛行体300によって空撮した複数の空撮画像APを取得し、複数の空撮画像APを合成することにより、合成画像CPを生成することができる。すなわち、工事管理者は、構造物30の工事の進捗状況を施主または現場作業者に伝達するために、現場に赴いて複数の画像を取得したり、複数の画像を用いて進捗状況を説明したりする必要がない。工事管理者は、端末装置200を操作することによって、構造物30の少なくとも一部が表示された合成画像CPを取得し、1枚の合成画像CPを用いて進捗状況の説明をすることができる。一方、施主または現場作業者は、1枚の合成画像CPを見るだけで工事の進捗状況を十分に把握することができる。そのため、工事管理支援システム10によれば、工事管理者による工事の進捗状況の伝達にかかる手間を低減することができる。
【0068】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0069】
上記実施形態の工事管理支援システム10の構成は、あくまで一例であり、種々変形が可能である。例えば、飛行体300を操作するための送信機(コントローラー)を備えていてもよい。
【0070】
上記実施形態における端末装置200の構成は、あくまで一例であり、種々変形が可能である。例えば、端末装置200は、撮影部等を備えていてもよい。
【0071】
上記実施形態における飛行体300の構成は、あくまで一例であり、種々変形が可能である。例えば、飛行体300の高度を計測するための超音波センサや、飛行体300の飛行時の姿勢を調節するための加速度センサ、角速度センサ等を備えていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、撮影部340が取得した複数の空撮画像APは、飛行体300からサーバ装置100に送信され、その後、サーバ装置100から端末装置200へ送信されているが、複数の空撮画像APは、サーバ装置100を介さず、飛行体300から端末装置200へ直接的に送信されてもよい。このような場合、サーバ装置100は、必ずしも必要ではない。
【0073】
上記実施形態の工事管理支援システム10では、飛行体300は、構造物30の敷地32の全体を空撮するものであるが、飛行体300が構造物30の敷地32の少なくとも一部を空撮するものであってもよい。
【0074】
上記実施形態では、通芯ASおよび作業状態WSを示す表示は、画像加工部215によって自動的に描画されているが、通芯ASおよび作業状態WSを示す表示は、工事管理者によって描画されてもよい。
【0075】
上記実施形態では、画像解析部216は、画像解析によって、合成画像CP上の通芯ASと作業状態WSとを認識しているが、通芯ASと作業状態WSとの一方を認識するものであってもよい。また、画像加工部215は、合成画像CP上の通芯ASと作業状態WSとを描画しているが、通芯ASと作業状態WSとの一方を描画するものであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
10:工事管理支援システム 20:衛星 30:構造物 32:敷地 100:サーバ装置 110:制御部 120:記憶部 130:通信部 140:操作部 150:表示部 200:端末装置 210:制御部 211:画像取得部 212:画像合成部 213:表示制御部 214:飛行プログラム指示部 215:画像加工部 216:画像解析部 220:記憶部 230:通信部 240:表示部 250:衛星信号受信部 300:飛行体 310:制御部 320:記憶部 330:回転翼機構 340:撮影部 342:レンズ 350:ジンバル 360:衛星信号受信部 370:気圧計測部 380:地磁気センサ 390:通信部 NW:ネットワーク GR:地表面 OA:光軸 AP:空撮画像 CP:合成画像 AS:通芯 WA:作業区域 FC:飛行経路 FD:撮影方向 FR:飛行範囲 MD:地図情報データ Ep:着陸地点 Sp:離陸地点 Vp:経由地点 PS:進捗管理画面 PU:ヘッダ領域 PM:進捗状況表示領域 PD:日付表示欄 PP:画像表示欄