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特開2024-174292工事支援装置および工事支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174292
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】工事支援装置および工事支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20241210BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G06Q50/08
G09B29/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092041
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】片山 厚子
(72)【発明者】
【氏名】川越 貴子
(72)【発明者】
【氏名】喜田 浩行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 茂郎
(72)【発明者】
【氏名】川井田 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】裏橋 信夫
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和巳
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 真吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊二
【テーマコード(参考)】
2C032
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C032HC11
2C032HC27
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】構造物の工事現場において、工事作業者が自らの位置を容易に把握できるようにすること。
【解決手段】ユーザによって操作され、構造物の工事を支援する工事支援装置であって、各地点の経緯度情報を含み、かつ、ネットワーク上で利用可能な地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、構造物の二次元図面における構造物の通芯の位置を表す通芯データを取得する図面データ取得部と、地図情報データ上の構造物の通芯の位置に、通芯データを重ね合わせることによって、ネットワーク上で利用可能な複合地図を生成する複合地図生成部とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作され、構造物の工事を支援する工事支援装置であって、
各地点の経緯度情報を含み、かつ、ネットワーク上で利用可能な地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、
前記構造物の二次元図面における前記構造物の通芯の位置を表す通芯データを取得する図面データ取得部と、
前記地図情報データ上の前記構造物の前記通芯の位置に、前記通芯データを重ね合わせることによって、前記ネットワーク上で利用可能な複合地図を生成する複合地図生成部と、
を備える、工事支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の工事支援装置であって、
前記図面データ取得部は、前記構造物の二次元図面における前記構造物の杭の位置を表す杭データを取得し、
前記複合地図生成部は、前記地図情報データ上の前記構造物の前記杭の位置に、前記杭データを重ね合わせることによって、前記複合地図を生成する、工事支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の工事支援装置であって、
前記図面データ取得部は、前記構造物の二次元図面における前記構造物の輪郭線を表すデータを取得しない、工事支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の工事支援装置であって、さらに、
前記複合地図を、前記ユーザが指定した他のユーザの端末装置に共有することを指示する共有指示部を備える、工事支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の工事支援装置であって、
前記共有指示部は、前記ネットワーク上における前記複合地図の所在を示すURLを生成し、前記ユーザが指定した前記他のユーザの端末装置に前記URLを送信する、工事支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の工事支援装置であって、
前記共有指示部は、前記URLを変換した二次元コードを生成する、工事支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の工事支援装置であって、
前記通芯データおよび前記杭データは、前記経緯度情報を含み、
前記複合地図生成部は、前記地図情報データと、前記通芯データと、前記杭データとのそれぞれに含まれる前記経緯度情報に基づいて前記複合地図を生成する、工事支援装置。
【請求項8】
構造物の工事を支援する工事支援システムであって、
ユーザによって操作される工事支援装置と、
他のユーザによって操作される端末装置と、を備え、
前記工事支援装置は、
ネットワークと通信する工事支援装置側通信部と、
各地点の経緯度情報を含み、かつ、前記ネットワーク上で利用可能な地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、
前記構造物の二次元図面における前記構造物の通芯の位置を表す通芯データを取得する図面データ取得部と、
前記地図情報データ上の前記構造物の前記通芯の位置に、前記通芯データを重ね合わせることによって、前記ネットワーク上で利用可能な複合地図を生成する複合地図生成部と、
を有し、
前記端末装置は、
前記ネットワークと通信する端末装置側通信部と、
前記端末装置側通信部を介して、前記複合地図を取得する複合地図取得部と、
全球測位衛星システムからの信号を受信することにより、前記端末装置の位置情報を取得する衛星信号受信部と、
前記複合地図と、前記複合地図上の前記端末装置の位置とを表示する表示制御部と、
を有する、工事支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載の工事支援システムであって、
前記工事支援装置は、さらに、
前記ネットワーク上における前記複合地図の所在を示すURLを生成し、前記URLを変換した二次元コードを生成する共有指示部を有し、
前記端末装置は、さらに、
前記二次元コードを読み取る撮影部を有する、工事支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、工事支援装置および工事支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物や土木構造物といった構造物の工事を支援する工事支援装置が知られている。従来、地図と施工計画図を貼り合わせた複合地図上に、重機、運搬機および作業員の位置情報を付した表示データを作業端末に表示することにより、土木施工現場の管理者が作業状況を詳細に把握することができる施工管理システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-56214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
構造物の工事現場では、作業員が自らの位置を把握することが困難な場合がある。工事現場では、作業員が自らの位置を把握できるようにするため、例えば、工事現場の外周に設けられた仮囲いに、工事対象である構造物の通芯の位置を示す看板が設置されるが、仮囲いから離れた位置では、看板に書かれた内容を確認することは困難である。上記の施工管理システムでは、作業員自身は、複合地図上に表示された自らの位置情報を把握することはできないため、作業員の業務の効率化には至っていない。
【0005】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、例えば以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本明細書に開示される工事支援装置は、ユーザによって操作され、構造物の工事を支援する工事支援装置であって、各地点の経緯度情報を含み、かつ、ネットワーク上で利用可能な地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、前記構造物の二次元図面における前記構造物の通芯の位置を表す通芯データを取得する図面データ取得部と、前記地図情報データ上の前記構造物の前記通芯の位置に、前記通芯データを重ね合わせることによって、前記ネットワーク上で利用可能な複合地図を生成する複合地図生成部と、を備える。
【0008】
本工事支援装置によれば、地図情報データに通芯データを重ね合わせることにより、ネットワーク上で利用可能な複合地図を生成することができる。そのため、例えば構造物の工事作業者等である他のユーザは、例えば、自らが所持する端末装置によってネットワークから複合地図を取得することにより、構造物の工事現場における自らの位置を容易に把握することができる。また、複合地図は、ネットワーク上で利用することが可能であるため、例えば構造物の工事管理者等であるユーザは、独自のシステムを構築する必要がなく、工事支援に係るコストを低減することができる。
【0009】
(2)上記工事支援装置において、前記図面データ取得部は、前記構造物の二次元図面における前記構造物の杭の位置を表す杭データを取得し、前記複合地図生成部は、前記地図情報データ上の前記構造物の前記杭の位置に、前記杭データを重ね合わせることによって、前記複合地図を生成する構成としてもよい。本工事支援装置によれば、地図情報データに通芯データと杭データとを重ね合わせた複合地図を生成することができるため、他のユーザは、構造物の工事現場における自らの位置をより容易に把握することができる。
【0010】
(3)上記工事支援装置において、前記図面データ取得部は、前記構造物の二次元図面における前記構造物の輪郭線を表すデータを取得しない構成としてもよい。本工事支援装置によれば、図面データ取得部が取得する構造物の情報は、通芯データおよび杭データのように、他のユーザが自らの位置を把握するために必要な情報に限られ、構造物の輪郭線に関わる情報を含んでいない。そのため、万が一、複合地図が第三者に閲覧されたとしても、工事の情報(例えば、構造物の種類等)を第三者に把握されることを防止することができる。
【0011】
(4)上記工事支援装置において、さらに、前記複合地図を、前記ユーザが指定した他のユーザの端末装置に共有することを指示する共有指示部を備える構成としてもよい。本工事支援装置によれば、複合地図が、ユーザが指定した他のユーザの端末装置に共有されるため、第三者に閲覧されることを制限することができる。
【0012】
(5)上記工事支援装置において、前記共有指示部は、前記ネットワーク上における前記複合地図の所在を示すURLを生成し、前記ユーザが指定した前記他のユーザの端末装置に前記URLを送信する構成としてもよい。本工事支援装置によれば、ユーザが指定した他のユーザの端末装置に複合地図の所在を示すURLが送信されるため、複合地図を必要とする人に限定して、複合地図を共有することができる。
【0013】
(6)上記工事支援装置において、前記共有指示部は、前記URLを変換した二次元コードを生成する構成としてもよい。本工事支援装置によれば、ユーザは、自らが許可した他のユーザに限定して二次元コードを提示し、他のユーザは、提示された二次元コードを用いて複合地図を容易に取得することができるため、複合地図を必要とする人に限定して、複合地図を効率的に共有することができる。
【0014】
(7)上記工事支援装置において、前記通芯データおよび前記杭データは、前記経緯度情報を含み、前記複合地図生成部は、前記地図情報データと、前記通芯データと、前記杭データとのそれぞれに含まれる前記経緯度情報に基づいて前記複合地図を生成する構成としてもよい。本工事支援装置によれば、経緯度情報に基づいて地図情報データと通芯データと杭データとを重ね合わせることによって、より正確な複合地図を生成することができる。
【0015】
(8)本明細書に開示される工事支援システムは、構造物の工事を支援する工事支援システムであって、ユーザによって操作される工事支援装置と、他のユーザによって操作される端末装置と、を備える。前記工事支援装置は、ネットワークと通信する工事支援装置側通信部と、各地点の経緯度情報を含み、かつ、前記ネットワーク上で利用可能な地図情報データを取得する地図情報データ取得部と、前記構造物の二次元図面における前記構造物の通芯の位置を表す通芯データを取得する図面データ取得部と、前記地図情報データ上の前記構造物の前記通芯の位置に、前記通芯データを重ね合わせることによって、前記ネットワーク上で利用可能な複合地図を生成する複合地図生成部と、を有する。前記端末装置は、前記ネットワークと通信する端末装置側通信部と、前記端末装置側通信部を介して、前記複合地図を取得する複合地図取得部と、全球測位衛星システムからの信号を受信することにより、前記端末装置の位置情報を取得する衛星信号受信部と、前記複合地図と、前記複合地図上の前記端末装置の位置とを表示する表示制御部と、を有する。
【0016】
本工事支援システムによれば、例えば構造物の工事管理者等であるユーザは、工事支援装置を用いて、地図情報データに通芯データを重ね合わせることにより、ネットワーク上で利用可能な複合地図を生成することができる。そのため、例えば構造物の工事作業者等である他のユーザは、端末装置を用いて、ネットワークから複合地図を取得することにより、構造物の工事現場における自らの位置を容易に把握することができる。また、複合地図は、ネットワーク上で利用することが可能であるため、ユーザは、独自のシステムを構築する必要がなく、工事支援に係るコストを低減することができる。
【0017】
(9)上記工事支援システムにおいて、前記工事支援装置は、さらに、前記ネットワーク上における前記複合地図の所在を示すURLを生成し、前記URLを変換した二次元コードを生成する共有指示部を有し、前記端末装置は、さらに、前記二次元コードを読み取る撮影部を有する構成としてもよい。本工事支援システムによれば、ユーザは、自らが許可した他のユーザに限定して二次元コードを提示し、他のユーザは、提示された二次元コードを用いて複合地図を容易に取得することができるため、必要とする人に限定して、複合地図を効率的に共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態における工事支援システム10の概略構成を示す説明図
図2】本実施形態における工事支援システム10の構成を示すブロック図
図3】本実施形態における工事支援処理を示すフローチャート
図4】複合地図CMの一例を示す説明図
図5】複合地図CMの一部(図4のX1部)を拡大して示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.実施形態:
A-1.工事支援システム10の構成:
図1は、本実施形態における工事支援システム10の概略構成を示す説明図である。図2は、本実施形態における工事支援システム10の構成を示すブロック図である。工事支援システム10は、建築物や土木構造物等の構造物の工事を支援するためのものである。具体的には、構造物の工事管理者が、工事支援装置100を用いて、地図情報データと、工事対象である構造物の図面データとを重ね合わせることによってネットワーク上で利用可能な複合地図を生成し、複合地図を端末装置200に共有することによって、構造物の工事作業者が、自らの位置情報を容易に把握できるようにするシステムである。本実施形態において、工事対象である構造物は、構造物CSである。工事支援システム10は、工事支援装置100と、端末装置200と、図面データ保管サーバ300とを備える。工事支援装置100と、端末装置200と、図面データ保管サーバ300とは、ネットワークNWを介して互いに接続されている。上記工事管理者は、特許請求の範囲におけるユーザの一例であり、上記工事作業者は、特許請求の範囲における他のユーザの一例である。
【0020】
工事支援装置100は、例えば構造物CSの工事管理者によって操作される構造物CSの工事を支援する装置であり、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン等である。工事支援装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、表示部140と、操作部150とを備える。記憶部120は、例えばハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)やROM、RAM等により構成されており、工事支援装置100を制御するためのプログラムを記憶する。通信部130は、無線通信方式または有線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。表示部140は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、各種の画像や情報を表示する。操作部150は、例えばキーボードやマウス等により構成され、工事管理者の操作を受け付ける。通信部130は、特許請求の範囲における工事支援装置側通信部の一例である。
【0021】
制御部110は、例えば中央制御ユニット(以下、「CPU」という。)等により構成されており、記憶部120から読み出した各種プログラムを実行する。これにより、地図情報データ取得部112、図面データ取得部114、複合地図生成部116、共有指示部118等の制御部110の各機能が実現される。これら各機能については、後述の「A-2.工事支援処理」において説明する。
【0022】
端末装置200は、例えば構造物CSの工事作業者(P1,P2,・・・,Pn)によって操作される端末装置であり、例えば、タブレット端末やスマートフォン、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブルデバイス等である。端末装置200は、制御部210と、記憶部220と、通信部230と、表示部240と、衛星信号受信部250と、撮影部260とを備える。記憶部220は、例えばHDDやROM、RAM等により構成されており、端末装置200を制御するための各種プログラムを記憶する。通信部230は、無線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。表示部240は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、各種の画像や情報を表示する。本実施形態では、表示部240は、タッチパネルを有し、工事作業者による操作を受け付ける操作受付部としても機能する。通信部230は、特許請求の範囲における端末装置側通信部の一例である。
【0023】
衛星信号受信部250は、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を構成する衛星20から受信した信号を利用して、自己の現在位置を特定する情報(経緯度情報)を取得する装置である。本実施形態で用いるGNSSは、GPSのように1台の受信機を用いる単独測位を採用してもよく、RTK(Real Time Kinematic)-GNSSのように2台以上の受信機を用いる相対測位を採用してもよい。衛星20は、特許請求の範囲における全球測位衛星システムの一例である。
【0024】
撮影部260は、撮影により画像を表す画像データを生成するカメラである。また、本実施形態においては、撮影部260は、例えばQRコード(登録商標)等の二次元コードの読み取りを行うバーコードリーダとしても機能する。
【0025】
制御部210は、例えばCPU等により構成されており、記憶部220から読み出した各種プログラムを実行する。これにより、複合地図取得部212、表示制御部214等の制御部210の各機能が実現される。これら各機能については、後述の「A-2.工事支援処理」において説明する。
【0026】
図面データ保管サーバ300は、構造物CSの二次元図面(以下、単に「図面」という。)を表す後述の図面データDDを保管する装置である。図面データDDは、例えば構造物の平面図等を表すデータであり、例えばDXF形式のCADデータである。
【0027】
A-2.工事支援処理:
次に、本実施形態の工事支援システム10における工事支援処理の動作例を説明する。図3は、本実施形態における工事支援処理を示すフローチャートである。
【0028】
はじめに、図面データ保管サーバ300から図面データDDを取得する(S110)。工事管理者は、操作部150を介して工事支援装置100を操作する。工事支援装置100の図面データ取得部114は、通信部130を介して、図面データ保管サーバ300から、例えばDXF形式の図面データDDを取得する。図面データDDは、構造物CSの図面における構造物CSの通芯の位置を表す通芯データADと、構造物CSの図面における構造物CSの杭の位置を表す杭データPDとによって構成される(図5参照)。すなわち、図面データ取得部114は、構造物CSの図面における構造物CSの輪郭線を示すデータを取得しない。なお、通芯データADおよび杭データPDは、経緯度情報を含んでおり、構造物CSを構成する通芯および杭について、例えば世界測地系における位置情報が記録されている。
【0029】
次に、ネットワークNW上の地図情報データMDを取得する(S120)。工事支援装置100の地図情報データ取得部112は、通信部130を介して、各地点の経緯度情報を含み、かつ、ネットワークNW上で利用可能な地図情報データMDを取得する。ネットワークNW上で利用可能な地図情報データMDとは、例えば、Googleマップ(登録商標)である。本明細書では、これ以降、Googleマップの機能の一つであるGoogleマイマップを利用する場合を想定した工事支援システム10の動作例について説明する。
【0030】
次に、地図情報データMDに図面データDDを重ね合わせることにより、複合地図CMを生成する(S130)。工事支援装置100の複合地図生成部116は、図面データDDをDXFファイルから例えばKML(Keyhole Markup Language)ファイルに変換する。複合地図生成部116は、Googleマイマップを用い、KMLファイルに変換された図面データDDをアップロードすることにより、地図情報データMD上の構造物CSの通芯の位置に、通芯データADを重ね合わせ、地図情報データMD上の構造物CSの杭の位置に、杭データPDを重ね合わせる。これにより、ネットワークNW上で利用可能な複合地図CMを生成することができる。前述のように、地図情報データMD、通芯データADおよび杭データPDは、それぞれ経緯度情報を含んでいる。複合地図生成部116は、地図情報データMDと、通芯データADと、杭データPDとのそれぞれに含まれる経緯度情報に基づいて各データを重ね合わせることにより、複合地図CMを生成する。
【0031】
次に、工事管理者が指定した工事作業者の端末装置200にURLを送信する(S140)。工事支援装置100の共有指示部118は、複合地図CMを、工事管理者が指定した工事作業者の端末装置200に共有することを通信部130に指示する。より詳細には、共有指示部118は、ネットワークNW上における複合地図CMの所在を示すURLを生成し、通信部130を介して、工事管理者が指定した工事作業者の端末装置200に上記URLを送信する。端末装置200の複合地図取得部212は、通信部230を介して、工事支援装置100から上記URLを受信する。複合地図取得部212は、上記URLを用いることにより、ネットワークNW上の複合地図CMを取得する。なお、本実施形態では、複合地図CMは、Googleマイマップの機能によって公開範囲を設定することができ、例えばURLを知っているユーザにのみ公開する設定とした場合、実質的に工事管理者がURLを送信したユーザに対してのみ、複合地図CMを共有することができる。
【0032】
次に、ネットワークNW上における複合地図CMの所在を示すURLを変換した二次元コードを生成する(S150)。工事支援装置100の共有指示部118は、ネットワークNW上における複合地図CMの所在を示すURLを変換した二次元コードを生成する。生成された二次元コードは、例えば紙面に印刷する等により出力される。
【0033】
次に、端末装置200によって二次元コードを読み取り、複合地図CMを取得する(S160)。工事作業者は、端末装置200を用い、例えば構造物CSの工事現場で提示された複合地図CMの所在を示すURLの情報を含む二次元コードを読み取ることによって複合地図CMを取得する。端末装置200は、撮影部260を用いて二次元コードの読み取りを行う。端末装置200の複合地図取得部212は、二次元コードに含まれる情報から複合地図CMの所在を示すURLを取得し、通信部230を介して、ネットワークNW上にある複合地図CMを取得する。なお、工事作業者の端末装置200に共有する方法として、S140と、S150およびS160とは、少なくともいずれか一方が実施されればよい。
【0034】
次に、端末装置200によって複合地図CMを表示する(S170)。図4は、複合地図CMの一例を示す説明図である。また、図5は、複合地図CMの一部(図4のX1部)を拡大して示す説明図である。端末装置200の表示制御部214は、複合地図取得部212によって取得された複合地図CMを表示部240に表示する。複合地図CMは、地図情報データMD上の構造物CSの位置に、構造物CSの通芯の位置を示す通芯データADと、構造物CSの杭の位置を示す杭データPDとからなる図面データDDを重ね合わせたものとして表示される。通芯データADは、通芯ごとに付された番号を示す通芯番号ASnを含んでおり、杭データPDは、杭ごとに付された番号を示す杭番号PInを含んでいる。
【0035】
表示制御部214は、複合地図CMに加え、複合地図CM上の端末装置200の位置を表示部240に表示する。図5に示すように、複合地図CMには、工事作業者が所持している端末装置200の位置情報を示す現在位置WPが表示される。端末装置200は、衛星信号受信部250を介して、衛星20から衛星信号を受信することによって、自らの位置情報を取得する。端末装置200の表示制御部214は、衛星信号受信部250が取得した位置情報に基づいて、現在位置WPを複合地図CMに表示する。これにより、工事作業者は、複合地図CM上に表示された現在位置WPに基づいて、構造物CSにおける自らの位置情報を把握することができる。
【0036】
A-3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の工事支援装置100は、工事管理者によって操作され、構造物CSの工事を支援する工事支援装置であって、各地点の経緯度情報を含み、かつ、ネットワークNW上で利用可能な地図情報データMDを取得する地図情報データ取得部112と、構造物CSの二次元図面における構造物CSの通芯の位置を表す通芯データADを取得する図面データ取得部114と、地図情報データMD上の構造物CSの通芯の位置に、通芯データADを重ね合わせることによって、ネットワークNW上で利用可能な複合地図CMを生成する複合地図生成部116と、を備える。
【0037】
このように、本実施形態の工事支援装置100によれば、地図情報データMDに通芯データADを重ね合わせることにより、ネットワークNW上で利用可能な複合地図CMを生成することができる。そのため、工事作業者は、例えば自らが所持する端末装置によってネットワークNWから複合地図CMを取得することにより、構造物CSの工事現場における自らの位置を容易に把握することができる。また、複合地図CMは、ネットワークNW上で利用することが可能であるため、工事管理者は、独自のシステムを構築する必要がなく、工事支援に係るコストを低減することができる。
【0038】
また、本実施形態の工事支援装置100では、図面データ取得部114は、構造物CSの二次元図面における構造物CSの杭の位置を表す杭データPDを取得し、複合地図生成部116は、地図情報データMD上の構造物CSの杭の位置に、杭データPDを重ね合わせることによって、複合地図CMを生成する。本実施形態の工事支援装置100によれば、地図情報データMDに通芯データADと杭データPDとを重ね合わせた複合地図CMを生成することができるため、工事作業者は、構造物CSの工事現場における自らの位置をより容易に把握することができる。
【0039】
また、本実施形態の工事支援装置100では、図面データ取得部114は、構造物CSの二次元図面における構造物CSの輪郭線を表すデータを取得しない。本実施形態の工事支援装置100によれば、図面データ取得部114が取得する構造物CSの情報は、通芯データADおよび杭データPDのように、工事作業者が自らの位置を把握するために必要な情報に限られ、構造物の輪郭線に関わる情報を含んでいない。そのため、万が一、複合地図CMが第三者に閲覧されたとしても、工事の情報(例えば、構造物CSの種類等)を第三者に把握されることを防止することができる。
【0040】
また、本実施形態の工事支援装置100では、さらに、複合地図CMを、工事管理者が指定した工事作業者の端末装置200に共有することを指示する共有指示部118を備える。本実施形態の工事支援装置100によれば、複合地図CMが、工事管理者が指定した工事作業者の端末装置200に共有されるため、第三者に閲覧されることを制限することができる。
【0041】
また、本実施形態の工事支援装置100では、共有指示部118は、ネットワークNW上における複合地図CMの所在を示すURLを生成し、工事管理者が指定した工事作業者の端末装置200に上記URLを送信する。本実施形態の工事支援装置100によれば、工事管理者が指定した工事作業者の端末装置200に複合地図CMの所在を示すURLが送信されるため、複合地図CMを必要とする人に限定して、複合地図CMを共有することができる。
【0042】
また、本実施形態の工事支援装置100では、共有指示部118は、上記URLを変換した二次元コードを生成する。本実施形態の工事支援装置100によれば、工事管理者は、自らが許可した工事作業者に限定して二次元コードを提示し、工事作業者は、提示された二次元コードを用いて複合地図CMを容易に取得することができるため、複合地図CMを必要とする人に限定して、複合地図CMを効率的に共有することができる。
【0043】
また、本実施形態の工事支援装置100では、通芯データADおよび杭データPDは、経緯度情報を含み、複合地図生成部116は、地図情報データMDと、通芯データADと、杭データPDとのそれぞれに含まれる経緯度情報に基づいて複合地図CMを生成する。本実施形態の工事支援装置100によれば、経緯度情報に基づいて地図情報データMDと通芯データADと杭データPDとを重ね合わせることによって、より正確な複合地図CMを生成することができる。
【0044】
また、本実施形態の工事支援システム10は、構造物CSの工事を支援する工事支援システムであって、工事管理者によって操作される工事支援装置100と、工事作業者によって操作される端末装置200と、を備える。工事支援装置100は、ネットワークNWと通信する通信部130と、各地点の経緯度情報を含み、かつ、ネットワークNW上で利用可能な地図情報データMDを取得する地図情報データ取得部112と、構造物CSの二次元図面における構造物CSの通芯の位置を表す通芯データADを取得する図面データ取得部114と、地図情報データMD上の構造物CSの通芯の位置に、通芯データADを重ね合わせることによって、ネットワークNW上で利用可能な複合地図CMを生成する複合地図生成部116と、を有する。端末装置200は、ネットワークNWと通信する通信部230と、通信部230を介して、複合地図CMを取得する複合地図生成部116と、衛星20からの信号を受信することにより、端末装置200の位置情報を取得する衛星信号受信部250と、複合地図CMと、複合地図CM上の端末装置200の位置とを表示する表示制御部214と、を有する。
【0045】
このように、本実施形態の工事支援システム10によれば、工事管理者は、工事支援装置100を用いて、地図情報データMDに通芯データADを重ね合わせることにより、ネットワークNW上で利用可能な複合地図CMを生成することができる。そのため、工事作業者は、端末装置200を用いて、ネットワークNWから複合地図CMを取得することにより、構造物CSの工事現場における自らの位置を容易に把握することができる。また、複合地図CMは、ネットワークNW上で利用することが可能であるため、工事管理者は、独自のシステムを構築する必要がなく、工事支援に係るコストを低減することができる。
【0046】
また、本実施形態の工事支援システム10では、工事支援装置100は、さらに、ネットワークNW上における複合地図CMの所在を示すURLを生成し、上記URLを変換した二次元コードを生成する共有指示部118を有し、端末装置200は、さらに、二次元コードを読み取る撮影部260を有する。本実施形態の工事支援システム10によれば、工事管理者は、自らが許可した工事作業者に限定して二次元コードを提示し、工事作業者は、提示された二次元コードを用いて複合地図CMを容易に取得することができるため、必要とする人に限定して、複合地図CMを効率的に共有することができる。
【0047】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0048】
上記実施形態の工事支援システム10の構成は、あくまで一例であり、種々変形が可能である。上記実施形態の工事支援システム10では、工事支援装置100と、端末装置200と、図面データ保管サーバ300とを備える例を示したが、それらに加えて、例えばサーバ用コンピュータ等を備えていてもよい。また、図面データDDが、例えば工事支援装置100の記憶部120に記憶されている場合には、図面データ保管サーバ300は必ずしも必要ではない。
【0049】
上記実施形態では、ネットワークNW上で利用可能な地図情報データMDとして、Googleマップを用いることを想定した工事支援システム10の動作例を示したが、各地点の経緯度情報を含み、かつ、ネットワークNW上で利用することが可能であれば、他の地図情報データMDを用いてもよい。
【0050】
上記実施形態では、複合地図生成部116は、地図情報データMDと、通芯データADと、杭データPDとのそれぞれに含まれる経緯度情報に基づいて各データを重ね合わせることにより、複合地図CMを生成しているが、経緯度情報に基づいて各データを重ね合わせることは必須ではない。
【0051】
上記実施形態では、複合地図CMは、KML形式の図面データDDをアップロードすることによって生成されているが、複合地図CMの作成方法はこれに限定されるものではない。例えば、KML形式以外の図面データDDをアップロードしてもよいし、Googleマイマップの機能を用いて、地図情報データMDに図面データDDを直接的に描画してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10:工事支援システム 20:衛星 100:工事支援装置 110:制御部 112:地図情報データ取得部 114:図面データ取得部 116:複合地図生成部 118:共有指示部 120:記憶部 130:通信部 140:表示部 150:操作部 200:端末装置 210:制御部 212:複合地図取得部 214:表示制御部 220:記憶部 230:通信部 240:表示部 250:衛星信号受信部 260:撮影部 300:図面データ保管サーバ CS:構造物 MD:地図情報データ NW:ネットワーク DD:図面データ AD:通芯データ ASn:通芯番号 PD:杭データ PIn:杭番号 WP:現在位置
図1
図2
図3
図4
図5