(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174299
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】画像検査装置および画像検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20241210BHJP
G01N 21/90 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01N21/90 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092049
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】518106124
【氏名又は名称】コネクテッドロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジンジェ
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA28
2G051AB15
2G051BA01
2G051BB01
2G051BC01
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051CB03
2G051CD06
2G051CD07
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】 複数の画像を用いることにより、効果的な検査を可能とした画像検査装置等を提供する。
【解決手段】 検査対象物を撮影した断片画像である第1の画像を取得するとともに、検査対象物を撮影した、第1の画像と異なる断片画像である第2の画像を取得する画像取得部と、対応する断片画像に基づいて、第1の画像または第2の画像の合成画像を生成する画像合成部と、第1の画像および第2の画像に基づく検査を行う検査部と、を備え、検査部は、第1の画像または第2の画像の合成画像を用いて検査を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮影した画像である第1の画像を取得するとともに、前記検査対象物を撮影した、前記第1の画像と異なる断片画像である第2の画像を取得する画像取得部と、
対応する前記断片画像に基づいて、前記第2の画像の合成画像を生成する画像合成部と、
前記第1の画像および前記第2の画像に基づく検査を行う検査部と、
を備え、
前記検査部は、前記第2の画像の前記合成画像を用いて検査を行う、画像検査装置。
【請求項2】
前記第1の画像および前記第2の画像は、搬送装置で搬送されている前記検査対象物を、反射光照明と、透過光照明とを切り替えつつ共通のカメラにより撮影した断片画像である、請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記第1の画像および前記第2の画像は、搬送装置で搬送されている前記検査対象物を、設置位置の異なる2台のカメラのそれぞれにより撮影した断片画像である、請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記画像合成部は、前記断片画像を用いて補間することにより前記合成画像を生成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記画像合成部は、前記断片画像に基づいて生成された中間画像を用いて補間することにより前記合成画像を生成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記検査対象物は、等速で搬送され、
前記画像取得部は、断片画像である前記第1の画像および前記第2の画像を互いに異なるタイミングで取得し、
前記検査部は、前記第1の画像の合成画像における対象物の位置と、前記第2の画像の合成画像における対象物の位置とを比較することにより検査を行う、請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項7】
検査対象物を撮影した断片画像である第1の画像を取得するとともに、前記検査対象物を撮影した、前記第1の画像と異なる断片画像である第2の画像を取得する画像取得ステップと、
対応する前記断片画像に基づいて、前記第1の画像または前記第2の画像の合成画像を生成する画像合成ステップと、
前記第1の画像および前記第2の画像に基づく検査を行う検査ステップと、
を備え、
前記検査ステップでは、前記第1の画像または前記第2の画像の前記合成画像を用いて検査を行う、画像検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像検査装置および画像検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粘稠物が充填された容器に上方から照射光を照射し、容器内のフランジ部近傍の粘稠物表面の突部によって生じる該フランジ部表面の影などの有無を撮像により判別する検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6070940号公報
【特許文献2】特許第7123816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、検査対象や検査目的によっては、例えば、互いに照明光や撮影角度などが異なる複数の画像を用いることにより、効果的な検査が可能となる場合がある。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、複数の画像を用いることにより、効果的な検査を可能とした画像検査装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
検査対象物を撮影した断片画像である第1の画像を取得するとともに、前記検査対象物を撮影した、前記第1の画像と異なる断片画像である第2の画像を取得する画像取得部と、
対応する前記断片画像に基づいて、前記第1の画像または前記第2の画像の合成画像を生成する画像合成部と、
前記第1の画像および前記第2の画像に基づく検査を行う検査部と、
を備え、
前記検査部は、前記第1の画像または前記第2の画像の前記合成画像を用いて検査を行う、画像検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本開示によれば、複数の画像を用いることにより、効果的な検査を可能とした画像検査装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例の画像検査装置を備える検査システムの構成を示す図である。
【
図2】検査システムにおける撮影方法を例示する正面図である。
【
図2A】検査システムにおける撮影方法を例示する斜視図である。
【
図3】ラインカメラの走査により得られる画像の全体を例示する図である。
【
図4】ラインカメラの走査により得られる第1の画像を例示する図である。
【
図5】ラインカメラの走査により得られる第2の画像を例示する図である。
【
図6】第1の画像に示される容器を模式的に示す図である。
【
図6A】第2の画像に示される内容物を模式的に示す図である。
【
図7】容器の位置および内容物の位置を例示する図である。
【
図9A】
図9の例における断片画像を生成する方法を概念的に示す図である。
【
図10】コンベアで搬送されている容器を搬送方向に沿って配置された2台のラインカメラにより撮影する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施例の画像検査装置を備える検査システムの構成を示す図、
図2は、検査システムにおける撮影方法を例示する正面図、
図2Aは、検査システムにおける撮影方法を例示する斜視図である。
【0010】
図1に示すように、検査システムは、本実施例の画像検査装置10と、コンベア21(
図2、
図2A)を含む搬送装置を制御する搬送制御装置20と、画像検査装置10および搬送制御装置20を制御する主制御装置100とを含んで構成される。
【0011】
図1に示すように、画像検査装置10は、検査対象物としての容器40(
図2、
図2A)を撮影した断片画像である第1の画像を取得するとともに、容器40を撮影した、第1の画像と異なる断片画像である第2の画像を取得する画像取得部10Aと、対応する断片画像を合成することにより、第1の画像または第2の画像の合成画像を生成する画像合成部10Bと、合成画像を含む第1の画像および第2の画像に基づいて容器40を検査する検査部10Cと、を備える。
【0012】
図1に示すように、画像検査装置10の画像取得部10Aは、ラインカメラ11、反射光用照明部15および透過光用照明部16を制御し、第1の画像および第2の画像を取得する。反射光用照明部15および透過光用照明部16は、それぞれ反射光照明および透過光照明により容器40を照明する。画像検査装置10の画像合成部10Bは、画像処理装置12による画像処理を介して画像合成を行う。また、画像検査装置10の検査部10Cは、画像処理装置12による画像処理を用いて容器40に係る検査を行う。
【0013】
本実施例において、容器40は、光透過性を有する(透明な)プラスチック製の容器である。例えば、内容物45としての食材が格納された状態で、検査システムによる検査が行われ、検査終了後に、容器40の上部の開口がトップシール(不図示)により封着される。ここで、容器40の上部のフランジ部43(
図6)に食材が乗り出していると、封着時にフランジ部43とトップシールとの間に挟まる、いわゆる噛み込み(シール不良)が発生してしまう。本実施例では、食材が格納され、封着される前の状態の容器40が検査される。このため、実際に噛み込みが発生する前に、フランジ部43(
図6)に食材が乗り出している容器40を検知することができる。なお、本実施例は、容器40の上部の開口を塞ぐ工程としては、任意の方法に対して適用される。例えば、開口を蓋で閉じる場合にも適用可能である。また、容器の材質も任意である。例えば、ガラス等の容器に対しても本実施例を適用できる。
【0014】
図1に示すように、搬送制御装置20は、コンベア21を駆動するモータ22を制御する。
図2および
図2Aに示すように、コンベア21は、
図2における左方から右方に容器40を搬送する。
【0015】
図2および
図2Aに示すように、コンベア21の上方には、コンベア21によって等速で搬送される容器40を撮影するラインカメラ11が固定して設置される。また、ラインカメラ11の近傍には、容器40を上方から面照明する反射光用照明部15が設けられている。
【0016】
また、コンベア21の下方には、透過光用照明部16が設置されている。透過光用照明部16からの照明光は、コンベア21に形成された間隙25を介して上方に照射され、コンベア21によって搬送される容器40を照明する。
【0017】
図2および
図2Aに示すように、ラインカメラ11、反射光用照明部15および透過光用照明部16は、コンベア21の流れ方向について同一の位置に配置される。すなわち、反射光用照明部15および透過光用照明部16は、コンベア21の間隙25を介して、上下方向に互いに対向して設けられ、ラインカメラ11は、反射光用照明部15および透過光用照明部16の間に配置される。
【0018】
次に、撮影時の動作について説明する。
【0019】
内容物45が収容された容器40がコンベア21により搬送され、間隙25の位置に差し掛かると、ラインカメラ11による撮影が開始される。本実施例では、コンベア21により搬送される容器40が間隙25の位置を通過する期間を含む撮影期間に、反射光用照明部15および透過光用照明部16から交互に照明光が容器40に照射される。また、反射光用照明部15および透過光用照明部16から照明光が照射されるタイミングに合わせて、ラインカメラ11による走査が実行される。これにより、画像取得部10Aは、容器40を反射光により撮影した第1の画像を取得するとともに、容器40を透過光により撮影した第2の画像を取得する。すなわち、第1の画像および第2の画像は、画像取得部10Aにより互いに異なるタイミングで取得される。
【0020】
図3は、ラインカメラの走査により得られる画像の全体を例示する図である。
図3~
図5および
図9において、上下方向がラインカメラ11の走査方向に対応し、左右方向がコンベア21の搬送方向に対応する。
【0021】
図3に示すように、ラインカメラ11の走査により得られる画像50には、第1の画像を構成する複数の短冊状の断片画像51と、第2の画像を構成する複数の短冊状の断片画像52とが含まれる。断片画像51と断片画像52は、
図3の左右方向に交互に配置される。ここで、断片画像51および断片画像52は、それぞれラインカメラ11における1回の走査に対応する画像である。すなわち、1つの断片画像51および断片画像52が、ラインカメラ11における走査周期ごとに画像取得部10Aにより交互に取得される。
【0022】
なお、本開示において、断片画像とは、撮影範囲の一部に対応する画像をいう。本実施例では、複数の断片画像51は、反射光用照明部15による反射光で撮影された画像の集合であり、複数の断片画像52は、透過光用照明部16による反射光で撮影された画像の集合である。
【0023】
図4は、ラインカメラの走査により得られる第1の画像を例示する図、
図5は、ラインカメラの走査により得られる第2の画像を例示する図である。
【0024】
図4に示すように、第1の画像には、容器40の撮影領域の全体ではなく、その一部の領域のみが含まれる。
図5に示すように、第2の画像には、容器40の撮影領域の一部の領域であって、第1の画像には含まれない領域のみが含まれる。
【0025】
なお、
図3~
図5および
図9において、説明の便宜のため、実際よりも断片画像51および断片画像52の幅(
図3~
図5および
図9における左右方向の幅)およびピッチ(
図3~
図5および
図9における左右方向のピッチ)を大きく描画している。しかし、実際には、断片画像51および断片画像52の幅およびピッチは、後述する画像検査が可能な程度に制限されている。この幅およびピッチは、ラインカメラ11の解像度によるが、例えば、ラインカメラ11における画素数として、1~10ピクセル程度としてもよい。また、撮影条件や、コンベア21の搬送速度、ラインカメラ11の性能、画像検査装置10の動作周期等によっては、断片画像51および断片画像52の間に、撮影できない期間が生ずる場合もある。このような場合には、当該期間(の画像)は無視し、撮影できた断片画像51および断片画像52のみを使用することができる。
【0026】
図6は、第1の画像に示される容器を模式的に示す図である。
【0027】
図6に示すように、容器40の形状は、反射光により撮影した第1の画像により示される。透明な容器40の形状は、透過光による撮影よりも反射光による撮影において明瞭に提示される。
【0028】
図6において、容器40のフランジ部43は、フランジ部43の外側の輪郭41と、フランジ部43の内側の輪郭42に囲まれた領域として示される。
【0029】
なお、
図6では、容器40のフランジ部43が円環状のものを例示しているが、フランジ部43の形状は任意である。フランジ部43は容器40の開口部の形状に応じた形状を呈する。容器40の開口部の形状としては、矩形等の形状が例示される。
【0030】
図6Aは、第2の画像に示される内容物を模式的に示す図である。
【0031】
図6Aに示すように、内容物45の形状ないし輪郭は、透過光により撮影した第2の画像により示される。不透明な内容物45の形状ないし輪郭は、反射光による撮影よりも透過光による撮影において明瞭に提示される。
【0032】
このように、本実施例によれば、容器40を反射光により撮影した第1の画像に基づいて容器40の位置を特定し、容器40を内容物45とともに透過光により撮影した第2の画像に基づいて内容物45の位置を特定している。このため、容器40と内容物45の位置を安定して検知することができる。
【0033】
次に、検査部10Cにおける処理について説明する。
【0034】
検査部は、前記第1の画像の合成画像における検査対象物(容器40)の位置と、第2の画像の合成画像における検査対象物(内容物45)の位置とを比較することにより検査を行うことができる。具体的には、検査部10Cは、第1の画像に基づいて容器40の位置を特定し、第2の画像に基づいて内容物45の位置を特定する。ここで、検査部10Cが特定する容器40の位置には、フランジ部43の領域が含まれ、検査部10Cが特定する内容物45の位置には、内容物45の領域が含まれる。本実施例では、容器40の位置として、フランジ部43の領域が特定される。また、本実施例では、内容物45の位置としての内容物45の領域、とくにフランジ部43の領域における内容物45の有無が特定される。
【0035】
この場合、検査部10Cは、第1の画像および第2の画像をそのまま用いて容器40および内容物45の位置を検出することができる。また、検査部10Cは、画像合成部10Bにより生成された、第1の画像または第2の画像の合成画像を用いて、容器40および内容物45の位置を検出することができる。検査部10Cは、第1の画像および第2の画像のうちの一方をそのまま用いるとともに、他方の合成画像を用いて容器40および内容物45の位置を検出してもよい。画像合成部10Bにより生成される合成画像については後述する。
【0036】
ここで、第1の画像および第2の画像は、ラインカメラ11によって同一の位置から同一のレンズを介して撮影された画像であるため、第1の画像および第2の画像において画角が共通している。このため、容器40および内容物45の位置を、画像50における共通の座標上の位置として特定することができる。
【0037】
なお、第1の画像にフランジ部43の領域の全体が含まれていない場合であっても、検査部10Cは、他の第1の画像における他の領域の画像に基づいて、フランジ部43の領域を推定(特定)することができる。また、フランジ部43の領域に係る情報、例えば、容器40やフランジ部43の形状が既知であれば、検査部10Cは、これらの情報をさらに利用してフランジ部43の領域を推定(特定)することができる。
【0038】
図7は、容器の位置および内容物の位置を例示する図である。
【0039】
図7の例では、領域60において、内容物45が容器40のフランジ部43の領域内に侵入している。すなわち、内容物45がフランジ部43に乗り上げているため、このような場合には、検査部10Cにおいて格納状態の不良と判定する。不良と判定された場合、搬送制御装置20の制御により、当該容器40はトップシールによる封着工程への搬送経路から外されて、再度、内容物45を格納する工程へ回される。内容物45が容器40のフランジ部43の領域内に侵入していない場合には、検査部10Cは、格納状態を良好と判定し、搬送制御装置20の制御により、当該容器40はトップシールによる封着工程へ搬送される。
【0040】
次に、画像合成部10Bにおける処理について説明する。
【0041】
画像合成部10Bは、第1の画像または第2の画像に基づいて第1の画像または第2の画像の合成画像を生成する。
【0042】
なお、以下の説明では、第1の画像の合成画像について例示するが、第2の画像に対しても同様の処理により合成画像を生成することは可能である。ただし、内容物45の画像と比較し、コンベア21の搬送方向について急激な変化が現れない容器40の画像に係る第1の画像への適用がより有効と考えられる。
【0043】
上記のように、画像合成部10Bにおいて生成された合成画像は、検査部10Cの検査において利用される。
【0044】
図8および
図9は、第1の画像の合成画像を例示する図である。
【0045】
図8の例では、画像合成部10Bは、
図4において断片画像51のない領域に、断片画像51aを補間することにより、第1の画像の合成画像50Aを生成している。
【0046】
図8において、断片画像51に付された「1」~「7」の符号は、断片画像51の画像を示し、同じ符号は、同じ画像であることを示す。すなわち、
図8の例では、画像合成部10Bは、断片画像51と同一画像の断片画像51aを、順次、その断片画像51の隣に配置することにより、合成画像50Aを生成している。
【0047】
一方、
図9の例では、画像合成部10Bは、
図4において断片画像51のない領域に、中間画像である断片画像51bを補間することにより、第1の画像の合成画像50Bを生成している。
【0048】
図9Aは、中間画像を生成する方法を概念的に示す図である。
【0049】
図9Aに示すように、断片画像51bは、当該断片画像51bを挟む両隣の断片画像51の中間画像に対応する。例えば、隣接する断片画像51に示される輪郭の位置が、その間に差し込まれる断片画像51bによって連続的に変化し、隣接する断片画像51に示される輪郭どうしが互いに接続されるように、断片画像51bの画像を生成することができる。
【0050】
画像合成部10Bは、このような中間の画像に対応する断片画像51bを順次、生成し、断片画像51のない領域に、断片画像51bを補間することにより、第1の画像の合成画像50Bを生成する。
【0051】
図10は、コンベアで搬送されている容器を搬送方向に沿って配置された2台のラインカメラにより撮影する例を示す図である。
【0052】
図10に示すように、コンベア21の上流側には、コンベア21によって等速で搬送される容器40を撮影するラインカメラ11Aがコンベア21の上方に設置される。また、ラインカメラ11Aの近傍には、容器40を上方から面照明する反射光用照明部15Aが設けられている。
図10に示すように、ラインカメラ11A、反射光用照明部15Aは、コンベア21の流れ方向について同一の位置に配置される。
【0053】
一方、ラインカメラ11Aに対してコンベア21の下流側には、コンベア21によって等速で搬送される容器40を撮影するラインカメラ11Bがコンベア21の上方に設置される。また、コンベア21の下方には、透過光用照明部16Bが設置されている。透過光用照明部16Bからの照明光は、コンベア21に形成された間隙25Bを介して上方に照射され、コンベア21によって搬送される容器40を照明する。
図10に示すように、ラインカメラ11B、透過光用照明部16Bおよび間隙25Bは、コンベア21の流れ方向について同一の位置に配置される。
【0054】
図10の構成においては、画像取得部10Aは、コンベア21の上流側に設置されたラインカメラ11Aを介して、第1の画像を取得する。この場合、第1の画像は、ラインカメラ11Aにより容器40の全体を撮影した画像であってもよく、あるいは、
図4に示すような断片画像であってもよい。例えば、ラインカメラ11Aの走査周期に対してコンベア21の搬送速度が速い場合には、第1の画像は断片画像となる。
【0055】
同様に、画像取得部10Aは、コンベア21の下流側に設置されたラインカメラ11Bを介して、第2の画像を取得する。この場合、第2の画像は、ラインカメラ11Bにより容器40および内容物45の全体を撮影した画像であってもよく、あるいは、
図5に示すような断片画像であってもよい。例えば、ラインカメラ11Bの走査周期に対してコンベア21の搬送速度が速い場合には、第2の画像は断片画像となる。
【0056】
第1の画像または第2の画像が断片画像である場合、断片画像は画像合成部10Bによる上記の画像合成処理の対象とすることができる。
【0057】
なお、
図10に示唆されるように、ラインカメラ11Aの位置とラインカメラ11Bの位置の間で、内容物45を容器40に格納する作業を行ってもよい。この場合、ラインカメラ11Aを介して空の容器40を撮影することができる。このため、第1の画像において、内容物45によって容器40が隠れることがなく、容器40の全体を撮影することが可能となる。
【0058】
図10の構成においても、検査部10Cは、第1の画像に基づいて容器40のフランジ部43の領域を特定するとともに、第2の画像に基づいて内容物45の領域を特定する。また、
図7に示すように、内容物45がフランジ部43に乗り上げている場合には、検査部10Cにおいて格納状態の不良と判定する。しかし、
図10の構成では、第1の画像を撮影するラインカメラ11Aと、第2の画像を撮影するラインカメラ11Bとは、互いに離れた場所に設置され、撮影範囲および撮影のタイミングも個々に設定されている。したがって、第1の画像に基づき特定される容器40の位置と、第2の画像により特定される内容物45の位置とを合わせ込む位置合わせ処理が必要となる。この処理は、例えば、検査部10Cにより、画像処理装置12を介して実行される。例えば、容器40に反射光および透過光でそれぞれ視認可能な複数のマークを付し、これらの複数のマークの位置を第1の画像と第2の画像で一致させるような処理(位置合わせ処理)を行ってもよい。 本開示において、第1の画像および第2の画像の一方のみが断片画像であり、他方が検査対象物の全体を撮影した画像であってもよい。例えば、
図10の例において、ラインカメラ11Aを用いた反射光による撮影は一回で終わらせることが可能だが、ラインカメラ11Bを用いた透過光による撮影は、コンベア21の隙間25Bからしか透過光が通らないため、複数回行う必要性がある。このような場合は、一方(透過光による撮影)では、断片画像を撮った後に合成画像を生成し、他方(反射光による撮影)では、検査対象物(容器40)の全体を一回で撮った画像を用いてもよい。すなわち、
図10の例において、ラインカメラ11Aを用いて反射光で検査対象物(容器40)の全体を撮影した後、検査対象物(容器40)を等速で搬送しながら透過光で撮影して断片画像を取得し、合成画像を生成することができる。
【0059】
本開示において、第1の画像および第2の画像は、反射光により撮影した画像と透過光により撮影した画像の組み合わせに限定されない。例えば、第1の画像および第2の画像の両者が反射光により撮影した画像であってもよく、第1の画像および第2の画像の両者が透過光により撮影した画像であってもよい。第1の画像および第2の画像の間に、撮影条件の相違があればよい。
【0060】
撮影条件の相違としては、照明光の強さ、露出の強度、撮影範囲の相違、撮影位置の相違、撮影角度の相違などを例示することができる。
【0061】
例えば、検査対象物に対照性がある場合に、互いに対照な位置に設置されたカメラから撮影した第1の画像と第2の画像を比較してもよい。この場合、画像の対照性ないし同一性が欠如していることに基づいて、検査対象物の欠陥を検知することができる。ここで、対象な位置にある複数のカメラで撮影をする際、例えば、フラッシュを用いた撮影をする場合など、一方のカメラの撮影が他方のカメラの撮影に影響を及ぼす場合がある。この場合、2つのカメラの撮影タイミングが重複しないようにすることが好ましい。例えば、複数のカメラが互いに接近して設けられる場合や、
図10の例についても当てはまる。
また、鮮明な画像を得るために、撮影対象物(検査対象物)の細部を撮影する場合がある。この場合、カメラを撮影対象物に近づけて撮影対象物を部分ごとに撮影する必要があり、撮影して撮影位置をずらす、という作業を繰り返すことになる。しかし、このような作業を繰り返していると時間がかかってしまう。鮮明な画像を得つつ、時間を短縮するために、本開示の技術は有用である。
具体的には、例えば、撮影対象物の両側にカメラを配置し、それぞれ重複しないタイミングで交互に撮影を行いつつ、両方のカメラの位置をずらすことができる。この場合、各カメラを動かしながら断続的に撮影するため、撮影ができていない部分が生じることになる。しかし、本開示によれば、断片画像に基づいて合成画像を作成することにより、撮影ができていない部分があっても、有効な検査を実施することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施例によれば、検査対象物を撮影した断片画像である第1の画像と、第1の画像と異なる断片画像である第2の画像を取得し、第1の画像および第2の画像に基づく検査を行っている。このように、複数の画像を用いることにより、効果的な検査が可能となる。
【0063】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素の全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 画像検査装置
10A 画像取得部
10B 画像合成部
10C 検査部
11 ラインカメラ
12 画像処理装置
15 反射光用照明部
16 透過光用照明部
21 コンベア
40 容器
45 内容物