(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174336
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241210BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241210BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241210BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501H
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092102
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 順也
(72)【発明者】
【氏名】オドレン エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】小池 宇織
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
5H301
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022LL07
3F022MM04
3F022MM11
3F022NN02
3F022NN32
3F522BB35
3F522CC10
3F522DD05
3F522DD33
3F522EE15
3F522GG05
3F522GG13
3F522GG44
3F522JJ02
3F522KK05
3F522LL09
3F522LL33
5H301AA02
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF10
5H301FF11
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】マーカの誤検出を防止する搬送システムを実現する。
【解決手段】本開示の一形態に係る搬送システム1は、マーカ21を有する棚2と、棚2とドッキング可能に構成された自律走行車両3とを備える。棚2が自律走行車両3のドッキング対象である場合のマーカ21の状態が、棚2が自律走行車両3のドッキング対象でない場合のマーカ21の状態とは異なるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカを有する棚と、前記棚とドッキング可能に構成された自律走行車両とを備えた搬送システムであって、
前記棚が前記自律走行車両のドッキング対象である場合の前記マーカの状態が、前記棚が前記自律走行車両のドッキング対象でない場合の前記マーカの状態とは異なるように構成される
搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、棚とドッキングする自律走行車両を開示している。棚にマーカを設けることで自律走行車両の停車位置の精度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の棚が存在する場合には複数のマーカが存在することとなり、特定の棚以外の棚に設けられたマーカを誤検出する恐れがあった。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、マーカの誤検出を防止する搬送システムを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の搬送システムは、
マーカを有する棚と、前記棚とドッキング可能に構成された自律走行車両とを備えた搬送システムであって、
前記棚が前記自律走行車両のドッキング対象である場合の前記マーカの状態が、前記棚が前記自律走行車両のドッキング対象でない場合の前記マーカの状態とは異なるように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、マーカの誤検出を防止する搬送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1にかかる搬送システムの構成を説明する図である。
【
図2】実施形態1にかかるセンサの検出範囲を説明する図である。
【
図3】実施形態1にかかる搬送システムの構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0010】
実施形態1
以下、図面を参照して実施形態1にかかる搬送システムについて説明する。
図1は、実施形態1にかかる搬送システム1の構成を説明する図である。搬送システム1は、複数の棚2、自律走行車両3、および管理システム4を備える。
【0011】
なお、管理システム4の機能は、棚2または自律走行車両3に備えられていてもよい。管理システム4を含まない場合も、実施形態1にかかる搬送システムには含まれ得る。
【0012】
棚2は、荷物5を収容可能に構成される。棚2は、マーカ21を備えている。マーカ21は、例えば、幾何形状マーカであってもよい。棚2は、自律走行車両3とドッキング可能に構成されている。具体的には、棚2の前面に、上下方向に延びるガイドレール(不図示)が設けられ、自律走行車両3の載置台32に設けられた溝(不図示)がガイドレールと篏合する。
【0013】
棚2は、管理システム4と通信可能に構成される。棚2は、管理システム4から受信した情報に応じてマーカ21の状態(例:検出可能状態、外観、ビーコンの放出の有無)を変更する。したがって、棚2が自律走行車両3のドッキング対象である場合のマーカ21の状態は、棚2が自律走行車両3のドッキング対象でない場合のマーカ21の状態とは異なる。
【0014】
図1は、棚2の前面に扉22が設けられ、扉22の開閉に応じてマーカ21の検出可能状態が切り替えられる場合を示している。扉22は、開き戸221であってもよく、縦開きのシャッター222であってもよい。シャッター222の場合、棚2は、マーカ21が検出可能状態になる程度にシャッター222を開ければよい。これにより、棚2に収容された荷物5の安全性を確保できる。棚2が扉22を備える場合、棚2は、扉22の開閉機構(不図示)を備える。また、マーカ21の反射率が電気的に変更可能に構成されている場合も、マーカ21の検出可能状態が変更され得る。
【0015】
自律走行車両3は、移動可能な移動部31と、荷物5を載置可能な載置台32と、載置台32を昇降させる昇降機構(不図示)と、センサ33とを備えている。また、自律走行車両3は、管理システム4と通信可能に構成される。
【0016】
具体的には、載置台32の側面に、上下方向に延びる溝(不図示)が形成される。溝は、棚2の前面に設けられたガイドレールと篏合する。これにより、載置台32を上昇させるときに自律走行車両3がバランスを崩すことを防止できる。荷物5を棚2に収納するとき、または荷物5を棚2から取り出すとき、自律走行車両3は、載置台32を所望の高さまで上昇させる。
【0017】
センサ33は、マーカ21を検出可能に構成される。センサ33は、具体的にはLIDARである。なお、センサ33は、RGBカメラ等のセンサであってもよい。自律走行車両3は、マーカ21を検出することで自己位置を高精度に推定する。自律走行車両3は、溝をガイドレールに篏合させるために、マーカ21の検出結果に基づく停車位置(例:ガイドレールの直下の位置)に停車する。
【0018】
図2は、センサ33の検出範囲6を説明する図である。検出範囲6は、複数の棚2を含むように設定される。例えば、左から2番目の棚2に設けられたマーカ21が可視状態である場合、そのマーカ21がセンサ33により検出される。複数の棚2をグループとする場合、検出範囲6は、1つのグループを含み、かつ、隣のグループに重ならない程度の大きさに設定される。
【0019】
図1に戻り、管理システム4は、棚2および自律走行車両3の各々と通信可能に構成される。管理システム4は、自律走行車両3のドッキング対象である棚2に、マーカ21の状態を変更するように指示するための情報を送信する。管理システム4は、図示しないプロセッサおよびメモリを備えており、図示しないプログラムをメモリに読み込んで実行することで、特定の棚2に情報を送信できる。
【0020】
次に、搬送システム1の動作について説明する。まず、自律走行車両3は、いずれかの棚2に荷物5を格納するために、あるいは、いずれかの棚2から荷物5を取り出すために、複数の棚2に向かって移動する。そして、自律走行車両3は、複数の棚2の周辺に到着したことを管理システム4に通知する。自律走行車両3は、所定の待機位置に到着したとき通知を行ってもよい。
【0021】
管理システム4は、自律走行車両3のドッキング対象である棚2にマーカ21の状態を変更させるための情報を送信する。ドッキング対象である棚2とは、自律走行車両3により荷物5が格納される棚、または自律走行車両3により荷物5が取り出される棚2である。自律走行車両3がドッキング対象の棚2に関する情報を保持している場合、自律走行車両3が、ドッキング対象の棚2に情報を送信してもよい。
【0022】
棚2は、情報の受信に応じてマーカ21の状態を変更する。例えば、棚2は、扉22を開放することでマーカ21の状態を検出可能状態にする。
【0023】
自律走行車両3は、マーカ21の検出を行い、検出されたマーカ21に基づく位置に移動する。そして、自律走行車両3は、載置台32を上昇させて溝をガイドレールに篏合させ、ガイドレールに沿って載置台32を所望の高さまで上昇させる。荷物5を出し入れした後、自律走行車両3は、載置台32を下降させて搬送先や倉庫等の目的地へ移動する。
【0024】
実施形態1にかかる搬送システムは、自律走行車両3のドッキング対象である棚2のマーカ21の状態を変更できる。したがって、自律走行車両3が、ドッキング対象ではない棚2に誤ってドッキングすることを防止できる。
【0025】
図3は、棚2の構成例について説明するための図である。棚2aは、マーカ21aの形状が変更可能に構成されている。この場合、自律走行車両3は、所定の形状のマーカ21の検出結果に基づく位置に移動する。棚2bは、マーカ21を上下方向に移動させるアクチュエータ23を備えている。棚2bは、棚2bが自律走行車両3のドッキング対象である場合、マーカ21を上昇させてマーカ21を可視状態にする。棚2cは、QRコード(登録商標)21cを表示可能なディスプレイを備えている。棚2cがドッキング対象である場合、棚2cは、ディスプレイに表示されるQRコード(登録商標)21cを所定のパターンに変更する。棚2dは、棚2dがドッキング対象である場合、マーカ21dの周辺から赤外線ビーコンを送信する。複数の棚2e1および2e2は、マーカ21を水平方向にスライド移動させる機構(不図示)を備える。棚2e1がドッキング対象である場合、マーカ21が棚2e1内に移動する。棚2e2がドッキング対象である場合、マーカ21を棚2e2内にマーカ21が移動する。
【0026】
また、マーカ21の周辺にLED(Light Emitting Diode)が設けられ、LEDの点灯状態が変更されてもよい。マーカ21の移動は、スライド移動には限定されず、回転移動であってもよい。
【0027】
棚2が扉22を備えない場合、ドッキング対象でない棚2のマーカ21もセンサ33により検出可能であってよい。この場合、自律走行車両3は、ドッキング対象でない棚2のマーカ21をランドマーク(目印)とすることができる。これにより、マーカ21を探索するのに要する時間を短縮できる。
【0028】
実施形態1にかかる搬送システムは、自律走行車両3が誤った棚2にドッキングすることを防止できる。また、実施形態1にかかる搬送システムは、大きなオドメトリ誤差を許容できる。また、マーカを不可視状態にする場合、デザイン性を向上できる。
【0029】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0030】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 搬送システム
2、2a、2b、2c、2d、2e1、2e2 棚
21、21a、21d マーカ
21c QRコード(登録商標)
22 扉
221 開き戸
222 シャッター
23 アクチュエータ
3 自律走行車両
31 移動部
32 載置台
33 センサ
5 荷物
6 検出範囲