(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174337
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】テナント別水使用量算出システム及びテナント別の水使用量算出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20241210BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092105
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 航
(72)【発明者】
【氏名】マウリャ サントシュ
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】テナント別の水使用量をより正確に算出することができるテナント別水使用量算出システム及びテナント別の水使用量算出方法を提供する。
【解決手段】テナント別水使用量算出システム100は、データ格納部103と、計算部104と、出力部105と、を備えている。データ格納部103は、水使用量レポート31及び、建物に設置したエレベーター11又はセンサ12がカウントした人の数を示す人流情報110を取得し、格納する。計算部104は、データ格納部103に格納した水使用量レポート31及び人流情報110に基づいて、テナント別の水使用量を計算する。出力部105は、計算部104が計算したテナント別の水使用量を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテナントが入居した建物におけるテナント別の水使用量を算出するテナント別水使用量算出システムにおいて、
所定の期間における前記建物で使用された水の使用量である水使用量レポート及び、前記建物に設置したエレベーター又はセンサがカウントした人の数を示す人流情報を取得し、格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納した前記水使用量レポート及び前記人流情報に基づいて、テナント別の水使用量を計算する計算部と、
前記計算部が計算した前記テナント別の水使用量を出力する出力部と、
を備えたテナント別水使用量算出システム。
【請求項2】
前記計算部は、
複数の計算パターンを有しており、
予め前記データ格納部に格納された各テナントの入居情報に基づいて、複数の計算パターンから計算パターンを決定し、
決定した計算パターンに基づいて前記人流情報から前記テナントの在室人数を計算し、
計算した前記テナントの在室人数と、前記水使用量レポートに基づいて、前記テナント別の水使用量を計算する
請求項1に記載のテナント別水使用量算出システム。
【請求項3】
前記計算部は、前記複数のテナントの入居状態に基づいて、前記計算パターンを決定する
請求項2に記載のテナント別水使用量算出システム。
【請求項4】
前記テナントが複数のフロアに跨って入居している場合、前記計算部は、前記エレベーター又は前記エレベーターが停止するフロアに設置したセンサが計測した情報を基準値に設定し、
前記テナントが入居する複数のフロアを接続する階段に設置されたセンサが計測した情報を、前記基準値に対して増減させることで、前記テナントの在室人数を計算する
請求項3に記載のテナント別水使用量算出システム。
【請求項5】
1つのフロアに複数の前記テナントが入居している場合、前記計算部は、前記テナントの出入り口に設置したセンサが計測した情報を、前記テナントの在室人数として計算する
請求項3に記載のテナント別水使用量算出システム。
【請求項6】
1つのフロアに入居している前記テナントが1つだけの場合、前記計算部は、前記レベーター又は前記エレベーターが停止するフロアに設置したセンサが計測した情報を、前記テナントの在室人数として計算する
請求項3に記載のテナント別水使用量算出システム。
【請求項7】
前記計算部は、前記テナントの在室人数として、所定の期間における前記テナントの1日当たりの平均在室人数を算出し、前記平均在室人数と前記水使用量レポートに基づいて、前記テナント別の水使用量を計算する
請求項1に記載のテナント別水使用量算出システム。
【請求項8】
前記計算部は、前記テナントの在室人数として、所定の期間における前記テナントの総在室人数を算出し、前記総在室人数と前記水使用量レポートに基づいて、前記テナント別の水使用量を計算する
請求項1に記載のテナント別水使用量算出システム。
【請求項9】
複数のテナントが入居した建物におけるテナント別の水使用量を算出するテナント別の水使用量算出方法において、
所定の期間における前記建物で使用された水の使用量である水使用量レポート及び、前記建物に設置したエレベーター又はセンサがカウントした人の数を示す人流情報を取得し、データ格納部に格納する処理と、
前記データ格納部に格納した前記水使用量レポート及び前記人流情報に基づいて、テナント別の水使用量を、計算部により計算する処理と、
前記計算部が計算した前記テナント別の水使用量を、出力部により出力する処理と、
を含むテナント別の水使用量算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テナント別水使用量算出システム及びテナント別の水使用量算出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から複数のテナントが入居する建物(オフィスビル)において、水を使用する場所は、特に共用部のトイレや給湯室であり、これらの共用部をどのテナントに属する就業者が使用しているか特定が困難であった。また、複数のテナントが入居している建物(オフィスビル)の水使用量は、水道会社が作成した所定の期間における建物全体の水使用量を建物の戸数に応じて割ることによって、建物に入居しているテナント別に水使用量を算出していた。そのため、従来では、テナント別の水使用量を正確に把握することができていなかった。
【0003】
また、テナント別に水や電力等の使用量を算出する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、使用エネルギー情報取得手段と、各テナントに按分する按分手段と、を備えた技術が記載されている。使用エネルギー情報取得手段は、一定時間毎の各テナントの専用設備の平均使用エネルギーに関する使用エネルギー情報及び請求期間内におけるテナントビルの共用設備の使用エネルギー量を取得する。按分手段は、請求期間内におけるテナントビルの共用設備の使用エネルギー量を、使用エネルギー情報から得られる各テナントの専用設備の使用実績の比率に基づいて各テナントに按分する。そして、特許文献1に記載された技術では、最大在室人数に基づいて、テナント別の使用エネルギー量を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、特許文献1に記載された技術では、最大在室人数に基づいて、テナント別の使用エネルギー量を算出している。しかしながら、在宅勤務(テレワーク)の実施により、各テナントに出勤する人の数は、日によって大きく変動する。そのため、最大在室人数と実際に出勤している人数は、大きく乖離している。その結果、特許文献1に記載された技術では、テナント別の水使用量を正確に算出することができていなかった。
【0006】
本目的は、上記の問題点を考慮し、テナント別の水使用量をより正確に算出することができるテナント別水使用量算出システム及びテナント別の水使用量算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するため、テナント別水使用量算出システムは、複数のテナントが入居した建物におけるテナント別の水使用量を算出するテナント別水使用量算出システムである。
テナント別水使用量算出システムは、データ格納部と、計算部と、出力部と、を備えている。データ格納部は、所定の期間における建物で使用された水の使用量である水使用量レポート及び、建物に設置したエレベーター又はセンサがカウントした人の数を示す人流情報を取得し、格納する。計算部は、データ格納部に格納した水使用量レポート及び人流情報に基づいて、テナント別の水使用量を計算する。出力部は、計算部が計算したテナント別の水使用量を出力する。
【0008】
また、テナント別の水使用量算出方法は、複数のテナントが入居した建物におけるテナント別の水使用量を算出する方法であり、以下(1)から(3)に示す処理を含む。
(1)所定の期間における建物で使用された水の使用量である水使用量レポート及び、建物に設置したエレベーター又はセンサがカウントした人の数を示す人流情報を取得し、データ格納部に格納する処理。
(2)データ格納部に格納した水使用量レポート及び人流情報に基づいて、テナント別の水使用量を、計算部により計算する処理。
(3)計算部が計算したテナント別の水使用量を、出力部により出力する処理。
【発明の効果】
【0009】
上記構成のテナント別水使用量算出システム及びテナント別の水使用量算出方法によれば、テナント別の水使用量をより正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態例にかかる水使用量算出システムを示す概略構成図である。
【
図2】実施の形態例にかかる水使用量算出システムによるテナント別の水使用量の算出方法を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態例にかかる水使用量算出システムによるテナント別の水使用量の算出方法の計算パターンを決定するフローチャートである。
【
図4】実施の形態例にかかる水使用量算出システムの計算パターンを示す図である。
【
図5】実施の形態例にかかる水使用量算出システムによって出力されるテナント別の水使用量レポートの一例を示す図である。
【
図6】実施の形態例にかかる水使用量算出システムによって出力されるテナント別の水使用量レポートの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、テナント別水使用量算出システム及び算出方法の実施の形態例について、
図1~
図6を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
1.実施の形態例
1-1.テナント別水使用量算出システムの構成例
まず、実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるテナント別水使用量算出システムの構成について
図1を参照して説明する。
図1は、本例のテナント別水使用量算出システムを示す概略構成図である。
【0013】
図1に示すテナント別水使用量算出システム100(以下、単にビルシステムと称す)は、オフィスビル10に入居している各テナントで使用された水の使用量を算出するシステムである。オフィスビル10には、複数の事業者(テナント)が入居している。そして、オフィスビル10には、人や荷物が移動するエレベーター11と、複数のセンサ12とが、設けられている。
【0014】
センサ12としては、例えば、ToF(Time of Flight)センサが適用される。センサ12は、エレベーター11が停止するフロアや、オフィスビル10の階段、各テナントの出入り口等に設置される。そして、センサ12は、エレベーター11が停止するフロアや、オフィスビル10の階段、各テナントの出入り口等を通過する人の数をカウントする。
【0015】
なお、センサ12としては、ToFセンサに限定されるものではない。センサ12としては、ミリ波センサやカメラ等その他各種のセンサが適用できるものであり、エレベーター11が停止するフロアや、オフィスビル10の階段、各テナントの出入り口等を通過する人の数をカウントできるものであればよい。
【0016】
エレベーター11は、乗りかごに設置した重量センサやTOFセンサにより各フロアで乗降した人数をカウントする。そして、エレベーター11及び複数のセンサ12がカウントした人の数(以下、人流情報と称す)は、ビルシステム100に出力される。
【0017】
ビルシステム100は、データ格納部103と、テナント企業別水使用量計算部(以下、計算部と称す)104と、水使用量出力部105とを備えている。データ格納部103には、人流情報110と、水使用量レポート31が格納される。人流情報110は、上述したオフィスビル10に設置されたエレベーター11や複数のセンサ12から取得される。
【0018】
また、水道会社30は、所定の期間(例えば、1ヶ月)内にオフィスビル10全体で使用された水の使用量である水使用量レポート31を作成する。そして、ビルシステム100は、水道会社30から水使用量レポート31を取得し、データ格納部103に格納する。また、データ格納部103には、オフィスビル10に入居する複数のテナントの入居状態を示す入居情報107が予め格納されている。入居情報107としては、例えば、テナントの人数や属性、テナント用途等の情報が挙げられる。また、テナントの入居状態の具体例としては、1つのテナントが複数フロアに跨っている、1つのフロアに複数テナントが入居している、1つのフロアに1つのテナントが入居している等が挙げられる。そして、データ格納部103は、計算部104に接続されている。
【0019】
計算部104は、例えば、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)RAM(Random Access Memory)、不揮発性ストレージを備える。
【0020】
CPUは、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウエアのプログラムコードをROMから読み出してRAMに展開して実行する。なお、制御処理部は、CPUの代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAMには、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0021】
不揮発性ストレージとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージには、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、制御処理部を機能させるためのプログラム等が記録される。なお、プログラムは、ROMに格納されてもよい。
【0022】
プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM又は不揮発性ストレージは、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0023】
計算部104は、複数の計算パターンを有している。計算部104は、データ格納部103に格納された各テナントの入居情報107に応じて、複数の計算パターンから所定の計算パターンを選択する。そして、計算部104は、選択した計算パターンに基づいて、データ格納部103に格納された人流情報110から、各テナントにおける所定の期間(例えば、1ヶ月)における人数を算出する。さらに、計算部104は、各テナントの人数及び水使用量レポート31からテナント別の水使用量を算出する。計算部104は、水使用量出力部105に接続されている。
【0024】
水使用量出力部105は、計算部104が算出したテナント別の水使用量を取得する。そして、水使用量出力部105は、取得したテナント別の水使用量を出力する。水使用量出力部105としては、例えば、表示部が適用される。そして、水使用量出力部105は、取得したテナント別の水使用量を表示する。また、水使用量出力部105としては、表示部に限定されるものではなく、テナント別の水使用量を各テナントに通知する通知部であってもよい。
【0025】
2.テナント別の水使用量の計算方法
次に、
図2から
図4を参照して、上述した構成を有するテナント別水使用量算出システム100によるテナント別の水使用量の計算方法について説明する。
図2は、テナント別の水使用量の算出方法を示すフローチャートである。
【0026】
図2に示すように、まず、ビルシステム100のデータ格納部103は、水道会社30が作成した所定の期間におけるオフィスビル10の1棟分の水使用量レポート31を取得する。そして、データ格納部103は、取得した水使用量レポート31を格納する(ステップS1)。
【0027】
データ格納部103は、センサ12やエレベーター11から人流情報を取得する。そして、データ格納部103は、取得した人流情報を格納する(ステップS2)。また、ステップS1及びステップS2でデータ格納部103に格納された水使用量レポート31及び人流情報は、計算部104に出力される。
【0028】
次に、計算部104は、取得した情報をもとに、計算パターンに応じて、各テナントにおける所定の期間(例えば、1ヶ月)における平均在室人数を計算する。なお、平均在室人数は、1日当たりの在室人数である。そして、計算部104は、計算した各テナントの平均在室人数に基づいて、水使用量レポート31に対して按分処理を実行し、テナント別の水使用量を計算する(ステップS3)。なお、ステップS3で用いられる計算パターンについては、後述する。
【0029】
次に、計算部104は、ステップS3の処理で計算したテナント別の水使用量を水使用量出力部105に出力する。そして、水使用量出力部105は、計算部104が計算したテナント別の水使用量を表示する(ステップS4)。これにより、テナント別水使用量算出システム100によるテナント別の水使用量の計算及び出力処理が完了する。
【0030】
本例のビルシステム100によれば、オフィスビル10に設置したエレベーター11やセンサ12から取得したテナント毎の人流情報を用いることで、テナント毎の人数(在室人数)をより正確に把握することができる。その結果、この人流情報を用いて按分処理を行うことで、テナント別の水使用量をより正確に算出することができる。なお、水使用量出力部105が表示するテナント別の水使用量レポートについては、後述する。
【0031】
次に、
図3及び
図4を参照して計算部104で用いられる計算パターンの決定方法について説明する。
図3は、計算パターンを決定するフローチャートである。
図4は、計算パターンを示す図である。
【0032】
なお、上述したように、データ格納部103には、予め各テナントの入居情報107が格納されている。
図3に示すように、計算部104は、データ格納部103から取得した入居情報107に基づいて、複数のテナントのうち複数のフロア(階)に跨るテナントはあるか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11の処理において、複数のフロアに跨るテナントがあると判断した場合(ステップS11のYes判定)、計算部104は、複数のフロアに跨るテナントの人数の計算パターンを第1パターンAに決定する。
【0033】
これに対して、ステップS11の処理において、複数のフロアに跨るテナントではないと判断した場合(ステップS11のNo判定)、計算部104は、1つのフロアに複数のテナントがあるか否かを判別する(ステップS12)。ステップS12の処理において、1つのフロアに複数のテナントがあると判断した場合(ステップS12のYes判定)、計算部104は、このテナントの人数の計算パターンを第2パターンBに決定する。また、ステップS12の処理において、1つのフロアに複数のテナントがないと判断した場合(ステップS12のNo判定)、計算部104は、このテナントの人数の計算パターンを第3パターンCに決定する。
【0034】
第1パターンAでは、1つのテナントが複数のフロアに跨るため、そのテナントを使用する人は、エレベーター11だけでなく階段を使用して移動する場合がある。そのため、1つのテナントが跨る複数のフロアを接続する階段にセンサ12を設置し、この階段に設置したセンサ12により、階段の利用者を計測する。
【0035】
そして、
図4に示すように、計算部104は、エレベーター11からの情報(EV情報)又は、エレベーター11が停止するフロアに設置したセンサ12からの情報を基準値(1)に設定する。さらに、計算部104は、センサ12が計測した階段の利用者情報(2)を取得する。そして、計算部104は、基準値(1)に対して階段の利用者情報(2)を増減させる((1)±(2))ことで、第1パターンAに決定したテナントの人数を算出する。
【0036】
第2パターンBでは、1つのフロアに複数のテナントが入居しているため、フロア単位での人の計測では、テナント毎の人数を正確に把握することができない。そのため、各テナントの出入り口にセンサ12を設置する。そして、計算部104は、出入り口に設置したセンサ12からの情報(1)を、第2パターンBに決定したテナントの人数であると計測(算出)する。
【0037】
第3パターンCでは、フロア単位の人の計測で十分である。そのため、計算部104は、エレベーター11からの情報(EV情報)又は、エレベーター11が停止するフロアに設置したセンサ12からの情報(1)を、第3パターンCに決定したテナントの人数であると算出する。そのため、第3パターンCでは、各テナントの出入り口にセンサ12を設ける必要がなくなるため、オフィスビル10に設置するセンサ12の数を削減することができる。
【0038】
そして、計算部104は、上述した第1パターンAや第2パターンB、第3パターンCで計算した各テナントの1日当たりの在室人数から所定の期間(例えば、1ヶ月)における平均在室人数を計算する。このように、オフィスビル10に入居している各テナントの入居情報107(入居状態)に応じて、人数の計測(算出)方法を変更することで、各テナントの人数(在室人数)を正確に算出することができる。その結果、テナント別の水使用量をより正確に算出することができる。
【0039】
なお、上述した実施の形態例では、計算部104が各テナントの平均在室人数から水使用量レポート31を按分処理し、テナント別の水使用量を算出する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、計算部104は、各テナントの所定の期間における総在室人数を算出(計測)し、総在室人数に基づいて、テナント別の水使用量を算出してもよい。なお、総在室人数の算出(計測)方法としては、上述した複数の計算パターンから所定の計算パターンを決定し、決定した計算パターンに基づいて算出される。
【0040】
3.テナント別の水使用量レポート
次に、
図5及び
図6を参照して、水使用量出力部105から出力されるテナント別の水使用量レポートについて説明する。
図5及び
図6は、テナント別の水使用量レポートを示す図である。
図5及び
図6に示す例では、オフィスビル10に、テナントA、テナントB、テナントC、テナントDの4つのテナントが入居している状態を示している。そして、
図5に示すレポートは、横軸が月、縦軸が水使用量を示す月次レポートである。また、
図6に示すレポートは、横軸が年、縦軸が水使用量を示す年次レポートである。なお、
図5及び
図6に示すレポートは、1本の棒に4つのテナントA、B、C、Dの水使用量を積み上げて表示した積み上げ棒グラフである。
【0041】
図5及び
図6に示すように、本例のテナント別水使用量算出システム100によれば、テナント別の水使用量を可視化して表示することができる。このように、可視化して表示することで、各テナント別の水使用量の比較を容易に行うことができる。そして、
図5及び
図6に示すレポートを各テナントに通知することで、行動変容を促すことができ、水使用量の削減を図ることができる。
【0042】
なお、水使用量出力部105が出力するテナント別の水使用量レポートとしては、
図5及び
図6に示す例に限定されるものではなく、例えば、円グラフを用いて所定の期間でのテナント別の水使用量の割合を表示してもよい。また、
図5及び
図6に示すグラフに限定されるものではなく、水使用量出力部105は、テナント別の水使用量の数値だけを出力してもよい。さらに、水使用量出力部105は、テナント別の水使用量だけでなく、入居情報に基づいて各テナントの入居面積や各テナントの入居人数も併せて出力してもよい。
【0043】
なお、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0044】
また、上記の各構成要素、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路の設計などによりハードウエアで実現してもよい。また、上記の各構成要素、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0045】
さらに、上述したシステムは、オフィスビルの共用部における水使用量の按分処理の使用に限定されるものではなく、例えば、共用部の電気代や共用部のガス代の按分処理に使用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…オフィスビル(建物)、 11…エレベーター、 12…センサ、 30…水道会社、 31…水使用量レポート、 100…テナント別水使用量算出システム(ビルシステム)、 103…データ格納部、 104…テナント企業別水使用量計算部(計算部)、 105…水使用量出力部(出力部)、 107…入居情報、 110…人流情報