(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174345
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】コネクタおよびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20241210BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R13/629
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092126
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 優太
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FB21
5E021FC25
5E021FC36
5E021FC38
5E021FC40
5E021HB03
5E021HB04
5E021HB05
5E021HC09
5E021JA05
5E021KA09
(57)【要約】
【課題】より適正にメスハウジングとオスハウジングとの間のがたつきを抑制することができるコネクタおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【解決手段】コネクタ1は、メスコネクタ10と、オスコネクタ20と、レバー30と、ハウジングロック部45と、レバーロック部40と、を備え、メスコネクタ10のメスハウジング11がメスコネクタ10とオスコネクタ20との完全嵌合状態に対応する第2位置P2に位置された状態で、レバーロック部40の第3係止部41と第4係止部42との間の軸線方向Xに沿った第1隙間G1は、ハウジングロック部45の第1係止部45aと第2係止部45bとの間の軸線方向Xに沿った第2隙間G2よりも小さい。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メス端子と、前記メス端子を内部に保持するメスハウジングと、を有したメスコネクタと、
前記メス端子と電気的に接続されるオス端子と、前記オス端子を内部に保持し前記メスハウジングと軸線方向に沿って嵌合されるオスハウジングと、を有したオスコネクタと、
前記メスハウジングと前記オスハウジングとの仮嵌合状態に対応する第1位置と、前記メスハウジングと前記オスハウジングとの完全嵌合状態に対応する第2位置との間で、前記メスハウジングを前記オスハウジングに対して前記軸線方向に沿って相対移動可能に支持するレバーと、
前記オスハウジングに設けられた第1係止部と、前記メスハウジングに設けられ当該メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で前記第1係止部と前記軸線方向に係止される第2係止部と、を有したハウジングロック部と、
前記レバーに設けられた第3係止部と、前記メスハウジングに設けられ当該メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で前記第3係止部と前記軸線方向に係止される第4係止部と、を有したレバーロック部と、
を備え、
前記メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で、前記レバーロック部の前記第3係止部と前記第4係止部との間の前記軸線方向に沿った第1隙間は、前記ハウジングロック部の前記第1係止部と前記第2係止部との間の前記軸線方向に沿った第2隙間よりも小さい、
コネクタ。
【請求項2】
前記第3係止部は、前記レバーを前記軸線方向と交差する高さ方向に沿って貫通した係止孔部であり、前記メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で前記第4係止部を前記高さ方向の一方側に露出させる、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
導電性を有する電線と、
前記電線の端末に設けられたコネクタと、を備え、
前記コネクタは、
メス端子と、前記メス端子を内部に保持するメスハウジングと、を有したメスコネクタと、
前記メス端子と電気的に接続されるオス端子と、前記オス端子を内部に保持し前記メスハウジングと軸線方向に沿って嵌合されるオスハウジングと、を有したオスコネクタと、
前記メスハウジングと前記オスハウジングとの仮嵌合状態に対応する第1位置と、前記メスハウジングと前記オスハウジングとの完全嵌合状態に対応する第2位置との間で、前記メスハウジングを前記オスハウジングに対して前記軸線方向に沿って相対移動可能に支持するレバーと、
前記オスハウジングに設けられた第1係止部と、前記メスハウジングに設けられ当該メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で前記第1係止部と前記軸線方向に係止される第2係止部と、を有したハウジングロック部と、
前記レバーに設けられた第3係止部と、前記メスハウジングに設けられ当該メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で前記第3係止部と前記軸線方向に係止される第4係止部と、を有したレバーロック部と、
を備え、
前記メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で、前記レバーロック部の前記第3係止部と前記第4係止部との間の前記軸線方向に沿った第1隙間は、前記ハウジングロック部の前記第1係止部と前記第2係止部との間の前記軸線方向に沿った第2隙間よりも小さい、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよびワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタに関する技術として、例えば、特許文献1には、メス端子およびメスハウジングを有したメスコネクタと、オス端子およびオスハウジングを有したオスコネクタと、メスハウジングとオスハウジングとの仮嵌合状態に対応する第1位置と、メスハウジングとオスハウジングとの完全嵌合状態に対応する第2位置との間で、メスハウジングをオスハウジングに対して軸線方向に沿って相対移動可能に支持するレバーと、を備えたコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載のコネクタでは、例えば、メスハウジングとオスハウジングとの間のがたつき抑制の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、より適正にメスハウジングとオスハウジングとの間のがたつきを抑制することができるコネクタおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、メス端子と、前記メス端子を内部に保持するメスハウジングと、を有したメスコネクタと、前記メス端子と電気的に接続されるオス端子と、前記オス端子を内部に保持し前記メスハウジングと軸線方向に沿って嵌合されるオスハウジングと、を有したオスコネクタと、前記メスハウジングと前記オスハウジングとの仮嵌合状態に対応する第1位置と、前記メスハウジングと前記オスハウジングとの完全嵌合状態に対応する第2位置との間で、前記メスハウジングを前記オスハウジングに対して前記軸線方向に沿って相対移動可能に支持するレバーと、前記オスハウジングに設けられた第1係止部と、前記メスハウジングに設けられ当該メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で前記第1係止部と前記軸線方向に係止される第2係止部と、を有したハウジングロック部と、前記レバーに設けられた第3係止部と、前記メスハウジングに設けられ当該メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で前記第3係止部と前記軸線方向に係止される第4係止部と、を有したレバーロック部と、を備え、前記メスハウジングが前記第2位置に位置された状態で、前記レバーロック部の前記第3係止部と前記第4係止部との間の前記軸線方向に沿った第1隙間は、前記ハウジングロック部の前記第1係止部と前記第2係止部との間の前記軸線方向に沿った第2隙間よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタおよびワイヤハーネスでは、メスハウジングがオスハウジングとの完全嵌合状態に対応する第2位置に位置された状態で、レバーロック部の第3係止部と第4係止部との間の軸線方向に沿った第1隙間は、ハウジングロック部の第1係止部と第2係止部との間の軸線方向に沿った第2隙間よりも小さい。この構成により、コネクタおよびワイヤハーネスは、例えば、メスハウジングが第2位置に位置された状態におけるメスハウジングとオスハウジングとの間のがたつき(メスハウジングのオスハウジングに対する軸線方向の移動量)を第2隙間よりも小さな第1隙間と略同等の範囲内に抑えることができる。この結果、コネクタおよびワイヤハーネスは、より適正にメスハウジングとオスハウジングとの間のがたつきを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコネクタが適用されるワイヤハーネスの例示的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るコネクタの例示的な分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るコネクタの例示的な斜視図であって、メスハウジングが第1位置に位置された状態の図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコネクタの例示的な斜視図であって、メスハウジングが第1位置と第2位置との間の第1経由位置に位置された状態の図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るコネクタの例示的な斜視図であって、メスハウジングが第1位置と第2位置との間の第2経由位置に位置された状態の図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るコネクタの例示的な斜視図であって、メスハウジングが第2位置に位置された状態の図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るコネクタの例示的な平面図であって、メスハウジングが第2位置に位置された状態の図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るコネクタのハウジングロック部およびレバーロック部の例示的な断面図であって、メスハウジングが第2位置に位置された状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るコネクタ1が適用されるワイヤハーネスWHの斜視図である。
図1に示される本実施形態のコネクタ1は、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれるものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ1等で当該複数の電線Wを各装置に接続するようにしたものである。本実施形態のワイヤハーネスWHは、例えば、導電性を有する複数の電線Wと、複数の電線Wの端末に設けられるコネクタ1と、を備えている。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、プロテクタや、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0011】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、および第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、軸線方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に略直交する。軸線方向Xは、典型的には、コネクタ1の奥行方向(前後方向)、コネクタ1のメスコネクタ10とオスコネクタ20との挿抜方向(嵌合方向)、電線Wの延在方向、コネクタ1に対する電線Wの挿通方向等に相当する。高さ方向Zは、典型的には、コネクタ1の厚さ方向(上下方向)等に相当する。幅方向Yは、典型的には、コネクタ1の幅方向(左右方向)等に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、電線Wがコネクタ1に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0012】
電線Wは、例えば、導電性を有する線状の導体部W1と、当該導体部W1の外側を覆う絶縁性を有する絶縁被覆W2と、を含んで構成される。電線Wは、絶縁被覆W2で導体部W1を被覆した絶縁電線である。本実施形態の導体部W1は、導電性を有する金属素線を複数束ねた芯線であるが、当該複数の金属素線を撚り合わせた撚り芯線であってもよい。絶縁被覆W2は、導体部W1の外周側を被覆する電線被覆である。絶縁被覆W2は、例えば、絶縁性の樹脂材料(PPやPVC、架橋PE等。耐摩耗性や耐薬品性、耐熱性等に配慮して適宜選定される。)等を押出成形することによって形成される。
【0013】
電線Wは、それぞれ軸線方向Xに沿って線状に延在し、軸線方向X(延在方向)に対してほぼ同じ径で延びるように形成される。また、電線Wは、例えば、導体部W1の断面形状(軸線方向Xと交差する断面形状)が略円形状、絶縁被覆W2の断面形状が略円環形状に形成されており、全体として略円形状の断面形状に形成される。電線Wは、少なくとも一方の端末において、絶縁被覆W2が剥ぎ取られており、当該絶縁被覆W2から露出している導体部W1に後述するメス端子12(
図2参照)が圧着されている。
【0014】
図2は、コネクタ1の分解斜視図である。
図2に示されるように、コネクタ1は、例えば、メスコネクタ10と、オスコネクタ20と、レバー30と、後述するレバーロック部40およびハウジングロック部45(
図1参照)と、フロントマスク50と、パッキン60と、スペーサ70と、シール部材80と、リアホルダ90と、を備えている。コネクタ1は、例えば、ハイブリッド自動車や、電気自動車等の車両において、インバータからモータへ電力を供給する電力供給用の電線Wを有するワイヤハーネスWH等に用いられる。
【0015】
メスコネクタ10は、例えば、メスハウジング11と、複数のメス端子12と、短絡端子13と、を有している。メスハウジング11は、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成され、メス端子12や、短絡端子13、電線W等を内部に保持するものである。メスハウジング11は、例えば、筒状部11aと、筒状部11aから軸線方向Xに沿って突出しオスコネクタ20と嵌合される嵌合部11bと、を含んで構成される。メスハウジング11は、筒状部11aと嵌合部11bとが一体で形成されており、これら筒状部11aと嵌合部11bとの内部には、メス端子12や、短絡端子13、電線W等が挿通される挿通空間部15が設けられている。挿通空間部15は、軸線方向Xの両側に向けて開放されており、軸線方向Xの一方側(オスコネクタ20とは反対側)からメス端子12および電線Wが挿入されると共に、軸線方向Xの他方側(オスコネクタ20側)から短絡端子13が挿入される。また、短絡端子13が挿入される挿通空間部15は、メス端子12および電線Wが挿入される挿通空間部15よりも大きく形成される。
【0016】
メス端子12は、導電性を有する金属材で構成されたメス型の端子金具であり、オスコネクタ20のオス端子22と電気的に接続されるものである。メス端子12は、オス端子22と電気的に接続される電気接続部と、電線Wの端末と電気的に接続される電線圧着部と、を含んで構成される。電気接続部は、例えば、オス端子22の幅方向Yまたは高さ方向Zの両側に設けられる一対のフォーク端子部を有し、当該一対のフォーク端子部の間にオス端子22が挟まれるように嵌合して互いに電気的に接続される。電線圧着部は、例えば、電線Wの導体部W1と加締められて圧着されることで電線Wと電気的に接続される。
【0017】
短絡端子13は、導電性を有する金属材で構成された端子金具であり、オスコネクタ20側の嵌合検知用端子と電気的に接続されるものである。短絡端子13は、不図示の短絡回路と接続されており、嵌合検知用端子との当接によって両端子間が短絡するとその短絡回路が形成され、これによりメスハウジング11(メスコネクタ10)とオスハウジング21(オスコネクタ20)との嵌合状態を検知できるように構成される。短絡端子13は、上述したメス端子12とは別の端子であり、当該メス端子12に対して幅方向Yまたは高さ方向Zにずれて配置される。
【0018】
オスコネクタ20は、例えば、オスハウジング21と、複数のオス端子22と、上述した不図示の嵌合検知用端子と、を有している。オスハウジング21は、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成され、オス端子22や、嵌合検知用端子等を内部に保持するものである。また、オスハウジング21の内部には、フロントマスク50や、パッキン60、スペーサ70、嵌合部11b等が収容される収容空間部が設けられている。収容空間部は、軸線方向Xの一方側(メスコネクタ10側)に向けて開放されており、当該軸線方向Xの一方側からフロントマスク50等が挿入される。
【0019】
オス端子22は、導電性を有する金属材で構成されたオス型の端子金具であり、メスコネクタ10のメス端子12と電気的に接続されるものである。オスハウジング21の内部には、メス端子12に対応して複数のオス端子22が幅方向Yおよび高さ方向Zに互いに間隔をあけて設けられている。また、嵌合検知用端子は、導電性を有する金属材で構成された端子金具であり、メスコネクタ10の短絡端子13と電気的に接続されるものである。嵌合検知用端子は、上述したオス端子22とは別の端子であり、当該オス端子22に対して幅方向Yまたは高さ方向Zにずれて配置される。
【0020】
フロントマスク50は、例えば、オスハウジング21の収容空間部内でメスハウジング11の嵌合部11bと嵌合される部材である。フロントマスク50は、軸線方向Xの一方側(メスコネクタ10側)が開放され、軸線方向Xの他方側(オスコネクタ20側)が閉じられた略筒状に形成される。フロントマスク50の底部には、オス端子22が軸線方向Xに挿通される複数の貫通孔51が設けられている。フロントマスク50は、複数の貫通孔51のそれぞれからオス端子22が軸線方向Xの一方側に突出した状態で、オスハウジング21の収容空間部25に取り付けられる。
【0021】
パッキン60は、例えば、水分や粉塵などの異物がオスハウジング21とメスハウジング11の嵌合部11bとの間の環状の隙間からコネクタ1の内部に入り込むことを抑制するものである。パッキン60は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な部材によって形成される。パッキン60は、例えば、嵌合部11bの外周面に沿った矩形の環状に形成され、オスハウジング21と嵌合部11bとの間に介在される。
【0022】
スペーサ70は、例えば、メスハウジング11の嵌合部11bから軸線方向Xの他方側(オスコネクタ20側)に突出するメス端子12および短絡端子13を保持するためのものである。また、スペーサ70は、メス端子12等の半挿入を検知するための部材としても機能する。スペーサ70には、メス端子12および短絡端子13が軸線方向Xに挿通される複数の挿通孔71が設けられている。短絡端子13が挿入される挿通孔71は、メス端子12が挿入される挿通孔71よりも大きく形成される。スペーサ70は、軸線方向Xにおいて、上述したフロントマスク50の底部とメスハウジング11の嵌合部11bとの間に介在される。
【0023】
シール部材80は、例えば、複数の電線Wを内部に保持すると共に、当該複数の電線Wの周囲をシールして軸線方向Xの一方側(電線W側)からコネクタ1の内部に水分等が浸入することを抑制するものである。シール部材80は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な部材によって形成される。シール部材80には、電線Wが軸線方向Xに挿通される複数の電線挿通孔81が設けられている。複数の電線挿通孔81の直径は、電線Wのそれぞれの直径と略同じである。シール部材80は、例えば、メスハウジング11とリアホルダ90との間に圧縮された状態で取り付けられることにより、複数の電線挿通孔81が自由状態よりも径方向内方に縮径し、これによりそれぞれの電線挿通孔81の内面と電線Wとが密着してこれらの間のシール性を高めることができる。シール部材80は、マットシール等とも称される。
【0024】
リアホルダ90は、例えば、シール部材80をメスハウジング11との間に保持するための部材である。すなわち、リアホルダ90は、シール部材80の軸線方向Xの一方側を覆い、シール部材80がメスハウジング11から軸線方向Xの一方側に外れることを抑制するものである。リアホルダ90には、電線Wが軸線方向Xに挿通される複数の電線貫通孔91が設けられている。リアホルダ90は、メスハウジング11との間にシール部材80を保持した状態で、爪嵌合等によりメスハウジング11と一体化される。
【0025】
次に、レバー30について説明する。
図3~6は、コネクタ1の斜視図であって、
図3は、メスハウジング11が第1位置P1に位置された状態の図であり、
図4は、メスハウジング11が第1位置P1と第2位置P2との間の第1経由位置P3に位置された状態の図であり、
図5は、メスハウジング11が第1位置P1と第2位置P2との間の第2経由位置P4に位置された状態の図であり、
図6は、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態の図である。
【0026】
図3~6に示されるように、レバー30は、例えば、メスハウジング11に対してオスハウジング21を低挿入力で嵌合させるものである。レバー30は、合成樹脂等の絶縁性材料によって形成される。レバー30には、メスハウジング11とオスハウジング21との嵌合状態を保持する後述するレバーロック部40が設けられる。また、レバー30は、例えば、幅方向Yに沿って延びる一対のアーム部31と、高さ方向Zに沿って延び一対のアーム部31を連結する操作部32と、を含んで構成され、メスハウジング11およびオスハウジング21に対して相対回転可能に組み付けられる。
【0027】
具体的には、一対のアーム部31には、それぞれ高さ方向Zに沿って貫通する軸受としての孔部31a(
図2参照)が設けられている。この孔部31aには、メスハウジング11から高さ方向Zの両側に突出した一対の突起部17が嵌合される。一対の突起部17は、レバー30の回転軸として機能し、レバー30は、メスハウジング11に対して一対の突起部17の高さ方向Zに沿って延びる回転軸回りに回転可能である。また、一対のアーム部31には、オスハウジング21から高さ方向Zの両側に突出した一対の突起部27と係合する長穴状の溝部31b(
図2参照)が設けられている。
【0028】
このような構成において、レバー30は、長穴状の溝部31bに突起部27を係合させた状態で、操作部32を突起部17の高さ方向Zに沿って延びる回転軸回りの一方側に回転させることによって、オスハウジング21を軸線方向Xに沿ってメスハウジング11側に相対移動させることができる。具体的には、本実施形態では、操作部32の一方側への回転操作に伴って、メスハウジング11とオスハウジング21との仮嵌合状態に対応する第1位置P1(
図3参照)から、メスハウジング11とオスハウジング21との完全嵌合状態に対応する第2位置P2(
図6参照)に向かって、メスハウジング11がオスハウジング21に対して軸線方向Xに沿って相対移動する。これにより、レバー30は、オスハウジング21に対してメスハウジング11を低挿入力で嵌合させることができる。
【0029】
一方、レバー30は、長穴状の溝部31bに突起部27を係合させた状態で、操作部32を突起部17の高さ方向Zに沿って延びる回転軸回りの他方側に回転させることによって、オスハウジング21を軸線方向Xに沿ってメスハウジング11とは反対側に相対移動させることができる。具体的には、本実施形態では、操作部32の他方側への回転操作に伴って、メスハウジング11とオスハウジング21との完全嵌合状態に対応する第2位置P2(
図6参照)から、メスハウジング11とオスハウジング21との仮嵌合状態に対応する第1位置P1(
図3参照)に向かって、メスハウジング11がオスハウジング21に対して軸線方向Xに沿って相対移動する。これにより、レバー30は、オスハウジング21からメスハウジング11をより小さな力で抜去させることができる。
【0030】
図7は、コネクタ1の平面図であって、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態の図であり、
図8は、コネクタ1のハウジングロック部45およびレバーロック部40の断面図であって、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態の図である。
図7、8に示されるように、本実施形態では、コネクタ1には、メスハウジング11をオスハウジング21に対して第2位置P2でロックするためのハウジングロック部45が設けられている。ハウジングロック部45は、例えば、オスハウジング21に設けられた第1係止部45aと、メスハウジング11に設けられた第2係止部45bと、を含んで構成される。
【0031】
第1係止部45aは、例えば、オスハウジング21の上壁に爪状に形成される。第1係止部45aは、オスハウジング21の上壁から高さ方向Zの他方側(下側)に突出している。第1係止部45aは、メスハウジング11側の第2係止部45bと係止される部分である。第1係止部45aは、第2係止部45bと軸線方向Xに対向する係止面45a1(
図8参照)を有し、当該係止面45a1と第2係止部45bとが軸線方向Xに係止されることで、メスハウジング11のオスハウジング21に対する第1位置P1側への軸線方向Xに沿った移動、すなわちオスハウジング21のメスハウジング11に対する軸線方向Xの他方側(
図8の左側)への移動が制限される。
【0032】
第2係止部45bは、例えば、メスハウジング11の上壁に高さ方向Zに沿って開放される係止溝状に形成される。第2係止部45bは、メスハウジング11の上壁における第1係止部45aと対応する位置に設けられており、当該第1係止部45aが挿入および係止される。第2係止部45bは、軸線方向Xの他方側に位置される縁部45b1を有し、当該縁部45b1は、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態で、第1係止部45aの係止面45a1と軸線方向Xに対向する。また、メスハウジング11における第2係止部45bの軸線方向Xの他方側には、メスハウジング11とオスハウジング21との第1位置P1から第2位置P2への相対移動時に第1係止部45aと当接する傾斜面11eが設けられている。
【0033】
上記のように構成される第1係止部45aおよび第2係止部45bは、第2係止部45bに対して第1係止部45aが高さ方向Zの一方側から係止(係合)される。このとき、メスハウジング11の傾斜面11eによって第1係止部45aが高さ方向Zの一方側に押し上げられ、当該傾斜面11eを乗り越えることによって第1係止部45aが自由状態に復帰し、第1係止部45aが第2係止部45bの溝部内に挿入される。そして、第1係止部45aの係止面45a1と第2係止部45bの縁部45b1とが軸線方向Xに係止されることで、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態が保持される。第1係止部45aは、第1ハウジングロック係止部等とも称され、第2係止部45bは、第2ハウジングロック係止部等とも称される。
【0034】
また、本実施形態では、コネクタ1には、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態で、レバー30をメスハウジング11に対してロックするためのレバーロック部40が設けられている。レバーロック部40は、例えば、ハウジングロック部45に対して軸線方向Xの一方側(
図8の右側)にずれて位置されている。レバーロック部40は、例えば、レバー30に設けられた第3係止部41と、メスハウジング11に設けられた第4係止部42と、を含んで構成される。第3係止部41は、第1レバーロック係止部等とも称され、第4係止部42は、第2レバーロック係止部等とも称される。
【0035】
第4係止部42は、例えば、メスハウジング11の上壁に突起状に形成される。第4係止部42は、メスハウジング11の上壁から高さ方向Zの一方側に突出している。第4係止部42は、レバー30側の第3係止部41と係止される部分である。第4係止部42は、軸線方向Xの両側に位置される一対の係止面42aを有し、当該一対の係止面42aと第3係止部41とが軸線方向Xに係止されることで、レバー30のメスハウジング11に対する第1位置P1(
図3参照)側への回転が制限される。また、一対の係止面42aは、それぞれ軸線方向Xに対して傾斜しており、第4係止部42の軸線方向Xの略中央部を頂点とした略V字状に形成される。
【0036】
第3係止部41は、例えば、レバー30を高さ方向Zに沿って貫通した係止孔部41aを有している。係止孔部41aは、例えば、レバー30における高さ方向Zの一方側のアーム部31から軸線方向Xの他方側に突出した取付片部33に設けられる。係止孔部41aは、この取付片部33における第4係止部42と対応する位置に設けられており、当該第4係止部42が挿入および係止される。係止孔部41aは、軸線方向Xの両側に位置される一対の縁部41a1を有し、当該縁部41a1は、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態で、第4係止部42の一対の係止面42aと軸線方向Xに係止される。また、本実施形態では、係止孔部41aは、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態で、第4係止部42を高さ方向Zの一方側(上側)に露出させている。
【0037】
上記のように構成される第3係止部41および第4係止部42は、第4係止部42に対して第3係止部41が軸線方向Xの一方側から係止(係合)される。このとき、第4係止部42の軸線方向Xの一方側の係止面42a(傾斜面)によって第3係止部41(取付片部33)が高さ方向Zの一方側に押し上げられ、当該係止面42aを乗り越えることによって第3係止部41が自由状態に復帰し、第3係止部41の係止孔部41a内に第4係止部42が挿入される。そして、第3係止部41の一対の縁部41a1と第4係止部42の一対の係止面42aとが軸線方向Xに係止されることで、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態(完全嵌合状態)が保持される。
【0038】
ここで、本実施形態では、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態で、レバーロック部40の第3係止部41と第4係止部42との間の軸線方向Xに沿った第1隙間G1は、ハウジングロック部45の第1係止部45aと第2係止部45bとの間の軸線方向Xに沿った第2隙間G2よりも小さくなるよう構成される。これにより、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態におけるメスハウジング11とオスハウジング21との間のがたつき(メスハウジング11のオスハウジング21に対する軸線方向Xの移動量)を小さくして当該がたつきによって生じる不都合を抑制している。第1隙間G1は、第4係止部42の係止面42aと第3係止部41の縁部41a1との間の隙間であり、第2隙間G2は、第1係止部45aの係止面45a1と第2係止部45bの縁部45b1との間の隙間である。
【0039】
次に、メスハウジング11のオスハウジング21に対する第1位置P1から第2位置P2への相対移動に伴うハウジングロック部45およびレバーロック部40の動作について説明する。まず、本実施形態では、メスハウジング11が第1位置P1に位置された状態(
図3参照)、およびメスハウジング11が第1位置P1と第2位置P2との間の第1経由位置P3に位置された状態(
図4参照)では、それぞれ、ハウジングロック部45の第1係止部45aと第2係止部45bとが軸線方向Xに離間していると共に、レバーロック部40の第3係止部41と第4係止部42とが軸線方向Xに離間している。
【0040】
次に、メスハウジング11が第1位置P1と第2位置P2との間の第2経由位置P4に位置された状態(
図5参照)では、レバーロック部40の第3係止部41と第4係止部42とが軸線方向Xに離間している一方で、ハウジングロック部45の第1係止部45aが第2係止部45bの溝部内に挿入され、メスハウジング11とオスハウジング21とがロックされる。そして、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態(
図6参照)では、ハウジングロック部45に加えてレバーロック部40の第4係止部42が第3係止部41の係止孔部41a(
図7、8参照)内に挿入され、レバー30とメスハウジング11とがロックされる。
【0041】
以上のように、本実施形態のコネクタ1およびワイヤハーネスWHでは、メスハウジング11がオスハウジング21との完全嵌合状態に対応する第2位置P2に位置された状態で、レバーロック部40の第3係止部41と第4係止部42との間の軸線方向Xに沿った第1隙間G1は、ハウジングロック部45の第1係止部45aと第2係止部45bとの間の軸線方向Xに沿った第2隙間G2よりも小さい。この構成により、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態におけるメスハウジング11とオスハウジング21との間のがたつき(メスハウジング11のオスハウジング21に対する軸線方向Xの移動量)を第2隙間G2よりも小さな第1隙間G1と略同等の範囲内に抑えることができる。この結果、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、より適正にメスハウジング11とオスハウジング21との間のがたつきを抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態のコネクタ1およびワイヤハーネスWHでは、第3係止部41は、レバー30を高さ方向Zに沿って貫通した係止孔部41aであり、メスハウジング11が第2位置P2に位置された状態で第4係止部42を高さ方向Zの一方側に露出させる。この構成により、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、係止孔部41aによってコネクタ1に嵌合保証部材を設けることなくメスハウジング11とオスハウジング21との完全嵌合状態を目視によって確認することができる。この結果、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、当該コネクタ1およびワイヤハーネスWHの製造に要する手間や、費用、部品点数等を削減することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、レバーロック部40は、レバー30側の第3係止部41が係止孔部41aとして構成され、メスハウジング11側の第4係止部42が係止突起として構成されば場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、レバー30側の第3係止部41が係止突起として構成され、メスハウジング11側の第4係止部42側が係止孔部として構成されてもよい。同様に、本実施形態では、ハウジングロック部45は、オスハウジング21側の第1係止部45aが係止爪部として構成され、メスハウジング11側の第2係止部45bが係止溝部として構成された場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、オスハウジング21側の第1係止部45aが係止溝部として構成され、メスハウジング11側の第2係止部45bが係止爪部として構成されてもよい。
【0044】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 コネクタ
10 メスコネクタ
11 メスハウジング
12 メス端子
20 オスコネクタ
21 オスハウジング
22 オス端子
30 レバー
40 レバーロック部
41 第3係止部
41a 係止孔部
42 第4係止部
45 ハウジングロック部
45a 第1係止部
45b 第2係止部
G1 第1隙間
G2 第2隙間
P1 第1位置
P2 第2位置
W 電線
WH ワイヤハーネス
X 軸線方向
Z 高さ方向