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  • 特開-肌質改善用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174348
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】肌質改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20241210BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092131
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】中島 千絵
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 慎一郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD572
4C083AD662
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】肌質改善が可能な組成物を提供すること。
【解決手段】(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上であることを特徴とする組成物。さらに、(C)カテキンを含有してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である肌質改善用組成物。
【請求項2】
(A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である肌質改善用組成物。
【請求項3】
(A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である、肌質改善用組成物。
【請求項4】
肌質改善が、肌の明度向上、肌の潤い向上、又は肌弾力向上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の肌質改善用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌質改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥肌、しわ、たるみ、ハリの低下、くすみ、肌のかさつき等の皮膚症状は、皮膚の美観を損なう要因となるため、美容を気にする女性にとって悩みの種となっている。そのため、肌質の改善を目的として、これまでに肌質改善作用を有する化粧品や医薬品、食品が開発されてきた。
【0003】
例えば、ベントナイトを有効成分とする皮膚保湿用の化粧料組成物(特許文献1)や、ラクトバチルス・ラムノーサスの菌体又は菌体の抽出物を有効成分とする肌質改善用組成物(特許文献2)、黒ウコン抽出物を有効成分とする肌質改善用組成物(特許文献3)などが知られている。しかしながら、これまで開発された組成物は必ずしも効果が十分とは言えないため、肌質改善作用に優れた新たな組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2022-543578号公報
【特許文献2】特開2022-182870号公報
【特許文献3】特開2021-023279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、肌質改善が可能な組成物を提供することにある。
【0006】
本発明者らは、プロシアニジンB1(Procyanidin B1;以下、「PB1」とも言う)及びプロシアニジンB3(Procyanidin B3;以下、「PB3」とも言う)を特定の比率とすることにより、優れた肌質改善効果が得られることを見いだした。さらに、プロシアニジンB1、プロシアニジンB3に加えて、カテキンを含有することにより、優れた肌質改善効果が得られることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づき、完成された発明である。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1](A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である肌質改善用組成物。
[2](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である肌質改善用組成物。
[3](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である、肌質改善用組成物。
[4](A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下である肌質改善用組成物。
[5](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下である肌質改善用組成物。
[6](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する肌質改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上10以下である、肌質改善用組成物。
[7]肌質改善が、肌の明度向上、肌の潤い向上、又は肌弾力向上であることを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載の肌質改善用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物は、優れた肌の明度向上効果、肌の潤い向上効果及び肌弾力向上効果を有することから、優れた肌質改善効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例及び比較例における表皮角化細胞の賦活活性を示す図である。
図2図2は、実施例及び比較例における皮膚線維芽細胞の賦活活性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の肌質改善用組成物は、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3を特定の比率で含有することを特徴とする。さらに、本発明の組成物は、(C)カテキンを含有してもよい。以下、各成分及び本発明の組成物について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の主旨の範囲内で種々改変することができる。
【0011】
本発明の組成物は、肌質改善効果を奏することから、肌質改善用組成物として用いることができる。
【0012】
以下、本発明の組成物に含まれる各成分について説明する。
[(A)プロシアニジンB1]
(A)プロシアニジンB1は、(-)エピカテキンと(+)カテキンとがC4-C8結合した二量体であり、下記式(1)に示す化学構造を有する。
【0013】
【化1】
【0014】
本発明の(A)プロシアニジンB1は、合成物やリンゴ、ブドウ、松などの植物由来物を用いることができ、使用時の安全性の観点から植物由来物が好ましく、プロシアニジンB1を豊富に含むことから、ブドウ又は松がより好ましく、松を用いることが特に好ましい。
【0015】
植物由来物の加工方法は特に限定されず、粉砕物、搾汁、抽出物等の処理物を使用することができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。ペースト状や乾燥粉末とする場合は、そのもののみを用いて製造しても良いし、賦形剤と共に加工しても良い。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、プロシアニジンB1を豊富に含むことができる点から、抽出物を用いることが特に好ましい。
【0016】
本発明の組成物におけるプロシアニジンB1の含有量は、HPLCにて分析することができる。例えば、紫外部吸収検出器付きHPLC分析装置により測定することができ、分析カラムは一般財団法人化学物質評価研究機構製のL-Column ODS 3μm(4.6×250mm)を用い、移動相の液媒として、0.1M酢酸水溶液(移動相A)、0.1M酢酸アセトニトリル溶液(移動相B)を用い、カラム温度は40℃、流量1.0mL/分とすることができる。グラジエント条件は以下の通りとすることができる。
【0017】
【表A】
【0018】
[(B)プロシアニジンB3]
(B)プロシアニジンB3は、(+)カテキンと(+)カテキンとがC4-C8結合した二量体であり、下記式(2)に示す化学構造を有する。
【0019】
【化2】
【0020】
本発明の(B)プロシアニジンB3は、合成物やリンゴ、ブドウ、松などの植物由来物を用いることができ、使用時の安全性の観点から植物由来物が好ましく、プロシアニジンB3を豊富に含むことから、ブドウ又は松がより好ましく、松を用いることが特に好ましい。
【0021】
植物由来物の加工方法は特に限定されず、粉砕物、搾汁、抽出物等の処理物を使用することができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。ペースト状や乾燥粉末とする場合は、そのもののみを用いて製造しても良いし、賦形剤と共に加工しても良い。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、プロシアニジンB3を豊富に含むことができる点から、抽出物を用いることが特に好ましい。
【0022】
本発明の組成物におけるプロシアニジンB3の含有量は、HPLCにて分析することができる。例えば、紫外部吸収検出器付きHPLC分析装置により測定することができ、分析カラムは一般財団法人化学物質評価研究機構製のL-Column ODS 3μm(4.6×250mm)を用い、移動相の液媒として、0.1M酢酸水溶液(移動相A)、0.1M酢酸アセトニトリル溶液(移動相B)を用い、カラム温度は40℃、流量1.0mL/分とすることができる。グラジエント条件は以下の通りとすることができる。
【0023】
【表B】
【0024】
[(C)カテキン]
本発明の組成物は、(C)カテキンを含有しても良い。カテキンとは、化学式C15H14O6で表される化合物であり、本発明におけるカテキンとは、下記化学式(3)で示す(+)‐カテキン、または化学式(4)で示す(-)‐カテキンである。カテキンとしては、(+)‐カテキン、(-)‐カテキンのいずれを使用してもよく、2種を組み合わせて使用してもよいが、より高い効果を得ることができる点から、2種を組み合わせて使用することが好ましい。
【0025】
【化3】
【0026】
本発明の(C)カテキンは、合成物や茶、松などの植物由来物を用いることができ、使用時の安全性の観点から植物由来物が好ましく、カテキンを豊富に含むことから、茶又は松がより好ましく、松を用いることが特に好ましい。
【0027】
植物由来物の加工方法は特に限定されず、粉砕物、搾汁、抽出物等の処理物を使用することができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。ペースト状や乾燥粉末とする場合は、そのもののみを用いて製造しても良いし、賦形剤と共に加工しても良い。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、カテキンを豊富に含むことができる点から、抽出物を用いることが特に好ましい。
【0028】
本発明の組成物におけるカテキンの含有量は、HPLCにて分析することができる。例えば、紫外部吸収検出器付きHPLC分析装置により測定することができ、分析カラムは一般財団法人化学物質評価研究機構製のL-Column ODS 3μm(4.6×250mm)を用い、移動相の液媒として、0.1M酢酸水溶液(移動相A)、0.1M酢酸アセトニトリル溶液(移動相B)を用い、カラム温度は40℃、流量1.0mL/分とすることができる。グラジエント条件は以下の通りとすることができる。
【0029】
【表C】
【0030】
本発明の組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、化粧品や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等として用いることができる。
【0031】
本発明の組成物は、後述する実施例に記載の通り、表皮角化細胞賦活作用及び皮膚線維芽細胞賦活作用を有する。表皮角化細胞を賦活化することで、皮膚のターンオーバーを促進し、皮膚中のメラニンが排出され、より効果的に肌の明度を向上することができる。また、皮膚線維芽細胞を賦活化することで、コラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進させ、より効果的に皮膚のバリア機能を高め、肌の潤いを向上し、肌弾力を向上することができる。したがって、本発明の肌質改善用組成物は、表皮角化細胞賦活用組成物、線維芽細胞賦活用組成物、皮膚のターンオーバー促進用組成物、肌の明度向上用組成物、コラーゲン産生用組成物、ヒアルロン酸産生促進用組成物、皮膚バリア機能向上用組成物、肌の潤い向上用組成物、肌弾力向上用組成物として用いることができる。なお、肌としては、頭皮や口唇を含む。
【0032】
本発明の組成物としては、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3とを含有し、任意でカテキンを含有し、肌質改善の機能が発揮される点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、肌質改善の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。
【0033】
なお、本発明の組成物は、カテキンを含有しない場合は、プロシアニジンB1又は/及びプロシアニジンB3が有効成分として表示されているものであってもよいが、プロシアニジンB1、プロシアニジンB3が有効成分として表示されているものに限られない。カテキンを含有する場合は、プロシアニジンB1又は/及びプロシアニジンB3又は/及びカテキンが有効成分として表示されているものであってもよいが、プロシアニジンB1、プロシアニジンB3、カテキンが有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分が表示されていないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、機能・用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として機能・用途に言及する体験談をホームページ等に掲載して販売される食品が挙げられる。
【0034】
具体的に、肌質改善用組成物においては、例えば、「肌のシワ改善」、「肌のたるみ改善」、「肌のバリア機能維持」、「肌の明るさアップ」、「肌弾力維持」、「肌のターンオーバー促進」、「コラーゲン産生の増加」、「繊維芽細胞の増殖」、「化粧ノリを良くする」、「肌をバリアする」、「肌を守る」、「肌のバリア機能を高める」、「肌の保湿力を高める」、「美しい肌へ」、「美肌」、「若々しい肌へ」、「美白」、「美容」、「見た目年齢を若くする」、「肌の痒みを抑える」、「肌の潤いアップ」、「肌の潤い改善」、「肌の水分量アップ」、「頭皮の環境を良くする」、「頭皮の肌弾力を改善する」、「頭皮の水分量を改善する」、「唇の潤いアップ」、「しみが気になる方に」、「しわが気になる方に」、「ストレスに負けない肌に」、「紫外線に負けない肌に」、「肌にうれしい」、「肌の水分蒸散量を低減する」、「肌の乾燥を防ぐ」、「ハリが気になる方に」、「くすみが気になる方に」、「肌の透明感向上」、「透明感のある肌へ」等を表示したものを例示することができる。
【0035】
本発明の組成物は、経口用又は外用として使用することができる。本発明の組成物を経口用として用いる場合、その形態としては、例えば、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ジェル状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状等の各形態が挙げられる。これらの中でも、摂取が容易である点から、顆粒状、錠状、カプセル状、液状が好ましく、顆粒状、錠状、カプセル状がより好ましい。ここで、顆粒状とは粉末を造粒したものをいい、直接飲用してもよく、水などの液体に溶かして飲用してもよい。また、ジェル状とは水とゲル化剤を含有し、粘性又は弾性を有する状態のものをいう。
【0036】
本発明の組成物を外用として用いる場合、その形態としては、例えば、軟膏状、クリーム状、ジェル状、ローション状、乳液状、パック状、湿布状等の各形態が挙げられる。これらの中でも、塗布が容易である点から、クリーム状、ジェル状、ローション状、乳液状、パック状が好ましく、クリーム状、ジェル状、ローション状、乳液状がより好ましい。
【0037】
本発明の組成物における(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3との質量比[(A)/(B)]としては、1以上であれば良いが、1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。また、上限は特に限定されないが、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3.5以下であることが特に好ましい。これらの質量比であることにより、より高い効果を得ることができる。
【0038】
本発明の組成物における(A)プロシアニジンB1と(C)カテキンとの質量比[(A)/(C)]としては、特に限定されないが、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。また、上限は特に限定されないが、10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。これらの質量比であることにより、より高い効果を得ることができる。
【0039】
本発明の組成物における(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3の合計と(C)カテキンとの質量比[((A)+(B))/(C)]としては、特に限定されないが、0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1以上であることが特に好ましい。また、上限は特に限定されないが、10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、3.5以下であることが特に好ましい。これらの質量比であることにより、より高い効果を得ることができる。
【0040】
本発明の組成物における(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3の合計含有量としては、カテキン含有の有無に関わらず、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、0.00001~30質量%含有させることができ、0.0001~20質量%含有させることが好ましく、0.001~10質量%含有させることがより好ましい。
【0041】
本発明の組成物が経口組成物の場合、その摂取量としては特に制限はないが、より高い効果を得ることができる点から、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3の合計摂取量が、成人の1日当たり、0.1mg以上となるように摂取することが好ましく、1mg以上となるように摂取することがより好ましく、2mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、100mgであり、好ましくは50mgであり、より好ましくは20mgである。
【0042】
本発明の組成物が経口組成物の場合、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3の合計の1日の摂取量は上記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で上記摂取量を摂取する態様であってもよいし、複数回に分けて上記摂取量を摂取する態様であってもよい。すなわち、例えば、1つの容器に、又は2~4の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。また、本発明の組成物の1日の摂取量は、例えば、本発明の組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、0.05~50gとなるように摂取することが好ましく、0.1~10gとなるように摂取することがより好ましく、0.2~5gとなるように摂取することがさらに好ましい。また、例えば、本発明の組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、10~1500gとなるように摂取することが好ましく、30~1000gとなるように摂取することがより好ましく、50~750gとなるように摂取することがさらに好ましい。
【0043】
本発明の組成物が外用剤である場合、使用量としては特に制限はなく、使用対象個体の年齢、体重、体質等の様々な要因を考慮して適宜選択することができる。また、1日1回~数回に分け、使用することができる。
【0044】
本発明の組成物は、必要に応じて、(A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3、(C)カテキン以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
【実施例0045】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
<試験1 表皮角化細胞賦活の評価>
表皮角化細胞賦活について評価した。
【0047】
[被験物質]
被験物質には、(A)プロシアニジンB1としてプロシアニジンB1試薬(ChemFaces社製)、(B)プロシアニジンB3としてプロシアニジンB3試薬(ChemFaces社製)、(C)カテキンとしてカテキン試薬(長良サイエンス社製)を使用した。
【0048】
[細胞]
表皮角化細胞として、ヒト表皮角化細胞(NHEK)を使用した。
【0049】
[培養]
37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、75cmフラスコを用いて、ヒト表皮角化細胞を角化細胞増殖培地(タカラバイオ製)で培養した。次いでアクターゼ処理により浮遊させた細胞を、75cmフラスコから96ウェルプレートの各ウェルに8×10cells/wellの細胞密度で播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。
【0050】
[表皮角化細胞の増殖試験]
各ウェルより培地を除去後、所定濃度に調製した被験物質含有培地を100μL/well添加し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で24時間培養した。被験物質としては、下記表1に示す組成の実施例1~9及び比較例1~5の組成物を使用した。被験物質含有培地は、培養培地において、組成物の各成分の培地中の合計濃度が1μg/mLとなるように調製した。また、コントロールとして、被験物質を含まない培養培地を添加した。
【0051】
【表1】
【0052】
24時間培養後、培地を除去し、無血清DMEMで30倍に希釈したCell Counting Kit-8(同仁化学製)を各ウェルに150μLずつ添加した。37℃、5容量%CO2インキュベーター内に静置し適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。得られたデータを元に% of control(コントロールの生細胞数を100%とする相対的な生細胞数)を算出した。結果を図1に示す。吸光度の比率とヒト表皮角化細胞数の比率とは正比例の関係にあるので、吸光度の比率は、ヒト表皮角化細胞数の比率を示す。
% of control=(Data sample-Data blank)/(Data control-Data blank)×100
【0053】
[試験結果]
図1に示すように、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を添加し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である群(実施例1~9)は、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を添加し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1未満である群(比較例1~4)並びに、(C)カテキン単体を添加した群(比較例5)に比べて、表皮角化細胞賦活が認められた。実施例1~9の中でも、(C)カテキンを添加した群(実施例4~9)は、(C)カテキンを添加しなかった群(実施例1~3)に比べて、より優れた表皮角化細胞賦活が認められた。さらにその中でも、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である群(実施例4~8)は、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5未満である群(実施例9)に比べて、特に優れた表皮角化細胞賦活が認められた。従って、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を組み合わせ、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]を1以上とすることにより、表皮角化細胞賦活が発揮されることから、肌の明度が向上し、優れた肌質改善効果を得ることができる。また、(C)カテキンを組み合わせることにより、より優れた表皮角化細胞賦活が発揮されることから、より優れた肌質改善効果を得ることができる。さらに、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]を0.5以上とすることにより、特に優れた表皮角化細胞賦活が発揮されることから、特に優れた肌質改善効果を得ることができる。
【0054】
<試験2 皮膚線維芽細胞賦活の評価>
皮膚線維芽細胞賦活について評価した。
【0055】
[被験物質]
試験1同様に、被験物質には、(A)プロシアニジンB1としてプロシアニジンB1試薬(ChemFaces社製)、(B)プロシアニジンB3としてプロシアニジンB3試薬(ChemFaces社製)、(C)カテキンとしてカテキン試薬(長良サイエンス社製)を使用した。
【0056】
[細胞]
皮膚線維芽細胞として、ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)を使用した。
【0057】
[培養]
37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、75 cmフラスコを用いて、ヒト皮膚線維芽細胞を10%FBS-DMEM培地で培養した。次いでトリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cmフラスコから96ウェルプレートの各ウェルに5×10cells/wellの細胞密度で播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。
【0058】
[皮膚線維芽細胞の増殖試験]
各ウェルより培地を除去後、所定濃度に調製した被験物質含有培地を100μL/well添加し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で24時間培養した。各ウェルより培地を除去後、所定濃度に調製した被験物質含有培地を100μL/well添加し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で24時間培養した。被験物質としては、表1に示す組成の実施例1~9及び比較例1~5の組成物を使用した。被験物質含有培地は、培養培地において、組成物の各成分の培地中の合計濃度が1μg/mLとなるように調製した。また、コントロールとして、被験物質を含まない培養培地を添加した。
【0059】
24時間培養後、培地を除去し、無血清DMEMで30倍に希釈したCell Counting Kit-8(同仁化学製)を各ウェルに150μLずつ添加した。37℃、5容量%CO2インキュベーター内に静置し適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。得られたデータを元に% of control(コントロールの生細胞数を100%とする相対的な生細胞数)を算出した。結果を図2に示す。吸光度の比率とヒト皮膚線維芽細胞数の比率とは正比例の関係にあるので、吸光度の比率は、ヒト皮膚線維芽細胞数の比率を示す。
% of control=(Data sample-Data blank)/(Data control-Data blank)×100
【0060】
[試験結果]
図2に示すように、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を添加し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である群(実施例1~9)は、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を添加し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1未満である群(比較例1~4)並びに、(C)カテキン単体を添加した群(比較例5)に比べて、皮膚繊維芽細胞賦活が認められた。実施例1~9の中でも、(C)カテキンを添加した群(実施例4~9)は、(C)カテキンを添加しなかった群(実施例1~3)に比べて、より優れた皮膚繊維芽細胞賦活が認められた。さらにその中でも、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である群(実施例4~8)は、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5未満である群(実施例9)に比べて、特に優れた皮膚繊維芽細胞賦活が認められた。従って、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を組み合わせ、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]を1以上とすることにより、皮膚繊維芽細胞賦活が発揮されることから、肌の潤い及び肌弾力が向上し、優れた肌質改善効果を得ることができる。また、(C)カテキンを組み合わせることにより、より優れた皮膚繊維芽細胞賦活が発揮されることから、より優れた肌質改善効果を得ることができる。さらに、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]を0.5以上とすることにより、特に優れた皮膚繊維芽細胞賦活が発揮されることから、特に優れた肌質改善効果を得ることができる。
【0061】
実施例の結果に基づいて、以下に本発明の製造例を示す。
【0062】
[製造例1-3:顆粒剤1]
表2の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する顆粒剤を製造した。製造例1-3に記載の顆粒剤は、1日あたり3gを摂取すればよく、100mlの水などの溶媒に溶かして摂取してもよく、溶かさずにそのまま摂取してもよい。製造例1-3のいずれの顆粒剤も肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0063】
【表2】
【0064】
[製造例4-6:顆粒剤2]
表3の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する顆粒剤を製造した。製造例4-6に記載の顆粒剤は、1日あたり25gを摂取すればよく、200mlの水などに溶かして摂取することができる。製造例4-6のいずれの顆粒剤も肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0065】
【表3】
【0066】
[製造例7-9:錠剤]
表4の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する錠剤を製造した。錠剤は、錠径8mmφ、錠厚4.5mm、重量250mg、硬度5kgf以上で製造した。製造例7-9に記載の錠剤は1日あたり1~4粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。製造例7-9のいずれの錠剤も肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0067】
【表4】
【0068】
[製造例10-12:ハードカプセル]
表5の配合の内容物をゼラチン又はヒドロキシプロピルセルロースを含む被膜で被包することで、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するハードカプセルを製造した。ハードカプセルは1粒300mgで製造した。1日あたり1~4粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。また、製造例10-12のいずれのハードカプセルも肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0069】
【表5】
【0070】
[製造例13-15:ソフトカプセル]
表6の配合の内容物を、ゼラチンを含む被膜で被包することで、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するソフトカプセルを製造した。ソフトカプセルは1粒300mgで製造した。1日あたり1~4粒摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。また、製造例13-15のいずれのソフトカプセルも肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0071】
【表6】
【0072】
[製造例16-18:PET飲料]
表7の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するPET飲料を製造した。PET飲料は1本500mlで製造した。1日あたり1本摂取すればよい。また、製造例16-18のいずれのPET飲料も肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0073】
【表7】
【0074】
[製造例19-21:チョコレート]
表8の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するチョコレートを製造した。1日あたり30gを摂取すればよい。また、製造例19-21のいずれのチョコレートも肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0075】
【表8】
【0076】
[製造例22-24:ゼリー]
表9の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するゼリーを製造した。1日あたり150gを摂取すればよい。また、製造例22-24のいずれのゼリーも肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0077】
【表9】
【0078】
[製造例25-27:グミ]
表10の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するグミを製造した。1日あたり4gを摂取すればよい。また、製造例25-27のいずれのグミも肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0079】
【表10】
【0080】
[製造例28-30:ヨーグルト]
表11の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するヨーグルトを製造した。1日あたり150gを摂取すればよい。また、製造例28-30のいずれのヨーグルトも肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0081】
【表11】
【0082】
[製造例31-33:化粧水]
表12の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する化粧水を製造した。製造例31-33のいずれの化粧水も肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0083】
【表12】
【0084】
[製造例34-36:乳液]
表13の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する乳液を製造した。製造例34-36のいずれの乳液も肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0085】
【表13】
【0086】
[製造例37-39:化粧用クリーム]
表14の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する化粧用クリームを製造した。製造例37-33のいずれの化粧クリームも肌の明度向上、肌の潤い向上及び肌弾力向上に優れ、肌質改善に有効である。
【0087】
【表14】
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の組成物は、肌質改善を可能とし、健康食品や化粧品等として用いることができることから、産業上有用である。
図1
図2