(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174350
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 1/00 20060101AFI20241210BHJP
G02C 9/00 20060101ALI20241210BHJP
G02C 5/02 20060101ALI20241210BHJP
G02C 5/22 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G02C1/00
G02C9/00
G02C5/02
G02C5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092135
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】397032323
【氏名又は名称】株式会社ハセガワ
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 良之
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AC00
(57)【要約】
【課題】好ましい装着感を装着者に与えることが可能な、跳ね上げ式の眼鏡を提供する。
【解決手段】保持枠は、第一レンズを保持する。フロントバーは、装着者の顔の前方に配置される。鼻パッドは、装着者の鼻に接する。蝶番は、フロントバーに対して保持枠を回転自在に支持する。フロントバーは、中央部分と、端部分と、連接部分とを含む。中央部分は、フロントバーの幅方向の中心を含む。端部分は、中央部分より幅方向の端側に設けられる。連接部分は、前後方向の前側に前後方向の後側に傾斜した形状を有し、且つ中央部分及び端部分を繋ぐ。中央部分は、前後方向の寸法が端部分の前後方向の寸法より大きな形状を有する。連接部分は、前後方向の寸法が幅方向の中心側から端側に向けて漸次小さくなる形状を有する。鼻パッドは、中央部分に設けられる。蝶番は、連接部分と幅方向に隣り合った状態で保持枠及び端部分にそれぞれ固定される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一レンズが跳ね上げられた状態となる、跳ね上げ式の眼鏡であって、
前記第一レンズを保持する、保持枠と、
前記眼鏡を装着した装着者の顔を左右に横断する状態で前記装着者の顔の前方に配置される、フロントバーと、
前記装着者の鼻に接する、鼻パッドと、
前記保持枠及び前記フロントバーにそれぞれ固定され、且つ前記フロントバーに対して前記保持枠を回転自在に支持する、蝶番と、を備え、
前記フロントバーは、
前記フロントバーの前記装着者の顔の幅に対応する幅方向の中心を含む、中央部分と、
前記中央部分より前記幅方向の端側に設けられる、端部分と、
前記装着者の前後に対応する前後方向の前側に前記前後方向の後側に傾斜した形状を有し、且つ前記中央部分及び前記端部分を繋ぐ、連接部分と、を含み、
前記中央部分は、前記前後方向の寸法が前記端部分の前記前後方向の寸法より大きな形状を有し、
前記端部分は、前記幅方向の中心側から端側に向けて前記前後方向の後側に傾斜又は湾曲した形状を有し、
前記連接部分は、前記前後方向の寸法が前記幅方向の中心側から端側に向けて漸次小さくなる形状を有し、
前記鼻パッドは、前記中央部分に設けられ、
前記蝶番は、前記連接部分と幅方向に隣り合った状態で前記保持枠及び前記端部分にそれぞれ固定される、眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズが跳ね上げられた状態となる、跳ね上げ式の眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、跳ね上げ式の眼鏡を開示する。この眼鏡は、保持枠と、フロントバーと、蝶番とを備える。保持枠は、第一レンズを保持する。蝶番は、保持枠を回動自在に支持する。フロントバーは、第一バー部、第二バー部、第一屈曲部、第二屈曲部及び第三バー部によって形成される。第二バー部は、幅方向の中央の側から端の側に向けて前後方向の後側に湾曲又は傾斜した形状とされる。第一屈曲部は、第一バー部に繋がり、前後方向の後側に屈曲した形状とされる。第二屈曲部は、第二バー部に繋がり、前後方向の前側に屈曲した形状とされる。第三バー部は、第一屈曲部及び第二屈曲部を繋ぐ。蝶番は、第一駒片と、第二駒片と、軸部とを備える。第一駒片は、幅方向において第三バー部と隣り合った状態で、第二バー部に固定される。第二駒片は、保持枠に固定される。軸部は、第一駒片及び第二駒片を連結し、回動する第二駒片の回動軸となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
跳ね上げ式の眼鏡は、不特定多数の者に利用される。顔の形状は、装着者毎に異なる。顔の形状を特定する要素の例としては、特許文献1の技術が対象とする顔の幅に加え、顔の凹凸状態が挙げられる。顔の凹凸状態の例としては、鼻の高さ及び頬の高さが挙げられる。例えば、装着者の中には、鼻が低い者、頬が高い者、又は鼻が低く且つ頬が高い者が存在する。装着者が鼻が低いとの特徴及び頬が高いとの特徴の一方又は両方を有するとする。この場合、装着者が跳ね上げ式の眼鏡をレンズを跳ね上げることなく装着した状態では、レンズ及び装着者の顔の間隔が狭くなる。その結果、眼鏡の一部が装着者の顔に接触し易くなる。レンズを保持する構造としてハーフリム式を例とする。この場合、装着者の顔に接触し易くなる眼鏡の一部の例としては、レンズが挙げられる。レンズを保持する構造としてフルリム式を例とする。この場合、装着者の顔に接触し易くなる眼鏡の一部の例としては、レンズを保持する保持部が挙げられる。保持部は、リムとも称される。発明者は、特許文献1と同じように保持枠とフロントバーとの接触を抑制しつつ、眼鏡の一部と装着者の顔との接触を抑制可能な跳ね上げ式の眼鏡の構造について検討した。その際、発明者は、多くの装着者に対応可能とする点を考慮した。
【0005】
本発明は、好ましい装着感を装着者に与えることが可能な、跳ね上げ式の眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、第一レンズが跳ね上げられた状態となる、跳ね上げ式の眼鏡であって、前記第一レンズを保持する、保持枠と、前記眼鏡を装着した装着者の顔を左右に横断する状態で前記装着者の顔の前方に配置される、フロントバーと、前記装着者の鼻に接する、鼻パッドと、前記保持枠及び前記フロントバーにそれぞれ固定され、且つ前記フロントバーに対して前記保持枠を回転自在に支持する、蝶番と、を備え、前記フロントバーは、前記フロントバーの前記装着者の顔の幅に対応する幅方向の中心を含む、中央部分と、前記中央部分より前記幅方向の端側に設けられる、端部分と、前記装着者の前後に対応する前後方向の前側に前記前後方向の後側に傾斜した形状を有し、且つ前記中央部分及び前記端部分を繋ぐ、連接部分と、を含み、前記中央部分は、前記前後方向の寸法が前記端部分の前記前後方向の寸法より大きな形状を有し、前記端部分は、前記幅方向の中心側から端側に向けて前記前後方向の後側に傾斜又は湾曲した形状を有し、前記連接部分は、前記前後方向の寸法が前記幅方向の中心側から端側に向けて漸次小さくなる形状を有し、前記鼻パッドは、前記中央部分に設けられ、前記蝶番は、前記連接部分と幅方向に隣り合った状態で前記保持枠及び前記端部分にそれぞれ固定される、眼鏡である。
【0007】
この眼鏡によれば、鼻パッドをフロントバーの中央部分に設けることで、第一レンズと装着者の眼との距離を一定にしつつ、鼻パッドの前後方向の位置を前後方向の後側とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、好ましい装着感を装着者に与えることが可能な、跳ね上げ式の眼鏡を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】眼鏡の概略構成の一例を示す正面図である。単式跳ね上げ式の眼鏡を示す。上段は、非跳ね上げ状態を示す。下段は、跳ね上げ状態を示す。上段及び下段は、テンプルが開かれた状態を示す。
【
図2】
図1の眼鏡の背面図である。上段は、非跳ね上げ状態を示す。下段は、跳ね上げ状態を示す。上段及び下段は、テンプルが開かれた状態を示す。
【
図3】
図1の眼鏡の平面図である。上段は、テンプルが開かれた状態を示す。下段は、テンプルが閉じられた状態を示す。上段及び下段は、非跳ね上げ状態を示す。
【
図4】
図1の眼鏡の平面図である。眼鏡は、跳ね上げ状態及びテンプルが開かれた状態を示す。
【
図5】
図1の眼鏡の右側面図である。上段は、非跳ね上げ状態を示す。中段は、跳ね上げ状態を示す。下段は、第一レンズを保持した保持枠の回転状態を示す。上段、中段及び下段は、テンプルが開かれた状態を示す。
【
図6】
図1の眼鏡の左側面図である。上段は、非跳ね上げ状態を示す。中段は、跳ね上げ状態を示す。下段は、第一レンズを保持した保持枠の回転状態を示す。上段、中段及び下段は、テンプルが開かれた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、本発明を理解するための説明図であり、設計図とは異なる。各図面は、他の図面との対応が正確ではない場合もある。二点鎖線は、想像線である。
【0011】
<眼鏡10>
眼鏡10について
図1~6を参照して説明する。実施形態では、眼鏡10を特定する方向を「幅方向」、「前後方向」及び「上下方向」という。幅方向の一方の端側を「左側」といい、幅方向の他方の端側を「右側」という。前後方向の一方側を「前側」といい、前後方向の他方側を「後側」という。上下方向の一方側を「上側」といい、上下方向の他方側を「下側」という。幅方向、前後方向及び上下方向は、眼鏡10を装着した装着者を基準とする。即ち、幅方向は、眼鏡10を装着した装着者の顔の幅に対応する。幅方向の左側はこの装着者の左側であり、幅方向の右側はこの装着者の右側である。幅方向の左右は眼鏡10の正面図である
図1を正面視したときの左右とは反対となる。前後方向は、眼鏡10を装着した装着者の前後に対応する。前後方向の前側はこの装着者の前側であり、前後方向の後側はこの装着者の後側である。装着者の前側は装着者の正面側であり、装着者の後側は装着者の背面側である。例えば、装着者の前側は装着者の顔の側であり、装着者の後側は装着者の後頭部の側である。上下方向は、眼鏡10を装着した装着者の上下に対応する。上下方向の上側はこの装着者の上側であり、上下方向の下側はこの装着者の下側である。
【0012】
眼鏡10は、跳ね上げ式である。跳ね上げ式の眼鏡の例としては、単式跳ね上げ式の眼鏡及び複式跳ね上げ式の眼鏡が挙げられる。実施形態では、単式跳ね上げ式の眼鏡10を例とする。単式跳ね上げ式の眼鏡10では、第一レンズ11L,11Rが跳ね上げられていない状態である場合(
図1上段、
図2上段、
図3、
図5上段及び
図6上段参照)、装着者の左眼及び右眼に対応してそれぞれ設けられるレンズの枚数は各眼当たり1枚とされる。実施形態では、第一レンズ11L,11Rが跳ね上げられていない状態を「非跳ね上げ状態」といい、第一レンズ11L,11Rが跳ね上げられている状態を「跳ね上げ状態」という。
【0013】
眼鏡10は、第一レンズ11L,11Rと、保持枠20と、フロントバー30と、鼻パッド40L,40Rと、蝶番50L,50Rと、ヨロイ60L,60Rと、テンプル61L,61Rと、蝶番63L,63Rとを備える(
図1~6参照)。実施形態では、第一レンズ11L,11Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「第一レンズ11」という。鼻パッド40L,40Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「鼻パッド40」という。蝶番50L,50Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「蝶番50」という。説明の便宜上、後述する複式跳ね上げ式の眼鏡における「第二レンズ」と区別するため、単式跳ね上げ式の眼鏡10が備えるレンズの名称を「第一レンズ」とする。
【0014】
第一レンズ11Lは装着者の左眼用のレンズであり、第一レンズ11Rは装着者の右眼用のレンズである(
図1上段、
図2上段、
図3、
図5上段及び
図6上段参照)。第一レンズ11は、公知の跳ね上げ式の眼鏡が備えるレンズと同様である。公知の跳ね上げ式の眼鏡の例としては、上述した特許文献1によって開示された眼鏡が挙げられる。従って、第一レンズ11に関するこの他の説明は省略する。
【0015】
保持枠20は、第一レンズ11を保持する(
図1、
図2上段及び
図4~6参照)。実施形態では、保持枠20は公知のハーフリム式の眼鏡でレンズを保持するフレーム部分と同様の構造を有する。保持枠20は、保持部21L,21Rと、連結部23と、ナイロール25L,25Rとを含む(
図1~6参照)。保持部21L,21Rは、公知のハーフリム式の眼鏡のハーフリムに対応する。保持部21L,21Rは、連結部23によって連結される。保持枠20は、左右対称の形状を有する。実施形態では、保持部21L,21Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「保持部21」という。ナイロール25L,25Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「ナイロール25」という。
【0016】
保持部21及び連結部23を形成する素材の例としては、金属及び樹脂が挙げられる。この他、保持部21及び連結部23の一方又は両方は、次の態様の複合材製としてもよい。この態様は、金属製の芯材を樹脂で被覆する。金属の例としては、チタン及びステンレスが挙げられる。樹脂の例としては、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ナイロン、セルロイド及びアセテートが挙げられる。但し、保持部21及び連結部23は、これらとは異なる材料を素材としてもよい。保持部21及び連結部23を形成する素材は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0017】
ナイロール25は、保持部21に取り付けられる(
図1下段及び
図5,6参照)。即ち、ナイロール25Lは保持部21Lに取り付けられ、ナイロール25Rは保持部21Rに取り付けられる。保持枠20では、第一レンズ11Lは保持部21L及びナイロール25Lによって保持され、第一レンズ11Rは保持部21R及びナイロール25Rによって保持される。保持枠20による第一レンズ11の保持は、前述した公知のハーフリム式の眼鏡と同様である。従って、これに関するこの他の説明は省略する。
【0018】
フロントバー30は、装着者の顔を左右に横断する状態で装着者の顔の前方に配置される(
図1下段及び
図2~4参照)。フロントバー30は、一体的に形成される。フロントバー30を形成する素材の例としては、金属及び樹脂が挙げられる。この他、フロントバー30は、次の態様の複合材製としてもよい。この態様は、金属製の芯材を樹脂で被覆する。金属の例としては、チタン及びステンレスが挙げられる。樹脂の例としては、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ナイロン、セルロイド及びアセテートが挙げられる。但し、フロントバー30は、これらとは異なる材料を素材としてもよい。フロントバー30を形成する素材は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0019】
フロントバー30は、中央部分31と、端部分33L,33Rと、連接部分35L,35Rとを含む(
図1下段及び
図2,3参照)。フロントバー30は、左右対称の形状を有する。実施形態では、端部分33L,33Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「端部分33」という。連接部分35L,35Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「連接部分35」という。
【0020】
中央部分31は、フロントバー30の幅方向の中心を含む(
図1下段及び
図2,3参照)。中央部分31は、フロントバー30の幅方向の中央領域Aを形成する。中心線Mは、フロントバー30の幅方向の中心に一致する。実施形態では、
図1~4に中心線Mを一点鎖線で示す。フロントバー30の幅方向の中心は、中央部分31の幅方向の中心ということもできる。鼻パッド40は、中央部分31に設けられる(
図2~4参照)。更に、鼻パッド40は、中央部分31の幅方向の中央領域Bでフロントバー30の幅方向の中心を挟んで左右対称の位置にそれぞれ設けられる。フロントバー30の幅方向の中央領域A及び中央部分31の幅方向の中央領域Bは、フロントバー30の幅方向の中心を含む(
図2上段及び
図3上段参照)。フロントバー30の幅方向の中央領域Aは、中央部分31の幅方向の中央領域Bを含む。中央部分31の幅方向の中央領域Bは、保持枠20の連結部23と前後方向に並ぶ。
【0021】
鼻パッド40は、装着者の鼻に接する。即ち、鼻パッド40Lは、眼鏡10が装着者に装着された状態で装着者の鼻の左側に接する。鼻パッド40Rは、眼鏡10が装着者に装着された状態で装着者の鼻の右側に接する。鼻パッド40L,40Rは、第一レンズ11の跳ね上げに関わらず装着者の鼻の所定の位置に接する。これに伴い、鼻パッド40L,40Rは、テンプル61L,61Rと共に眼鏡10を装着者の頭部に支持する。
【0022】
端部分33は、中央部分31より幅方向の端側に設けられる(
図1下段及び
図2,3参照)。端部分33は、フロントバー30の幅方向の端領域Cを形成する(
図2上段及び
図3上段参照)。フロントバー30の幅方向の端領域Cは、フロントバー30の幅方向の端を含む。端部分33は、幅方向の中心側から端側に向けて前後方向の後側に傾斜した形状を有する(
図3,4参照)。即ち、端部分33Lは中央部分31より幅方向の左側に設けられ、端部分33Rは中央部分31より幅方向の右側に設けられる(
図1下段及び
図2,3参照)。端部分33Lはフロントバー30の幅方向の左側の端領域Cを形成し、端部分33Rはフロントバー30の幅方向の右側の端領域Cを形成する(
図2上段及び
図3上段参照)。フロントバー30の幅方向の左側の端領域Cは、フロントバー30の幅方向の左側端を含む。フロントバー30の幅方向の右側の端領域Cは、フロントバー30の幅方向の右側端を含む。端部分33Lは幅方向の中心側から左側に向けて前後方向の後側に傾斜した形状を有し、端部分33Rは幅方向の中心側から右側に向けて前後方向の後側に傾斜した形状を有する(
図3,4参照)。
【0023】
連接部分35は、中央部分31及び端部分33を繋ぐ(
図1下段及び
図2,3参照)。即ち、連接部分35は、中央部分31及び端部分33の間に設けられ、中央部分31及び端部分33を幅方向に繋ぐ。連接部分35は、前後方向の前側に前後方向の後側に傾斜した形状を有する(
図3参照)。更に、連接部分35は、前後方向の寸法が幅方向の中心側から端側に向けて漸次小さくなる形状を有する。即ち、連接部分35Lは中央部分31の幅方向の左側で中央部分31及び端部分33Lを繋ぎ、連接部分35Rは中央部分31の幅方向の左側で中央部分31及び端部分33Rを繋ぐ(
図1下段及び
図2,3参照)。連接部分35Lは前後方向の前側に前後方向の後側に傾斜した形状を有し、連接部分35Rは前後方向の前側に前後方向の後側に傾斜した形状を有する(
図3参照)。更に、連接部分35Lは前後方向の寸法が幅方向の中心側から左側に向けて漸次小さくなる形状を有し、連接部分35Rは前後方向の寸法が幅方向の中心側から右側に向けて漸次小さくなる形状を有する。
【0024】
中央部分31は、前後方向の寸法が端部分33の前後方向の寸法より大きな形状を有する(
図3参照)。眼鏡10が非跳ね上げ状態である場合、保持枠20及びフロントバー30の前後方向の間隔は次の通りに設定される。即ち、非跳ね上げ状態では、保持枠20及び端部分33の前後方向の間隔は保持枠20及び中央部分31の前後方向の間隔より広くなる。換言すれば、非跳ね上げ状態での保持枠20及びフロントバー30の前後方向の間隔については、保持枠20及びフロントバー30の幅方向の端領域Cの前後方向の間隔は保持枠20及びフロントバー30の幅方向の中央領域Aの前後方向の間隔より広くなる。非跳ね上げ状態では、保持枠20及び連接部分35の前後方向の間隔は幅方向の端側に向けて漸次広くなる。
【0025】
蝶番50は、保持枠20及びフロントバー30にそれぞれ固定される(
図1下段及び
図3参照)。更に、蝶番50は、連接部分35と幅方向に隣り合った状態で保持枠20及び端部分33にそれぞれ固定される。即ち、蝶番50Lは、次の第一状態で保持部21L及び端部分33Lにそれぞれ固定される。第一状態では、蝶番50Lは連接部分35Lの幅方向の左側で連接部分35Lと幅方向に隣り合う。蝶番50Rは、次の第二状態で保持部21R及び端部分33Rにそれぞれ固定される。第二状態では、蝶番50Rは連接部分35Rの幅方向の右側で連接部分35Rと幅方向に隣り合う。蝶番50は、フロントバー30に対して保持枠20を回転自在に支持する(
図5下段及び
図6下段参照)。即ち、蝶番50L,50Rは、フロントバー30に対して第一レンズ11L,11Rを保持した保持枠20を回転自在に支持する。蝶番50L,50Rは、左右対称の形状を有する。
【0026】
蝶番50Lは第一駒片51L及び第二駒片53Lを含み、蝶番50Rは第一駒片51R及び第二駒片53Rを含む(
図1下段、
図2下段及び
図3参照)。実施形態では、第一駒片51L,51Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「第一駒片51」という。第二駒片53L,53Rを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「第二駒片53」という。この他、蝶番50は軸部を含む。軸部の例としてはねじ(雄ねじ)が挙げられる。実施形態では、軸部の図示は省略する。
【0027】
第一駒片51Lは端部分33Lの前後方向の前側に固定され、第二駒片53Lは非跳ね上げ状態で保持部21Lの前後方向の後側に固定される(
図1下段及び
図3参照)。第一駒片51Lは、上述した第一状態で端部分33Lの前後方向の後側に傾斜した部分に固定される(
図3参照)。第二駒片53Lは、第一駒片51Lに対して軸部を中心として回転する(
図5下段参照)。第一駒片51Rは端部分33Rの前後方向の前側に固定され、第二駒片53Rは非跳ね上げ状態で保持部21Rの前後方向の後側に固定される(
図1下段及び
図3参照)。第一駒片51Rは、上述した第二状態で端部分33Rの前後方向の後側に傾斜した部分に固定される(
図3参照)。第二駒片53Rは、第一駒片51Rに対して軸部を中心として回転する(
図6下段参照)。
【0028】
端部分33及び第一駒片51の固定方法及び保持部21及び第二駒片53の固定方法の例としては、ろう付け及び樹脂一体成形が挙げられる。端部分33の第一駒片51が固定される部分及び保持部21の第二駒片53が固定される部分が金属製であるとする。この場合、前述の固定方法には、ろう付けを採用してもよい。端部分33の第一駒片51が固定される部分及び保持部21の第二駒片53が固定される部分が樹脂製であるとする。この場合、前述の固定方法には、樹脂一体成形を採用してもよい。端部分33及び第一駒片51の固定方法及び保持部21及び第二駒片53の固定方法は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、端部分33及び第一駒片51の固定方法の決定には、端部分33及び第一駒片51の材質が考慮され、保持部21及び第二駒片53の固定方法の決定には、保持部21及び第二駒片53の材質が考慮される。
【0029】
眼鏡10は、次の視覚的効果を得ることができる。この視覚的効果は、非跳ね上げ状態では、第二駒片53を含む蝶番50の一部を保持枠20に隠すことができる(
図1上段参照)。非跳ね上げ状態の眼鏡10を装着している装着者を正面から視認した第三者に、眼鏡10が跳ね上げ式ではない通常の眼鏡であるといった印象を与え易くすることができる。蝶番50は、公知の跳ね上げ式の眼鏡で採用される蝶番と同様の構造としてもよい。従って、蝶番50に関するこの他の説明は省略する。
【0030】
ヨロイ60Lはフロントバー30(端部分33L)の幅方向の左側端に連続して設けられ、ヨロイ60Rはフロントバー30(端部分33R)の幅方向の右側端に連続して設けられる(
図1下段及び
図3~6参照)。テンプル61Lは蝶番63Lを介してヨロイ60Lと連結され、テンプル61Rは蝶番63Rを介してヨロイ60Rと連結される(
図3,4参照)。テンプル61Lは蝶番63Lによってヨロイ60L(フロントバー30)に対して所定の範囲を回転自在となり、テンプル61Rは蝶番63Rによってヨロイ60R(フロントバー30)に対して所定の範囲を回転自在となる(
図3参照)。装着者は、眼鏡10を装着する場合、テンプル61L,61Rを開いた状態とすることができる(
図1,2、
図3上段及び
図4~6参照)。装着者は、眼鏡10を装着しない場合、テンプル61L,61Rを折り畳み閉じた状態とすることができる(
図3下段参照)。
【0031】
ヨロイ60L,60Rは、左右対称の形状を有する。テンプル61L,61Rは、左右対称の形状を有する。蝶番63L,63Rは、左右対称の形状を有する。ヨロイ60L,60Rは、公知の跳ね上げ式の眼鏡が備えるヨロイと同様である。テンプル61L,61Rは、公知の跳ね上げ式の眼鏡が備えるテンプルと同様である。公知の跳ね上げ式の眼鏡でも、ヨロイに対してテンプルを回転自在とする蝶番が設けられる。即ち、眼鏡10では、ヨロイ60L,60R、テンプル61L,61R及び蝶番63L,63Rは、公知の跳ね上げ式の眼鏡で採用されるヨロイ、テンプル及び蝶番と同様の構造としてもよい。従って、ヨロイ60L,60R、テンプル61L,61R及び蝶番63L,63Rに関するこの他の説明は省略する。
【0032】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。即ち、眼鏡10は、跳ね上げ式であり、非跳ね上げ状態から跳ね上げ状態となり、及び跳ね上げ状態から非跳ね上げ状態となる(
図1~6参照)。眼鏡10は、保持枠20と、フロントバー30と、鼻パッド40と、蝶番50とを備える。保持枠20は、第一レンズ11を保持する(
図1、
図2上段及び
図4~6参照)。フロントバー30は、装着者の顔を左右に横断する状態で装着者の顔の前方に配置される(
図1下段及び
図2~4参照)。鼻パッド40は、装着者の鼻に接する。蝶番50は、保持枠20及びフロントバー30にそれぞれ固定される(
図1下段及び
図3参照)。蝶番50は、フロントバー30に対して保持枠20を回転自在に支持する(
図5下段及び
図6下段参照)。フロントバー30は、中央部分31と、端部分33と、連接部分35とを含む(
図1下段及び
図2,3参照)。中央部分31はフロントバー30の幅方向の中心を含み、端部分33は中央部分31より幅方向の端側に設けられ、連接部分35は中央部分31及び端部分33を繋ぐ(
図1下段及び
図2,3参照)。連接部分35は、前後方向の前側に前後方向の後側に傾斜した形状を有する(
図3参照)。中央部分31は、前後方向の寸法が端部分33の前後方向の寸法より大きな形状を有する(
図3参照)。端部分33は、幅方向の中心側から端側に向けて前後方向の後側に傾斜した形状を有する(
図3,4参照)。連接部分35は、前後方向の寸法が幅方向の中心側から端側に向けて漸次小さくなる形状を有する。鼻パッド40は、中央部分31に設けられる(
図2~4参照)。蝶番50は、連接部分35と幅方向に隣り合った状態で保持枠20及び端部分33にそれぞれ固定される(
図1下段及び
図3参照)。
【0033】
眼鏡10によれば、鼻パッド40をフロントバー30の中央部分31に設けることで、第一レンズ11と装着者の眼との距離を一定にしつつ、鼻パッド40の前後方向の位置を前後方向の後側とすることができる。眼鏡10は、好ましい装着感を装着者に与えることができる。
【0034】
跳ね上げ式の眼鏡10では、装着者が眼鏡10を装着することでテンプル61L,61Rの幅方向の間隔が広がることがある。テンプル61L,61Rの幅方向の間隔が広くなることでテンプル61L,61Rに作用する力がフロントバー30に作用する。これに伴い、フロントバー30が前後方向の前側に変形することがある。フロントバー30では、この前後方向の前側への変形量は幅方向の端側に向けて大きくなる。非跳ね上げ状態では、フロントバー30の変形量が大きくなると保持枠20及びフロントバー30の前後方向の間隔が狭くなる。眼鏡10によれば、保持枠20及びフロントバー30の前後方向の間隔を端部分33で広くすることができる。幅方向の端側でフロントバー30が前後方向の前側に移動できる空間が広くなり、フロントバー30で端部分33の変形量を大きくすることができる。フロントバー30の変形に伴う保持枠20との接触を抑制することができる。フロントバー30の前後方向の寸法を連接部分35で幅方向の中心側に向けて漸次大きくすることができる。連接部分35での応力集中を緩和することができる。フロントバー30の耐久性を高めることができる。フロントバー30では、中央部分31の剛性が高まり、中央部分31の前後方向の変形を抑制することができる。
【0035】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0036】
(1)単式跳ね上げ式の眼鏡10を例とした(
図1~6参照)。フロントバー30の次の第一構造、第二構造、第三構造、第四構造及び第五構造(
図1下段及び
図2~4参照)は、複式跳ね上げ式の眼鏡に採用することもできる。第一構造では、フロントバー30は、中央部分31と、端部分33と、連接部分35とを含む。第二構造では、連接部分35は、前後方向の前側に前後方向の後側に傾斜した形状を有し、中央部分31及び端部分33を繋ぐ。第三構造では、中央部分31は前後方向の寸法が端部分33の前後方向の寸法より大きな形状を有する。第四構造では、連接部分35は前後方向の寸法が幅方向の中心側から端側に向けて漸次小さくなる形状を有する。第五構造では、鼻パッド40が中央部分31に設けられる。
【0037】
複式跳ね上げ式の眼鏡では、装着者の左眼及び右眼に対応してそれぞれ設けられるレンズの枚数は各眼当たり2枚とされる。複式跳ね上げ式の眼鏡は、保持枠20に保持される第一レンズ11L,11Rに対応する2枚の第一レンズに加え、左眼用及び右眼用の第二レンズを備える。第二レンズは、非跳ね上げ状態で第一レンズの前後方向の後側に設けられる。複式跳ね上げ式の眼鏡では、上述した単式跳ね上げ式の眼鏡10のフロントバー30と同様、フロントバーは中央部分31に対応する中央部分、端部分33L,33Rに対応する2個の端部分及び連接部分35L,35Rに対応する2個の連接部分を含み、鼻パッドがこのフロントバーの中央部分に設けられる。
【0038】
複式跳ね上げ式の眼鏡では、フロントバーは左眼用及び右眼用の第二レンズを保持する。例えば、このフロントバーは、中央部分に左眼用及び右眼用の第二レンズを保持する構造を有する。第二レンズの保持は、ナイロールを含む構造によって行われてもよい。この場合、フロントバーは、中央部分に次の第一部分及び第二部分を含んでもよい。第一部分には、左眼用の第二レンズを保持するナイロールが取り付けられる。第一部分及びナイロールは、左眼用の第二レンズを保持する。第二部分には、右眼用の第二レンズを保持するナイロールが取り付けられる。第二部分及びナイロールは、右眼用の第二レンズを保持する。フロントバーでの第二レンズの保持は、保持部21による第一レンズ11の保持と同様の構造によって行われてもよい。この他、フロントバーでの第二レンズの保持は、公知のフルリム式の眼鏡と同様、環状の保持部を含むフルリム式の構造によって行われてもよい。この場合、ナイロールは省略される。保持部は、リムと称されることもある。フロントバーで第二レンズを保持する構造は、諸条件を考慮して適宜決定される。左眼用の第二レンズは跳ね上げられることなく、装着者の左眼の前方に配置される。右眼用の第二レンズは跳ね上げられることなく、装着者の右眼の前方に配置される。複式跳ね上げ式の眼鏡でも、上述した第一構造、第二構造、第三構造、第四構造及び第五構造(
図1下段及び
図2~4参照)をフロントバーに採用することで、第二レンズ又はこれを保持する環状の保持部(リム)と装着者の顔との接触を抑制し、上述した眼鏡10と同様、好ましい装着感を装着者に与えることができる。複式跳ね上げ式の眼鏡は、公知の跳ね上げ式の眼鏡であるため、これに関するこの他の説明は省略する。
【0039】
(2)端部分33は、幅方向の中心側から端側に向けて前後方向の後側に傾斜した形状を有する(
図3,4参照)。端部分は、幅方向の中心側から端側に向けて前後方向の後側に湾曲した形状としてもよい。この場合、幅方向の左側の端部分は幅方向の中心側から左側に向けて前後方向の後側に湾曲した形状を有し、幅方向の右側の端部分は幅方向の中心側から右側に向けて前後方向の後側に湾曲した形状を有する。
【0040】
(3)保持枠20は、公知のハーフリム式の眼鏡のハーフリムに対応する態様を採用し、ナイロール25を含む(
図1,2,4~6参照)。保持枠は、公知のフルリム式の眼鏡におけるリムと同様の態様としてもよい。フルリム式の保持枠では、幅方向の左側及び右側の保持部は環状の形状を有し、左右2個の保持部は連結部によって連結される。フルリム式の保持枠による第一レンズの保持は、公知のフルリム式の眼鏡と同様に行われる。ナイロール25L,25Rは省略される。
【0041】
フルリム式の保持枠では、保持部は環状の形状を有する。環状の保持部では、一部が第一レンズの上下方向の下側にも設けられる。この場合、保持部の上下方向の寸法が大きくなることがある。例えば、保持部が樹脂製又は複合材製である場合、保持部の上下方向の寸法は大きくなり易い。装着者が鼻が低いとの特徴及び頬が高いとの特徴の一方又は両方を有する場合、保持部が上下方向の下側で装着者の顔に接触し易くなると想定される。この他、第一レンズが上下方向の寸法が大きな形状を有する場合、保持枠がハーフリム式及びフルリム式の何れであっても眼鏡の一部が装着者の顔に接触し易くなると想定される。但し、上述した第一構造、第二構造、第三構造、第四構造及び第五構造(
図1下段及び
図2~4参照)をフロントバーに採用することで、眼鏡の態様に関わらず、上述した眼鏡10と同様の好ましい装着感を装着者に与えることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 眼鏡、 11,11L,11R 第一レンズ、 20 保持枠
21,21L,21R 保持部、 23 連結部
25,25L,25R ナイロール、 30 フロントバー、 31 中央部分
33,33L,33R 端部分、 35,35L,35R 連接部分
40,40L,40R 鼻パッド、 50,50L,50R 蝶番
51,51L,51R 第一駒片、 53,53L,53R 第二駒片
60L,60R ヨロイ、 61L,61R テンプル、 63L,63R 蝶番
A 中央領域(フロントバー30)、 B 中央領域(中央部分31)
C 端領域(フロントバー30)、 M 中心線