(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174353
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電話制御装置及び留守番電話機能時の対応決定プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20241210BHJP
G10L 15/22 20060101ALI20241210BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20241210BHJP
【FI】
H04M3/42 P
H04M3/42 J
G10L15/22 453
G10L15/00 200A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092139
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】平田 章紘
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201AA05
5K201BC28
5K201BC30
5K201CA03
5K201CA08
5K201CB07
5K201DC04
5K201DC05
5K201EC06
(57)【要約】
【課題】 留守番電話機能が設定されている場合に、掛かってきた電話に応じて、着信者が望むと予測される対応を自動的に取ることができるようにする。
【解決手段】 着信時には、着信データ取得部131とテキスト化処理部134とデータ解析部136とが機能し、学習データを生成して、留守番対応学習データ蓄積部109に記録する。発信時には、発信データ取得部133とテキスト化処理部134とデータ解析部136とが機能し、学習データを留守番対応学習データ蓄積部109から特定して、電話返信した旨の対応状況を更新する。留守番電話機能が作動され、着信が発生すると、音声認識処理部142により発信元から送信されて来る通話音声の音声認識が行われ、発信元を示す情報と着信先を示す情報とが取得される。これらに基づき、対応決定部143が留守番対応学習データ蓄積部109の対応する学習データの対応状況を参照し、対応を自動的に決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話の着信に応じて接続された通話回線を通じて送受される通話音声の音声認識を行って、テキストデータに変換する第1のテキスト化処理手段と、
前記第1のテキスト化処理手段からの前記テキストデータを解析し、発信元に関する情報と着信先に関する情報とを含む学習データを生成して、蓄積手段に対して記録処理する第1のデータ解析手段と、
配下の電話端末からの発信に応じて接続された通話回線を通じて送受される通話音声の音声認識を行って、テキストデータに変換する第2のテキスト化処理手段と、
前記第2のテキスト化処理手段からの前記テキストデータを解析し、着信先と発信元とを検出し、前記着信先が発信元となり前記発信元が着信先となる学習データを前記蓄積手段から特定して、特定した前記学習データに電話返信した旨の対応状況を更新する第2のデータ解析手段と、
留守番電話機能が作動するようにされた後に、電話の着信に応じて接続された通話回線を通じて、少なくとも発信元と着信先とを聞き出すようにする音声ガイダンスを生成して提供するガイダンス生成手段と、
前記通話回線を通じて送信されて来る通話音声の音声認識を行って、発信元を示す情報と着信先を示す情報とを取得する音声認識処理手段と、
前記音声認識処理手段により取得された前記発信元を示す情報と前記着信先を示す情報とに基づいて、前記蓄積手段から対応する学習データを特定し、当該学習データに含まれる対応状況に応じて、留守番電話機能における対応を決定する対応決定手段と
を備えることを特徴とする電話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話制御装置であって、
電話の着信に応じて通話回線を接続した場合であって、配下の電話端末において行われた操作を示す操作データを取得する操作データ取得手段と、
前記操作データ取得手段で取得された前記操作データを解析し、前記通話回線を保留状態にして、外線あるいは内線に転送されたことが把握できた場合に、前記第1のデータ解析手段により前記蓄積手段に記録処理するようにされた前記学習データに対して電話転送した旨の対応状況を更新する第3のデータ解析手段を
備えることを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電話制御装置であって、
電子メールとチャットとの一方あるいは両方の送信データを取得するメール等情報取得手段と、
前記メール等情報取得手段を通じて取得した前記送信データを解析し、送信先と送信元とを検出し、前記送信先が発信元となり前記送信元が着信先となる学習データを前記蓄積手段から特定して、特定した前記学習データに電子メール等による返信をした旨の対応状況を更新する第4のデータ解析手段と
を備えることを特徴とする電話制御装置。
【請求項4】
コンピュータである電話制御部で実行される留守番電話機能時の対応決定プログラムであって、
電話の着信に応じて接続された通話回線を通じて送受される通話音声の音声認識を行って、テキストデータに変換する第1のテキスト化処理ステップと、
前記第1のテキスト化処理ステップにおいて変換した前記テキストデータを解析し、発信元に関する情報と着信先に関する情報とを含む学習データを生成して、蓄積手段に対して記録処理する第1のデータ解析ステップと、
配下の電話端末からの発信に応じて接続された通話回線を通じて送受される通話音声の音声認識を行って、テキストデータに変換する第2のテキスト化処理ステップと、
前記第2のテキスト化処理ステップにおいて変換した前記テキストデータを解析し、着信先と発信元とを検出し、前記着信先が発信元となり前記発信元が着信先となる学習データを前記蓄積手段から特定して、特定した前記学習データに電話返信した旨の対応状況を更新する第2のデータ解析ステップと、
留守番電話機能が作動するようにされた後に、電話の着信に応じて接続された通話回線を通じて、少なくとも発信元と着信先とを聞き出すようにする音声ガイダンスを生成して提供するガイダンス生成ステップと、
前記通話回線を通じて送信されて来る通話音声の音声認識を行って、発信元を示す情報と着信先を示す情報とを取得する音声認識処理ステップと、
前記音声認識処理ステップにおいて取得した前記発信元を示す情報と前記着信先を示す情報とに基づいて、前記蓄積手段から対応する学習データを特定し、当該学習データに含まれる対応状況に応じて、留守番電話機能における対応を決定する対応決定ステップと
を実行する留守番電話機能時の対応決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、留守番電話機能を備えた電話制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
留守番電話機能は、外出などにより電話に出ることができなくなる場合に作動させておくことにより、電話の着信に自動応答して、音声ガイダンスによりメッセージを残すことを要求し、発信元からの音声メッセージを録音して保持することができるものである。留守番電話機能は、家庭用電話機だけでなくビジネスホンシステムにおいても広く用いられている。近年において、留守番電話機能は、発信元からの音声メッセージを録音するだけではない。例えば、携帯電話端末などに着信した電話を転送する「電話呼び出しへの切り替え」や電子メールにより着信があったことを通知する「電子メール通知」といった機能を用いることもできるようになってきている。
【0003】
この場合、「電話呼び出しへの切り替え」や「電子メール通知」は、電話システム側の設定によるため、着信に対しては一律に「電話呼び出しへの切り替え」や「電子メール通知」が行うようにされる。このため、留守番電話機能を設定する者からすると、重要でない着信でも電話呼び出しやメール通知を受けてしまうことになるので面倒である。そこで、後に記す特許文献1や特許文献2に開示されているように、電話の発信元から重要度を示す情報を通知するようにし、この重要度に応じて、「電話呼び出しへの切り替え」を行うのか、「電子メール通知」を行うのかを決めるようにすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6283938号
【特許文献2】特許第5179446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したように、電話の発信元から重要度を示す情報を通知するようにし、この重要度に応じて、「電話呼び出しへの切り替え」を行うのか、「電子メール通知」を行うのかを決めるようにしたのでは、電話の着信者側の重要度は全く反映されない。発信者は電話を掛けているのであるから、当該電話が重要であると考えている可能性が高いが、掛かってきた電話が重要なものであるか否かは、着信側でないと判断できない。例えば、発信者Aが、商品Xの売り込みのために着信先Bに掛ける電話は、発信者Aにとっては重要度が高いが、売り込み先である着信先Bにとっては、商品Xに興味がない場合には、重要度が低いものとなる。
【0006】
以上のことに鑑み、この発明は、留守番電話機能が設定されている場合に、掛かってきた電話に応じて、着信者が望むと予測される対応を自動的に取ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の電話制御装置は、
電話の着信に応じて接続された通話回線を通じて送受される通話音声の音声認識を行って、テキストデータに変換する第1のテキスト化処理手段と、
前記第1のテキスト化処理手段からの前記テキストデータを解析し、発信元に関する情報と着信先に関する情報とを含む学習データを生成して、蓄積手段に対して記録処理する第1のデータ解析手段と、
配下の電話端末からの発信に応じて接続された通話回線を通じて送受される通話音声の音声認識を行って、テキストデータに変換する第2のテキスト化処理手段と、
前記第2のテキスト化処理手段からの前記テキストデータを解析し、着信先と発信元とを検出し、前記着信先が発信元となり前記発信元が着信先となる学習データを前記蓄積手段から特定して、特定した前記学習データに電話返信した旨の対応状況を更新する第2のデータ解析手段と、
留守番電話機能が作動するようにされた後に、電話の着信に応じて接続された通話回線を通じて、少なくとも発信元と着信先とを聞き出すようにする音声ガイダンスを生成して提供するガイダンス生成手段と、
前記通話回線を通じて送信されて来る通話音声の音声認識を行って、発信元を示す情報と着信先を示す情報とを取得する音声認識処理手段と、
前記音声認識処理手段により取得された前記発信元を示す情報と前記着信先を示す情報とに基づいて、前記蓄積手段から対応する学習データを特定し、当該学習データに含まれる対応状況に応じて、留守番電話機能における対応を決定する対応決定手段と
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明の電話制御装置によれば、電話の着信時には、第1のテキスト化手段と、第1のデータ解析手段とが機能して、発信元に関する情報と着信先に関する情報とを含む学習データを生成して、蓄積手段に対して記録処理が行われる。配下の電話端末からの発信時には、第2のテキスト化手段と、第2のデータ解析手段とが機能して、着信先が発信元となり発信元が着信先となる学習データを蓄積手段から特定して、特定した学習データに電話返信した旨の対応状況が更新される。なお、この明細書において、「電話返信」とは、着信に対して電話で返信したこと(電話を折り返したこと)を意味している。
【0009】
留守番電話機能が作動するようにされた後に着信が発生すると、ガイダンス生成手段により生成されるガイダンスによって、発信元と着信先とが聞き出すようにされる。音声認識手段により発信元から送信されて来る通話音声の音声認識が行われ、発信元を示す情報と着信先を示す情報とが取得される。対応決定手段により、音声認識手段により取得された発信元を示す情報と着信先を示す情報とに基づいて、蓄積手段の対応する学習データの対応状況が参照され、留守番電話機能が作動状態にあるときの電話の着信に対する対応が自動的に決定される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、留守番電話機能が設定されている場合に、掛かってきた電話に応じて、着信者が望むと予測される対応を自動的に取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の電話制御装置が用いられて構成される電話システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】実施の形態の電話制御装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図3】実施の形態の電話制御装置の社員情報DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
【
図4】実施の形態の電話制御装置の電話帳DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
【
図5】実施の形態の電話制御装置において、留守番対応学習データ蓄積部の格納データの例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態の電話制御装置において、取得されるデータの例について説明するための図である。
【
図7】実施の形態の電話制御装置において、留守番電話対応学習データを作成(生成)する場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図8】実施の形態の電話制御装置において、留守番電話対応学習データを作成(生成)する場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施の形態の電話制御装置において、留守番電話機能が作動するようにされた場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図10】実施の形態の電話制御装置において、留守番電話機能の外線転送が行われる場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図11】実施の形態の電話制御装置において、留守番電話機能のメール通知が行われる場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図12】実施の形態の電話制御装置において、留守番電話機能の通常の録音が行われる場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図13】実施の形態の電話制御装置において、留守番電話機能が作動するようにされている場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、プログラムの実施の形態について説明する。この発明による電話制御装置は、個別電話番号に掛かって来る電話に対する呼制御を行うこともできるし、代表電話番号への着信(いわゆる放送着信)に対する呼制御を行うこともできるものである。しかし、以下に説明する実施の形態においては、後者の代表電話番号への着信に対する呼制御を行う場合を例にして説明する。
【0013】
また、以下に説明する実施の形態の電話制御装置は、留守番電話機能を備えるものであるが、単に、留守番メッセージを録音して保持するものではない。「電話呼び出しへの切り替え」、「電子メール通知」といった機能を利用することができるものである。なお、以下において、留守番メッセージを録音して保持する機能を「留守番録音」と、「電話呼び出しへの切り替え」機能を「電話転送」と、「電子メール通知」機能を「メール通知」と記載する。
【0014】
[電話システムの構成例]
図1は、実施の形態の電話制御装置が用いられて構成される電話システムの構成例を説明するための図である。
図1において、中央部分に示した広域ネットワーク8は、外線電話網81と、IP(Internet Protocol)網82とを含む。外線電話網81は、公衆交換電話網、携帯電話網などを含み、主に音声通話サービスを実現するものである。IP網82は、インターネット・プロトコル・スイート技術を利用して相互接続されたコンピュータネットワークを意味し、いわゆる「インターネット」と等価のものである。
【0015】
IP網82に接続されたUTM(Unified Threat Management)装置4には、LAN(Local Area Network)5を介して、複数のPC6(1)、6(2)、6(3)、…が接続されることにより、LANシステムを構成している。6(1)、6(2)、6(3)、…のそれぞれは、通信機能を備えた情報処理装置である。UTM装置4は、コンピュータウイルスやハッキングなどの脅威から自社内に形成したLANシステムを効率的かつ包括的に保護するものであり、統合脅威管理装置とも呼ばれるものである。PC6(1)、6(2)、6(3)、…のそれぞれは、UTM装置4を介して、IP網82上に設けられたWebサーバに蓄積されているWebページを参照したり、IP網82を通じて電子メールの送信/受信を行ったりすることができる。
【0016】
また、PC6(1)、6(2)、6(3)、…のそれぞれは、UTM装置4を介して、目的とする相手先との間で、チャットメッセージの送受信を行うこともできる。この実施の形態において、UTM装置4は、PC6(1)、6(2)、6(3)、…から送信された電子メールやPC6(1)、6(2)、6(3)、…から投稿されたチャットのメッセージを、送信先と送信元とを明確にして一定期間(例えば、1か月間)保持することができるものである。また、LAN5には、社員情報管理装置7が接続されている。社員情報管理装置7は、各社員の社員ID、氏名、自宅住所、自宅電話番号、所属、在籍/離籍等の社員に関する種々の詳細情報を記憶して管理する装置である。
【0017】
外線電話網81とIP網82とに接続された電話制御装置1には、内線電話網2を介して、複数の内線電話端末(以下、電話端末と記載する。)3(1)、3(2)、3(3)、…が接続されて、ビジネスホンシステムを構成している。電話制御装置1は、内線と外線との間の接続や内線内の接続を制御する。すなわち、電話制御装置1は、複数の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…が接続されたものであり、内線と外線の間や内線内の通信の接続、切断、転送等のいわゆる呼制御を行うものである。なお、電話制御装置1が、IP網82にも接続されているのは、IP網82を通じて、VoIP技術を利用したIP電話サービスの利用も可能にしているためである。
【0018】
この実施の形態においては、
図1に示すように、電話制御装置1とUTM装置4とは、LAN5を通じて接続され、相互にデータ等の送受信を行うことができる。これにより、詳しくは後述するが、電話制御装置1がUTM装置4から電子メールの送信履歴やチャットメッセージの投稿履歴を取得して活用することができる。
図1においては、LAN5を通じて、電話制御装置1とUTM装置4とを接続しているが、電話制御装置1とUTM装置4とを直接に接続することももちろん可能である。また、電話制御装置1と社員情報管理装置7とは、LAN5を通じて接続され、相互にデータ等の送受信を行うことができる。これにより、電話制御装置1は、例えば、社員の在籍/離籍などの社員に関する詳細情報を取得して利用できる。
【0019】
電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…及びPC6(1)、6(2)、6(3)、…のそれぞれは、会社のオフィスの机上に設置されるものである。例えば、電話端末3(1)とPC6(1)とはXXさんにより使用され、電話端末3(2)とPC6(2)とはYYさんにより使用されるというように、社員の誰がどの電話端末とどのPCを使用するのか予め決められている。従って、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれには、内線番号が付与され、内線番号と使用者とが1対1に対応するようにされている。
【0020】
また、
図1に示すように、広域ネットワーク8には、外線電話端末9(1)やPC10(1)が接続されていると共に、携帯電話網の基地局BS(1)を介して、スマートホン11(1)が接続されている。
図1において、外線電話端末9(1)、PC10(1)、スマートホン11(1)、及び基地局BS(1)は、1台ずつしか示していない。しかし、実際には、外線電話端末9(2)、9(3)、…、PC10(2)、10(3)、…、スマートホン11(2)、11(3)、…というように、多数のものが接続されている。また、外線電話端末9(1)、9(2)、9(3)、…は、家庭に配置される固定電話端末のように、広域ネットワーク8に接続されている場合もあれば、他の電話制御装置を介して接続され、ビジネスホンシステムを構成するものとして用いられている場合もある。
【0021】
この実施の形態において、外線電話端末9(1)、PC10(1)、スマートホン11(1)は、電話制御装置1に接続された電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…の使用者に対して電話を掛けてくる者が使用するものである。しかし、スマートホン11(2)、11(3)、…の中には、電話制御装置1に接続された電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…の使用者自身が使用するものも含まれる。詳しくは後述するように、例えば、外出時において、電話制御装置1が備える留守番電話機能により電話転送を受けることができるようにするためである。
【0022】
上述もしたように、この実施の形態の電話制御装置1は、留守番電話機能を備え、留守番電話機能の作動時には、「留守番録音」、「電話転送」、「メール通知」といった機能を使用できるが、使用者の設定によるものではない。この実施の形態の電話制御装置1は、日頃より、電話の着信時に留守番対応学習データを作成(生成)するようにする。更に、電話制御装置1は、電話の発信時に取得できるデータやUTM装置4からの電子メールの送信履歴やチャットメッセージの投稿履歴に基づいて、留守番対応学習データの対応状況を更新する。
【0023】
そして、留守番電話機能が作動するようにされている場合に、着信が発生すると、発信元や着信先などから対応する留守番対応学習データを特定する。この特定した留守番対応学習データの対応状況に基づいて、「留守番録音」をするのか、「電話転送」をするのか、「メール通知」をするのかを、自動的に選択して実行するようにしている。これにより、
留守番電話機能が作動し、着信が発生した場合において、電話の着信先の使用者が望むと予測される対応を自動的に取ることができるようにしている。
【0024】
なお、電話制御装置1においては、例えば、業務時間外(夜間、早朝、休日など)であれば、当該ビジネスホンシステムの全体について、留守番電話機能を作動させることができる。この場合には、少なくとも発信元に関する情報と着信先に関する情報とを聞き出すようにし、着信先の内線番号について留守電話機能が作動するようにされている場合には、その着信先の使用者が望むであろうと考えられる対応を自動的に取ることができる。
【0025】
また、電話制御装置1は、配下の電話端末3(1)、3(2)、(3)、…ごとに、留守番電話機能を作動させることができる。すなわち、電話端末3(1)、3(2)、(3)、…の使用者が、外出したり、休暇を取ったりすることにより、その使用者が掛かってきた電話に出ることができない状態が発生したとする。この場合、当該使用者は、事前に自分が使用する電話端末3(n)(nは1以上の整数)から、自分が使用する内線電話への着信について留守番電話機能を作動させることができる。このようにした場合に、内線番号を指定した内線電話端末への直接着信の場合と、代表電話に着信があり、これを内線番号に転送した場合とにおいては、その着信先の使用者が望むと予測される対応を自動的に取ることができるようにしている。
【0026】
以下、この実施の形態のビジネスホンシステムで用いられる電話制御装置1の構成例と動作について説明する。なお、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれは、基本的に同様の構成を有するものである。このため、特に区別して示す必要がある場合を除き、共通する構成や動作を説明する場合においては、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれを電話端末3と記載する。また、PC6(1)、6(2)、6(3)、6(1)、6(2)は、いわゆる市販のもので対応可能であるため、その構成例についての説明は省略し、特に区別して示す必要がある場合を除き、PC6と総称する。
【0027】
[電話制御装置1の構成例]
図2は、実施の形態の電話制御装置の構成例を説明するためのブロック図である。接続端101Tは、外線電話網81への接続端部を構成する。通信I/F101は、外線電話網81を通じての通信処理を行う部分である。すなわち、通信I/F101は、外線電話網81を介して送信されて来る自機宛ての信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換してこれを取り込む。また、通信I/F101は、自機から目的とする相手先に送信する信号を、送信用の形式の信号に変換してこれを外線電話網81に送出して相手先に送信する。従って、外線電話網81を通じた通信は、接続端101T及び通信I/F101を通じて行うことになる。
【0028】
電話制御部102は、図示しないがCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサであり、電話制御装置1の各部を制御する機能を実現する。記憶装置103は、例えば、SSD(Solid State Drive)等の記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録、変更、削除、読み出しなどを行う。記憶装置103は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。時計回路104は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供することができると共に、所定の時間範囲を計測するタイマー機能をも実現することができるものである。
【0029】
社員情報DB105は、この実施の形態のビジネスホンシステムが構成された会社の社員(当該ビジネスホンシステムを利用する社員)に関する情報を記憶保持する。
図3は、電話制御装置1の社員情報DB105の格納データの例を説明するための図である。
図3に示すように、社員情報DB105は、当該会社に所属する者(当該会社の社員)の名前、所属部署、内線番号、携帯電話番号、電子メールアドレス、チャットアカウント、その他の情報を記憶保持する。名前は文字通り、社員の名前であり、図示していないが、漢字表記と片仮名表記との両方を有する。
【0030】
所属部署は、営業部、企画部、開発部といった、どの部署に所属しているのかを示す情報であり、実際には、〇〇本部□□部△△課のように、詳細な所属部署の管理が可能である。内線番号、携帯電話番号、電子メールアドレス、チャットアカウントのそれぞれは、電話、電子メール、チャットといった通信手段を通じて当該社員と連絡を取りたい場合に、相手先を特定する情報である。なお、その他の情報としては、社員ID、社員の自宅住所、自宅電話番号などの必要となる種々の情報を記憶保持するようにできる。
【0031】
電話帳DB106は、
図1に示したビジネスホンシステムの利用者が、電話端末3を通じてよく電話を掛ける相手の連絡先に関する情報を記憶保持する。
図4は、電話制御装置1の電話帳DB106の格納データ(電話帳データ)の例を説明するための図である。
図4に示すように、電話帳DB106は、当該電話帳データの登録に用いられた電話端末3の内線番号、当該電話帳データを登録した社員である登録者の氏名を有する。これらの情報は、誰が登録して利用するデータであるのかを管理するために用いられる。すなわち、電話帳DB106の登録データは、基本的には登録を行った電話端末3を通じて登録者によって利用されるものである。もちろん、電話帳DB106に登録された登録データは、他の電話端末3を通じても利用可能にすることもできる。
【0032】
更に、電話帳DB106は、相手先の名前、所属、会社電話番号、内線番号、携帯番号、電子メールアドレス、チャットアカウント、その他の情報が記憶保持される。所属は、主には相手先が所属する会社の名称であるが、当該相手先が所属する部署名までを含む場合もある。会社電話番号、内線番号、携帯番号、電子メールアドレス、チャットアカウントは、当該相手先と連絡を取りたい場合に利用できる相手先を特定する情報である。その他の情報としては、相手先の会社の住所や郵便番号などの必要となる種々の情報を記憶保持するようにできる。また、電話帳DB106には、基本的に外線電話をかけて通話を行う相手先についての情報が記憶保持されることになるが、内線電話の相手先についても、登録して利用することも可能である。
【0033】
通話音声蓄積部107は、掛かってきた電話に応答して通話回線が接続された場合、また、電話を掛けて相手先が応答して通話回線が接続された場合に、接続された通話回線を通じて送受される通話音声データを記憶保持する。この実施の形態の電話制御装置1では、発信元の電話番号、着信先の電話番号、通話回線の接続時刻、通話回線の切断時刻などの必要情報と共に、通話1件ごとに、1つの通話音声ファイルとして通話音声データが通話音声蓄積部107に蓄積される。
【0034】
留守番メッセージ蓄積部108は、留守番電話機能を作動させている場合に着信が発生し、通話回線を接続して、「留守番録音」を行うようにした場合に、当該通話回線を通じて発信元から送信されて来る音声メッセージを記憶保持する。この場合、発信元の電話番号、着信先の電話番号、通話回線の接続時刻、通話回線の切断時刻などの必要情報と共に、通話1件ごとに、1つの留守番音声ファイルとして留守番音声データが留守番メッセージ蓄積部108に蓄積される。着信先の使用者は、自分が使用する電話端末3を用いて、電話制御装置1に指示を出し、当該留守番音声データ(留守番メッセージ)を再生して、再生音声を聴取できる。
【0035】
留守番対応学習データ蓄積部109は、留守番電話機能を作動させている状態で着信が発生した場合に、どのように対応するのかを自動的に特定することができるようにするための留守番対応学習データ(以下、単に学習データと記載する。)を記憶保持する。ここで留守番電話機能を作動させている状態で着信が発生した場合に、どのように対応するのかは、上述もしたように、「留守番録音」、「電話転送」、「メール通知」のいずれの対応を取るのかを意味している。留守番対応学習データ蓄積部109に蓄積される学習データは、後述する学習データ生成部130の機能によって生成される。
【0036】
図5は、この実施の形態の電話制御装置1において、留守番対応学習データ蓄積部109の格納データ(学習データ)の例を説明するための図である。
図5においては、上段の表部分と下段の表部分とに分けて示しているが、実際には、上段の表の後端に下段の表の前端が接続されて全体として1つの学習データ(テーブルリスト)が形成される。
図5に示す学習データは、大きく分けて4つの情報部分からなる。第1の情報部分は、発信元に関する情報であり、「どこの」を示す情報として、発番号(発信元の電話番号)を有し、「誰から」を示す情報として、発信者(発信者名)、メール(発信者の電子メールアドレス)、チャット(発信者のチャットアカウント)を有する。
【0037】
第2の情報部分は、着信先に関する情報であり、「どこの」を示す情報として、着番号(着信先の電話番号)を有し、「誰宛」を示す情報として、着信者(着信者名)、メール(着信者の電子メールアドレス)、チャット(着信者のチャットアカウント)を有する。また、「状態」を示す情報として、在籍/離籍を示す情報を有する。在籍は、会社に籍を有している状態を意味し、離籍は、会社を辞めて籍を有しない状態を意味する。この在籍/離籍を示す情報は、LAN5を通じて、社員情報管理装置7から取得可能な情報である。また、「何?」を示す情報として、要件等を示す情報を有する。要件等を示す情報は、通話音声に含まれる、製品名やサービス名などの固有名詞や例えば「納期の相談」、「価格交渉」などといった情報である。また、第3の情報部分は、時間帯に関する情報であり、「いつ」を示す情報として、電話が掛かってきたのは、時間内(営業時間内)か時間外(営業時間外)かを示す情報を有する。
【0038】
第4の情報部分は、掛かってきた電話への対応状況であり、掛かってきた電話に対して、転送(電話転送)、電話返信、メール返信、未返信、その他(正常応答)のいずれで対応するようにしたのかが、対応状況率(%)として把握される。なお、正常応答は、掛かってきた電話に発信者が目的する着信者が応答した場合を意味する。また、転送(電話転送)は、着信を別の電話に転送したことを意味し、電話返信は、着信に対して電話で返信したこと(電話を折り返したこと)を意味している。また、メール返信は、着信に対して電子メールで返信したこと(電子メールで折返しの返信をしたこと)を意味している。
【0039】
従って、
図5において、発信に関する情報(第1の情報部分)と着信先に関する情報(第2の情報部分)と時間帯(第3の情報部分)とが、学習データのインデックス部に相当し、掛かってきた電話への対応状況(第4の情報部分)が、学習データ本体になる。そして、詳しくは後述するが、学習データのインデックス部は、電話の着信時に生成されて、基本的に重複することが無いようにされる。また、学習データ本体部は、電話の着信時の対応と電話の発信時の状態と着信後の電子メールやチャットの送信履歴に応じて、更新されて、対応状況が把握される。
【0040】
以下、
図5に示した学習データのそれぞれについて説明する。
図5において、「No.1」の行に記載された情報により、発信元電話番号「090…」の発信者「AA…さん」から着信先番号「042…」の着信者「XX…さん」に用件が「〇〇…」であり、営業時間内に電話が複数回かってきていることが分かる。この複数回の着信に対して、電話転送が30%の割合で行われ、電話返信は20%の割合で行われ、メール返信は10%の割合で行われ、未返信は0%であり、正常応答は40%の割合であることが把握できる。
【0041】
従って、「No.1」の行に記載された情報の場合には、未返信は0%で、正常応答できない場合であっても、電話転送で応答するか、着信に応じて接続した通話回線の解放後において、電話返信するか、メール返信するかして、必ず応答している。従って、
図5の「No.1」の行に記載されたインデックス情報と同じインデックス情報が形成される電話の着信は、緊急度が高いため、電話転送すべきであると判定できる。
【0042】
また、
図5において、「No.2」の行に記載された情報により、発信元電話番号「03…」の発信者「BB…さん」から着信先番号「042…」の着信者「YY…さん」に用件が「□□…」である電話が、営業時間内に複数回かってきていることが分かる。この複数回の着信に対して、電話転送の割合は0%であるが、電話返信は10%の割合で行われ、メール返信は50%の割合で行われ、未返信は20%の割合であり、正常応答は20%の割合であることが把握できる。
【0043】
従って、「No.2」の行に記載された情報の場合には、未返信も20%の割合で発生し、正常応答できない場合には、着信に応じて接続した通話回線の解放後において、メール返信している場合が最も多く、電話返信した場合は10%と低い。従って、
図5の「No.2」の行に記載されたインデックス情報と同じインデックス情報が形成される電話の着信は、緊急度はさほど高くないものの、返信率は高いため、着信者に対してメール通知すべきであると判定できる。
【0044】
また、
図5において、「No.3」の行に記載された情報により、発信元電話番号「090…」の発信者「AA…さん」から着信先番号「042…」の着信者「XX…さん」に用件が「〇〇…」であり、営業時間外に電話が複数回かってきていることが分かる。この複数回の着信に対して、電話転送及び電話返信は共に0%であるが、メール返信は60%の割合で行われ、未返信は40%の割合で、正常応答は0%であることが把握できる。
【0045】
従って、「No.3」の行に記載された情報の場合には、未返信は40%と比較的に高く、電話を用いた応答や返信は行われていないが、着信に応じて接続した通話回線の解放後において、メール返信している場合が多い。従って、
図5の「No.3」の行に記載されたインデックス情報と同じインデックス情報が形成される電話の着信は、緊急度は高くなく、未返信率が比較的に高いため、従来からの留守番録音で対応すればよいと判定できる。
【0046】
また、
図5において、「No.4」の行に記載された情報により、発信元電話番号「03…」の発信者「BB…さん」から着信先番号「042…」の着信者「YY…さん」に用件が「□□…」である電話が営業時間外に複数回かってきていることが分かる。この複数回の着信に対して、電話転送、電話返信、メール返信はいずれも0%で、未返信が100%であることが把握できる。従って、
図5の「No.4」の行に記載されたインデックス情報と同じインデックス情報が形成される電話の着信は、緊急度は高くなく、返信の必要もないことが分かる。このため、「No.4」の行に記載された情報により、返信率も0%であるので、営業時間内に電話を掛け直すことを促す音声ガイダンスを提供すればよいと判定できる。
【0047】
このように、
図5に示した学習データにより、留守番電話機能が作動するようにされた後に着信が発生した場合には、どのように対応すべきかを学習データに基づいて判別できる。なお、発信に関する情報のメールアドレスやチャットアカウントは、発信者が有する電子メールアドレスやチャットアカウントであり、電子メールやチャットを通じて連絡を取りたい場合に使用可能なものである。また、着信に関する情報のメールアドレスやチャットアカウントは、着信者が有する電子メールアドレスやチャットアカウントであり、着信者が電子メールやチャットを通じて連絡を取る場合に使用可能なものである。また、
図5に示した学習データの場合には、状態の在(在籍)/離(離籍)を示す情報により、着信先の「XX…さん」、「YY…さん」は、いずれも当該会社に籍を置く社員であることが分かる。
【0048】
他の構成部分の説明に戻る。接続端110Tは、内線電話網2への接続端部を構成する。接続I/F(Interface)110は、電話制御装置1と、内線電話網2を通じて電話制御装置1に収容される電話端末3のそれぞれとの間の通信を可能にする。従って、電話端末3からの信号は、接続I/F110において自機において処理可能な形式の信号に変換されて取り込まれる。また、電話制御装置1から電話端末3への信号は、接続I/F110において送信用の形式の信号に変換されて、電話端末3に送信される。従って、内線電話網2を通じた通信は、接続端110T及び接続I/F110を通じて行うことになる。
【0049】
接続端111Tは、LAN5への接続端部を構成する。LANI/F(Interface)111は、電話制御装置1と、LAN5を通じてUTM装置4との間の通信を可能にする。従って、電話制御装置1からUTM装置4への信号は、LANI/F111において送信用の形式の信号に変換されて、UTM装置4に送信される。また、UTM装置4からの信号は、LANI/F111において自機において処理可能な形式の信号に変換されて取り込まれる。従って、LAN5を通じた通信は、接続端111T及びLANI/F111を通じて行うことになる。
【0050】
回線制御部120は、電話制御部102の制御の下、配下の電話端末3の発信、着信、応答、切断等の呼制御を行う。回線制御部120は、
図2に示すように、発信制御部121と、着信制御部122とを備えている。回線制御部120は、配下の電話端末3から発信(発信要求)を受け付けると、発信制御部121が機能して、指示された相手先を呼び出すようにし、当該相手先が応答してきたら通話回線を接続して通話を可能にする。
【0051】
また、回線制御部120は、自機宛ての着信(相手先からの発信通知)を受け付けた場合には、着信制御部122が機能して、配下の電話端末3に着信通知を行う。これにより、電話端末3では、呼び出し音が放音され、着信の発生が通知される。電話端末3において、着信に応答する操作(オフフック操作)がされると、着信制御部122は、これを検知して、着信に応答し、オフフックがされた配下の電話端末3との間に通話回線を接続して通話を可能にする。
【0052】
なお、この実施の形態の電話制御装置1において、接続した通話回線を保留にしたり、転送したり、解放したりする処理は、配下の電話端末3からの要求に応じて、電話制御部102の制御の下に処理される。この他、電話制御部102は、配下の電話端末3が備えるLED(Light Emitting Diode)の点灯/消灯制御やディスプレイへの表示制御なども行う。従って、電話制御部102は、回線制御部120からの通知を受信して、通話回線の接続、保持、解放の状態についても把握している。
【0053】
この実施の形態の電話制御装置1において、学習データ生成部130が、
図5を用いて説明した留守番対応学習データ蓄積部109に蓄積される学習データを生成する機能を実現する部分である。また、留守番電話対応部140が、留守番電話機能が作動するようにされている場合に、
図5を用いて説明した留守番対応学習データ蓄積部109に蓄積される学習データの掛かってきた電話への対応状況に基づいて、取るべき対応を決めて実行する部分である。以下、学習データ生成部130と留守番電話対応部140とについて説明する。
【0054】
学習データ生成部130は、着信データ取得部131、操作データ取得部132、発信データ取得部133、テキスト化処理部134、メール等情報取得部135、データ解析部136を備える。着信データ取得部131は、当該ビジネスホンシステムへの着信時において、着信時データを取得する。着信時データには、着信時に通知される発信元電話番号、着信先電話番号、また、着信時において時計回路104から取得する着信日時が含まれる。
【0055】
操作データ取得部132は、着信後、配下の電話端末3においてオフフック操作が行われて通話回線が接続された後において、当該電話端末3において行われた操作データを取得する。操作データには、保留等の操作情報、入力された外線電話番号や内線番号などの着信先の電話番号が含まれる。着信先の電話番号は、テンキーを用いて入力されたもの、電話帳DB106に記憶されている電話帳データから選択されたもの、ファンクションキーの押下操作により入力される当該ファンクションキーに割り当てられているものなどを含む。
【0056】
発信データ取得部133は、配下の電話端末3を通じて発信操作が行われた場合である発信時において発信時データを取得する。発信時データには、入力された着信先電話番号、発信元電話番号(この場合、当該電話制御装置1に収容されている代表電話番号など)、発信時において時計回路104から取得する発信日時が含まれる。また、入力された着信先電話番号には、テンキーを用いて入力されたもの、電話帳DB106に記憶されている電話帳データから選択されたもの、ファンクションキーの押下操作により入力される当該ファンクションキーに割り当てられているものなどを含む。
【0057】
この実施の形態の電話制御装置1は、電話制御部102の機能により、接続された通話回線を通じて送受される通話音声は、通話音声蓄積部107に蓄積(記録)される。通話音声の蓄積は、当該ビジネスホンシステムに着信が発生して通話回線を接続した場合と、当該ビジネスホンシステムから発信して通話回線を接続した場合との両方において行われ、着信単位、発信単位に蓄積される。テキスト化処理部134は、着信により通話回線を接続した場合と、発信により通話回線を接続した場合とにおいて、通話音声蓄積部107に蓄積された通話音声の音声認識を行ってテキスト化し、必要情報を抽出する。
【0058】
テキスト化処理部134は、着信により通話回線を接続した場合においては、発信元の所属、名前、着信先の所属、名前、要件に関する固有名詞、応答の可否等を抽出する。ここで、発信元の所属、名前は、「株式会社GGのAAです。」といった情報であり、着信先の所属、名前は、「営業部のXXさんをお願いします。」といった情報である。要件に関する固有名詞は、「アダプタX123に関して」や「ABCDの納期につて」といった情報である。もちろん、「アダプタX123」や「ABCD」といった製品名やプロジェクト名である固有名詞だけでもよいが、要件の概要が分かるように、その前後の文言を含んでもよい。応答の可否は、「電話をお回しします。」、「あいにく外出しております」といった情報である。
【0059】
また、テキスト化処理部134は、発信により通話回線を接続した場合においては、着信先の所属、名前、発信元の所属、名前、要件に関する固有名詞、折返しの電話であり事の情報等を抽出する。ここで、着信先の所属、名前は、「開発部のAAさんをお願いします。」といった情報であり、発信元の所属、名前は、「株式会社HHのYYです。」といった情報である。要件に関する固有名詞は、「アダプタX123に関して」や「ABCDの納期につて」といった情報である。この場合においても、「アダプタX123」や「ABCD」といった製品名やプロジェクト名である固有名詞だけでもよいが、要件の概要が分かるように、その前後の文言を含んでもよい。折り返しの電話であることの情報は、「先ほど電話を頂いたもので」、「留守にしており、電話に出ることができなかったので」といった情報である。
【0060】
メール等情報取得部135は、LANI/F111及び接続端111Tを通じて、LAN5上のUTM装置4にアクセスし、電子メールやチャットの自システムからの送信データを得て、必要データを抽出する。メール等情報取得部135は、掛かってきた電話に出ることができなかった場合に、電子メールやチャットで返信した事実を把握するために機能するものである。
【0061】
このため、メール等情報取得部135は、自システムのPC6から送信された電子メールやチャットのデータを取得し、送信先電子メールアドレス、送信元電子メールアドレス、送信先チャットアカウント、送信元チャットアカウント、送信日時を取得する。また、メール等情報取得部135は、送信した本文から、用件に関する固有名詞、受けられなかった電話に対する応答であることを示す情報等を取得する。
【0062】
なお、ここで自システムは、LAN5を通じて接続されて構成されたシステムを意味し、自システムのPC6は、LAN5に接続されたPC6を意味している。また、メール等情報取得部135が取得する用件に関する固有名詞は、上述したように、「アダプタX123に関して」や「ABCDの納期につて」といった情報である。この場合においても、「アダプタX123」や「ABCD」といった製品名やプロジェクト名である固有名詞だけでもよいが、要件の概要が分かるように、その前後の文言を含んでもよい。また、受けられなかった電話に対する応答であることを示す情報は、例えば、「お電話を頂き申し訳ありません。」、「お電話でお問合せいただきました件ですが」といった情報である。
【0063】
データ解析部136は、着信データ取得部131、操作データ取得部132、発信データ取得部133、テキスト化処理部134、メール等情報取得部135で取得されたデータを解析し、学習データを形成する処理を行う。
図6は、実施の形態の電話制御装置1の学習データ生成部130において、取得されるデータの例について説明するための図である。
【0064】
当該ビジネスホンシステムへの電話の着信時においては、
図6(A)に示すように、着信データ取得部131により取得される着信時データと、操作データ取得部132により取得される操作データとが取得される。更に、テキスト化処理部134を通じて、通話音声のテキストデータが取得される。これらのデータがデータ解析部136に供給されて、
図5を用いて説明したが学習データのインデックス情報(発信元に関する情報、着信先に関する情報、時間帯)が生成される。
【0065】
また、操作データが、保留状態にして、外線電話番号や内線電話番号を入力した場合には、電話転送を行ったことが把握でき、この場合に相手先が応答すれば正常応答したことは把握できる。これらの事実に基づいて、学習データの「掛かってきた電話への対応状況」の電話転送と、その他(正常応答)についての対応状況率が更新される。また、着信先の名前や所属に基づいて、LAN5上の社員情報管理装置7の格納情報を参照し、当該社員についての在籍/離籍を示す情報を取得し、学習データの該当箇所(状態の欄)に入力することができる。学習データの状態の欄の情報により、例えば、離籍した(会社を辞めた)社員を指定して掛かってきた電話については、電話転送やメール通知を行うことなく、当該部署の別の担当者(責任者)などに電話を繋ぐようにする対応を取るなどのことができる。
【0066】
また、当該ビジネスホンシステムからの電話の発信時においては、
図6(B)に示すように、発信データ取得部133により取得される発信時データと、テキスト化処理部134を通じて、通話音声のテキストデータが取得される。これらのデータがデータ解析部136に供給されて、
図5を用いて説明したが学習データの掛かってきた電話への対応状況の欄の電話返信についての対応状況率が更新される。
【0067】
また、随時のタイミング、例えば、営業時間終了後の所定のタイミングで、
図6(C)に示すように、メール等情報取得部135により、電話以外の通信手段(電子メール、チャット)に関するデータが取得される。この実施の形態においては、メール等情報取得部135により自システムから送信した電子メールやチャットの送信先、送信元特定データと送信日時、本文データが取得される。これらのデータがデータ解析部136に供給されて、
図5を用いて説明した学習データの掛かってきた電話への対応状況の欄のメール返信についての対応状況率が更新される。
【0068】
なお、学習データのNo.1、No.2等の番号が振られた学習データごとに着信総数を把握しており、これに基づいて、電話転送、電話返信、メール返信、その他(正常応答)のパーセンテージが求められる。このため、この実施の形態の電話制御装置1においては、メール返信に関する対応状況率の更新タイミングで、未返信率も更新される。これは、着信総数を100%とし、転送、電話返信、メール返信、その他(正常応答)のパーセンテージを減算すれば、未返信率が求められ、これが「未返信」の欄に更新される。なお、
図5において、メール返信と記載は、電子メールによる返信だけでなく、チャットによる返信も含んでいる。
【0069】
また、データ解析部136は、発番号(発信元電話番号)や発信者名に基づいて、電話帳DB106(
図4)を参照し、発信元の電子メールアドレスやチャットアカウントを取得し、学習データの発信元に関する情報のメール(電子メールアドレス)とチャット(チャットアカウント)の欄に入力する。同様に、データ解析部136は、着番号(着信先電話番号)や着信者名に基づいて、社員情報DB105(
図3)を参照し、着信先の電子メールアドレスやチャットアカウントを取得し、学習データの着信先に関する情報のメール(電子メールアドレス)とチャット(チャットアカウント)の欄に入力する。
【0070】
このようにして、この実施の形態の電話制御装置1においては、学習データ生成部130が機能して、学習データ(
図5)を生成して留守番対応学習データ蓄積部109に記録したり、掛かってきた電話への対応状況の欄を更新したりする。このようにして整えられる学習データを用いることにより、留守番電話機能を作動している状態で電話の着信が発生した場合に、着信先(着信者)が望むだろうと予測される対応を自動的に取ることができるようにしている。
【0071】
留守番電話対応部140は、ガイダンス生成部141、音声認識処理部142、対応決定部143、転送処理部144、メール等送信部145、録音処理部146を備える。ガイダンス生成部141は、留守番電話機能が作動するようにされている場合において、留守番電話機能に応じた種々の音声ガイダンスを生成して、接続された通話回線を通じて発信元に提供する機能を実現する。具体的には、ガイダンス生成部141は、留守番電話応答であること通知する音声ガイダンス、発信元や着信先を確認する(聞き出す)音声ガイダンスを生成して送出する。また、ガイダンス生成部141は、電話転送する旨を通知する音声ガイダンス、電子メール等で着信先に通知する旨を通知する音声ガイダンス、留守番メッセージを残すように促す音声ガイダンスを生成して送出する。
【0072】
音声認識処理部142は、作業用メモリを備え、ガイダンス生成部141からの音声ガイダンスに応じて、発信元からの送信されて来る通話音声について音声認識を行い、発信元、着信先、用件などを特定する処理を行う。対応決定部143は、音声認識処理部142において特定された、発信元、着信先、用件を取得する。また、対応決定部143は、時計回路104から取得する着信時刻に基づいて決まる営業時間内か否かを特定する。対応決定部143は、取得した情報と特定した情報とに基づいて、留守番対応学習データ蓄積部109の学習データを参照し、対応する学習データを特定する。
【0073】
対応決定部143は、特定した学習データの「掛かってきた電話への対応状況」に基づいて、どのように対応するのかを決定する。具体的に、対応決定部143は、電話転送するのか、電子メール等で通知するのか、通常通り留守番録音をするのか、音声ガイダンスだけを提供するのかを決定する。対応決定部143は、電話転送することを決定した場合には、転送処理部144を制御し、電話転送を行う。この場合、転送処理部144は、回線制御部120を制御し、当該着信を保留状態にする共に、着信先(着者者)の携帯電話番号を社員情報DB105から取得して、当該携帯電話番号を用いて電話を掛け、応答したら発信元との間に通話回線を接続する処理を行う。これにより、留守番電話機能の作動時においても、重要な着信については、着信者のスマートホン(携帯電話端末)に電話かけて、通話を可能にすることができる。
【0074】
また、この場合には、ガイダンス生成部141の機能により、「電話を転送致します。少々お待ち下さい。」といった音声ガイダンスを発信元に提供する。更に、着信先の携帯電話端末にかけた電話がつながらなかった場合には、転送処理部144が、繋がらなかったことを対応決定部143に通知する。この場合、対応決定部143は、電子メール等通知をすることに決定を変更することができる。なお、ここでは、社員情報DB105から着信先の携帯電話番号を取得するものとしたが、学習データに着信先の携帯電話番号を保持するようにした場合には、これを用いるようにしてもよい。
【0075】
また、対応決定部143は、メール通知をすることを決定した場合には、メール等送信部145を制御し、電子メールまたはチャットで、着信があったことを着信先に通知する。この場合、転送処理部144は、例えば、「株式会社GGのAAさんから、アダプタX123の件で、電話がありました。」などの本文メッセージを形成する。この形成した本文メッセージを対応する学習データの着信先の電子メールアドレスやチャットアカウントを用いて電子メールまたはチャットとして送信する。また、この場合には、ガイダンス生成部141の機能により、「電話があったことを、営業部XXに連絡致します。」といった音声ガイダンスを発信元に提供する。ここでは、電子メールまたはチャットを用いるものとしたが、電子メールを用いるのか、チャットを用いるのかは、着信先の使用者が、事前に電話制御装置1に設定しておくようにすればよい。もちろん、電子メールとチャットの両方を用いるようにしてもよい。
【0076】
また、対応決定部143は、留守番録音をすることを決定した場合には、録音処理部146を制御し、発信元からの音声メッセージを留守番メッセージ蓄積部108に記録する処理を実行する。この場合、ガイダンス生成部141の機能により、「発信音の後に、メッセージをどうぞ。」といった音声ガイダンスを発信元に提供する。この後、録音処理部146は、接続されている通話回線を通じて、発信元から送信されて来る音声メッセージを留守番メッセージ蓄積部108に記録する。
【0077】
また、対応決定部143は、音声ガイダンスだけで対応することを決定した場合には、ガイダンス生成部141を制御し、例えば、「営業時間内に、再度の電話をお願いします。」といった音声ガイダンスを生成する。この生成した音声ガイダンスを、接続された通話回線を通じて発信元に提供する。
【0078】
このように、留守番電話対応部140は、留守番電話機能を作動させている場合に着信があると、留守番対応学習データ蓄積部109に蓄積されている学習データの中から対応する学習データを特定する。この特定した学習データの「掛かってきた電話への対応状況」に基づいて、着信者が望むと予測される対応を自動的に取ることができるようにしている。
【0079】
[電話制御装置1で行われる処理の詳細]
図2~
図6を用いて説明した電話制御装置1において行われる処理について説明する。以下においては、学習データを生成する処理と、生成された学習データを用いて留守番電話機能を活用する処理との大きく2つの処理に分けて説明する。
【0080】
[学習データを生成する処理]
図7は、実施の形態の電話制御装置1において、学習データを作成(生成)する場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
図7において、上端側に四角で囲んで示した各部は、電話制御装置1の学習データ生成部130の構成要素と、学習データ生成部130が用いる蓄積部とを示している。
図7において、右端側の各データ取得部は、着信データ取得部131、操作データ取得部132、発信データ取得部133を意味している。上述もしたように、着信データ取得部131と操作データ取得部132とは、この実施の形態のビジネスホンシステムに着信があった場合に機能し、発信データ取得部133は、この実施の形態のビジネスホンシステムから発信があった場合に機能する。
【0081】
すなわち、各データ取得部131、132、133は、着信時または発信時において、
図6を用いて説明したように、所定のデータを取得して(ステップS1)、これをデータ解析部136に提供する(ステップS2)。また、通話音声蓄積部107には、着信または発信により接続された通話回線を通じて送受される通話音声が録音されて蓄積される(ステップS3)。このため、テキスト化処理部134は、着信または発信により通話回線を接続した場合に、通話音声蓄積部107に蓄積される録音データ(通話音声)を取得して(ステップS4)、テキスト化する。このテキスト化した録音データ(通話音声)をデータ解析部136に提供する(ステップS5)。
【0082】
また、メール等情報取得部135は、UTM装置4からLAN5に接続されたPC6から送信された電子メールや着信単位の情報を収集し(ステップS6)、これをデータ解析部136に提供する(ステップS7)。データ解析部136は、上述したように。各部から提供されたデータを解析処理する(ステップS8)。データ解析部136は、当該解析結果に基づいて、
図5を用いて説明した学習データを生成して、留守番対応学習データ蓄積部109に記録したり、記録されている学習データを更新したりする(ステップS9)。これにより、留守番対応学習データ蓄積部109に
図5を用いて説明した学習データが作成される(ステップS10)。
【0083】
なお、
図7のシーケンス図では、順次に着信時データ、発信時データ、通話音声の録音データ、メール等情報をデータ解析部136に提供するように記載している。しかし、上述もしたように、着信に応じて通話回線を接続した場合には、着信時データと録音した通話音声とが用いられて学習データが生成あるいは更新される。また、発信に応じて通話回線を接続した場合には、発信時データと録音した通話音声とが用いられて学習データの電話返信の対応状況率が更新される。また、メール等情報は、例えば営業時間終了後の所定のタイミングで取得されてデータ解析部136に提供され、学習データのメール返信の対応状況率が更新される。
【0084】
図8は、実施の形態の電話制御装置1において、学習データを作成(生成)する場合の処理を説明するためのフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、
図7を用いて説明した処理の全体をより明確するものである。
図8に示すように、電話制御装置1の学習データ生成部130は、第1のプロセス(Pr1)と第2のプロセス(Pr2)と第3のプロセス(Pr3)とを実行する。第1のプロセス(Pr1)は、着信データ取得部131、操作データ取得部132、発信データ取得部133が機能して、電話制御関連データとして、発信元、着信先、着信日時発信日時、操作データを取得する(ステップPr11)。
【0085】
また、第2のプロセス(Pr2)は、テキスト化処理部134が機能して、通話録音データとして、録音した通音音声から、発信元、着信先、着信日時発信日時、用件に関連する固有名詞等を取得する(ステップPr21)。また、第3のプロセス(Pr3)は、メール等情報取得部135が機能する。メール等情報取得部135は、メール、チャット関連データとして、UTM装置4からLAN5に接続されたPC6から送信された電子メールやチャットの投稿から、発信元、着信先、送信日時、用件に関連する固有名詞等を取得する(ステップPr31)。
【0086】
これらの情報が、データ解析部136に供給されて、その内容を解析する(ステップPrX2)。この解析結果が、留守番対応学習データ蓄積部109に蓄積、学習するようにされて、
図5を用いて説明したテーブルリスト化された学習データが整えられる(ステップPrX3)。このようにして、留守番対応学習データ蓄積部109に学習データ(
図5)が形成される。
[生成された学習データを用いて留守番電話機能を活用する処理]
図9~
図12は、実施の形態の電話制御装置において、留守番電話機能が作動するようにされた場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
図9~
図12において、上端側に四角で囲んで示した部分の内、左端部分は当該ビジネスホンシステムの電話端末3の使用者である留守番電話設定者を示し、右端部分は外部から当該ビジネスホンシステムに電話を掛けてくる外部の発信者である。その他の四角で囲んだ部分は、この実施の形態の電話制御装置1の構成部分である。
【0087】
当該ビジネスホンシステムの電話端末3の使用者である留守番電話設定者は、外出などのために、自分が電話に出ることができなくなったり、営業時間が終了したりした場合には、電話制御装置1に対して留守番電話セットを行う(ステップS21)。当該留守番電話セットは、電話制御装置1において、留守番電話機能を作動させるための操作を意味し、内線電話網2に接続された電話端末3を通じて行われる操作である。留守番電話セットが指示された電話制御装置1は、当該指示に応じて、留守番電話機能を作動させる。
【0088】
なお、留守番電話機能は、営業時間終了後や休日などにおいては、当該ビジネスホンシステムの全体について留守番電話機能を作動させることができる。また、内線番号が割り当てられた電話端末3ごと(すなわち、内線番号ごと)に留守番電話機能を作動させることもできる。ここでは、説明を簡単にするため、営業時間内において、所定の内線番号について留守番電話機能が作動されたものとして説明する。従って、内線番号が指定されたか外線からの着信、あるいは、代表電話番号に着信し、その後に当該内線番号に電話が転送された場合に、留守番電話機能が働くことになる。
【0089】
また、電話制御部102は、留守番電話機能を作動させた後に、学習データ生成部130を制御して、対応のテーブルリスト化を依頼する(ステップS22)。このステップS22の処理は、主に、まだ未使用のメール等情報を用いた、学習データの掛かってきた電話への対応状況のメール返信についての対応状況率の更新処理を意味する。もちろん、内線番号ごとに、着信情報の一連の情報や発信時の一連の情報を記憶保持しておくことで、当該ステップS22のタイミングで、
図7、
図8を用いて説明した学習データの生成処理を実行するように構成することもできる。
【0090】
この後、外線の発信者より、当該内線番号を指定した外線着信が発生し、あるいは、代表電話番号に着信し、その後に当該内線番号に電話が転送されたとする(ステップS23)。しかし、当該内線番号の電話端末3を通じて着信応答は行われず、これが電話制御部102に通知されたとする(ステップS24)。この場合、電話制御部102は、留守番電話対応部140に対して、着信先である当該内線番号についての留守応答を行うように指示を出す(ステップS25)。
【0091】
この場合、回線制御部120は、発信者(発信元)と当該電話制御装置1との間に通話回線を接続し、留守番電話対応部140のガイダンス生成部141を機能させて、応答ガイダンスを発信者に提供する(ステップS26)。当該応答ガイダンスは、着信先が電話に出られないことを通知する共に、発信元を特定する質問を含むものである。この応答ガイダンスに応じて、発信者から応答する音声情報が送信されて来るので(ステップS27)、留守番電話対応部140の音声認識処理部142がこれを受信して音声認識し(ステップS28)、発信元を特定する。
【0092】
次に、留守番電話対応部140のガイダンス生成部141は、用件を特定する質問を含む応答ガイダンスを生成し、これを発信者に提供する(ステップS29)。この応答ガイダンスに応じて、発信者から応答する音声情報が送信されて来るので(ステップS30)、留守番電話対応部140の音声認識処理部142がこれを受信して音声認識し(ステップS31)、用件を特定する。
【0093】
留守番電話対応部140の対応決定部143は、ステップS28で特定された発信元と、ステップS31で特定された要件、また、この例の場合、着信先の内線番号は特定されているので内線番号から分かる着信先と、時計回路104から着信日時を把握できる。なお、発信元は電話帳DB106を参照することにより、当該発信元の詳細情報を特定でき、着信先は、内線番号に基づいて、社員情報DB105を参照することにより、当該着信先の詳細情報を特定できる。対応決定部143は、把握した発信元、着信先、用件、時間帯に基づいて、留守番対応学習データ蓄積部109を参照して対応する学習データを特定し、この学習データの「掛かってきた電話への対応状況」に基づいて、対応を決定する(ステップS32)。
【0094】
この実施の形態の電話制御装置1においては、ステップS32の対応決定処理においては、電話転送、メール通知、留守番録音のいずれかを行うように決定する。
図10は、実施の形態の電話制御装置1において、留守番電話機能の外線転送が行われる場合の処理を説明するためのシーケンス図である。ステップS32の対応決定処理において、参照した学習データの「掛かってきた電話への対応状況」において、電話転送や電話返信の対応状況率が高い場合には、電話転送することを決定する。この場合には、留守番電話対応部140のガイダンス生成部141が機能して、例えば「呼び出しています。しばらくお待ちください。」といった応答メッセージを発信者に提供する(ステップS33)。
【0095】
この後、留守番電話対応部140の転送処理部144が機能して、回線制御部120を制御し、着信先(留守番電話設定者)の所持する携帯電話端末に対して発信する(ステップS34)。ここで、着信先(留守番電話設定者)の所持する携帯電話端末の電話番号は、特定した着信先の内線番号や名前に基づき、社員情報DB105を参照することで特定できる。これにより、回線制御部120の発信制御部121が機能して、当該着信先の携帯電話端末に対して外線電話が掛けられる(ステップS35)。これに応じて、着信者が自己の携帯電話端末に対して着信に応答する操作を行ったとする(ステップS36)。この場合、電話制御装置1を介して、発信者の使用する電話端末と着信先(留守番電話設定者)が所持する携帯電話端末との間に通話回線が接続されて、通話を行うことができる(ステップS37)。
【0096】
このように、留守番電話機能における電話転送機能を自動的に選択し、電話転送により通話回線を接続して通話を行うことができる。通話が終了した場合には、発信者の電話端末と電話制御装置1との間の通話回線と、電話制御装置1と着信先の携帯電話端末との間の通話回線とが解放されて、発信者からの着信前の状態に戻る。
【0097】
図11は、実施の形態の電話制御装置において、留守番電話機能のメール通知が行われる場合の処理を説明するためのシーケンス図である。ステップS32の対応決定処理において、参照した学習データの「掛かってきた電話への対応状況」において、メール返信の対応状況率が高い場合には、メール返信することを決定する。この場合には、留守番電話対応部140のガイダンス生成部141が機能して、例えば「お電話があったことを通知します。」といった応答メッセージを発信者に提供する(ステップS38)。この場合、発信者の電話端末と電話制御装置1との間に接続された通話回線は解放される。
【0098】
さらに、留守番電話対応部140のメール等送信部145が機能して、着信先(留守番電話設定者)の電子メールアドレスを送信先とする電子メールが形成され、これが、LAN5及びUTM装置4を通じて送信される(ステップS39)。この場合の電子メール本文は、例えば、「5月18日 午後2時15分 株式会社GGのAAさんからアダプタX123の件で電話がありました。」といったものである。メール本部が形成される。
【0099】
このように、留守番電話機能におけるメール通知機能を自動的に選択し、メール通知により、留守番電話機能が作動するようにされている場合に、着信があったことを着信先(留守番電話設定者)に通知することができる。
【0100】
図12は、実施の形態の電話制御装置において、留守番電話機能の通常の録音が行われる場合の処理を説明するためのシーケンス図である。ステップS32の対応決定処理において、参照した学習データの「掛かってきた電話への対応状況」において、未返信や通常の応答の対応状況率が高い場合には、通常の留守番録音を行うことを決定する。この場合には、留守番電話対応部140のガイダンス生成部141が機能して、例えば「発信オンの後にメッセージをどうぞ。」といった応答メッセージを発信者に提供する(ステップS40)。
【0101】
これにより、発信者の電話端末を通じて、発信者からの音声メッセージが送信されて来る(ステップS41)。この場合、留守番電話対応部140の録音処理部146が機能して、発信者からの音声メッセージを留守番メッセージ蓄積部108に録音(記録)する(ステップS42)。この場合には、電話の着信日時を示す情報と共に、着信単位に音声メッセージが蓄積するようにされる。音声メッセージの録音後においては、発信者の電話端末と電話制御装置1との間に接続された通話回線が解放される。
【0102】
このように、留守番電話機能における留守番録音機能を自動的に選択し、従来から用いられている留守番録音を行うことができる。なお、ここでは、参照した学習データの「掛かってきた電話への対応状況」において、未返信や通常の応答の対応状況率が高い場合に通常の留守番録音を行うようにしたがこれに限るものではない。例えば、通常の応答の対応状況率が高い場合には通常の留守番録音を行うが、未返信の対応状況率が高い場合には、「ただいま電話に出ることができません。時間をおいてお掛け直し下さい。」といったメッセージだけを提供し、留守番録音も行わない対応をとることも可能である。
【0103】
図13は、実施の形態の電話制御装置1において、留守番電話機能が作動するようにされている場合の処理を説明するためのフローチャートであり、
図9のシーケンス図のステップS26~ステップS32の処理をより詳細に説明するためのフローチャートである。すなわち、電話制御装置1において、留守番電話機能が作動するようにされた後に、外線電話からの着信が発生したとする。この場合、留守番電話対応部140のガイダンス生成部141が機能して、例えば「こちらは○○です。お名前をお願いします。」という応答ガイダンスを発信元に対して送出する(ステップS26)。
【0104】
これに応じて、発信元から例えば「株式会社GGのAAです。」といった音声メッセージが送信されて来るので、これを受信し(ステップS27)、音声認識処理部142が機能して音声認識を実行し、発信元に関する情報を特定する(ステップS28)。なお、ステップS28においては、着信情報に発番号(発信元電話番号)が含まれていれば、これを取得し、また、時計回路104を通じて着信時刻を取得する。次に、ガイダンス生成部141が機能して、例えば「ありがとうございます。どのようなご用件でしょうか。」という応答ガイダンスを発信元に対して送出する(ステップS29)。
【0105】
これに応じて、発信元から例えば「営業部のYYさんに、アダプタX123の件でご相談があります。」といった音声メッセージが送信されて来るので、これを受信し(ステップS27)、音声認識処理部142が機能して音声認識を実行し、着信先に関する情報、要件に関する固有名詞等を特定する(ステップS31)。ステップS31では、着信情報に含まれている着番号(着信先電話番号)を取得する。
【0106】
次に、対応決定部143が、ステップS28とステップS31で特定した情報を用いて、留守番対応学習データ蓄積部109を参照し、対応する学習データの「掛かってきた電話への対応状況」に基づき、対応を決定する(ステップS32)。ステップS32では、電話転送するのか、メール通知するのか、留守番録音するのか、ガイダンスのみの送出かを決定する。対応決定部143の決定に基づいて、転送処理部144、メール等送信部145、録音処理部146、ガイダンス生成部141のいずれかが機能して、決定した対応を実行する(ステップS33~ステップS42)。これにより、留守番電話機能が設定されている場合に、掛かってきた電話に応じて、着信者が望むと予測される対応を自動的に取ることができる。
【0107】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電話制御装置1によれば、
図6を用いて説明したように、電話の着指示に取得するデータ、電話の発信時に取得するデータ、電話以外の通信手段に関して取得するデータに基づいて、学習データを生成して保持する。これにより、留守電話機能が動作するようにされている場合に、同じ発信元から同じ着信先へ、同様の要件で電話の着信が発生した場合に、対応する学習データを参照することで、着信先はどのような対応を希望するか予測することができる。この予測に応じて、着信先が希望すると予測される対応を自動的に選択し、実行することができる。すなわち、留守番電話機能を作動させている場合に電話の着信が発生した場合の対応をインテリジェントに切り替えることが可能になる。
【0108】
これにより、必要のない電話転送を受けたり、電子メールやチャットで通知を受けたりすることが無いようにできる。しかし、重要度や緊急度が高い電話の着信については、自動的に電話転送を行ったり、メール通知を行ったりすることができる。従って、機会の損失を効果的に防止できる。また、着信した電話に対して、電子メールやチャットで対応した(返信した)事実も把握できるので、メール通知を行う場合についても、より的確に判定して、メール通知を行うことができる。
【0109】
また、日本の企業では、新入社員や事務員が電話応対・取り次ぎの業務を担っている。しかし、留守番電話機能を作動させている場合には、ガイダンス生成部141が機能して、適切な応答ガイダンスを作成して提供できる。この応答ガイダンスは、例えば人口知能(AI(artificial intelligence))技術を用いてより精緻化できる。このため、従来、人が行っていた電話応対・取り次ぎ業務を、上述した実施の形態の電話制御装置1が機能するビジネスホンシステムに移管できる。
【0110】
[変形例]
上述した実施の形態では、電話の発信が行われた場合に、学習データの電話返信の欄を更新し、所定のタイミングで電子メールやチャットの送信履歴を取得して、メール返信の欄を更新するようにした。この場合、通話音声やメール本文やチャット本文に含まれる、電話に対する返信である旨の文言に基づいて、着信した電話への返信であることを特定している。しかし、電話の着信時点からの経過時間が長くなるほど、その着信に対する返信でない可能性は高くなる。そこで、電話の着信日時から一定時間(例えば、24時間や48時間)内の電話による返信を電話返信として把握し、また、電子メールやチャットによる返信をメール返信として把握するようにしてもよい。この場合には、学習データに最新の着信日時を持つようにすればよい。
【0111】
また、上述した実施の形態の学習データは、インデックス情報である発信元に関する情報、着信先に関する情報、時間帯が共通する着信を、1つの学習データに集約するようにして、対応状況率を把握するようにした。しかし、これに限るものではない。電話の着信1件ごとに学習データを生成し、これを所定のタイミング(例えば、
図9のステップS22のタイミング)で、
図5を用いて説明した集約した学習データを生成するようにしてもよい。この場合には、着信1件ごとに生成する学習データのそれぞれに、着信日時を持たせることが可能である。この着信日時を基準にして返信可能期間を設定すれば、電話返信やメール返信が行われたことも着信1件ごとの学習データに対して更新できる。
【0112】
また、留守番電話機能が作動するようにされている場合における電話の着信時に取得可能なデータや通話音声を用いて、学習データを生成するようにしてもよい。
【0113】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の第1のテキスト化処理手段の機能は、実施の形態の電話制御装置1の着信データ取得部131とテキスト化処理部134とが協働して実現している。請求項の第2のテキスト化処理手段の機能は、実施の形態の電話制御装置1の発信データ取得部133とテキスト化処理部134とが協働して実現している。また、請求項の第1、第2のデータ解析手段の機能は、電話制御装置1のデータ解析部136が実現している。
【0114】
また、請求項のガイダンス生成手段の機能は、電話制御装置1のガイダンス生成部141が実現し、請求項の音声認識処理手段の機能は、電話制御装置1の音声認識処理部142が実現している。また、請求項の決定手段の機能は、電話制御装置1の対応決定部143が実現している。また、請求項の操作データ取得手段の機能は、電話制御装置1の操作データ取得部132が実現し、請求項の第3のデータ解析手段の機能は、電話制御装置1のデータ解析部136が協働して実現している。また、請求項のメール等情報取得手段の機能は、電話制御装置1のメール等情報取得部135が実現し、請求項の第4のデータ解析手段の機能は、電話制御装置1のデータ解析部136が協働して実現している。
【0115】
また、
図2に示した電話制御装置1の学習データ生成部130を構成する各部の機能は、電話制御部102で実行されるプログラムにより、電話制御部102の機能として実現することができる。同様に、
図2に示した電話制御装置1の留守番電話対応部140を構成する各部の機能は、電話制御部102で実行されるプログラムにより、電話制御部102の機能として実現することができる。従って、
図8、
図13のフローチャートを用いて説明した処理を行うプログラムが、この発明による留守番電話機能時の対応決定プログラムの一実施の形態が適用されたものである。
【0116】
また、電話制御装置は、例えば、パソコン上で動作する電話制御装置(いわゆるクラウドPBX)として実現することも可能である。このため、留守番電話機能時の対応決定プログラムは、クラウドPBX等の電話制御装置で機能する、コンピュータである電話制御部で実行されるものも含まれる。
【符号の説明】
【0117】
1…電話制御装置、101T…接続端、101…通信I/F、102…電話制御部、103…記憶装置、104…時計回路、105…社員情報DB、106…電話帳DB、107…通話音声蓄積部、108…留守番メッセージ蓄積部、109…留守番対応学習データ蓄積部、110…接続I/F、110T…接続端、111…LANI/F、111T…接続端、120…回線制御部、121…発信制御部、122…着信制御部、130…学習データ生成部、131…着信データ取得部、132…操作データ取得部、133…発信データ取得部、134…テキスト化処理部、135…メール等情報取得部、136…データ解析部、140…留守番電話対応部、141…ガイダンス生成部、142…音声認識処理部、143…対応決定部、144…転送処理部、145…メール等送信部、146…録音処理部、2…内線電話網、3、3(1)、3(2)、3(3)…電話端末、4…UTM装置、5…LAN、6、6(1)、6(2)、6(3)…PC、7…社員情報管理装置、9(1)…外線電話端末、10(1)…PC、11(1)…スマートホン(携帯電話端末)