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特開2024-174354通報装置及びネットワーク接続制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174354
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】通報装置及びネットワーク接続制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20241210BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H04M11/04
G08B25/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092140
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 佳之
(72)【発明者】
【氏名】高野 厚志
(72)【発明者】
【氏名】永沢 薫
(72)【発明者】
【氏名】建 裕一朗
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C087AA37
5C087DD03
5C087DD04
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG70
5C087GG83
5K201AA01
5K201BA03
5K201BC03
5K201BC29
5K201CA02
5K201CD04
5K201EA05
5K201EC01
(57)【要約】
【課題】 通報を行う処理系に影響を及ぼすことなく、通報装置に接続されている電話機がオフフック状態でも、通報先からのコールバックに応じた逆信通話を可能にする。
【解決手段】 第1のスイッチ部102と第2のスイッチ部103とを備えた切り替え手段は、接続/切断制御部1011と着信検出回路104とにより制御される。通報ボタン3が押下操作されると、IP網に対して、通報処理部1012を接続し、自機に接続された電話機2を非接続とする第1の状態に切り替えられる。通報処理が終わると、IP網に対して、通報処理部1012と電話機2との両方を非接続とする第2の状態に切り替えられる。呼び出し信号が到来すると、IP網に対して、電話機2を接続し、通報処理部1012を非接続とする第3の状態に切り替えられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP(Internet Protocol)網を通じて、所定の通報先に対して、自動発信して通報処理を行う通報処理手段と、
第1のスイッチ部と第2のスイッチ部とを備え、前記IP網に対して、前記通報処理手段を接続し、自機に接続された電話機を非接続とする第1の状態と、前記IP網に対して、前記通報処理手段と前記電話機との両方を非接続とする第2の状態と、前記IP網に対して、前記電話機を接続し、前記通報処理手段を非接続とする第3の状態とを形成する切り替え手段と、
前記通報先でのコールバック操作に応じて送信されてくる呼び出し信号の到来を検出する検出手段と、
通報ボタンが押下操作された場合に、前記切り替え手段を前記第1の状態にし、前記通報処理手段による通報処理を行うようにし、当該通報処理が終了した場合に、前記切り替え手段を前記第2の状態にする第1の切り替え制御手段と、
前記第1の切り替え制御手段により前記切り替え手段が前記第2の状態にされた後に、前記検出手段で前記呼び出し信号の到来を検出した場合に、前記切り替え手段を前記第3の状態にする第2の切り替え制御手段と
を備えることを特徴とする通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通報装置であって、
前記切り替え手段の前記第1のスイッチ部は、前記通報処理手段に通じる第1の線路が接続される第1の端子と、前記電話機に通じる第2の線路が接続される第2の端子とを備え、前記IP網に対して、前記第1の線路を接続するのか、前記第2の線路を接続するのかを切り替えるものであり、
前記切り替え手段の前記第2のスイッチ部は、前記第1のスイッチ部の前記第2の端子と前記電話機との間に設けられ、前記電話機を前記第1のスイッチ部の前記第2の端子に接続するオン状態と非接続とするオフ状態とを切り替えるものであり、
前記第1の切り替え制御手段は、前記通報ボタンが押下操作された場合に、前記第1のスイッチ部を前記第1の端子側に切り替え、前記第2のスイッチ部をオフ状態に切り替えることにより前記第1の状態とし、前記通報処理手段による通報が終了した場合には、前記第1のスイッチ部を前記第2の端子側に切り替えることにより前記第2の状態とし、
前記第2の切り替え制御手段は、前記検出手段で前記呼び出し信号の到来を検出した場合に、前記第2のスイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記第3の状態とする
ことを特徴とする通報装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通報装置であって、
前記切り替え手段の前記第1のスイッチ部は、前記通報処理手段に通じる第1の線路が接続される第1の端子と、前記電話機に通じる第2の線路が接続される第2の端子とを備え、前記IP網に対して、前記第1の線路を接続するのか、前記第2の線路を接続するのかを切り替えるものであり、
前記切り替え手段の前記第2のスイッチ部は、前記第1のスイッチ部の前記第1の端子と前記通報処理手段との間に設けられ、前記通報処理手段を前記第1のスイッチ部の前記第1の端子に接続するオン状態と非接続とするオフ状態とを切り替えるものであり、
前記第1の切り替え制御手段は、前記通報ボタンが押下操作された場合に、前記第1のスイッチ部を前記第1の端子側に切り替え、前記第2のスイッチ部をオン状態に切り替えることにより前記第1の状態とし、前記通報処理手段による通報処理が終了した場合には、前記第2のスイッチ部をオフ状態に切り替えることにより前記第2の状態とし、
前記第2の切り替え制御手段は、前記検出手段で前記呼び出し信号の到来を検出した場合に、前記第1のスイッチ部を前記第2の端子側に切り替えることにより前記第3の状態とする、
ことを特徴とする通報装置。
【請求項4】
IP(Internet Protocol)網を通じて、所定の通報先に対して、自動発信して通報を行う通報装置におけるネットワーク接続制御方法であって、
前記通報装置は、通報処理を行う通報処理手段と、第1のスイッチ部と第2のスイッチ部とを備え、前記IP網に対して、前記通報処理手段を接続して自機に接続された電話機を非接続とする第1の状態と、前記IP網に対して、前記通報処理手段と前記電話機との両方を非接続とする第2の状態と、前記IP網に対して、前記電話機を接続して前記通報処理手段を非接続とする第3の状態とを形成する切り替え手段と、前記通報先でのコールバック操作に応じて送信されてくる呼び出し信号の到来を検出する検出手段とを備えるものであり、
通報ボタンが押下操作された場合に、第1の切り替え制御手段が、前記切り替え手段を前記第1の状態にし、前記通報処理手段による通報処理を行うようにし、当通報処理が終了した場合に、前記切り替え手段を前記第2の状態にする第1の切り替え制御工程と、
前記第1の切り替え制御工程において、前記切り替え手段が前記第2の状態にされた後に、前記検出手段で前記呼び出し信号の到来を検出した場合に、第2の切り替え制御手段が、前記切り替え手段を前記第3の状態にする第2の切り替え制御工程と
を有することを特徴とするネットワーク接続制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、警察機関や消防機関などの緊急通報受理機関や登録した所定の通報先に自動発信して通報を行う装置、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、火災などの緊急事態の発生時において、消防機関などの所定の緊急通報受理機関に緊急通報する緊急通報装置が知られている。緊急通報装置は、通報者が通報ボタンを押下すると、緊急通報受理機関に電話をかけて通話回線を接続し、予め用意されている音声メッセージにより緊急事態の発生を自動通報するものである。この後、緊急通報受理機関から緊急通報装置に接続された電話機に対して呼び返しがある。これに応じて鳴動する当該電話機の送受話器(ハンドセット)を、通報者が取り上げるオフフック操作を行うことにより、当該電話機と緊急通報受理機関との間に通話回線が接続され、通話を行うことができる。
【0003】
なお、緊急通報装置が、固定電話網(PSTN(Public Switched Telephone Network))に接続されている場合には、緊急通報後においては、緊急通報受理機関と当該緊急通報装置との間の通話回線が回線保留される。このため、緊急通報受理機関から呼び返しを行うと、呼び返し信号(逆信信号)として、呼び出し信号(IR(Inter Ringing)信号)が固定電話網から送出されて、緊急通報装置に接続された電話機が鳴動する。これに応じて、当該電話機の送受話器を取り上げることにより、緊急通報受理機関の担当者と通話が可能になる。なお、固定電話網の場合には、上述したように回線保留されるので、緊急通報装置に接続された電話機がオフフック状態にあっても、緊急通報受理機関の担当者と通話が可能である。
【0004】
しかし、近年においては、固定電話網に替えて、IP(Internet Protocol)網を利用することができるようになり、近い将来においては、固定電話網を全てIP網に移行することが予定されている。IP網は、インターネット・プロトコル・スイート技術(TCP/IP)を利用して相互接続されたネットワークを意味する。なお、IP網には、光回線やメタルIP電話網などを含む。IP網に接続された緊急通報装置の運用においては、緊急通報後における回線保留の機能はなくなり、緊急通報装置に接続された電話機に電話をかけ直す(コールバックする)ことにより、通話回線を接続して通報者と通話を可能にする方式が採用される。
【0005】
この場合に、緊急通報を行った緊急通報装置に接続されている電話機が、受話器を取り上げた状態(オフフック状態)になっていると、電話機側からIP網を捕捉し、通話回線が使用中の状態(通話中(ビジー)の状態)となる。すなわち、緊急通報装置に接続されている当該電話機は通話中(ビジー)の状態になってしまうため、緊急通報受理機関からのコールバックに応じられない状態となってしまう。このため、後に記す特許文献1に開示されているように、IP網と電話機との間にスイッチ回路を設け、基本的に当該スイッチ回路はオフの状態にしておくようにする。そして、緊急通報後において、IR信号の到来を検知したら、当該スイッチ回路をオンの状態にする。
【0006】
このようにすれば、緊急通報装置に接続された電話機がオフフック状態にあっても、当該電話機がIP網を捕捉する状態にはなっていないので、当該電話機を用いて緊急通報受理機関からのコールバックに応じた電話に対して即座に応答できる。もちろん、当該電話機がオンフック状態の場合であっても、討議電話機が鳴動し、オフフック操作をすることにより、コールバックに応じた電話に対して応答できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-62919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
IP網を通じて緊急通報を行う場合に生じる可能性のある不具合について整理する。図6に示すように、緊急通報装置7の概略構成は、緊急通報を行う本体側回路701とスイッチ回路702とを備える。緊急通報装置7の本体側回路701には、図6に示すように通報ボタン8が接続されている。また、緊急通報装置7のスイッチ回路702は、図6に示すように、本体側回路701をIP網に接続するのか、電話機9をIP網に接続するのかを切り替えるものである。
【0009】
通常時(通報ボタン8の押下前)においては、図6(A)に示すように、スイッチ回路702は端子b側に切り替えられており、電話機9を用いて電話を受けたり、電話を掛けたりすることができるようにされている。通報ボタン8が押下操作されると、これが本体側回路701に通知される。この場合、本体側回路701は、図6(B)に示すように、スイッチ回路702を端子a側に切り替えて、本体側回路701をIP網に接続し、所定の緊急通報受理機関に自動発信して通話回線を接続し、緊急通報を行う緊急通報処理を実行する。当該緊急通報処理が終了すると、本体側回路701は、再度、図6(A)に示すように、スイッチ回路702を端子b側に切り替えて、本体側回路701をIP網から切り離し、緊急通報受理機関からのコールバックに備えることになる。
【0010】
ところが、緊急通報時においては、通報ボタン8を押下操作した通報者が、慌てて電話機9の受話器を取り上げてしまうことは起こり得ることである。図6(A)に示したように、スイッチ回路702が端子b側に切り替えられた状態にあるときに、電話機9がオフフック状態になっていると、電話機9がIP網を捕捉してしまうので、電話機9が通話回線を使用している状態(通話中の状態)となる。このため、緊急通報受理機関から緊急通報装置に接続された電話機に対して電話を掛けられない状態となってしまい、緊急通報受理機関においてコールバック操作しても通話回線が接続できずに、いわゆる逆信通話ができない状態となってしまう。
【0011】
そこで、図6(B)に示すように、本体側回路701が緊急通報を行った後においても、スイッチ回路702を端子a側に切り替えた状態を維持することが考えられる。この後、コールバックに応じたIR信号が到来した場合に、本体側回路701が、スイッチ回路702を端子b側に切り替えるようにすればよい。このようにすれば、電話機9側からIP網を捕捉した状態にはならないので、電話機9がオフフック状態にあっても、緊急通報受理機関からのコールバック操作に応じたIR信号が到来した場合には、通話回線を接続して逆信通話を行うことが可能になる。
【0012】
しかしながら、本体側回路701に対して、IR信号の検出回路部を設けるなど、IR信号を受信する機能を持たせる必要が生じる。本体側回路701は、緊急通報受理機関に対して緊急通報を行うという主に送信機能を実現する回路である。このため、受信したIR信号が信号の送信系に影響を及ぼし、故障等の不具合の発生を誘引する可能性がある。また、IR信号の受信が可能であるということは、ノイズの混入や落雷などを原因とするサージ電流の流入も起こり得ることとなり、これらも本体側回路701の不具合の発生の原因になりかねない。
【0013】
ここでは消防機関等の所定の緊急通報受理機関に対して、緊急通報を行う場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、1人暮らしの高齢者宅に設置され、通報ボタンが押下操作された場合などを契機として通報を行い、通報先からコールバックを受けるようにするいわゆる見守り通報装置においても、上述した緊急通報装置の場合と同様の問題が生じる。すなわち、所定の事象の発生を契機として所定の通報先に通報を行い、当該所定の通報装置からコールバックを受けて通話を行う電話機が接続された種々の通報装置において同様の問題が生じる。
【0014】
以上のことに鑑み、この発明は、IP網を通じて所定の通報先に通報を行う通報装置において、通報を行う処理系に影響を及ぼすことなく、当該通報装置に接続されている電話機がオフフック状態にあっても、通報先からのコールバックに応じた逆信通話を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の通報装置は、
IP(Internet Protocol)網を通じて、所定の通報先に対して、自動発信して通報処理を行う通報処理手段と、
第1のスイッチ部と第2のスイッチ部とを備え、前記IP網に対して、前記通報処理手段を接続し、自機に接続された電話機を非接続とする第1の状態と、前記IP網に対して、前記通報処理手段と前記電話機との両方を非接続とする第2の状態と、前記IP網に対して、前記電話機を接続し、前記通報処理手段を非接続とする第3の状態とを形成する切り替え手段と、
前記通報先でのコールバック操作に応じて送信されてくる呼び出し信号の到来を検出する検出手段と、
通報ボタンが押下操作された場合に、前記切り替え手段を前記第1の状態にし、前記通報処理手段による通報処理を行うようにし、当該通報処理が終了した場合に、前記切り替え手段を前記第2の状態にする第1の切り替え制御手段と、
前記第1の切り替え制御手段により前記切り替え手段が前記第2の状態にされた後に、前記検出手段で前記呼び出し信号の到来を検出した場合に、前記切り替え手段を前記第3の状態にする第2の切り替え制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載の通報装置によれば、切り替え手段は、第1のスイッチ部と第2のスイッチ部とを備える。これら第1のスイッチ部と第2のスイッチ部の切り替え制御により、切り替え手段は、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態とが切り替えられる。通報ボタンが押下操作されると、切り替え手段は第1の状態に切り替えられる。第1の状態は、IP網に対して、通報処理手段を接続し、自機に接続された電話機を非接続とする状態である。第1の状態のときには、所定の通報先に対して通報処理を適切に行うことができる。
【0017】
通報処理が終了すると、切り替え手段は第2の状態に切り替えられる。第2の状態は、IP網に対して、通報処理手段と電話機との両方を非接続とする状態である。第2の状態のときには、呼び出し信号(IR信号)やノイズ等の信号が通報処理手段に供給されることはない。更に、第2の状態のときには、当該通報装置に接続された電話機がオフフック状態になっていても、当該電話機がIP網を捕捉することはない。このため、通報先からのコールバック操作に応じた呼び出し信号(IR信号)が、当該通報装置まで適切に到来し、通報装置に接続された電話機を通じて通話回線の接続が可能になる。
【0018】
通報処理後、通報先でのコールバック操作に応じて、呼び出し信号(IR信号)が到来したら、切り替え手段は第3の状態に切り替えられる。第3の状態は、IP網に対して、通報装置に接続された電話機を接続し、通報処理手段を非接続とする状態である。第3の状態のときには、呼び出し信号(IR信号)やノイズ等の信号が通報処理手段に供給されることがない状態が維持される。更に、第3の状態のときには、当該通報装置に接続された電話機がオフフック状態になっていても、通報先と通報装置に接続された電話機との間に通話回線を接続し、逆信通話が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、IP網を通じて所定の通報先に通報を行う通報装置において、通報を行う通報処理手段に影響を及ぼすことなく、当該通報装置に接続されている電話機がオフフック状態にあっても、通報先からのコールバックに応じた逆信通話を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の通報装置の一実施の形態が適用された緊急通報装置を含む緊急通報システムの全体構成について説明するための図である。
図2】第1の実施の形態の緊急通報装置の構成例を説明するための図である。
図3】第1の実施の形態の緊急通報装置の2つのスイッチ部の切り替えパターンについて説明するための図である。
図4】第2の実施の形態の緊急通報装置の構成例を説明するための図である。
図5】第2の実施の形態の緊急通報装置の2つのスイッチ部の切り替えパターンについて説明するための図である。
図6】IP網を通じて緊急通報を行う場合に生じる可能性のある不具合について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しながらこの発明による通報装置及びネットワーク接続制御方法の実施の形態について説明する。この発明による通報装置は、緊急通報装置や見守り通報装置といった、所定の事象の発生を契機として所定の通報先に通報を行い、当該所定の通報先からコールバックを受けて通話を行う電話機が接続された種々の通報装置に適用可能なものである。また、この発明のネットワーク接続制御方法は、当該種々の通報装置において用いられるものである。
【0022】
以下に説明する実施の形態においては、この発明による通報装置及びネットワーク接続制御方法を、所定の緊急通報受理機関に緊急通報を行う緊急通報装置に適用した場合を例にして説明する。所定の緊急通報受理機関は、警察機関(特番110)、消防機関(特番119)、海上保安庁機関(特番118)、警備会社(所定の電話番号)などである。以下に説明する実施の形態においては、説明を簡単にするため、緊急通報受理機関は、消防機関(特番119)であるものとして説明する。
【0023】
[緊急通報装置を含む緊急通報システムの全体構成]
図1は、この発明の通報装置の一実施の形態が適用された緊急通報装置1を含む緊急通報システムの全体構成について説明するための図である。図1に示すように、緊急通報装置1と緊急通報受理機関6とは、ゲートウェイ装置4及びIP網5を介して接続され、相互に通信を行うことができる環境が整えられている。
【0024】
また、図1に示すように、緊急通報装置1には、電話機2と通報ボタン3とが接続されている。点線で囲んで示した緊急通報装置1と電話機2と通報ボタン3とが、例えば、会社のオフィスや工場といった種々の通報元となる施設内に設置される装置部である。電話機2は、緊急通報受理機関6からのコールバック操作に応じて、呼び出し信号(IR信号)が到来した場合に、通話回線を接続して、いわゆる逆信通話を行うためのものである。また、通報ボタン3は、火災等の緊急事態の発生を緊急通報受理機関6に通報することを緊急通報装置1に対して指示するものである。
【0025】
この実施の形態の緊急通報システムにおいては、通報ボタン3が押下操作されて緊急通報を行った後において、電話機2の受話器がオフフック状態になっていても、緊急通報受理機関6からのコールバックに応じた逆信通話を確実に行うことができるようにしている。しかも、緊急通報装置1の緊急通報を行う回路部分に、IP網5を通じてIR信号やノイズといった処理対象でない信号が入り込むことによる負荷が掛からないようにして、故障の原因となることも無いようにしている。以下、緊急通報装置1の構成について具体的に説明する。以下においては、同じ機能を実現するが、構成が異なる2つの緊急通報装置について、第1の実施の形態の緊急通報装置と第2の実施の形態の緊急通報装置とに分けて説明する。
【0026】
[第1の実施の形態]
<緊急通報装置1の構成例>
図2は、第1の実施の形態の緊急通報装置1の構成例を説明するための図である。図2に示すように、第1の実施の形態の緊急通報装置1は、回線制御部101と、第1のスイッチ部102と、第2のスイッチ部103と、着信検出回路104とを備えて構成される。回線制御部101は、接続/切断制御部1011と通報処理部1012とを備える。接続/切断制御部1011と通報処理部1012の詳細については後述する。また、第1のスイッチ部102と第2のスイッチ部103とで、緊急通報装置1の切り替え手段を構成している。
【0027】
第1のスイッチ部102は、回線制御部101の通報処理部1012に通じる第1の線路L1が接続される端子aと、電話機2に通じる第2の線路L2が接続される端子bとを備える。第1のスイッチ部102は、図2に示すように、回線制御部101の通報処理部1012に通じる第1の線路L1をIP網5に接続するのか、電話機2に通じる第2の線路L2をIP網5に接続するのかを切り替える単極双投型のものである。第1のスイッチ部102は、回線制御部101の接続/切断制御部1011により切り替え制御がされる。
【0028】
第2のスイッチ部103は、図2に示すように、第1のスイッチ部102の端子bと電話機2との間に設けられ、電話機2を第1のスイッチ部102の端子bに接続するか否かを切り替える単極単投型のものである。第2のスイッチ部103は、回線制御部101の接続/切断制御部1011と着信検出回路104とにより切り替え制御がされる。着信検出回路104は、緊急通報を行った後に、緊急通報受理機関6において行われたコールバック操作に応じて、IP網5から送信されて来るIR信号を検出するようにし、検出できた場合に、第2のスイッチ部103をオンに切り替える機能を実現する。
【0029】
このように構成された緊急通報装置1では、通報ボタン3が押下されると、これが回線制御部101に通知され、接続/切断制御部1011が機能して、第1のスイッチ部102を端子a側に切り替え、第2のスイッチ部103をオフ状態に切り替える。これにより、回線制御部101の通報処理部1012がIP網5に接続され、緊急通報受理機関6に対して自動発信して通話回線を接続し、例えば、「〇〇市1丁目△△番地□□□株式会社で火災発生。」などといった音声メッセージを送信する通報処理を行う。この場合、通報元の電話機2に割り当てられている電話番号も緊急通報受理機関6に通知され、コールバック時に用いられる。
【0030】
この通報処理の後、回線制御部101の接続/切断制御部1011は、第1のスイッチ部102を端子b側に切り替える。なお、第2のスイッチ部103は、オフ状態のままとされる。これにより、第1のスイッチ部102と第2のスイッチ部103とは図2に示した状態となる。この場合、回線制御部101は、第1のスイッチ部102が端子b側に切り替えられることにより、IP網5からは切り離される。このため、回線制御部101にはIP網5を通じて送信されてくるIR信号やノイズなどの不必要な信号が流入することはない。また、電話機2とIP網5との間も第2のスイッチ部103により切り離されているので、電話機2がオフフック状態であっても、電話機2がIP網5を捕捉して、通話中の状態になることもない。
【0031】
第1のスイッチ部102と第2のスイッチ部103とが図2に示した状態にあるとする。この場合に、緊急通報受理機関6でのコールバック操作に応じたIR信号がIP網5から送信されて来て、これが着信検出回路104において検出されると、着信検出回路104は、第2のスイッチ部103をオン状態に切り替える。この場合、電話機2がオフフック状態であれば、即座に通話回線が接続され、逆信通話が可能になる。また、電話機2がオンフック状態であれば、まず、電話機2に着信が発生し、呼び出し音を放音して、電話機2の受話器を取り上げてオフフック状態にすることにより、通話回線が接続され、逆信通話が可能になる。
【0032】
このように第1の実施の形態の緊急通報装置1において、第1のスイッチ部102と第2のスイッチ部103とにより、第1、第2、第3の3つの状態を切り替えることにより、通報処理後において、電話機2がオフフック状態でも逆信通話を可能にしている。なお、第1の状態は、IP網5に対して、回線制御部101の通報処理部1012を接続し、自機に接続された電話機2を非接続とする状態である。また、第2の状態は、IP網5に対して、回線制御部101の通報処理部1012と電話機2との両方を非接続とする状態である。第3の状態は、IP網5に対して、電話機2接続し、回線制御部101の通報処理部1012を非接続とする状態である。
【0033】
<第1のスイッチ部102、第2のスイッチ部103の切り替え状態の遷移>
図3は、第1の実施の形態の緊急通報装置1の第1のスイッチ部102と第2のスイッチ部103の切り替え制御について説明するための図である。第1の実施の形態の緊急通報装置1は、緊急通報を行うことが可能な状態である通常時(通報前)においては、図3(A)に示すように、第1のスイッチ部102は端子b側に切り替えられ、第2のスイッチ部103は、オン状態に切り替えられている。この状態のときには、電話機2とIP網5との経路が接続するようにされているので、電話機2をオフフック操作すれば、IP網5を通じて目的する相手先に電話を掛けることができるし、かかってきた電話に応答することもできる。
【0034】
図3(A)に示した通常時の状態にあるときに、通報ボタン3が押下され、緊急通報を行うことが指示されたとする。この場合、回線制御部101の接続/切断制御部1011は、図3(B)に示すように、第1のスイッチ部102に対しては、切り替え信号S1を供給して、端子aを選択するように切り替える。また、回線制御部101の接続/切断制御部1011は、第2のスイッチ部103に対しては、切り替え信号S2を供給して、オフ状態になるように切り替える。これにより、電話機2はIP網5から切り離され、回線制御部101の通報処理部1012がIP網5に接続され、通報時の状態となり、通報処理部1012の機能により、緊急通報受理機関6に対して緊急通報を行うようにする通報処理が実行される。
【0035】
この後、通報処理が終了すると、回線制御部101の接続/切断制御部1011は、第1のスイッチ部102に対しては、切り替え信号S1を供給して、図3(C)に示すように、端子bを選択するように切り替える。なお、第2のスイッチ部103に対しては切り替え信号を供給されず、オフ状態のままとされる。これにより、緊急通報受理機関6からのコールバック待機時の状態となる。更に、回線制御部101の接続/切断制御部1011は、図2において、点線で示したように、着信検出回路104に対してイネーブル信号を供給する。これにより、着信検出回路104は、緊急通報受理機関6におけるコールバック操作に応じて、IP網5側から送信されて来る電話機2に対するIR信号を検出する処理を開始する。
【0036】
図3(C)に示した状態のときには、例え電話機2がオフフック状態となっていても、第2のスイッチ部103がオフ状態になっているので、電話機2がIP網5を捕捉してしまうことがない。図3(C)に示した状態にあるときに、緊急通報受理機関6でのコールバック操作に応じたIR信号がIP網5を通じて送信されて来て、これが着信検出回路104において検出されたとする。この場合、着信検出回路104は、第2のスイッチ部103に対して切り替え信号S3を供給して、図3(D)に示すようにオン状態に切り替えて、コールバック到来時の状態になる。
【0037】
これにより、電話機2がオフフック状態であっても、第2のスイッチ部103をオン状態にすることにより、初めて電話機2とIP網5とが接続され、電話機2と緊急通報受理機関6との間に即座に通話回線が接続され、逆信通話を行うことができる。また、この場合において、電話機2がオンフック状態であれば、電話機2に着信が発生し、電話機2が鳴動することにより着信があることを通報者に通知する。これに応じて、通報者が電話機2の受話器を取り上げてオフフック状態にすれば、電話機2と緊急通報受理機関6との間に通話回線が接続され、逆信通話を行うことができる。
【0038】
図3を用いて説明したように、第1のスイッチ部102と第2のスイッチ部103とを切り替え制御し、通報後において電話機2がオフフック状態であっても、緊急通報受理機関6とに間に通話回線を接続し逆信通話を行うことができる。もちろん、電話機2がオンフック状態であっても、通常通り、電話機2を着信鳴動させ、これに応じてオフフック操作すれば、緊急通報受理機関6との間に通話回線を接続し逆信通話を行うことができる。更に、図3(C)を用いて説明したように、通報後においては、回線制御部101は、IP網5から切り離されるので、IP網5を通じてIR信号やノイズが回線制御部101に入り込むことが無く、回線制御部101の故障の原因になることもない。
【0039】
なお、この第1の実施の形態においては、図3を見ると分かるように、通報ボタン3が押下操作された後に、第1のスイッチ部102を端子a側に切り替え、第2のスイッチ部103をオフ状態に切り替えた図3(B)に示した状態が第1の状態である。また、通報処理部1012による通報処理が終了し、第1のスイッチ部102を端子b側に切り替え、第2のスイッチ部103がオフ状態である図3(C)に示した状態が第2の状態である。そして、着信検出回路104でIR信号が検出された場合に、第2のスイッチ部103をオンに切り替え、第1のスイッチ部102を端子b側に切り替えられたままとする図3(D)に示した状態が第3の状態である。すなわち、図3(A)、(D)に示した状態が第3の状態である。
【0040】
[第2の実施の形態]
<緊急通報装置1Aの構成例>
図4は、第2の実施の形態の緊急通報装置1Aの構成例を説明するための図である。図4に示すように、第2の実施の形態の緊急通報装置1Aは、回線制御部101Aと、第1のスイッチ部102Aと、第2のスイッチ部103Aと、着信検出回路104Aとを備えて構成される。回線制御部101Aは、接続/切断制御部1011Aと通報処理部1012Aとを備える。接続/切断制御部1011Aと通報処理部1012Aの詳細については後述する。また、第1のスイッチ部102Aと第2のスイッチ部103Aとで、緊急通報装置1Aの切り替え手段を構成している。
【0041】
第1のスイッチ部102Aは、回線制御部101Aの通報処理部1012Aに通じる第1の線路LAが接続される端子cと、電話機2に通じる第2の線路LBが接続される端子dとを備える。第1のスイッチ部102Aは、図4に示すように、回線制御部101Aの通報処理部1012Aに通じる第1の線路LAをIP網5に接続するのか、電話機2に通じる第2の線路LBをIP網5に接続するのかを切り替える単極双投型のものである。第1のスイッチ部102Aは、回線制御部101Aの接続/切断制御部1011Aと着信検出回路104Aとにより切り替え制御がされる。
【0042】
第2のスイッチ部103Aは、図4に示すように、第1のスイッチ部102Aの端子cと回線制御部101Aとの間に設けられ、回線制御部101Aの通報処理部1012Aを第1のスイッチ部102Aの端子cに接続するか否かを切り替える。第2のスイッチ部103Aは、図4に示すように、単極単投型のものである。第2のスイッチ部103Aは、回線制御部101Aの接続/切断制御部1011Aにより切り替え制御がされる。着信検出回路104Aは、通報処理を行った後に、緊急通報受理機関6において行われたコールバック操作に応じて、IP網5から送信されて来るIR信号を検出するようにし、検出できた場合に、第1のスイッチ部102Aを端子d側に切り替える機能を実現する。
【0043】
このように構成された緊急通報装置1Aでは、通報ボタン3が押下されると、これが回線制御部101Aに通知され、接続/切断制御部1011Aが機能して、第1のスイッチ部102Aを端子c側に切り替え、第2のスイッチ部103Aをオン状態に切り替える。これにより、回線制御部101Aの通報処理部1012AがIP網5に接続され、緊急通報受理機関6に対して発信して通話回線を接続し、例えば、「〇〇市1丁目△△番地□□□株式会社で火災発生。」といった音声メッセージを送信する通報処理を行う。この場合、通報元の電話機2に割り当てられている電話番号も緊急通報受理機関6に通知され、コールバック時に用いられることになる。
【0044】
この通報処理の後、回線制御部101Aの接続/切断制御部1011Aは、第2のスイッチ部103Aをオフ状態に切り替える。なお、第1のスイッチ部102Aは、端子c側に切り替えられたままとされる。これにより、第1のスイッチ部102Aと第2のスイッチ部103Aとは図4に示した状態となる。この場合、回線制御部101Aは、第2のスイッチ部103Aがオフ状態に切り替えられることにより、IP網5からは切り離される。このため、回線制御部101AにはIP網5を通じて送信されてくるノイズなどの不必要な信号が流入することはない。また、電話機2とIP網5との間も第1のスイッチ部102Aが端子c側に切り替えられていることにより切り離されているので、電話機2がオフフック状態であっても、電話機2がIP網5を捕捉して、通話中の状態になることもない。
【0045】
第1のスイッチ部102Aと第2のスイッチ部103Aとが図4に示した状態にあるとする。この場合に、緊急通報受理機関6でのコールバック操作に応じたIR信号がIP網5から送信されて来て、これが着信検出回路104Aにおいて検出されると、着信検出回路104Aは、第1のスイッチ部102Aを端子d側に切り替える。この場合、電話機2がオフフック状態であれば、即座に通話回線が接続され、逆信通話が可能になる。また、電話機2がオンフック状態であれば、まず、電話機2に着信が発生し、呼び出し音を放音して、電話機2の受話器を取り上げてオフフック状態にすることにより、通話回線が接続され、逆信通話が可能になる。
【0046】
このように第2の実施の形態の緊急通報装置1Aにおいても、第1のスイッチ部102Aと第2のスイッチ部103Aによって、第1、第2、第3の3つの状態を切り替えることにより、通報処理後において、電話機2がオフフック状態でも逆信通話を可能にしている。なお、この第2の実施の形態においても、第1の状態は、IP網5に対して、回線制御部101Aの通報処理部1012Aを接続し、自機に接続された電話機2を非接続とする状態である。また、第2の状態は、IP網5に対して、回線制御部101Aの通報処理部1012Aと電話機2との両方を非接続とする状態である。第3の状態は、IP網5に対して、電話機2接続し、回線制御部101Aの通報処理部1012Aを非接続とする状態である。
【0047】
<第1のスイッチ部102A、第2のスイッチ部103Aの切り替え状態の遷移>
図5は、第2の実施の形態の緊急通報装置1Aの第1のスイッチ部102Aと、第2のスイッチ部103Aの切り替え制御について説明するための図である。第2の実施の形態の緊急通報装置1Aは、緊急通報を行うことが可能な状態である通常時(通報前)においては、図5(A)に示すように、第1のスイッチ部102Aは端子d側に切り替えられ、第2のスイッチ部103Aは、オフ状態に切り替えられている。この状態のときには、電話機2とIP網5との経路が接続するようにされているので、電話機2をオフフック操作すれば、IP網5を通じて目的する相手先に電話を掛けることができるし、かかってきた電話に応答することもできる。
【0048】
図5(A)に示した通常時の状態にあるときに、通報ボタン3が押下され、緊急通報を行うことが指示されたとする。この場合、回線制御部101Aの接続/切断制御部1011Aは、第1のスイッチ部102Aに対しては、切り替え信号SBを供給して、端子cを選択するように切り替える。また、回線制御部101Aの接続/切断制御部1011Aは、第2のスイッチ部103Aに対しては、切り替え信号SAを供給して、オン状態になるように切り替える。これにより、電話機2はIP網5から切り離されて、回線制御部101Aの通報処理部1012AがIP網5に接続され、通報時の状態となり、通報処理部1012Aの機能により、緊急通報受理機関6に対して緊急通報を行うようにする通報処理が実行される。
【0049】
この後、通報処理が終了すると、回線制御部101Aの接続/切断制御部1011Aは、第2のスイッチ部103Aに対して、切り替え信号SAを供給して、図5(C)に示すように、オフ状態に切り替える。なお、第1のスイッチ部102Aに対しては切り替え信号を供給されず、端子c側を選択した状態のままとされる。これにより、緊急通報受理機関6からのコールバック待機時の状態となる。更に、回線制御部101Aの接続/切断制御部1011Aは、図4において、点線で示したように、着信検出回路104Aに対してイネーブル信号を供給する。これにより、着信検出回路104Aは、緊急通報受理機関6におけるコールバック操作に応じて、IP網5側から送信されて来る電話機2に対するIR信号を検出する処理を開始する。
【0050】
図5(C)に示した状態のときには、例え電話機2がオフフック状態となっていても、第1のスイッチ部102Aが端子c側に切り替えられているので、電話機2がIP網5を捕捉してしまうことが無い。図5(C)に示した状態にあるときに、緊急通報受理機関6でのコールバック操作に応じたIR信号がIP網5を通じて送信されて来て、これが着信検出回路104Aにおいて検出されたとする。この場合、着信検出回路104Aは、第1のスイッチ部102Aに対して切り替え信号SCを供給して、図3(D)に示すように端子d側に切り替えて、コールバック到来時の状態になる。
【0051】
これにより、電話機2がオフフック状態であっても、第1のスイッチ部102Aを端子d側に切り替えることにより、初めて電話機2とIP網5とが接続され、電話機2と緊急通報受理機関6との間に即座に通話回線が接続され、逆信通話を行うことができる。また、この場合において、電話機2がオンフック状態であれば、電話機2に着信が発生し、電話機2が鳴動することにより着信があることを通報者に通知する。これに応じて、通報者が電話機2の受話器を取り上げてオフフック状態にすれば、電話機2と緊急通報受理機関6との間に通話回線が接続され、逆信通話を行うことができる。
【0052】
図5を用いて説明したように、第1のスイッチ部102Aと第2のスイッチ部103Aとを切り替え制御し、通報後において電話機2がオフフック状態であっても、緊急通報受理機関6との間に通話回線を接続し逆信通話を行うことができる。もちろん、電話機2がオンフック状態であっても、通常通り、電話機2を着信鳴動させ、これに応じてオフフック操作すれば、緊急通報受理機関6との間に通話回線を接続し逆信通話を行うことができる。更に、図5(C)を用いて説明したように、通報後においては、回線制御部101Aは、IP網5から切り離されるので、IP網5を通じてノイズが回線制御部101Aに入り込むことが無く、回線制御部101Aの故障の原因になることもない。
【0053】
なお、この第2の実施の形態においては、図5を見ると分かるように、通報ボタン3が押下操作された後に、第1のスイッチ部102Aを端子c側に切り替え、第2のスイッチ部103Aをオン状態に切り替えた図5(B)に示した状態が第1の状態である。また、通報処理部1012Aによる通報処理が終了し、第2のスイッチ部103Aをオフ状態にし、第1のスイッチ部102Aを端子c側に切り替えたままの図5(C)に示した状態が第2の状態である。そして、着信検出回路104AでIR信号が検出された場合に、第2のスイッチ部103Aはオフ状態のままとし、第1のスイッチ部102Aを端子d側に切り替えた状態とする図5(D)に示した状態が第3の状態である。すなわち、図5(A)、(D)に示した状態が第3の状態である。
【0054】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の緊急通報装置1、1Aは、緊急通報後に、緊急通報装置1、1Aに接続されている電話機2がオフフック状態であっても、通報先からのコールバックに応じてIR信号が到来した場合には、通話回線を接続し、逆信通話を行うことができる。また、通報処理の後においては、通報処理部1012、1012Aは、IP網5から切り離されるので、IR信号やノイズなどの不必要な信号が、通報処理部1012、1012Aに流入することがない。従って、通報処理を行う通報処理部1012、1012Aに対して、IR信号やノイズ等の不必要な信号が影響を及ぼすことなく、故障を誘引することもない。
【0055】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、緊急通報装置1、1Aにこの発明による通報装置の実施の形態を適用したが、これに限るものではない。上述したように、いわゆる見守り通報装置のように、所定の事象の発生を契機として所定の通報先に通報を行い、当該所定の通報先からコールバックを受けて通話を行う電話機が接続された種々の通報装置に適用可能なものである。なお、ここでは、所定の事象の発生を契機として所定の通報先に通報を行うものとして説明したが、所定の事象の発生は、通報ボタンの押下操作のようなものに限るものではない。例えば、夜間になっても所定時間以上、照明器具の電源がオンにされない場合、ガスメーターが所定時間以上動作しない場合、湯沸かしポットが所定時間以上使用されない場合など、通常であれば動作するものが動作しない場合を所定の事象の発生としてもよい。
【0056】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の通報処理手段の機能は、実施の形態の緊急通報装置1、1Aの通報処理部1012、1012Aが実現している。また、請求項の切り替え手段の機能は、第1のスイッチ部102、102Aと第2のスイッチ部103、103Aとが実現している。また、請求項の検出手段、第2の切り替え制御手段の機能は、着信検出回路104、104Aが実現している。また、請求項の第1の切り替え制御手段の機能は、接続/切断制御部1011、1011Aが実現している。
【0057】
また、上述した第1の実施の形態の緊急通報装置1で行われる、図3を用いて説明した第1のスイッチ部102及び第2のスイッチ部103を切り替える方法が、この発明によるネットワーク接続制御方法の一実施の形態が適用されたものである。また、上述した第2の実施の形態の緊急通報装置1Aで行われる、図5を用いて説明した第1のスイッチ部102A及び第2のスイッチ部103Aを切り替える方法が、この発明によるネットワーク接続制御方法の一実施の形態が適用されたものである。
【符号の説明】
【0058】
1、1A…緊急通報装置、101、101A…回線制御部、1011、1011A…接続/切断制御部、1012、1012A…通報処理部、102、102A…第1のスイッチ部、103、103A…第2のスイッチ部、104、104A…着信検出回路、2…電話機、3…通報ボタン、4…ゲートウェイ装置、5…IP網、6…緊急通報受理機関、S1、S2、S3…切り替え信号、SA、SB、SC…切り替え信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6