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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174362
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】海苔のローラー間搬送システム
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20241210BHJP
【FI】
A23L17/60 103H
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092155
(22)【出願日】2023-06-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日(納品日)は、令和5年5月12日。公開場所(納品場所)は、永井海苔株式会社の本部工場(愛知県豊橋市問屋町11-3)。
(71)【出願人】
【識別番号】392024699
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】川島 一美
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LT71
4B019LT80
(57)【要約】
【課題】第1に、海苔が出口ローラーにスムーズに挟み込まれ、第2に、メンテナンスも容易であり、第3に、検査区間搬送も問題なく可能な、海苔のローラー間搬送システムを提案する。
【解決手段】このシステムは、海苔Aを、前側の入口ローラー2から前後間隔Bを存した後側の出口ローラー3へと搬送する、ローラー間搬送装置1に関する。そして海苔Aを、前後間隔Bにて下側からガイドする案内板8と、案内板8に付設された吸引部20とを備えている。出口ローラー3は、駆動ローラー6と従動ローラー7を上下に備えている。案内板8は、海苔Aを、出口ローラー3の駆動ローラー6と従動ローラー7間の接線位置Dに向け、直線的にガイドする。吸引部20は、海苔Aを案内板8側へと吸引し、もって海苔Aが、出口ローラー3の接線位置Dへ直線的に挟み込まれるように、フォローする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔を、前側の入口ローラーから、前後間隔を存した後側の出口ローラーへと搬送する、ローラー間搬送装置において、
搬送される海苔を、前後間隔にて下側からガイドするローラー間案内板と、該案内板に付設された吸引部と、を備えていること、を特徴とする海苔のローラー間搬送システム。
【請求項2】
請求項1において、該出口ローラーは、駆動ローラーと従動ローラーを上下に備えており、
該案内板は、海苔を、該出口ローラーの駆動ローラーと従動ローラー間の接線位置に向け、直線的にガイドし、
該吸引部は、海苔を該案内板側へと吸引し、もって海苔の該出口ローラーの接線位置への直線的挟み込みをフォローすること、を特徴とする海苔のローラー間搬送システム。
【請求項3】
請求項2において、該入口ローラーも、駆動ローラーと従動ローラーを上下に備えており、
該案内板は、海苔を、該入口ローラーの駆動ローラーと従動ローラー間の接線位置から、該出口ローラーの駆動ローラーと従動ローラー間の接線位置に向け、直線的にガイドすること、を特徴とする海苔のローラー間搬送システム。
【請求項4】
請求項3において、該入口ローラーと出口ローラーとは、前後間隔が海苔の長さ未満よりなると共に、
該出口ローラーが、該吸引部にて吸引される海苔の前端部を挟み込んだ際、該入口ローラーが、挟み込んだ海苔の後端部を押し出すこと、を特徴とする海苔のローラー間搬送システム。
【請求項5】
請求項2において、該吸引部は、該案内板の該出口ローラー寄りの位置に組み込まれており、その吸引孔が、該案内板の上面と面一に開口していること、を特徴とする海苔のローラー間搬送システム。
【請求項6】
請求項5において、該入口ローラーおよび出口ローラーの該従動ローラーは、該駆動ローラー上に上下動可能に圧接された回転自在ローラーよりなり、複数個が左右に分割配置されており、
該吸引部は、複数個が該出口ローラーの各該従動ローラーの手前下に、それぞれ対応配置されていること、を特徴とする海苔のローラー間搬送システム。
【請求項7】
請求項1において、該入口ローラーと出口ローラー間の前後間隔に、検査装置の光源とカメラが上下に配設されており、
該光源は、搬送される海苔を照射し、該カメラは、該光源からの照射光を海苔を介して受光し、
該案内板は、照射光通過用の隙間を備えていること、を特徴とする海苔のローラー間搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔のローラー間搬送システムに関する。すなわち、海苔のローラー間搬送装置の搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
乾海苔(以下単に海苔という)の生産ラインや加工ラインでは、海苔を搬送しつつ各種処理が行われる。搬送には、丸ベルト搬送装置,平ベルト搬送装置,ローラー間搬送装置等のコンベヤが、使用される。
ローラー間搬送装置は、海苔を、入口ローラーから、前後間隔を存した出口ローラーへと、搬送する。
【0003】
《従来技術:ローラー間搬送装置1について》
すなわち、図4図5図6に示したように、ローラー間搬送装置1は、海苔Aを、前側の入口ローラー2から、前後間隔Bを存した後側の出口ローラー3へと、搬送する。
入口ローラー2は、駆動ローラー4と従動ローラー5を上下に備えており、出口ローラー3も、駆動ローラー6と従動ローラー7を上下に備えている。
出口ローラー3が、海苔Aを挟み込んだ際、入口ローラー2が、挟み込んだ海苔Aを押し出す。
【0004】
《従来技術:案内板8について》
そして、ローラー間搬送装置1には、搬送される海苔Aを前後間隔Bにおいて下側からガイドする、案内板8が設けられている。
案内板8は、海苔Aを、入口ローラー2の駆動ローラー4と従動ローラー5間の接線位置Cから、出口ローラー3の駆動ローラー6と従動ローラー7間の接線位置Dへと、直線的にガイドする。
なお図中9は、丸ベルト搬送装置であり、ローラー間搬送装置1の前後で、海苔Aを搬送する。すなわち丸ベルト搬送装置9は、ローラー10と入口ローラー2間や、出口ローラー3とローラー11間で、丸ベルト12上に海苔Aを載せて搬送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の海苔Aのローラー間搬送装置1については、次の問題が課題として指摘されていた。
《問題点1:折曲,破損,詰まり等の不具合E発生》
第1に、海苔Aが出口ローラー3にスムーズに挟み込まれず、折曲,破損,詰まり等の不具合Eが発生することが多々ある、という問題が指摘されていた。
すなわち例えば、水分含有量が少なく脆い海苔Aの場合、例えば火入れ海苔や焼き海苔等の2次加工ラインの海苔Aの場合や、癖のある海苔Aの場合、海苔Aが、搬送中に案内板8による直線的ガイドから外れて、湾曲,浮き,バタツキ,その他の変形等Fを生じ易かった。
図5の(1)図に示したように、海苔Aの先端部Aが、出口ローラー3の従動ローラー7に当たって変形等Fし、従動ローラー7と駆動ローラー6間の接線位置Dへの挟み込みが、スムーズに行われず、接線位置Dから上下にズレて、不良化,不安定化することがあった。
そして、図5の(2)図に示したように、海苔Aに折曲,破損,詰まり等の不具合Eが発生することが多々あった。
(これに対し、図5の(3)図に示したように、海苔Aの先端部Aが下側の駆動ローラー6に当たる場合は、昇降手段で案内板8を上下調整することにより、不具合Eは容易に回避可能であった。)
【0006】
《問題点2:上押え丸ベルトや上押えガイド板について》
第2に、上述した出口ローラー3における海苔Aの変形等F防止対策,不具合E対策として、入口ローラー2と出口ローラー3間の前後間隔B上に、上押え丸ベルトや上押えガイド板(図示せず)を設置する対策も、開発されていた。
すなわち、搬送される海苔Aを、上側から押える丸ベルトやガイド板を、出口ローラー3の前に設置する対策も、講じられていた。
しかしながら、この対策は、一応の効果を発揮するものの、メンテナンスが煩わしいという問題が指摘されていた。すなわち海苔Aが、下側の案内板8との間に詰まった場合、取り出し,除去作業が手間取り容易でなかった。更に、上押え丸ベルトについては、丸ベルトの定期的交換作業を要する、という問題も指摘されていた。
(なお、図4図6中13は、上押え丸ベルトである。この上押え丸ベルト13は、上述した出口ローラー3用のものではなく、入口ローラー2用のものであるが、出口ローラー3用のものと同様、丸ベルト14や駆動用のローラー15にて構成されている。そして、下側の丸ベルト搬送装置9の丸ベルト12との間で、海苔Aを押え込むことにより、入口ローラー2の接線位置Cへのスムーズな挟み込みが実現されている。)
【0007】
《問題点3:検査区間搬送について》
第3に、検査区間では、上述した上押え丸ベルトや上押えガイド板自体が、設置困難であった。
すなわち図6に示したように、入口ローラー2と出口ローラー3間の前後間隔Bに、光源16やカメラ17等の検査装置18が、上下に配設される場合、案内板8には、照射光L通過用の隙間Gを形成される。
もって、このような前後間隔B上に、上押え丸ベルトや上押えガイド板を設置することは、困難であった。そこで依然として、上述した変形等F,そして不具合E発生が、問題となっていた。
そこで代わりに、エアー吹出部19を出口ローラー3の接線位置Dに向けて設置することも検討された。しかしエアー吹出により、海苔Aにバタツキが発生する、という致命的問題が指摘されていた。なお、ローラー間搬送装置1に代え、丸ベルト搬送装置9を使用することも、照射光L通過の関係から困難であった。
検査区間搬送には、依然としてローラー間搬送装置1が使用されており、上述した問題が指摘されていた。
ローラー間搬送装置1の問題点については、以上のとおり。
【0008】
《本発明について》
本発明に係る海苔のローラー間搬送システムは、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、海苔が出口ローラーにスムーズに挟み込まれ、第2に、メンテナンスも容易であり、第3に、検査区間搬送も問題なく可能な、海苔のローラー間搬送システムを提案すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1の海苔のローラー間搬送システムは、海苔を、前側の入口ローラーから、前後間隔を存した後側の出口ローラーへと搬送する、ローラー間搬送装置に関する。
そして、搬送される海苔を、前後間隔にて下側からガイドするローラー間案内板と、該案内板に付設された吸引部と、を備えていること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。
請求項2の海苔のローラー間搬送システムでは、請求項1において、該出口ローラーは、駆動ローラーと従動ローラーを上下に備えている。
そして該案内板は、海苔を、該出口ローラーの駆動ローラーと従動ローラー間の接線位置に向け、直線的にガイドする。
該吸引部は、海苔を該案内板側へと吸引し、もって海苔の該出口ローラーの接線位置への直線的挟み込みをフォローすること、を特徴とする。
【0010】
請求項3については、次のとおり。
請求項3の海苔のローラー間搬送システムでは、請求項2において、該入口ローラーも、駆動ローラーと従動ローラーを上下に備えている。
そして該案内板は、海苔を、該入口ローラーの駆動ローラーと従動ローラー間の接線位置から、該出口ローラーの駆動ローラーと従動ローラー間の接線位置に向け、直線的にガイドすること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。
請求項4の海苔のローラー間搬送システムでは、請求項3において、該入口ローラーと出口ローラーとは、前後間隔が海苔の長さ未満よりなる。
そして該出口ローラーが、該吸引部にて吸引される海苔の前端部を挟み込んだ際、該入口ローラーが、挟み込んだ海苔の後端部を押し出すこと、を特徴とする。
【0011】
請求項5については、次のとおり。
請求項5の海苔のローラー間搬送システムでは、請求項2において、該吸引部は、該案内板の該出口ローラー寄りの位置に組み込まれている。そして、その吸引孔が、該案内板の上面と面一に開口していること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。
請求項6の海苔のローラー間搬送システムでは、請求項5において、該入口ローラーおよび出口ローラーの該従動ローラーは、該駆動ローラー上に上下動可能に圧接された回転自在ローラーよりなり、複数個が左右に分割配置されている。
そして該吸引部は、複数個が該出口ローラーの各該従動ローラーの手前下に、それぞれ
対応配置されていること、を特徴とする。
請求項7については、次のとおり。
請求項7の海苔のローラー間搬送システムでは、請求項1において、該入口ローラーと出口ローラー間の前後間隔に、検査装置の光源とカメラが上下に配設されている。
該光源は、搬送される海苔を照射する。該カメラは、該光源からの照射光を海苔を介して受光する。該案内板は、照射光通過用の隙間を備えていること、を特徴とする。
【0012】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)ローラー間搬送装置は、海苔を、入口ローラーから出口ローラーへと、搬送する。
(2)そして出口ローラーが、吸引部にて吸引された状態の海苔の前端部を、挟み込んだ際、入口ローラーが、挟み込んでいた海苔の後端部を押し出す。
(3)本発明に係る海苔のローラー間搬送システムは、このようなローラー間搬送装置に関し、案内板と吸引部を備えている。
(4)案内板は、海苔を、入口ローラーの駆動ローラーと従動ローラー間の接線位置に向け、直線的にガイドする。
(5)吸引部は、案内板の出口ローラー寄りに組み込まれており、吸引孔が案内板の上面と面一に開口している。
(6)もって吸引部は、海苔を案内板側へと吸引することにより、海苔の出口ローラーの接線位置への直線的挟み込みをフォローする。海苔が案内板から離れ,外れないように、案内板へと吸引し、海苔は、出口ローラーの従動ローラーに当たることなく、抵抗なく接線位置に挟み込まれる。
(7)本発明に係る海苔のローラー間搬送システムは、このように作用するので、次のようになる。まず海苔が、ローラー間搬送装置の出口ローラーに、スムーズに挟み込まれるようになる。湾曲,浮き,バタツキ,その他の変形等が防止され、折曲,破損,詰まり等の不具合発生が回避される。
(8)又、案内板を吸引部に組み込んだ構成よりなり、維持,保守,管理等も容易である。
(9)更に、検査区間搬送にも、支障なく適用可能である。検査装置の光源とカメラが上下に配設され、案内板に照射光通過用の隙間が形成されるが、案内板への吸引部の組み込みは、支障なく可能である。
【発明の効果】
【0013】
《第1の効果》
第1に、海苔が出口ローラーにスムーズに挟み込まれる。
本発明に係る海苔のローラー間搬送システムは、ローラー間搬送装置について、案内板に吸引部を組み込んだことを、特徴とする。もって海苔が、出口ローラーの接線位置へと、直線的に確実にガイドされスムーズに挟み込まれる。
前述したこの種従来例のローラー間搬送装置のように、搬送される海苔について、湾曲,浮き,バタツキ,その他の変形等を生じることは、防止される。上下にズレて不良化,不安定化することもなくなる。
もって、折曲,破損,詰まり等の不具合が発生することはなく、海苔が、出口ローラーの駆動ローラーと従動ローラー間の接線位置に、スムーズに挟み込まれる。
【0014】
《第2の効果》
第2に、メンテナンスも容易である。
本発明に係る海苔のローラー間搬送システムは、ローラー間搬送装置の案内板に、吸引部を組み込んだ構成よりなる。もって、特に特殊なメンテナンスを要することもなく、維持,保守,管理等が容易である。
前述したこの種従来例のように、メンテナンスが煩わしいこともない。すなわち、上押え丸ベルトや上押えガイド板のように、搬送中に海苔が詰まった場合、取り出し,除去作業に手間取ることもない。丸ベルトの定期的交換作業を要することもない。
【0015】
《第3の効果》
第3に、検査区間搬送も問題なく可能である。
検査区間では、入口ローラーと出口ローラー間に、検査装置の光源とカメラが上下に配設され、案内板に照射光通過用の隙間が形成される。
このような検査区間搬送にも、本発明に係る海苔のローラー間搬送システムは、支障なく適用可能である。吸引部は、案内板の出口ローラー寄りに、支障なく組み込み可能である。上押え丸ベルトや上押えガイド板を設置する前述したこの種従来例のように、設置に支障が存することもない。
このように、この種従来技術に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る海苔のローラー間搬送システムについて、発明を実施するための形態の説明に供し、その一例を示す。そして(1)図は、正面図、(2)図は、平面図である。
図2】同発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図は、図1の要部の正面拡大図、(2)図は、他の例の要部の平面図である。
図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、更に他の例を示す。そして(1)図は、正面図、(2)図は、平面図である。
図4】従来例の一例を示す。そして(1)図は、正面図、(2)図は、平面図である。
図5】同従来例の一例の要部の正面拡大図である。そして(1)図は、海苔先端部が出口ローラーに当たった状態を示し、(2)図は、海苔先端部に折曲や破損が発生した状態を示す。
図6】更に他の従来例を示す。そして(1)図は、正面図、(2)図は、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、図1図2図3を参照して、詳細に説明する。
《本発明の概要》
まず、本発明の概要については、次のとおり。
本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムは、海苔Aを、前側の入口ローラー2から、前後間隔Bを存した後側の出口ローラー3へと搬送する、ローラー間搬送装置1に関する。
そして、搬送される海苔Aを、前後間隔Bにて下側からガイドするローラー間案内板8と、案内板8に付設された吸引部20と、を備えている。
出口ローラー3は、駆動ローラー6と従動ローラー7を上下に備えており、案内板8は、海苔Aを、出口ローラー3の駆動ローラー6と従動ローラー7間の接線位置Dに向け、直線的にガイドする。
吸引部20は、海苔Aを案内板8側へと吸引し、もって海苔Aが、出口ローラー3の接線位置Dへ直線的に挟み込まれるように、フォローすること、を特徴とする。
本発明の概要については、以上のとおり。以下、このような本発明について、更に詳述する。
【0018】
《ローラー間搬送装置1について》
まず、ローラー間搬送装置1について説明する。
海苔Aの生産ラインや事後の加工ラインでは、海苔Aを搬送しつつ各処理が行われる。搬送には、丸ベルト搬送装置9,平ベルト搬送装置(図示せず),ローラー間搬送装置1等のコンベヤが、使用される。
ローラー間搬送装置1は、海苔Aを、前側の入口ローラー2から、前後間隔Bを存した後側の出口ローラー3へと、搬送する。入口ローラー2は、駆動ローラー4と従動ローラー5を上下に備えており、出口ローラー3も、駆動ローラー6と従動ローラー7を上下に備えている。
【0019】
このようなローラー間搬送装置1について、更に詳述する。海苔Aは、代表的には、長さ210mm(~230mm)、幅190mm(~200mm)、肉厚0.2mm~0.5mm程度の寸法よりなり、柔軟な薄い略シート状をなす。
入口ローラー2と出口ローラー3とは、両者間の前後間隔Bが、海苔Aの上記長さ未満よりなる。
もって出口ローラー3が、吸引部20にて吸引される海苔Aの前端部Aを、挟み込んだ際、入口ローラー2が、挟み込んだ海苔Aの後端部Aを押し出し、事後は出口ローラー3にて搬送せしめる。前後間隔Bは、通常130mm~200mm程度よりなる。
【0020】
入口ローラー2や出口ローラー3の駆動ローラー4,6は、長円柱状のストレートローラーよりなり、モータ等の駆動源に接続されて回転駆動される。
入口ローラー2や出口ローラー3の従動ローラー5,7は、駆動ローラー4,6上に上下動可能に圧接され、駆動ローラー4,6の回転に従動して回転する回転自在ローラーよりなり、図示例では複数個が左右に分割配置されている。
すなわち、図2の(1)図に示したように、従動ローラー5,7は、それぞれ、取付け保持用の不動ブラケットKに、縦長穴Hが穿設されており、この縦長穴Hに、従動ローラー5,7の軸Sが上下動可能に遊挿されている。もって従動ローラー5,7は、その自重にて駆動ローラー4,6上に圧接されると共に、海苔Aを挟み込み可能となっている。
図示例の従動ローラー5,7は、肉厚薄の略コマ状・車輪状をなし、2個や3個等複数個が左右方向に間隔を存して配設されているが、このような左右分割タイプの図示例によらず1本のストレートローラーとしてもよい。
入口ローラー2の駆動ローラー4と従動ローラー5間の接線位置(接触位置)C、および、出口ローラー3の駆動ローラー6と従動ローラー7間の接線位置(接触位置)Dについては、次のとおり。
接線位置Cと接線位置Dと案内板8上面とは、高さレベルが揃えられている。すなわち、駆動ローラー4,6は、滑性に富んだ硬質樹脂製よりなるのに対し、従動ローラー5,7は、弾性,摩擦力に富んだゴム製よりなるので、両者間に接線位置C,Dにて挟み込まれる海苔Aの肉厚は、吸収される。
もって、接線位置C,Dの高さレベルと、海苔Aを下側からガイドする案内板8上面の高さレベルが、揃えられている。
ローラー間搬送装置1については、以上のとおり。
【0021】
《案内板8について》
次に、案内板8について説明する。
案内板8は、搬送される海苔Aを、ローラー間案内板として前後間隔Bにて、下側からガイドする。
すなわち案内板8は、前後間隔Bを搬送される海苔Aを、入口ローラー2の駆動ローラー4と従動ローラー5間の接線位置Cから、出口ローラー3の駆動ローラー6と従動ローラー7間の接線位置Dへ向け、直線的にガイドする。海苔Aを上面に載せ、上面に沿って搬送させ、もって海苔Aが、接線位置Dに直線的に挟み込まれるように、ガイドする。
案内板8は平板状をなし、搬送される海苔Aの裏面側に当接する高さレベルで、入口ローラー2と出口ローラー3間に水平配置されている。前後長さが、前後間隔Bより若干小の寸法よりなり、左右幅が、海苔Aの幅より大の寸法よりなる。
案内板8については、以上のとおり。
【0022】
《吸引部20について》
次に、吸引部20について説明する。
吸引部20は、案内板8に付設される。すなわち吸引部20は、案内板8の出口ローラー3寄りの位置に組み込まれており、その吸引孔21が、案内板8の上面と面一に開口している。図示例の吸引孔21は、前後に細長のスリットよりなり、2本や3本が併設され、1本の横幅が6mm以下となっている。
もって吸引部20は、海苔Aを案内板8側へと吸引し、海苔Aの出口ローラー3の接線位置Dへの直線的挟み込みをフォローする。
【0023】
このような吸引部20について、更に詳述する。吸引部20は、図示例では案内板8中に一体的に組み付けられているが、このような図示例によらず、案内板8に隣接しつつ別々に組み込むことも可能である。例えば、案内板8を左右に分割し、その間に吸引部20を配してもよい。
吸引部20の吸引孔21は、案内板8の上面と高さレベルを揃え、面一に開口し、搬送される海苔Aを案内板8へと負圧により下側から吸引する。
又、吸引部20は、出口ローラー3の従動ローラー7が、図示例のように複数個に分割配置される場合は、吸引部20も、同数の複数個が各従動ローラー7の手前下に、それぞれ対応配置される。
【0024】
吸引部20の吸引源には、吸引ファンが使用される。吸引部20の吸引力については、次のとおり。
a.前述したように、出口ローラー3が、吸引部20にて吸引された状態の海苔Aの前端部Aを挟み込んだ際、入口ローラー2が、挟み込んだ海苔Aの後端部Aを押し出す。それから出口ローラー3が、挟み込んだ海苔Aを、前端部Aから後端部Aへと押し出し,搬送する。
このように海苔Aは、入口ローラー2や出口ローラー3で押し出され,搬送されるが、その際、吸引部20には、押し出しや搬送の支障とならない程度の吸引力が要求される。
つまり、吸引部20の吸引力は、入口ローラー2や出口ローラー3の押し出し力や搬送力の支障とならない程度に、より小に設定される。
b.同様の理由で吸引部20は、上下方向の吸引力がより大で、左右方向や前後方向の吸引力(束縛力)がより小に設定される。
c.更に吸引部20には、その位置が出口ローラー3から離れるほど、入口ローラー2に近づくほど、より大の吸引力が要求される。しかし、その吸引力により、海苔Aが途中で浮いたり湾曲したりする変形等Fが生じる虞があるので、この点も考慮して吸引力は設定される。
d.海苔Aの硬さが大の場合、吸引部20には、より大の吸引力が要求される。
これらa,b,c,dの各要素を勘案し、これらを充足する吸引部20の吸引力が設定される。吸引孔21の形状等も工夫される。
もって、吸引部20の吸引ファンとしては、例えば、山洋電気(株)製の9GA0412P3H011型が使用される。吸引孔21の形状等も、図示例のものが使用される。
因に上記吸引ファンは、静圧が100Pa~400Pa程度、風量が0.15m/min~0.6m/min程度よりなり、高速回転により、強力な吸引力を発揮する。
吸引部20については、以上のとおり。
【0025】
《図示例について》
図示例については、次のとおり。
図1の(1)図,(2)図,図2の(1)図は、本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムの代表例を示す。従動ローラー7そして吸引部20は左右2個配置されている。図2の(2)図は、左右3個配置された例を示す。
図3の(1)図,(2)図は、検査区間搬送に、本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムが、適用された例を示す。この例では、入口ローラー2と出口ローラー3間の前後間隔Bに、検査装置18の光源16とカメラ17が、上下に配設されている。
光源16は、搬送される海苔Aを照射し、カメラ17は、光源16からの照射光Lを海苔Aを介して受光する。もって受光データに基づき、例えば海苔Aに付着した異物の検査,判別が行われる。案内板8は、照射光L通過用の隙間Gが形成されている。
・なお、図1図3中9は、丸ベルト搬送装置(Vベルトコンベヤ,紐ベルトコンベヤ)であり、本発明に関するローラー間搬送装置1の前後で、海苔Aを搬送する。
すなわち、ローラー10と入口ローラー2間や、出口ローラー3とローラー11間で、巻回された無端状の丸ベルト12上に、海苔Aを載せて搬送する。丸ベルト12は、海苔Aの左右幅より狭い一定左右ピッチで配されている。入口ローラー2や出口ローラー3は、ローラー間搬送装置1のものが兼用されている。
図示例については、以上のとおり。
【0026】
《作用等》
本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムは、以上説明したように構成されている。そこで以下のようになる。
(1)ローラー間搬送装置1は、海苔Aを、前側の入口ローラー2から、前後間隔Bを存した後側の出口ローラー3へと、水平搬送して受け渡す。入口ローラー2は、駆動ローラー4と従動ローラー5を上下に備えており、出口ローラー3も、駆動ローラー6と従動ローラー7を上下に備えている(図1を参照)。
図示例の従動ローラー5は、複数個が左右に分割配置されている(図1の(2)図,図2の(2)図を参照)。
【0027】
(2)入口ローラー2と出口ローラー3とは、前後間隔Bが、海苔Aの長さ未満よりなる。もって出口ローラー3が、吸引部20にて吸引された状態の海苔Aの前端部Aを、挟み込んだ際、入口ローラー2が、挟み込んでいた海苔Aの後端部Aを、押し出す(図2の(1)図を参照)。
それから出口ローラー3が、挟み込んだ海苔Aを、前端部Aから後端部Aへと押し出し,搬送する。
【0028】
(3)本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムは、このようなローラー間搬送装置1に関し、案内板8と吸引部20を備えている。
すなわち、搬送される海苔Aを、前後間隔Bにて下側からガイドするローラー間案内板8と、案内板8に付設された吸引部20と、を備えている(図1図2を参照)。
【0029】
(4)まず案内板8は、海苔Aを、入口ローラー2の駆動ローラー4と従動ローラー5間の接線位置Cから、出口ローラー3の駆動ローラー6と従動ローラー7間の接線位置Dに向け、直線的にガイドする(図2の(1)図を参照)。
【0030】
(5)吸引部20は、案内板8の出口ローラー3寄りの位置に組み込まれており、その吸引孔21が、案内板8の上面と面一に開口している(図1の(2)図,図2の(2)図を参照)。
図示例の吸引部20は、出口ローラー3の左右分割配置された複数個の従動ローラー7の手前下に、複数個がそれぞれ対応配置されている(図1の(2)図,図2の(2)図を参照)。
【0031】
(6)もって吸引部20は、海苔Aを案内板8側へと吸引することにより、海苔Aの出口ローラー3の接線位置Dへの直線的挟み込みを、フォローする(図1の(1)図,図2の(1)図を参照)。
すなわち、前記項目(4)で述べたように、案内板8は、載せられて搬送される海苔Aを、出口ローラー3の接線位置にDに向け、下側から直線的にガイドする。吸引部20は、海苔Aがこのような案内板8のガイドから離れ,外れないように、下側の案内板8へと吸引する。
このように案内版8は、吸引部20にて補助されフォローされることにより、所期の海苔Aのガイド機能を果たす。もって海苔Aが、出口ローラー3の従動ローラー7に当たることなく、抵抗なく接線位置Dに挟み込まれる。
【0032】
(7)本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムは、このように作用する。もって以下のようになる。
このシステムにより、まず、ローラー間搬送装置1の出口ローラー3に、海苔Aがスムーズに挟み込まれるようになる。
前後間隔Bを搬送される海苔Aについて、湾曲,浮き,バタツキ,その他の変形等F(図5(1)図の従来例を参照)を生じることは、防止される。もって、折曲,破損,詰まり等の不具合E(図5(2)図の従来例を参照)発生は、回避される。
【0033】
(8)本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムは、ローラー間搬送装置1の案内板8に、吸引部20を組み込んだシンプルな構成よりなり、維持,保守,管理等も容易である。
【0034】
(9)検査区間では、検査装置18の光源16とカメラ17が、上下に配設されると共に、案内板8に、照射光L通過用の隙間Gが形成される。
このような検査区間の搬送についても、本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムは、支障なく適用可能である。すなわち吸引部20は、案内板8の出口ローラー3寄りに、支障なく組み込み可能である。
【0035】
(10)更に、本発明に係る海苔Aのローラー間搬送システムの適用により、ローラー間搬送装置1を、既存の丸ベルト搬送装置9に代えて使用することも考えられる。丸ベルトの定期的交換作業等が不要なローラー間搬送装置1の利用拡大が、期待される。
作用等については、以上のとおり。
【符号の説明】
【0036】
A 海苔
前端部
後端部
B 前後間隔
C 接線位置
D 接線位置
E 不具合
F 変形等
G 隙間
H 縦長穴
K ブラケット
L 照射光
S 軸
1 ローラー間搬送装置
2 入口ローラー
3 出口ローラー
4 駆動ローラー
5 従動ローラー
6 駆動ローラー
7 従動ローラー
8 案内板
9 丸ベルト搬送装置
10 ローラー
11 ローラー
12 丸ベルト
13 上押え丸ベルト
14 丸ベルト
15 ローラー
16 光源
17 カメラ
18 検査装置
19 エアー吹出部
20 吸引部
21 吸引孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6