(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174367
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20241210BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241210BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H02G3/14
B60R16/02 610A
H05K5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092164
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀佑
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AA10
4E360AB13
4E360BD10
4E360EA03
4E360ED03
4E360GA53
4E360GB94
5G361AA06
5G361AC04
5G361AE01
(57)【要約】
【課題】省スペースでの着脱が可能な蓋部を備える電気接続箱を提供する。
【解決手段】電子部品を収容可能な収容空間を有する本体部と、前記本体部の収容空間と連通する開口部を覆う、取り外し可能な蓋部と、を有し、蓋部は、分離可能な複数のパーツ又は折り曲げ可能に連結された複数のパーツから構成され、蓋部の各パーツは、本体部とパーツとを離脱可能に固定する固定部材を備える、電気接続箱である。分離可能な複数のパーツは、それぞれのパーツ同士を離脱可能に固定する固定部材をさらに備えることが好ましい。固定部材は、磁石又は面ファスナーとすることができる。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容可能な収容空間を有する本体部と、前記本体部の収容空間と連通する開口部を覆う、取り外し可能な蓋部と、を有し、
前記蓋部は、分離可能な複数のパーツ又は折り曲げ可能に連結された複数のパーツから構成され、前記蓋部の各パーツは、前記本体部と前記パーツとを離脱可能に固定する固定部材を備える、電気接続箱。
【請求項2】
前記分離可能な複数のパーツは、それぞれのパーツ同士を離脱可能に固定する固定部材をさらに備える、請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記固定部材は、磁石又は面ファスナーである、請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気接続箱は、電子部品が収容される本体部と、この本体の開口部を塞ぐ蓋部と、を構成部材として備える。本体部と蓋部は、互いの開口の周縁部同士(つまり、互いの外周壁の開口側の端部同士)を嵌め合わせることによって組み付けられ、その嵌合状態がロック機構によって保たれている(特許文献1参照)。そのような電気接続箱は、蓋部を本体部から外す場合、蓋部を、一辺を支点に回動させて片側のロック機構を解除する。その後、ロック機構を外す位置まで蓋部を水平方向にスライドさせて上方向に持ち上げることで外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電気接続箱が自動車等の車体内に組付けされる場合、上記のような構成の電気接続箱では蓋部の着脱が困難である。何故なら、上記のような蓋部の開閉には、蓋部が移動するためのスペースが必要となるところ、車体内環境では周辺に様々な部材が配されており、スペースの確保が困難であるためである。特に、周辺部材の影響により作業者の作業位置よりも奥側が目視し難い場合、蓋部の着脱が極めて困難となる。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、省スペースでの着脱が可能な蓋部を備える電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る電気接続箱は、電子部品を収容可能な収容空間を有する本体部と、前記本体部の収容空間と連通する開口部を覆う、取り外し可能な蓋部と、を有し、蓋部は、分離可能な複数のパーツ又は折り曲げ可能に連結された複数のパーツから構成され、蓋部の各パーツは、本体部とパーツとを離脱可能に固定する固定部材を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、省スペースでの着脱が可能な蓋部を備える電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施形態の電気接続箱の蓋部を外した状態を示す側面図である。
【
図3A】
図1Aに示す電気接続箱の蓋部を左方向に外した様子を示す図である。
【
図3B】
図1Aに示す電気接続箱の蓋部を上方向に外した様子を示す図である。
【
図3C】
図1Aに示す電気接続箱の蓋部を右方向に外した様子を示す図である。
【
図3D】
図1Aに示す電気接続箱の蓋部を下方向に外した様子を示す図である。
【
図4A】本実施形態の電気接続箱の蓋部の別の態様を示す側面図である。
【
図5】本実施形態の電気接続箱の別の形態を示す側面図である。
【
図6A】従来の電気接続箱の蓋部を、位置Aにおいて回動させた状態を示す側面図である。
【
図6B】
図6Aに示す電気接続箱の蓋部を、さらに上方に持ち上げた状態を示す側面図である。
【
図7】従来の電気接続箱を車両内に組付けた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る電気接続箱について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
本実施形態の電気接続箱は、電子部品を収容可能な収容空間を有する本体部と、本体部の収容空間と連通する開口部を覆う、取り外し可能な蓋部と、を有する。そして、蓋部は、分離可能な複数のパーツ又は折り曲げ可能に連結された複数のパーツから構成され、蓋部の各パーツは、本体部とパーツとを離脱可能に固定する固定部材を備える。
【0011】
まず、従来の電気接続箱の一例について、
図6A、
図6B及び
図7を参照して説明する。
図6Aに示す電気接続箱において、本体部30から蓋部32を外す場合、まず、蓋部32を、位置Aにおいて支点Oを中心に回動させる(
図6A)。次いで、蓋部32を上方に持ち上げることにより、蓋部32を本体部30から外すことができる(
図6B)。ところが、自動車等の車体内においては、例えば、
図7に示すように、ウォッシャータンク40及び配管42等が存在する。そして、電気接続箱の上方にウォッシャータンク40及び配管42等が存在すると、蓋部32を外すことが困難となる。すなわち、従来の電気接続箱においては、省スペースにおいては蓋部の着脱が困難である。
本実施形態の電気接続箱は、上記のような従来の問題点の解消を図るものである。以下、本実施形態の電気接続箱について、図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態の電気接続箱は、
図1A及び
図1Bに示すように、本体部12と蓋部14とを有する。本体部12は、電子部品を収容可能な収容空間を有し、上部は収容空間と連通する開口部となっている。そして、開口部は、取り外し可能な蓋部14に覆われている。蓋部14は、蓋パーツ14Aと蓋パーツ14Bとからなる。すなわち、蓋部14は、分離可能な複数のパーツから構成されている。そして、
図1Bに示すように、蓋パーツ14Aと蓋パーツ14Bとが係合して一体となるように、蓋パーツ14Aの右端部近傍及び蓋パーツ14Bの左端部近傍が同じ形状の薄肉部となっている。
【0013】
蓋パーツ14Aは、裏面側に磁石18A、18B及び18Dを備える。同様に、蓋パーツ14Bは、裏面側に磁石18C及び18Eを備え、左端部近傍の薄肉部の上面側に磁石16Bを備える。また、本体部12において、磁石18Aの対向位置に、磁石18Aとは反対の極性を有する磁石16Aが不図示の保持部材により保持されている。さらに、本体部12において、磁石18Cの対向位置に、磁石18Cとは反対の極性を有する磁石16Cが不図示の保持部材により保持されている。同様に、本体部12において、磁石18D及び磁石18Eの対向位置に、それぞれ、磁石18D、磁石18Eとは反対の極性を有する不図示の磁石が不図示の保持部材により保持されている。
一方、蓋部14の蓋パーツ14Aの薄肉部と蓋パーツ14Bの薄肉部とを係合させたとき、磁石16Bと磁石18Bは対向するように位置が設定され、かつ、磁石16B及び磁石18Bは反対の極性となるように設定されている。
なお、対向位置にある磁石が反対の極性を有するとは、一方がS極であるとき、他方がN極であること、又は一方がN極であるとき、他方がS極であることを意味する。
【0014】
以上の構成により、対向する一対の磁石はそれぞれ反対の極性を有するため互いに引き合う。そのため、蓋パーツ14A及び蓋パーツ14B並びに本体部12に設けられた磁石により、蓋パーツ14A及び蓋パーツ14Bは本体部12に固定される。また、対向する一対の磁石による引力以上の力を印加することで、蓋パーツ14A及び蓋パーツ14Bは、本体部12から離脱させることができる。すなわち、
図1A及び
図1Bにおいて、蓋パーツ14A及び蓋パーツ14Bに設けられた磁石、及び本体部12に設けられた磁石は、本体部12と蓋パーツ14A、14Bとを離脱可能に固定する固定部材をなす。また、蓋パーツ14Aに設けられた磁石18B及び蓋パーツ14Bに設けられた磁石16Bは、それぞれの蓋パーツ同士を離脱可能に固定する固定部材をなす。
【0015】
図2に示すように、蓋パーツ14A及び蓋パーツ14Bをそれぞれ水平方向逆向きにスライドさせることで、蓋部14を本体部12から離脱させることができる。このとき、
図2に示すように、蓋部14の上方に部材Xが存在する場合であっても、部材Xの影響を受けることなく、蓋部14を本体部12から離脱させることができる。逆に、蓋部14を本体部12に装着するときも、部材Xの影響を受けることがない。すなわち、蓋部14は省スペースでの着脱が可能である。
【0016】
次いで、蓋部14の蓋パーツ14A及び蓋パーツ14Bを本体部12から離脱させる態様について4例示す。
図3Aは、蓋パーツ14Aを左側にスライドさせて離脱させる様子を示している。
図3Bは、蓋パーツ14Aを上方(
図3Bの紙面の上方向)にスライドさせて離脱させる様子を示している。
図3Cは、蓋パーツ14Bを右側にスライドさせて離脱させる様子を示している。
図3Dは、蓋パーツ14Bを下側(
図3Dの紙面の下方向)にスライドさせて離脱させる様子を示している。
以上のように、蓋部14は、多方向にスライドさせて本体部12から離脱させることができる。従って、例えば、車体内において、様々な部材が配されていて、蓋部14を外す際に部材が障害となる場合であっても、蓋部14の蓋パーツ14A又は14Bを部材のない方向にスライドすることで離脱させることができる。
また、
図3A~
図3Dにおいては、蓋部14の蓋パーツ14A及び蓋パーツ14Bを水平方向にスライドさせて外す例を示したが、蓋パーツ14A及び蓋パーツ14Bを垂直方向上方に引き上げて外すこともできる。
【0017】
一体に形成された蓋部では、その大きさから着脱が困難な場合であっても、本実施形態においては、蓋部14は蓋パーツ14A及び蓋パーツ14Bの2つに分離するため、それら1つずつ順次着脱することもできる。
【0018】
以上は、蓋部14を、蓋パーツ14Aと蓋パーツ14Bとの2つのパーツに分割した態様を示したが、3つ以上のパーツに分割してもよい。
【0019】
一方、蓋パーツ14Aと蓋パーツ14Bとが係合する部位(薄肉部)は、いずれも均一な厚みでもよいし、
図4A及び
図4Bに示すように、互いに傾斜するように構成してもよい。そのように傾斜する構成とすると、例えば、電気接続箱10の上方から水滴が蓋部14に落ち、蓋パーツ14Aと蓋パーツ14Bとの隙間から水滴が進入した場合、水滴は傾斜を下り、外部に流れ落ちる。そのため、電気接続箱10の内部への水滴の進入を防止することができる。
【0020】
以上説明した蓋部14は、分離可能な複数の蓋パーツ14Aと14Bとから構成される。本実施形態においては、蓋部は、
図5に示すように、折り曲げ可能に連結された複数のパーツから構成してもよい。
図5に示す蓋部20は、中央部において折り曲げ可能となっており、2つのパーツに分割される。そして、蓋部20の各蓋パーツの裏面側には、磁石24A、24Bを備える。また、本体部12において、磁石24Aの対向位置に、磁石24Aとは反対の極性を有する磁石22Aが不図示の保持部材により保持されている。さらに、本体部12において、磁石24Bの対向位置に、磁石24Bとは反対の極性を有する磁石22Bが不図示の保持部材により保持されている。
一方、図示しないが、蓋部20の反対側(
図5の奥方)にも、蓋部20及び本体部12に対向位置にある一対の磁石が設けられている。
【0021】
以上の
図5に示す構成において、蓋部20の一端を、一対の磁石による引力より大きい力を印加して持ち上げると、蓋部20の中央部において折り曲がり、蓋部20の半分が開く。さらに、蓋部20を、上方に持ち上げる又は水平方向(右方向)にスライドさせると、蓋部20を本体部12から離脱させることができる。
図5に示す構成においても、蓋部20は一体で外す必要はないため省スペースでの着脱が可能である。
【0022】
折り曲げ可能に連結された複数のパーツから蓋部を構成する場合、蓋部を折り曲げ可能とする手段としては、蓋部の材料を可撓性材料とし、折り曲げ部を薄肉とする、折り曲げ部にヒンジを設ける等が挙げられる。
【0023】
以上は、本体部と、蓋部のパーツとを離脱可能に固定する固定部材として磁石を使用する態様を示したが、固定部材は面ファスナーであってもよい。すなわち、蓋部のパーツと、本体部とで、それぞれ、面ファスナーの雄と雌とを対向位置に設けて着脱可能としてもよい。固定部材としては、磁石及び面ファスナーの他に、本体部と、蓋部のパーツとを離脱可能に固定する機能を有するものであれば使用可能である。
【0024】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0025】
10 電気接続箱
12 本体部
14 20 蓋部
14A 14B 蓋パーツ
16A~16C 18A~18E 22A~22B 24A~24B 磁石