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  • 特開-電極シートの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174370
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電極シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20241210BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092171
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】志村 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】召田 智也
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050DA04
5H050GA02
5H050GA22
(57)【要約】
【課題】本開示は、電極層の割れを防止できる電極シートの製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本開示においては、第1方向に長手方向を有する集電シートの第1面上に、電極材料が塗工された塗工部を有する塗工シートを準備する、準備工程と、上記塗工シートを上記第1方向に搬送しながら、上記塗工部を、レーザヘッドから照射されたレーザ光により第1温度まで加熱する、予熱工程と、上記塗工シートを上記第1方向に搬送しながら、上記第1温度に到達した上記塗工部を、熱風または赤外線により乾燥させる、乾燥工程と、を有する、電極シートの製造方法を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長手方向を有する集電シートの第1面上に、電極材料が塗工された塗工部を有する塗工シートを準備する、準備工程と、
前記塗工シートを前記第1方向に搬送しながら、前記塗工部を、レーザヘッドから照射されたレーザ光により第1温度まで加熱する、予熱工程と、
前記塗工シートを前記第1方向に搬送しながら、前記第1温度に到達した前記塗工部を、熱風または赤外線により乾燥させる、乾燥工程と、を有する、電極シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の電池の製造に用いられる電極シートの製造方法に関する技術として、搬送される集電体シートに対し、電極材料を塗布して塗工部を形成し、塗工部を乾燥して電極層を得る方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、搬送される長尺金属箔に対して活物質合剤を塗布し、活物質合剤の塗工部を形成する塗布工程と、塗布工程よりも前に実行され、長尺金属箔の短手方向に沿った合剤塗布場所の両端部よりも長尺金属箔の搬送方向上流側に位置する上記長尺金属箔の照射位置に対してレーザを照射する第1照射工程と、第1照射工程の後に実行され、塗布工程によって形成された塗工部において短手方向の両縁部にレーザを照射する第2照射工程と、を備える電極の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-029256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電極材料が塗工された塗工部を有する塗工シートを乾燥する方法として、熱源としてレーザ光を照射する方法が提案されている。一方、後述するように、レーザ光の照射のみにより乾燥を行った場合、得られる電極層に割れが生じる恐れがある。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電極層の割れを防止できる電極シートの製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
第1方向に長手方向を有する集電シートの第1面上に、電極材料が塗工された塗工部を有する塗工シートを準備する、準備工程と、上記塗工シートを上記第1方向に搬送しながら、上記塗工部を、レーザヘッドから照射されたレーザ光により第1温度まで加熱する、予熱工程と、上記塗工シートを上記第1方向に搬送しながら、上記第1温度に到達した上記塗工部を、熱風または赤外線により乾燥させる、乾燥工程と、を有する、電極シートの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示においては、電極層の割れを防止して電極シートを製造できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示における割れ防止のメカニズムを説明する図である。
図2】本開示における塗工シートを例示する概略平面図および概略断面図である。
図3】本開示における予熱工程および乾燥工程を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における電極シートの製造方法について、詳細に説明する。
【0011】
本開示における電極シートの製造方法では、まず、第1方向に長手方向を有する集電シートの第1面上に、電極材料が塗工された塗工部を有する塗工シートを準備する(準備工程)。次いで、上記塗工シートを上記第1方向に搬送しながら、上記塗工部を、レーザヘッドから照射されたレーザ光により第1温度まで加熱する(予熱工程)。そして、上記塗工シートを上記第1方向に搬送しながら、上記第1温度に到達した上記塗工部を、熱風または赤外線により乾燥させる(乾燥工程)。
【0012】
上述のように、塗工層の乾燥にレーザ光を用いることが知られている。レーザ光は塗工層をより短時間で昇温させることができ、塗工時間の短縮を図れるという利点がある。図1(a)、(b)に示すように、塗工層2には、活物質などの固形成分2aと、溶媒などの液体成分2bが含まれている。一般的に、液体成分2bは、塗工層2の表層側(厚さ方向Tにおいて集電シート1とは反対側の面)、集電シート1側の順で蒸発していく。また、図1(b)に示すように、乾燥が進んでいくほど、液体成分の蒸発による蒸気は、固形成分が障壁となり塗工層の外部へ排出されにくくなる。そのため、高エネルギーであるレーザ光のみを用いて乾燥工程を行った場合、蒸気が排出されにくくなる乾燥後半にも蒸気量が多く、その結果、内圧が生じて割れが生じる恐れがある。
【0013】
これに対して本開示における電極シートの製造方法においては、レーザ光の照射の後に、レーザ光よりも緩やかに乾燥できる(蒸気発生量が少ない)温風または赤外線(IR)を用いることで、割れを抑制することができる。また、レーザ光を用いることで所定の第1温度まで短時間で昇温させることができるため、乾燥時間の短縮を図れるというレーザ光利点も享受することができる。
【0014】
1.準備工程
図2(a)は、本開示における準備工程で準備する塗工シートを例示する概略平面図であり、図2(b)は図2(a)のA-A断面図である。図2(a)、(b)に示すように、本開示における準備工程は、第1方向D1に長手方向を有する集電シートの第1面S1上に、電極材料が塗工された塗工部2を有する塗工シート10を準備する工程である。
【0015】
集電シートは、第1方向に長手方向を有する。集電シートは、厚み方向における一方の面である第1面S1と、第1面S1の裏面である第2面S2とを有している。集電シートは、負極集電体、正極集電体、バイポーラ集電体等の集電体として用いられる材料であれば特に限定されない。
【0016】
電極材料は、負極材料(負極活物質層の材料)であってもよい。負極材料は、例えば、負極活物質、導電材、バインダおよび溶媒を含む。また、電極材料は、正極材料(正極活物質層の材料)であってもよい。正極材料は、例えば、正極活物質、導電材、バインダ、および溶媒を含む。これらの材料としては、特に限定されず、公知の材料が用いられる。
【0017】
塗工シートの準備方法は特に限定されないが、例えば、搬送機により第1方向に集電シートを搬送しつつ、塗工機により集電シートの第1面に電極材料を塗工して塗工部を形成することで作製することができる。この際、電極材料は連続塗工してもよいし、間欠塗工してもよい。
【0018】
2.予熱工程
図3(a)に示すように、本開示における予熱工程は、塗工シート10を第1方向D1に搬送しながら、塗工部2を、レーザヘッド20から照射されたレーザ光により第1温度まで加熱する工程である。
【0019】
第1温度は、予熱前の塗工層の温度、電極材料の組成、塗工層の厚さなどの状況に応じて適宜設定することができる。第1温度は、例えば、25℃以上、100℃以下である。
【0020】
レーザ光のエネルギー密度およびレーザ光の照射時間は、第1温度、塗工層のサイズなどの状況に応じて適宜調整することができる。レーザ光のエネルギー密度は、例えば、0.1W/cm以上、1.0W/cm以下である。レーザ光の照射時間は、例えば、10秒以上、3分以下である。
【0021】
3.乾燥工程
本開示における乾燥工程は、上記塗工シートを上記第1方向に搬送しながら、上記第1温度に到達した上記塗工部を、熱風または赤外線により乾燥させる工程である。
【0022】
図3(b)に示すように、上記予熱工程と乾燥工程とは連続した工程であることが好ましい。また、図3(b)に示すように、乾燥工程は、例えば、予熱工程後の電極シート10を乾燥炉30へ搬送し、乾燥炉30に備え付けられた熱風供給機または赤外線照射機により、塗工層2を乾燥させる。
【0023】
熱風の温度は、上述した第1温度と同じであってもよく、異なっていてもよい。後者の場合、熱風の温度は第1温度より低くてもよく、第1温度よりも高くてもよい。熱風の温度は、例えば50℃以上、140℃以下である。
【0024】
赤外線の波長については特に限定されず、適宜調整することができる。
【0025】
乾燥工程は、例えば塗工層における水分量が所定の値以下となるまで行うことが好ましい。水分量は、例えば、5000ppm以下であり、3000ppm以下であってもよく、1000ppm以下であってもよい。
【0026】
4.電極シート
本開示において製造される電極シートは、集電シートと、集電シートの第1面上に形成された電極層と、を有する。電極層は、集電シート上に間欠的に複数形成されていてもよい。また、電極シートにおいて、電極層は、集電シートの第1面上および第1面と対向する第2面上にそれぞれ形成されていてもよい。
【0027】
電極シートは、電池の製造に用いられ、正極側の電極シートであってもよく、負極側の電極シートであってもよい。つまり、集電シートおよび電極層は、正極集電体および正極活物質層であってもよく、負極集電体および負極活物質層であってもよい。本開示における電極シートが正極側の電極シートの場合、負極側の電極シートおよびセパレータと組み合わされて、電極体を形成する。同様に、本開示における電極シートが負極側の電極シートの場合、正極側の電極シートおよびセパレータと組み合わされて、電極体を形成する。
【0028】
電極シートが用いられる電池の種類は特に限定されないが、例えば、リチウムイオン二次電池が挙げられる。電池の用途としては、例えば、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、ガソリン自動車、ディーゼル自動車等の車両の電源が挙げられる。特に、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)または電気自動車(BEV)の駆動用電源に用いられることが好ましい。また、電池は、車両以外の移動体(例えば、鉄道、船舶、航空機)の電源として用いられてもよく、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
【0029】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0030】
1 …集電シート
2 …塗工部
10 …塗工シート
20 …レーザヘッド
30 …乾燥炉
図1
図2
図3