(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174372
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】主回路ユニット及びスイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
H01H 33/64 20060101AFI20241210BHJP
H02B 13/035 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01H33/64 A
H02B13/035 301G
H02B13/035 301H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092174
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 頌
(72)【発明者】
【氏名】平本 武
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 一
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017AA23
5G017BB01
5G017BB02
5G017BB03
(57)【要約】
【課題】別体的に成型した電気部品相互を直列させて連結させることで、既存の筐体をそのまま利用しつつ、筐体内に設置すべき複数の電気機器の設置密度を高め、これにより、広い設置スペースを確保可能な主回路ユニット及びスイッチギヤを提供する。
【解決手段】受配電時に電流の流れる一連の電気回路が構築されたスイッチギヤPgに設けられ、電気的に相互接続された複数の主回路ユニット1aであって、主回路ユニットを構成し、かつ、通電、断路、接地の切り換えを行うための固定電極F1,F2を備えた電気部品P1,P2と、電気部品を相互に直列させた状態で分離可能に連結させる連結構造9とを有し、連結構造は、固定電極の存在しない空間領域(気中空間)10を有して構成され、かつ、電気部品相互を分離可能に連結させるように、空間領域と共に複数に分割されて構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受配電時に電流の流れる一連の電気回路が構築されたスイッチギヤに設けられ、電気的に相互接続された複数の主回路ユニットであって、
前記主回路ユニットを構成し、かつ、通電、断路、接地の切り換えを行うための固定電極を備えた電気部品と、
前記電気部品を相互に直列させた状態で分離可能に連結させる連結構造と、を有し、
前記連結構造は、前記固定電極の存在しない空間領域を有して構成され、かつ、前記電気部品相互を分離可能に連結させるように、前記空間領域と共に複数に分割されて構成されている主回路ユニット。
【請求項2】
前記電気部品を相互に直列させた方向で見て、前記空間領域は、一方の前記電気部品の前記固定電極と、他方の前記電気部品の前記固定電極との相互間に設けられ、
前記空間領域の輪郭形状は、一方の前記固定電極から他方の前記電気部品に向かって延在する一方側空間領域構成面と、他方の前記固定電極から一方の前記電気部品に向かって延在する他方側空間領域構成面とを対向させて相互に組み合わせて構成されている請求項1に記載の主回路ユニット。
【請求項3】
前記電気部品を相互に直列させた方向で見て、双方の前記固定電極の相互間距離を2等分した位置を中心にして、前記一方側空間領域構成面と前記他方側空間領域構成面とは、互いに面対称の関係を満足している請求項2に記載の主回路ユニット。
【請求項4】
受配電時に電流の流れる一連の前記電気回路を構築するように、複数の前記主回路ユニットを電気的に相互接続させる接続構造を有し、
前記接続構造として、前記主回路ユニットを構成する前記電気部品は、それぞれ、導体で構成されて前記固定電極に繋がった1つ又は複数の接続部を備え、
前記接続部は、前記電気部品を相互に直列させた方向に直交する方向に延在し、
前記電気部品を相互に直列させた方向で見て、前記接続部の中心から前記2等分した位置までの距離は、それぞれの前記電気部品において、互いに同一に設定されている請求項3に記載の主回路ユニット。
【請求項5】
前記主回路ユニットを構成する前記電気部品は、前記接続構造並びに前記連結構造と共に、絶縁樹脂で覆われて成型され、
前記絶縁樹脂は、前記連結構造と同一位置で複数に分割されて構成されている請求項4に記載の主回路ユニット。
【請求項6】
前記電気部品を相互に直列させた方向で見て、
前記空間領域の片側或いは両側に設けられ、かつ、前記連結構造の前記空間領域を経由させて、前記電気部品の相互間を移動させる可動電極が挿通可能な固定電極の全長をL1とし、
前記可動電極の全長をL2とすると、
L1≧L2なる関係を満足する請求項2に記載の主回路ユニット。
【請求項7】
前記電気部品を相互に直列に連結させて構成された前記主回路ユニットにおいて、一方の前記固定電極から他方の前記固定電極に向かって前記可動電極を一方向に移動させる間に、通電、断路、接地の順に切り換えが行われる請求項6に記載の主回路ユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の前記主回路ユニットと、
前記主回路ユニットを操作する操作ユニットと、
前記主回路ユニットを電気的に相互接続させる前記接続構造と、を有し、
前記接続構造によって複数の前記主回路ユニットを接続させることで、受配電時に電流の流れる一連の前記電気回路が構築されたスイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、主回路ユニット及びスイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビルや大型施設に設けられる受配電用の開閉装置として、接地された金属製の筐体(盤とも言う)の内部に、受配電に供される複数の電気機器を収納したスイッチギヤが知られている。電気機器としては、例えば、接地装置(ES)、断路器(DS)、真空遮断器(VCB)などの各種の開閉器が想定され、これらの電気機器(即ち、開閉器)は、筐体の内部に沿って多段積みされた状態で設置されている。
【0003】
筐体の内部は、仕切り壁によって区画されている。仕切り壁の一方側には、受配電時に電流の流れる主回路構造が収納されている。仕切り壁の他方側には、主回路構造を操作することで電流の流れを制御する操作構造が収納されている。
【0004】
主回路構造は、上記した複数の電気機器を電気的に接続させる接続構造を有して構成されている。更に、複数の電気機器は、それぞれ、主回路構造を構築するための主回路ユニットと、操作構造を構築するための操作ユニットとに振り分けられて構成されている。
【0005】
主回路ユニットは、受配電時に電流の流れる固定電極を備えた電気部品(例えば、接地装置(ES)用電気部品、断路器(DS)用電気部品など)を有して構成されている。操作ユニットは、主回路ユニット(電気部品)に対して可動電極を操作可能に構成されている。
【0006】
更に、上記した接続構造として、それぞれの主回路ユニット(電気部品)は、例えば、金属などの導体で構成され、上記した固定電極に繋がった接続部を備えている。そして、これら接続部同士を接続させることで、複数の主回路ユニット(電気部品)は、電気的に相互接続されている。これにより、主回路構造には、電気的に相互接続された複数の主回路ユニット(電気部品)によって、受配電時に電流の流れる一連の電気回路が構築されている。
【0007】
このような構成において、操作ユニットによって主回路ユニット(電気部品)を操作することで、例えば、事故電流の遮断や負荷電流の開閉が行われ、その結果、スイッチギヤから電力が安定して供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-104752号公報
【特許文献2】国際公開第2018/131124号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記したような従来のスイッチギヤでは、複数の電気機器(例えば、接地装置(ES)、断路器(DS)など)は、それぞれ独立した状態で互いに並列させて設置されている。この設置状態によれば、筐体の内部に設置すべき複数の電気機器の設置密度は低いものとなる。このため、筐体の内部には、これら複数の電気機器を設置するための広い設置スペースを確保することが求められる。
【0010】
この要求に応える方法としては、複数の電気機器を互いに同軸上に直列させて一体化させ、この状態で、1つ(単体)の注型品として一体的に成型する。例えば、2つの電気機器(接地装置(ES)、断路器(DS))において、上記した固定電極を備えた電気部品に着目すると、双方の電気部品を互いに同軸上に直列させた状態で、1つ(単体)の注型品として一体的に成型する。
【0011】
このとき、双方の電気部品は、連結構造を介して相互に連結され、連結構造は、その内部に電気部品(即ち、固定電極)の存在しない空間領域(例えば、可動電極を動作させるための気中空間)を有して構成される。これにより、可動電極を、連結構造の気中空間を経由させて、電気部品(固定電極)の相互間を移動(往復動)させることができる。
【0012】
このような方法によれば、互いに並列させて設置されていた2つの電気機器(接地装置(ES)、断路器(DS)を1つにまとめることができる。即ち、これら2つの電気機器のそれぞれの電気部品と、双方の電気部品に対する可動電極の操作を行うために並列させて設置されていた2つの操作ユニットとを1つにまとめることができる。
【0013】
これにより、筐体の内部に並列させる電気機器の数量が削減され、筐体の内部に広い設置スペースを確保することができる。この結果、既存の筐体をそのまま利用しつつ、当該筐体の内部に設置すべき複数の電気機器の設置密度を高めることが可能となる。
【0014】
しかしながら、電気部品相互間に気中空間を介在させた1つ(単体)の注型品を一体的に成型することは、極めて困難である。なぜなら、注型時に、上記した気中空間を構成すべき連結構造には、予め中子(金型)をセットしておく必要があるが、そうすると、脱型時に、この中子(金型)を抜き出すことができなくなってしまう虞がある。
【0015】
本発明の目的は、別体的に成型した電気部品相互を直列させて連結させることで、既存の筐体をそのまま利用しつつ、筐体内に設置すべき複数の電気機器の設置密度を高め、これにより、広い設置スペースを確保可能な主回路ユニット及びスイッチギヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実施形態によれば、受配電時に電流の流れる一連の電気回路が構築されたスイッチギヤに設けられ、電気的に相互接続された複数の主回路ユニットであって、主回路ユニットを構成し、かつ、通電、断路、接地の切り換えを行うための固定電極を備えた電気部品と、電気部品を相互に直列させた状態で分離可能に連結させる連結構造とを有し、連結構造は、固定電極の存在しない空間領域を有して構成され、かつ、電気部品相互を分離可能に連結させるように、空間領域と共に複数に分割されて構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態において、連結構造(2分割された連結部)を介して電気部品相互を直列させて連結させた主回路ユニットによって主回路構造が構築されたスイッチギヤの内部構成を示す部分断面図。
【
図2】一実施形態において、連結構造(2分割された連結部)を介して互いに異なる電気部品を直列させて連結させた主回路ユニットの断面図であって、(a)は「接地」状態図、(b)は「切」状態図、(c)は、「入」状態図。
【
図3】一実施形態において、連結構造(2分割された連結部)を介して互いに同一の電気部品を直列させて連結させた主回路ユニットの断面図であって、(a)は「入」状態図、(b)は「切」状態図、(c)は、「接地」状態図。
【
図4】第1変形例において、2つの接続部と1つの連結部を備えた電気部品の断面図。
【
図5】第2変形例において、2つの接続部と1つの連結部を備えた電気部品の断面図。
【
図6】第3変形例において、3つの接続部と1つの連結部を備えた電気部品の断面図。
【
図7】第4変形例において、連結構造(3分割された連結部)を介して電気部品相互を直列させて連結させた主回路ユニットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
「一実施形態」
図1は、本実施形態に係る主回路ユニット1a,2a,3a,4a及びスイッチギヤPgの配置構成図である。
図1には、3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)が示されている。これらX軸、Y軸、Z軸は、互いに直交する方向に延びており、Z軸方向に沿って上下方向が規定されている。
【0019】
スイッチギヤPgは、接地された金属製の筐体Pb(盤とも言う)の内部(即ち、XYZ軸で規定された三次元空間)に、受配電に供される複数の電気機器1,2,3,4を収納して構成されている。電気機器1,2,3,4としては、例えば、接地装置(ES)、断路器(DS)、真空遮断器(VCB)などの受配電専用の開閉器が想定され、これらの電気機器1,2,3,4は、筐体(盤)Pbの内部に沿って多段積みされた状態で配置されている。
【0020】
図1では一例として、筐体(盤)Pbの下方から上方に向かってZ軸方向に、4種類の電気機器1,2,3,4が多段積みされた状態で配置されている。多段積みされた電気機器1,2,3,4として、下から上に向かって順番に、第1電気機器1、第2電気機器2、第3電気機器3、第4電気機器4が配置されている。
【0021】
第1,3,4電気機器1,3,4は、それぞれ、接地装置(ES)と断路器(DS)とを互いに同軸上に直列させた状態で、1つに複合化させて成型したものである。第2電気機器2は、既存の真空遮断器(VCB)を、1つの注型品として成型したものである。なお、これら電気機器1,2,3,4の種類や配置構成は、あくまで一例であって、使用環境や用途に応じて任意の電気機器(図示しない)を多段積みできることは言うまでもない。
【0022】
図1に示すように、筐体(盤)Pbの内部は、仕切り壁5によって区画されている。仕切り壁5の一方側には、受配電時に電流の流れる主回路構造6が収納されている。仕切り壁5の他方側には、主回路構造6を操作することで電流の流れを制御する操作構造7が収納されている。
【0023】
上記した4種類の電気機器1,2,3,4は、それぞれ、主回路構造6を構築するための主回路ユニット1a,2a,3a,4aと、操作構造7を構築するための操作ユニット1b,2b,3b,4bとに振り分けて構成されている。
【0024】
主回路構造6は、4種類の電気機器1,2,3,4(即ち、複数の主回路ユニット1a,2a,3a,4a)を電気的に相互接続させる接続構造8を有して構成されている。接続構造8は、後述するように、主回路ユニット1a,2a,3a,4aを構成する電気部品P1,P2,Pに設けられている。これらの電気部品P1,P2,Pは、それぞれ、後述する固定電極F1,F2に繋がった接続部8p(接続構造8)を備え、当該接続部8pは、例えば、金属などの導体Dで構成されている。
【0025】
この場合、接続部8p同士を接続させることで、主回路ユニット1a,2a,3a,4a(電気部品P1,P2,P)は、電気的に相互接続されたものとなる。これにより、主回路構造6には、電気的に相互接続された複数の主回路ユニット1a,2a,3a,4a(電気部品P1,P2,P)によって、受配電時に電流の流れる一連の電気回路が構築されている。
【0026】
このような構成において、操作ユニット1b,2b,3b,4bによって主回路ユニット1a,2a,3a,4aを操作することで、例えば、事故電流の遮断や負荷電流の開閉が行われ、その結果、スイッチギヤPgから電力が安定して供給される。以下、各々の電気機器1,2,3,4について具体的に説明する。
【0027】
第1電気機器1は、接地装置(ES)と断路器(DS)とを1つにまとめて成型されている。
図1では一例として、第1主回路ユニット1aは、2つの電気部品P1,P2と、これら2つの電気部品P1,P2を連結させる連結構造9とを有している。
【0028】
電気部品P1,P2には、それぞれ、通電、断路、接地の切り換えを行うための固定電極F1,F2が1つずつ設けられている。一方の電気部品P1は、固定電極F1を備え、この固定電極F1は、後述する可動電極Mが挿通可能に構成されている。他方の電気部品P2は、固定電極F2を備え、この固定電極F2は、当該可動電極Mが当接してそれ以上移動不能に構成されている。
【0029】
連結構造9は、電気部品P1,P2を相互に同軸上に直列させた状態で分離可能に連結させる。このため、連結構造9は、固定電極F1,F2の存在しない空間領域10(即ち、可動電極Mを動作させるための気中空間)を有して構成されている。
【0030】
空間領域(気中空間)10は、電気部品P1,P2を相互に直列させた方向で見て、一方の電気部品P1の固定電極F1と、他方の電気部品P2の固定電極F2との相互間に設けられている。
【0031】
空間領域(気中空間)10の輪郭形状は、一方側空間領域構成面S1と他方側空間領域構成面S2とを対向させて相互に組み合わせて構成されている。一方側空間領域構成面S1は、一方の固定電極F1から他方の電気部品P2に向かって延在している。他方側空間領域構成面S2は、他方の固定電極F2から一方の電気部品P1に向かって延在している。
【0032】
連結構造9は、電気部品P1,P2相互を分離可能に連結させるように、空間領域(気中空間)10と共に複数に分割されて構成されている。
図1では一例として、連結構造9は、空間領域(気中空間)10と共に2分割されて構成されている。
【0033】
2分割する位置としては、固定電極F1,F2の相互間(即ち、空間領域(気中空間)10の存在する領域)であって、かつ、固定電極F1,F2が含まれない領域であることが好ましい。
図1では一例として、2分割する位置は、電気部品P1,P2を相互に直列させた方向で見て、双方の固定電極F1,F2(具体的には、後述する接続部8p(導体D)の中心G)の相互間の直線距離を2等分した位置に一致している。
【0034】
この場合、電気部品P1,P2を相互に直列させた方向で見て、接続部8p(導体D)の中心Gから2等分した位置(即ち、後述する分割面Sc)までの距離Aは、それぞれの電気部品P1,P2において、互いに同一に設定されている。
【0035】
ここで、各々の電気部品P1,P2を、上記した接続構造8(接続部8p)並びに連結構造9と共に、絶縁樹脂Rで覆って成型する。このとき、絶縁樹脂Rで覆われた電気部品P1,P2には、それぞれ、1つの接続部8p(導体D)が一体化され、当該接続部8(導体D)は、電気部品P1,P2を相互に直列させた方向に直交する上下方向(Z軸方向)に延在している。
【0036】
なお、電気部品P1から上方に延在した接続部8pにおいて、その導体Dは、固定電極F1に繋がっている。電気部品P2から下方に延在した接続部8pにおいて、その導体Dは、固定電極F2に繋がっている。この場合、固定電極F2を、接続部8p(導体D)から各種の回路系12を介して、電源供給ライン13に繋げてもよい。
【0037】
更に、連結構造9を2分割した部分には、その分割面Scの両側に、絶縁樹脂Rで成型された2つの連結部T1,T2が構成されている。これら2つの連結部T1,T2は、双方の注型品(即ち、絶縁樹脂Rで覆われた電気部品P1,P2)を相互に同軸上に直列させた状態において、その分割面Scを介して、互いに隣接して連結される。
【0038】
このとき、連結部T1,T2の相互間には、電気部品P1,P2を相互に直列させた方向で見て、固定電極F1,F2の存在しない空間領域(気中空間)10が構成される。これにより、電気部品P1,P2の相互間に空間領域(気中空間)10を介在させた第1主回路ユニット1aが成型される。この注型品において、絶縁樹脂Rは、連結構造9と同一位置で2分割されて構成されている。
【0039】
この場合、上記した一方側空間領域構成面S1と他方側空間領域構成面S2とは、当該2等分した位置を中心にして、互いに面対称の関係を満足している。
【0040】
ここで、
図1では、面対称の一例として、一方側空間領域構成面S1は、一方の固定電極F1から他方の電気部品P2に向かって末広がり状の勾配を成す円錐面として構成されている。換言すると、一方側空間領域構成面S1は、他方の電気部品P2から一方の固定電極F1に向かって先細り状の勾配を成す円錐面として構成されている。
【0041】
他方側空間領域構成面S2は、他方の固定電極F2から一方の電気部品P1に向かって末広がり状の勾配を成す円錐面として構成されている。換言すると、他方側空間領域構成面S2は、一方の電気部品P1から他方の固定電極F2に向かって先細り状の勾配を成す円錐面として構成されている。
【0042】
更に、
図1では一例として、空間領域(気中空間)10の片側(即ち、電気部品P1)に設けられた固定電極F1(即ち、可動電極Mが挿通可能な固定電極F1)の全長をL1とし、可動電極Mの全長をL2とすると、L1≧L2なる関係を満足するように設定されている。
【0043】
更に、上記した第1主回路ユニット1aにおいて、電気部品P1には、固定電極F1を挟んで一方側空間領域構成面S1とは反対側に、上記した絶縁樹脂Rによって成型された気中空間11が設けられている。この気中空間11は、固定電極F1から仕切り壁5に向かって末広がり状の勾配を成す円錐面S3によって、円錐状の空間領域として構成されている。
【0044】
第1操作ユニット1bからは、1本の操作シャフトHが突没可能に延在されている。操作シャフトHは、仕切り壁5から気中空間11を通って延出し、その延出端に可動電極Mが取り付けられている。この場合、操作シャフトHを突没操作することで、固定電極F1,F2の相互間に沿って、可動電極Mを往復動させることができる。
【0045】
第2電気機器2は、接続構造8(接続部8p)を介して、上記した第1電気機器1に接続されている。この場合、第2電気機器2の固定電極F1と、第1電気機器1の固定電極F1とが、双方の接続部8p(導体D)を介して、電気的に相互接続されている。
【0046】
第2電気機器2において、第2主回路ユニット2aは、既存の真空遮断器(VCB)を構成するための固定電極F1,F2を備えた1つ(単体)の電気部品Pを有して構成されている。電気部品Pは、2つの固定電極F1,F2を備え、これら2つの固定電極F1,F2は、絶縁樹脂Rで一体的に覆われている。一方の固定電極F1は、可動電極Mが挿通可能に構成され、他方の固定電極F2は、可動電極Mが当接してそれ以上移動不能に構成されている。
【0047】
第2操作ユニット2bからは、1本の操作シャフトHが突没可能に延在され、操作シャフトHは、仕切り壁5から気中空間11を通って延出し、その延出端に可動電極Mが取り付けられている。この場合、操作シャフトHを突没操作することで、固定電極F1,F2の相互間に沿って、可動電極Mを往復動させることができる。
【0048】
第3電気機器3は、接地装置(ES)と断路器(DS)とを1つにまとめて成型されている。第3主回路ユニット3aは、上記した第1電気機器1と同様に、2つの電気部品P1,P2と、これら2つの電気部品P1,P2を連結させる連結構造9とを有している。
【0049】
第3電気機器3は、接続構造8(接続部8p)を介して、上記した第2電気機器2及び他の電気機器(図示しない)に接続されている。この場合、電気部品P1から上方に延在した接続部8pにおいて、その導体Dは、固定電極F1に繋がっている。電気部品P2から下方に延在した接続部8pにおいて、その導体Dは、固定電極F2に繋がっている。
図1では一例として、第3電気機器3の固定電極F2と、第2電気機器2の固定電極F2とが、双方の接続部8p(導体D)を介して、電気的に相互接続されている。
【0050】
更に、第3電気機器3には、盤背面側に向けて補助接続部8p-1が増設され、当該補助接続部8p-1の導体Dは、固定電極F2に繋がっている。
図1では一例として、補助接続部8p-1(導体D)には、盤背面側母線14が接続され、これにより、第3電気機器3の固定電極F2と、盤背面側母線14とが、補助接続部8p-1(導体D)を介して、電気的に相互接続されている。
【0051】
なお、上記した第1電気機器1と同様に、第3操作ユニット3bからは、1本の操作シャフトHが突没可能に延在され、その延出端に可動電極Mが取り付けられている。操作シャフトHを突没操作することで、固定電極F1,F2の相互間に沿って、可動電極Mを往復動させることができる。
【0052】
第4電気機器4は、接地装置(ES)と断路器(DS)とを1つにまとめて成型されている。第4主回路ユニット4aは、2つの電気部品P1,P2と、これら2つの電気部品P1,P2を連結させる連結構造9とを有している。ここで、一方の電気部品P1並びに連結構造9は、上記した第1,3電気機器1,3と同様であり、他方の電気部品P2のみが相違する。
【0053】
第4電気機器4では、他方の電気部品P2として、電気部品P1,P2を相互に直列させた方向で見て、一方の電気部品P1(固定電極F1)を左右反転かつ上下反転させたものがそのまま適用されている。そして、電気部品P2には、その気中空間11を覆うように接地電極15が配設されている。
【0054】
この場合、電気部品P1から上方に延在した接続部8pにおいて、その導体Dは、固定電極F1に繋がっている。他方の電気部品P2から下方に延在した接続部8pにおいて、その導体Dは、固定電極F1に繋がっている。
図1では一例として、一方の電気部品P1から上方に延在した接続部8p(導体D)には、盤間接続用母線16が電気的に接続されている。
【0055】
なお、上記した第1電気機器1と同様に、第4操作ユニット4bからは、1本の操作シャフトHが突没可能に延在され、その延出端に可動電極Mが取り付けられている。操作シャフトHを突没操作することで、固定電極F1の相互間に沿って、可動電極Mを往復動させることができる。
【0056】
図2は、通電、断路、接地の切り換え状態図である。
図2では一例として、電気部品P1,P2を相互に直列に連結させて構成された第1主回路ユニット1aにおいて、その一方側の端部に接地電極15が配設されている。そして、可動電極Mを、一方側から他方側に向かって一方向に移動させる。
【0057】
図2(a)に示すように、まず、可動電極Mを一方側に位置付けた際、当該可動電極Mは、接地電極15及び一方の固定電極F1の双方に同時に接触する。このとき、固定電極F1は、接地された「接地」状態に維持される。
【0058】
図2(b)に示すように、次に、可動電極Mを一方の固定電極F1に挿通させた際、当該可動電極Mは、固定電極F1の範囲内に位置付けられる。このとき、通電が断路された「切」状態(絶縁状態)に維持される。
【0059】
図2(c)に示すように、最後に、可動電極Mを他方側に位置付けた際、当該可動電極Mは、他方の固定電極F2に当接してそれ以上の移動が停止される。このとき、可動電極Mが双方の固定電極F1,F2に同時に接触し、これにより、固定電極F1,F2の相互間で通電された「入」状態に維持される。
【0060】
図3は、通電、断路、接地の切り換え状態図である。
図3では一例として、電気部品P1,P2を相互に直列に連結させて構成された第4主回路ユニット4aにおいて、その他方側の端部に接地電極15が配設されている。そして、可動電極Mを、一方側から他方側に向かって一方向に移動させる。
【0061】
図3(a)に示すように、まず、可動電極Mを一方側に位置付けた際、当該可動電極Mは、双方の固定電極F1,F1に同時に接触する。このとき、固定電極F1,F1の相互間で通電された「入」状態に維持される。
【0062】
図3(b)に示すように、次に、可動電極Mを他方の固定電極F1に挿通させた際、当該可動電極Mは、固定電極F1の範囲内に位置付けられる。このとき、通電が断路された「切」状態(絶縁状態)に維持される。
【0063】
図3(c)に示すように、最後に、可動電極Mを他方側に位置付けた際、当該可動電極Mは、接地電極15に当接してそれ以上の移動が停止される。このとき、可動電極Mが接地電極15及び他方の固定電極F1の双方に同時に接触し、これにより、他方の固定電極F1は、接地された「接地」状態に維持される。
【0064】
以上、本実施形態によれば、複数の電気機器(例えば、接地装置(ES)、断路器(DS))を互いに同軸上に直列させた状態で、1つに複合化させて成型した。この場合、別体的に成型した注型品としての電気部品P1,P2相互を直列させて連結して、1つの主回路ユニット1a,3a,4aを構成した。これにより、スイッチギヤPg(筐体Pb)の内部に並列させる電気機器の数量が削減され、筐体Pbの内部に広い設置スペースを確保することができる。この結果、既存の筐体Pbをそのまま利用しつつ、当該筐体Pbの内部に設置すべき複数の電気機器の設置密度を高めることが可能となる。
【0065】
本実施形態によれば、電気部品P1,P2を相互に直列させた方向で見て、接続部8p(導体D)の中心Gから、固定電極F1,F2相互間の直線距離を2等分した位置(即ち、後述する分割面Sc)までの距離Aは、それぞれの電気部品P1,P2において、互いに同一に設定されている。これにより、連結構造9における空間領域(気中空間)10の形状を、当該分割面Scを中心に左右対称にすることができる。
【0066】
この場合、可動電極Mを、一方側から他方側に向かって一方向に移動させて、通電、断路、接地の切り換えを行う際の総ストロークを共通化することができる。この結果、相互に直列させる電気部品P1,P2の種類を問わず、操作ユニット1b,2b,3b,4bの構成を同一に設定することが可能となる。
【0067】
更に、相互に直列させる電気部品P1,P2の種類を問わず、連結構造9における空間領域(気中空間)10の形状を普遍化することができる。この結果、断路器(DS)としての機能を発揮させる際の絶縁性能を一定に維持することができる。
【0068】
加えて、相互に直列させる電気部品P1,P2の種類を問わず、接続部8p(導体D)の配置を一定位置に標準化することができる。この結果、複数の主回路ユニット1a,2a,3a,4a(電気部品P1,P2,P)によって、受配電時に電流の流れる一連の電気回路を構築する際の取合いを定常化させることができる。
【0069】
本実施形態によれば、可動電極Mが挿通可能な固定電極F1の全長をL1、可動電極Mの全長をL2とし、L1≧L2なる関係を満足するように設定する。この場合、可動電極Mを固定電極F1に挿通させた際に、当該可動電極Mは、固定電極F1から食み出すこと無く当該固定電極F1の範囲内に完全に収容された状態となる。これにより、通電、断路、接地の切り換えを行う際に、連結構造9の空間領域(気中空間)10における左右対称形状を一定に担保することができる。この結果、断路器(DS)としての機能を発揮させる際の絶縁性能を一定に維持することができる。
【0070】
「第1変形例」
図4は、可動電極Mが挿通可能な固定電極F1の断面構成図である。上記した実施形態において、当該固定電極F1は、1つの接続部8pと1つの連結部T1を備えているが、これに代えて、
図4に示すように、第1変形例に係る固定電極F1は、2つの接続部8pと1つの連結部T1を備えている。2つの接続部8pは、上下方向(Z軸方向)に延在されている。
【0071】
以上、第1変形例によれば、受配電時に電流の流れる一連の電気回路を構築する際の取合いの自由度を向上させることができる。なお、他の構成並びに効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0072】
「第2変形例」
図5は、可動電極Mが当接してそれ以上移動不能な固定電極F2の断面構成図である。上記した実施形態において、当該固定電極F2は、1つの接続部8pと1つの連結部T2を備えているが、これに代えて、
図5に示すように、第2変形例に係る固定電極F2は、2つの接続部8pと1つの連結部T2を備えている。2つの接続部8pは、上下方向(Z軸方向)に延在されている。
【0073】
以上、第2変形例によれば、受配電時に電流の流れる一連の電気回路を構築する際の取合いの自由度を向上させることができる。なお、他の構成並びに効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0074】
「第3変形例」
図6は、可動電極Mが当接してそれ以上移動不能な固定電極F2の断面構成図である。上記した実施形態において、当該固定電極F2は、2つの接続部8p,8p-1と1つの連結部T2を備えているが、これに代えて、
図6に示すように、第3変形例に係る固定電極F2は、3つの接続部8p,8p,8p-1と1つの連結部T2を備えている。3つの接続部8p,8p,8p-1において、2つの接続部8p,8pは、上下方向(Z軸方向)に延在され、残りの1つの補助接続部8p-1は、盤背面側に向けて延在されている。
【0075】
以上、第2変形例によれば、受配電時に電流の流れる一連の電気回路を構築する際の取合いの自由度を向上させることができると共に、盤背面側への接続性を向上させることができる。なお、他の構成並びに効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0076】
「第4変形例」
図7は、連結構造9(気中空間10)の分割断面構成図である。上記した実施形態において、連結構造9は、気中空間10を2等分した位置で2分割する構成に設定したが、これに代えて、
図7に示すように、第4変形例に係る連結構造9は、気中空間10と共に3分割されて構成されている。
【0077】
この場合、別体的に成型した注型品としての電気部品P1,P2の相互間に、新たな注型品としての電気部品P3が介在され、これにより、上記した実施形態に係る各種の主回路ユニット(特に参照符号は付さない)が構成される。新たな電気部品P3には、絶縁樹脂Rによって、気中空間10の構成要素としての空間領域のみが成型されている。
【0078】
そして、別体的に成型した注型品としての電気部品P1,P2相互間に、当該新たな注型品としての電気部品P3を介在させつつ、これら3つの電気部品P1,P3,P2を直列させて連結させる。これにより、上記した実施形態と同様に、電気部品P1,P2相互間に気中空間10を介在させた各種の主回路ユニットを成型することができる。なお、他の構成並びに効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0079】
「第5変形例」
上記した実施形態並びに第1~第4変形例において、例えば、
図4に示すように、可動電極Mが挿通可能な固定電極F1を備えた電気部品P1は、その両側の円錐面S1,S3の輪郭形状が互いに異なるバリエーションを想定して説明したが、これに代えて、両側の円錐面S1,S3の形状を互いに同一の輪郭形状となるように設定してもよい。例えば、固定電極F1の両側を同一の輪郭形状に係る円錐面S1で構成する。
【0080】
上記した実施形態並びに第1~第4変形例において、例えば、
図2~3に示すように、連結構造9における気中空間10の輪郭形状は、双方の固定電極F1,F2(即ち、接続部8p(導体D)の中心G)相互間の直線距離を2等分した位置を中心にして、互いに面対称となるバリエーションを想定して説明したが、これに代えて、当該2等分した位置を中心にして、互いに非対称となるように設定してもよい。
【0081】
以上、本発明の一実施形態及びいくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1,2,3,4…電気機器、1a,2a,3a,4a…主回路ユニット、1b,2b,3b,4b…操作ユニット、5…仕切り壁、6…主回路構造、7…操作構造、8…接続構造、8p…接続部、9…連結構造、10,11…空間領域(気中空間)、12…回路系、13…電源供給ライン、14…盤背面側母線、15…接地電極、16…盤間接続用母線、Pg…スイッチギヤ、Pb…筐体(盤)、F1,F2…固定電極、M…可動電極、P,P1,P2…電気部品、S1,S2…空間領域構成面、Sc…分割面、D…導体、T1,T2…連結部、G…中心。