(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174375
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ゴルフクラブシャフト
(51)【国際特許分類】
A63B 53/10 20150101AFI20241210BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20241210BHJP
【FI】
A63B53/10 A
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092178
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227983
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 久美子
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮彦
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA05
2C002CS05
2C002MM02
(57)【要約】
【課題】複数の繊維強化樹脂層により形成され、重量が大きく高性能なゴルフクラブシャフトの提供。
【解決手段】シャフト6は、複数の繊維強化樹脂層s1~s12により形成されている。シャフト6は、チップ端Tpと、バット端Btと、バット端Btから290mm離れた第1地点における曲げ剛性E1と、バット端Btから120mm離れた第2地点における曲げ剛性E2とを有している。曲げ剛性E2は曲げ剛性E1よりも大きい。曲げ剛性E1は、5.0(kgf・m
2)以上6.1(kgf・m
2)以下である。曲げ剛性E2は、6.0(kgf・m
2)以上7.5(kgf・m
2)以下である。シャフト6の単位長さ当たりの単位重量U1は、1.15(g/cm)以上1.30(g/cm)以下である。シャフト長さLsは、951mm以上1017mm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維強化樹脂層により形成されたゴルフクラブシャフトであって、
チップ端と、
バット端と、
前記バット端から290mm離れた第1地点における曲げ剛性E1と、
前記バット端から120mm離れた第2地点における曲げ剛性E2と、
を有しており、
前記曲げ剛性E2が、前記曲げ剛性E1よりも大きく、
前記曲げ剛性E1が、5.0(kgf・m2)以上6.1(kgf・m2)以下であり、
前記曲げ剛性E2が、6.0(kgf・m2)以上7.5(kgf・m2)以下であり、
シャフト全体における単位長さ当たりの単位重量U1が、1.15(g/cm)以上1.30(g/cm)以下であり、
シャフト長さが、951mm以上1017mm以下であるゴルフクラブシャフト。
【請求項2】
前記複数の繊維強化樹脂層が、ストレート層と、バイアス層と、フープ層とを含んでおり、
前記シャフトの全体重量がW1とされ、
前記シャフトの全体における前記ストレート層の重量がS1とされ、
前記シャフトの全体における前記バイアス層の重量がB1とされ、
前記シャフトの全体における前記フープ層の重量がH1とされるとき、
前記重量W1に対する前記重量S1の割合である全体SP含有率が、16%以下であり、
前記重量W1に対する前記重量B1の割合である全体BP含有率が、70%以上であり、
前記重量W1に対する前記重量H1の割合である全体HP含有率が、14%以下である請求項1に記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項3】
前記全体HP含有率が、7%以上である請求項2に記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項4】
前記第1地点から前記第2地点までの領域が、特定バット領域とされ、
前記特定バット領域における前記シャフトの重量がW2とされ、
前記特定バット領域における前記ストレート層の重量がS2とされ、
前記特定バット領域における前記バイアス層の重量がB2とされ、
前記特定バット領域における前記フープ層の重量がH2とされるとき、
前記重量W2に対する前記重量S2の割合であるバットSP含有率が、前記全体SP含有率よりも小さく、
前記重量W2に対する前記重量H2の割合であるバットHP含有率が、前記全体HP含有率よりも大きい請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項5】
前記第1地点から前記第2地点までの領域が、特定バット領域とされ、
前記特定バット領域における前記シャフトの重量がW2とされ、
前記特定バット領域における前記ストレート層の重量がS2とされ、
前記特定バット領域における前記バイアス層の重量がB2とされ、
前記特定バット領域における前記フープ層の重量がH2とされるとき、
前記重量W2に対する前記重量S2の割合であるバットSP含有率が、15%以下であり、
前記重量W2に対する前記重量B2の割合であるバットBP含有率が、70%以上であり、
前記重量W2に対する前記重量H2の割合であるバットHP含有率が、15%以下である請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項6】
前記バットHP含有率が、8%以上である請求項5に記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項7】
前記第1地点から前記第2地点までの領域が、特定バット領域とされるとき、
前記特定バット領域における単位長さ当たりの単位重量U2が1.30(g/cm)以上であり、且つ、前記単位重量U2が前記単位重量U1よりも大きい請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項8】
E1/U1が5.5以下であり、E2/U1が7.0以下である請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフトと、ヘッドと、グリップとを有しており、
クラブ長さが、38インチ以上41インチ以下であるゴルフクラブ。
【請求項10】
ハイブリッドクラブである請求項9に記載のゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の繊維強化樹脂層により形成されたゴルフクラブシャフトが知られている。このシャフトの一例は、カーボンシャフトと称される。様々な仕様のシャフトが設計されている。
【0003】
特開2008-5914号公報は、46インチ換算されたシャフト重量が55g以上90g以下であり、平均曲げ剛性値とシャフト重量とが所定の関係式を満たすゴルフクラブシャフトを開示する。特許第6213063号公報は、シャフト重量が1168mm換算で60g以上であり、所定の位置にフープ層が配置され、フープ層における繊維の引張弾性率が650GPa以上950GPa以下であるシャフトを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-5914号公報
【特許文献2】特許第6213063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の繊維強化樹脂層により形成されたゴルフクラブシャフトは、軽量性に優れる。一方、重量が大きいシャフトが求められる場合がある。例えば、ヘッドスピードが速いパワーヒッターが、重いシャフトを求める場合がある。スチールシャフトは、重量が比較的大きいが、設計自由度が小さい。複数の繊維強化樹脂層により形成された所定長さの重いシャフトについて、改善の余地があることが判明した。
【0006】
本発明の一例は、複数の繊維強化樹脂層により形成され、重量が大きく高性能なゴルフクラブシャフトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様では、ゴルフクラブシャフトは、複数の繊維強化樹脂層により形成されている。このゴルフクラブシャフトは、チップ端と、バット端と、前記バット端から290mm離れた第1地点における曲げ剛性E1と、前記バット端から120mm離れた第2地点における曲げ剛性E2とを有している。前記曲げ剛性E2は、前記曲げ剛性E1よりも大きい。前記曲げ剛性E1は、5.0(kgf・m2)以上6.1(kgf・m2)以下である。前記曲げ剛性E2は、6.0(kgf・m2)以上7.5(kgf・m2)以下である。シャフト全体における単位長さ当たりの単位重量U1は、1.15(g/cm)以上1.30(g/cm)以下である。シャフト長さは、951mm以上1017mm以下である。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面として、複数の繊維強化樹脂層により形成され、重量が大きく高性能なゴルフクラブシャフトが提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るゴルフクラブの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のゴルフクラブのヘッド部分を示す拡大斜視図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係るゴルフクラブの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のゴルフクラブのヘッド部分を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るゴルフクラブシャフトの展開図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るゴルフクラブシャフトの展開図である。
【
図7】
図7は、曲げ剛性の測定方法を示す概略図である。
【
図8】
図8(a)は順式フレックスの測定方法を示す概略図であり、
図8(b)は逆式フレックスの測定方法を示す概略図である。
【
図9】
図9は、シャフトトルクの測定方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0011】
なお本願では、「層」という文言と、「シート」という文言とが用いられる。「層」は、巻回された後における称呼であり、これに対して「シート」は、巻回される前における称呼である。「層」は、「シート」が巻回されることによって形成される。即ち、巻回された「シート」が、「層」を形成する。
【0012】
本願では、層とシートとで同じ符号が用いられる。例えば、シートs1によって形成された層は、層s1とされる。
【0013】
本願において軸方向とは、シャフトの軸方向を意味し、シャフト軸線の方向と一致する。本願において周方向とは、シャフトの周方向を意味する。
【0014】
図1は、本発明に係るゴルフクラブシャフト6が装着されたゴルフクラブ2を示す斜視図である。
図2は、
図1の部分拡大図である。ゴルフクラブ2は、ヘッド4と、シャフト6と、グリップ8とを備えている。シャフト6のチップ部分に、ヘッド4が取り付けられている。シャフト6のバット部分に、グリップ8が取り付けられている。シャフト6は、チップ端Tpとバット端Btとを有する。シャフト6は、長さLsを有する。シャフト長さLsは、軸方向に沿って測定される。シャフト長さLsは、チップ端Tpからバット端Btまでの距離である。ゴルフクラブ2は、ハイブリッドクラブである。ヘッド4は、ハイブリッドヘッドである。
【0015】
ヘッド4は、打撃フェース4aと、クラウン4bと、ソール4cとを有する。打撃フェース4aは、曲面である。打撃フェース4aは、フェースバルジ及びフェースロールを有する。
【0016】
図3は、本発明に係るゴルフクラブシャフト6が装着されたゴルフクラブ10を示す斜視図である。
図4は、
図3の部分拡大図である。ゴルフクラブ10は、ヘッド12と、シャフト6と、グリップ8とを備えている。シャフト6のチップ部分に、ヘッド12が取り付けられている。シャフト6のバット部分に、グリップ8が取り付けられている。シャフト6は、チップ端Tpとバット端Btとを有する。ゴルフクラブ10は、ハイブリッドクラブである。ヘッド12は、ハイブリッドヘッドである。
【0017】
ヘッド12は、打撃フェース12aと、トップブレード12bと、ソール12cとを有する。ヘッド12は、クラウンを有さない。打撃フェース12aは、平面である。
【0018】
ヘッド4及びヘッド12は、ハイブリッドヘッドである。ヘッド4(
図2)は、ウッド型ハイブリッドヘッドである。ヘッド12(
図4)は、アイアン型ハイブリッドヘッドである。本発明に係るシャフト6は、好ましくは、ハイブリッドクラブに用いられる。
【0019】
シャフト6は、複数の繊維強化樹脂層により形成されている。本実施形態では、繊維強化樹脂層として、炭素繊維強化樹脂層が用いられている。シャフト6は、管状体である。図示されないが、シャフト6は中空構造を有する。シャフト6は、チップ端Tpとバット端Btとを有する。ゴルフクラブ2において、チップ端Tpは、ヘッド4の内部に位置している。ゴルフクラブ2において、バット端Btは、グリップ8の内部に位置している。
【0020】
シャフト6は、複数のプリプレグシートを巻回することによって形成されている。これらのプリプレグシートでは、繊維は実質的に一方向に配向している。このように繊維が実質的に一方向に配向したプリプレグは、UDプリプレグとも称される。「UD」とは、ユニディレクションの略である。なお、UDプリプレグ以外のプリプレグが用いられても良い。例えば、プリプレグシートにおいて、繊維が編まれていてもよい。本願において、プリプレグシートは、単にシートとも称される。
【0021】
プリプレグシートは、繊維と樹脂とを有している。この樹脂は、マトリクス樹脂とも称される。この繊維として、炭素繊維及びガラス繊維が例示される。典型的には、このマトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂である。
【0022】
プリプレグシートのマトリクス樹脂として、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が例示される。シャフト強度の観点から、マトリクス樹脂として、熱硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましい。
【0023】
シャフト6は、シートワインディング製法により製造されている。プリプレグにおいて、マトリクス樹脂は、半硬化状態にある。シャフト6では、プリプレグシートが巻回され且つ硬化されている。この硬化とは、半硬化状態のマトリクス樹脂が硬化することを意味する。この硬化は、加熱により達成される。シャフト6の製造工程は、加熱工程を含む。この加熱が、プリプレグシートのマトリクス樹脂を硬化させる。
【0024】
図5は、第1実施形態のシャフト6を構成するプリプレグシートの展開図である。
図5は、シャフト6を構成するシートを示している。シャフト6は、複数のシートにより構成されている。
図5の実施形態では、シャフト6は、12枚のシートで構成されている。シャフト6は、第1シートs1から第12シートs12までを有している。この展開図は、シャフトを構成するシートを、シャフトの半径方向内側から順に示している。
図5において上側に位置しているシートから順に巻回される。
図5において、図面の左右方向は、軸方向と一致する。
図5において、図面の右側は、シャフトのチップ側である。
図5において、図面の左側は、シャフトのバット側である。
図5は、巻回の順序のみならず、軸方向における配置をも示している。例えば
図5において、シートs5の一端はチップ端Tpに位置している。
【0025】
シャフト6は、ストレート層とバイアス層とを有する。
図5には、各シートの繊維の配向角度が記載されている。「0°」と記載されているシートは、ストレートシートである。ストレートシートは、ストレート層を構成している。
【0026】
ストレート層は、繊維の配向が軸方向に対して実質的に0°とされた層である。巻き付けの際の誤差等に起因して、通常、繊維の配向は軸方向に対して完全に平行とはならない場合がある。ストレート層において、シャフト軸線に対する繊維の絶対角度は、10°以下である。絶対角度とは、シャフト軸線と繊維方向との成す角度(繊維角度)の絶対値である。即ち、絶対角度が10°以下とは、繊維角度が-10°以上+10°以下であることを意味する。
【0027】
図5の実施形態において、ストレート層を構成するシート(ストレートシート)は、シートs5、シートs7、シートs10、シートs11及びシートs12である。
【0028】
バイアス層は、繊維の配向が軸方向に対して実質的に傾斜した層である。好ましくは、バイアス層は、繊維の配向が互いに逆方向に傾斜した2枚のシートペアにより形成されている。好ましくは、このシートペアは、繊維角度が-60°以上-30°以下の層と、繊維角度が30°以上60°以下の層とを含む。即ち、好ましくは、バイアス層では、前記絶対角度が30°以上60°以下である。本実施形態では、バイアス層における繊維の絶対角度は、実質的に45°である。ただし、巻き付けの際の誤差等に起因して、繊維の配向はシャフト軸線方向に対して完全に45°とはならない場合がある。実質的に45°の設定では、繊維の絶対角度は、40°以上50°以下となりうる。
図5において、「+45°」又は「-45°」と記載されているシートは、バイアスシートである。
【0029】
シャフト6において、バイアス層を構成するシート(バイアスシート)は、シートs1、シートs2、シートs3及びシートs4である。シートs1とシートs2とが、シートペア(第1のシートペア)を構成している。シートs3とシートs4とが、シートペア(第2のシートペア)を構成している。各シートペアは、互いに貼り合わされた状態で巻回される。シャフト6は、複数(2つ)のシートペアを含む。
【0030】
図2において、繊維角度におけるプラス(+)及びマイナス(-)は、繊維の傾斜方向を示している。各シートペアでは、繊維角度がプラスのシートと、繊維角度がマイナスのシートとが組み合わされている。各シートペアでは、繊維が互いに逆方向に傾斜している。なお、
図5において、シートs2は裏返されて、シートs1に貼り付けられる。この結果、シートs2の繊維は、シートs1の繊維に対して逆方向に傾斜する。この点、シートs3及びシートs4についても同様である。
【0031】
シャフト6は、更にフープ層を有する。フープ層は、繊維が実質的にシャフトの周方向に沿うように配置された層である。好ましくは、フープ層において、繊維の絶対角度は、シャフト軸線に対して実質的に90°とされる。ただし、巻き付けの際の誤差等に起因して、繊維の配向はシャフト軸線方向に対して完全に90°とはならない場合がある。通常、このフープ層では、繊維の絶対角度が80°以上90°以下である。
【0032】
図5の実施形態において、フープ層用のプリプレグシート(フープシート)は、シートs6、シートs8及びシートs9である。
【0033】
上述の通り、本願では、繊維の配向角度によって、シート及び層が分類される。加えて、本願では、軸方向の長さによって、シート及び層が分類される。
【0034】
シャフト6の軸方向の全体に配置される層が、全長層と称される。シャフト6の軸方向の全体に配置されるシートが、全長シートと称される。巻回された全長シートが、全長層を形成する。一方、シャフト6の軸方向の一部に配置される層が、部分層と称される。シャフト6の軸方向の一部に配置されるシートが、部分シートと称される。巻回された部分シートが、部分層を形成する。
【0035】
バイアス層である全長層が、全長バイアス層と称される。ストレート層である全長層が、全長ストレート層と称される。フープ層である全長層が、全長フープ層と称される。
【0036】
図5の実施形態では、全長バイアス層は、シートs1、シートs2、シートs3及びシートs4である。全長ストレート層は、シートs7及びシートs10である。シャフト6は、複数の全長ストレート層s7,s10を有する。全長フープ層は、シートs9である。シャフト6は、全長ストレート層s7,s10に挟まれた全長フープ層s9を有する。
【0037】
全長フープ層s9は、特定バット領域Tbの全体に亘って配置されている。
【0038】
バイアス層である部分層が、部分バイアス層と称される。ストレート層である部分層が、部分ストレート層と称される。フープ層である部分層が、部分フープ層と称される。
【0039】
図5の実施形態では、部分バイアス層は設けられていない。部分ストレート層は、シートs5、シートs11及びシートs12である。部分フープ層は、シートs6及びシートs8である。複数の部分フープ層が設けられている。
【0040】
シートs5、s11及びs12は、チップ部分ストレート層である。チップ部分ストレート層s5,s11,s12のチップ側の端は、シャフト6のチップ端Tpに位置する。シートs6及びシートs8は、バット部分フープ層である。バット部分フープ層s6,s8のバット側の端は、シャフト6のバット端Btに位置する。シャフト6は、そのチップ側の端がチップ端Tpに位置するチップ部分フープ層を有していない。シャフト6は、そのバット側の端がバット端Btに位置するバット部分ストレート層を有していない。チップ部分ストレート層s5の軸方向長さは、シャフト長さLsの半分よりも大きい。
【0041】
チップ部分ストレート層s5と、バット部分フープ層s6とは、軸方向における重複領域R1を有している。チップ部分ストレート層s5と、バット部分フープ層s8とは、軸方向における重複領域R2を有している。
【0042】
最も長いチップ部分ストレート層s5は、シャフト長さLsの半分よりも長い。最も長いチップ部分ストレート層s5は、特定バット領域Tbに到達していない。
【0043】
第1のバット部分フープ層s6の軸方向長さは、シャフト長さLsの半分よりも大きい。第2のバット部分フープ層s8の軸方向長さは、シャフト長さLsの半分よりも大きい。
【0044】
第1のバット部分フープ層s6は、特定バット領域Tbの全体に亘って配置されている。第2のバット部分フープ層s8は、特定バット領域Tbの全体に亘って配置されている。全てのフープ層s6,s8,s9は、特定バット領域Tbの全体に亘って配置されている。
【0045】
図6は、第2実施形態のシャフト16を構成するプリプレグシートの展開図である。
図6は、シャフト16を構成するシートを示している。シャフト16は、複数のシートにより構成されている。
図6の実施形態では、シャフト16は、11枚のシートで構成されている。シャフト16は、第1シートs1から第11シートs11までを有している。
【0046】
シャフト16は、ストレート層とバイアス層とを有する。
図6には、各シートの繊維の配向角度が記載されている。「0°」と記載されているシートは、ストレートシートである。ストレートシートは、ストレート層を構成している。
図6の実施形態において、ストレート層を構成するシート(ストレートシート)は、シートs4、シートs6、シートs9、シートs10及びシートs11である。
【0047】
バイアス層は、繊維の配向が軸方向に対して実質的に傾斜した層である。
図6において、「+45°」又は「-45°」と記載されているシートは、バイアスシートである。シャフト16において、バイアス層を構成するシート(バイアスシート)は、シートs1、シートs2、シートs3及びシートs5である。シートs1とシートs2とが、シートペア(第1のシートペア)を構成している。シートs3とシートs5とが、シートペア(第2のシートペア)を構成している。各シートペアは、互いに貼り合わされた状態で巻回される。シャフト16は、複数(2つ)のシートペアを含む。
【0048】
シャフト16は、更にフープ層を有する。フープ層は、繊維が実質的にシャフトの周方向に沿うように配置された層である。好ましくは、フープ層において、繊維の絶対角度は、シャフト軸線に対して実質的に90°とされる。ただし、巻き付けの際の誤差等に起因して、繊維の配向はシャフト軸線方向に対して完全に90°とはならない場合がある。通常、このフープ層では、繊維の絶対角度が80°以上90°以下である。
【0049】
図6の実施形態において、フープ層用のプリプレグシート(フープシート)は、シートs7及びシートs8である。
【0050】
図6の実施形態では、全長バイアス層は、シートs1、シートs2、シートs3及びシートs5である。全長ストレート層は、シートs9である。シャフト16は、全長ストレート層s9を有する。全長ストレート層s9は、1層のみである。シャフト16は、全長フープ層s8を有する。全長フープ層s8は、1層のみである。
【0051】
図6の実施形態では、部分バイアス層は設けられていない。部分ストレート層は、シートs6、シートs10及びシートs11である。部分フープ層は、シートs7である。部分フープ層s7は、1層のみである。
【0052】
シートs6、s10及びs11は、チップ部分ストレート層である。チップ部分ストレート層s6,s10,s11のチップ側の端は、シャフト16のチップ端Tpに位置する。シートs7は、バット部分フープ層である。バット部分フープ層s7のバット側の端は、シャフト16のバット端Btに位置する。シャフト16は、チップ部分フープ層を有していない。シャフト16は、バット部分ストレート層を有していない。チップ部分ストレート層s6の軸方向長さは、シャフト長さLsの半分よりも大きい。最も長いチップ部分ストレート層s6は、特定バット領域Tbに到達していない。
【0053】
チップ部分ストレート層s6と、バット部分フープ層s7とは、軸方向における重複領域R1を有している。バット部分フープ層s7の軸方向長さは、シャフト長さLsの半分よりも大きい。
【0054】
バット部分フープ層s7は、特定バット領域Tbの全体に亘って配置されている。全てのフープ層s7,s8は、特定バット領域Tbの全体に亘って配置されている。
【0055】
以下に、シャフト6,16の製造工程の概略が説明される。
【0056】
[シャフト製造工程の概略]
【0057】
(1)裁断工程
裁断工程では、プリプレグシートが所望の形状に裁断される。この工程により、
図5又は
図6に示されるような各シートが切り出される。
【0058】
なお、裁断は、裁断機によりなされてもよいし、手作業でなされてもよい。手作業の場合、例えば、カッターナイフが用いられる。
【0059】
(2)貼り合わせ工程
この工程では、必要に応じて、複数のシートが貼り合わされる。バイアスシートを構成するシートペア同士が貼り合わせられる。フープシートが単独では巻回しにくい場合、当該フープシートは他のシートと貼り合わせられる。貼り合わせ工程では、加熱及び/又はプレスが用いられてもよい。
【0060】
(3)巻回工程
巻回工程では、マンドレルが用意される。典型的なマンドレルは、金属製である。このマンドレルに、離型剤が塗布される。更に、このマンドレルに、粘着性を有する樹脂が塗布される。この樹脂は、タッキングレジンとも称される。このマンドレルに、裁断されたシートが巻回される。このタッキングレジンは、マンドレルへのシート端部の貼り付けを容易とする。
【0061】
このマンドレルに、シートが巻き付けられる。この巻回工程により、巻回体が得られる。この巻回体では、マンドレルの外側にシートが巻き付けられている。この巻き付けは、手作業によりなされてもよいし、機械によりなされてもよい。この機械は、ローリングマシンと称される。
【0062】
(4)テープラッピング工程
テープラッピング工程では、前記巻回体の外周面にテープが巻き付けられる。このテープは、ラッピングテープとも称される。このラッピングテープは、張力を付与されつつ、隙間無く螺旋状に巻き付けられる。このラッピングテープにより、巻回体に圧力が加えられる。
【0063】
(5)硬化工程
硬化工程では、テープラッピングがなされた後の巻回体が、加熱される。この加熱に起因して、マトリクス樹脂が硬化する。この硬化の過程で、マトリクス樹脂が一時的に流動化する。このマトリクス樹脂の流動化により、シート間又はシート内の空気が排出されうる。ラッピングテープの締め付け力は、この空気の排出を促進する。
【0064】
(6)マンドレルの引き抜き工程及びラッピングテープの除去工程
硬化工程の後、マンドレルの引き抜き工程とラッピングテープの除去工程とがなされる。好ましくは、マンドレルの引き抜き工程の後に、ラッピングテープの除去工程がなされる。この結果、硬化積層体が得られる。
【0065】
(7)両端カット工程
この工程では、硬化積層体の両端部がカットされる。このカットは、チップ端Tpの端面及びバット端Btの端面を平坦とする。
【0066】
(8)研磨工程
この工程では、硬化積層体の表面が研磨される。硬化積層体の表面には、ラッピングテープの跡として、螺旋状の凹凸が残る。研磨により、この凹凸が消滅し、表面が滑らかになる。
【0067】
(9)塗装工程
研磨工程後の硬化積層体に塗装が施される。
【0068】
図1及び
図3が示すように、シャフト6,16は、第1地点P1と、第2地点P2とを有する。第1地点P1は、バット端Btから290mm離れた地点である。この290mmは、軸方向に沿って測定される。第2地点P2は、バット端Btから120mm隔てた地点である。この120mmは、軸方向に沿って測定される。
【0069】
第1地点P1及び第2地点P2において、曲げ剛性が測定される。第1地点P1における曲げ剛性がE1と定義される。第2地点P2における曲げ剛性がE2と定義される。曲げ剛性E1及び曲げ剛性E2の単位は、「kgf・m2」である。
【0070】
第1地点P1から第2地点P2までの領域が、特定バット領域と定義される。
図1及び
図3が示すように、特定バット領域Tbの軸方向長さは、170mmである。
【0071】
図7は、曲げ剛性の測定方法を示している。測定装置として、インテスコ社製2020型(最大荷重500kg)の万能材料試験機が用いられうる。第1支持点T1と第2支持点T2とにより、シャフト6が下方から支持される。この支持を維持しながら、測定点T3に上方から荷重F1を加える。荷重F1の向きは、鉛直方向下向きである。点T1と点T2との間の距離は200mmである。測定点T3の位置は、点T1と点T2の間を二等分する位置である。荷重F1を加えたときのたわみ量Hが測定される。荷重F1は、圧子D1により与えられる。圧子D1の先端は、曲率半径が5mmである円筒面である。圧子D1の下方への移動速度は5mm/分である。荷重F1が20kgf(196N)に達した時点で圧子D1の移動を終了し、そのときのたわみ量Hが測定される。たわみ量Hは、鉛直方向における点T3の変位量である。曲げ剛性EIは、次式にて算出される。
【0072】
EI(kgf・m2)=F1×L3/(48×H)
ただし、F1は最大荷重(kgf)であり、Lは支持点間距離(m)であり、Hはたわみ量(m)である。最大荷重F1は20kgfであり、支持点間距離Lは0.2mである。
【0073】
測定点T3が第1地点P1とされたときのEIが、曲げ剛性E1である。測定点T3が第2地点P2とされたときのEIが、曲げ剛性E2である。
【0074】
シャフト長さLsは、好ましくは、951mm以上1017mm以下とされうる。シャフト長さLsは、951mm以上、更には956mm以上、更には961mm以上とされうる。シャフト長さLsは、1017mm以下、更には1012mm以下、更には1007mm以下とされうる。この長さは、ウッドクラブとアイアンクラブとの間の中間的な長さ(以下、中間長さともいう)である。この長さは、ハイブリッドクラブに対する適合性に優れる。この長さは、ウッドクラブ又はアイアンクラブに適用されてもよい。
【0075】
シャフト重量に関して、単位長さ当たりの重量が、1.15(g/cm)以上1.30(g/cm)以下とされうる。この重量がU1とも称される。単位重量U1は、シャフト全体における単位長さ(1cm)当たりの重量である。単位重量U1は、シャフトの全体重量W1(g)をシャフト長さLs(mm)で割り、10を掛けることで算出されうる。パワーヒッターが中間長さのシャフトを用いる場合、通常の重量のシャフトでは軽すぎてインパクトのタイミングが合わず、フィーリングも良くない。パワーヒッターの振りやすさの観点から、単位重量U1は、1.15(g/cm)以上、更には1.16(g/cm)以上、更には1.17(g/cm)以上とされうる。パワーヒッターにおける飛距離及び振りやすさの観点から、単位重量U1は、1.30(g/cm)以下、更には1.29(g/cm)以下、更には1.28(g/cm)以下とされうる。なお、塗装を有するシャフトの場合、当該塗装の重量はシャフト重量に含まれる。
【0076】
この単位重量U1を有するシャフトは、シャフト全体重量W1が大きい。この重いシャフトで、シャフト長さLsが上記の範囲に設定された場合、フィーリングが悪化しやすいことが分かった。具体的には、ヘッドスピードの速いパワーヒッターがスイングするにも関わらず、しなりが感じられずに、シャフトが棒のように感じられたり、ヘッドが走らなかったりすることが分かった。
【0077】
シャフト6,16では、曲げ剛性E2が曲げ剛性E1よりも大きい。また、曲げ剛性E1が、5.0(kgf・m2)以上6.1(kgf・m2)以下である。また、曲げ剛性E2が、6.0(kgf・m2)以上7.5(kgf・m2)以下である。このような曲げ剛性により、シャフトのしなりが感じられやすくなり、フィーリングが向上する。また、しなりに起因するしなり戻りにより、ヘッドスピードが向上し、飛距離が増加する。第1地点P1は、クラブが左右の手で握られる把持領域に近く、把持領域の少しチップ側である。第2地点P2は、把持領域の軸方向中央付近である。手に近い位置での曲げ剛性は、フィーリングに影響しやすい。
【0078】
中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際の方向安定性の観点から、曲げ剛性E1は、5.0(kgf・m2)以上が好ましく、5.1(kgf・m2)以上がより好ましく、5.2(kgf・m2)以上がより好ましい。パワーヒッターにおいて、しなりが過大となり、しなり戻りが不十分であると、ヘッドスピードが上がらない。また、しなりが過大となり、しなり戻りが不十分であると、しなりがあってもフィーリングが向上しない。これらの観点からも、曲げ剛性E1は、5.0(kgf・m2)以上が好ましく、5.1(kgf・m2)以上がより好ましく、5.2(kgf・m2)以上がより好ましい。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際のフィーリング及び飛距離の観点から、曲げ剛性E1は、6.1(kgf・m2)以下が好ましく、6.0(kgf・m2)以下がより好ましく、5.9(kgf・m2)以下がより好ましい。
【0079】
中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際の方向安定性の観点から、曲げ剛性E2は、6.0(kgf・m2)以上が好ましく、6.2(kgf・m2)以上がより好ましく、6.4(kgf・m2)以上がより好ましい。パワーヒッターにおいて、しなりが過大となり、しなり戻りが不十分であると、ヘッドスピードが上がらない。また、しなりが過大となり、しなり戻りが不十分であると、しなりがあってもフィーリングが向上しない。これらの観点からも、曲げ剛性E2は、6.0(kgf・m2)以上が好ましく、6.2(kgf・m2)以上がより好ましく、6.4(kgf・m2)以上がより好ましい。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際のフィーリング及び飛距離の観点から、曲げ剛性E2は、7.5(kgf・m2)以下が好ましく、7.3(kgf・m2)以下がより好ましく、7.1(kgf・m2)以下がより好ましい。
【0080】
シャフト6は、順式フレックスと逆式フレックスとを有する。
図8(a)は、順式フレックスの測定方法を示す概略図である。
図8(b)は、逆式フレックスの測定方法を示す概略図である。
【0081】
図8(a)に示されるように、順式フレックスの測定では、チップ端Tpからの距離がX1(mm)である位置に、第一支持点J1が設定される。更に、チップ端Tpからの距離がX2(mm)の位置に、第二支持点J2が設定される。第一支持点J1には、シャフト6を上方から支持する支持体Q1が設けられる。第二支持点J2には、シャフト6を下方から支持する支持体Q2が設けられる。荷重のない状態において、シャフト6の軸線は水平とされる。チップ端Tpからの距離がX3(mm)である荷重点m1に、2.7kgfの荷重を鉛直下向きに作用させる。荷重のない状態と、荷重をかけて安定した状態との間の荷重点m1の距離(mm)が、順式フレックスである。この距離は、鉛直方向に沿って測定される。
【0082】
順式フレックスは、シャフト長さに適合したポジションで測定される。シャフト長さが40インチ(1016mm)以上である場合、X1は965mmとされ、X2は825mmとされ、X3は64mmとされる。シャフト長さが39.5インチ(1003mm)以上40インチ(1016mm)未満である場合、X1は952mmとされ、X2は812mmとされ、X3は64mmとされる。シャフト長さが39インチ(991mm)以上39.5インチ(1003mm)未満である場合、X1は939mmとされ、X2は799mmとされ、X3は64mmとされる。シャフト長さが38.5インチ(978mm)以上39インチ(991mm)未満である場合、X1は927mmとされ、X2は787mmとされ、X3は64mmとされる。シャフト長さが38インチ(965mm)以上38.5インチ(978mm)未満である場合、X1は914mmとされ、X2は774mmとされ、X3は64mmとされる。シャフト長さが37.5インチ(953mm)以上38インチ(965mm)未満である場合、X1は901mmとされ、X2は761mmとされ、X3は64mmとされる。シャフト長さが37.5インチ(953mm)未満である場合、X1は889mmとされ、X2は749mmとされ、X3は64mmとされる。
【0083】
なお、支持体Q1の、シャフトと当接する部分(以下、当接部分という)の断面形状は、次の通りである。シャフト軸方向に対して平行な断面において、支持体Q1の当接部分の断面形状は、凸状の丸みを有する。この丸みの曲率半径は、15mmである。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体Q1の当接部分の断面形状は、凹状の丸みを有する。この凹状の丸みの曲率半径は、40mmである。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体Q1の当接部分の水平方向長さ(
図8(a)における奥行き方向長さ)は、15mmである。支持体Q2の当接部分の形状は、支持体Q1のそれと同一である。荷重点m1において2.7kgfの荷重を与える荷重圧子(図示省略)の当接部分の断面形状は、シャフト軸方向に対して平行な断面において、凸状の丸みを有する。この丸みの曲率半径は、10mmである。荷重点m1において2.7kgfの荷重を与える荷重圧子(図示省略)の当接部分の断面形状は、シャフト軸方向に対して垂直な断面において、直線である。この直線の長さは、18mmである。この荷重圧子を含む重りが、荷重点m1にぶら下げられる。
【0084】
図8(b)に示されるように、逆式フレックスの測定では、第一支持点J1がチップ端TpからY1(mm)隔てた位置とされ、第二支持点J2がチップ端TpからY2(mm)隔てた位置とされ、荷重点m2がチップ端TpからY3(mm)隔てた位置とされ、荷重が1.3kgfとされる。その他は順式フレックスと同様にして、逆式フレックスが測定される。
【0085】
逆式フレックスも、シャフト長さに適合したポジションで測定される。シャフト長さが40インチ(1016mm)以上である場合、Y1は12mmとされ、Y2は152mmとされ、Y3は824mmとされる。シャフト長さが39.5インチ(1003mm)以上40インチ(1016mm)未満である場合、Y1は12mmとされ、Y2は152mmとされ、Y3は811mmとされる。シャフト長さが39インチ(991mm)以上39.5インチ(1003mm)未満である場合、Y1は12mmとされ、Y2は152mmとされ、Y3は798mmとされる。シャフト長さが38.5インチ(978mm)以上39インチ(991mm)未満である場合、Y1は12mmとされ、Y2は152mmとされ、Y3は786mmとされる。シャフト長さが38インチ(965mm)以上38.5インチ(978mm)未満である場合、Y1は12mmとされ、Y2は152mmとされ、Y3は773mmとされる。シャフト長さが37.5インチ(953mm)以上38インチ(965mm)未満である場合、Y1は12mmとされ、Y2は152mmとされ、Y3は760mmとされる。シャフト長さが37.5インチ(953mm)未満である場合、Y1は12mmとされ、Y2は152mmとされ、Y3は748mmとされる。
【0086】
中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際のフィーリング及び飛距離の観点から、順式フレックスは、78mm以上が好ましく、81mm以上がより好ましく、83mm以上がより好ましい。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際の方向安定性の観点から、順式フレックスは、92mm以下が好ましく、90mm以下がより好ましく、87mm以下がより好ましい。
【0087】
中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際の飛距離の観点から、逆式フレックスは、41mm以上が好ましく、43mm以上がより好ましく、45mm以上がより好ましい。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際の方向安定性の観点から、逆式フレックスは、53mm以下が好ましく、51mm以下がより好ましく、49mm以下がより好ましい。
【0088】
シャフト6は、シャフトトルクを有する。シャフトトルクは、所定のトルクをシャフトに付与したときの捻れ角度である。シャフトトルクが大きいほど、捻れ剛性が低く、捻れが生じやすい。
【0089】
図9は、シャフトトルクの測定方法を示す概略図である。チップ端Tpから40mmの地点からチップ端Tpまでの部分が、治具M1で固定される。この固定はエアチャックにより達成されている。この治具M1から825mm隔てた位置からバット端Bt側に幅50mmの部分に、治具M2が固定される。この固定はエアチャックにより達成されている。治具M1を固定したまま治具M2を回転させて、シャフト6に13.9kg・cmのトルクTrを付与する。このトルクTrによる捻れ角度が、シャフトトルクである。
【0090】
シャフトトルクが過小であると、インパクト時に硬いフィーリングが生じうる。この観点から、シャフトトルクは、1.4°以上が好ましく、1.6°以上がより好ましく、1.8°以上がより好ましい。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際の方向安定性の観点から、シャフトトルクは、2.8°以下が好ましく、2.6°以下がより好ましく、2.4°以下がより好ましい。
【0091】
本願では、以下の重量が定義される。
【0092】
シャフト6の全体重量がW1とされる。重量W1は、シャフト6の総重量である。シャフト6が塗装されている場合、この塗装の重量もW1に含まれる。
【0093】
シャフト6の全体におけるストレート層の重量が、S1とされる。重量S1は、プリプレグシートの重量に基づいて算出されてもよい。シャフト6に用いられている全てのストレートシートの重量の合計が、重量S1とされうる。
【0094】
シャフト6の全体におけるバイアス層の重量が、B1とされる。重量B1は、プリプレグシートの重量に基づいて算出されてもよい。シャフト6に用いられている全てのバイアスシートの重量の合計が、重量B1とされうる。
【0095】
シャフト6の全体におけるフープ層の重量が、H1とされる。重量H1は、プリプレグシートの重量に基づいて算出されてもよい。シャフト6に用いられている全てのフープシートの重量の合計が、重量H1とされうる。
【0096】
特定バット領域Tbにおけるシャフト6の重量が、W2とされる。重量W2は、プリプレグシートの重量に基づいて算出されてもよい。特定バット領域Tbに存在する全てのシートの重量の合計が、重量W2とされうる。シャフト6を第1地点P1及び第2地点P2で切断することで、特定バット領域Tbのシャフト片が作成されうる。このシャフト片の重量が、重量W2とされてもよい。
【0097】
特定バット領域Tbにおけるストレート層の重量が、S2とされる。重量S2は、プリプレグシートの重量に基づいて算出されてもよい。特定バット領域Tbに存在する全てのストレートシートの重量の合計が、重量S2とされうる。
【0098】
特定バット領域Tbにおけるバイアス層の重量が、B2とされる。重量B2は、プリプレグシートの重量に基づいて算出されてもよい。特定バット領域Tbに存在する全てのバイアスシートの重量の合計が、重量B2とされうる。
【0099】
特定バット領域Tbにおけるフープ層の重量が、H2とされる。重量H2は、プリプレグシートの重量に基づいて算出されてもよい。特定バット領域Tbに存在する全てのフープシートの重量の合計が、重量H2とされうる。
【0100】
シャフト6の全体重量W1に対するストレート層の重量S1の割合が、全体SP含有率とも称される。中間長さの重いシャフトでは、パワーヒッターが打撃する場合でも、全体SP含有率を下げるのが好ましいことが分かった。低い全体SP含有率により、しなり感が得られ、パワーヒッターにおけるフィーリングが向上する。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際のフィーリング及び飛距離の観点から、全体SP含有率は、16%以下が好ましく、15.5%以下がより好ましく、15%以下がより好ましい。ダウンスイングでのしなりがインパクト時に戻る現象が、しなり戻りと称される。しなり戻りにより、ヘッドスピードが高まる。しなり戻りが不十分であると、ヘッドスピードが低下する。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際のしなり戻りの観点から、全体SP含有率は、11%以上が好ましく、12%以上がより好ましく、13%以上がより好ましい。
【0101】
シャフト6の全体重量W1に対するバイアス層の重量B1の割合が、全体BP含有率とも称される。全体BP含有率を大きくし、全体SP含有率を小さくすることで、単位重量U1を増やしつつ曲げ剛性E1及び曲げ剛性E2を抑制することができ、しなり感を得ることができる。パワーヒッターの強いインパクトに起因するシャフト6の捻れにより、方向安定性及びインパクト時のフィーリングが低下しうる。しかし、全体BP含有率を高めることで、パワーヒッターが打撃しても方向安定性が高まり、フィーリングも良好となる。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際の、方向安定性及びインパクト時のフィーリングの観点から、全体BP含有率は、70%以上が好ましく、72%以上がより好ましく、74%以上がより好ましい。捻れ剛性が過大であると、捻れが過度に抑制され、インパクトが硬く感じられる場合がある。この観点から、全体BP含有率は、84%以下が好ましく、82%以下がより好ましく、80%以下がより好ましい。
【0102】
シャフト6の全体重量W1に対するフープ層の重量H1の割合が、全体HP含有率とも称される。ストレート層が少なくされると、しなり感が生ずる一方で、パワーヒッターにとって、手元(把持領域に近い位置)の安定感が低下しやすく、また、しっかり感が低下しやすい。フープ層により、曲げ剛性E1及び曲げ剛性E2を抑制してしなり感を維持しながら、しっかり感を創出することができる。この安定感及びしっかり感により、パワーヒッターにおけるフィーリングが高まる。スイング時における安定感及びしっかり感の観点から、全体HP含有率は、7%以上が好ましく、8%以上がより好ましく、9%以上がより好ましい。全体BP含有率を確保する観点から、全体HP含有率は、14%以下が好ましく、13%以下がより好ましく、12%以下がより好ましい。なお、全体HP含有率は、0%であってもよい。すなわち、シャフト6はフープ層を有さなくてもよい。
【0103】
特定バット領域Tbにおける、シャフト重量W2に対するストレート層の重量S2の割合が、バットSP含有率とも称される。バットSP含有率は、全体SP含有率よりも小さいのが好ましい。把持領域の近傍でのシャフト挙動は、手に伝わりやすい。把持領域の近傍でSP含有率をより低くすることで、しっかり感を維持しながらしなり感が得られやすくなり、パワーヒッターにおいてフィーリングが向上する。
【0104】
中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際のフィーリングの観点から、バットSP含有率は、15%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、13%以下がより好ましい。中間長さの重いシャフトでパワーヒッターが打撃する際のしなり戻りの観点から、バットSP含有率は、8%以上が好ましく、9%以上がより好ましく、10%以上がより好ましい。
【0105】
特定バット領域Tbにおける、シャフト重量W2に対するフープ層の重量H2の割合が、バットHP含有率とも称される。バットHP含有率は、全体HP含有率よりも大きいのが好ましい。手の近くにおいてHP含有率を高くすることで、安定感及びしっかり感が更に向上しうる。
【0106】
バットBP含有率を確保する観点から、バットHP含有率は、15%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、13%以下がより好ましい。手元の安定感及びしっかり感の観点から、バットHP含有率は、8%以上が好ましく、9%以上がより好ましく、10%以上がより好ましい。
【0107】
特定バット領域Tbにおける、シャフト重量W2に対するバイアス層の重量B2の割合が、バットBP含有率とも称される。高いバットBP含有率により、パワーヒッターが打撃した際の方向安定性が高まる。手に近い特定バット領域TbにおいてBP含有率を高めることで、インパクト時のフィーリングが更に向上し、方向安定性も高めることができる。これらの観点から、バットBP含有率は、70%以上が好ましく、72%以上がより好ましく、74%以上がより好ましい。捻れ剛性が過大であると、インパクトが硬く感じられる場合がある。この観点から、バットBP含有率は、84%以下が好ましく、82%以下がより好ましく、80%以下がより好ましい。
【0108】
特定バット領域Tbにおけるシャフト6の単位長さ当たりの重量が、単位重量U2とも称される。単位重量U2は、1.30(g/cm)以上が好ましく、1.31(g/cm)以上がより好ましく、1.32(g/cm)以上がより好ましい。単位重量U2を増やすことで、把持領域の動きが安定しうる。単位重量U2が過大であると、しなり感が減少しうる。この観点から、単位重量U2は、1.40(g/cm)以下が好ましく、1.39(g/cm)以下がより好ましく、1.38(g/cm)以下がより好ましい。
【0109】
手元の安定性の観点から、単位重量U2は、上述の単位重量U1よりも大きいのが好ましい。
【0110】
一般に、軽いシャフトは非力なゴルファーに適している。また、非力なゴルファーには柔らかいシャフトが適している。一方、力のあるゴルファーでは、シャフトが軽すぎるとインパクトのタイミングが合わなくなる。また、力のあるゴルファーには、比較的硬いシャフトが適している。このような観点から、シャフトは、柔らかくなるほど軽く、硬くなるほど重い傾向がある。
【0111】
実施形態のシャフトは、パワーヒッター用であり、非常に重い。しかし、このシャフトは、重さの割には柔らかい。すなわち、このシャフトは、重さの割には、曲げ剛性E1,E2が小さい。
【0112】
シャフト重量の割に曲げ剛性E1及び曲げ剛性E2を小さくすることで、中間長さのシャフトでパワーヒッターが打撃する際のフィーリングが向上することが分かった。この観点から、E1/U1は、5.5以下が好ましく、5.3以下がより好ましく、5.2以下がより好ましく、5.1以下がより好ましい。過大な単位重量U1及び過小な曲げ剛性E1を避ける観点から、E1/U1は、3.8以上が好ましく、3.9以上がより好ましく、4.0以上がより好ましい。同じ観点から、E2/U1は、7.0以下が好ましく、6.6以下がより好ましく、6.3以下がより好ましく、6.2以下がより好ましく、6.1以下がより好ましい。過大な単位重量U1及び過小な曲げ剛性E2を避ける観点から、E2/U1は、4.6以上が好ましく、4.8以上がより好ましく、4.9以上がより好ましく、5.0以上がより好ましい。
【0113】
シャフト6を備えたゴルフクラブは、クラブ長さを有する。ヘッド4及びグリップ8の存在に起因して、クラブ長さは、シャフト長さLsとは若干相違する(
図1参照)。クラブ長さは、38インチ(965mm)以上が好ましく、41インチ(1041mm)以下が好ましい。この好ましいクラブ長さは、好ましいシャフト長さLs(951mm以上1017mm以下)に対応している。
【0114】
クラブ長さは、38インチ(965mm)以上、更には38.5インチ(978mm)以上、更には38.75インチ(984mm)以上とされうる。クラブ長さは、41インチ(1041mm)以下、更には40.5インチ(1029mm)以下、更には40.25(1022mm)インチ以下とされうる。このクラブ長さは、ハイブリッドクラブに対する適合性に優れる。このクラブ長さが、ウッドクラブ又はアイアンクラブに適用されてもよい。
【0115】
クラブ長さは、R&A(Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews;全英ゴルフ協会)の規定に準拠して測定される。この規定は、R&Aが発行する最新のゴルフ規則において、「付属規則II クラブのデザイン」の「1 クラブ」における「1c 長さ」に記載されている。この測定方法は、クラブを水平面に置き、水平面に対する角度が60度の面にソールを当てて実施されることから、60度測定法とも称されている。
【0116】
好ましくは、上記シャフトは、ハイブリッドクラブに用いられる。ハイブリッドクラブのヘッドは、ハイブリッドヘッドである。ハイブリッドヘッドは、ウッド型ハイブリッドヘッドと、アイアン型ハイブリッドヘッドとに分類される。ウッド型ハイブリッドヘッドは、曲面の打撃フェースとクラウンとを有する。アイアン型ハイブリッドヘッドは、平面の打撃フェースを有し、クラウンを有さない。通常、アイアン型ハイブリッドヘッドは、中空構造を有する。
【0117】
ウッド型ハイブリッドヘッドは、以下の構成(1a)から(1e)を有しうる。
(1a)曲面の打撃フェース
(1b)中空構造
(1c)90cm3以上140cm3以下の体積
(1d)15度以上33度以下のリアルロフト角
(1e)クラウンの存在
【0118】
アイアン型ハイブリッドヘッドは、以下の構成(2a)から(2d)を有しうる。
(2a)平面の打撃フェース
(2b)中空構造又はキャビティバック構造
(2c)15度以上25度以下のリアルロフト角
(2d)クラウンの不存在
【0119】
なお、特に日本では、ハイブリッドヘッドが、ユーティリティヘッドと称されることがある。また、特にアイアン型ハイブリッドヘッドがユーティリティヘッドと称される場合もある。
【0120】
下記の表1及び表2は、本発明のシャフトに使用可能なプリプレグの例である。これらのプリプレグは、市販されている。これらのプリプレグを用いることで、シャフトの仕様が調整されうる。
【0121】
【0122】
【実施例0123】
[実施例1]
上述されたシャフトの製造工程に従って、シャフトを作製した。シャフトのシート構成は、
図5に示される通りとされた。全てのストレートシートは、繊維の引張弾性率が24(t/mm
2)のプリプレグとされた。全てのバイアスシートは、繊維の引張弾性率が24(t/mm
2)のプリプレグとされた。全てのフープシートは、繊維の引張弾性率が24(t/mm
2)のプリプレグとされた。シャフトの長さLsは、993mmとされた。得られたシャフトにハイブリッドヘッド(アイアン型)及びグリップを装着して、クラブ長さが39.5インチ(1003mm)のゴルフクラブ(2番アイアン)を得た。
【0124】
[実施例2]
シート構成を
図6に示される通りに変更し、表3に示される仕様とした他は、実施例1と同じにして、実施例2に係るシャフト及びゴルフクラブを得た。
【0125】
[実施例3から6]
シート構成及びプリプレグ種類を調整して表3に示される仕様とした他は実施例1又は2と同じにして、実施例3から6に係るシャフト及びゴルフクラブを得た。
【0126】
[比較例1から4]
シート構成及びプリプレグ種類を調整して表4に示される仕様とした他は実施例1又は2と同じにして、比較例1から4に係るシャフト及びゴルフクラブを得た。
【0127】
実施例1から6の仕様と評価結果が、下記の表3に示される。比較例1から4の仕様と評価結果が、下記の表4に示される。
【0128】
【0129】
【0130】
<ヘッドスピードの評価>
ドライバーでのヘッドスピードが50m/s以上である男子プロゴルファーが実際にボールを打ってテストを行った。ゴルフボールとして、住友ゴム工業社製の商品名「スリクソン Z-STAR XV」を用いた。各クラブで5球ずつ打撃し、全ての打撃においてヘッドスピードを計測した。5球の平均値が表3及び表4の「ヘッドスピード」の欄に示されている。
【0131】
<方向安定性の評価>
ヘッドスピードが測定された上記打撃において、打球の方向安定性も測定された。全ての打撃において、打撃されるボールの位置と目標とを結ぶ線と打球の最終到達点との距離(ヤード)が測定された。右にズレても左にズレても、この距離はプラスの値とされた。この値の平均値が、表3及び表4の「方向安定性」の欄に示されている。
【0132】
<フィーリングの評価>
ヘッドスピードが測定された上記打撃において、フィーリングも測定された。上記プロゴルファーが、1~5の5段階で打撃時のフィーリングを評価した。評価点数が高いほどフィーリングが良好である。この評価点数が表3及び表4の「フィーリング」の欄に示されている。
【0133】
表3及び表4に示されるように、実施例は、比較例に比べて評価が高い。
【0134】
以下の付記は、本願に開示された発明の一部である。
[付記1]
複数の繊維強化樹脂層により形成されたゴルフクラブシャフトであって、
チップ端と、
バット端と、
前記バット端から290mm離れた第1地点における曲げ剛性E1と、
前記バット端から120mm離れた第2地点における曲げ剛性E2と、
を有しており、
前記曲げ剛性E2が、前記曲げ剛性E1よりも大きく、
前記曲げ剛性E1が、5.0(kgf・m2)以上6.1(kgf・m2)以下であり、
前記曲げ剛性E2が、6.0(kgf・m2)以上7.5(kgf・m2)以下であり、
シャフト全体における単位長さ当たりの単位重量U1が、1.15(g/cm)以上1.30(g/cm)以下であり、
シャフト長さが、951mm以上1017mm以下であるゴルフクラブシャフト。
[付記2]
前記複数の繊維強化樹脂層が、ストレート層と、バイアス層と、フープ層とを含んでおり、
前記シャフトの全体重量がW1とされ、
前記シャフトの全体における前記ストレート層の重量がS1とされ、
前記シャフトの全体における前記バイアス層の重量がB1とされ、
前記シャフトの全体における前記フープ層の重量がH1とされるとき、
前記重量W1に対する前記重量S1の割合である全体SP含有率が、16%以下であり、
前記重量W1に対する前記重量B1の割合である全体BP含有率が、70%以上であり、
前記重量W1に対する前記重量H1の割合である全体HP含有率が、14%以下である付記1に記載のゴルフクラブシャフト。
[付記3]
前記全体HP含有率が、7%以上である付記2に記載のゴルフクラブシャフト。
[付記4]
前記第1地点から前記第2地点までの領域が、特定バット領域とされ、
前記特定バット領域における前記シャフトの重量がW2とされ、
前記特定バット領域における前記ストレート層の重量がS2とされ、
前記特定バット領域における前記バイアス層の重量がB2とされ、
前記特定バット領域における前記フープ層の重量がH2とされるとき、
前記重量W2に対する前記重量S2の割合であるバットSP含有率が、前記全体SP含有率よりも小さく、
前記重量W2に対する前記重量H2の割合であるバットHP含有率が、前記全体HP含有率よりも大きい付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
[付記5]
前記第1地点から前記第2地点までの領域が、特定バット領域とされ、
前記特定バット領域における前記シャフトの重量がW2とされ、
前記特定バット領域における前記ストレート層の重量がS2とされ、
前記特定バット領域における前記バイアス層の重量がB2とされ、
前記特定バット領域における前記フープ層の重量がH2とされるとき、
前記重量W2に対する前記重量S2の割合であるバットSP含有率が、15%以下であり、
前記重量W2に対する前記重量B2の割合であるバットBP含有率が、70%以上であり、
前記重量W2に対する前記重量H2の割合であるバットHP含有率が、15%以下である付記1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
[付記6]
前記バットHP含有率が、8%以上である付記4又は5に記載のゴルフクラブシャフト。
[付記7]
前記第1地点から前記第2地点までの領域が、特定バット領域とされるとき、
前記特定バット領域における単位長さ当たりの単位重量U2が1.30(g/cm)以上であり、且つ、前記単位重量U2が前記単位重量U1よりも大きい付記1から6のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
[付記8]
E1/U1が5.5以下であり、E2/U1が7.0以下である付記1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
[付記9]
付記1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフトと、ヘッドと、グリップとを有しており、
クラブ長さが、38インチ以上41インチ以下であるゴルフクラブ。
[付記10]
ハイブリッドクラブである付記9に記載のゴルフクラブ。