(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174378
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】地図情報配信装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20241210BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20241210BHJP
H04W 4/02 20180101ALI20241210BHJP
【FI】
G08G1/09 E
H04W4/44
H04W4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092184
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 智博
(72)【発明者】
【氏名】小島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】内田 圭
(72)【発明者】
【氏名】若狭山 要
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 祥希
(72)【発明者】
【氏名】福田 貴陽
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5K067EE02
5K067EE16
5K067HH22
5K067JJ51
(57)【要約】
【課題】地図情報の配信において車両側での処理負荷の増加を抑制しつつ、適切な配信対象エリアの地図情報を車両に配信する。
【解決手段】地図情報配信装置1は、車両Vの位置情報を取得する位置情報取得部11と、取得された位置情報に基づいて、配信する地図情報のデータ量が予め定められた基準データ量以上となるように、地図情報を配信する配信対象エリアを設定するエリア設定部16と、設定された配信対象エリアの地図情報を車両Vに配信する配信部17とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対して地図情報を配信する地図情報配信装置であって、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部で取得された位置情報に基づいて、配信する前記地図情報のデータ量が予め定められた基準データ量以上となるように、前記地図情報を配信する配信対象エリアを設定するエリア設定部と、
前記エリア設定部で設定された前記配信対象エリアの前記地図情報を前記車両に配信する配信部と、
を備える、地図情報配信装置。
【請求項2】
前記配信部が前記車両に前記地図情報を送信するときの通信速度を取得する通信速度取得部を更に備え、
前記エリア設定部は、前記通信速度取得部で取得された前記通信速度が遅い場合、前記通信速度が速い場合に比べて前記基準データ量を小さくする、請求項1に記載の地図情報配信装置。
【請求項3】
前記エリア設定部は、前記地図情報及び前記車両の位置情報に基づいて、前記車両の前方に存在する合流地点及び分岐地点の少なくともいずれかを含む配信対象地点を探索し、探索した配信対象地点を含むように前記配信対象エリアを設定する、請求項1に記載の地図情報配信装置。
【請求項4】
前記車両の走行予定経路を取得する経路取得部を更に備え、
前記エリア設定部は、前記経路取得部で取得された前記走行予定経路上において、前記車両の前方に存在する前記配信対象地点を探索する、請求項3に記載の地図情報配信装置。
【請求項5】
前記車両の車速を取得する車速取得部を更に備え、
前記エリア設定部は、前記車速取得部で取得された前記車速が速い場合、前記車速が遅い場合に比べて、前記車両の前方に存在する前記配信対象地点がより多く含まれるように前記配信対象エリアを設定する、請求項3又4に記載の地図情報配信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に対して地図情報を配信する地図情報配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、ドライバが走行経路を確認するため等、種々の用途において地図情報が用いられている。このような地図情報としては、新しいものが用いられることが望ましい。このため、車載器の記憶媒体に記憶された地図情報を用いるのではなく、車外の配信装置等から新しい地図情報を適宜のタイミングで取得することが考えられている。このような、車両に対して地図情報を配信する装置が、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両では種々の処理を実行する必要がある。このため、地図情報の配信を要求するエリアを車両側において決定する処理を行うことは、車両における処理負荷の増加を招くために避けることが望ましい。
【0005】
このため、本開示は、地図情報の配信において車両側での処理負荷の増加を抑制しつつ、適切な配信対象エリアの地図情報を車両に配信可能な地図情報配信装置について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に対して地図情報を配信する地図情報配信装置であって、車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報取得部で取得された位置情報に基づいて、配信する地図情報のデータ量が予め定められた基準データ量以上となるように、地図情報を配信する配信対象エリアを設定するエリア設定部と、エリア設定部で設定された配信対象エリアの地図情報を車両に配信する配信部と、を備える。
【0007】
この地図情報配信装置では、配信対象エリアの設定を車両側ではなく地図情報配信装置側において行う。これにより、車両側では、位置情報を地図情報配信装置に送信するだけでよく、車両側における配信対象エリアの設定の処理負荷を低減できる。そして、地図情報配信装置側において、車両に配信する配信対象エリアをコントロールすることができる。また、同じ面積のエリア同士であっても、道路が単調である等、エリアによって地図情報のデータ量が異なることがある。このため、地図情報配信装置は、配信する地図情報のデータ量が基準データ量以上となるように配信対象エリアを設定する。これにより、地図情報配信装置は、データの配信容量に余裕がある場合に、広範囲の地図情報を配信することができる。このように、地図情報配信装置は、地図情報の配信において車両側での処理負荷の増加を抑制しつつ、適切な配信対象エリアの地図情報を車両に配信できる。
【0008】
上記の地図情報配信装置において、エリア設定部は、地図情報及び車両の位置情報に基づいて、車両の前方に存在する合流地点及び分岐地点の少なくともいずれかを含む配信対象地点を探索し、探索した配信対象地点を含むように配信対象エリアを設定してもよい。また、上記の地図情報配信装置は、車両の車速を取得する車速取得部を更に備え、エリア設定部は、車速取得部で取得された車速が速い場合、車速が遅い場合に比べて、車両の前方に存在する配信対象地点がより多く含まれるように配信対象エリアを設定してもよい。地図情報配信装置は、地図情報と車両の位置情報とに基づいて車両の前方の道路状況を把握することができる。このため、車両前方に存在する配信対象地点を含むように地図情報を配信することにより、配信対象地点の道路状況に応じた対応を車両側において事前に行うことができる。また、地図情報配信装置は、車両の速度に応じた数の配信対象地点が含まれるように配信対象エリアを設定する。これにより、地図情報配信装置は、車両側においてより好適に利用可能な範囲の地図情報を配信することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、地図情報の配信において車両側での処理負荷の増加を抑制しつつ、適切な配信対象エリアの地図情報を車両に配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る地図情報配信装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、配信対象地点を含むように配信対象エリアを設定する様子を示す概略図である。
【
図3】
図3は、地図情報配信装置で行われる配信処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1に示されるように、地図情報配信装置1は、車両Vに搭載された車載器2に対して地図情報を配信する。車両Vは、自動運転車両であってもよく、手動運転車両であってもよい。車載器2は、地図情報配信装置1から配信された地図情報を利用する機器である。地図情報配信装置1から配信された地図情報は、例えば、車両Vの走行経路を決定する処理、車両Vの自動運転、及び車両Vの乗員へ走行経路や周囲の情報を提示する処理等、種々の用途に利用される。また、車載器2は、車両Vに取り付けられていることに限定されず、例えば、地図情報配信装置1と通信可能な携帯端末等を含んでいてもよい。
【0013】
地図情報配信装置1は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、通信装置等を有する電子制御ユニットである。地図情報配信装置1は、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。地図情報配信装置1は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0014】
地図情報配信装置1は、無線通信によって、車両Vの車載器2と通信を行うことができる。地図情報配信装置1は、車載器2からの配信要求に基づいて、地図情報を配信する。車載器2は、車両Vの走行に伴って所定のタイミングで、地図情報配信装置1に対して地図情報の配信要求を行う。この配信要求には、少なくとも、車両Vの位置情報が含まれている。また、本実施形態において、配信要求には、車両Vの走行予定経路、及び車両Vの車速がさらに含まれている。なお、車載器2は、車両Vの走行予定経路として、例えばカーナビゲーションシステム等によって設定された走行経路を用いてもよい。車載器2は、周知の方法によって車両Vの位置情報及び車両Vの車速を取得することができる。
【0015】
地図情報配信装置1は、機能的には、位置情報取得部11、経路取得部12、車速取得部13、通信速度取得部14、地図記憶部15、エリア設定部16、及び配信部17を含んでいる。位置情報取得部11は、車載器2が送信した配信要求に基づいて、車両Vの位置情報を取得する。経路取得部12は、車載器2が送信した配信要求に基づいて、車両Vの走行予定経路を取得する。車速取得部13は、車載器2が送信した配信要求に基づいて、車両Vの車速を取得する。
【0016】
通信速度取得部14は、配信部17が車載器2(車両V)に地図情報を送信するときの通信速度を取得する。例えば、通信速度取得部14は、車載器2が配信要求を行ったときの通信状態に基づいて、地図情報を送信するときの通信速度を推定してもよい。これ以外にも、通信速度取得部14は、地図情報配信装置1と車載器2との通信状態を種々の方法によって取得し、地図情報を送信するときの通信速度を推定することができる。
【0017】
地図記憶部15は、車両Vの車載器2に配信する地図情報を記憶している。地図情報には、例えば、道路の位置情報、及び建物の情報等、種々の情報が含まれている。本実施形態において地図記憶部15が記憶する地図情報は、情報に変更があった場合等、所定のタイミングで更新されている。
【0018】
エリア設定部16は、位置情報取得部11で取得された位置情報に基づいて、地図記憶部15が記憶する地図情報のうち、地図情報を車載器2に配信する配信対象エリアを設定する。例えば、エリア設定部16は、車両Vの位置を含むように、配信対象エリアを設定する。エリア設定部16は、地図をメッシュ状に区切った地図メッシュを用いて、地図メッシュ単位で配信対象エリアを設定してもよい。
【0019】
ここで、例えば、道路が単調である場合や建物が少ない場合等、同じ面積のエリア同士であっても、エリアによって地図情報のデータ量が異なることがある。このため、エリア設定部16は、車載器2に配信する地図情報のデータ量が予め定められた基準データ量以上となるように、配信対象エリアを設定する。これにより、エリア設定部16は、例えば、データ量が少ないエリアを含む場合、データ量が少ないエリアを含まない場合に比べて、配信対象エリアを広く設定することができる。
【0020】
なお、エリア設定部16は、通信速度取得部14で取得された通信速度が遅い場合、通信速度が速い場合に比べて基準データ量を小さくする。つまり、エリア設定部16は、通信速度が速い場合には、通信速度が遅い場合に比べて配信対象エリアを広く設定することができる。
【0021】
エリア設定部16は、地図記憶部15が記憶する地図情報及び位置情報取得部11で取得された車両Vの位置情報に基づいて、配信対象地点を探索する。この配信対象地点には、車両Vの前方に存在する合流地点及び分岐地点の少なくともいずれかが含まれる。この配信対象地点には、合流地点及び分岐地点以外の地点が含まれていてもよい。ここで、エリア設定部16は、経路取得部12で取得された走行予定経路上において、車両Vの前方に存在する配信対象地点を探索する。エリア設定部16は、探索した配信対象地点を含むように配信対象エリアを設定する。
【0022】
具体的には、エリア設定部16は、例えば
図2に示されるように、走行予定経路L上において車両Vの前方に存在する合流地点P1及び分岐地点P2をそれぞれ配信対象地点として探索する。エリア設定部16は、探索した配信対象地点(合流地点P1及び分岐地点P2)を含むように、配信対象エリアRを設定する。なお、
図2に示される配信対象エリアRの形状及び広さは一例であり、この設定の仕方に限定されない。
【0023】
なお、エリア設定部16は、車速取得部13で取得された車速が速い場合、車速が遅い場合に比べて、車両Vの前方に存在する配信対象地点がより多く含まれるように配信対象エリアを設定する。ここで、車両Vの車速が速い場合には、車速が遅い場合に比べて配信対象地点に早く到達する。このため、エリア設定部16は、車速が速い場合には、予め多くの配信対象地点を車両Vに配信できるように配信対象エリアを設定する。
【0024】
配信部17は、エリア設定部16で設定された配信対象エリアの地図情報を、配信要求を行った車載器2(車両V)に配信する。例えば、配信部17は、配信対象となる車載器2を、配信要求に含まれる識別情報等に基づいて特定してもよい。
【0025】
次に、地図情報配信装置1で行われる地図情報の配信処理の流れについて、
図3のフローチャートを用いて説明する。
図3に示される処理は、処理がエンドに至った場合、所定時間後に再びスタートから処理が開始される。
図3に示されるように、位置情報取得部11は、車載器2から送信された配信要求を受信したか否かを判定する(S101)。配信要求が受信されない場合(S101:NO)、位置情報取得部11は、所定時間後に再びS101の処理を実行する。
【0026】
配信要求が受信された場合(S101:YES)、位置情報取得部11は、配信要求に含まれる位置情報を取得する。経路取得部12は、配信要求に含まれる走行予定経路を取得する。車速取得部13は、配信要求に含まれる車速を取得する。通信速度取得部14は、車載器2に地図情報を送信するときの通信速度を取得する(S102)。なお、S102の処理において、位置情報等の各情報を取得する順序は問わない。
【0027】
エリア設定部16は、地図記憶部15が記憶する地図情報及び位置情報取得部11で取得された車両Vの位置情報等に基づいて、配信対象地点を探索する(S103)。そして、エリア設定部16は、探索した配信対象地点を含むように、S102で取得した車両Vの位置情報、車速、走行予定経路、及び通信速度に基づいて、車載器2に地図情報を配信する配信対象エリアを設定する(S104)。配信部17は、エリア設定部16で設定された配信対象エリアの地図情報を、配信要求を行った車載器2に配信する(S105)。
【0028】
以上のように、地図情報配信装置1では、地図情報を配信する配信対象エリアの設定を、車両V(車載器2)側ではなく地図情報配信装置1側において行う。これにより、車両V側では位置情報等を地図情報配信装置1に送信するだけでよく、車両V側における配信対象エリアの設定の処理負荷を低減できる。そして、地図情報配信装置1側において、車両Vに配信する配信対象エリアをコントロールすることができる。
【0029】
また、同じ面積のエリア同士であっても、道路が単調である等、エリアによって地図情報のデータ量が異なることがある。このため、地図情報配信装置1は、配信する地図情報のデータ量が基準データ量以上となるように配信対象エリアを設定する。これにより、地図情報配信装置1は、データの配信容量に余裕がある場合に、広範囲の地図情報を配信することができる。このように、地図情報配信装置1は、地図情報の配信において車両V側での処理負荷の増加を抑制しつつ、適切な配信対象エリアの地図情報を車両Vに配信できる。
【0030】
エリア設定部16は、通信速度取得部14で取得された通信速度が遅い場合、通信速度が速い場合に比べて基準データ量を小さくする。つまり、エリア設定部16は、通信速度が遅い場合、通信速度が速い場合に比べて配信する地図情報のデータ量が小さくなるように配信対象エリアを設定することができる。これにより、地図情報配信装置1は、通信速度が遅い場合であっても、例えば地図情報の配信の途中で通信エラーが生じる等の不具合の発生を抑制できる。このように、地図情報配信装置1は、車載器2との通信速度に応じて、地図情報を適切に配信することができる。
【0031】
地図情報配信装置1は、地図情報と車両Vの位置情報とに基づいて車両Vの前方の道路状況を把握することができる。このため、車両Vの両前方に存在する合流地点等の配信対象地点を含むように地図情報を車両Vに配信することにより、配信対象地点の道路状況に応じた対応を車両V側において事前に行うことができる。
【0032】
なお、エリア設定部16は、経路取得部12で取得された走行予定経路上において、車両Vの前方に存在する合流地点等の配信対象地点を探索する。これにより、エリア設定部16は、配信対象地点として、車両Vの走行に関連する地点を探索するすることができる。
【0033】
また、エリア設定部16は、車両Vの速度に応じた数の配信対象地点が含まれるように配信対象エリアを設定する。これにより、地図情報配信装置1は、車両V側においてより好適に利用可能な範囲の地図情報を配信することができる。
【0034】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、エリア設定部16は、経路取得部12で取得された走行予定経路、車速取得部13で取得された車速、及び通信速度取得部14で取得された通信速度のうちの少なくともいずれかを用いずに、配信対象エリアを設定してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…地図情報配信装置、11…位置情報取得部、12…経路取得部、13…車速取得部、14…通信速度取得部、16…エリア設定部、17…配信部、L…走行予定経路、R…配信対象エリア、V…車両。