IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パイオラックスの特許一覧

<>
  • 特開-部品取付構造 図1
  • 特開-部品取付構造 図2
  • 特開-部品取付構造 図3
  • 特開-部品取付構造 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174382
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】部品取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20241210BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
F16B19/00 E
F16B5/06 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092190
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 徹
【テーマコード(参考)】
3J001
3J036
【Fターム(参考)】
3J001FA03
3J001GA01
3J001GB01
3J001HA02
3J001JD26
3J001KA21
3J001KB01
3J036AA01
3J036CA06
(57)【要約】
【課題】取付具による部品の保持力を向上した部品取付構造を提供する。
【解決手段】部品取付構造は、部品と、部品を取付部材に取り付ける取付具10と、を備える。取付具10は、取付部材に固定する固定部14と、固定部14に連結するフランジ部12と、フランジ部12から立設する軸部16と、を備える。軸部16には軸部16の立設方向に交差する方向に貫通する空隙部20が形成される。部品は、軸部16を覆うようにインサート成形されており、部品は、空隙部20を貫通するように埋めて設けられる連結部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品と、
前記部品を取付部材に取り付ける取付具と、を備え、
前記取付具は、
前記取付部材に固定する固定部と、
前記固定部に連結するフランジ部と、
前記フランジ部から立設する軸部と、を備え、
前記軸部には前記軸部の立設方向に交差する方向に貫通する空隙部が形成され、
前記部品は、前記軸部を覆うようにインサート成形されており、
前記部品は、前記空隙部を貫通するように埋めて設けられる連結部を有することを特徴とする部品取付構造。
【請求項2】
前記空隙部は、複数形成されることを特徴とする請求項1に記載の部品取付構造。
【請求項3】
前記空隙部は、立設方向に並んで配置されることを特徴とする請求項2に記載の部品取付構造。
【請求項4】
前記固定部は、互いに対向して接近または離間するように撓み可能な一対の弾性爪を有し、
前記空隙部は、一対の前記弾性爪の対向方向に直交する方向に貫通することを特徴とする請求項1または2に記載の部品取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付具によって部品を取付部材に取り付けるための部品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、衝撃エネルギー吸収材本体と、衝撃エネルギー吸収材本体を車体板金に取り付けるためのクリップとを備える衝撃エネルギー吸収材が開示されている。このクリップは、衝撃エネルギー吸収材本体の底面に沿って配置されるフランジと、フランジから衝撃エネルギー吸収材本体側に突設された軸部と、軸部の先端から拡開して衝撃エネルギー吸収材本体中に埋設されたアンカーと、このアンカーに設けられた切欠部とを備える。衝撃エネルギー吸収材本体は、発砲合成樹脂成形体であってクリップに一体成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-122686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術では、衝撃エネルギー吸収材本体がクリップの軸部およびアンカーを覆うだけでクリップに一体化されているため、クリップとの連結力が十分でないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、取付具による部品の保持力を向上した部品取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の部品取付構造は、部品と、部品を取付部材に取り付ける取付具と、を備える。取付具は、取付部材に固定する固定部と、固定部に連結するフランジ部と、フランジ部から立設する軸部と、を備える。軸部には軸部の立設方向に交差する方向に貫通する空隙部が形成される。部品は、軸部を覆うようにインサート成形されており、部品は、空隙部を貫通するように埋めて設けられる連結部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取付具による部品の保持力を向上した部品取付構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例の取付具の斜視図である。
図2】実施例の取付具の正面図である。
図3】実施例の部品取付構造の断面図である。
図4図4(a)は、第1変型例の取付具の正面図であり、図4(b)は、第2変形例の取付具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例の取付具10の斜視図である。また、図2は、実施例の取付具10の正面図である。取付具10は、部品を取付部材に取り付けるために用いられる。部品については後述するが、例えば、開口を閉塞する閉塞機能を有する発砲材料や、クッション機能を有するゴム材料で形成される。取付具10は、取付部材に形成された取付孔に固定される。取付部材は、例えば車体パネル、内装パネル、ドアなどである。
【0010】
取付具10は、フランジ部12、固定部14および頭部26を備える。頭部26は、軸部16、張出部18および空隙部20を有する。固定部14は、胴部22および弾性爪24を有する。フランジ部12は円盤状に形成される。
【0011】
固定部14は、フランジ部12に連結し、取付部材に固定する。胴部22は、フランジ部12から垂下するように延出する。弾性爪24は、胴部22を挟んで対向するように一対形成され、胴部22の下端からフランジ部12に向かって延出する。一対の弾性爪24は、互いに接近または離間するように撓み可能である。弾性爪24の先端部に取付孔に係止するテーパ状の係止面が形成される。なお、固定部14は、取付部材に固定すれば、弾性爪を有する態様に限られず、例えば取付部材に形成されたボルトに係止したり、取付部材に固着されてもよい。
【0012】
頭部26の軸部16は、フランジ部12から立設し、円柱状に形成される。軸部16には空隙部20が形成される。空隙部20は、軸部16の立設方向に交差する方向に貫通し、より好ましくは軸部16の立設方向に直交する方向に貫通する。
【0013】
張出部18は、軸部16から径方向外向きに張り出し、その外形は円環状に形成される。図1に示すように、張出部18は、立設方向に離間して複数形成され、フランジ部12に対向するように設けられる。軸部16は、張出部18が形成されている位置で、連結している。これにより、軸部16の剛性を確保できる。張出部18は、図1では3つ形成されるが、2つ以下であってよく、無くてもよい。
【0014】
空隙部20は、対向する一対の張出部18の間とフランジ部12および張出部18との間でそれぞれ形成され、立設方向に並んで配置される。空隙部20は、一対の弾性爪24の対向方向に直交する方向に貫通する。空隙部20は、円筒状に形成されるが、角筒状に形成されてよい。また、空隙部20の断面は真円に限られず、楕円、長孔または多角形であってよい。
【0015】
空隙部20が小さくなり過ぎると、部品が空隙部20内に充填されづらくなり、空隙部20が大きくなり過ぎると、複数の軸部16の剛性が低下し過ぎる。そこで、軸部16の外周の径方向幅D1は、空隙部20の直径D2の2倍以上で、3倍以下の範囲に設定される。これにより、空隙部20の大きさと軸部16の剛性を確保できる。
【0016】
図3は、実施例の部品取付構造1の断面図である。部品取付構造1は、取付具10および部品28を備える。部品取付構造1は、取付具10の頭部26を型に挿入して、その型に部品28の材料を充填するインサート成形によって形成される。これにより、軸部16が部品28で覆われ、空隙部20内が部品28の材料で充填され、部品28の連結部28aが柱状に形成される。
【0017】
例えば、部品28の外形は円柱状や多角柱状に形成される。部品28は、頭部26の軸部16および張出部18を覆い、空隙部20を貫通するように埋めて設けられる。部品28は、頭部26を露出しないように形成される。図3に示すように、部品28は、空隙部20内に充填されて、空隙部20内で柱状部分を形成する。このように、軸部16に貫通した空隙部20を設け、空隙部20内に部品28の材料を充填することで、簡素な構成で、且つ低コストで部品28の保持力を向上できる。また、部品28が取付具10に対して軸周りに回転することを制限できる。
【0018】
空隙部20が複数形成されるため、いずれかの空隙部20内で部品28の連結部28aが破断しても、残りの空隙部20内で連結部28aがつながっているため、保持状態を維持できる。また、空隙部20が複数形成されるため、部品28との接触面積を大きくできる。
【0019】
複数の空隙部20は、軸部16の立設方向に沿って並んで配置される。これにより、軸部16が連結され、軸部16の立設高さを長くしても剛性を高めることができる。
【0020】
空隙部20は、一対の弾性爪24の対向方向に直交する方向に貫通するため、成形時の型抜きを容易にでき、製造コストを抑えることができる。
【0021】
部品28は、発泡材料によって形成され、空隙部20に充填される。発泡材料であるため、空隙部20に充填しやすい。また、発泡材料は、割れやすい材料であるが、複数の空隙部20内に充填することで、取付具10への保持力を向上できる。
【0022】
頭部26の高さH1は、部品28の高さH2の半分よりも大きくてよい。頭部26を十分に高くすることで部品28を強固に支持できる。
【0023】
図4(a)は、第1変型例の取付具100の正面図であり、図4(b)は、第2変形例の取付具200の正面図である。図4(a)および図4(b)に示す取付具は、部品28を保持して部品取付構造1を構成するものであり、固定部14の構成は省略している。
【0024】
図4(a)に示す第1変形例の取付具100は、図2に示す取付具10と比べて、頭部126の形状が異なる。取付具100の頭部126は、軸部116、張出部118、空隙部120および接続部30を有する。
【0025】
頭部126の軸部116は、フランジ部12から立設し、円柱状に形成される。張出部118は、軸部116の先端部から径方向外向きに張り出し、フランジ部12に対向する。
【0026】
軸部116には空隙部120が形成される。空隙部120は、軸部116の立設方向に直交する方向に貫通する。空隙部120は、フランジ部12および張出部118の間で複数形成され、立設方向に並んで配置される。空隙部120の断面は、長孔状に形成される。空隙部120が立設方向に長径の長孔状に形成されることで、空隙部120の断面積を増加しつつ、軸部116の径方向の厚さを確保して、剛性の低下を抑えることができる。
【0027】
図4(b)に示す第2変形例の取付具200は、図2に示す取付具10と比べて、頭部226の形状が異なる。頭部226は、軸部216、張出部218および空隙部220を有する。軸部216は、第1柱部216a、第2柱部216bおよび第3柱部216cを有する。第2変型例の軸部216は3本の柱部によって構成されるのに対し、図1に示す軸部16は1本の柱部によって構成される。
【0028】
第1柱部216a、第2柱部216bおよび第3柱部216cは、フランジ部12から並行に立設する。複数の柱部216a,216b,216cの先端部は、張出部218に連結している。
【0029】
第1柱部216aおよび第2柱部216bの間と、第2柱部216bおよび第3柱部216cの間には空隙部220がそれぞれ形成される。空隙部220は、柱部216a,216b,216cの立設方向に直交する方向に貫通する。空隙部220は、フランジ部12から張出部218に亘って形成される。第1柱部216aおよび第2柱部216bと、第2柱部216bおよび第3柱部216cとは、中途でそれぞれ連結されてよい。また、柱部216a,216b,216cは一対だけで空隙部220は1つだけであってもよい。
【0030】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0031】
1 部品取付構造、 10 取付具、 12 フランジ部、 14 固定部、 16 軸部、 18 張出部、 20 空隙部、 22 胴部、 24 弾性爪、 26 頭部、 28 部品、 28a 連結部、 30 接続部。
図1
図2
図3
図4