(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174383
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】再生プラスチックの製造方法、及び再生プラスチックの成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/00 20060101AFI20241210BHJP
B29B 7/42 20060101ALI20241210BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
B29B7/42
B29B9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092191
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紗矢加
(72)【発明者】
【氏名】成廣 治憲
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 進
(72)【発明者】
【氏名】真嶋 佑樹
【テーマコード(参考)】
4F201
4F401
【Fターム(参考)】
4F201AA03
4F201AA04
4F201AA11
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4F401FA01Z
4F401FA02Z
4F401FA03Z
4F401FA07Z
(57)【要約】
【課題】本発明は、成形性に優れ、押出し開始直後及び連続押出し後における異物及びやけの少ない再生プラスチックの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
第一のスクリュー及び吐出部を具備した押出装置を用いて、印刷物又はラミネート積層体(A)から再生プラスチック(B)を得る、再生プラスチックの製造方法であって、前記印刷物及びラミネート積層体(A)は、基材と印刷層との脱離工程を経たものでなく、
前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、基材及び印刷層を含み、かつ、
ポリオレフィン樹脂を、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中80質量%以上含有し、
印刷物又はラミネート積層体(A)の塩素含有率が、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中0.4質量%以下であり、
前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、バイオマス由来樹脂を含み、
前記バイオマス由来樹脂が、
ウレタン樹脂、ロジン樹脂及びセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
前記押出装置中において前記印刷物又はラミネート積層体(A)を、加熱溶融及び混練して樹脂組成物(a)を得る加熱溶融混練工程、及び、
前記樹脂組成物(a)が、押出装置の吐出部から圧力18MPa以下で押出される押出工程を含む、再生プラスチックの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のスクリュー及び吐出部を具備した押出装置を用いて、印刷物又はラミネート積層体(A)から再生プラスチック(B)を得る、再生プラスチックの製造方法であって、
前記印刷物及びラミネート積層体(A)は、基材と印刷層との脱離工程を経たものでなく、
前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、基材及び印刷層を含み、かつ、
ポリオレフィン樹脂を、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中80質量%以上含有し、
前記印刷物又はラミネート積層体(A)の塩素含有率が、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中0.4質量%以下であり、
前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、バイオマス由来樹脂を含み、
前記バイオマス由来樹脂が、
ウレタン樹脂、ロジン樹脂及びセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
前記押出装置中において前記印刷物又はラミネート積層体(A)を、加熱溶融及び混練して樹脂組成物(a)を得る加熱溶融混練工程、及び、
前記樹脂組成物(a)が、押出装置の吐出部から圧力18MPa以下で押出される押出工程を含む、再生プラスチックの製造方法。
【請求項2】
加熱溶融温度が、120~280℃である、請求項1に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項3】
印刷物又はラミネート積層体(A)のバイオマス度が0.5%以上である、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項4】
ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を含み、前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項5】
印刷物又はラミネート積層体(A)が、更にポリビニルアセタール樹脂を含む、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項6】
ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂及び/又はポリプロピレン樹脂を含む、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項7】
印刷物又はラミネート積層体(A)が、更にバリア層を含む、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項8】
バリア層が、蒸着膜を含む蒸着層、バリアコート層、及びバリア接着剤層からなる群より選ばれる1種以上である、請求項7に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項9】
更に水冷工程を含む、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項10】
印刷物又はラミネート積層体(A)のメルトマスフローレイトが、0.5~15g/10分である、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項11】
印刷層がバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂の塩素含有率が、5質量%以下である、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項12】
押出装置が具備する第一のスクリューの回転数が、50~1000rpmである、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項13】
印刷物又はラミネート積層体(A)が、更に接着剤層を含み、前記接着剤層が、ポリイソシアネートとポリオールとの硬化物を含む、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項14】
加熱溶融混練工程が、酸化防止剤の存在下で実施される、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項15】
加熱溶融混練工程が、相溶化剤の存在下で実施される、請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法。
【請求項16】
請求項1又は2に記載の再生プラスチックの製造方法によって製造される、再生プラスチックの成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン樹脂を含む印刷物又はラミネート積層体から、マテリアルリサイクルを行う、再生プラスチックの製造方法、及び再生プラスチックの成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックフィルムからなるパッケージ、プラスチックボトル、及びその他のプラスチック製品は、海洋にゴミとして廃棄・投棄され環境汚染問題が生じている。プラスチック製品は海水中で粉砕されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり海水中に浮遊する。マイクロプラスチックは、魚類等の海洋生物に摂取され、その体内で濃縮される。そのため、海洋生物を食料として摂取する海鳥や人間等の健康への影響が懸念されている。
【0003】
食品包装材では、フィルム基材として、ポリプロピレン基材(PP)、及びポリエチレン基材(PE)等のポリオレフィン基材が多く使用されている。食品包装材としては、例えば、フィルム基材の片方の面に印刷インキにより印刷を施した印刷物や、フィルム基材に対して印刷インキにより印刷を施し、印刷層上に、必要に応じて接着剤層を介して、シーラントフィルムをラミネートしたラミネート積層体等がある。上記印刷物は、ラミネートするシーラントフィルムが不要である分、プラスチック量を削減することができるが、フィルム基材、並びに印刷層等に含まれる着色剤及びバインダー樹脂の相溶性等の問題から、マテリアルリサイクルが難しい。一方、ラミネート積層体は、フィルム基材として用いるブラスチック量が多い分、環境負荷の観点からマテリアルリサイクルの要望がある。
【0004】
包装材のマテリアルリサイクル方法として、プラスチック基材上に脱離可能な印刷層を設けた印刷物及びラミネート包装材について、界面活性剤を含む脱離液中で印刷層を分離する発明が開示されている(特許文献1)。しかしながら、印刷層の脱離工程が存在することで、加工完了までの時間や、人が関わる段取作業が増える事に繋がり、生産量低下の問題がある。なお、特許文献1に記載された発明において、印刷層を分離させずに包装材をマテリアルリサイクルする方法については、一切想定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、成形性に優れ、押出し開始直後及び連続押出し後における異物及びやけの少ない再生プラスチックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の再生プラスチック製造方法を用いることで上記課題が解決することを見出し、本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記[1]~[16]に関する。
【0009】
[1]第一のスクリュー及び吐出部を具備した押出装置を用いて、印刷物又はラミネート積層体(A)から再生プラスチック(B)を得る、再生プラスチックの製造方法であって、
前記印刷物及びラミネート積層体(A)は、基材と印刷層との脱離工程を経たものでなく、
前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、基材及び印刷層を含み、かつ、
ポリオレフィン樹脂を、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中80質量%以上含有し、
印刷物又はラミネート積層体(A)の塩素含有率が、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中0.4質量%以下であり、
前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、バイオマス由来樹脂を含み、
前記バイオマス由来樹脂が、
ウレタン樹脂、ロジン樹脂及びセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
前記押出装置中において前記印刷物又はラミネート積層体(A)を、加熱溶融及び混練して樹脂組成物(a)を得る加熱溶融混練工程、及び、
前記樹脂組成物(a)が、押出装置の吐出部から圧力18MPa以下で押出される押出工程を含む、再生プラスチックの製造方法。
【0010】
[2]加熱溶融温度が、120~280℃である、[1]に記載の再生プラスチックの製造方法。
【0011】
[3]印刷物又はラミネート積層体(A)のバイオマス度が0.5%以上である、[1]又は[2]に記載の再生プラスチックの製造方法。
【0012】
[4]ウレタン樹脂が、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を含み、前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、[1]~[3]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0013】
[5]印刷物又はラミネート積層体(A)が、更にポリビニルアセタール樹脂を含む、[1]~[4]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0014】
[6]ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂及び/又はポリプロピレン樹脂を含む、[1]~[5]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0015】
[7]印刷物又はラミネート積層体(A)が、更にバリア層を含む、[1]~[6]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0016】
[8]バリア層が、蒸着膜を含む蒸着層、バリアコート層、及びバリア接着剤層からなる群より選ばれる1種以上である、[7]に記載の再生プラスチックの製造方法。
【0017】
[9]更に水冷工程を含む、[1]~[8]いずれかに記載の再生プラスチック製造方法。
【0018】
[10]印刷物又はラミネート積層体(A)のメルトマスフローレイトが、0.5~15g/10分である、[1]~[9]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0019】
[11]印刷層がバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂の塩素含有率が、5質量%以下である、[1]~[10]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0020】
[12]押出装置が具備する第一のスクリューの回転数が、50~1000rpmである、[1]~[11]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0021】
[13]印刷物又はラミネート積層体(A)が、更に接着剤層を含み、前記接着剤層が、ポリイソシアネートとポリオールとの硬化物を含む、[1]~[12]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0022】
[14]加熱溶融混練工程が、酸化防止剤の存在下で実施される、[1]~[13]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0023】
[15]加熱溶融混練工程が、相溶化剤の存在下で実施される、[1]~[14]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法。
【0024】
[16][1]~[15]いずれかに記載の再生プラスチックの製造方法によって製造される、再生プラスチックの成形品の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、成形性に優れ、押出し開始直後及び連続押出し後における異物及びやけの少ない再生プラスチックの製造方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、記載する実施形態又は要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0027】
本明細書において、印刷物又はラミネート積層体(A)は、単に「印刷物又は積層体(A)」と略記する場合があるが同義である。
【0028】
(再生プラスチックの製造方法)
本発明は、第一のスクリュー及び吐出部を具備した押出装置を用いて、印刷物又はラミネート積層体(A)から再生プラスチック(B)を得る、再生プラスチックの製造方法であって、前記印刷物及びラミネート積層体(A)は、基材と印刷層との脱離工程を経たものでなく、前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、基材層及び印刷層を含み、塩素含有率が、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中0.4質量%以下であり、かつ、ポリオレフィン樹脂を、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中80質量%以上含有し、前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、バイオマス由来樹脂を含み、
前記バイオマス由来樹脂が、ウレタン樹脂、ロジン樹脂及びセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、前記押出装置中において前記印刷物又はラミネート積層体(A)を、加熱溶融及び混練して樹脂組成物(a)を得る加熱溶融混練工程、及び、
前記樹脂組成物(a)が、押出装置の吐出部から圧力18MPa以下で押出される押出工程を含むことを特徴とする。
【0029】
「印刷物は、基材と印刷層とを脱離させる脱離工程を経たものでなく」との文言における脱離工程とは、例えばアルカリ等で印刷物から印刷層の大部分を脱離して除く、脱離除去工程のことをいい、何らかの原因により意図せず印刷層が欠落した場合等は「脱離工程を経た」とはいえない。
【0030】
本発明の製造方法においては、印刷物又はラミネート積層体(A)を、加熱溶融及び混練することで、(1)溶融状態となった基材層が、印刷層中に含まれ得る着色剤の凝集を抑制し、かつ印刷層中に含まれるバイオマス樹脂と相溶することで、加熱溶融混練時に印刷物又はラミネート積層体(A)の構成成分同士の相溶性を向上させ、(2)印刷物又はラミネート積層体(A)の塩素含有率が、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中0.4質量%以下であることで、加熱溶融混練工程での塩素ガス発生による再生プラスチックの発泡、及び設備損傷を抑制でき、(3)印刷物又はラミネート積層体(A)中のポリオレフィン樹脂(A)含有量が、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量%中80質量%以上であることで、加熱溶融混練工程での基材層、印刷層が層分離することなく混練され、(4)押出装置の吐出部の圧力を18MPa以下とすることで、異物のフィルター抜けを抑制できるため、押出し開始直後及び連続押出し後の異物及びやけの発生を抑制できると考えられる。なお、上記効果発現のメカニズムは一推察であり、何ら発明を限定するものではない。
【0031】
本発明の課題である、押出し開始直後の異物及びやけとは、加熱溶融混練工程において、印刷物を押出装置へ投入した後、押出装置の吐出部から最初に吐出された再生プラスチックの異物及びやけをいう。また、連続押出し後の異物及びやけとは、押出装置にて再生プラスチックの製造を5時間継続した後、押出装置の吐出部から吐出された再生プラスチックの異物及びやけをいう。なお、上記異物及びやけについては、再生プラスチックを再度加熱溶融し、フィルム状に形成して目視で評価を行った。
【0032】
本発明の製造方法は、印刷物を加熱溶融混練して樹脂組成物(a)とする加熱溶融混練工程と、得られた樹脂組成物(a)を押出す押出工程を必須とするが、更に、押出された樹脂組成物(a)を冷却して、再生プラスチックとする冷却工程を含むことが好ましい。得られる再生プラスチックの形状は特に限定されず、棒状、粒子状、立方体、直方体、不定形等が挙げられる。
【0033】
本発明の製造方法は、印刷物又はラミネート積層体(A)のハンドリング性の観点から、加熱溶融混練工程前に、包装材を破砕する破砕工程を含むことが好ましい。また、ゴミや汚れ等の異物除去の観点から、加熱溶融混練工程前に、印刷物又はラミネート積層体(A)を洗浄する洗浄工程を含むことが好ましい。更にまた、水分除去の観点から、加熱溶融混練工程前に、印刷物又はラミネート積層体(A)を脱水、乾燥する脱水乾燥工程を含むことが好ましい。加えて、加熱溶融混練工程を、酸化防止剤や相溶化剤等の添加剤の存在下で行うことが好ましい。また、異物除去の観点から、押出装置は、その吐出部に異物分離装置を具備することが好ましい。更にまた、再生プラスチックのハンドリング性の観点から、冷却工程の後又は同時に、押出された樹脂組成物を細断するペレタイズ工程を含むことが好ましい。加えて、加熱溶融混練工程を、酸化防止剤や相溶化剤等の添加剤の存在下で行うことが好ましい。
【0034】
<破砕工程>
破砕工程は、加熱溶融混練工程の前に実施されることが好ましい。また、破砕工程は、後述の洗浄工程の前又は洗浄工程と同時に実施されることが好ましく、後述の洗浄工程の前に実施されることがより好ましい。破砕方法は特に制限されず、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、又はハンマーミルを用いる方法が挙げられる。破砕後の印刷物又はラミネート積層体(A)の断片のサイズは辺の長さが1mm~50mmであることが好ましく、3mm~40mmであることがより好ましく、5mm~30mmであることが更に好ましく、8mm~20mmであることが特に好ましい。破砕後の印刷物又はラミネート積層体(A)の断片のサイズが上記範囲である場合、表面積の拡大による洗浄工程及び脱水乾燥工程の効率化や、樹脂組成物の均一化が促進され、押出し開始直後及び連続押出し後の異物の発生を抑制できる。
【0035】
<洗浄工程>
洗浄工程は、加熱溶融混練工程前の印刷物又はラミネート積層体(A)に対して実施されることが好ましく、また、前述の破砕工程後に、破砕された印刷物又はラミネート積層体(A)に対して実施されることが好ましい。洗浄方法としてはバッチ式あるいは連続式等が挙げられ、水、洗剤、中和剤、アルカリ水溶液等の洗浄液を用いてもよい。
【0036】
<脱水乾燥工程>
脱水乾燥工程は、加熱溶融混練工程前の印刷物又はラミネート積層体(A)に対して実施されることが好ましく、脱水の方式としては遠心脱水方式、乾燥方式としては熱風乾燥方式が好適である。脱水乾燥工程においては、脱水又は乾燥のどちらかのみを行ってもよいが、脱水及び乾燥をいずれも行うことが好ましい。脱水乾燥工程を経た後の印刷物又はラミネート積層体(A)中の水分量は、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.6質量%以下が特に好ましい。脱水乾燥工程を経た後の印刷物又はラミネート積層体(A)中の水分量が上記範囲である場合、加熱溶融時の水の気化による発泡を抑制できる。
【0037】
<加熱溶融混練工程>
加熱溶融混練工程は、第一のスクリューを具備した押出装置を用いて、印刷物又はラミネート積層体(A)を加熱溶融混練する工程であり、この工程により、印刷物又はラミネート積層体(A)は加熱溶融され、さらに第一のスクリューで混練されることで、個別の印刷物又はラミネート積層体(A)から、連続相の樹脂組成物へ変化する。樹脂組成物の均一性が高いほど、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後の異物の発生を抑制できる。
加熱溶融混練工程においては、樹脂組成物に起因する再生ブラスチックのやけの発生を抑制させる目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。
【0038】
加熱溶融混練工程において、加熱溶融温度は120℃~280℃であることが好ましく、170℃~250℃であることがより好ましく、180℃~240℃であることが更に好ましい。加熱溶融温度が上記範囲である場合、再生プラスチックの均一性及び低熱履歴が両立できるため、押出し開始直後及び連続押出し後の異物の発生を抑制できる。上記加熱溶融温度の範囲は、印刷物又は積層体(A)のガラス転移温度や、溶融温度、再生プラスチックの形状、成形工程でかかる圧力を考慮する必要がある。
【0039】
第一のスクリューの回転数は、50~1000rpmであることが好ましく、80rpm~850rpmであることがより好ましく、100rpm~600rpmであることが更に好ましい。第一のスクリューの回転数が上記範囲であると、再生プラスチックの均一性、押出装置内での短滞留時間、及びせん断発熱の抑制のバランスが良好となるため、押出し開始直後及び連続押出し後における異物及びやけを抑制できる。なお、スクリューの回転数50~900rpmは、せん断速度に換算すると222~4004sec-1に相当する。せん断速度は、後述の実施例の条件にて、以下式を用いて算出した。
式:(円周率)×(スクリュー径)×(スクリュー回転数)/{(60×(シリンダー内壁とスクリューとの最小間隙距離)}
・スクリュー径:34mm
・シリンダー内壁とスクリューとの最小間隙距離:0.4mm
【0040】
ロングラン時においては、押出し装置が後述する異物分離装置を具備する場合、当該異物分離装置が異物を捕集することで、部分的な閉塞による圧力上昇、及びせん断熱蓄積による押出装置内の温度上昇が発生することがある。しかしながら、スクリュー回転数が50rpm以上であることで、部分的な閉塞後であっても、押出装置内での樹脂組成物の滞留時間が大きく増加することなく、やけの発生を抑制することができる。一方で、スクリュー回転数が1000rpm以下であることで、捕集異物の再混入を抑制することができ、さらに、せん断熱による熱分解を抑制できるため、異物発生を抑制することができる。
【0041】
押出装置内での樹脂組成物の滞留時間は、10~120秒であることが好ましく、15~80秒であることがより好ましく、20~40秒であることが特に好ましい。樹脂組成物の滞留時間が上記範囲である場合、加熱時間及び混練効率が良好となるため、押出し開始直後及び連続押出し後の異物の発生を抑制できる。
【0042】
(押出装置)
本発明の製造方法に用いる押出装置は、第一のスクリュー及び吐出部を具備している。押出装置は一般的に用いられる熱可塑性樹脂等を溶融して成形可能な装置であって、例えば、特開2017-148997号公報に記載された公知の押出装置等を使用することができる。
押出し装置は、具体的には、材料を供給する第一の供給口と、前記第一の供給口から供給された熱可塑性樹脂等の材料を加熱溶融混練する加熱溶融混練部と、前記加熱溶融混練部で加熱溶融混練された熱可塑性樹脂を吐出する吐出部を有しているものが好ましい。
【0043】
上記押出し装置においては、第一のスクリューの回転によるせん断熱、及び電熱ヒーター等の加熱により材料が溶融し、第一のスクリューの回転により、溶融した材料が混練される。前記押出装置としては、例えば二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機が挙げられるが、混練効率の観点から、二軸押出機、又はローター型二軸混練機が好ましい。
【0044】
<添加剤を添加する方法>
本発明の製造方法では、加熱溶融混練工程が、酸化防止剤及び/又は相溶化剤の存在下で実施されることが好ましい。当該酸化防止剤及び/又は相溶化剤は、印刷物又はラミネート積層体(A)に予め含まれるものとは別である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤及び相溶化剤以外の公知の添加剤を添加してもよい。添加剤を添加する方法として、加熱溶融混練工程で、上記第一の供給口から添加剤を添加した印刷物を供給する方法、又は、第二の供給口、及び第二のスクリューを具備する押出装置を用いて添加剤を添加する方法が、好ましい例である。押出装置は、バレル同士を連結して作成できるため、前記バレルの1つ以上が、第二の供給口及び第二のスクリューを具備することができ、第二の供給口及び第二のスクリューの位置は、押出装置のどこにあってもよい。第二の供給口から添加された添加剤は、第二のスクリューにより混練されながら、第一の供給口から投入・加熱溶融混練された樹脂組成物に混合されることが好ましい。
【0045】
(添加剤)
添加剤として、例えば、酸化防止剤、相溶化剤、滑剤、耐候安定剤、可塑剤、帯電防止剤が挙げられ、酸化防止剤、相溶化剤を含むことが好ましい。
【0046】
(酸化防止剤)
酸化防止剤を用いることで、やけの発生を抑制し、押出し開始直後及び連続押出し後のやけが少ない再生プラスチックを得ることができる。酸化防止剤としては、フェノール系、リン酸系、硫黄系、アミン系等の公知の酸化防止剤を使用できるが、フェノール系、リン酸系であることが好ましい。上記酸化防止剤の添加率は、印刷物及び/又はプラスチック積層体の合計質量を基準として0.01~3質量%であることが好ましく、0.05~2質量%であることがより好ましく、0.05~2質量%であることが更に好ましく、0.1~0.5質量%であることが特に好ましい。酸化防止剤の添加率が上記範囲である場合、押出し開始直後及び連続押出し後のやけの発生を抑制できる。
【0047】
(フェノール系酸化防止剤)
フェノール系酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリスフェノール系、テトラフェノール系、ポリフェノール系、チオビスフェノール系等が挙げられ、焼け防止効果の大きい、ビスフェノール系、トリスフェノール系、テトラフェノール系であることが好ましく、テトラフェノール系であることがより好ましい。
【0048】
市販品のフェノール系酸化防止剤として、Irganox1010、Irganox1076、Irganox245(BASF社製)等を使用することができる。
【0049】
(リン酸系酸化防止剤)
リン酸系酸化防止剤としては、モノノニル系、ジノニル系、トリノニル系、アリル系、アルキルアリル系、モノアルキル系、ジアルキル系、トリアルキル系、ジオキサ系が挙げられ、やけ抑制効果の大きい、トリノニル系、アリル系、アルキルアリル系、トリアルキル系、ジオキサ系であることが好ましく、ジオキサ系であることがより好ましい。
【0050】
市販品のリン酸系酸化防止剤として、Irgafos168(BASF社製)、ADK STAB PEP-36(ADEKA社製)等を使用することができる。
【0051】
(相溶化剤)
相溶化剤を用いることで、印刷層由来の着色剤及びバインダー樹脂と他の構成成分とが混ざりやすくなり、押出し開始直後及び連続押出し後の異物が少ない再生プラスチックを得ることができる。
相溶化剤はポリオレフィン共重合体を含むことが好ましく、ポリオレフィン共重合体としてはポリオレフィン-スチレン共重合体、ポリオレフィン-アクリル共重合体、ポリオレフィン-アクリロニトリル共重合体、(無水)マレイン酸変性ポリオレフィン等が好適に挙げられる。ただし、これらに限定されない。「共重合体」とはブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよく、グラフト共重合体であってもよい。(以下、グラフト共重合体の場合は、主鎖=g=側鎖と表記する。)
相溶化剤の好ましい形態として、ポリエチレン=g=ポリスチレン、ポリエチレン=g=スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリプロピレン=g=スチレン-アクリロニトリル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体=g=スチレン-アクリロニトリル共重合体、オキサゾリン基含有ポリスチレン、ポリカーボネート=g=メタクリル酸グリシジル-スチレン-アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸変性ポリオレフィン等が挙げられ、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが好ましい。
【0052】
無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン-ブテン共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン共重合体等が挙げられ、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。
【0053】
相溶化剤の添加率は、印刷物及び/又はラミネート積層体の合計質量を基準として、0.01~1質量%であることが好ましく、0.05~0.8質量%であることがより好ましく、0.05~0.5質量%であることが更に好ましく、0.1~0.2質量%であることが特に好ましい。相溶化剤の添加率が上記範囲である場合、印刷層及び/又はラミネート積層体由来のバインダー樹脂と、ポリオレフィン樹脂との相溶性が向上するため、押出し開始直後及び連続押出し後の異物の発生を抑制できる。
【0054】
相溶化剤としては、アドマーQシリーズ(三井化学社製)、ユーメックスシリーズ(三洋化成社製)等の市販品を使用することができる。
【0055】
(滑剤)
滑剤は、押出装置内における、樹脂組成物同士の摩擦や樹脂組成物と押出装置の摩擦を低下させる役割がある。滑剤として、パラフィンワックスや、合成ポリエチレン等の炭化水素系滑剤、ステアリン酸、ベヘニン等の脂肪酸系、ステアリルアルコール等の高級アルコール系、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等の脂肪酸アマイド系、ステアリン酸カルシウム、亜鉛、マグネシウム等の金属石鹸系、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート等のエステル系が挙げられ、脂肪酸アマイド系が好ましい。
【0056】
滑剤の添加率は、印刷物及び/又はプラスチック積層体の合計質量を基準として0.01~5質量%であることが好ましく、0.03~3質量%であることがより好ましく、0.05~1質量%であることが更に好ましい。
【0057】
上記滑剤としては、脂肪酸アマイドS(花王社製)、脂肪酸アマイドO-N等の市販品を使用することができる。
【0058】
(耐候安定剤)
耐候安定剤は、紫外線を吸収し、プラスチックの耐候寿命を延長させる役割がある。耐候安定剤として、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダードアミン系等が挙げられる。
【0059】
耐候安定剤の添加率は、印刷物及び/又はプラスチック積層体の合計質量を基準として0.05~5質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。
【0060】
上記耐候安定剤としては、アデカスタブALAシリーズ(ADEKA社製)等の市販品を使用することができる。
【0061】
(可塑剤)
可塑剤は、プラスチックに柔軟性を付与する役割がある。可塑剤として、エポキシ化大豆油やエポキシ化アマニ油等のエポキシ化植物油系、ジオクチルフタレートやジブチルフタレート等のフタル酸エステル系、二塩基酸とグリコール類のポリエステル等のポリエステル系が挙げられる。
【0062】
可塑剤の添加率は、印刷物及び/又はプラスチック積層体の合計質量を基準として0.1~50質量%であることが好ましく、0.5~30質量%であることがより好ましく、1~15質量%であることが更に好ましい。
【0063】
上記可塑剤としては、アデサイザーPNシリーズ(ADEKA社製)等の市販品を使用することができる。
【0064】
(帯電防止剤)
帯電防止剤は、プラスチックが帯電することを抑制する役割を持つ。帯電防止剤として、脂肪酸スルホン酸塩、及び脂肪酸エステル系が挙げられる。
【0065】
上記帯電防止剤としては、エレクトロマスターシリーズ(花王社製)、エレクトロストリッパー(花王社製)等の市販品を使用することができる。
【0066】
帯電防止剤の添加率は、印刷物及び/又はプラスチック積層体の合計質量を基準として0.05~3質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。
【0067】
<押出工程>
押出工程において、樹脂組成物は、押出し装置が具備する吐出部から吐出される。一実施形態として、吐出部が異物分離装置を具備し、樹脂組成物が当該異物分離装置を通過し吐出されることが好ましい。
加熱溶融混練した樹脂組成物の吐出において、押出装置の押出圧力は、押出装置の耐久性の観点から、18MPa以下であり、0.1~18MPaであることが好ましく、1~12MPaであることがより好ましく、3~7MPaであることが更に好ましい。なお、押出装置の押出圧力は、常に一定である必要はないが、ここでいう押出圧力は、押出工程中の最大押出圧力である。
押出圧力が上記範囲である場合、異物分離装置による異物分離効率が良好となるため、押出し開始直後及び連続押出し後の異物の発生を抑制できる。吐出圧は、加工温度、スクリュー回転数、吐出量、樹脂粘度、再生プラスチックへの異物を取り除くために使用される異物分離装置(スクリーンメッシュ等)の影響を受ける。また、不溶物、異物等のメッシュの詰まりや、水分、塩素含有物等に起因した発泡等も圧力の変化の要因となる。
【0068】
押出装置の吐出量は、1時間あたり、5~60kgであることが好ましく、10~50kgであることがより好ましく、15~40kgであることが特に好ましい。上記範囲である場合、吐出圧力及び混練効率が良好となるため、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後における異物及びやけの発生を抑制できる。
【0069】
(異物分離装置)
押出装置の吐出部は、樹脂組成物中の異物を取り除くため、異物分離装置を具備することが好ましい。異物分離装置として、例えば、スクリーンメッシュ(金属の網)が挙げられる。スクリーンメッシュとして、例えば、平織、綾織、平畳織及び綾畳等の織製織と、パンチングメタルのタイプが挙げられるが、異物除去の観点から、平織が好ましい。
スクリーンメッシュのサイズは異物除去、吐出部圧力、及び目詰まり性を考慮し、20~200メッシュであることが好ましく、60~150メッシュであることがより好ましく、80~140メッシュであることが更に好ましい。
【0070】
<冷却工程>
押出工程で押出された樹脂組成物は、冷却工程で冷却され、再生プラスチックとすることが好ましい。
冷却工程における冷却方法としては、例えば空冷、風冷、水冷が挙げられる。本発明においては、水冷工程を含むことが好ましい。冷却工程における冷却温度は20℃~80℃であることが好ましく、30℃~60℃であることがより好ましい。冷却工程は、後述のペレタイズ工程と同時に実施してもよく、ペレタイズ工程の後に行ってもよい。具体的には例えば、押出された樹脂組成物(D)を押出し直後に空冷しながらペレタイズし、その後水冷してもよい。
【0071】
<ペレタイズ工程>
再生プラスチックはペレタイズ工程によりペレット状に加工してもよく、上述の冷却工程中にペレタイズを行ってもよい。ペレタイズ方法としては例えば、ホットカット方式、ストランドカット方式が挙げられ、特に制限されないが、連続生産性を考慮し、ホットカット方式が好ましい。
【0072】
(印刷物又はラミネート積層体(A))
本発明の再生プラスチックの製造方法では、原料として、印刷物又はラミネート積層体(A)を用いる。印刷物又はラミネート積層体(A)は、基材層及び印刷層を含む。
その構成は、具体的には、以下の構成を例示することができるが、これらに限定されない。なお以下の構成表示においては、「/」は各層の境界を意味する。接着剤層は従来公知の方法であるドライラミネート及びノンソルラミネートで使用される接着剤で構成されるものに限らず、押し出しラミネートにおける、ポリオレフィン樹脂やその他の熱可塑性樹脂である場合も含まれる。なお、印刷層等の各層は、それぞれ1番目の印刷層、2番目の印刷層のように実際は複数層が接して積層されている場合には、合わせて単に印刷層と表記している。
(1)基材/印刷層/接着層/シーラント
(2)基材/印刷層/接着剤層/中間基材/接着剤層/シーラント
(3)基材/印刷層/接着剤層/第1の中間基材/接着剤層/第2の中間基材/接着剤層/シーラント
(4)基材/印刷層/熱可塑性樹脂層
(5)基材/印刷層/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(6)基材/印刷層/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/中間基材/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(7)基材/印刷層/接着剤層/中間基材/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(8)基材/印刷層/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/中間基材/接着剤層/シーラント
(9)印刷層/基材
(10)印刷層/基材/ヒートシール剤層
(11)印刷層/シーラント
(12)印刷層/基材/接着剤層/シーラント
(13)印刷層/基材/接着剤層/中間基材/接着剤層/シーラント
(14)印刷層/基材/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
【0073】
上記構成においてAC剤層とは、アンカーコート剤層を表し、()は、任意の構成であることを表す。また、上記構成はそれぞれ、さらにバリア層を含んでいる場合も好ましく、バリア層の好ましい形態としては、蒸着層、バリアコート層、又はバリア接着剤層から選ばれる少なくとも一種である。
【0074】
バリア層を含む好ましい形態を以下に示す。
(15)基材/蒸着層/印刷層/接着剤層/シーラント
(16)基材/印刷層/接着剤層/蒸着層/中間基材/接着剤/シーラント
(17)基材/印刷層/接着剤層/蒸着層/シーラント
(18)基材/バリアコート層/印刷層/接着剤層/シーラント
(19)基材/印刷層/バリアコート層/接着剤層/シーラント
(20)基材/印刷層/バリア接着剤層/シーラント
ただし、本発明の形態はこれらに限定されない。
【0075】
(バイオマス由来樹脂)
印刷物又はラミネート積層体(A)は、バイオマス由来樹脂を含み、バイオマス由来樹脂は、ウレタン樹脂、ロジン樹脂及びセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。また、印刷物又はラミネート積層体(A)のバイオマス度は、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることが更に好ましく、10%であることが特に好ましい。バイオマス度が高いほど、化石燃料由来成分の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。ここで、「バイオマス度」とは、バイオマス由来成分の質量比率を示すものである。
【0076】
バイオマス由来樹脂は、印刷物又はラミネート積層体(A)が有するいずれの層に含まれていてもよいが、バインダー樹脂として印刷層に含まれることが好ましく、印刷物又はラミネート積層体(A)が接着剤層を有する場合、接着剤層に含まれることも好ましい。
【0077】
(ポリオレフィン樹脂)
本発明は、再生ポリオレフィン樹脂の製造が主眼であるため、印刷物は、ポリオレフィン樹脂を、印刷物の全質量中80質量%以上含有するものを用いる。ポリオレフィン樹脂の含有率は85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。上記範囲である場合、樹脂組成物の均一性が向上するため、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後における異物の発生を抑制できる。ポリオレフィンはポリプロピレン及び/又はポリエチレンであることが好ましい。当該ポリプロピレンは、エチレン及び/又はブテンとの共重合体であることがより好ましい。
【0078】
(印刷物又はラミネート積層体(A)の態様)
印刷物又はラミネート積層体(A)が、基材及びシーラントを有する場合、以下の形態であることがより好ましい。
(1)基材及びシーラントがいずれもポリプロピレンを含む
この場合、積層体(A)の加熱溶融温度は150~250℃が好ましく、180~230℃がなお好ましく、190~220℃が更に好ましい。
(2)基材がポリプロピレンを含み、シーラントがポリエチレンを含む
この場合、積層体(A)の加熱溶融温度は140~240℃が好ましく、170~220℃がなお好ましく、180~210℃が更に好ましい。
(3)基材及びシーラントがいずれもポリエチレンを含む
この場合、積層体(A)の加熱溶融温度は130~230℃が好ましく、160~210℃がなお好ましく、170~200℃が更に好ましい。
【0079】
(塩素含有率)
印刷物又は積層体(A)に含有されることのあるハロゲン元素によって、再生プラスチック製造時にハロゲンガスや酸性ガスである塩化水素が発生し、設備が損傷する、又は人体の健康が脅かされる恐れがある。そのうえ、再生プラスチック製造時に気泡が発生した場合、製造された再生プラスチックを用いて、成形品を製造する際に、表面に凹凸が発生しやすく、成形品の表面状態が悪化する恐れがある。そのため、印刷物又は積層体(A)の塩素含有率は、印刷物又は積層体(A)の全質量中、0.4質量%以下であることが必要であり、0.2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがなお好ましい。
【0080】
(印刷物又は積層体(A)の塩素含有率測定方法)
本発明において、印刷物又は積層体(A)の塩素含有率は、JISK0127(2013)に準拠して測定される。この測定方法では、燃焼法にて前処理を行ったサンプルをイオンクロマトグラフ法で定量する。
【0081】
(印刷物又は積層体(A)のメルトマスフローレイト(MFR))
印刷物又は積層体(A)のメルトマスフローレイト(MFR)の測定は、辺の長さが5mm~10mmとなるように破砕して実施される。本発明におけるMFRは、JISK7210に準拠し、温度190℃、圧力2.6kgfの条件で測定される値である。
印刷物又は積層体(A)のMFRは、好ましくは0.5~15g/10分であり、より好ましくは1.0~14g/10分であり、更に好ましくは3~13g/10分である。
印刷物又は積層体(A)のMFRが上記範囲である場合、加熱溶融混練工程での流動性が向上するため、押出し開始直後及び連続押出し後におけるやけの発生を抑制できる。
【0082】
(基材)
基材は、原料としてポリオレフィン樹脂を主として含むプラスチック基材であることが好ましい。基材は、フィルム又はシート状の形態であると、再生プラスチックの均一性が向上する結果、異物が低減し、引張強度が向上するため好ましい。
ポリオレフィン樹脂を主として含む基材は、エステル系基材と比較して耐熱性が高く、加熱溶融混練工程及び再生プラスチックの成形過程時において熱分解や加水分解等が起きにくいため、分子量を高く維持することができる。
更に、ポリオレフィン樹脂を主として含むプラスチック基材として例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、及びこれらを積層したフィルム等が好適に挙げられる。基材の厚みは特に限定されず、再生プラスチックの異物の低減及び引張強度向上の観点から、好ましくは5μm以上150μm以下であり、より好ましくは10μm以上70μm以下である。また、ヒートシール性を有するフィルムは好適に用いられ、CPPやヒートシール性OPP等がそれに該当する。
【0083】
ポリオレフィン樹脂(C)を主として含む基材としては、単純にポリオレフィン基材同士が積層されていてもよいし、ポリオレフィン基材とは異なる基材が積層されていてもよい。「ポリオレフィン基材とは異なる基材」は、ポリオレフィン基材と異なる性質を有するフィルムが挙げられ、種類を問わない。また、積層された基材である場合は接着層を含む形態であってもよい。プラスチックを積層させる方法は特に限定されず、共押出製法、熱融着、接着層を介した圧着等、従来公知の方法が挙げられる。
【0084】
基材は、帯電防止剤、防曇剤、紫外線防止剤等の添加剤を、塗工又は混錬により含む形態、易接着性コート層(例えばポリビニルアルコール及びその誘導体を含む層)を有する形態、基材の表面をコロナ処理あるいは低温プラズマ処理した形態、蒸着層、又はバリアコート層を有するバリア基材である形態等が好ましい。上記の添加や加工は、印刷インキや、その他コーティング剤の濡れ性を向上させる目的や、フィルムに特定の機能性を持たせる目的でも施され、例えば、湿気による包材の曇りを防止することで内容物の視認性に優れた包材を提供するのにも好適に用いられる。
【0085】
(印刷層)
印刷層は、装飾又は美感の付与;内容物、賞味期限、及び、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の絵柄、パターン、文字、及び記号等を表示する層であることができる。印刷層は、絵柄、パターン、文字、及び記号等を有さないベタ印刷層であってもよい。印刷層の形成方法は特に制限されず、例えば着色剤及びバインダー樹脂を含む印刷インキを用いて形成することができる。また、印刷層は、単層構成でも複層構成でもよく、表層に設けられていてもよい。印刷層の厚みは、0.1~12g/m2であることが好ましく、0.5~6g/m2であることがより好ましく、1~3g/m2であることが更に好ましい。
【0086】
(バインダー樹脂)
上述したように、印刷物又は積層体(A)の印刷層はバインダー樹脂を含むことが好ましく、また、バインダー樹脂を含む印刷インキを用いて形成することが好ましい。また、本発明においては、バインダー樹脂はバイオマス由来樹脂を含み、前記バイオマス由来樹脂は、ウレタン樹脂、ロジン樹脂及びセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
【0087】
(ウレタン樹脂)
本発明において、ウレタン樹脂は二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を含むことが好ましく、前記二塩基酸及び/又はジオールがバイオマス由来成分であることが好ましい。前記二塩基酸は、セバシン酸、コハク酸、ダイマー酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。これらの二塩基酸を含むことで、上述の洗浄工程等において加水分解が容易となり、質の高い再生プラスチックを得ることができる。前記二塩基酸は、セバシン酸及び/又はコハク酸を含むことがより好ましく、セバシン酸を含むことが特に好ましい。
【0088】
ウレタン樹脂の製造方法に特に制限はなく、公知の方法により適宜製造される。ポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン樹脂や、ポリオールとポリイソシアネートとからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンとを反応させることにより得られるウレタン樹脂等が好ましい。製造方法としては例えば、特開2013-256551号公報に記載の方法等が挙げられる。
なお、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を得るためには、上記ポリオールとして二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
【0089】
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートは、ジイソシアネートを含むことが好ましい。当該ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;α,α,α,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート及び2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、反応の制御が簡単で、得られるウレタン樹脂の性能のバランスが良好である観点から、脂環族又は芳香脂肪族ジイソシアネートが好ましく、特に、イソホロンジイソシアネート、α,α,α,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが好ましい。ジイソシアネートは、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
本発明においては、上記ポリイソシアネートとして、バイオマス由来のイソシアネートを用いることも好ましい。例えばバイオマス由来のジイソシアネートは、バイオマス由来の二価カルボン酸を酸アミド化、還元することで末端アミノ基に変換し、さらに、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得ることができる。バイオマス由来のイソシアネートを用いることにより、環境負荷低減に貢献できる。
【0091】
バイオマス由来のイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、バイオマス由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによっても植物由来のイソシアネート化合物を得ることができる。例えば、リシンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートは、リシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、末端がイソシアネート基になるように、上記のイソシアネート化合物とジオール化合物とを重合してなるポリマー又はオリゴマーも使用できる。
【0092】
(ポリオール)
ポリオールは、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を含むことが好ましく、上記二塩基酸及び/又はジオールがバイオマス由来成分であることが好ましく、上記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。ポリオールに二塩基酸とジオールの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を含有させるためには、二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオールを用いることが好ましい。また、当該ポリエステルポリオールに加え、上記二塩基酸を含まないポリエステルポリオールや、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールのほか、ポリオレフィンポリオール等の併用も可能である。
【0093】
ポリオールの数平均分子量は、500~10,000であることが好ましい。ここでポリオールの数平均分子量は水酸基価から算出されるものであり、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化又はアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って測定した値である。ポリオールの数平均分子量が10,000以下であると、インキのプラスチック基材に対する耐ブロッキング性に優れる。また、ポリオールの数平均分子量が500以上であると、ウレタン樹脂被膜の柔軟性に優れ、インキのプラスチックフィルムへの密着性に優れる。以上の理由より、より好ましいポリオールの数平均分子量は1,000~5,000である。
【0094】
ポリオールは、ジオールであることが好ましい。なお、ジオールとは1分子中に水酸基を2個有する化合物をいう。上記ジオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネート、ポリブタジエングリコール等のポリオールが挙げられる。ジオールは、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
ポリエステルポリオールに用いられるジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が好適に挙げられる。また、ジオールは、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール等の直鎖状ジオールと、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等の分岐状ジオールを併用して使用することが好ましい。
【0096】
バイオマス由来のジオールとしては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等が好適である。
【0097】
ポリエステルポリオールに用いられる二塩基酸としては、バイオマス由来成分であることが好ましく、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。その他の二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシル二塩基酸、水添ダイマー酸等も好適に挙げられる。二塩基酸の全質量中、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を5質量%以上含むことが好ましく、10質量%含むことがなお好ましく、20質量%含むことが更に好ましい。中でも二塩基酸は、少なくともセバシン酸を含むことが好ましい。
【0098】
さらにポリエステルポリオールの原料としてヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、及び/又はカルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
【0099】
(鎖伸長剤)
鎖伸長剤は、ポリアミンであることが好ましい。当該ポリアミンとしては、以下に限定されないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等のジアミンが好適に挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0100】
鎖延長剤としては、アミノ酸も使用することができる。アミノ酸とは、アミノ基と酸性官能基の両方を一分子中に有する化合物をいい、グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸等が好適に挙げられる。なお、ウレタン樹脂の合成過程において、当該酸性基はイソシアネート基と未反応である確率が高いため、ウレタン樹脂において当該酸性基が残存し、酸価を保持させることができるものである。
【0101】
(反応停止剤)
反応停止剤は、ウレタン化工程のみで生成できるウレタン樹脂の場合、モノアルコール又はモノアミンの使用が好ましく、ウレタン化工程に加えてウレア化反応工程を行って生成するウレタン樹脂の場合はモノアミンを使用することが好ましい。
モノアルコールとしては置換もしくは未置換のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、等が好適に挙げられる。
モノアミンとしては置換もしくは未置換のモノアミンが好ましく、n-ブチルアミン、n-ジブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等が好適に挙げられる。反応停止剤としては、前記鎖伸長剤として挙げた化合物も利用でき、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0102】
ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの製造において、ポリイソシアネートのNCOとポリオールのOHのモル当量比(ポリイソシアネートのNCOのモル当量/ポリオール化合物のOHのモル当量)は、1.3~3であることが好ましく、1.5~2であることがより好ましい。
【0103】
ウレタン樹脂は、水酸基及び/又はアミノ基等の活性水素基を有することが好ましい。後述のイソシアネート系硬化剤との反応サイトを得るためである。水酸基を有する場合の水酸基価は、0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、1~20mgKOH/gであることがより好ましく、2~15mgKOH/gであることが更に好ましい。アミノ基を有する場合のアミン価は、0.1~15mgKOH/gであることが好ましく、1~12mgKOH/gであることがなお好ましい。一方で、ウレタン樹脂の酸価は5mgKOH/g以下であることが好ましく、3mgKOH/g以下であることがなお好ましい。酸基は後述のイソシアネート系硬化剤とは難反応性であるためである。
【0104】
ウレタン樹脂の質量平均分子量は、5,000~100,000であることが好ましく、7,000~90,000であることがなお好ましく、10,000~80,000であることが更に好ましい。
なお、本発明の質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、HLC-8220(東ソー株社製)カラムとしてPLgel、5μm、MIXED-D(PolymerLaboratories社製)TSKgelSuperAWシリーズ(東ソー株社製)等を使用することができる。質量平均分子量は、ポリスチレン換算値として求めることができる。
【0105】
(ロジン樹脂)
ロジン樹脂とは、ロジン酸(例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸)由来の構造単位を主成分として有するものをいう。ここで、ある構造単位を主成分として有するとは、その構造単位が50質量%以上であることを指す。ロジン酸又はロジン樹脂は水素化されていてもよい。
ロジン樹脂として好ましくは、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、及び重合ロジン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
ロジン樹脂の酸価は、好ましくは350mgKOH/g以下であり、より好ましくは250mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは150mgKOH/g以下である。
一実施形態として、酸価は100mgKOH/g以下が好ましく、50mgKOH/g以下であることがより好ましい。
ロジン樹脂の軟化点は、好ましくは60~180℃であり、より好ましくは70~150℃である。本明細書において、軟化点とは、環球法による測定値であり、JISK2207に準拠して測定することができる。
【0106】
(ロジンエステル)
ロジン樹脂は、分子量が1,000以下の低分子ポリオールとロジン酸とのエステル縮合樹脂であるロジンエステルが好ましい。低分子ポリオールは、好ましくは、1分子中の
水酸基数が2~4(以下、2~4官能と略記する場合がある)であり、分子量が50~500である。このような低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,10-デカンジオール等の2官能低分子ポリオール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3官能低分子ポリオール;エリスリトール、ペンタエリスリトール等の4官能低分子ポリオール;が好適に用いられる。中でも、3官能及び/又は4官能の低分子ポリオールが好ましい。
ロジンエステルの質量平均分子量は、好ましくは500~2,000であり、より好ましくは500~1,500である。
【0107】
(セルロース樹脂)
セルロース樹脂としては、例えばニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース等が挙げられ、上記アルキル基は例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していても良い。中でも、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロースが好ましい。セルロース樹脂の質量平均分子量は、好ましくは5,000~200,000であり、より好ましくは10,000~10,000であり、さらに好ましくは15,000~80,000である。セルロース樹脂のガラス転移点は、好ましくは120℃~180℃であり、より好ましくは130~170℃である。
上述のウレタン樹脂とセルロース樹脂とを併用することで、印刷適性、耐ブロッキング性等が向上する。
【0108】
(ニトロセルロース)
ニトロセルロースは、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましく、平均重合度35~480、更には50~200の範囲のものが好ましい。平均重合度が50以上の場合、インキ被膜の強度が向上し、耐摩擦性、耐もみ性が向上するため好ましい。又、平均重合度が200以下の場合、溶剤への溶解性、インキの低温安定性、併用樹脂との相溶性が向上するため好ましい。また、窒素分は10.5~12.5質量%であることが好ましい。
【0109】
(セルロースアセテートアルキネート)
セルロースアセテートアルキネートは、セルロースと適当な有機酸・酸無水物との反応により得られる。即ち、セルロースを適当な有機酸・酸無水物・触媒と混合し、トリエステルが形成されるまで反応させる。完全にトリエステル化された後、希望の水酸基の水準にするために加水分解する。セルロースアセテートは酢酸でトリエステル化した後、加水分解して得られる。一般的にはアセチル化の度合いが0.6~2.5質量%、水酸基の割合が1.8~5.0%の樹脂が市販されている。セルロースアセテートプロピオネートは酢酸及びプロピオン酸でトリエステル化した後、加水分解して得られる。一般的にはアセチル化の度合いが0.6~2.5質量%、プロピオネート化の度合いが42.0~46.0質量%、水酸基の割合が1.8~5.0%の樹脂が市販されている。セルロースアセテートブチレートは酢酸及び酪酸でトリエステル化した後、加水分解して得られる。一般的にはアセチル化の度合いが2.0~30.0質量%、ブチリル化の度合いが17.0~53.0質量%、水酸基の割合が1.0~5.0%の樹脂が市販されている。上記セルロース系樹脂は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートを用いることが好ましい。
【0110】
本発明において、印刷物又は積層体(A)の印刷層はバイオマス由来樹脂をバインダー樹脂として含むことが好ましく、ウレタン樹脂、ロジン樹脂及びセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましいが、その他の樹脂をバインダー樹脂として併用することも可能である。併用できる樹脂は以下に限定されるものではないが、ポリアミド樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、石油樹脂、及びこれらの変性樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、2種以上を混合して用いることができる。上記の中でも、ウレタン樹脂並びにセルロース樹脂の組み合わせ、及び/又は、セルロース樹脂とポリアミド樹脂との組み合わせを含むことが好ましい。
【0111】
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒド及び/又はホルムアルデヒド等のアルデヒドと反応させてアセタール環化したものであり、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位及びアセタール環基を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール環を60~90質量%、ビニルアルコール単位を5~30質量%、酢酸ビニル単位を0.5~10質量%含むことが好ましく、より好ましくは、アセタール環としてブチラール環を有するポリビニルブチラール樹脂である。
ポリビニルアセタール樹脂の質量平均分子量は、好ましくは10,000~100,000、より好ましくは10,000~80,000である。ポリビニルアセタール樹脂のガラス転移点は、好ましくは50~80℃であり、より好ましくは60~75℃である。
【0112】
バインダー樹脂として複数の樹脂を併用する場合、ガラス転移温度が-60℃以上40℃未満である樹脂と、ガラス転移温度が40℃以上200℃以下である樹脂とを併用することが好ましい。更に好ましくは、ガラス転移温度が-50℃~0℃である樹脂と、ガラス転移温度が50℃~190℃である樹脂とを併用することである。なお、本発明においてガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)における測定値である。
【0113】
(印刷層に含まれるバインダー樹脂の塩素含有率)
印刷層に含まれるバインダー樹脂の塩素含有率は、5質量%以下であることが好ましく、0である場合を含む。ここで、上記塩素含有率は、バインダー樹脂の質量を基準とした場合の塩素原子の含有率(質量%)である。
バインダー樹脂の塩素含有率が5質量%以下であると、環境安全性に優れ、且つ、遊離塩素が発生し難くなる。上記塩素含有率は、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。
【0114】
本発明において、樹脂の塩素含有率は、JISK0127(2013)に準拠して測定される。この測定方法では、燃焼法にて前処理を行ったサンプルをイオンクロマトグラフ法で定量する。
また、印刷層の塩素含有率は、印刷層を構成する各原料の塩素含有率から、以下の式により簡易的に算出することができる。その他各層においても同様である。
式:バインダー樹脂固形分総質量中の塩素含有率(%)=バインダー樹脂固形分総質量中の塩素の質量/バインダー樹脂の固形分総質量(%)
式:印刷層固形分総質量中の塩素含有率(%)=印刷層固形分総質量中の塩素の質量/印刷層の固形分総質量(%)
【0115】
(着色剤)
印刷層は、着色剤を含むことが好ましい。着色剤は顔料であることが好ましく、当該顔料は、有機顔料、無機顔料のいずれでも使用でき、着色剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。再生プラスチックの着色による品質劣化を考慮し、印刷層全質量中の着色剤の含有率が、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがなお好ましく、23質量%以下であることが更に好ましい。なお、着色剤は顔料であることが好ましく、当該顔料は、有機顔料、無機顔料、体質顔料のいずれでも使用は可能であるが、無機顔料では酸化チタンを含むもの、体質顔料としては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好ましい。有機顔料では、有機化合物、有機金属錯体からなるものの使用が好ましい。
【0116】
(有機顔料)
上記有機顔料としては、以下の例には限定されないが、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系等の顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
【0117】
有機顔料の色相としては黒色顔料、藍色顔料、緑色顔料、赤色顔料、紫色顔料、黄色顔料、橙色顔料、茶色顔料からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。また更には、黒色顔料、藍色顔料、赤色顔料、黄色顔料、からなる群より選ばれる少なくとも一種又は二種以上が好ましい。有機顔料として具体的な例をカラーインデックス(Colour Index International、略称C.I.)のC.I.ナンバーで示す。好ましくはC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントブラック7である。
【0118】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、アルミニウムはリーフィングタイプ又はノンリーフィングタイプがあるが、ノンリーフィングタイプが好ましい。
【0119】
(印刷層の形成)
印刷層は、例えば、基材上に、印刷インキを用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。印刷方法としてはグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式が好適であり、例えば、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給され、塗布される。その後、オーブン等による乾燥によって被膜を定着させることで印刷層を得ることができる。
【0120】
(印刷インキの製造方法)
印刷層の形成に用いられる印刷インキは、例えば、顔料を樹脂等により分散機を用いて有機溶剤中に分散させ、得られた顔料分散体に樹脂、各種添加剤や有機溶剤等を混合して製造できる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルを用いることができる。顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度等を適宜調節することにより、調整することができる。25℃における印刷インキの粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10~1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
【0121】
[バリア層]
印刷物又はラミネート積層体(A)は、更に、バリア層を含んでもよい。バリア層は、印刷物にバリア性を付与することを目的に存在しており、バリア層は、光、磁気、各種気体等、バリアすべき対象が包装材を透過するのを制御するために存在し、バリア成分を含む。バリア層は、蒸着層、バリアコート層、及びバリア接着剤層からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0122】
(蒸着層)
印刷物又はラミネート積層体(A)がバリア層として蒸着層を有する場合、蒸着層は、蒸着膜を含むことが好ましく、蒸着層として、蒸着膜を有する基材、蒸着膜を有する中間基材、蒸着膜を有するシーラントからなる群より選ばれる一種以上を用いることが好ましい。
印刷物又はラミネート積層体(A)が、蒸着膜を含む蒸着層を有することで、印刷物又は積層体(A)が、高いガスバリア性、具体的には、酸素バリア性および水蒸気バリア性を有することに加え、印刷物又は積層体(A)を用いて作製した包装容器は、その内部に充填された内容物の質量の減少を抑制できる。
【0123】
蒸着膜は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の1種又は2種以上の無機物又は無機酸化物の蒸着膜とすることができる。蒸着膜は、2層以上の構成とすることができ、同一の材料によって構成されていても、異なる材料によって構成されていてもよい。
上記の中でも、密着性、及びガスバリア性の観点から、蒸着膜はアルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)又は酸化ケイ素(シリカ)により構成されることが好ましい。
【0124】
また、蒸着膜の厚さは、1nm以上150nm以下であることが好ましく、5nm以上60nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、蒸着層の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上することができる。
また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後における異物の発生を抑制できる。
【0125】
蒸着膜の形成方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PhysicalVaporDeposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(ChemicalVaporDeposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0126】
(バリアコート層)
印刷物又はラミネート積層体(A)がバリア層としてバリアコート層を有する場合、バリアコート層は、バリアコート剤により形成される。バリアコート層は、基材、中間基材、シーラント及び/又は印刷層に隣接していることが好ましい。これにより、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上させることができる。
【0127】
バリアコート剤は、例えば、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル-塩化ビニリデン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等のガスバリア性樹脂を含む、樹脂単体からなるコート剤の他に、下記のような無機層状化合物と樹脂からなるコート剤を用いることができる。
無機層状化合物は、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、及びマイカ族等の粘土鉱物等であって、層状構造を有する結晶性の無機化合物である。これら無機層状化合物の種類、粒径、及びアスペクト比等は、適宜選択され、特に限定されるものでない。この中で、モンモリロナイト、ヘクトライト、及びサポナイト等のスメクタイト族が好適で、無機層状化合物の層間に樹脂を取り込み、複合体を形成し易い。特に、この族の中でも、モンモリロナイトは溶融状態での安定性、及び塗工性が最も優れている。
【0128】
また、無機層状化合物と樹脂からなるバリアコート剤に使用される樹脂は、前述の無機層状化合物の層間に取り込まれ易いものであれば特に限定されないが、水溶性高分子を用いることが好ましい。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂及びアルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(PVA)を本発明のガスバリア性積層体のコート剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。
【0129】
また、バリアコート層は、さらに金属アルコキシドの加水分解・重縮合生成物を含有した組成としてもよい。この金属アルコキシドは、Mを金属、Rをアルキル基、及びnをアルコキシ基の配位数とした場合、下記一般式、M(OR)nで示される化合物である。Mが、Si、Ti、Ar及びZrからなる群より選ばれ、Rが、メチル基、エチル基から選ばれるのが好ましい。特に、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-2’-C3H7)3〕等を用いると、アルコキシドの加水分解生成物が、水系の溶媒中で比較的安定に存在するために好ましい。
【0130】
上述した各成分を単独又はいくつかを組み合わせてコート剤に加えることができ、さらにコート剤のバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤等公知の添加剤を加えることができる。
【0131】
バリアコート層は、上記材料を水又は適当な溶剤に、溶解又は分散させ、塗布、乾燥することにより形成することができる。また、市販されるバリアコート剤を塗布、乾燥することによってもバリアコート層を形成することができる。
【0132】
バリアコート剤の塗布方法には、通常用いられる、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法等従来公知の手段が用いられる。
【0133】
バリアコート層の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上3μm以下であることが更に好ましい。
バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、印刷物又は積層体(A)の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上させることができる。バリアコート層の厚さを10μm以下とすることにより、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後における異物を低減でき、更に引張強度に優れる。
【0134】
(バリア接着剤層)
印刷物又は積層体(A)は、バリア層として、バリア接着剤層を有していてもよい。バリア接着剤層は、例えば、市販されるバリア接着剤を塗布、乾燥することによって形成することができる。バリア接着剤としては例えば、TM-9310(東洋モートン社製)、マクシーブ(三菱ガス社製)、PASLIM(DIC社製)等のガスバリア接着剤が好適に用いられる。バリア接着剤層の厚みは、好ましくは0.1~10μmであり、より好ましくは0.5~5μmであり、特に好ましくは1.0~2.5μmである。
【0135】
(バリア接着剤層以外の接着剤層)
印刷物又は積層体(A)は、バリア接着剤層以外の接着剤層を有していてもよい。接着剤層を設けることにより各層を接着(ラミネートともいう)させる方法は特に限定されず、押出ラミネート法、ドライラミネート法、ノンソルラミネート法等、従来公知の方法が挙げられる。
【0136】
接着剤層を構成する成分は、各層を接着することができれば特に限定されることはなく、オレフィン系接着剤、アクリル系接着剤、エチレン―酢酸ビニル共重合系接着剤、反応性ウレタン接着剤(ドライ接着剤及びノンソル型接着剤を含む)、イミン系アンカーコート剤、その他のアンカーコート剤、押出ラミネートで用いられる熱可塑性樹脂等が好適に挙げられる。
なお、接着剤層は、ポリイソシアネートとポリオールとを含む反応性ウレタン接着剤の硬化物を含むことが好ましい。また、接着剤層は、バイオス由来樹脂を含むことが好ましい。
【0137】
反応性ウレタン接着剤としては、主剤であるポリオール及び硬化剤であるポリイソシアネートからなる2液型ウレタン接着剤が好ましい。ポリオールは、水酸基を2つ以上有する化合物であればよく、公知のポリオールから選択することができる。ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオール、及びフッ素系ポリオールが挙げられる。中でもポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオールがより好ましく、ポリエステルポリオール、ひまし油ポリオールがさらに好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸とジオールの縮合物であるポリエステル由来の構成単位を含み、前記二塩基酸が、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むものが好適である。
【0138】
ポリオールは、ポリオール中の水酸基の一部が酸変性された酸変性物、又はポリオール中の水酸基の一部にジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であればよく、公知のポリイソシアネートから選択することができる。ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及びこれらの変性体が挙げられる。ポリオールは、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。ポリイソシアネートについても、同様である。また、ポリイソシアネート及び/又はポリオールとして、上記のバイオマス由来のイソシアネート及び/又はバイオマス由来のジオールを用いることが可能である。
【0139】
(中間基材層)
印刷物又は積層体(A)は、さらに中間基材層を有していてもよい。中間基材層の具体例としては、基材層同様、原料としてポリオレフィン樹脂を主として含むプラスチック基材であることが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、共押出製法による複合基材であってもよい。
【0140】
(シーラント)
印刷物又は積層体(A)は、さらにシーラントを有していてもよい。シーラントは、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護する役割を担う。印刷物又は積層体(A)を袋状とするために、シーラントは最内層がヒートシール性を有していることが好ましい。シーラントを構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の樹脂を用いることができる。シーラントは、単層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。なお、シーラントは、ヒートシールの際の収縮を抑制するために、上記した樹脂からなる無延伸のフィルムであることが好ましい。シーラントは、顔料等の混練された乳白基材や共押出製法による複合基材であってもよい。
【0141】
シーラントの厚みは、特に限定されるものではなく、印刷物又は積層体(A)の用途及び被包装物の種類や性質等に応じて適宜設定されるが、通常、10~200μmであることが好ましい。また、パウチ(特にレトルトパウチ)の場合、シーラントの厚みは、20~150μm、さらには25~130μmであることが好ましい。
【0142】
(再生プラスチック)
上述した再生プラスチックの製造方法を用いて、印刷物又はラミネート積層体(A)から再生プラスチックを得ることができる。再生プラスチックは、印刷層由来の顔料、バインダー樹脂を含み得る。また、加熱溶融混練工程で添加した添加剤を含んでもよい。
【0143】
(再生プラスチック中の顔料の含有率)
再生プラスチック中の顔料の含有率は、再生プラスチック100質量%中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることが更に好ましい。再生プラスチック中の顔料の含有率が上記範囲である場合、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後における異物の発生を抑制できる。
【0144】
(再生プラスチック中のバインダー樹脂の含有率)
再生プラスチック中のバインダー樹脂の含有率は、再生プラスチック100質量%中、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。再生プラスチック中のバインダー樹脂の含有率が上記範囲である場合、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後における異物の発生を抑制できる。
【0145】
(再生プラスチック中の酸化防止剤の含有率)
再生プラスチック中の酸化防止剤の含有率は、再生プラスチック100質量%中、0.01~5質量%であることが好ましく、0.01~3質量%であることがより好ましく、0.05~1質量%であることが更に好ましく、0.1~0.5質量%であることが特に好ましい。再生プラスチック中の酸化防止剤の含有率が上記範囲である場合、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後におけるやけの発生を抑制できる。
【0146】
(再生プラスチック中の相溶化剤の含有率)
再生プラスチック中の相溶化剤の含有率は、再生プラスチック100質量%中、0.01~3質量%であることが好ましく、0.05~0.5質量%であることがより好ましい。再生プラスチック中の相溶化剤の含有率が上記範囲である場合、再生プラスチックの押出し開始直後及び連続押出し後におけるやけの発生を抑制できる。
【0147】
<再生プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)>
再生プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)は、成形時の温度、冷却スピード等の、熱履歴に大きな影響を受ける。再生プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)は、印刷物又はラミネート積層体(A)の構成及びリサイクル方法等によるが、0.5~20g/10分であることが好ましく、3~15g/10分であることがより好ましい。再生プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)が上記範囲である場合、押出し開始直後及び連続押出し後におけるやけの発生を抑制でき、更に様々な成形に適する。本発明の製造方法は、熱履歴を変更することにより、再生プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)を調整する工程を含むことも好ましい。再生プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)の測定は、前述の印刷物のメルトマスフローレイト(MFR)の測定と同様の方法で実施される。
【0148】
(成形品)
本発明により得られた再生プラスチックを成形することで、成形品を得ることができる。成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、及び圧縮成形が挙げられる。成形品は、家電製品、文房具、自動車部品、おもちゃ、スポーツ用品、医療用品、及び建築・建設資材等、様々な用途に用いることができる。
【0149】
(フィルム成形)
得られた再生プラスチックは、例えば、加熱溶融させて、Tダイと呼ばれるスリット状の装置を用いて押出し、フィルム状に成形した後、冷却ロールで冷却して固化させ、フィルム成形体を得ることができる。加熱溶融温度は100~210℃であることが好ましい。フィルム成形体の厚みは10~300μmが好ましい。
【実施例0150】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
【0151】
(水酸基価)
水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JISK 0070に記載された方法で測定した。
【0152】
(酸価)
酸価は、試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸等を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JISK 0070に記載された方法で測定した。
【0153】
(アミン価)
アミン価は、試料1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数であり、JISK 0070に準拠して測定した。即ち、試料を0.5~2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記式によりアミン価を求めた。
(式)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S[mgKOH/g]
【0154】
(質量平均分子量)
質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW2500
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW3000
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW4000
東ソー株式会社製TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
【0155】
(ガラス転移点(Tg))
ガラス転移点は、示差走査熱量測定測定(DSC)により求めた。測定は、株式会社リガク製DSC8231を使用し、測定温度範囲-70~250℃、昇温速度10℃/分の条件で行った。DSC曲線におけるガラス転移に基づくベースラインシフトの中点(変曲点)をガラス転移点とした。
【0156】
(塩素含有率)
塩素含有率は、JISK0127(2013)に準拠して測定した。即ち、透明基板上に、インキ又はバインダー樹脂をそれぞれ2.0μmになるように塗布し塗膜を形成し、80℃で乾燥させ、0.5g削り取った。削り取った塗膜を燃焼法にて前処理を行い、得られたサンプルの塩素含有量を、イオンクロマトグラフィー(島津製作所製LC-20ADsp)で定量し、塩素含有率を求めた。なお、印刷物又は積層体(A)に関しては、試験対象物を0.5g切り出し、燃焼法にて前処理したものをサンプルとして使用した以外は、上記と同様の方法で塩素含有率を求めた。
【0157】
(メルトマスフローレイト(MFR)の測定)
MFRは、JIS K 7210-1:2014に記載された方法で、温度190℃、圧力2.6kgfの条件で測定した。印刷物又は積層体(A)のMFRの測定は、辺の長さが5mm~10mmとなるように破砕して実施した。
【0158】
(ポリオレフィン樹脂の含有率の算出)
印刷物又は積層体(A)中のポリオレフィン樹脂の含有率については、以下の式を用いて算出した。
式:(印刷物又は積層体(A)中のポリオレフィン樹脂の質量)/(印刷物又は積層体(A)の質量)×100
【0159】
<ウレタン樹脂の合成>
(合成例1)ウレタン樹脂PU1
ジオール(ネオペンチルグリコール(NPG)/1,3-プロパンジオール(1,3-PD=50/50)と二塩基酸(アジピン酸/セバシン酸=50/50)との縮合物である、数平均分子量2,000のポリエステルポリオールPE1(バイオマス度60%)を23.6部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)4.7部及び酢酸エチル7.5部、酢酸プロピル7.5部を混合して、窒素雰囲気下で90℃、5時間反応させ、末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを得た。
次いで、イソホロンジアミン(IPDA)1.6部、ジブチルアミン(DBA)0.1部及び混合溶剤1(酢酸エチル/イソプロパノール=60/40(質量比))55部を攪拌混合し、得られた末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを40℃で徐々に添加した。
80℃で1時間反応させ、固形分30質量%、アミン価4mgKOH/g質量平均分子量70,000のウレタン樹脂PU1の溶液を得た。ウレタン樹脂PU1の塩素含有率は0質量%である。
【0160】
<ウレタン樹脂の合成>
(合成例2~4)ウレタン樹脂PU2~4
二塩基酸を下記記載の原料に変更した以外は、合成例1と同様の操作で、ウレタン樹脂PU2~4を得た。
・PU2:二塩基酸(アジピン酸/コハク酸=50/50)
固形分30質量%、アミン価4.2mgKOH/g、質量平均分子量68,000
ウレタン樹脂中のバイオマス度48%
・PU3:二塩基酸(アジピン酸/ダイマー酸=50/50)
固形分30質量%、アミン価3.9mgKOH/g、質量平均分子量72,000
ウレタン樹脂中のバイオマス度48%
・PU4:二塩基酸(アジピン酸=100)
固形分30質量%、アミン価4.1mgKOH/g、質量平均分子量69,000
ウレタン樹脂中のバイオマス度29%
【0161】
下記インキ調製例における原料の詳細は以下の通りである。
・ロジン樹脂溶液:ロジン酸とグリセリンのエステル縮合物であるロジンエステル(酸価10mgKOH/g、質量平均分子量500~1500、軟化点87℃)の固形分30%酢酸エチル溶液
・セルロースアセテートプロピオネート(CAP)樹脂溶液:セルロースアセテートプロピオネート樹脂(イーストマンケミカル社製CAP-504-0.2、ガラス転移点160℃、質量平均分子量40,000、塩素含有率0質量%、硝化度0質量%)の固形分30%酢酸エチル溶液
・ニトロセルロース(NC)樹脂溶液:DLX5-8:ICINovel enterprises社製 ニトロセルロース(窒素分12.0%)の固形分30%イソプロパノール溶液
・ポリビニルブチラール(PVB)樹脂溶液:ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位及びビニルブチラール単位を有し、ブチラール環基を73質量%含むポリビニルブチラール樹脂(ガラス転移点70℃、質量平均分子量50,000、塩素含有率0質量%)の酢酸エチル:イソプロパノール=50:50(質量比)混合溶剤による固形分30%溶液
・ポリアミド樹脂溶液:オレイン酸及びリノール酸を原料とするダイマー酸由来の構造単位を50質量%以上含有するポリアミド樹脂(アミン価3.5mgKOH/g、軟化点116℃ 質量平均分子量6,000)の固形分30%イソプロパノール溶液
・塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂溶液:塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学社製ソルバインTA3、塩素含有率47.1質量%)の固形分30%酢酸エチル溶液
・塩素化ポリプロピレン溶液:塩素化ポリプロピレン樹脂(日本製紙社製 803M 塩素含有率30%)
【0162】
<インキの調製>
(グラビアインキ調製例1)グラビアインキX1
ウレタン樹脂PU1溶液40部、CAP樹脂溶液15部、C.I.ピグメントブルー15:3(トーヨーカラー社製、製品名:LIONOLBLUE FG-7330、塩素含有率0質量%、硝化度0質量%)5部、シリカ粒子(親水性シリカ、平均粒子径3.0μm、比表面積300m2/g)0.8部、混合溶剤(n-プロピルアセテート/イソプロパノール=70/30(質量比))33.4部を混合し、ビーズミルで20分間分散して顔料分散体を得た。得られた顔料分散体に、塩素化ポリプロピレン溶液0.8部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121.0℃)3.5部、及び水1.5部を攪拌混合し、有機溶剤系グラビアインキX1を得た。
【0163】
(グラビアインキ調製例2~8、比較調製例1~2)グラビアインキX2~8、Y1~2
表1に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、グラビアインキ調製例1と同様の方法で、グラビアインキX2~8、Y1~2を得た。
【0164】
【0165】
<接着剤の調製>
(合成例5)ウレタン樹脂PU5
1,3-プロパンジオール(1,3-PD)と二塩基酸(セバシン酸/コハク酸=70/30)の縮合物である、数平均分子量2,000のポリエステルポリオールPE5(バイオマス度100%)を77部、トリメチロールプロパン(TMP)1.5部及び酢酸エチル7.3部を混合して、50℃で30分加熱し、末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを得た。次いで、トリレンジイソシアネート6.8部と酢酸エチル7.3部を撹拌混合し、得られた末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを徐々に添加し、70℃ で1.5時間反応させた。その後、0.101部のチタンテトラブトキシドを加え、90℃ に昇温し、5時間反応させた。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分70% 、質量平均分子量23,000のウレタン樹脂PU5の溶液を得た。
【0166】
(接着剤調製例1)バイオマス接着剤Z1
ウレタン樹脂PU5の溶液を31.6 質量部(固形分70%)、硬化剤タケネートA5(MDI/TMP、固形分80%、三井化学SKCポリウレタン社製)10.5質量部、酢酸エチル57.9質量部を撹拌混合し、バイオマス度72%のバイオマス接着剤Z1を調製した。
【0167】
<バリアコート剤の調製>バリアコート剤C1
けん化度98モル%、4%水溶液粘度が30mPa・sのポリビニルアルコール8部、モンモリロナイト2部、及び水90部を混合し、90℃で加熱撹拌して溶解し、バリアコート剤C1を得た。
【0168】
<印刷物又は積層体(A)の製造>
以下の方法で、印刷物又は積層体(A)を製造した。それぞれのMFR、オレフィン含有率、塩素含有率、及びバイオマス度は、表2に記載した。
【0169】
(製造例1)積層体A1
グラビアインキX1を、酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比70/30)で、粘度がザーンカップ#3(離合社製)15秒(25℃)になるように希釈した。その後、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み20μm)に対し、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機にて印刷し、50℃にて乾燥し、OPP/印刷層の構成である印刷物を得た。次いで、ドライラミネート機を用いて、前記印刷層上に、接着剤Z2(東洋モートン社製「TM-340V/CAT-29B」)を塗工し、オーブンにて溶剤を乾燥後、接着剤層の上に、ライン速度40m/分にて、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み30μm)を貼り合わせ、40℃で1日間保温し、OPP/印刷層/接着剤層/CPPの構成である積層体A1を得た。印刷層、及び接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0170】
(製造例2~7)積層体A2~7
グラビアインキX1をグラビアインキX2~7に変更した以外は、積層体A1の製造工程と同様にして、OPP/印刷層/接着剤層/CPP構成の積層体A2~7を得た。印刷層、及び接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0171】
(製造例8)印刷物A8
グラビアインキX7を、酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比70/30)で、粘度がザーンカップ#3(離合社製)15秒(25℃)になるように希釈した。その後、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み20μm)に対し、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機にて印刷し、50℃にて乾燥し、OPP/印刷層の構成である印刷物を得た。印刷層の乾燥後塗布量は2.5g/m2とした。
【0172】
(製造例9)印刷物A9
グラビアインキX7をグラビアインキX8に変更した以外は、積層体A8の製造工程と同様にして、OPP/印刷層の構成である印刷物A9を得た。
【0173】
(製造例10)印刷物A10
基材を高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム(厚み20μm)に変更した以外は積層体A8の製造工程と同様にして、HDPE/印刷層の構成である印刷物A10を得た。
【0174】
(製造例11)印刷物A11
基材を高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム(厚み20μm)に変更した以外は積層体A9の製造工程と同様にして、HDPE/印刷層の構成である印刷物A11を得た。
【0175】
(製造例12)積層体A12
基材を高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム(厚み20μm)、シーラントをリニア低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(厚み40μm)に変更した以外は、積層体A1の製造工程と同様にして、HDPE/印刷層/接着剤層/LLDPE構成の積層体A12を得た。印刷層、及び接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0176】
(製造例13)積層体A13
コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み20μm)に対し、グラビア版を備えたグラビア印刷機にて、バリアコート剤C1を塗工、オーブンにて溶剤を乾燥し、OPP/バリアコート層構成の中間積層体を得た。
その後、積層体A1の製造工程と同様にして、OPP/バリアコート層/印刷層/接着剤層/CPP構成の積層体A13を得た。印刷層、及び接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2、バリアコート層の乾燥後塗布量は2.0g/m2とした。
【0177】
(製造例14)積層体A14
接着剤をバリア接着剤Z3(東洋モートン社製「TM―9310/CAT―1980」)に変更した以外は、積層体A1の製造工程と同様にして、OPP/印刷層/バリア接着剤層/CPP構成の積層体A20を得た。印刷層、及びバリア接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0178】
(製造例15)積層体A15
シーラントをアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(VMCPP)フィルム(厚み3
0μm)に変更した以外は、積層体A1の製造工程と同様にして、OPP/印刷層/接着
剤層/VMCPP構成の積層体A3を得た。印刷層、及び接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0179】
(製造例16、17)積層体A16、A17
グラビアインキX1をそれぞれグラビアインキY1、Y2に変更した以外は、積層体A1の製造工程と同様にして、OPP/印刷層/接着剤層/CPP構成の積層体A16、A17を得た。印刷層、及び接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0180】
(製造例18)積層体A18
基材をナイロン(NY)フィルム(厚み15μm)に変更した以外は、積層体A1の製造工程と同様にして、NY/印刷層/接着剤層/CPP構成の積層体A18を得た。印刷層、及び接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0181】
(積層体(A)の製造19)積層体A19
接着剤をZ1に変更した以外は、積層体A1の製造工程と同様にして、OPP/印刷層/接着剤層/CPP構成の積層体19を得た。印刷層、接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0182】
(積層体(A)の製造20)積層体A20
接着剤をZ1に変更した以外は、積層体A12の製造工程と同様にして、HDPE/印刷層/接着剤層/LLDPE構成の積層体20を得た。印刷層、接着剤層の乾燥後塗布量はそれぞれ2.5g/m2とした。
【0183】
<再生プラスチック(B)の製造>
(実施例1)再生プラスチックB1、BB1
積層体A1(100kg)を、カッターミル(西村機械製作所製、U-210)にて2cm×2cmのサイズに破砕し、水洗した後に、遠心脱水機(岩槻機械製作所製、YDK-FS型)で脱水を行い、更に水分量が0.5%になるまで、熱風乾燥した。
上記工程を経て得られた積層体A1、Irganox1010(フェノール系酸化防止剤)、及びユーメックス1010(無水マレイン酸変性ポリプロピレン系相溶化剤)を二軸押出機(日本製鋼所製、スクリュー径:34mm、シリンダー内壁とスクリューとの最小間隙距離:0.4mm)に投入し、スクリュー回転数200rpm、230℃、押出流量20Kg/hで30秒にわたって溶融、混練した。
なお、積層体A1、100質量%の積層体A1に対するIrganox1010の添加量は、0.2質量%となるように調整した。また、100質量%の積層体A1に対するユーメックス1010の添加量は、0.15質量%となるように調整した。
【0184】
その後、120メッシュのスクリーンメッシュを使用し、押出装置の吐出部から押出した。押出し開始直後における吐出部の圧力は2MPaであった。押出した樹脂組成物を直ぐにペレタイザーでカットし、冷水に浸水させて冷却した。このようにして、積層体A1からリサイクルされた、ペレット形状の再生プラスチックB1を得た。
再生プラスチックB1を得た後は、再生プラスチックB1の製造条件で、5時間(ロングラン)運転を継続し、5時間経過時における、押出した樹脂組成物を直ぐにペレタイザーでカットし、冷水に浸水させて冷却した。5時間の連続押出し後の吐出部の圧力は4MPaであった。このようにして、印刷物A1からロングランでリサイクルされた、ペレット形状の再生プラスチックBB1を得た。
【0185】
(実施例2~25、比較例1~5)再生プラスチックB2~B30、BB2~30
上記の印刷物又は積層体A1~18について、表2に記載された原料及び条件に従い、実施例1(再生プラスチックB1及びBB1の製造工程)と同様にしてB2~B30、BB2~BB30をそれぞれ得た。なお、実施例24においては酸化防止剤を添加しておらず、実施例25においては相溶化剤を添加していない。
【0186】
(実施例26~31)再生プラスチックB31~B36、BB31~36
下記に記載した酸化防止剤、又は相溶化剤に変更した以外は実施例1(再生プラスチックB1及びBB1の製造工程)と同様にしてB31~B36、BB31~BB36をそれぞれ得た。
実施例26 酸化防止剤:Irgafos168:リン酸系酸化防止剤(BASF社製)
実施例27 酸化防止剤:Irganox PS 800FL:硫黄系酸化防止剤(BASF社製)
実施例28 酸化防止剤:ノラックCD:アミン系酸化防止剤(大内新興化学工業社製)
実施例29 相溶化剤:ボンドファーストE:エチレン-グリシジルメタクリレート系共重合体系相溶化剤(住友化学社製、融点:103℃)
実施例30 相溶化剤:ボンドファースト-7L:エチレン-グリシジルメタクリレート系共重合体系相溶化剤(住友化学社製、融点:60℃)
実施例31 相溶化剤:ボンドファースト-7M:エチレン-グリシジルメタクリレート系共重合体系相溶化剤(住友化学社製、融点:52℃)
【0187】
(実施例32)再生プラスチックB37、BB37
積層体をA19に変更した以外は実施例1(再生プラスチックB1及びBB1の製造工程)と同様にしてB37、BB37をそれぞれ得た。
【0188】
(実施例33)再生プラスチックB38、BB38
積層体をA20に変更した以外は実施例19(再生プラスチックB19及びBB19の製造工程)と同様にしてB37、BB37をそれぞれ得た。
【0189】
<再生プラスチックの評価>
上記実施例及び比較例で得られたペレット状の再生プラスチックを、それぞれTダイ押出機を用いて、230℃で押出成形し、厚み50μmのフィルム状の成形体を作製した。当該フィルム状成形体を用いて、下記の評価を行った。
【0190】
(異物評価)
得られたフィルム状成形体について、0.5m2あたりの目視(およそ100μm以上)で判別可能な異物の個数をカウントし、以下の基準で評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
A(良):異物の数が50個未満
B(可):異物の数が50個以上100個未満
C(可):異物の数が100個以上200個未満
D(不良):異物の数が200個以上
【0191】
(やけ評価)
得られたフィルム状成形体について、目視で判別可能なやけについて、以下の基準で評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
A(良):やけ物なし(色の変化なし)
B(可):やや、やけ物がみられる(一部薄茶色に変色箇所がみられる)
C(可):やけ物がみられる(複数個所又は全体的に薄茶色に変色箇所がみられる)
D(不良):やけ物が多くみられる(黒色や茶色の異物や変色箇所がみられる)
【0192】
(成形性の評価:ボトル発泡性)
再生プラスチック(B)のペレットを、ブロー成形機を用いて220℃でブロー成形し、厚み1mmのボトル状の成形体をそれぞれ作製した。各ボトルについて、50本あたりの目視で判別可能な発泡が見られたボトルの数をカウントした。
A(良):発泡が見られたボトルが50本中、1本以下
B(可):発泡が見られたボトルが50本中、2~3本
C(可):発泡が見られたボトルが50本中、4~5本
D(不良):発泡が見られたボトルが50本中、6本以上
【0193】
(評価結果)
実施例1~25、比較例1~5の評価結果を表2に示す。実施例26~33の評価結果はいずれも、実施例1の評価結果と同様、全ての項目においてA評価であった。
【0194】
【0195】
上記結果から、比較例1及び2は、押出装置の吐出部からの吐出圧力が18MPa超であったため、連続押出し後のやけ評価が不良であった。比較例3及び4は、ラミネート積層体(A)中の塩素含有率が、ラミネート積層体(A)の全質量中0.4質量%超であったため、成形性が不良であった。比較例5は、積層体中のオレフィン含有率が、積層体の全質量中80質量%未満であったため、押出開始直後の異物評価及び連続押出し後の異物評価が不良であった。
実施例は、印刷物又はラミネート積層体(A)が、基材及び印刷層を含み、前記印刷物の塩素含有率が、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中0.4質量%以下であり、前記印刷物は、ポリオレフィン樹脂を、印刷物又はラミネート積層体(A)の全質量中80質量%以上含有し、前記印刷物又はラミネート積層体(A)が、バイオマス由来樹脂を含み、前記バイオマス由来樹脂が、ウレタン樹脂、ロジン樹脂及びセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、押出装置の吐出部からの圧力が18MPa以下であるため、成形性に優れ、押出し開始直後及び連続押出し後における異物及びやけの少ない再生プラスチックを得ることができた。