(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174385
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】走行制御システム及び走行制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/165 20200101AFI20241210BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20241210BHJP
【FI】
B60W30/165
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092193
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青島 英道
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC02Z
3D241DC04Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コストの増加を抑制して、作業員の手間を軽減した走行制御装置及び走行制御プログラムを提供する。
【解決手段】走行システム10は、車両50に搭載されるものであって、車両50を先行車との間で車列を組ませて車両50自体を目的地に輸送する搬出モードと、追従走行を含んだ走行を車両50にさせて車両50の乗車者を移送する通常モードと、を選択させるモード選択受付部13と、通常モードで先行車に追従走行させる通常追従制御部14と、通常モードよりも先行車又は後続車との車間距離を短く設定された搬出モードで車両50に追従走行させる搬出追従制御部15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される走行制御システムであって、
前記車両を先行車との間で車列を組ませて前記車両自体を目的地に輸送する搬出モードと、追従走行を含んだ走行を前記車両にさせて前記車両の乗車者を移送する通常モードと、を選択させるモード選択受付部と、
前記通常モードで先行車に追従走行させる通常追従制御部と、
前記通常モードよりも前記先行車又は後続車との車間距離を短く設定された前記搬出モードで前記車両に追従走行させる搬出追従制御部と、を備えることを特徴とする走行制御システム。
【請求項2】
前記搬出追従制御部は、路面上に描かれた標識又は表示線によらず前記先行車の動きのみに合わせて前記車両を操舵する請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項3】
前記搬出モードは、前記先行車のテールランプが消灯した場合に、再度前記搬出モードを発動可能な待機モードに切り替わる請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項4】
前記搬出モードへの移行は、出荷可能状態になった場合に禁止される請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項5】
車両にインストールされる走行制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記車両を先行車との間で車列を組ませて前記車両自体を目的地に輸送する搬出モードと、追従走行を含んだ走行を前記車両にさせて前記車両の乗車者を移送する通常モードと、を選択させるステップ、
前記通常モードで先行車に追従走行させるステップ、
前記通常モードよりも前記先行車又は後続車との車間距離を短く設定された前記搬出モードで前記車両に追従走行させるステップ、を実行させることを特徴とする走行制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を自動運転により自動車製造工場内外の他所へ移動させる走行制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場で完成した車両を作業員が運転して工場の内外のモータープールへ一台ずつ搬出していた。この搬出作業は、単調作業であるが人工が必要な作業であった。近年では、車両自立型の自動駐車技術により、人工を抑制することが試みられている。例えば、車両の外部に仮設された外部操作ユニットで移送情報をサーバから車両に送信することで車両を制御してモータープールへ移送するなどの方法がとれるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、車両を外部から制御する外部操作ユニットを別途用意する必要があるため、コストが増加することに加え、作業員による外部操作ユニットの設置作業が発生する。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、コストの増加を抑制して、作業員の手間を軽減した走行制御システム及び走行制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る走行制御システムは、車両に搭載される走行制御システムであって、前記車両を先行車との間で車列を組ませて前記車両自体を目的地に輸送する搬出モードと、追従走行を含んだ走行を前記車両にさせて前記車両の乗車者を移送する通常モードと、を選択させるモード選択受付部と、前記通常モードで先行車に追従走行させる通常追従制御部と、前記通常モードよりも前記先行車又は後続車との車間距離を短く設定された前記搬出モードで前記車両に追従走行させる搬出追従制御部と、を備えるものである。
【0007】
本実施形態に係る走行制御プログラムは、車両にインストールされる走行制御プログラムであって、コンピュータに、前記車両を先行車との間で車列を組ませて前記車両自体を目的地に輸送する搬出モードと、追従走行を含んだ走行を前記車両にさせて前記車両の乗車者を移送する通常モードと、を選択させるステップ、前記通常モードで先行車に追従走行させるステップ、前記通常モードよりも前記先行車又は後続車との車間距離を短く設定された前記搬出モードで前記車両に追従走行させるステップ、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、コストの増加を抑制して、作業員の手間を軽減した走行制御システム及び走行制御プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る走行制御システムを搭載した車両の構成図。
【
図2】走行制御システムを利用して車両をモータープールに搬出している状態を示す模式図。
【
図3】走行制御システムの動作を含む出荷までの流れ示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、以下の実施形態において「前方」及び「後方」は、車両の運転席に着座した運転者を基準にして、この運転者から見た向きで規定する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る走行制御システム(以下、単に「システム」という)10を搭載した車両50の構成図である。
また、
図2は、システム10を利用して車両50をモータープール90bに搬出している状態を示す模式図である。
【0012】
実施形態に係るシステム10は、車両50の運転操作の一部又は全部を制御して車両50の完全自動運転又は半自動運転を可能とする先進運転制御システム(ADAS:Advanced Driver-Assistance Systems)の一種である。このシステム10は、
図2に示されるように、車両50を追従走行制御(ACC: Adaptive Cruise Control)をして先行車60に追従させて、例えば工場内のモータープール90aから同一の工場内又は外部のモータープール90bに車両50を搬出するものである。システム10による運転制御は、例えば納整センターへの車両50の搬出など、閉じられた敷地内での搬出に用いてもよい。
【0013】
システム10は、
図1に示されるように、周辺状況検知部11、診断部12、モード選択受付部13、通常追従制御部14、搬出追従制御部15、及び搬出モード復元部25を備える。
これらの構成のうち、モード選択受付部13、通常追従制御部14、及び搬出追従制御部15の機能は、例えば、走行機構16を電子制御するECU(Electronic Control Unit)20の機能として発揮される。なお、このECU20は、ブレーキECU及びエンジンECUなど運転制御に関係する各種ECUの総称である。
【0014】
また、システム10は、車両50の車内ネットワーク網30を介して、走行機構16、車両情報センサー17、表示部18、及びモード選択部19に接続される。車内ネットワーク網30は、例えば、CAN-FD(Controller Area Network with Flexible Data Rate)のバスで構成される。
走行機構16とは、ブレーキ機構21、ステアリング機構22、エンジン機構23、ギア機構24など、車両50を走行させるのに必要な各種機構である。車両50が電気自動車(EV:Electric Vehicle)の場合、エンジン機構23及びギア機構24は、モーターに置き換わる。
【0015】
周辺状況検知部11は、車両50の前方から後方までの範囲の車両外部の物体及び標示の配置情報を取得する。周辺状況検知部11は、例えば、前方カメラ、後方カメラ、GPS(Global Positioning System)、ミリ波レーダー、車車間通信機(CVSS: Connected Vehicles Support Systems)、及びソナーセンサなどから選択されるセンシング機器より構成される。
【0016】
前方カメラ及び後方カメラのそれぞれは、例えば配置位置の僅かに異なる2つのレンズで構成されるステレオカメラである。前方カメラは、車室内からフロントガラスを通して車両50の前方を撮像して画像データを取得し解析する。後方カメラは、車室内からリアガラスを通して車両50の後方を撮像して画像データを取得し解析する。ステレオカメラにより、車両50の前方又は後方の物体を立体的に把握することができるため、物体までの車間距離Dを高い精度で計測することができる。なお、前方カメラ及び後方カメラの設置位置及びレンズ数は、車両50の前方又は後方を含む画像データが取得できれば、特に限定されない。前方カメラ及び後方カメラのそれぞれが、複数台ずつ設置されていてもよい。
【0017】
GPSは、人工衛星を利用して車両50の位置を測定する。ミリ波レーダーは、ミリ波帯の電波を使って対象物との距離、速度、及び配置角度を測定するものである。GPS及びミリ波レーダーのそれぞれでも、先行車60又は後続車70の移動向きを特定することが可能である。なお、これらのセンシング機器は、近年の車両50に標準装備されていることが多い。よって、周辺状況検知部11は、システム10のために特別に設置せずに、既存のものを利用してもよい。周辺状況検知部11は、これらのセンシング機器により、先行車検知部26、後続車検知部27、及びテールランプ検知部28の機能を発揮する。
【0018】
先行車検知部26は、車両50に先行する先行車60までの車間距離D及び先行車60の車速を検知する。先行車検知部26は、上述の機器のうち例えばミリ波レーダーや、前方カメラ、車車間通信機などで構成される。
【0019】
後続車検知部27は、車両50に後続する後続車70の車速、及び後続車70までの車間距離Dを検知する。後続車検知部27も先行車検知部26と同様に、例えばミリ波レーダーや、後方カメラ、及び車車間通信機などで構成される。なお、後続車検知部27により後続車70との衝突事故を防止して安全性を向上させることができるが、必ずしも必須な構成ではない。なお、テールランプ検知部28については後述する。
【0020】
診断部12は、例えばダイアグ通信可能なテスターである。診断部12は、車両50各所の機器の故障の有無を診断する診断要求メッセージをECU20に送る。ECU20は、車内ネットワーク網30を介して各所の車両情報センサー17で異常の検出の有無を調査して、結果を診断部12に送信する。診断部12による車両診断は、予め手順が規定された完成検査の一部として実行される。
【0021】
モード選択受付部13は、モード選択部19から作業員又は運転者が選択した、追従走行制御(ACC)を含んだ走行モードの選択を受け付ける。モード選択部19は、ハンドルのピラー部や、メータパネルに、ボタン、スイッチ又はタッチパネルの形式で設けられる。
ACCを含んだ走行モードには、車両50を先行車60との間で車列を組ませて車両50自体を目的地に輸送する搬出モードと、追従走行を含んだ走行を車両50にさせて車両50の乗車者を移送する通常モードと、がある。作業員は、上述の完成検査を完了して、何ら問題が見つからなかった場合に、例えば専用のツールを用いて、モード選択部19からの搬出モードの選択を可能にする。専用のツールは、例えば車両50にインストールして用いる暗号鍵である。選択された走行モードは、例えばメータパネルなどの表示部18に表示される。
【0022】
通常モードは、追従走行を含んだ走行を車両50にさせて車両50の乗車者を移送するのに適した走行モードである。通常モードは、予め設定された車速内で車両50が自動的に加減速を行い、車両50の前方に先行車60がある場合に、先行車に所定距離まで近づき、この所定距離を維持して追従走行をする。この機能により、運転者は、必要時を除き、アクセルペダル又はブレーキペダルを踏み込まずに運転することができる。通常モードは、車両専用道路など、比較的走行態様が単調で先行車60の動きに合わせれば運転ができるような走行の際に自動の追従走行に切り替わる。通常モードでは、速度や道路状況など所定の条件が揃った際に運転者の運転から通常追従制御部14によるACCに切り替わる。
【0023】
搬出モードは、車両50を先行車60との間で車列を組ませて車両50自体を目的地に輸送するための走行モードである。搬出モードが選択されると、搬出追従制御部15が車両50の走行を制御する。搬出追従制御部15による走行制御の自立性をどの程度に設計するかは、具体的な車種やADASの技術水準によって自由に規定される。例えば、車両50に作業員に運転させてもよいし、無人運転にしてもよい。作業員に運転させる場合、モータープール90a,bの区域内又は付近では搬出追従制御部15による制御を待機モードにして、作業員が車両50を運転してもよい。モータープール90a,bの区域内又は付近では、各車両50がそれぞれ異なる動きをして、それぞれ決められた駐車区域80に進入するため、追従走行させる必要性が低いためである。なお、待機モードとは、搬出モードを再度発動可能な状態をいう。
【0024】
また、車列の先頭の車両50を先頭車80として、先頭車80のみに運転者を乗車させてもよい。先頭車80以外を無人運転にした場合も、モータープール90a,bの区域内又は付近における運転に限り作業員に運転させてもよい。また、ADASの技術が進んでいる場合、駐車処理も含めて無人運転にしてもよい。
【0025】
また、車列とは無関係な自動車への誤追従を防止する観点から、車列を組むための必要情報が、車両50の直前を走行する先行車60から発信されることが望ましい。つまり、搬出モードでは、直前を走行する先行車60に車両50が追従走行するとともに、車両50の後続車70が車両50を追従するための情報を車両50から発信してもよい。この場合例えば車車間通信機により車両50どうしが通信をする。ただし、先行車60による追従走行のための情報の発信は行わずに、車両50に搭載された追従走行機能のみを用いることで車列を組んで走行してもよい。
【0026】
また、先頭を走行する先頭車80に後続する複数の車両50に対して追従走行のための発信をしてもよい。また、車列は、必ずしも
図2に示すような縦列1列でなくてもよい。例えば、複数列で車列を構成してもよいし、任意の1台の車両50に複数台の車両50を追従させてもよい。どのような車両50に何台車両50を追従させて、どのような形状の車列を形成するかは、搬出時のニーズや、移送路の形状、ADASの技術水準などに合わせて任意に決定される。なお、先頭車80も、先頭車80に続く2番目の車両50にとっては先行車60である。
【0027】
いずれの場合も、搬出モードでは、ACC時の先行車60又は後続車70との車間距離Dが通常モードよりも短く設定される。車両50の搬出時に車間距離Dが長くなる結果車列が長くなると、車列の制御が難しくなることに加えて、他の自動車などの移動物の移動の妨げになりやすいためである。例えば、通常モードでの車間距離Dが30mであるのに対して、搬出モード時は、5m~10m程度にすることが好ましい。この車間距離Dは、車両50の走行速度に合わせて適宜規定されることが望ましい。特に、複数列で車列を形成して車両群を移送する場合、周辺状況検知部11による先行車60検出のエラーの発生を防ぐ観点からも、車間距離Dは短いことが望ましい。
【0028】
また、搬出追従制御部15は、制御の簡素化の観点から、路面上に描かれた標識又は表示線によらず先行車60の動きのみに合わせて車両50を操舵することが好ましい。路面上に描かれた標識とは、例えば「とまれ」の文字や横断歩道線91などである。また、路面上に描かれた表示線とは、例えば中央分離線92や、停止線93などである。このように路面上の標識等によらず先行車60に追従走行することで、走行制御を簡素化することができるため、制御のための設計コストを軽減することができる。
【0029】
また、搬出モードでは、先行車60のテールランプの消灯を検知した場合に、待機モードに切り替わることが望ましい。先行車60のテールランプの点灯及び消灯は、例えば前方カメラで構成されるテールランプ検知部28により検知する。搬出追従制御部15は、先行車60又は先頭車80のテールランプの消灯の通知をテールランプ検知部28から受けた場合に、搬出モードを終了して待機モードに切り替える。先行車60のテールランプの消滅は、走行の完了を意味することが多いため、車両50の搬出モードの解除のトリガーとして好ましい。ただし、搬出モードの解除のトリガーとなる情報は、先行車60のテールランプの消滅に限定されず、例えば車車間通信の発信情報に含ませてもよい。また、先行車60のテールランプの消滅のタイミングを各駐車区域80への駐車完了及びエンジン停止の後に設定することで、追従走行する車両50の移送の全ての工程を自動化することができる。
【0030】
なお、前述のように待機モードは、搬出モードを再度発動可能な状態である。搬出モードを完全に終了する前に待機モードを経るのは、イレギュラーな事態が発生して車両50が搬出途中で停止してしまった場合にも、搬出モードを再開することを可能にするためである。工場から出荷するまでは、追従する車両50側は待機モードに入れて、専用のツールで再度制御モードに切り替えられる状態にしておくことが好ましい。当該専用のツールもまた、例えば車両にインストールして用いる暗号鍵である。
【0031】
そして、搬出モードへの移行は、出荷可能状態になった場合に禁止される。搬出モードは、出荷後は不要なモードである。そこで、例えば、先行車60又は先頭車80のテールランプ及びブレーキランプの両方が消灯して先行車60の完全停止後例えば1分間など所定の確認時間が経過した場合、搬出モードの再開は禁止することが望ましい。テールランプ及びブレーキランプの両方が消灯してから確認時間の経過後は、車両50のモータープール90bへの移送は完全に完了し出荷可能状態になったと考えられるためである。なお、この確認時間は、工場ごとの適合値となるが、移送の完全完了後に時間の余裕がある場合、例えば2時間又は1日など長い時間に設定してもよい。また、出荷可能状態を知らせるボタンを車内に設けて、出荷可能状態を確認した作業員に押させてもよい。このように、出荷可能状態になった以降に搬出モードへの移行を禁止することで、出荷された後の通常運転時に搬出モードに移行することを防止することができ、運転の安全性を確保することができる。
【0032】
なお、出荷された後もリコールや中古車として一度車両50が回収された後に再度出荷されることもある。そこで、システム10は、搬出モード復元部25を備えることが望ましい。例えば出荷元の作業員が所持する専用のツールで搬出モード復元部25にアクセスすることで、搬出モードを復元できることが望ましい。
【0033】
なお、システム10の各構成は、CPU等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、或いはHD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、を具備するコンピュータとして構成することができる。
また、このようなソフトウェア処理に換えて、ASIC(Application Specific Integration Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現することもできる。
【0034】
次に、
図3のフローチャートを用いて、システム10の動作を含む出荷までの流れを説明する。なお、以下では、ステップS10を「S10」と略記する。同様に、ステップS11以降も略記して示す。
まず、診断部12及び作業員による完成検査が完了すると(S10)、作業員は専用のツールを用いて、モード選択部19において搬出モードの選択を可能にする(S11)。
そして、作業員は、モード選択部19から搬出モードを選択する(S12)。モード選択部19において搬出モードが選択されると、モード選択受付部13で搬出モードが受け付けられる。
【0035】
そして、先頭車80が運転を開始すると(S13)、搬出追従制御部15による制御に基づき、車両50は順に先行車60に追従して車列を形成して走行する(S14)。
先行車60が駐車処理及び停車処理を開始するまでは、車両50は先行車60に追従して車列走行を継続する(S15においてNOの場合、S14へ)。
先行車60が駐車処理及び停車処理を開始すると、後続の各車両50の搬出追従制御部15は追従走行を完了して、各車両50は停車処理を開始する(S15においてYESの場合、S16へ)。なお、ステップS16の動作は、作業員が一台ずつ行ってもよいし、完全自動運転で行ってもよい。
【0036】
先行車60が停止し、テールランプ検知部28が先行車60のテールランプの消灯を検知した場合、搬出追従制御部15は搬出モードを終了して待機モードにする(S17においてYESの場合、S18へ)。既定の確認時間が経過するまでは、待機モードは維持される(S19においてNOの場合、S18へ)。
【0037】
一方、確認時間が経過すると、待機モードを終了して、再度の搬出モードは禁止される(S19においてYESの場合、S20へ)。車両50の出荷後に搬出モードに切り替わり使用者を混乱させることを防止するためである。なお、確認時間の経過に代えて、作業員が出荷可能状態を確認後に手作業で、待機モードを終了させることで搬出モードを完全に終了もよい。つまり、出荷後は通常モードのみが走行モードとして選択可能になる。そして車両50は出荷される(S21、END)。なお、車両50の出荷後であっても、作業員が専門のツールで搬出モード復元部25にアクセスして、搬出モードに再度移行することは可能である。
【0038】
以上のように、実施形態に係るシステム10によれば、外部から車両50を制御する専用の外部操作ユニットを設けずに、車両50を目的地に搬出することができる。よって、車両50の搬出にかかるコストの増加を抑制して、作業員の手間を軽減して車両50を移送することができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
10…走行制御システム(システム)、11…周辺状況検知部、12…診断部、13…モード選択受付部、14…通常追従制御部、15…搬出追従制御部、16…走行機構、17…車両情報センサー、18…表示部、19…モード選択部、20…ECU、21…ブレーキ機構、22…ステアリング機構、23…エンジン機構、24…ギア機構、25…搬出モード復元部、26…先行車検知部、27…後続車検知部、28…テールランプ検知部、30…車内ネットワーク網、50…車両、60…先行車、70…後続車、80…先頭車、90a…モータープール、90b…モータープール、91…横断歩道線、92…中央分離線、93…停止線、D…車間距離。