(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174389
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】再生液体吐出装置、及び再生プリントヘッドの生産方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B41J2/01
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092198
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達也
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA19
2C056EB07
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC80
2C056FA04
2C056FA10
(57)【要約】
【課題】最適に再生産されたプリントヘッドを備えた再生液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】液体を吐出する第1ノズルを含む第1ノズル群と、液体を吐出する第2ノズルを含む第2ノズル群と、第1ノズル群からの液体の吐出に関する第1ノズル群情報、及び第2ノズル群からの液体の吐出に関する第2ノズル群情報を記憶する記憶部と、を有し、第1ノズル群が第1色の液体を吐出し、第2ノズル群が第1色と異なる第2色の液体を吐出した使用済プリントヘッドから再生産された再生プリントヘッドを備えた再生液体吐出装置であって、再生プリントヘッドは、第1ノズル群、及び第2ノズル群を有し、再生プリントヘッドの第2ノズル群は、第1色の液体を吐出する、再生液体吐出装置。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する第1ノズルを含む第1ノズル群と、
液体を吐出する第2ノズルを含む第2ノズル群と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出に関する第1ノズル群情報、及び前記第2ノズル群からの液体の吐出に関する第2ノズル群情報を記憶する記憶部と、
を有し、
前記第1ノズル群が第1色の液体を吐出し、前記第2ノズル群が前記第1色と異なる第2色の液体を吐出した使用済プリントヘッドから再生産された再生プリントヘッドを備えた再生液体吐出装置であって、
前記再生プリントヘッドは、前記第1ノズル群、及び前記第2ノズル群を有し、
前記再生プリントヘッドの前記第2ノズル群は、前記第1色の液体を吐出する、
ことを特徴とする再生液体吐出装置。
【請求項2】
前記使用済プリントヘッドの前記記憶部に記憶されている前記第1ノズル群情報に含まれる前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記使用済プリントヘッドの前記記憶部に記憶されている前記第2ノズル群情報に含まれる前記第2ノズル群からの液体の吐出回数よりも多い場合、
前記再生プリントヘッドの前記第2ノズル群は、前記第1色の液体を吐出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生液体吐出装置。
【請求項3】
前記使用済プリントヘッドの前記記憶部に記憶されている前記第1ノズル群情報に含まれる前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記使用済プリントヘッドからの再生産に適さないことを示す所定の閾値よりも大きい場合、
前記再生プリントヘッドの前記第1ノズル群は、液体を吐出しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生液体吐出装置。
【請求項4】
前記使用済プリントヘッドは、前記第1ノズル群に前記第1色の液体を供給する液体流路と、前記第2ノズル群に前記第2色の液体を供給する液体流路と、を含む第1流路部材を有し、
前記再生プリントヘッドは、前記第2ノズル群に前記第1色の液体を供給する液体流路を含む第2流路部材を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の再生液体吐出装置。
【請求項5】
液体を吐出する第1ノズルを含む第1ノズル群と、
液体を吐出する第2ノズルを含む第2ノズル群と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出に関する第1ノズル群情報、及び前記第2ノズル群からの液体の吐出に関する第2ノズル群情報を記憶する記憶部と、
を有し、
前記第1ノズル群が第1色の液体を吐出し、前記第2ノズル群が前記第1色と異なる第2色の液体を吐出した使用済プリントヘッドから再生プリントヘッドを生産する再生プリントヘッドの生産方法であって、
前記使用済プリントヘッドの前記記憶部から、前記第1ノズル群情報に含まれる前記第1ノズル群からの液体の吐出回数と、前記第2ノズル群情報に含まれる前記第2ノズル群からの液体の吐出回数と、を取得する取得工程と、
取得した前記第1ノズル群からの液体の吐出回数と、前記第2ノズル群からの液体の吐出回数と、を比較する比較工程と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記第2ノズル群からの液体の吐出回数よりも多い場合、前記第1色の液体が前記第2ノズル群に供給されるように、液体の供給経路を切り替える切替工程と、
を含む再生プリントヘッドの生産方法。
【請求項6】
前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記使用済プリントヘッドの再生産に適さないことを示す所定の閾値よりも大きい場合、前記切替工程において、前記第1ノズル群に、液体が供給されないように液体の供給経路が切り替えられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の再生プリントヘッドの生産方法。
【請求項7】
前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記第2ノズル群からの液体の吐出回数よりも多い場合、
前記切替工程において、前記使用済プリントヘッドが有する前記第2ノズル群に前記第1色の液体を供給する液体流路、及び前記第2ノズル群に前記第2色の液体を供給する液体流路を含む第1流路部材が、前記第2ノズル群に前記第1色の液体を供給する液体流路を含む第2流路部材に交換される、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の再生プリントヘッドの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生液体吐出装置、及び再生プリントヘッドの生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境負荷低減の観点から、初期不良品や中古品などが生じた製品を再整備し、未使用の製品に準じる状態に仕上げた後、当該製品を再び市場に流通させる所謂リファービッシュ品が注目されている。このようなリファービッシュ品は、廃棄物の量を削減することが可能となり、その結果、環境負荷を低減することができる。このような取り組みに対して、インクジェットプリンターなどの液体吐出装置では、例えば、使用済みのプリントヘッドを再整備し、未使用の状態に準じる状態と仕上げることで、再生機(再生プリントヘッド)として再び市場に流通させる取り組みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プリントヘッドの再利用を考慮して、プリントヘッドにメモリーを搭載し、当該メモリーにプリントヘッドの使用状況を記録紙、記憶されたプリントヘッドの使用状況に基づいて、再利用されるプリントヘッドを適切に駆動する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プリントヘッドを再生するにあたり、特許文献1に記載の技術のみでは十分でなく、さらなる改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る再生液体吐出装置の一態様は、
液体を吐出する第1ノズルを含む第1ノズル群と、
液体を吐出する第2ノズルを含む第2ノズル群と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出に関する第1ノズル群情報、及び前記第2ノズル群からの液体の吐出に関する第2ノズル群情報を記憶する記憶部と、
を有し、
前記第1ノズル群が第1色の液体を吐出し、前記第2ノズル群が前記第1色と異なる第2色の液体を吐出した使用済プリントヘッドから再生産された再生プリントヘッドを備えた再生液体吐出装置であって、
前記再生プリントヘッドは、前記第1ノズル群、及び前記第2ノズル群を有し、
前記再生プリントヘッドの前記第2ノズル群は、前記第1色の液体を吐出する。
【0007】
本発明に係る再生プリントヘッドの生産方法の一態様は、
液体を吐出する第1ノズルを含む第1ノズル群と、
液体を吐出する第2ノズルを含む第2ノズル群と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出に関する第1ノズル群情報、及び前記第2ノズル群からの液体の吐出に関する第2ノズル群情報を記憶する記憶部と、
を有し、
前記第1ノズル群が第1色の液体を吐出し、前記第2ノズル群が前記第1色と異なる第2色の液体を吐出した使用済プリントヘッドから再生プリントヘッドを生産する再生プリントヘッドの生産方法であって、
前記使用済プリントヘッドの前記記憶部から、前記第1ノズル群情報に含まれる前記第1ノズル群からの液体の吐出回数と、前記第2ノズル群情報に含まれる前記第2ノズル群からの液体の吐出回数と、を取得する取得工程と、
取得した前記第1ノズル群からの液体の吐出回数と、前記第2ノズル群からの液体の吐出回数と、を比較する比較工程と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記第2ノズル群からの液体の吐出回数よりも多い場合、前記第1色の液体が前記第2ノズル群に供給されるように、液体の供給経路を切り替える切替工程と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】プリントヘッドをY軸に沿って+Y側から見た場合の図である。
【
図3】プリントヘッドをZ軸に沿って-Z側から見た場合の図である。
【
図4】プリントヘッドをZ軸に沿って+Z側から見た場合の図である。
【
図5】ノズルプレートの構成の一例を示す図である。
【
図7】液体吐出装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】記憶回路に記憶される吐出関連情報の一例を示す図である。
【
図9】再生液体吐出装置の生産方法の一例を示す図である。
【
図10】再生プリントヘッドの生産方法の一例を示す図である。
【
図11】吐出されるインクの種類と吐出回数情報のそれぞれの値との関係の一例を示す図である。
【
図12】吐出されるインクの種類と吐出回数情報のそれぞれの値との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
以下の説明では、本発明に係る液体吐出装置の一例として、シリアル方式のコンシューマー用インクジェットプリンターを用いる。しかしながら、液体吐出装置は、シリアル方式のコンシューマー用インクジェットプリンターに限るものではなく、ライン方式のインクジェットプリンター、捺染印刷を行う捺染インクジェットプリンター、オフィス向けインクジェットプリンター複合機等であってもよい。さらに、液体吐出装置は、インクジェットプリンターに限るものではなく、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置、有機ELディスプレイ、面発光ディスプレイ等の電極形成に用いられる電極材料吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物吐出装置等であってもよい。
【0011】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を用いて説明を行う。そして、X軸、Y軸、及びZ軸のそれぞれの向き規定する場合、図示するX軸に沿った矢印の起点側を-X側、先端側を+X側と称し、図示するY軸に沿った矢印の起点側を-Y側、先端側を+Y側と称し、図示するZ軸に沿った矢印の起点側を-Z側、先端側を+Z側と称する場合がある。
【0012】
1.液体吐出装置の構造
図1は、液体吐出装置1の構造の一例を示す図である。
図1に示すように、液体吐出装置1は、移動体2と、移動体2をX軸に沿って往復移動させる移動ユニット3と、を備える。
【0013】
移動ユニット3は、移動体2のX軸に沿った往復移動の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在しキャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33と、を有する。また、移動体2は、インクを吐出するプリントヘッド20と、プリントヘッド20を搭載したキャリッジ24と、を有する。
【0014】
キャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復移動自在に支持されるとともに、タイミングベルト33の一部に固定されている。そして、キャリッジ24は、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33が正逆走行することで、キャリッジガイド軸32に案内されて往復移動する。また、キャリッジ24には、媒体Pに吐出する液体の一例としてのインクを貯留する複数のインクカートリッジ26が搭載される。
【0015】
ここで、本実施形態の液体吐出装置1には、複数のインクカートリッジ26として、シアンCのインクを貯留するインクカートリッジ26、マゼンタMのインクを貯留するインクカートリッジ26、イエローYのインクを貯留するインクカートリッジ26、及びブラックBkのインクを貯留するインクカートリッジ26が搭載されるとして説明を行う。そして、以下の説明において、シアンCのインクを貯留するインクカートリッジ26、マゼンタMのインクを貯留するインクカートリッジ26、イエローYのインクを貯留するインクカートリッジ26、及びブラックBkのインクを貯留するインクカートリッジ26を区別して説明する場合、シアンCのインクを貯留するインクカートリッジ26をインクカートリッジ26cと称し、マゼンタMのインクを貯留するインクカートリッジ26をインクカートリッジ26mと称し、イエローYのインクを貯留するインクカートリッジ26をインクカートリッジ26yと称し、ブラックBkのインクを貯留するインクカートリッジ26をインクカートリッジ26kと称する場合がある。なお、液体吐出装置1に搭載されるインクカートリッジ26は、これに限るものではなく、ライトシアン、ライトマゼンタ、グレーなどのインクを貯留するインクカートリッジ26が搭載されてもよい。
【0016】
プリントヘッド20は、移動体2の内、媒体Pと対向する部分に位置している。プリントヘッド20の媒体Pと対向する面には、インクカートリッジ26から供給されるインクが吐出される後述するノズル651が設けられている。また、プリントヘッド20には、ケーブル190が電気的に接続されている。プリントヘッド20は、ケーブル190を介して、プリントヘッド20の動作を制御する各種制御信号が入力される。このようなケーブル190としては、移動体2の往復移動に追従して摺動可能なフレキシブルフラットケーブル等を用いることができる。
【0017】
また、液体吐出装置1は、媒体PをY軸に沿って搬送させる搬送ユニット4を備える。搬送ユニット4は、媒体Pを支持するプラテン40と、媒体Pを搬送する駆動源として機能する搬送モーター41と、搬送モーター41の駆動により回転することで媒体PをY軸に沿って搬送する搬送ローラー42と、を有する。そして、搬送ユニット4は、搬送モーター41が駆動することで、媒体PをY軸に沿って搬送する。
【0018】
以上のように構成された液体吐出装置1では、搬送ユニット4の制御の基で、媒体PがY軸に沿って-Y側から+Y側に搬送されるとともに、移動ユニット3の制御の基で、プリントヘッド20を搭載したキャリッジ24がX軸に沿って往復移動する。そして、媒体Pが搬送されるタイミングと、移動体2が往復移動するタイミングと、に同期し、キャリッジ24に搭載されたプリントヘッド20が、Z軸に沿って-Z側から+Z側に向かいインクを吐出する。これにより、プリントヘッド20が吐出するインクが媒体Pの所望の位置に着弾し、媒体Pに所望の画像や文字が形成される。
【0019】
ここで、以下の説明において、X軸に沿った方向であって移動体2が移動する方向を走査方向と称し、Y軸に沿った方向であって媒体Pが搬送される方向を搬送方向と称し、Z軸に沿った方向であってプリントヘッド20がインクを吐出する方向を吐出方向と称する場合がある。
【0020】
2.プリントヘッドの構造
次に、プリントヘッド20の構造の一例について説明する。
図2は、プリントヘッド20をY軸に沿って+Y側から見た場合の図であり、
図3は、プリントヘッド20をZ軸に沿って-Z側から見た場合の図であり、
図4は、プリントヘッド20をZ軸に沿って+Z側から見た場合の図である。
【0021】
図2に示すように、プリントヘッド20は、流路部材210と、吐出ヘッド230と、を有する。
【0022】
図2、及び
図3に示すように、流路部材210は、4個のインク供給口215を有する。4個のインク供給口215は、流路部材210の-Z側に位置し、X軸に沿って並設されている。4個のインク供給口215のそれぞれには、対応するインクカートリッジ26が取り付けられる。これにより、インクカートリッジ26に貯留されるインクが、対応するインク供給口215を介して、流路部材210に供給される。流路部材210は、内部に4個のインク供給口215のそれぞれ対応する不図示のインク流路を有する。4個のインク供給口215のそれぞれを介して供給されたインクは、対応するインク流路を流れ、吐出ヘッド230に供給される。
【0023】
ここで、液体吐出装置1は、複数のインクカートリッジ26に替えて、インクを貯留する可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパックや、インクを貯留するとともにインクの補充が可能なインクタンク等を有してもよい。また、複数のインクカートリッジ26、インクパック、及びインクタンクは、流路部材210に固定されていなくてもよく、この場合、複数のインクカートリッジ26、インクパック、及びインクタンクに貯留されるインクは、不図示のインクチューブを介して流路部材210に供給されてもよい。
【0024】
また、流路部材210は、
図3及び
図4に示すように、+Z側の面に形成された基準ピン211と、Z軸に沿って貫通する貫通孔212,213,214と、を含む。流路部材210は、基準ピン211によって規定される位置に、貫通孔212,213,214のそれぞれを挿通するネジ等によって、キャリッジ24に固定される。
【0025】
吐出ヘッド230は、
図2、及び
図4に示すように、流路部材210の+Z側に位置し、複数の固定ネジ231によって、流路部材210に固定されている。すなわち、吐出ヘッド230は、流路部材210を介してキャリッジ24に固定される。なお、吐出ヘッド230は、固定ネジ231に替えて、若しくは固定ネジ231に加えて、接着剤等によって流路部材210に固定されてもよい。
【0026】
吐出ヘッド230の+Z側には、ノズルプレート632が位置している。
図5は、ノズルプレート632の構成の一例を示す図である。
図5に示すように、ノズルプレート632には、吐出部600に含まれるノズル651が複数形成されている。流路部材210を介してインクカートリッジ26から供給されるインクは、ノズルプレート632に形成された複数のノズル651から吐出される。
【0027】
ノズルプレート632に形成された複数のノズル651は、ノズル列L1~L8を構成する。ノズル列L1~L8のそれぞれは、Y軸に沿って並設された複数のノズル651を有する。そして、ノズル列L1~L8のそれぞれは、ノズルプレート632において、X軸に沿って、―X側から+X側に向かい、ノズル列L1、ノズル列L2、ノズル列L3、ノズル列L4、ノズル列L5、ノズル列L6、ノズル列L7、ノズル列L8の順に並んで位置している。すなわち、ノズルプレート632には、吐出部600に含まれるノズル651がY軸に沿って並設されたノズル列L1~L8を含み、ノズル列L1~L8は、X軸に沿って並設されている。
【0028】
ここで、ノズル651を含む吐出部600の構成の一例ついて説明する。
図6は、吐出部600の構成の一例を示す図である。また、
図6には、吐出部600の構成に加えて、吐出部600にインクを供給するリザーバー641と、リザーバー641にインクを供給する供給口661と、を図示している。
【0029】
図6に示すように、吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631、及びノズル651を含む。
【0030】
キャビティー631は、リザーバー641と連通している。これにより、キャビティー631には、リザーバー641に貯留されるインクが充填される。ノズル651は、キャビティー631に連通し、ノズルプレート632に形成された開孔である。振動板621は、キャビティー631の-Z側に位置し、振動板621の-Z側の面には、圧電素子60が設けられている。圧電素子60は、圧電体601と、圧電体601を挟むように位置する一対の電極611,612とを有する。圧電体601は、電極611の電圧と電極612の電圧との電位差に応じて、中央部分がZ軸に沿った上下方向に撓むように変位する。すなわち、圧電素子60は、電極611に入力される信号と電極612に入力される信号との電位差に応じて、Z軸に沿った上下方向に撓むように駆動する。そして、圧電素子60の駆動により、振動板621がZ軸に沿って変位し、振動板621のZ軸に沿った変位に伴って、キャビティー631の内部容積が拡大、縮小する。すなわち、振動板621は、キャビティー631の内部容積を変化させるダイヤフラムとして機能する。
【0031】
以上のように構成された吐出部600において、圧電素子60がZ軸に沿って上方向に撓むように駆動した場合、振動板621は、Z軸に沿って上方向に変位する。その結果、キャビティー631の内部容積が拡大する。したがって、リザーバー641に貯留されるインクが、キャビティー631の内部に引き込まれる。一方、圧電素子60がZ軸に沿って下方向に撓むように駆動した場合、振動板621は、Z軸に沿って下方向に変位する。その結果、キャビティー631の内部容積が縮小する。したがって、キャビティー631に貯留されるインクが、ノズル651から吐出される。すなわち、本実施形態の吐出ヘッド230は、圧電素子60の駆動によってインクを吐出する複数のノズル651を有する。
【0032】
なお、吐出ヘッド230が有する圧電素子60の構造は、吐出部600からインクを吐出できるように駆動する構造であればよい。そのため、圧電素子60の構造は、
図6に示す屈曲振動の構造に限られるものではなく、例えば、縦振動の構造であってもよい。
【0033】
ここで、供給口661は、上述した流路部材210の内部に構成された複数のインク流路のいずれかに対応して設けられ、リザーバー641は、供給口661に対応して設けられている。そして、リザーバー641は、複数の吐出部600の内のいくつかに対応して共通に設けられている。すなわち、インクカートリッジ26に貯留されたインクは、流路部材210が有する対応するインク流路を流れ、対応する供給口661を介して吐出ヘッド230に供給される。そして、吐出ヘッド230に供給されたインクは、リザーバー641に貯留されるとともに分岐され、対応する複数の吐出部600のキャビティー631に供給される。
【0034】
ここで、本実施形態の液体吐出装置1では、リザーバー641は、ノズル列L1~L8のそれぞれに対応して設けられているとして説明を行う。すなわち、吐出ヘッド230は、ノズル列L1を構成する複数のノズル651から吐出されるインクを貯留するリザーバー641、及び当該リザーバー641に対応する供給口661と、ノズル列L2を構成する複数のノズル651から吐出されるインクを貯留するリザーバー641、及び当該リザーバー641に対応する供給口661と、ノズル列L3を構成する複数のノズル651から吐出されるインクを貯留するリザーバー641、及び当該リザーバー641に対応する供給口661と、ノズル列L4を構成する複数のノズル651から吐出されるインクを貯留するリザーバー641、及び当該リザーバー641に対応する供給口661と、ノズル列L5を構成する複数のノズル651から吐出されるインクを貯留するリザーバー641、及び当該リザーバー641に対応する供給口661と、ノズル列L6を構成する複数のノズル651から吐出されるインクを貯留するリザーバー641、及び当該リザーバー641に対応する供給口661と、ノズル列L7を構成する複数のノズル651から吐出されるインクを貯留するリザーバー641、及び当該リザーバー641に対応する供給口661と、ノズル列L8を構成する複数のノズル651から吐出されるインクを貯留するリザーバー641、及び当該リザーバー641に対応する供給口661と、を有する。
【0035】
なお、本実施形態では、ノズル列L1~L8のそれぞれに対応して、リザーバー641が設けられているとして説明を行うが、これに限るものではなく、例えば、ノズル列L1を構成する複数のノズル651の内のいくつから吐出されるインクを貯留するリザーバー641と、ノズル列L1を構成する複数のノズル651の内の異なるいくつかから吐出されるインクを貯留するリザーバー641と、を有してもよい。
【0036】
以上のように、本実施形態のプリントヘッド20は、インクカートリッジ26から供給されるインクを吐出する複数のノズル651を含むノズル列L1~L8を含む。
【0037】
3.液体吐出装置の機能構成
次に、液体吐出装置1の機能構成について説明する。
図7は、液体吐出装置1の機能構成の一例を示す図である。
図7に示すように液体吐出装置1は、制御ユニット10、プリントヘッド20、移動ユニット3、及び搬送ユニット4を備える。そして、制御ユニット10とプリントヘッド20とが、上述したケーブル190で電気的に接続されている。これにより、制御ユニット10が出力する各種信号がプリントヘッド20に入力される。
【0038】
制御ユニット10は、駆動回路50、及び制御回路100を有する。
【0039】
制御回路100には、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示の外部機器であって、例えば、ホストコンピューター等から画像データが入力される。制御回路100は、入力される画像データに各種の画像処理等を施すことで、液体吐出装置1の各部を制御するための各種制御信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0040】
具体的には、制御回路100は、移動体2の往復移動を制御するための制御信号Ctrl1を生成し、移動ユニット3に含まれるキャリッジモーター31に出力する。これにより、キャリッジモーター31が駆動し、走査方向に沿った移動体2の往復移動が制御される。また、制御回路100は、媒体Pの搬送を制御するための制御信号Ctrl2を生成し、搬送ユニット4に含まれる搬送モーター41に出力する。これにより、搬送モーター41が駆動し、搬送方向に沿った媒体Pの搬送が制御される。なお、制御回路100は、不図示のキャリッジモータードライバーを介して移動ユニット3に制御信号Ctrl1を入力してもよく、同様に、不図示の搬送モータードライバーを介して搬送ユニット4に制御信号Ctrl2を入力してもよい。
【0041】
また、制御回路100は、駆動回路50にデジタルの信号である基駆動信号dAを出力する。駆動回路50は、入力されるデジタルの基駆動信号dAをアナログの信号に変換した後、当該アナログの信号をD級増幅することで駆動信号COMを生成し、プリントヘッド20に出力する。すなわち、基駆動信号dAは、駆動信号COMの信号波形を規定する。なお、基駆動信号dAは、駆動信号COMの信号波形を規定できればよく、アナログの信号であってもよい。また、駆動回路50は、基駆動信号dAで規定される信号波形を増幅することで駆動信号COMを生成できればよく、D級増幅に替えて、若しくは加えて、A級増幅、B級増幅、又はAB級増幅することで、駆動信号COMを生成してもよい。
【0042】
また、制御回路100は、入力される画像データに基づいて、吐出制御信号DATA1~DATA8を生成し、プリントヘッド20に出力する。また、制御回路100は、使用者の要求に基づいて、又は任意のタイミングで、液体吐出装置1の状態、及びプリントヘッド20の状態の少なくとも一方を示す状態信号SSを生成し、プリントヘッド20に出力する。
【0043】
プリントヘッド20は、駆動信号選択回路21-1~21-8、吐出情報取得回路22、記憶回路23、及び複数の吐出部600を有する。
【0044】
駆動信号選択回路21-1には、制御回路100が出力する吐出制御信号DATA1と、駆動回路50が出力する駆動信号COMと、が入力される。駆動信号選択回路21-1は、入力される吐出制御信号DATA1に基づいて、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、ノズル列L1を構成する複数のノズル651を含む複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成する。そして、駆動信号選択回路21-1は、生成した駆動信号VOUTを、対応する吐出部600が有する圧電素子60の電極611、又は電極612の一方に出力する。
【0045】
このとき、ノズル列L1を構成する複数のノズル651を含む複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の電極611、又は電極612の他方には、基準電圧信号VBSが入力されている。基準電圧信号VBSは、例えば、グラウンド電位、5.5V、6V等で電圧値が一定の直流電圧の信号であって、圧電素子60の駆動の基準として機能する。ノズル列L1を構成する複数のノズル651を含む複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60は、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差に応じて駆動する。そして、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、ノズル列L1を構成する複数のノズル651のそれぞれから吐出される。
【0046】
同様に、駆動信号選択回路21-i(iは2~8のいずれか)には、制御回路100が出力する吐出制御信号DATAiと、駆動回路50が出力する駆動信号COMと、が入力される。駆動信号選択回路21-iは、入力される吐出制御信号DATAiに基づいて、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、ノズル列Liを構成する複数のノズル651を含む複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成する。そして、駆動信号選択回路21-iは、生成した駆動信号VOUTを、対応する吐出部600が有する圧電素子60の電極611、又は電極612の一方に出力する。
【0047】
このとき、ノズル列Liを構成する複数のノズル651を含む複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の電極611、又は電極612の他方には、基準電圧信号VBSが入力されている。これにより、ノズル列Liを構成する複数のノズル651を含む複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60は、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差に応じて駆動する。そして、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、ノズル列Liを構成する複数のノズル651のそれぞれから吐出される。
【0048】
以上のように、駆動信号選択回路21-1~21-8は、入力される吐出制御信号DATA1~DATA8によって規定されるタイミングで、入力される吐出制御信号DATA1~DATA8によって規定される信号波形の駆動信号VOUTを出力する。駆動信号選択回路21-1~21-8のそれぞれが出力する駆動信号VOUTは、ノズル列L1~L8を構成する複数のノズル651を含む複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60を駆動する。これにより、ノズル列L1~L8のそれぞれを構成する複数のノズル651からインクが吐出される。すなわち、駆動信号選択回路21-1~21-8のそれぞれは、入力される吐出制御信号DATA1~DATA8に基づいて、対応するノズル列L1~L8からのインクの吐出を制御する。換言すれば、吐出制御信号DATA1は、ノズル列L1からのインクの吐出を制御する信号として機能し、吐出制御信号DATAiは、ノズル列Liからのインクの吐出を制御する信号として機能する。
【0049】
吐出情報取得回路22には、吐出制御信号DATA1~DATA8と、制御回路100が出力する状態信号SSと、が入力される。吐出情報取得回路22は、入力される吐出制御信号DATA1~DATA8、及び状態信号SSに基づいて、プリントヘッド20の状態を示す情報、及びノズル列L1~L8のそれぞれからのインクの吐出に関する情報を取得する。そして、吐出情報取得回路22は、取得した情報を記憶回路23に記憶する。
【0050】
ここで、以下の説明では、記憶回路23に記憶されるプリントヘッド20の状態を示す情報と、ノズル列L1~L8のそれぞれからのインクの吐出に関する情報と、を一括りにして吐出関連情報と称する場合がある。
【0051】
図8は、記憶回路23に記憶される吐出関連情報の一例を示す図である。
図8に示すように、記憶回路23には、プリントヘッド20の状態を示す吐出関連情報として、累積印刷面数TPに関する情報、経過日数LDに関する情報、エラー回数ECに関する情報、搬送エラー回数CECに関する情報、キャッピング処理回数CPに関する情報、クリーニング処理回数CLに関する情報、及びワイピング処理回数WPに関する情報が記憶されているとともに、ノズル列L1~L8のそれぞれからのインクの吐出に関する吐出関連情報として、ノズル列L1~L8からのインクの吐出回数DCに関する情報が記憶されている。
【0052】
累積印刷面数TPに関する情報は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてからの印刷面数を示す情報であって、累積印刷面数第1閾値情報TPth1、累積印刷面数第2閾値情報TPth2、累積印刷面数第3閾値情報TPth3、及び累積印刷面数情報TPcを含み、記憶回路23の記憶領域M1~M4に記憶されている。ここで、印刷面数とは、プリントヘッド20から吐出されるインクによって画像が形成された媒体Pの面数であって、例えば、プリントヘッド20がインクを吐出することで媒体Pの両面に画像を形成した場合、印刷面数は「2」としてカウントされ、プリントヘッド20がインクを吐出することで媒体Pの片面に画像データに含まれる2ページ分の画像を形成した場合、印刷面数は「1」としてカウントされる。
【0053】
累積印刷面数第1閾値情報TPth1は、プリントヘッド20に使用履歴があるか否かを判断するための閾値であって、例えば「1」が記憶領域M1に記憶されている。累積印刷面数第2閾値情報TPth2は、プリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値であって、記憶領域M2に記憶されている。プリントヘッド20の状態は、プリントヘッド20の使用状況や動作状況に応じて非線形に変化する。例えば、プリントヘッド20からのインクの吐出状態は、初期状態に大きく変動し、その後、所定の吐出回数を経過することで安定する。累積印刷面数第2閾値情報TPth2は、非線形に変化するプリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値として機能する。累積印刷面数第3閾値情報TPth3は、印刷面数に応じたプリントヘッド20の設計寿命を規定する閾値であって、記憶領域M3に記憶されている。
【0054】
累積印刷面数情報TPcは、プリントヘッド20がインクを吐出した媒体Pの印刷面数のカウント値であって、記憶領域M4に記憶されている。この累積印刷面数情報TPcは、制御回路100が出力するプリントヘッド20からのインクの吐出を制御する吐出制御信号DATA1~DATA8の内の少なくとも1つを用いて、吐出情報取得回路22が算出する。
【0055】
経過日数LDに関する情報は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてから経過した日数を示す情報であって、経過日数第1閾値情報LDth1、経過日数第2閾値情報LDth2、経過日数第3閾値情報LDth3、及び経過日数情報LDcを含み、記憶回路23の記憶領域M5~M8に記憶されている。
【0056】
経過日数第1閾値情報LDth1は、プリントヘッド20が液体吐出装置に組み込まれた実績があるか否かを判断するための閾値であって、例えば「1」が記憶領域M5に記憶されている。経過日数第2閾値情報LDth2は、プリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値であって、記憶領域M6に記憶されている。経過日数第3閾値情報LDth3は、経過時間に応じたプリントヘッド20の設計寿命を規定する閾値であって、記憶領域M7に記憶されている。
【0057】
経過日数情報LDcは、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてから経過した日数のカウント値であって、記憶領域M8に記憶されている。ここで、経過日数情報LDcとしての経過日数は、例えば、不図示の計時回路からの情報に基づいて吐出情報取得回路22が算出する。
【0058】
エラー回数ECに関する情報は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてからプリントヘッド20に生じたエラーの回数を示す情報であって、エラー回数第1閾値情報ECth1、エラー回数第2閾値情報ECth2、エラー回数第3閾値情報ECth3、及びエラー回数情報ECcを含み、記憶回路23の記憶領域M9~M12に記憶されている。ここで、プリントヘッド20に生じたエラーには、プリントヘッド20が有するノズル651から正常にインクが吐出されない吐出エラーや、プリントヘッド20に生じた過電圧エラー、過電流エラーに加えて、プリントヘッド20がインクを吐出する媒体Pの搬送が正常に行えない搬送エラーが含まれてもよい。また、エラー回数ECに関する情報には、上述したエラー以外のプリントヘッド20に関する各種のエラーが含まれてもよい。なお、上述した吐出エラー、過電圧エラー、過電流エラー、及び搬送エラーを含む各種エラーの検出、及び判定は、既知の方法を用いることができる。
【0059】
エラー回数第1閾値情報ECth1は、プリントヘッド20の使用によってエラーが生じたか否かを判定するための閾値であって、例えば「1」が記憶領域M9に記憶されている。エラー回数第2閾値情報ECth2は、プリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値であって、記憶領域M10に記憶されている。エラー回数第3閾値情報ECth3は、プリントヘッド20に生じたエラーに応じたプリントヘッド20の設計寿命を規定する閾値であって、記憶領域M11に記憶されている。
【0060】
エラー回数情報ECcは、プリントヘッド20に生じたエラーの回数のカウント値であって、記憶領域M12に記憶されている。ここで、プリントヘッド20に生じたエラーの回数のカウント値は、吐出情報取得回路22が、上述した吐出エラー、過電圧エラー、過電流エラー、及び搬送エラーのそれぞれの回数をカウントし合算することによって得られる。
【0061】
搬送エラー回数CECに関する情報は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてから生じた媒体Pの搬送に伴うエラーの回数を示す情報であって、搬送エラー回数第1閾値情報CECth1、搬送エラー回数第2閾値情報CECth2、搬送エラー回数第3閾値情報CECth3、及び搬送エラー回数情報CECcを含み、記憶回路23の記憶領域M13~M16に記憶されている。ここで、搬送時に生じたエラーとしては、例えば、媒体Pが正常に供給又は排出できなくなる所謂ジャム等が含まれる。なお、以下の説明では、搬送時に生じたエラーを単に搬送エラーと称する場合がある。液体吐出装置1にジャム等の搬送エラーが生じた場合、媒体Pがプリントヘッド20のノズルプレート632と接触し、その結果、ノズルプレート632に形成された複数のノズル651を傷つけるおそれがある。このような搬送エラーが生じた回数を、上述したエラー回数ECに関する情報とは別に記憶することで、プリントヘッド20の状態をより精度よく管理することができる。
【0062】
搬送エラー回数第1閾値情報CECth1は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられた後、搬送エラーが生じたか否かを判定するための閾値であって、例えば「1」が記憶領域M13に記憶されている。搬送エラー回数第2閾値情報CECth2は、プリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値であって、記憶領域M14に記憶されている。搬送エラー回数第3閾値情報CECth3は、液体吐出装置1に生じた搬送エラーに応じたプリントヘッド20の設計寿命を規定する閾値であって、記憶領域M15に記憶されている。
【0063】
搬送エラー回数情報CECcは、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてから生じた搬送エラーの回数のカウント値であって、記憶領域M16に記憶されている。ここで、記憶領域M16に記憶される搬送エラーの回数のカウント値は、制御回路100が算出し、状態信号SSとして吐出情報取得回路22に入力されてもよく、また、搬送エラーが生じた際、制御回路100が、搬送エラーが生じた旨の情報を含む状態信号SSを出力し、吐出情報取得回路22が、入力される状態信号SSに基づいて算出してもよい。
【0064】
キャッピング処理回数CPに関する情報は、プリントヘッド20に貯留されるインクの特性の変化を低減するためにノズル651が形成されているノズルプレート632にキャップを取り付けるキャッピング処理が実行された回数を示す情報であって、キャッピング処理回数第1閾値情報CPth1、キャッピング処理回数第2閾値情報CPth2、キャッピング処理回数第3閾値情報CPth3、及びキャッピング処理回数情報CPcを含み、記憶回路23の記憶領域M17~M20に記憶されている。キャッピング処理は、キャップがプリントヘッド20のノズルプレート632と接触するため、当該キャップによりノズル651を傷つけるおそれがある。このようなキャッピング処理が実行された回数を、記憶回路23に記憶することで、プリントヘッド20の状態をより精度よく管理することができる。
【0065】
キャッピング処理回数第1閾値情報CPth1は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてからキャッピング処理が実行されたか否かを判定するための閾値であって、例えば「1」が記憶領域M17に記憶されている。キャッピング処理回数第2閾値情報CPth2は、プリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値であって、記憶領域M18に記憶されている。キャッピング処理回数第3閾値情報CPth3は、プリントヘッド20に実行されたキャッピング処理の回数に応じた設計寿命を規定する閾値であって、記憶領域M19に記憶されている。
【0066】
キャッピング処理回数情報CPcは、プリントヘッド20に実行されたキャッピング処理の回数のカウント値であって、記憶領域M20に記憶されている。ここで、記憶領域M20に記憶されるキャッピング処理の回数のカウント値は、制御回路100が算出し、状態信号SSとして吐出情報取得回路22に入力されてもよく、制御回路100が、キャッピング処理が実行された旨の情報を含む状態信号SSを出力し、吐出情報取得回路22が、入力される状態信号SSに基づいて算出してもよい。
【0067】
クリーニング処理回数CLに関する情報は、プリントヘッド20のノズルプレート632に付着した紙片等を除去するためワイピング処理、プリントヘッド20の内部に貯留されているインクの粘度を適正な範囲に保持するためフラッシング処理等、プリントヘッド20から正常にインクを吐出させるためのクリーニング処理が実行された回数を示す情報であって、クリーニング処理回数第1閾値情報CLth1、クリーニング処理回数第2閾値情報CLth2、クリーニング処理回数第3閾値情報CLth3、及びクリーニング処理回数情報CLcを含み、記憶回路23の記憶領域M21~M24に記憶されている。
【0068】
クリーニング処理回数第1閾値情報CLth1は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてからクリーニング処理が実行されたか否かを判定するための閾値であって、例えば「1」が記憶領域M21に記憶されている。クリーニング処理回数第2閾値情報CLth2は、プリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値であって、記憶領域M22に記憶されている。クリーニング処理回数第3閾値情報CLth3は、プリントヘッド20に実行されたクリーニング処理の回数に応じた設計寿命を規定する閾値であって、記憶領域M23に記憶されている。
【0069】
クリーニング処理回数情報CLcは、プリントヘッド20に実行されたクリーニング処理の回数のカウント値であって、記憶領域M24に記憶されている。ここで、記憶領域M24に記憶されるクリーニング処理の回数のカウント値は、制御回路100が算出し、状態信号SSとして吐出情報取得回路22に入力されてもよく、制御回路100が、クリーニング処理が実行された旨の情報を含む状態信号SSを出力し、吐出情報取得回路22が、入力される状態信号SSに基づいて算出してもよい。
【0070】
ワイピング処理回数WPに関する情報は、プリントヘッド20のノズルプレート632に付着した紙片等を除去するためワイピング処理が実行された回数を示す情報であって、ワイピング処理回数第1閾値情報WPth1、ワイピング処理回数第2閾値情報WPth2、ワイピング処理回数第3閾値情報WPth3、及びワイピング処理回数情報WPcを含み、記憶回路23の記憶領域M25~M28に記憶されている。ワイピング処理は、プリントヘッド20のノズルプレート632を直接拭き取るため、ノズル651を傷つけるおそれがある。このようなワイピング処理が実行された回数を、上述したクリーニング処理回数CLとは別に記憶することで、プリントヘッド20の状態をより精度よく管理することができる。
【0071】
ワイピング処理回数第1閾値情報WPth1は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてからワイピング処理が実行されたか否かを判定するための閾値であって、例えば「1」が記憶領域M25に記憶されている。ワイピング処理回数第2閾値情報WPth2は、プリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値であって、記憶領域M26に記憶されている。ワイピング処理回数第3閾値情報WPth3は、プリントヘッド20に実行されたワイピング処理の回数に応じた設計寿命を規定する閾値であって、記憶領域M27に記憶されている。
【0072】
ワイピング処理回数情報WPcは、プリントヘッド20に実行されたワイピング処理の回数のカウント値であって、記憶領域M28に記憶されている。ここで、記憶領域M28に記憶されるワイピング処理の回数のカウント値は、制御回路100が算出し、状態信号SSとして吐出情報取得回路22に入力されてもよく、制御回路100が、ワイピング処理が実行された旨の情報を含む状態信号SSを出力し、吐出情報取得回路22が、入力される状態信号SSに基づいて算出してもよい。
【0073】
吐出回数DCに関する情報は、プリントヘッド20からのインクの吐出回数を示す情報であって、吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、吐出回数第3閾値情報DCth3、及び吐出回数情報DCL1~DCL8を含み、記憶回路23の記憶領域M29~M39に記憶されている。
【0074】
吐出回数第1閾値情報DCth1は、プリントヘッド20が液体吐出装置1に組み付けられてからインクが吐出されたか否かを判定するための閾値であって、例えば「1」が記憶領域M29に記憶されている。吐出回数第2閾値情報DCth2は、プリントヘッド20の状態を切り分けるための閾値であって、記憶領域M30に記憶されている。吐出回数第3閾値情報DCth3は、プリントヘッド20からのインクの吐出回数に応じた設計寿命を規定する閾値であって、記憶領域M31に記憶されている。
【0075】
吐出回数情報DCL1~DCL8は、ノズル列L1~L8のそれぞれに対応し、対応するノズル列L1~L8のそれぞれからのインクの吐出回数の積算値であって、記憶領域M32~M39に記憶されている。
【0076】
具体的には、吐出回数情報DCL1は、ノズル列L1からのインクの吐出回数のカウント値であって、記憶領域M32に記憶されている。この吐出回数情報DCL1は、吐出情報取得回路22に入力される吐出制御信号DATA1に基づいて算出してもよい。また、吐出回数情報DCL2は、ノズル列L2からのインクの吐出回数のカウント値であって、記憶領域M33に記憶されている。この吐出回数情報DCL2は、吐出情報取得回路22が、入力される吐出制御信号DATA2に基づいて算出してもよい。また、吐出回数情報DCL3は、ノズル列L3からのインクの吐出回数のカウント値であって、記憶領域M34に記憶されている。この吐出回数情報DCL3は、吐出情報取得回路22が、入力される吐出制御信号DATA3に基づいて算出してもよい。また、吐出回数情報DCL4は、ノズル列L4からのインクの吐出回数のカウント値であって、記憶領域M35に記憶されている。この吐出回数情報DCL4は、吐出情報取得回路22が、入力される吐出制御信号DATA4に基づいて算出してもよい。また、吐出回数情報DCL5は、ノズル列L5からのインクの吐出回数のカウント値であって、記憶領域M36に記憶されている。この吐出回数情報DCL5は、吐出情報取得回路22が、入力される吐出制御信号DATA5に基づいて算出してもよい。また、吐出回数情報DCL6は、ノズル列L6からのインクの吐出回数のカウント値であって、記憶領域M37に記憶されている。この吐出回数情報DCL6は、吐出情報取得回路22が、入力される吐出制御信号DATA6に基づいて算出してもよい。また、吐出回数情報DCL7は、ノズル列L7からのインクの吐出回数のカウント値であって、記憶領域M38に記憶されている。この吐出回数情報DCL7は、吐出情報取得回路22が、入力される吐出制御信号DATA7に基づいて算出してもよい。また、吐出回数情報DCL8は、ノズル列L2からのインクの吐出回数のカウント値であって、記憶領域M39に記憶されている。この吐出回数情報DCL8は、吐出情報取得回路22が、入力される吐出制御信号DATA8に基づいて算出してもよい。
【0077】
すなわち、記憶回路23には、ノズル列L1に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL1、ノズル列L2に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL2、ノズル列L3に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL3、ノズル列L4に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL4、ノズル列L5に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL5、ノズル列L6に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL6、ノズル列L7に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL7、及びノズル列L8に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL8が記憶されている。換言すれば、プリントヘッド20は、ノズル列L1に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL1、ノズル列L2に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL2、ノズル列L3に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL3、ノズル列L4に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL4、ノズル列L5に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL5、ノズル列L6に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL6、ノズル列L7に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL7、及びノズル列L8に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出に関する吐出回数情報DCL8を記憶する記憶回路23を有する。
【0078】
ここで、
図8に示す記憶回路23に記憶される吐出部関連情報は、一例であり、記憶回路23には、上述した吐出部関連情報の他に、ノズル列L1~L8に対応する吐出されるインクの色彩の情報や、製造年月日、製造場所等のプリントヘッド20の製造に関する情報、プリントヘッド20の製造の際に取得したプリントヘッド20の初期特性に関する情報等が記憶されていてもよい。
【0079】
以上のように構成された本実施形態の液体吐出装置1では、制御ユニット10が、外部機器からの入力される画像データに基づいて、吐出制御信号DATA1~DATA8と、駆動信号COMとを生成し、プリントヘッド20に出力する。そして、プリントヘッド20は、吐出制御信号DATA1~DATA8と、駆動信号COMとに基づいて、媒体Pにインクを吐出する。このとき、プリントヘッド20が有する記憶回路23には、プリントヘッド20の状態を示す情報と、ノズル列L1~L8のそれぞれからのインクの吐出に関する情報と、を含む吐出関連情報が記憶される。
【0080】
4.プリントヘッドの再生産
以上のように構成された本実施形態の液体吐出装置1は、環境負荷低減の観点において、市場に流通した液体吐出装置1を回収し、回収した液体吐出装置1から使用済みのプリントヘッド20を取り外すとともに、取り外した使用済みのプリントヘッド20を再整備することで再生し、再生されたプリントヘッド20を備えた液体吐出装置1を、再び市場に流通させることができる。これにより、プリントヘッド20の廃棄量を低減し、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に貢献し得る。そこで、本実施形態では、市場に流通した使用済みの液体吐出装置1から使用済みのプリントヘッド20を回収し、回収した使用済みのプリントヘッド20から再生産されたプリントヘッド20を備えた再生された液体吐出装置1として市場に流通させる場合を想定する。すなわち、本実施形態では、再生された液体吐出装置1が、使用済みのプリントヘッド20から再生産されたプリントヘッド20を備える場合を想定する。
【0081】
なお、再生されたプリントヘッド20を備えた液体吐出装置1を市場に流通させる行為には、再生されたプリントヘッド20を備えた液体吐出装置1を販売する行為に加えて、再生されたプリントヘッド20を備えた液体吐出装置1をレンタル、又はリースする行為や、再生されたプリントヘッド20を備えた液体吐出装置1をサンプルや試供品として提供する行為等も含まれる。
【0082】
また、以下の説明では、回収した使用済みの液体吐出装置1を使用済液体吐出装置1uと称し、使用済液体吐出装置1uが備えるプリントヘッド20を使用済プリントヘッド20uと称し、使用済プリントヘッド20uから再生産されたプリントヘッド20を再生プリントヘッド20rと称し、再生プリントヘッド20rを備える液体吐出装置1を再生液体吐出装置1rと称する場合がある。
【0083】
次に、再生プリントヘッド20rを備えた再生液体吐出装置1rの生産方法、及び、再生プリントヘッド20rの生産方法について説明する。
図9は、再生液体吐出装置1rの生産方法の一例を示す図である。ここで、以下の説明において、市場に流通する液体吐出装置1を回収する者を回収者と称し、回収した液体吐出装置1から再生液体吐出装置1rを生産する者を生産者と称する場合がある。なお、回収者と生産者とは、別人格に限るものではなく同一人格であってもよい。また、以下に説明にする回収者、及び生産者が実行する処理、及び動作は、回収者、及び生産者が自ら当該処理、及び当該動作を実行する場合に加えて、回収者、及び生産者が、該当する装置やコンピューターを操作することで、装置、及びコンピューターに当該処理、及び当該動作を実行させる場合も含まれる。
【0084】
再生液体吐出装置1rの生産に際して、回収者は、市場に流通する使用済液体吐出装置1uを回収し(ステップS10)、回収した使用済液体吐出装置1uを生産者に引き渡す。生産者は、回収者から入手した使用済液体吐出装置1uから、使用済プリントヘッド20uを取り外し(ステップS20)、取り外した使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rを生産する(ステップS30)。そして、生産者は、生産した再生プリントヘッド20rを再生液体吐出装置1rに実装した後(ステップS40)、再生プリントヘッド20rが実装された再生液体吐出装置1rの吐出調整を実行し(ステップS50)、再生液体吐出装置1rの生産を終了する。
【0085】
ここで、上述したステップS30において、生産者が使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rを生産する再生プリントヘッド20rの生産方法の具体例について説明する。
図10は、再生プリントヘッド20rの生産方法の一例を示す図である。使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rを生産するにあたり、生産者は、使用済液体吐出装置1uから取り外された使用済プリントヘッド20uの記憶回路23から、使用済プリントヘッド20uの状態を示す吐出関連情報を読み出す(ステップS310)。そして、生産者は、読み出した使用済プリントヘッド20uの状態を示す吐出関連情報に基づいて、使用済プリントヘッド20uの状態を判定する(ステップS320)。
【0086】
具体的には、生産者は、吐出関連情報の内の累積印刷面数TPに関する情報として、累積印刷面数第1閾値情報TPth1、累積印刷面数第2閾値情報TPth2、累積印刷面数第3閾値情報TPth3、及び累積印刷面数情報TPcを、記憶回路23から読み出す。そして、生産者は、読み出した累積印刷面数情報TPcと、読み出した累積印刷面数第1閾値情報TPth1、累積印刷面数第2閾値情報TPth2、及び累積印刷面数第3閾値情報TPth3のそれぞれと、を比較し、比較結果に基づいて、使用済プリントヘッド20uの状態を判別するとともに、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適しているか否かを判定する。
【0087】
詳細には、生産者は、読み出した累積印刷面数情報TPcが、累積印刷面数第1閾値情報TPth1よりも小さい場合、使用済プリントヘッド20uは未使用であると判定する。また、生産者は、読み出した累積印刷面数情報TPcが、累積印刷面数第1閾値情報TPth1よりも大きく、累積印刷面数第3閾値情報TPth3よりも小さい場合、使用済プリントヘッド20uが、印刷面数の積算値の観点において再生プリントヘッド20rの生産に適していると判定する。このとき、生産者は、読み出した累積印刷面数情報TPcが、累積印刷面数第2閾値情報TPth2よりも大きいか否かに基づいて、使用済プリントヘッド20uの状態を判別する。これにより、生産者は、使用済プリントヘッド20uから再生産される再生プリントヘッド20rの用途を決定することができる。
【0088】
また、生産者は、読み出した累積印刷面数情報TPcが、累積印刷面数第1閾値情報TPth1、累積印刷面数第2閾値情報TPth2、及び累積印刷面数第3閾値情報TPth3のいずれよりも大きい場合、使用済プリントヘッド20uは、印刷面数の積算値の観点において、再生プリントヘッド20rの生産に適していないと判定する。
【0089】
同様に、生産者は、吐出関連情報の内の経過日数LDに関する情報として、経過日数第1閾値情報LDth1、経過日数第2閾値情報LDth2、経過日数第3閾値情報LDth3、及び経過日数情報LDcを、記憶回路23から読み出す。そして、生産者は、読み出した経過日数情報LDcと、読み出した経過日数第1閾値情報LDth1、経過日数第2閾値情報LDth2、及び経過日数第3閾値情報LDth3のそれぞれと、を比較することで、使用済プリントヘッド20uの経過日数の観点において、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適しているか否かを判定するとともに、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適している場合、使用済プリントヘッド20uから再生産される再生プリントヘッド20rの用途を決定する。
【0090】
同様に、生産者は、吐出関連情報の内のエラー回数ECに関する情報として、エラー回数第1閾値情報ECth1、エラー回数第2閾値情報ECth2、エラー回数第3閾値情報ECth3、及びエラー回数情報ECcを、記憶回路23から読み出す。そして、生産者は、読み出したエラー回数情報ECcと、読み出したエラー回数第1閾値情報ECth1、エラー回数第2閾値情報ECth2、及びエラー回数第3閾値情報ECth3のそれぞれと、を比較することで、使用済プリントヘッド20uが液体吐出装置1に生じたエラーの回数の観点において、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適しているか否かを判定するとともに、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適している場合、使用済プリントヘッド20uから再生産される再生プリントヘッド20rの用途を決定する。
【0091】
同様に、生産者は、吐出関連情報の内の搬送エラー回数CECに関する情報として、搬送エラー回数第1閾値情報CECth1、搬送エラー回数第2閾値情報CECth2、搬送エラー回数第3閾値情報CECth3、及び搬送エラー回数情報CECcを、記憶回路23から読み出す。そして、生産者は、読み出した搬送エラー回数CECと、読み出した搬送エラー回数第1閾値情報CECth1、搬送エラー回数第2閾値情報CECth2、及び搬送エラー回数第3閾値情報CECth3のそれぞれと、を比較することで、使用済プリントヘッド20uが使用済液体吐出装置1uに組み込まれている状態で使用済液体吐出装置1uに生じた搬送エラーの回数の観点において、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適しているか否かを判定するとともに、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適している場合、使用済プリントヘッド20uから再生産される再生プリントヘッド20rの用途を決定する。
【0092】
同様に、生産者は、吐出関連情報の内のキャッピング処理回数CPに関する情報として、キャッピング処理回数第1閾値情報CPth1、キャッピング処理回数第2閾値情報CPth2、キャッピング処理回数第3閾値情報CPth3、及びキャッピング処理回数情報CPcを、記憶回路23から読み出す。そして、生産者は、読み出したキャッピング処理回数情報CPcと、読み出したキャッピング処理回数第1閾値情報CPth1、キャッピング処理回数第2閾値情報CPth2、及びキャッピング処理回数第3閾値情報CPth3のそれぞれと、を比較することで、使用済プリントヘッド20uに実行されたキャッピング処理の回数の観点において、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適しているか否かを判定するとともに、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適している場合、使用済プリントヘッド20uから再生産される再生プリントヘッド20rの用途を決定する。
【0093】
同様に、生産者は、吐出関連情報の内のクリーニング処理回数CLに関する情報として、クリーニング処理回数第1閾値情報CLth1、クリーニング処理回数第2閾値情報CLth2、クリーニング処理回数第3閾値情報CLth3、及びクリーニング処理回数情報CLcを、記憶回路23から読み出す。そして、生産者は、読み出したクリーニング処理回数情報CLcと、読み出したクリーニング処理回数第1閾値情報CLth1、クリーニング処理回数第2閾値情報CLth2、及びクリーニング処理回数第3閾値情報CLth3のそれぞれと、を比較することで、使用済プリントヘッド20uに実行されたクリーニング処理の回数の観点において、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適しているか否かを判定するとともに、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適している場合、使用済プリントヘッド20uから再生産される再生プリントヘッド20rの用途を決定する。
【0094】
同様に、生産者は、吐出関連情報の内のワイピング処理回数WPに関する情報として、ワイピング処理回数第1閾値情報WPth1、ワイピング処理回数第2閾値情報WPth2、ワイピング処理回数第3閾値情報WPth3、及びワイピング処理回数情報WPcを、記憶回路23から読み出す。そして、生産者は、読み出したワイピング処理回数情報WPcと、読み出したワイピング処理回数第1閾値情報WPth1、ワイピング処理回数第2閾値情報WPth2、及びワイピング処理回数第3閾値情報WPth3のそれぞれと、を比較することで、使用済プリントヘッド20uに実行されたワイピング処理の回数の観点において、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適しているか否かを判定するとともに、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適している場合、使用済プリントヘッド20uから再生産される再生プリントヘッド20rの用途を決定する。
【0095】
生産者は、上述のとおり、記憶回路23から読み出した吐出関連情報であって、累積印刷面数TPに関する情報、経過日数LDに関する情報、エラー回数ECに関する情報、搬送エラー回数CECに関する情報、キャッピング処理回数CPに関する情報、クリーニング処理回数CLに関する情報、及びワイピング処理回数WPに関する情報に基づいて、使用済プリントヘッド20uの状態を判定する。そして、生産者は、使用済プリントヘッド20uの状態に基づいて、使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rの生産が可能であるか否かを判定する(ステップS330)。
【0096】
ここで、生産者は、使用済プリントヘッド20uの状態を示す吐出関連情報の内の少なくとも1つが、使用済プリントヘッド20uが再生プリントヘッド20rの生産に適していない場合、使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rの生産は可能でないと判定してもよく、また、生産者は、上述した使用済プリントヘッド20uの状態を示す吐出関連情報の比較結果を総合的に判断し、使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rの生産が可能であるか否かを判定してもよい。
【0097】
生産者が使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rの生産が可能でないと判定した場合(ステップS330のN)、生産者は、使用済液体吐出装置1uから取り外された使用済プリントヘッド20uからの再生プリントヘッド20rの生産を断念し、再生プリントヘッド20rの生産を中止し(ステップS335)、当該使用済プリントヘッド20uからの再生プリントヘッド20rの生産を終了する。
【0098】
一方で、生産者が使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rの生産が可能であると判定した場合(ステップS330のY)、生産者は、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23から、ノズル列L1~L8のそれぞれからのインクの吐出に関する吐出関連情報を読み出す(ステップS340)。具体的には、生産者は、吐出関連情報の内の吐出回数DCに関する情報として、吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、吐出回数第3閾値情報DCth3、及び吐出回数情報DCL1~DCL8を、記憶回路23から読み出す。
【0099】
そして、生産者は、読み出した吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれと、吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、吐出回数第3閾値情報DCth3のそれぞれと、を比較することで、ノズル列L1~L8のそれぞれの再生プリントヘッド20rでの使用可否を判定する(ステップS350)とともに、吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれを比較することで、ノズル列L1~L8のそれぞれの使用状況を把握する(ステップS360)。そして、生産者は、ノズル列L1~L8のそれぞれの再生プリントヘッド20rでの使用可否の判定結果と、ノズル列L1~L8のそれぞれの使用状況と、に基づいて、ノズル列L1~L8のそれぞれに供給されるインクの種類が変更された再生プリントヘッド20rを生産し(ステップS370)、再生プリントヘッド20rの生産を終了する。
【0100】
すなわち、本実施形態における再生プリントヘッド20rの生産方法は、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23から、ノズル列L1に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数を示す吐出回数情報DCL1、ノズル列L2に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数を示す吐出回数情報DCL2、ノズル列L3に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数を示す吐出回数情報DCL3、ノズル列L4に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数を示す吐出回数情報DCL4、ノズル列L5に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数を示す吐出回数情報DCL5、ノズル列L6に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数を示す吐出回数情報DCL6、ノズル列L7に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数を示す吐出回数情報DCL7、及び、ノズル列L8に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数を示す吐出回数情報DCL8を取得する取得工程と、取得した吐出回数情報DCL1、吐出回数情報DCL2、吐出回数情報DCL3、吐出回数情報DCL4、吐出回数情報DCL5、吐出回数情報DCL6、吐出回数情報DCL7、及び、吐出回数情報DCL8のそれぞれを比較する比較工程と、当該比較工程における比較結果に基づいて、ノズル列L1~8のそれぞれから吐出されるインクの種類であって、ノズル列L1~8のそれぞれのリザーバー641に供給されるインクの種類を切り替える切替工程と、を有する。
【0101】
具体的には、生産者は、ステップS350において、吐出回数情報DCL1と、吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、及び吐出回数第3閾値情報DCth3のそれぞれzと、を比較する。そして、生産者は、吐出回数情報DCL1が、吐出回数第1閾値情報DCth1よりも大きく、吐出回数第3閾値情報DCth3よりも小さい場合、使用済プリントヘッド20uが有するノズル列L1は、再生プリントヘッド20rでの使用に適していると判定する。一方で、生産者は、吐出回数情報DCL1が、吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、及び吐出回数第3閾値情報DCth3よりも大きい場合、使用済プリントヘッド20uが有するノズル列L1は、再生プリントヘッド20rでの使用に適していないと判定する。
【0102】
同様に、生産者は、ステップS350において、吐出回数情報DCLi(iは2~8のいずれか)と、吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、及び吐出回数第3閾値情報DCth3のそれぞれと、を比較する。そして、生産者は、吐出回数情報DCLiが、吐出回数第1閾値情報DCth1よりも大きく、吐出回数第3閾値情報DCth3よりも小さい場合、使用済プリントヘッド20uが有するノズル列Liは、再生プリントヘッド20rでの使用に適していると判定する。一方で、生産者は、吐出回数情報DCLiが、吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、及び吐出回数第3閾値情報DCth3よりも大きい場合、使用済プリントヘッド20uが有するノズル列Liは、再生プリントヘッド20rでの使用に適していないと判定する。
【0103】
また、生産者は、ステップS360において、吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれを比較する。具体的には、生産者は、吐出回数情報DCL1~DCL8を相互に比較することで、ノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された回数を比較する。これにより、生産者は、ノズル列L1~L8のそれぞれの使用状況であって、ノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された回数の大小関係を、ノズル列L1~L8のそれぞれから吐出されたインクの種類と共に取得する。
【0104】
その後のステップS370において、生産者は、ステップS350におけるノズル列L1~L8のそれぞれの再生プリントヘッド20rでの使用可否の判定結果と、ステップS360において取得したノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された回数の大小関係、及びノズル列L1~L8のそれぞれから吐出されたインクの種類と、に基づいて、再生プリントヘッド20rにおいてノズル列L1~L8のそれぞれから吐出されるインクの種類であって、再生プリントヘッド20rにおいてノズル列L1~L8のそれぞれに供給されるインクの種類を決定する。そして、生産者は、決定された種類のインクが対応するノズル列L1~L8のそれぞれから吐出されるように変更された再生プリントヘッド20rを生産する。
【0105】
ここで、再生プリントヘッド20rのノズル列L1~L8のそれぞれで吐出されるインクの種類の決定方法の一例について説明する。
図11は、吐出されるインクの種類と吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれの値と、の関係の一例を示す図である。ここで、
図11には、ノズル列L1~L8の全てが再生プリントヘッド20rでの使用に適していると判定された場合における、使用済プリントヘッド20u、及び再生プリントヘッド20rのノズル列L1~L8のそれぞれから吐出されるインクの種類と、使用済プリントヘッド20uから取得した吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれの値と、の関係の一例を示している。なお、
図11に示す吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、及び吐出回数第3閾値情報DCth3、吐出回数情報DCL1~DCL8の値、及び、ノズル列L1~L8のそれぞれから吐出されるインクの種類は、一例であり、これに限るものではない。
【0106】
図11に示す具体例において、本実施形態の使用済液体吐出装置1uが備える使用済プリントヘッド20uにおいて、ノズル列L1,L8は、イエローYのインクを吐出し、ノズル列L2,L7は、シアンCのインクを吐出し、ノズル列L3,L6は、マゼンタMのインクを吐出し、ノズル列L4,L5は、ブラックBkのインクを吐出する。
【0107】
すなわち、使用済プリントヘッド20uが有する流路部材210は、インクカートリッジ26yが取り付けられたインク供給口215とノズル列L1,L8とを連通するインク流路と、インクカートリッジ26cが取り付けられたインク供給口215とノズル列L2,L7とを連通するインク流路と、インクカートリッジ26mが取り付けられたインク供給口215とノズル列L3,L6とを連通するインク流路と、インクカートリッジ26kが取り付けられたインク供給口215とノズル列L4,L5とを連通するインク流路と、を有する。
【0108】
また、
図11に示す具体例では、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23には、ノズル列L1からインクが吐出された回数のカウント値としての吐出回数情報DCL1=「10,000,000」と、ノズル列L2からインクが吐出された回数のカウント値としての吐出回数情報DCL2=「25,000,000」と、ノズル列L3からインクが吐出された回数のカウント値としての吐出回数情報DCL3=「20,000,000」と、ノズル列L4からインクが吐出された回数のカウント値としての吐出回数情報DCL4=「100,000,000」と、ノズル列L5からインクが吐出された回数のカウント値としての吐出回数情報DCL5=「100,000,000」と、ノズル列L6からインクが吐出された回数のカウント値としての吐出回数情報DCL6=「20,000,000」と、ノズル列L7からインクが吐出された回数のカウント値としての吐出回数情報DCL7=「25,000,000」と、ノズル列L8からインクが吐出された回数のカウント値としての吐出回数情報DCL8=「10,000,000」と、ノズル列L1~L8のそれぞれが再生プリントヘッド20rでの使用に適しているか否かの判定に用いる判定閾値として、吐出回数第1閾値情報DCth1=「1」、吐出回数第2閾値情報DCth2=「5,000,000」、及び吐出回数第3閾値情報DCth3=「150,000,000」と、が記憶されている。
【0109】
生産者は、ステップS340において、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23から、ノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された回数のカウント値として、吐出回数情報DCL1=「10,000,000」、吐出回数情報DCL2=「25,000,000」、吐出回数情報DCL3=「20,000,000」、吐出回数情報DCL4=「100,000,000」、吐出回数情報DCL5=「100,000,000」、吐出回数情報DCL6=「20,000,000」、吐出回数情報DCL7=「25,000,000」、及び、吐出回数情報DCL8=「10,000,000」と、使用済プリントヘッド20uが有するノズル列L1~L8のそれぞれが、再生プリントヘッド20rでの使用に適しているか否かの判定に用いる判定閾値として、吐出回数第1閾値情報DCth1=「1」、吐出回数第2閾値情報DCth2=「5,000,000」、及び吐出回数第3閾値情報DCth3=「150,000,000」と、を取得する。
【0110】
そして、生産者は、ステップS350において、取得した吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれを、取得した吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、及び吐出回数第3閾値情報DCth3のそれぞれと、比較する。これにより、生産者は、ノズル列L1~L8の全てが再生プリントヘッド20rでの使用に適していると判断する。
【0111】
また、生産者は、ステップS360において、吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれを比較する。これにより、生産者は、ノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された回数が、ブラックBkのインクを吐出するノズル列L4,L5、シアンCのインクを吐出するノズル列L2,L7、マゼンタMのインクを吐出するノズル列L3,L6、イエローYのインクを吐出するノズル列L1,L8の順に多いことを把握する。
【0112】
そして、生産者は、使用済プリントヘッド20uにおいて、インクが吐出された回数が最も多いノズル列L4、L5から吐出されていたブラックBkのインクが、使用済プリントヘッド20uにおいて、インクが吐出された回数が最も少ないノズル列L1,L8に供給されるように、流路部材210の内部のインク流路を変更し、使用済プリントヘッド20uにおいて、インクが吐出された回数がノズル列L4,L5に次いで多いノズル列L2,L7から吐出されていたシアンCのインクが、使用済プリントヘッド20uにおいて、インクが吐出された回数がノズル列L1,L8に次いで少ないノズル列L3,L6に供給されるように、流路部材210の内部のインク流路を変更し、使用済プリントヘッド20uにおいて、インクが吐出された回数がノズル列L2,L7に次いで多いノズル列L3,L6から吐出されていたマゼンタMのインクが、使用済プリントヘッド20uにおいて、インクが吐出された回数がノズル列L3,L6に次いで少ないノズル列L2,L7に供給されるように、流路部材210の内部のインク流路を変更し、使用済プリントヘッド20uにおいて、インクが吐出された回数がノズル列L3,L6に次いで多いノズル列L1,L7から吐出されていたイエローYのインクが、使用済プリントヘッド20uにおいて、インクが吐出された回数がノズル列L2,L7に次いで少ないノズル列L4,L5に供給されるように、流路部材210の内部のインク流路が変更された流路部材210を生産する。
【0113】
そして、生産者は、生産したインク流路が変更された流路部材210に、使用済プリントヘッド20uで使用されていた吐出ヘッド230を、固定ネジ231を用いて固定することで、再生プリントヘッド20rを生産する。
【0114】
すなわち、生産者は、使用済プリントヘッド20uで使用されていた吐出ヘッド230を流用し、使用済プリントヘッド20uにおいて、ノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された吐出回数に基づいて、流路部材210を変更することで、ノズル列L1,L8からブラックBkのインクを吐出し、ノズル列L2,L7からマゼンタMのインクを吐出し、ノズル列L3,L6からシアンCのインクを吐出し、ノズル列L4,L5からイエローYのインクを吐出する再生プリントヘッド20rを生産する。
【0115】
換言すれば、使用済プリントヘッド20uは、ノズル列L4,L5にブラックBkのインクを供給するインク流路と、ノズル列L3,L6にマゼンタMのインクを供給するインク流路と、ノズル列L2,L7にシアンCのインクを供給するインク流路と、ノズル列L1,L8にイエローYのインクを供給するインク流路と、を含む流路部材210を有し、再生プリントヘッド20rは、ノズル列L4,L5にイエローYのインクを供給するインク流路と、ノズル列L3,L6にシアンCのインクを供給するインク流路と、ノズル列L2,L7にマゼンタMのインクを供給するインク流路と、ノズル列L1,L8にブラックBkのインクを供給するインク流路と、を含む流路部材210を有する。
【0116】
以上のように、本実施形態の再生プリントヘッド20rの生産方法では、比較工程において、ノズル列L4に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数が、ノズル列L1に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数よりも多いと判断された場合、生産者は、切替工程において、ノズル列L4から吐出されていたブラックBkのインクがノズル列L1に含まれる複数のノズル651に供給されるように、流路部材210が有するインク流路を切り替える。すなわち、ノズル列L4に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数が、ノズル列L1に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数よりも多い場合、切替工程において、使用済プリントヘッド20uが有するノズル列L4,L5にブラックBkのインクを供給するインク流路と、ノズル列L1,L8にイエローYのインクを供給するインク流路と、を含む流路部材210が、ノズル列L1,L8にブラックBkのインクを供給するインク流路を含む流路部材210に交換される。
【0117】
そして、生産者は、インク流路が変更された流路部材210に、使用済プリントヘッド20uの吐出ヘッド230を固定ネジ231によって固定することで、再生プリントヘッド20rを生産する。
【0118】
すなわち、ブラックBkのインクを吐出する複数のノズル651を有するノズル列L4と、イエローYのインクを吐出する複数のノズル651を有するノズル列L1と、を含む吐出ヘッド230を有する使用済プリントヘッド20uから生産される再生プリントヘッド20rは、使用済プリントヘッド20uが有した吐出ヘッド230を流用し、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23に記憶されているノズル列L4に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数が、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23に記憶されているノズル列L1に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数よりも多い場合、ノズル列L1に含まれる複数のノズル651が、ブラックBkのインクを吐出するように構成される。
【0119】
ここで、上述した本実施形態では、使用済プリントヘッド20uにおいて、ノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された吐出回数に応じて、使用済プリントヘッド20uの流路部材210が有するインク流路を変更することで、ノズル列L1~L8のそれぞれに供給されるインクの種類が変更された再生プリントヘッド20rを生産するとして説明を行ったが、使用済プリントヘッド20uの流路部材210が有するインク流路を変更せず、使用済プリントヘッド20uにおいて、ノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された吐出回数に応じて、再生プリントヘッド20rの流路部材210に取り付けられるインクカートリッジ26y,26m,26c,26kの配置を、使用済プリントヘッド20uの流路部材210に取り付けられるインクカートリッジ26y,26m,26c,26kの配置から変更することで、ノズル列L1~L8のそれぞれに供給されるインクの種類が変更された再生プリントヘッド20rを生産してもよい。
【0120】
次に、再生プリントヘッド20rのノズル列L1~L8の内、ノズル列L4,L5が再生プリントヘッド20rでの使用に適していないと判定された場合における、ノズル列L1~L8から吐出されるインクの種類の決定方法について説明する。
図12は、吐出されるインクの種類と吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれの値と、の関係の一例を示す図である。ここで、
図12には、ノズル列L1~L8の内、ノズル列L4,L5が再生プリントヘッド20rでの使用に適していないと判定された場合における、使用済プリントヘッド20u、及び再生プリントヘッド20rのノズル列L1~L8のそれぞれから吐出されるインクの種類と、使用済プリントヘッド20uから取得した吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれの値と、の関係の一例を示している。なお、
図12に示す吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、及び吐出回数第3閾値情報DCth3、吐出回数情報DCL1~DCL8の値、及び、ノズル列L1~L8のそれぞれから吐出されるインクの種類は、一例であり、これに限るものではない。
【0121】
図12に示す具体例では、
図11に示す具体例と同様に、使用済液体吐出装置1uが備える使用済プリントヘッド20uは、ノズル列L1,L8からイエローYのインクを吐出し、ノズル列L2,L7からシアンCのインクを吐出し、ノズル列L3,L6からマゼンタMのインクを吐出し、ノズル列L4,L5からブラックBkのインクを吐出する。すなわち、
図12に示す使用済プリントヘッド20uが有する流路部材210も、
図11に示す使用済プリントヘッド20uが有する流路部材210と同様に、イエローYのインクが貯留されたインクカートリッジ26yとノズル列L1,L8とを連通するインク流路と、シアンCのインクが貯留されたインクカートリッジ26cとノズル列L2,L7とを連通するインク流路と、マゼンタMのインクが貯留されたインクカートリッジ26mとノズル列L3,L6とを連通するインク流路と、ブラックBkのインクが貯留されたインクカートリッジ26kとノズル列L4,L5とを連通するインク流路と、を有する。
【0122】
また、
図12に示す具体例では、本実施形態の使用済液体吐出装置1uが備える使用済プリントヘッド20uの記憶回路23には、吐出回数情報DCL1=「20,000,000」、吐出回数情報DCL2=「50,000,000」、吐出回数情報DCL3=「40,000,000」、吐出回数情報DCL4=「200,000,000」、吐出回数情報DCL5=「200,000,000」、吐出回数情報DCL6=「40,000,000」、吐出回数情報DCL7=「50,000,000」、及び吐出回数情報DCL8=「20,000,000」と、吐出回数第1閾値情報DCth1=「1」、吐出回数第2閾値情報DCth2=「5,000,000」、及び吐出回数第3閾値情報DCth3=「150,000,000」と、が記憶されている。
【0123】
生産者は、ステップS340において、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23から、吐出回数情報DCL1=「20,000,000」、吐出回数情報DCL2=「50,000,000」、吐出回数情報DCL3=「40,000,000」、吐出回数情報DCL4=「200,000,000」、吐出回数情報DCL5=「200,000,000」、吐出回数情報DCL6=「40,000,000」、吐出回数情報DCL7=「25,000,000」、及び吐出回数情報DCL8=「20,000,000」と、吐出回数第1閾値情報DCth1=「1」、吐出回数第2閾値情報DCth2=「5,000,000」、及び吐出回数第3閾値情報DCth3=「150,000,000」と、を取得する。
【0124】
そして、生産者は、ステップS350において、取得した吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれを、取得した吐出回数第1閾値情報DCth1、吐出回数第2閾値情報DCth2、及び吐出回数第3閾値情報DCth3のそれぞれと、比較する。これにより、生産者は、ノズル列L1~L8の内、ノズル列L4,L5は、再生プリントヘッド20rでの使用に適していないと判定する。
【0125】
また、生産者は、ステップS360において、吐出回数情報DCL1~DCL8のそれぞれを比較する。これにより、生産者は、ノズル列L1~L8のそれぞれからインクが吐出された回数が、ブラックBkのインクを吐出するノズル列L4,L5、シアンCのインクを吐出するノズル列L2,L7、マゼンタMのインクを吐出するノズル列L3,L6、イエローYのインクを吐出するノズル列L1,L8の順に多いことを把握する。
【0126】
その後、生産者は、使用済プリントヘッド20uにおいて、再生プリントヘッド20rでの使用に適していないと判定されたノズル列L4、L5にインクが供給されないように、流路部材210が有するインク流路を変更するとともに、使用済プリントヘッド20uにおいて、再生プリントヘッド20rでの使用に適していると判定されたノズル列L1~L3,L6~L7に、ブラックBkのインクが供給されるように、流路部材210のインク流路を変更する。すなわち、生産者は、再生プリントヘッド20rでの使用に適していないと判定されたノズル列L4、L5からインクが吐出されず、再生プリントヘッド20rでの使用に適していると判定されたノズル列L1~L3,L6~L7がインクを吐出する再生プリントヘッド20rであって、
図12に示す具体例では、モノクロ印刷を行う再生液体吐出装置1rに搭載可能な再生プリントヘッド20rを生産する。
【0127】
そして、生産者は、生産したインク流路が変更された流路部材210に、使用済プリントヘッド20uで使用されていた吐出ヘッド230を、固定ネジ231を用いて固定することで、再生プリントヘッド20rを生産する。
【0128】
すなわち、ノズル列L4、及びノズル列L5からのインクの吐出回数が、使用済プリントヘッド20uの再生産に適さないことを示す所定の閾値であって、吐出回数第3閾値情報DCth3よりも大きい場合、切替工程において、生産者は、再生プリントヘッド20rが有するインク流路を、再生プリントヘッド20rでの使用に適していないと判定されたノズル列L4,L5に、インクが供給されないように構成されたインク流路と、再生プリントヘッド20rでの使用に適していると判定されたノズル列L1~L3,L6~L7に、モノクロ印刷を行うためのブラックBkのインクが供給されるように構成されたインク流路と、を有する流路部材210に切り替える。
【0129】
すなわち、ノズル列L4からのインクの吐出回数が、使用済プリントヘッド20uの再生産に適さないことを示す吐出回数第3閾値情報DCth3よりも大きい場合、生産者は、上述した切替工程において、ノズル列L4に、インクが供給されないようにインクの供給経路が切り替える。換言すれば、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23に記憶されているノズル列L4に含まれる複数のノズル651からのインクの吐出回数が、使用済プリントヘッド20uからの再生産に適さないことを示す吐出回数第3閾値情報DCth3よりも大きい場合、再生プリントヘッド20rのノズル列L4に含まれる複数のノズル651は、インクを吐出しない。
【0130】
ここで、使用済プリントヘッド20uが、再生プリントヘッド20rでの使用に適していないノズル列を含む場合に、使用済プリントヘッド20uから再生産される再生プリントヘッド20rは、再生プリントヘッド20rでの使用に適していないノズル列からインクが吐出されないように構成されていればよく、モノクロ印刷を行う再生液体吐出装置1rに搭載される再生プリントヘッド20rに限られるものではなく、例えば、使用済プリントヘッド20uが6色のインクを吐出する構成の場合、4色のインクを吐出する構成の再生プリントヘッド20rが生産されてもよい。
【0131】
ここで、使用済プリントヘッド20uが有する流路部材210が第1流路部材の一例であり、再生プリントヘッド20rが有する流路部材210が第2流路部材の一例であり、記憶回路23が記憶部の一例である。また、ノズル列L4を構成する複数のノズル651が第1ノズル群の一例であり、ノズル列L4を構成する複数のノズル651の内のいずれかのノズル651が第1ノズルの一例であり、吐出回数情報DCL4が第1ノズル群情報の一例である。また、ノズル列L1を構成する複数のノズル651が第2ノズル群の一例であり、ノズル列L1を構成する複数のノズル651の内のいずれかのノズル651が第2ノズルの一例であり、吐出回数情報DCL1が第2ノズル群情報の一例である。また、記憶回路23が記憶部の一例であり、ブラックBkが第1色の一例であり、イエローYが第2色の一例である。そして、吐出回数第3閾値情報DCth3が所定の閾値の一例である。
【0132】
5.作用効果
以上のように構成された本実施形態の再生液体吐出装置1rは、ノズル列L4を構成する複数のノズル651がブラックBkのインクを吐出し、ノズル列L1を構成する複数のノズル651がイエローYのインクを吐出した、使用済プリントヘッド20uから再生産された再生プリントヘッド20rを備え、再生プリントヘッド20rのノズル列L1を構成する複数のノズル651は、ブラックBkのインクを吐出する。すなわち、使用済プリントヘッド20uのノズル列L1を構成する複数のノズル651から吐出されるインクの色彩と、使用済プリントヘッド20uから再生産された再生プリントヘッド20rのノズル列L1を構成する複数のノズル651から吐出されるインクの色彩と、が異なる。
【0133】
液体吐出装置1において、プリントヘッド20からのインクの吐出回数は、吐出するインクの色彩によって大きなばらつきが生じる。そのため、プリントヘッド20が有するノズル651の消耗の程度は、吐出するインクの色彩に大きな影響を受ける。本実施形態の再生液体吐出装置1rでは、使用済プリントヘッド20uのノズル列L1と、使用済プリントヘッド20uから再生産された再生プリントヘッド20rのノズル列L1とが、異なる種類のインクを吐出することで、使用済プリントヘッド20uにおいて消耗が少ないノズル651を、再生プリントヘッド20rにおいては、消耗が大きくなることが見込まれるノズル651に割り当て、使用済プリントヘッド20uにおいて消耗が大きなノズル651を、再生プリントヘッド20rにおいては、消耗が小さくなることが見込まれるノズル651に割り当てることができる。これにより、再生プリントヘッド20rが有するノズル列L1~L8の消耗の程度のばらつきが小さくなり、再生プリントヘッド20r、及び再生プリントヘッド20rを搭載した再生液体吐出装置1rの仕様寿命を長くすることができる。さらに、再生プリントヘッド20r、及び再生プリントヘッド20rを搭載した再生液体吐出装置1rの仕様寿命が長くなることで、プリントヘッド20の廃棄量が減少し、環境負荷の低減に貢献することもできる。
【0134】
また、本実施形態の再生液体吐出装置1rでは、記憶回路23に、ノズル列L4の複数のノズル651からのインクの吐出回数と、ノズル列L1の複数のノズル651からのインクの吐出回数と、を記憶する。そして、使用済プリントヘッド20uから再生プリントヘッド20rを生産する際、記憶回路23に記憶されている吐出回数の情報を取得し、ノズル列L4の複数のノズル651からのインクの吐出回数が、ノズル列L1の複数のノズル651からのインクの吐出回数よりも多い場合、使用済プリントヘッド20uから再生産された再生プリントヘッド20rのノズル列L1を構成する複数のノズル651は、使用済プリントヘッド20uのノズル列L4が吐出していたブラックBkのインクを吐出する。これにより、再生プリントヘッド20rの生産に際して、多くのインクの吐出が見込まれるブラックBkを消耗の程度の小さなノズル列L1に適切に割り当てることができる。その結果、再生プリントヘッド20r、及び再生プリントヘッド20rを搭載した再生液体吐出装置1rの仕様寿命をさらに長くすることができる。
【0135】
また、本実施形態の再生液体吐出装置1rでは、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23に記憶されているノズル列L4の複数のノズル651からのインクの吐出回数が、使用済プリントヘッド20uからの再生産に適さないことを示す閾値よりも大きい場合、再生プリントヘッド20rのノズル列L4の複数のノズル651からインクが吐出されない仕様とすることで、プリントヘッド20の廃棄量がさらに減少し、環境負荷のさらなる低減に貢献することもできる。
【0136】
また、本実施形態の再生プリントヘッド20rの生産方法では、使用済プリントヘッド20uの記憶回路23から、ブラックBkのインクを吐出したノズル列L4の複数のノズル651からのインクの吐出回数と、イエローYのインクを吐出したノズル列L1の複数のノズル651からのインクの吐出回数と、を取得する取得工程と、取得したノズル列L4の複数のノズル651からのインクの吐出回数と、ノズル列L1の複数のノズル651からのインクの吐出回数と、を比較する比較工程と、ノズル列L4の複数のノズル651からのインクの吐出回数がノズル列L1の複数のノズル651からのインクの吐出回数よりも多い場合に、再生プリントヘッド20rのノズル列L1を構成する複数のノズル651からブラックBkのインクを吐出するように切り替える切替工程と、を含む。
【0137】
これにより、使用済プリントヘッド20uにおいて消耗が少ないノズル651を、再生プリントヘッド20rにおいては、消耗が大きくなることが見込まれるノズル651に割り当て、使用済プリントヘッド20uにおいて消耗が大きなノズル651を、再生プリントヘッド20rにおいては、消耗が小さくなることが見込まれるノズル651に割り当てることができる。その結果、再生プリントヘッド20rが有するノズル列L1~L8の消耗の程度のばらつきが小さくなり、再生プリントヘッド20r、及び再生プリントヘッド20rを搭載した再生液体吐出装置1rの仕様寿命を長くすることができるとともに、再生プリントヘッド20r、及び再生プリントヘッド20rを搭載した再生液体吐出装置1rの仕様寿命が長くなることで、プリントヘッド20の廃棄量が減少し、環境負荷の低減に貢献することもできる。
【0138】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0139】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0140】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0141】
再生液体吐出装置の一態様は、
液体を吐出する第1ノズルを含む第1ノズル群と、
液体を吐出する第2ノズルを含む第2ノズル群と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出に関する第1ノズル群情報、及び前記第2ノズル群からの液体の吐出に関する第2ノズル群情報を記憶する記憶部と、
を有し、
前記第1ノズル群が第1色の液体を吐出し、前記第2ノズル群が前記第1色と異なる第2色の液体を吐出した使用済プリントヘッドから再生産された再生プリントヘッドを備えた再生液体吐出装置であって、
前記再生プリントヘッドは、前記第1ノズル群、及び前記第2ノズル群を有し、
前記再生プリントヘッドの前記第2ノズル群は、前記第1色の液体を吐出する。
【0142】
この再生液体吐出装置によれば、第1ノズル群が第1色の液体を吐出し、第2ノズル群が第1色と異なる第2色の液体を吐出した使用済プリントヘッドから再生産された再生プリントヘッドは、使用済プリントヘッドと同じ第1ノズル群、及び第2ノズル群を有し、再生プリントヘッドの第2ノズル群は、第1色の液体を吐出する。すなわち、使用済プリントヘッドの第2ノズル群と、再生プリントヘッドの第2ノズル群とでは、異なる色の液体を吐出する。これにより、使用済プリントヘッドにおいて第2ノズル群の消耗が少ない場合、再生プリントヘッドにおいては、消耗が大きくなることが見込まれる色彩の液体を
消耗の少ない第2ノズル群から吐出することができる。その結果、再生プリントヘッドが有する第1ノズル群と第2ノズル群との消耗の程度のばらつきが小さくなり、その結果、再生プリントヘッド、及び再生プリントヘッドを搭載した再生液体吐出装置の仕様寿命を長くすることができる。さらに、再生プリントヘッド、及び再生プリントヘッドを搭載した再生液体吐出装置の仕様寿命が長くなることで、プリントヘッドの廃棄量が減少し、環境負荷の低減に貢献することもできる。
【0143】
上記再生液体吐出装置の一態様において、
前記使用済プリントヘッドの前記記憶部に記憶されている前記第1ノズル群情報に含まれる前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記使用済プリントヘッドの前記記憶部に記憶されている前記第2ノズル群情報に含まれる前記第2ノズル群からの液体の吐出回数よりも多い場合、
前記再生プリントヘッドの前記第2ノズル群は、前記第1色の液体を吐出してもよい。
【0144】
この再生液体吐出装置によれば、使用済プリントヘッドから再生プリントヘッドを生産する際に、記憶部に記憶されている使用済プリントヘッドが有する第1ノズル群からの液体の吐出回数と、第2ノズル群からの液体の吐出回数とに応じて、再生プリントヘッドの第2ノズル群が第1色の液体を吐出することで、再生プリントヘッドの第2ノズル群から吐出される液体の色彩を適切に選択することができる。その結果、再生プリントヘッド、及び再生プリントヘッドを搭載した再生液体吐出装置の仕様寿命をさらに長くすることができる。
【0145】
上記再生液体吐出装置の一態様において、
前記使用済プリントヘッドの前記記憶部に記憶されている前記第1ノズル群情報に含まれる前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記使用済プリントヘッドからの再生産に適さないことを示す所定の閾値よりも大きい場合、
前記再生プリントヘッドの前記第1ノズル群は、液体を吐出しなくてもよい。
【0146】
この再生液体吐出装置によれば、使用済プリントヘッドが再生産に適さないノズル群を有する場合であっても、当該ノズル列を用いない用途での再生産が可能であり、その結果、プリントヘッドの廃棄量をさらに減少することができ、環境負荷のさらなる低減に貢献することができる。
【0147】
上記再生液体吐出装置の一態様において、
前記使用済プリントヘッドは、前記第1ノズル群に前記第1色の液体を供給する液体流路と、前記第2ノズル群に前記第2色の液体を供給する液体流路と、を含む第1流路部材を有し、
前記再生プリントヘッドは、前記第2ノズル群に前記第1色の液体を供給する液体流路を含む第2流路部材を有してもよい。
【0148】
この再生液体吐出装置によれば、流路部材の交換によって容易に再生プリントヘッドを生産することができる。
【0149】
再生プリントヘッドの生産方法の一態様は、
液体を吐出する第1ノズルを含む第1ノズル群と、
液体を吐出する第2ノズルを含む第2ノズル群と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出に関する第1ノズル群情報、及び前記第2ノズル群からの液体の吐出に関する第2ノズル群情報を記憶する記憶部と、
を有し、
前記第1ノズル群が第1色の液体を吐出し、前記第2ノズル群が前記第1色と異なる第2色の液体を吐出した使用済プリントヘッドから再生プリントヘッドを生産する再生プリントヘッドの生産方法であって、
前記使用済プリントヘッドの前記記憶部から、前記第1ノズル群情報に含まれる前記第1ノズル群からの液体の吐出回数と、前記第2ノズル群情報に含まれる前記第2ノズル群からの液体の吐出回数と、を取得する取得工程と、
取得した前記第1ノズル群からの液体の吐出回数と、前記第2ノズル群からの液体の吐出回数と、を比較する比較工程と、
前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記第2ノズル群からの液体の吐出回数よりも多い場合、前記第1色の液体が前記第2ノズル群に供給されるように、液体の供給経路を切り替える切替工程と、
を含む。
【0150】
この再生プリントヘッドの生産方法によれば、使用済プリントヘッドにおいて消耗が少ない第2ノズル群を、再生プリントヘッドにおいては、消耗が大きくなることが見込まれる第1色の液体の吐出に割り当てることができる。その結果、再生プリントヘッドの第1ノズル群、及び第2ノズル群の消耗の程度のばらつきが小さくなり、再生プリントヘッド、及び再生プリントヘッドを搭載した再生液体吐出装置の仕様寿命を長くすることができるとともに、再生プリントヘッド、及び再生プリントヘッドを搭載した再生液体吐出装置の仕様寿命が長くなることで、プリントヘッドの廃棄量が減少し、環境負荷の低減に貢献することもできる。
【0151】
上記再生プリントヘッドの生産方法の一態様において、
前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記使用済プリントヘッドの再生産に適さないことを示す所定の閾値よりも大きい場合、前記切替工程において、前記第1ノズル群に、液体が供給されないように液体の供給経路が切り替えられてもよい。
【0152】
この再生プリントヘッドの生産方法によれば、使用済プリントヘッドが再生産に適さないノズル群を有する場合であっても、当該ノズル列を用いない用途での再生産が可能であり、その結果、プリントヘッドの廃棄量をさらに減少することができ、環境負荷のさらなる低減に貢献することができる。
【0153】
上記再生プリントヘッドの生産方法の一態様において、
前記第1ノズル群からの液体の吐出回数が、前記第2ノズル群からの液体の吐出回数よりも多い場合、
前記切替工程において、前記使用済プリントヘッドが有する前記第2ノズル群に前記第1色の液体を供給する液体流路、及び前記第2ノズル群に前記第2色の液体を供給する液体流路を含む第1流路部材が、前記第2ノズル群に前記第1色の液体を供給する液体流路を含む第2流路部材に交換されてもよい。
【0154】
この再生プリントヘッドの生産方法によれば、流路部材の交換によって容易に再生プリントヘッドを生産することができる。
【符号の説明】
【0155】
1…液体吐出装置、1r…再生液体吐出装置、1u…使用済液体吐出装置、2…移動体、3…移動ユニット、4…搬送ユニット、10…制御ユニット、20…プリントヘッド、20r…再生プリントヘッド、20u…使用済プリントヘッド、21-1~21-8…駆動信号選択回路、22…吐出情報取得回路、23…記憶回路、24…キャリッジ、26…インクカートリッジ、31…キャリッジモーター、32…キャリッジガイド軸、33…タイミングベルト、40…プラテン、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、50…駆動回路、60…圧電素子、100…制御回路、190…ケーブル、210…流路部材、211…基準ピン、212,213,214…貫通孔、215…インク供給口、230…吐出ヘッド、231…固定ネジ、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…供給口、L1~L8…ノズル列、M1~M39…記憶領域、P…媒体