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特開2024-174390印刷システム、印刷システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174390
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241210BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241210BHJP
   B65H 45/04 20060101ALI20241210BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20241210BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J29/38 206
B65H45/04
B65H37/04 D
B65H29/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092199
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】原田 裕太朗
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
3F101
3F108
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB58
2C056EC12
2C056EC28
2C056EC36
2C056HA44
2C061AQ05
2C061AR03
2C061HJ02
2C061HK03
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
3F101FA00
3F101FB11
3F101FB12
3F101FC19
3F101FE02
3F101FE20
3F101LA01
3F101LA06
3F101LA14
3F101LB05
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA09
3F108BB21
3F108CD01
3F108EA05
3F108GA01
3F108GB01
3F108GB03
3F108HA02
3F108HA44
(57)【要約】
【課題】印刷された複数の用紙を重ねると隣接する用紙にインクが転写されることがある。
【解決手段】印刷システムは、液体で媒体に印刷を行う印刷装置と、複数の媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、制御装置と、を備え、印刷装置は、複数の媒体を印刷順に後処理装置に搬送し、後処理装置は、媒体に折り処理とは異なる後処理を施す後処理部を含み、折り処理部は、媒体束を形成するトレイと、媒体束に折り処理を施す折り機構と、を含み、制御装置は、媒体束のうち印刷部から吐出される液体の量が所定量を超える媒体の印刷順を媒体束における並び順よりも前に繰り上げて印刷装置に印刷を実施させた後に、繰り上げた媒体を後処理部で待機させてからトレイへ並び順に搬送させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出することにより前記液体で媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置と、
前記印刷装置により印刷された複数の前記媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、
前記印刷装置及び前記後処理装置を制御する制御装置と、を備え、
前記印刷装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体を印刷順に前記後処理装置に搬送する第1搬送部をさらに含み、
前記後処理装置は、前記印刷装置から印刷順に受入れた前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記媒体に前記折り処理とは異なる後処理を施す後処理部と、をさらに含み、
前記折り処理部は、前記複数の媒体を前記第2搬送部によって搬送されてくる順に重ねることによって前記媒体束を形成するトレイと、形成した前記媒体束に前記折り処理を施す折り機構と、を含み、
前記制御装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体のうち前記印刷部から吐出される前記液体の量が所定量を超える前記媒体を繰上媒体として、前記繰上媒体の印刷順を前記媒体束における並び順よりも前に繰り上げて前記印刷部に前記繰上媒体の印刷を実施させた後に、前記繰上媒体を前記後処理部で待機させてから前記第2搬送部に前記トレイへ前記並び順に搬送させる、
印刷システム。
【請求項2】
液体を吐出することにより前記液体で媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置と、
前記印刷装置により印刷された複数の前記媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、
前記印刷装置及び前記後処理装置を制御する制御装置と、を備え、
前記印刷装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体を印刷順に前記後処理装置に搬送する第1搬送部をさらに含み、
前記後処理装置は、前記印刷装置から印刷順に受入れた前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記媒体に前記折り処理とは異なる後処理を施す後処理部と、をさらに含み、
前記折り処理部は、前記複数の媒体を前記第2搬送部によって搬送されてくる順に重ねることによって前記媒体束を形成するトレイと、形成した前記媒体束に前記折り処理を施す折り機構と、を含み、
前記制御装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体のうち前記印刷部から吐出される前記液体の量が所定量を超える前記媒体を液量超過媒体とし、且つ前記媒体束における並び順で前記液量超過媒体の少なくとも2つ後に位置する前記媒体を繰上媒体として、前記繰上媒体の印刷順を前記液量超過媒体の1つ後に繰り上げて前記印刷部に前記繰上媒体の印刷を実施させた後に、前記繰上媒体を前記後処理部で待機させてから前記第2搬送部に前記トレイへ前記並び順に搬送させる、
印刷システム。
【請求項3】
前記後処理部は、ステープル処理部を含み、
前記制御装置は、前記繰上媒体を前記後処理部のうち前記ステープル処理部に待機させる、
請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記後処理部は、媒体を排出する排出処理部と、を含み、
前記制御装置は、前記繰上媒体を前記後処理部のうち前記排出処理部に待機させる、
請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記後処理部は、ステープル処理部と、媒体を排出する排出処理部と、を含み、
前記制御装置は、前記繰上媒体を前記ステープル処理部及び前記排出処理部のいずれかに待機させる、
請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記後処理装置は、前記第1搬送部によって搬送される前記媒体を受入れる受入部を有し、
前記第2搬送部は、前記媒体を前記受入部から前記トレイに導く第1搬送経路と、前記受入部と前記トレイとの間で前記第1搬送経路から分岐して前記後処理部に至る第2搬送経路と、前記後処理部から前記トレイに至る第3搬送経路と、を有し、
前記第3搬送経路は、前記第1搬送経路と前記第2搬送経路との分岐点を経由しない、
請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項7】
液体を吐出することにより前記液体で媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置と、
前記印刷装置により印刷された複数の前記媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、を備え、
前記印刷装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体を印刷順に前記後処理装置に搬送する第1搬送部をさらに含み、
前記後処理装置は、前記印刷装置から印刷順に受入れた前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記媒体に前記折り処理とは異なる後処理を施す後処理部と、をさらに含み、
前記折り処理部は、前記複数の媒体を前記第2搬送部によって搬送されてくる順に重ねることによって前記媒体束を形成するトレイと、形成した前記媒体束に前記折り処理を施す折り機構と、を含む、印刷システムの制御方法であって、
前記媒体束を構成する前記複数の媒体のうち前記印刷部から吐出される前記液体の量が所定量を超える前記媒体を繰上媒体として、前記繰上媒体の印刷順を前記媒体束における並び順よりも前に繰り上げて前記印刷部に前記繰上媒体の印刷を実施させた後に、前記繰上媒体を前記後処理部で待機させてから前記第2搬送部に前記トレイへ前記並び順に搬送させること、を含む、
印刷システムの制御方法。
【請求項8】
液体を吐出することにより前記液体で媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置と、
前記印刷装置により印刷された複数の前記媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、を備え、
前記印刷装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体を印刷順に前記後処理装置に搬送する第1搬送部をさらに含み、
前記後処理装置は、前記印刷装置から印刷順に受入れた前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記媒体に前記折り処理とは異なる後処理を施す後処理部と、をさらに含み、
前記折り処理部は、前記複数の媒体を前記第2搬送部によって搬送されてくる順に重ねることによって前記媒体束を形成するトレイと、形成した前記媒体束に前記折り処理を施す折り機構と、を含む、印刷システムの制御方法であって、
前記媒体束を構成する前記複数の媒体のうち前記印刷部から吐出される前記液体の量が所定量を超える前記媒体を液量超過媒体とし、且つ前記媒体束における並び順で前記液量超過媒体の少なくとも2つ後に位置する前記媒体を繰上媒体として、前記繰上媒体の印刷順を前記液量超過媒体の1つ後に繰り上げて前記印刷部に前記繰上媒体の印刷を実施させた後に、前記繰上媒体を前記後処理部で待機させてから前記第2搬送部に前記トレイへ前記並び順に搬送させること、を含む、
印刷システムの制御方法。
【請求項9】
前記印刷部から前記繰上媒体に吐出される前記液体の量に応じて、前記繰上媒体の前記印刷順を早くする、
請求項7に記載の印刷システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、用紙束をローラー対で挟持することによって、用紙束を中折りする装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-138290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、用紙束は、インクによる印刷が施された複数の用紙を重ねた集合体である。印刷が施された複数の用紙を重ねると隣接する用紙にインクが転写されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷システムは、液体を吐出することにより前記液体で媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置と、前記印刷装置により印刷された複数の前記媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、前記印刷装置及び前記後処理装置を制御する制御装置と、を備え、前記印刷装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体を印刷順に前記後処理装置に搬送する第1搬送部をさらに含み、前記後処理装置は、前記印刷装置から印刷順に受入れた前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記媒体に前記折り処理とは異なる後処理を施す後処理部と、をさらに含み、前記折り処理部は、前記複数の媒体を前記第2搬送部によって搬送されてくる順に重ねることによって前記媒体束を形成するトレイと、形成した前記媒体束に前記折り処理を施す折り機構と、を含み、前記制御装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体のうち前記印刷部から吐出される前記液体の量が所定量を超える前記媒体を繰上媒体として、前記繰上媒体の印刷順を前記媒体束における並び順よりも前に繰り上げて前記印刷部に前記繰上媒体の印刷を実施させた後に、前記繰上媒体を前記後処理部で待機させてから前記第2搬送部に前記トレイへ前記並び順に搬送させる。
【0006】
印刷システムは、液体を吐出することにより前記液体で媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置と、前記印刷装置により印刷された複数の前記媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、前記印刷装置及び前記後処理装置を制御する制御装置と、を備え、前記印刷装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体を印刷順に前記後処理装置に搬送する第1搬送部をさらに含み、前記後処理装置は、前記印刷装置から印刷順に受入れた前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記媒体に前記折り処理とは異なる後処理を施す後処理部と、をさらに含み、前記折り処理部は、前記複数の媒体を前記第2搬送部によって搬送されてくる順に重ねることによって前記媒体束を形成するトレイと、形成した前記媒体束に前記折り処理を施す折り機構と、を含み、前記制御装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体のうち前記印刷部から吐出される前記液体の量が所定量を超える前記媒体を液量超過媒体とし、且つ前記媒体束における並び順で前記液量超過媒体の少なくとも2つ後に位置する前記媒体を繰上媒体として、前記繰上媒体の印刷順を前記液量超過媒体の1つ後に繰り上げて前記印刷部に前記繰上媒体の印刷を実施させた後に、前記繰上媒体を前記後処理部で待機させてから前記第2搬送部に前記トレイへ前記並び順に搬送させる。
【0007】
印刷システムの制御方法は、液体を吐出することにより前記液体で媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置と、前記印刷装置により印刷された複数の前記媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、を備え、前記印刷装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体を印刷順に前記後処理装置に搬送する第1搬送部をさらに含み、前記後処理装置は、前記印刷装置から印刷順に受入れた前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記媒体に前記折り処理とは異なる後処理を施す後処理部と、をさらに含み、前記折り処理部は、前記複数の媒体を前記第2搬送部によって搬送されてくる順に重ねることによって前記媒体束を形成するトレイと、形成した前記媒体束に前記折り処理を施す折り機構と、を含む、印刷システムの制御方法であって、前記媒体束を構成する前記複数の媒体のうち前記印刷部から吐出される前記液体の量が所定量を超える前記媒体を繰上媒体として、前記繰上媒体の印刷順を前記媒体束における並び順よりも前に繰り上げて前記印刷部に前記繰上媒体の印刷を実施させた後に、前記繰上媒体を前記後処理部で待機させてから前記第2搬送部に前記トレイへ前記並び順に搬送させること、を含む。
【0008】
印刷システムの制御方法は、液体を吐出することにより前記液体で媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置と、前記印刷装置により印刷された複数の前記媒体を一束とする媒体束に折り処理を施す折り処理部を有する後処理装置と、を備え、前記印刷装置は、前記媒体束を構成する前記複数の媒体を印刷順に前記後処理装置に搬送する第1搬送部をさらに含み、前記後処理装置は、前記印刷装置から印刷順に受入れた前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記媒体に前記折り処理とは異なる後処理を施す後処理部と、をさらに含み、前記折り処理部は、前記複数の媒体を前記第2搬送部によって搬送されてくる順に重ねることによって前記媒体束を形成するトレイと、形成した前記媒体束に前記折り処理を施す折り機構と、を含む、印刷システムの制御方法であって、前記媒体束を構成する前記複数の媒体のうち前記印刷部から吐出される前記液体の量が所定量を超える前記媒体を液量超過媒体とし、且つ前記媒体束における並び順で前記液量超過媒体の少なくとも2つ後に位置する前記媒体を繰上媒体として、前記繰上媒体の印刷順を前記液量超過媒体の1つ後に繰り上げて前記印刷部に前記繰上媒体の印刷を実施させた後に、前記繰上媒体を前記後処理部で待機させてから前記第2搬送部に前記トレイへ前記並び順に搬送させること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】印刷システムの第1例の構成を説明する模式図。
図2】印刷システムの構成を示すブロック図。
図3】用紙束を構成する複数の用紙の流れの実施例1を模式的に説明する図。
図4】比較例での複数の用紙の流れを模式的に説明する図。
図5】用紙束を構成する複数の用紙の流れの実施例2を模式的に説明する図。
図6】用紙束を構成する複数の用紙の流れの実施例3を模式的に説明する図。
図7】用紙束を構成する複数の用紙の流れの実施例4を模式的に説明する図。
図8】用紙束を構成する複数の用紙の流れの実施例5を模式的に説明する図。
図9】用紙束を構成する複数の用紙の流れの実施例6を模式的に説明する図。
図10】印刷システムの第2例の構成を説明する模式図。
図11】印刷システムの第3例の構成を説明する模式図。
図12】印刷システムの第4例の構成を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、第1例の印刷システム1は、印刷装置2と、後処理装置3と、を備える。印刷装置2は、用紙Pにインクで印刷を行う。インクは、液体の一例である。用紙Pは、媒体の一例である。本実施形態では、用紙Pは、定型のカットシートである。カットシートは、単票紙とも呼ばれる。後処理装置3は、複数の用紙Pを留め針で綴じるステープル処理や、複数の用紙Pを束ねてから中折りする折り処理などを実施する装置である。
【0011】
印刷システム1では、印刷装置2と後処理装置3とが互いに連結されている。印刷システム1では、用紙Pが印刷装置2から後処理装置3に搬送される。印刷装置2と後処理装置3との連結態様は、用紙Pが印刷装置2から後処理装置3に搬送されれば、印刷装置2と後処理装置3との間に隙間が空いていてもよい。また、印刷装置2と後処理装置3との間に、印刷装置2から後処理装置3に用紙Pを中継する他の装置が介在してもよい。
【0012】
印刷装置2は、印刷搬送部5と、印刷ヘッド6と、制御回路7と、を備える。印刷搬送部5は、印刷装置2の内部で印刷搬送経路9に沿って用紙Pを搬送する。印刷搬送部5は、第1搬送部の一例である。印刷ヘッド6は、印刷搬送部5によって搬送される用紙Pに向けてインクを吐出することによって、用紙Pに印刷を行う。印刷ヘッド6は、印刷部の一例である。印刷ヘッド6として、インクジェットヘッドを適用することができる。インクジェットヘッドには、インクを吐出する複数のノズル孔が形成されている。ノズル孔から吐出されるインクによって用紙Pに印刷が施される。
【0013】
制御回路7は、印刷システム1の動作を制御する。つまり、制御回路7は、印刷装置2の動作と後処理装置3の動作と統括的に制御する。制御回路7は、制御装置の一例である。本実施形態では、印刷装置2が制御回路7を備える。しかしながら、制御回路7は、印刷装置2とは別体であってもよい。制御回路7が印刷装置2及び後処理装置3のそれぞれから独立した装置であってもよい。後処理装置3が制御回路7を備える構成であってもよい。印刷装置2及び後処理装置3の両方が制御回路7を備える構成であってもよい。制御回路7を複数の回路に分割し、複数の回路を印刷装置2及び後処理装置3に振り分けてもよい。
【0014】
印刷搬送部5は、複数の搬送ローラー対11を有する。複数の搬送ローラー対11は、印刷搬送経路9に沿って配置される。図1では、印刷搬送経路9が二点鎖線で図示される。また、図1では、複数の搬送ローラー対11のうちの一対の搬送ローラー対11が図示されており、他の搬送ローラー対11の図示が省略されている。
【0015】
搬送ローラー対11は、2つのローラーが互いに外周を接した状態で回転可能に配置される。搬送ローラー対11は、2つのローラーのうちの一方に回転動力が付与されることによって駆動される。印刷搬送部5では、搬送ローラー対11の2つのローラー間に用紙Pを挟持させた状態で搬送ローラー対11を駆動することによって、用紙Pを印刷搬送経路9に沿って搬送することができる。印刷装置2には、排出口12が形成されている。排出口12は、印刷装置2の筐体に形成されている。用紙Pは、搬送ローラー対11によって、排出口12を介して後処理装置3に受け渡される。印刷搬送経路9は、給紙経路9Aと、印刷処理経路9Bと、反転経路9Cと、排紙経路9Dと、を含む。
【0016】
印刷ヘッド6は、印刷搬送経路9のうち印刷処理経路9Bに対向する。印刷処理経路9Bのうち印刷ヘッド6に対向する領域を印刷領域と呼ぶ。印刷搬送経路9のうち給紙経路9Aは、用紙Pを印刷領域に導く経路である。給紙経路9Aは、手差しトレイ13に載置された用紙Pを印刷領域に導く経路と、複数の用紙Pを収容するカセット14から用紙Pを印刷領域に導く経路と、を含む。給紙経路9Aは、印刷処理経路9Bに連続する。つまり、用紙Pは、給紙経路9Aから印刷処理経路9Bに連続して搬送される。印刷搬送経路9のうち給紙経路9Aは、用紙Pの搬送方向で印刷処理経路9Bの上流に位置する。
【0017】
印刷搬送経路9のうち用紙Pの搬送方向で印刷領域の上流側に位置する部分が給紙経路9Aである。印刷処理経路9Bは、排出口12で終了する。つまり、印刷搬送経路9のうち印刷処理経路9Bは、印刷ヘッド6に対向する印刷領域から排出口12までの区間である。反転経路9Cは、印刷処理経路9Bから分岐する。反転経路9Cは、用紙Pの表裏を反転させるための経路である。反転経路9Cによって用紙Pに両面印刷を行うことができる。反転経路9Cは、用紙Pの搬送方向で印刷領域の下流で印刷処理経路9Bから分岐する。
【0018】
反転経路9Cは、引き込み経路9Eを含む。印刷処理経路9Bから反転経路9Cに分岐した用紙Pは、引き込み経路9Eに導かれる。引き込み経路9Eに引き込まれた用紙Pは、進行方向をスイッチバックして反転経路9Cに戻される。反転経路9Cは、印刷ヘッド6を印刷処理経路9Bとは反対側で迂回してから給紙経路9Aに合流する。引き込み経路9Eからスイッチバックして反転経路9Cに戻された用紙Pは、給紙経路9Aから印刷処理経路9Bに搬送される。このとき、用紙Pは、反転経路9Cに分岐する前の表裏が反転した状態で印刷処理経路9Bに搬送される。
【0019】
排紙経路9Dは、印刷処理経路9Bから分岐する。印刷処理経路9Bと反転経路9Cとの分岐点よりも下流で印刷処理経路9Bから分岐する。排紙経路9Dは、用紙Pを第1スタッカー16に排出するための経路である。第1スタッカー16は、印刷ヘッド6によって印刷された用紙Pを集積する受け皿である。排紙経路9Dによって、用紙Pを印刷装置2の内部から印刷装置2の外に排出することができる。排紙経路9Dによって、用紙Pは、後処理装置3を経由せずに印刷装置2の外に排出される。用紙Pへの後処理を要望しないユーザーは、第1スタッカー16から用紙Pを受け取ることができる。
【0020】
後処理装置3は、印刷装置2の印刷処理経路9Bの下流に位置する。後処理装置3は、後処理搬送部21と、折り処理部22と、後処理部23と、を備える。後処理搬送部21は、後処理装置3の内部で後処理搬送経路25に沿って用紙Pを搬送する。後処理搬送部21は、第2搬送部の一例である。折り処理部22は、用紙Pを中折りする折り処理を実施する装置である。中折りの種類としては、二つ折りの他、三つ折りや四つ折り、片袖折り等、種々の折り方を適用することができる。後処理部23は、用紙Pに折り処理とは異なる後処理を施す。後処理部23は、ステープル処理部27と、排出処理部28と、を含む。ステープル処理部27は、複数の用紙Pを留め針で綴じるステープル処理を実施する。排出処理部28は、用紙Pを後処理装置3の外に排出する。
【0021】
後処理搬送部21は、複数の搬送ローラー対31を有する。複数の搬送ローラー対31は、後処理搬送経路25に沿って配置される。図1に示す例では、4対の搬送ローラー対31が図示されている。しかしながら、搬送ローラー対31の数量は、4対に限定されない。搬送ローラー対31は、2つのローラーが互いに外周を接した状態で回転可能に配置される。搬送ローラー対31は、2つのローラーのうちの一方に回転動力が付与されることによって駆動される。後処理搬送部21では、搬送ローラー対31の2つのローラー間に用紙Pを挟持させた状態で搬送ローラー対31を駆動することによって、用紙Pを後処理搬送経路25に沿って搬送することができる。
【0022】
後処理装置3には、受入口32が形成されている。受入口32は、受入部の一例である。受入口32は、後処理装置3の筐体に形成されている。用紙Pは、搬送ローラー対31によって、受入口32を介して印刷装置2から受け渡される。後処理搬送経路25は、受入経路25Aと、折り処理経路25Bと、ステープル経路25Cと、排紙経路25Dと、を含む。受入経路25Aは、印刷装置2から後処理装置3に受け渡される用紙Pを受入口32から後処理装置3の内部に受け入れる経路である。受入経路25A及び折り処理経路25Bは、第1搬送経路の一例である。ステープル経路25Cは、第2搬送経路の一例である。
【0023】
受入経路25Aは、用紙Pの搬送方向で受入口32の下流で、折り処理経路25Bとステープル経路25Cとに分岐する。折り処理経路25Bとステープル経路25Cとの第1分岐点33には、第1切替器34が設けられている。第1切替器34は、用紙Pの搬送を折り処理経路25Bとステープル経路25Cとで切り替える。折り処理経路25Bは、用紙Pを折り処理部22に導く。ステープル経路25Cは、用紙Pをステープル処理部27に導く。排紙経路25Dは、ステープル経路25Cから分岐する。排紙経路25Dは、用紙Pを排出処理部28に導く。
【0024】
排紙経路25Dは、用紙Pの搬送方向で第1分岐点33の下流で、ステープル経路25Cから分岐する。排紙経路25Dは、第1分岐点33とステープル処理部27との間でステープル経路25Cから分岐する。ステープル経路25Cと排紙経路25Dとの第2分岐点35は、用紙Pの搬送方向で第1分岐点33の下流に位置する。第2分岐点35には、第2切替器36が設けられている。第2切替器36は、用紙Pの搬送をステープル経路25Cと排紙経路25Dとで切り替える。図1に示す後処理搬送経路25の例では、第1分岐点33で折り処理経路25Bとステープル経路25Cとが分岐し、且つ第2分岐点35でステープル経路25Cと排紙経路25Dとが分岐する。他の観点では、後処理搬送経路25は、第1分岐点33で折り処理経路25Bと排紙経路25Dとが分岐し、且つ第2分岐点35で排紙経路25Dとステープル経路25Cとが分岐するとみなすこともできる。
【0025】
後処理搬送経路25の構成として、第1分岐点33でステープル経路25Cと排紙経路25Dとが分岐し、且つ第2分岐点35でステープル経路25Cと折り処理経路25Bとが分岐する構成も適用することができる。さらに、第1分岐点33でステープル経路25Cと排紙経路25Dとが分岐し、且つ第2分岐点35で排紙経路25Dと折り処理経路25Bとが分岐する構成も適用することができる。
【0026】
折り処理部22は、複数の用紙Pを束ねた用紙束Bに対して中折りすることができる。用紙束Bは、複数の用紙Pが重ねられた集合体である。折り処理部22は、用紙束Bの状態で複数の用紙Pを中折することができる。折り処理部22は、積重トレイ41と、折りローラー対42と、ブレード43と、を備える。積重トレイ41は、トレイの一例である。積重トレイ41は、複数の用紙Pを積み重ねることによって複数の用紙Pで用紙束Bを形成する。折り処理経路25Bを搬送される用紙Pは、積重トレイ41に集積される。折り処理経路25Bを搬送される複数の用紙Pは、折り処理経路25Bを搬送される順に積重トレイ41に集積される。
【0027】
折りローラー対42は、第1ローラー42Aと、第2ローラー42Bと、を含む。折りローラー対42は、第1ローラー42A及び第2ローラー42Bが互いに外周を接した状態で回転可能に配置される。折りローラー対42は、第1ローラー42A及び第2ローラー42Bのうちの一方に回転動力が付与されることによって駆動される。折りローラー対42は、積重トレイ41に対面する位置に設けられている。折りローラー対42は、積重トレイ41のうち用紙束Bが載置される面に対面する。第1ローラー42A及び第2ローラー42Bのそれぞれの回転軸は、用紙Pを中折りするときの折り目に沿っている。折りローラー対42は、用紙Pを中折りするときの折り目を第1ローラー42A及び第2ローラー42Bによって挟持することによって、用紙Pに折り処理を施す。折りローラー対42は、折り機構の一例である。
【0028】
ブレード43は、積重トレイ41を挟んで折りローラー対42に対峙する位置に設けられている。ブレード43は、積重トレイ41の折りローラー対42とは反対側に位置する。ブレード43は、積重トレイ41に対して進退可能に構成されている。積重トレイ41には、貫通孔が形成されている。積重トレイ41を折りローラー対42からブレード43に向かって見たときに、積重トレイ41の貫通孔は、ブレード43に重なる。ブレード43は、積重トレイ41の貫通孔を通して積重トレイ41から折りローラー対42側に突出する突出位置と、積重トレイ41の折りローラー対42とは反対側に退避する退避位置とが切り替えられる。
【0029】
ブレード43から折りローラー対42に向かって折りローラー対42を見たときに、ブレード43は、第1ローラー42A及び第2ローラー42Bが互いに外周を接するニップ部に重なる。ブレード43が退避位置から突出位置に変位すると、用紙束Bがブレード43によって屈曲する。屈曲した用紙束Bは、ブレード43によって折り目が第1ローラー42A及び第2ローラー42Bのニップ部に押圧される。折りローラー対42が回転駆動される状態で用紙束Bの折り目が第1ローラー42A及び第2ローラー42Bのニップ部に挟持されることによって、用紙束Bが中折りされる。これにより、用紙束Bに折り処理が行われる。
【0030】
前述したように、折り処理経路25Bを搬送される複数の用紙Pは、折り処理経路25Bを搬送される順に積重トレイ41に集積される。よって、用紙束Bを構成する複数の用紙Pのうち折り処理経路25Bを最初に搬送される用紙Pが、積重トレイ41の貫通孔を介してブレード43に対面する。このため、用紙束Bに折り処理を施すとき、用紙束Bを構成する複数の用紙Pのうち折り処理経路25Bを最初に搬送される用紙Pが、ブレード43に当接する。また、用紙束Bを構成する複数の用紙Pのうち折り処理経路25Bを最後に搬送される用紙Pが、折りローラー対42に対面する。このため、用紙束Bに折り処理を施すとき、用紙束Bを構成する複数の用紙Pのうち折り処理経路25Bを最後に搬送される用紙Pが、折りローラー対42に当接する。
【0031】
ステープル処理部27は、搬送ローラー対31と、ステープルトレイ45と、ステープル装置46と、を含む。以下において、ステープル処理部27の搬送ローラー対31は、搬送ローラー対31Aとも表記される。ステープルトレイ45は、複数の用紙Pを集積する。ステープル装置46は、ステープルトレイ45に集積した複数の用紙Pを留め針で綴じる。ステープルトレイ45には、搬送ローラー対31Aによって用紙Pが搬送される。
【0032】
排出処理部28は、搬送ローラー対31と、第2スタッカー48と、を含む。以下において、排出処理部28の搬送ローラー対31は、搬送ローラー対31Bとも表記される。第2スタッカー48は、印刷装置2によって印刷された用紙Pを集積する受け皿である。排紙経路25Dを経由して排出処理部28に導かれた用紙Pは、搬送ローラー対31Bによって第2スタッカー48に排出される。排出処理部28によって、用紙Pを後処理装置3の内部から後処理装置3の外に排出することができる。用紙Pへの後処理を要望しないユーザーは、第2スタッカー48から用紙Pを受け取ることができる。
【0033】
図2に示すように、制御回路7は、演算部51と、メモリー52と、を含む。制御回路7は、印刷システム1を制御するコントローラーである。演算部51は、制御部の一例である。演算部51は、一例として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)を有するプロセッサーである。制御回路7は、メモリー52で記憶される制御プログラムを実行することによって、印刷システム1の動作を統括制御する。メモリー52は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等で構成される。RAMは、演算部51のワークエリアとして機能する。RAMは、各種の制御プログラムや、各種データ等の一時記憶に用いられる。ROMは、印刷システム1の動作を制御するための制御プログラムや、各種設定情報等を記憶する。
【0034】
演算部51は、メモリー52に記憶される制御プログラムを実行することによって、各種の機能部として機能する。演算部51は、機能部として、印刷搬送制御部54と、印刷制御部55と、後処理搬送制御部61と、ステープル制御部62と、折り処理制御部63と、を含む。演算部51は、制御プログラムを実行することによって、印刷搬送制御部54、印刷制御部55、後処理搬送制御部61、ステープル制御部62、及び折り処理制御部63として機能する。
【0035】
また、印刷装置2は、印刷搬送モーター71をさらに有する。印刷搬送モーター71は、印刷搬送部5の複数の搬送ローラー対11を駆動するための動力を発生する。後処理装置3は、受入経路モーター81と、折り処理経路モーター82と、ステープル経路モーター83と、排紙経路モーター84と、折りローラーモーター85と、ブレードモーター86と、をさらに有する。
【0036】
受入経路モーター81は、後処理搬送経路25のうちの受入経路25Aの搬送ローラー対31を駆動するための動力を発生する。折り処理経路モーター82は、後処理搬送経路25のうちの折り処理経路25Bの搬送ローラー対31を駆動するための動力を発生する。ステープル経路モーター83は、後処理搬送経路25のうちのステープル経路25Cの搬送ローラー対31Aを駆動するための動力を発生する。排紙経路モーター84は、後処理搬送経路25のうちの排紙経路25Dの搬送ローラー対31Bを駆動するための動力を発生する。折りローラーモーター85は、折りローラー対42を駆動するための動力を発生する。ブレードモーター86は、ブレード43を駆動するための動力を発生する。なお、ブレード43を駆動するための動力源は、ブレードモーター86に限定されず、電磁ソレノイド等も適用することができる。
【0037】
印刷搬送制御部54は、印刷搬送モーター71の駆動を制御することによって印刷搬送部5の複数の搬送ローラー対11の回転を制御する。印刷制御部55は、印刷ヘッド6の駆動を制御することによって印刷ヘッド6からのインクの吐出を制御する。後処理搬送制御部61は、受入経路モーター81、折り処理経路モーター82、ステープル経路モーター83、及び排紙経路モーター84の駆動を個別に制御する。後処理搬送制御部61によって、受入経路25A、折り処理経路25B、ステープル経路25C、及び排紙経路25Dのそれぞれにおける用紙Pの搬送が制御される。ステープル制御部62は、ステープル装置46の駆動を制御することによって、用紙Pへのステープル処理を制御する。折り処理制御部63は、折りローラーモーター85及びブレードモーター86の駆動を個別に制御する。折り処理制御部63によって、用紙Pや用紙束Bの折り処理が制御される。
【0038】
上記の構成を有する印刷システム1では、ユーザーが指定する印刷ジョブに基づいて、用紙Pへの印刷が行われる。印刷ジョブは、印刷システム1に1回の印刷動作を行わせるためのデータの集合である。印刷ジョブは、ユーザーが指示する印刷指令である。印刷ジョブは、用紙Pに印刷すべき文字や画像などを指示する印刷データを含む。また、印刷ジョブは、用紙Pの種類やサイズ、印刷データを印刷すべき領域などを指定する設定データを含む。さらに、印刷ジョブは、用紙Pに施す後処理の内容を指示する後処理データを含む。印刷システム1が印刷ジョブを受け付けると、演算部51が印刷ジョブに基づいて制御プログラムを実行することによって、用紙Pに印刷処理が行われる。
【0039】
印刷システム1が印刷ジョブを受け付けると、演算部51は、印刷データに基づいて、印刷搬送モーター71及び印刷ヘッド6の駆動を制御する。印刷搬送制御部54が印刷搬送モーター71を制御することによって、図1に示す給紙経路9Aから用紙Pが印刷処理経路9Bに供給される。印刷制御部55が印刷ヘッド6を制御することによって、印刷処理経路9Bを搬送される用紙Pに印刷が行われる。印刷ジョブに両面印刷の指示が含まれる場合には、用紙Pが反転経路9C及び引き込み経路9Eを介して表裏反転されてから、印刷処理経路9Bに搬送される。印刷ジョブに後処理を実施しない指示が含まれる場合には、用紙Pは、排紙経路9Dから第1スタッカー16に排出される。他方、印刷ジョブに後処理を実施する指示が含まれる場合には、用紙Pは、排出口12を介して後処理装置3に受け渡される。
【0040】
後処理搬送制御部61は、受入経路モーター81を制御することによって、受入経路25Aの搬送ローラー対31を駆動させる。印刷装置2から後処理装置3に受け渡される用紙Pは、受入経路25Aを介して後処理装置3の内部に受け入れられる。印刷ジョブに含まれる後処理データが折り処理を指示するものである場合、用紙Pの搬送経路が、受入経路25Aから折り処理経路25Bに切り替えられる。折り処理制御部63は、折りローラーモーター85及びブレードモーター86を制御することによって、折りローラー対42及びブレード43を駆動させる。この結果、用紙Pや用紙束Bの折り処理が実施される。
【0041】
印刷ジョブに含まれる後処理データがステープル処理を指示するものである場合、用紙Pの搬送経路が、受入経路25Aからステープル経路25Cに切り替えられる。次いで、後処理搬送制御部61は、ステープル経路モーター83を制御することによって、ステープル経路25Cの搬送ローラー対31Aを駆動させる。用紙Pは、搬送ローラー対31Aによってステープル経路25Cからステープルトレイ45に載置される。次いで、ステープル制御部62は、ステープル装置46の駆動を制御することによって、用紙Pへのステープル処理を実施させる。
【0042】
印刷ジョブに含まれる後処理データが排出処理を指示するものである場合、用紙Pの搬送経路が、ステープル経路25Cから排紙経路25Dに切り替えられる。次いで、後処理搬送制御部61は、排紙経路モーター84を制御することによって、排紙経路25Dの搬送ローラー対31Bを駆動させる。用紙Pは、搬送ローラー対31Bによって排紙経路25Dから第2スタッカー48に載置される。
【0043】
印刷ジョブに含まれる後処理データが用紙束Bに対する折り処理を指示するものである場合、用紙束Bを構成する複数の用紙Pに対する印刷データが印刷ジョブによって指定される。用紙束Bに対する折り処理では、用紙束Bにおける複数の用紙Pの並び順も印刷データによって指定される。つまり、用紙束Bに対する折り処理では、折り処理が施された用紙束Bにおけるページの並び順が印刷データによって指定される。このため、用紙束Bにおける複数の用紙Pの並び順は、印刷ジョブに基づいて把握することができる。
【0044】
本実施形態では、用紙束Bに対する折り処理を実施するときに、用紙束Bにおける複数の用紙Pの印刷順と、用紙束Bにおける複数の用紙Pの並び順とを異ならせることができる。具体的には、用紙束Bを構成する複数の用紙Pの中に、印刷ヘッド6から吐出されるインクの量が所定量を超える用紙Pがあるときに、用紙束Bにおける複数の用紙Pの印刷順が並び順とは異なる。用紙Pに吐出されるインク量は、印刷データに基づいて把握することができる。
【0045】
印刷ヘッド6から吐出されるインクの量が所定量を超える用紙Pをインク超過用紙PLと呼ぶ。例えば、インク超過用紙PLを繰上用紙PFとして、繰上用紙PFの印刷順が用紙束Bでの並び順よりも前に繰り上げられる。また、印刷順でインク超過用紙PLの少なくとも2つ後に位置する用紙Pを繰上用紙PFとする方法も適用することができる。
【0046】
図3は、用紙束Bを構成する複数の用紙Pの流れの実施例1を模式的に説明する図である。図3は、折り処理を施す用紙束Bにインク超過用紙PLが含まれていないときの流れを示す。図3には、用紙束Bを構成する複数の用紙Pについて、印刷順と積重トレイ41への搬送順とが示される。印刷順は、図面を正視した状態で左から右に向かって矢印の方向に進行する。各用紙Pには、用紙束Bでの並び順が記される。図3に示す実施例1では、用紙束Bを構成する複数の用紙Pの印刷順は、用紙束Bでの並び順と同じである。図3に示す実施例1では、積重トレイ41への搬送順は、印刷順と同じである。インク超過用紙PLが含まれない用紙束Bに折り処理を施すとき、用紙束Bを構成する複数の用紙Pは、図3に示すように、印刷順に積重トレイ41に集積される。つまり、図3に示す実施例1では、用紙束Bを構成する複数の用紙Pは、用紙束Bでの並び順に印刷され、且つ用紙束Bでの並び順に積重トレイ41に集積される。
【0047】
インク超過用紙PLが含まれる用紙束Bに対して、図3に示す実施例1を適用すると、複数の用紙Pを積重トレイ41に集積したときにインク超過用紙PLに隣接する用紙Pにインクが転写してしまうことが考えられる。このようなことに対して、比較例を示す図4に示すように、インク超過用紙PLのインクを乾燥させる時間をとってから、インク超過用紙PLを積重トレイ41に搬送する方法を適用することができる。図4に示す比較例では、用紙束Bの並び順で2番目の用紙Pがインク超過用紙PLである。このように、乾燥時間を適用すると、用紙束Bの折り処理にかかる時間が長期化してしまう。
【0048】
このようなことを軽減するため、本実施形態では、繰上用紙PFの印刷順が用紙束Bでの並び順よりも前に繰り上げられる。なお、繰り上げることができる数の範囲は、用紙束Bを構成する複数の用紙Pの枚数に応じて異なる。例えば、2枚の用紙Pで用紙束Bが構成される場合、繰り上げられる印刷順は1つである。また、3枚の用紙Pで用紙束Bが構成される場合、繰り上げられる印刷順は1つ又は2つである。このように、印刷順を繰り上げることができる数の範囲は、用紙束Bを構成する複数の用紙Pの枚数に応じて異なる。印刷順を繰り上げる数は、繰り上げ可能な範囲であれば任意の数を適用することができる。
【0049】
インク超過用紙PLを繰上用紙PFとする例について説明する。この例では、インク超過用紙PLを繰上用紙PFとして、繰上用紙PFの印刷順が用紙束Bでの並び順よりも前に繰り上げられる。例えば、図5に示すように、用紙束Bでの並び順で2番目の用紙Pがインク超過用紙PLである場合について説明する。用紙束Bのうち2番目の用紙Pが繰上用紙PFとなる。この例では、用紙束Bのうち2番目の用紙Pが繰上用紙PFであるので、2番目の用紙Pの印刷順が並び順での2番目から1番目に繰り上げられる。
【0050】
印刷順で1番目に繰り上げられた2番目の用紙Pは、印刷後に後処理部23で待機させられる。2番目の用紙Pが後処理部23で待機している間に、用紙束Bの並び順で1番目の用紙Pに印刷が行われる。印刷が行われた1番目の用紙Pは、積重トレイ41に集積される。次に、用紙束Bの並び順で3番目の用紙Pに印刷が行われる。このとき、後処理部23で待機していた2番目の用紙Pが積重トレイ41に集積される。そして、印刷が行われた3番目の用紙Pが、積重トレイ41に集積される。
【0051】
つまり、印刷システム1では、制御回路7が、インク超過用紙PLである繰上用紙PFの印刷順を用紙束Bでの並び順よりも前に繰り上げて、繰上用紙PFへの印刷を実施させる。制御回路7は、図1に示す後処理装置3の後処理搬送部21を制御することによって、繰上用紙PFを後処理部23で待機させてから積重トレイ41へ用紙束Bでの並び順に搬送させる。これにより、インクの量が所定量を超える用紙Pの印刷順を用紙束Bでの並び順にする場合に比較して、用紙Pに付着したインクの乾燥を進めることができる。よって、複数の用紙Pを重ねるときに隣接する用紙Pにインクが転写することを抑えやすい。さらに、印刷システム1では、用紙束Bでの並び順で繰上用紙PFの次の用紙Pに印刷が行われているときに、繰上用紙PFが積重トレイ41に搬送される。この結果、用紙束Bの折り処理にかかる時間が遅延することを抑えやすい。
【0052】
用紙束Bに繰上用紙PFが含まれる場合の処理の流れについて説明する。
印刷ジョブに基づいて、印刷搬送制御部54は、印刷搬送モーター71を制御することによって、図1に示す給紙経路9Aから用紙Pを印刷処理経路9Bに供給させる。印刷制御部55は、印刷ヘッド6を制御することによって、繰上用紙PFに対する印刷を印刷ヘッド6に実施させる。繰上用紙PFに対する印刷が終了した後に、印刷搬送制御部54は、印刷搬送モーター71を制御することによって、印刷搬送部5に繰上用紙PFを後処理装置3に搬送させる。
【0053】
後処理搬送制御部61は、受入経路モーター81を制御することによって、後処理搬送部21に繰上用紙PFを受入口32から後処理装置3の内部に取り込ませる。このとき、用紙Pの搬送経路が、受入経路25Aからステープル経路25Cに切り替えられる。次に、後処理搬送制御部61は、ステープル経路モーター83を制御することによって、ステープル経路25Cの搬送ローラー対31Aの駆動を停止させる。これにより、繰上用紙PFは、搬送ローラー対31Aによってニップされた状態でステープル経路25Cに留まる。つまり、後処理搬送制御部61は、繰上用紙PFをステープル処理部27で待機させる。
【0054】
また、この間、印刷搬送制御部54は、印刷搬送モーター71を制御することによって、給紙経路9Aから、用紙束Bの並び順で1番目の用紙Pを印刷処理経路9Bに供給させる。次に、印刷制御部55は、印刷ヘッド6を制御することによって、用紙束Bの並び順で1番目の用紙Pに対する印刷を印刷ヘッド6に実施させる。用紙束Bの並び順で1番目の用紙Pに対する印刷が終了した後に、印刷搬送制御部54は、印刷搬送モーター71を制御することによって、印刷搬送部5にこの用紙Pを後処理装置3に搬送させる。
【0055】
後処理搬送制御部61は、受入経路モーター81を制御することによって、後処理搬送部21に、用紙束Bの並び順で1番目の用紙Pを受入口32から後処理装置3の内部に取り込ませる。このとき、用紙Pの搬送経路が、受入経路25Aから折り処理経路25Bに切り替えられる。次に、後処理搬送制御部61は、折り処理経路モーター82を制御することによって、折り処理経路25Bの搬送ローラー対31を駆動させる。これにより、用紙束Bの並び順で1番目の用紙Pが積重トレイ41に載置される。
【0056】
また、この間、印刷搬送制御部54は、印刷搬送モーター71を制御することによって、給紙経路9Aから、用紙束Bの並び順で3番目の用紙Pを印刷処理経路9Bに供給させる。次に、印刷制御部55は、印刷ヘッド6を制御することによって、用紙束Bの並び順で3番目の用紙Pに対する印刷を印刷ヘッド6に実施させる。3番目の用紙Pに対する印刷が終了するまでの間に、後処理搬送制御部61は、ステープル処理部27で待機する繰上用紙PFを積重トレイ41に向けて搬送させる。
【0057】
後処理搬送制御部61は、ステープル経路モーター83を制御することによって、ステープル経路25Cの搬送ローラー対31Aの駆動を逆転させる。これにより、ステープル処理部27で待機していた繰上用紙PFは、ステープル経路25Cから受入経路25Aに逆送される。次に、後処理搬送制御部61は、受入経路モーター81を制御することによって、繰上用紙PFを受入経路25Aにスイッチバックさせる。次に、用紙Pの搬送経路が、受入経路25Aから折り処理経路25Bに切り替えられる。次に、後処理搬送制御部61は、折り処理経路モーター82を制御することによって、折り処理経路25Bの搬送ローラー対31を駆動させる。これにより、繰上用紙PFが積重トレイ41に載置される。
【0058】
そして、用紙束Bの並び順で3番目の用紙Pに対する印刷が終了した後に、印刷搬送制御部54は、印刷搬送モーター71を制御することによって、印刷搬送部5に3番目の用紙Pを後処理装置3に搬送させる。次に、後処理搬送制御部61は、後処理搬送部21を制御することによって、用紙束Bの並び順で3番目の用紙Pを積重トレイ41に集積させる。これ以後、用紙束Bの並び順に、印刷と積重トレイ41への搬送とが実施される。そして、用紙束Bを構成する複数の用紙Pへの印刷と、積重トレイ41への集積とが終了した後に、折り処理制御部63は、折りローラーモーター85及びブレードモーター86を制御する。折り処理制御部63による制御によって、折りローラー対42及びブレード43が駆動する。これにより、用紙束Bの折り処理が実施される。
【0059】
図5に示す実施例2では、用紙束Bの並び順で2番目の用紙Pが繰上用紙PFである。しかしながら、繰上用紙PFは、用紙束Bの並び順で2番目の用紙Pに限定されない。用紙束Bの並び順で3番目の用紙Pや、3番目以降の用紙Pを繰上用紙PFとしてもよい。また、上記の説明では、繰上用紙PFをステープル処理部27に待機させる例を説明した。しかしながら、繰上用紙PFを待機させる場所は、ステープル処理部27に限定されない。繰上用紙PFを待機させる場所として、排出処理部28も適用することができる。
【0060】
用紙束Bの並び順でインク超過用紙PLの2つ後の用紙Pを繰上用紙PFとする例について説明する。この例では、用紙束Bの並び順でインク超過用紙PLの2つ後の用紙Pを繰上用紙PFとして、繰上用紙PFの印刷順が用紙束Bでの並び順よりも前に繰り上げられる。繰上用紙PFの印刷順は、インク超過用紙PLの1つ後に繰り上げられる。つまり、この例では、インク超過用紙PLの印刷の次に、繰上用紙PFの印刷が行われる。例えば、図6に示すように、用紙束Bの並び順で3番目の用紙Pが繰上用紙PFである例が挙げられる。
【0061】
図6に示す実施例3は、例えば、用紙束Bでの並び順で1番目の用紙Pがインク超過用紙PLである場合に好適である。この例では、用紙束Bのうち3番目の用紙Pの印刷順が、インク超過用紙PLの1つ後である2番目に繰り上げられる。図6に示す実施例3は、用紙束Bの並び順で3番目の用紙Pを繰上用紙PFとする点で図5に示す実施例2と異なる。この点を除いて、制御回路7による処理の流れは、図5に示す実施例2と同様である。従って、図6に示す実施例3では、制御回路7による処理の流れの説明を省略する。
【0062】
なお、図6に示す実施例3では、用紙束Bの並び順でインク超過用紙PLの2つ後の用紙Pが繰上用紙PFとされている。しかしながら、繰上用紙PFは、用紙束Bの並び順でインク超過用紙PLの2つ後の用紙Pに限定されない。用紙束Bの並び順でインク超過用紙PLの少なくとも2つ後に位置する用紙Pを繰上用紙PFとすることができる。従って、用紙束Bの並び順でインク超過用紙PLの3つ後の用紙Pや、3つ以降の用紙Pを繰上用紙PFとすることもできる。いずれの場合も、繰上用紙PFの印刷順は、インク超過用紙PLの1つ後に繰り上げられる。
【0063】
図6に示す実施例3では、印刷システム1の制御回路7が、用紙束Bの並び順でインク超過用紙PLの少なくとも2つ後に位置する繰上用紙PFの印刷順をインク超過用紙PLの1つ後に繰り上げる。制御回路7は、繰上用紙PFへの印刷を実施させた後に、繰上用紙PFを後処理部23で待機させてから積重トレイ41へ用紙束Bの並び順に搬送させる。これにより、繰上用紙PFが後処理部23で待機している時間を利用して、インク超過用紙PLに付着したインクの乾燥を進めることができる。よって、複数の用紙Pを重ねるときに隣接する用紙Pにインクが転写することを抑えやすい。さらに、印刷システム1では、用紙束Bでの並び順で繰上用紙PFの次の用紙Pに印刷が行われているときに、繰上用紙PFが積重トレイ41に搬送される。この結果、用紙束Bの折り処理にかかる時間が遅延することを抑えやすい。
【0064】
図5に示す実施例2及び図6に示す実施例3では、それぞれ、用紙束Bが1つの繰上用紙PFを含む場合を示す。しかしながら、用紙束Bが含む繰上用紙PFの数量は、1つに限定されない。例えば、図7に示すように、用紙束Bが2つの繰上用紙PFを含む場合にも適用することができる。図7に示す実施例4では、用紙束Bの並び順で2番目の用紙Pと4番目の用紙Pとが繰上用紙PFとされている。図7に示す実施例4においても、図5に示す実施例2や図6に示す実施例3と同様の効果が得られる。さらに、図7に示す実施例4は、図8に示すように、4番目の用紙Pの繰上げ位置を変更することができる。図8に示す実施例5においても、図7に示す実施例4と同様の効果が得られる。なお、図8に示す実施例5では、4番目の用紙Pを排出処理部28に待機させればよい。
【0065】
さらに、用紙束Bが2つの繰上用紙PFを含む場合、用紙束Bでの並び順で連続する2つの用紙Pを繰上用紙PFとすることができる。例えば、図9に示すように、用紙束Bの並び順で2番目の用紙Pと3番目の用紙Pとを繰上用紙PFとすることができる。図9に示す実施例6においても、図7に示す実施例4と同様の効果が得られる。また、図9に示す実施例6では、3番目の用紙Pを排出処理部28に待機させればよい。上記の通り、印刷システム1の制御方法は、用紙束Bが2つの繰上用紙PFを含む場合にも適用することができる。さらに、印刷システム1の制御方法は、用紙束Bが2つを超える繰上用紙PFを含む場合にも適用することができる。
【0066】
上述した印刷システム1では、後処理部23は、ステープル処理部27及び排出処理部28に限定されない。後処理部23は、ステープル処理部27及び排出処理部28のいずれか一方だけでもよい。また、後処理部23として、パンチ処理部や、シフト処理部なども適用することができる。パンチ処理は、用紙Pに孔をあける処理である。シフト処理は、複数の用紙Pを相互に位置をずらして載置する処理である。後処理部23がステープル処理部27、排出処理部28、パンチ処理部、及びシフト処理部の少なくとも1つを含む構成も適用することができる。さらに、後処理部23は、ステープル処理部27、排出処理部28、パンチ処理部、及びシフト処理部の4つを含んでいてもよい。また、折り処理部22にステープル装置を付加することもできる。折り処理部22にステープル装置を付加することによって、中折りされた用紙束Bにステープル処理を施すことができる。中折りされた用紙束Bにステープル処理を施すことは、製本処理や中綴じ処理とも呼ばれる。
【0067】
印刷システム1の第2例について説明する。
図10に示すように、第2例の印刷システム1では、印刷装置2に中継ユニット91が付加されている。このことを除いて、第2例の印刷システム1は、第1例の印刷システム1と同様の構成を有する。従って、第2例の印刷システム1の構成のうち第1例の印刷システム1と同一の構成については、第1例の印刷システム1の構成と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0068】
中継ユニット91は、印刷装置2の第1スタッカー16に配置される。中継ユニット91は、印刷装置2の排紙経路9Dを延長する。中継ユニット91は、印刷装置2の排紙経路9Dを後処理装置3の受入経路25Aに接続する装置である。第2例の印刷システム1では、印刷ヘッド6によって印刷された用紙Pは、排紙経路9Dから中継ユニット91を介して後処理装置3の受入経路25Aに搬送される。後処理装置3の構成、処理の内容、及び各処理の動作は、第1例と同様である。なお、第2例の印刷システム1では、印刷装置2の排出口12は、中継ユニット91に設けられる。これに応じて、後処理装置3の受入口32の位置が第1例とは異なる。第2例の印刷システム1においても第1例の印刷システム1と同様の効果が得られる。
【0069】
印刷システム1の第3例について説明する。
図11に示すように、第3例の印刷システム1では、印刷装置2の印刷ヘッド6の位置及び姿勢が第2例とは異なる。このことを除いて、第3例の印刷システム1は、第2例の印刷システム1と同様の構成を有する。従って、第3例の印刷システム1の構成のうち第2例の印刷システム1と同一の構成については、第2例の印刷システム1の構成と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。第3例の印刷システム1においても、第2例と同様に、印刷装置2に中継ユニット91が付加されている。第3例の印刷システム1においても第1例の印刷システム1と同様の効果が得られる。
【0070】
印刷システム1の第4例について説明する。
図12に示すように、第4例の印刷システム1では、後処理装置3にショートカット経路25Eが付加されている。このことを除いて、第4例の印刷システム1は、第1例の印刷システム1と同様の構成を有する。従って、第4例の印刷システム1の構成のうち第1例の印刷システム1と同一の構成については、第1例の印刷システム1の構成と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。ショートカット経路25Eは、第3搬送経路の一例である。
【0071】
ショートカット経路25Eは、後処理搬送経路25に含まれる。ショートカット経路25Eは、後処理部23から積重トレイ41に至る経路である。ショートカット経路25Eは、後処理部23から第1分岐点33を経由せずに積重トレイ41に至る。第1分岐点33は、分岐点の一例である。ショートカット経路25Eを有する印刷システム1によれば、繰上用紙PFを第1分岐点33を経由させずに後処理部23から積重トレイ41に搬送することができる。これにより、用紙束Bの折り処理にかかる時間を短縮することができる。
【0072】
なお、ショートカット経路25Eを介して用紙Pを折り処理部22に搬送すると、ステープル経路25Cから第1分岐点33を経由して折り処理経路25Bに搬送する場合に比較して、用紙Pの表裏が反転する。このため、ショートカット経路25Eによる搬送は、繰上用紙PFに両面印刷を施す場合に適用することが好ましい。繰上用紙PFに両面印刷するときに表裏の印刷順を入れ替えておけば、ショートカット経路25Eによる搬送で表裏反転することによって最終的に適正な表裏にすることができる。なお、第4例のショートカット経路25Eは、第2例及び第3例にも適用することができる。
【0073】
上述した印刷システム1及び印刷システム1の制御方法では、繰上用紙PFに対する印刷順の繰上げ数を、インク超過用紙PLに吐出されるインク量に応じて決定してもよい。例えば、印刷ヘッド6からインク超過用紙PLに吐出されるインクの量に応じて、繰上用紙PFの印刷順を早くする方法が好ましい。この方法によれば、インク超過用紙PLに吐出されるインクの量に応じて繰上用紙PFの待機時間を長くすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1…印刷システム、2…印刷装置、3…後処理装置、5…印刷搬送部、6…印刷ヘッド、7…制御回路、9…印刷搬送経路、9A…給紙経路、9B…印刷処理経路、9C…反転経路、9D…排紙経路、9E…引き込み経路、11…搬送ローラー対、12…排出口、13…手差しトレイ、14…カセット、16…第1スタッカー、21…後処理搬送部、22…折り処理部、23…後処理部、25…後処理搬送経路、25A…受入経路、25B…折り処理経路、25C…ステープル経路、25D…排紙経路、25E…ショートカット経路、27…ステープル処理部、28…排出処理部、31…搬送ローラー対、31A…搬送ローラー対、31B…搬送ローラー対、32…受入口、33…第1分岐点、34…第1切替器、35…第2分岐点、36…第2切替器、41…積重トレイ、42…折りローラー対、42A…第1ローラー、42B…第2ローラー、43…ブレード、45…ステープルトレイ、46…ステープル装置、48…第2スタッカー、51…演算部、52…メモリー、54…印刷搬送制御部、55…印刷制御部、61…後処理搬送制御部、62…ステープル制御部、63…折り処理制御部、71…印刷搬送モーター、81…受入経路モーター、82…折り処理経路モーター、83…ステープル経路モーター、84…排紙経路モーター、85…折りローラーモーター、86…ブレードモーター、91…中継ユニット、B…用紙束、P…用紙、PF…繰上用紙、PL…インク超過用紙。
図1
図2
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図7
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図10
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図12