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特開2024-174391工作機械および工作機械の削減電力量算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174391
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】工作機械および工作機械の削減電力量算出方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4063 20060101AFI20241210BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20241210BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G05B19/4063 L
G05B19/18 W
B23Q17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092201
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】志鎌 耕一郎
【テーマコード(参考)】
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C029EE01
3C269AB02
3C269BB07
3C269BB12
3C269EF02
3C269EF19
3C269EF39
3C269GG01
3C269MN07
3C269MN27
3C269MN32
3C269QC01
3C269QC02
3C269QD02
3C269QE01
3C269QE12
3C269QE26
3C269QE34
(57)【要約】
【課題】削減電力量を正確かつ容易に算出できる工作機械および工作機械の削減電力量算出方法を提供する。
【解決手段】NC旋盤1は、電動機器ごとに設定された通電信号を電動機器に対して通電を要求する通電要求状態と通電を要求しない通電不要状態とに切り替える通電信号切替部111と、電動機器ごとに設定された通電禁止信号を電動機器に対して通電を禁止する禁止状態と通電を許可する許可状態とに切り替える禁止信号切替部112と、電動機器に対する通電信号が通電要求状態で且つ通電禁止信号が禁止状態である電力削減状態であるか否かを該電動機器ごとに判定する信号判定部13と、電力削減状態の累積時間を求め、累積時間に基づいて電動機器ごとの機器別削減電力量を演算して機器別削減電力量を合算することで削減電力量を算出する削減量算出部14とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電中に電力を消費する複数の電動機器を備えた工作機械において、
前記電動機器ごとに設定された通電信号を該電動機器に対して通電を要求する通電要求状態と通電を要求しない通電不要状態とに切り替える通電信号切替部と、
前記電動機器ごとに設定された通電禁止信号を該電動機器に対して通電を禁止する禁止状態と通電を許可する許可状態とに切り替える禁止信号切替部と、
前記電動機器に対する前記通電信号が前記通電要求状態で且つ前記通電禁止信号が前記禁止状態である電力削減状態であるか否かを該電動機器ごとに判定する信号判定部と、
前記電力削減状態の累積時間を求め、該累積時間に基づいて前記電動機器ごとの機器別削減電力量を演算して該機器別削減電力量を合算することで削減電力量を算出する削減量算出部とを備えていることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記信号判定部は、前記通電信号および前記通電禁止信号を監視して前記電力削減状態であるか否かを前記電動機器ごとに判定するものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項3】
前記禁止信号切替部は、所定のマクロプログラムが実行されていることを条件として、該マクロプログラムに関連付けられた前記電動機器に対する前記通電禁止信号を前記禁止状態にするものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項4】
前記電動機器であるモータを備え、
前記禁止信号切替部は、前記モータが回転していないことを条件として、該モータを励磁するための通電を禁止する前記禁止状態に前記通電禁止信号を切り替えるものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項5】
前記禁止信号切替部は、製品排出動作が実行されていること又は回転工具以外の工具が選択されていることを条件として前記電動機器に対する前記通電禁止信号を前記禁止状態にするものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項6】
ワークを把持するチャックを有する主軸と、
前記主軸を回転させる前記電動機器であるスピンドルモータとを備え、
前記禁止信号切替部は、前記主軸が所定位置に位置していること又は前記チャックが開放されていることを条件として前記スピンドルモータに対する前記通電禁止信号を前記禁止状態にするものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項7】
前記電動機器の通電中における単位時間当たりの平均消費電力を該電動機器ごとに記憶した消費電力記憶部を備え、
前記削減量算出部は、前記累積時間に前記平均消費電力を乗算することで前記機器別削減電力量を演算するものであることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項8】
複数の前記電動機器のうち前記信号判定部が前記電力削減状態と判定している該電動機器の前記平均消費電力を合算することで得られる電力を瞬間削減電力として表示させる瞬間削減電力表示指令部を備えていることを特徴とする請求項7記載の工作機械。
【請求項9】
前記削減量算出部が演算した前記機器別削減電力量を前記電動機器ごとに表示させる機器別削減電力量表示指令部を備えていることを特徴とする請求項1から7のうち何れか1項記載の工作機械。
【請求項10】
前記削減量算出部が算出した前記削減電力量と経過時間とを軸としたグラフで表示させるグラフ表示指令部を備えていることを特徴とする請求項1から7のうち何れか1項記載の工作機械。
【請求項11】
通電中に電力を消費する複数の電動機器を備えた工作機械の削減電力量算出方法において、
通電信号が通電を要求する通電要求状態か通電を要求しない通電不要状態かを前記電動機器ごとに検出する通電信号検出工程と、
通電禁止信号が通電を禁止する禁止状態か通電を許可する許可状態かを前記電動機器ごとに検出する禁止信号検出工程と、
前記通電信号検出工程および前記禁止信号検出工程において、前記電動機器に対する前記通電信号が前記通電要求状態で且つ前記通電禁止信号が前記禁止状態である電力削減状態であるか否かを該電動機器ごとに判定する信号判定工程と、
前記電力削減状態の累積時間を求め、該累積時間に基づいて前記電動機器ごとに機器別削減電力量を演算して該機器別削減電力量を合算することで削減電力量を算出する削減量算出工程とを有していることを特徴とする工作機械の削減電力量算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電中に電力を消費する複数の電動機器を備えた工作機械および工作機械の削減電力量算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械には、正面主軸台、正面用刃物台、背面主軸台および背面用刃物台を移動させる各サーボモータ並びにクーラントポンプ、冷却ファン、製品コンベア、照明機器などの各種の電動機器が備えられている。これらの電動機器は、動作時はもちろんのこと停止時にも通電が行われて電力を消費しているものがある。これらの電動機器の動作は、主にNC(Numerical Control)装置や、NC装置が有するPLC(Programmable Logic Controller)によって制御されている。ところで、近年では地球温暖化や燃料代の高騰に対する対策の一環として、電動機器における電力消費量を削減したいという要求が増加している。これに対し、動作する必要がない電動機器への通電を遮断することで電力消費量の削減を目指した工作機械が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5846607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の工作機械では、電動機器への通電を遮断することによってどの程度の電力量を削減したのか分からないという問題がある。この問題を解決する方法として、通電を遮断しないで工作機械を動作させたときの電力消費量と、動作する必要がない電動機器への通電を遮断したときの電力消費量との差を削減電力量として算出するという方法が考えられる。しかし、その方法では、通電を遮断していない場合の動作と通電を遮断した場合の動作とが全て同一条件で実行された動作とは限らないため、正しい削減電力量が算出されているか分からないという問題がある。その上、通電を遮断しない状態で工作機械を動作させてその電力消費量を測定しなければならないため削減電力量を算出するための作業が煩雑になるという問題もある。これらの問題に対し、工作機械の削減電力量を容易にかつ正確に算出できる技術の開発が望まれている。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、削減電力量を正確かつ容易に算出できる工作機械および工作機械の削減電力量算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の工作機械は、
通電中に電力を消費する複数の電動機器を備えた工作機械において、
前記電動機器ごとに設定された通電信号を該電動機器に対して通電を要求する通電要求状態と通電を要求しない通電不要状態とに切り替える通電信号切替部と、
前記電動機器ごとに設定された通電禁止信号を該電動機器に対して通電を禁止する禁止状態と通電を許可する許可状態とに切り替える禁止信号切替部と、
前記電動機器に対する前記通電信号が前記通電要求状態で且つ前記通電禁止信号が前記禁止状態である電力削減状態であるか否かを該電動機器ごとに判定する信号判定部と、
前記電力削減状態の累積時間を求め、該累積時間に基づいて前記電動機器ごとの機器別削減電力量を演算して該機器別削減電力量を合算することで削減電力量を算出する削減量算出部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この工作機械によれば、前記累積時間に基づいて前記機器別削減電力量を演算して該機器別削減電力量を合算することで前記削減電力量を算出するので該削減電力量を正確に算出できる。また、前記削減電力量を算出するために前記電動機器への通電を禁止(遮断)しない状態でこの工作機械を動作させる必要がないので容易に該削減電力量を算出できる。
【0008】
ここで、この工作機械は、前記電動機器における前記電力消費量を削減するECOモードを有しており、前記電動機器における前記電力消費量を削減しない通常モードと該ECOモードとを切り替え可能なものであってもよい。前記削減量算出部は、前記ECOモードにおける前記削減電力量を算出するものであってもよい。前記禁止信号切替部は、前記電動機器が電力削減対象であることを少なくとも条件の1つとして前記通電禁止信号を禁止状態に切り替えるものであってもよい。また、前記禁止信号切替部は、所定の指令による処理状態が継続されている所定期間に該指令に関連付けられた前記電動機器に対する前記通電禁止信号を禁止状態に切り替えるものであってもよい。さらに、前記通電信号切替部は、前記電力削減対象の前記電動機器でなければ該電動機器に通電を行う処理が実行される場合に前記通電信号を前記通電要求状態に切り替えるものであってもよい。
【0009】
この工作機械において、
前記信号判定部は、前記通電信号および前記通電禁止信号を監視して前記電力削減状態であるか否かを前記電動機器ごとに判定するものであってもよい。
【0010】
これにより、前記信号判定部が前記電力削減状態であるか否かを正確に判定できる。
【0011】
ここで、前記信号判定部は、前記通電信号および前記通電禁止信号を所定の時間間隔で監視するものであってもよい。また、前記信号判定部は、前記通電信号および前記通電禁止信号を常時監視するものであってもよい。
【0012】
この工作機械において、
前記禁止信号切替部は、所定のマクロプログラムが実行されていることを条件として、該マクロプログラムに関連付けられた前記電動機器に対する前記通電禁止信号を前記禁止状態にするものであってよい。
【0013】
こうすることで、前記マクロプログラムの実行において通電が不要な前記電動機器における電力消費量を削減できる。
【0014】
この工作機械において、
前記電動機器であるモータを備え、
前記禁止信号切替部は、前記モータが回転していないことを条件として、該モータを励磁するための通電を禁止する前記禁止状態に前記通電禁止信号を切り替えるものであってもよい。
【0015】
こうすることで、前記モータへの不要な励磁を禁止して該モータにおける電力消費量を削減できる。
【0016】
この工作機械において、
前記禁止信号切替部は、製品排出動作が実行されていること又は回転工具以外の工具が選択されていることを条件として前記電動機器に対する前記通電禁止信号を前記禁止状態にするものであってもよい。
【0017】
こうすることで、製品排出動作に不要な前記電動機器における電力消費量や、前記回転工具以外の工具が選択されている際には通電が不要な前記電動機器における電力消費量を削減できる。
【0018】
この工作機械において、
ワークを把持するチャックを有する主軸と、
前記主軸を回転させる前記電動機器であるスピンドルモータとを備え、
前記禁止信号切替部は、前記主軸が所定位置に位置していること又は前記チャックが開放されていることを条件として前記スピンドルモータに対する前記通電禁止信号を前記禁止状態にするものであってもよい。
【0019】
こうすることで、前記スピンドルモータにおける電力消費量を削減できる。
【0020】
この工作機械において、
前記電動機器の通電中における単位時間当たりの平均消費電力を該電動機器ごとに記憶した消費電力記憶部を備え、
前記削減量算出部は、前記累積時間に前記平均消費電力を乗算することで前記機器別削減電力量を演算するものであってもよい。
【0021】
こうすることで、前記機器別削減電力量を正確に計算することができる。
【0022】
また、この工作機械において、
複数の前記電動機器のうち前記信号判定部が前記電力削減状態と判定している該電動機器の前記平均消費電力を合算することで得られる電力を瞬間削減電力として表示させる瞬間削減電力表示指令部を備えていてもよい。
【0023】
この工作機械のオペレータが前記瞬間削減電力を認識することができる。
【0024】
さらに、この工作機械において、
前記削減量算出部が演算した前記機器別削減電力量を前記電動機器ごとに表示させる機器別削減電力量表示指令部を備えていてもよい。
【0025】
この工作機械のオペレータが前記電動機器ごとの前記機器別削減電力量を認識することができる。
【0026】
加えて、この工作機械において、
前記削減量算出部が算出した前記削減電力量と経過時間とを軸としたグラフで表示させるグラフ表示指令部を備えていてもよい。
【0027】
この工作機械のオペレータが前記経過時間と前記削減電力量の関係を認識することができる。
【0028】
ここで、前記グラフ表示指令部は、任意のタイミングからの経過時間と該経過時間における前記削減電力量とを示す時系列グラフを表示させるものであってもよい。
【0029】
上記課題を解決する本発明の工作機械の削減電力量算出方法は、
通電中に電力を消費する複数の電動機器を備えた工作機械の削減電力量算出方法において、
通電信号が通電を要求する通電要求状態か通電を要求しない通電不要状態かを前記電動機器ごとに検出する通電信号検出工程と、
通電禁止信号が通電を禁止する禁止状態か通電を許可する許可状態かを前記電動機器ごとに検出する禁止信号検出工程と、
前記通電信号検出工程および前記禁止信号検出工程において、前記電動機器に対する前記通電信号が前記通電要求状態で且つ前記通電禁止信号が前記禁止状態である電力削減状態であるか否かを該電動機器ごとに判定する信号判定工程と、
前記電力削減状態の累積時間を求め、該累積時間に基づいて前記電動機器ごとに機器別削減電力量を演算して該機器別削減電力量を合算することで削減電力量を算出する削減量算出工程とを有していることを特徴とする。
【0030】
この工作機械の削減電力量算出方法によれば、前記削減電力量を正確に算出できる。また、前記削減電力量を算出するために前記電動機器への通電を禁止しない状態でこの工作機械を動作させる必要がないので容易に該削減電力量を算出できる。また、既存の加工プログラムの一部を変えてこの工作機械を動作させた場合または新しい加工プログラムによりこの工作機械を動作させた場合でも簡単に前記削減電力量を算出できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、削減電力量を正確かつ容易に算出できる工作機械および工作機械の削
減電力量算出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態にかかる工作機械のハードウェア構成を示す図である。
図2図1に示したNC装置の主要な機能構成を示す図である。
図3図2に示したPLCの動作のうち本実施形態に関連するクーラントポンプの通電動作を示したラダー図である。
図4図2に示したPLCの動作のうち本実施形態に関連するスピンドルモータの通電動作を示したラダー図である。
図5図2に示したPLCの動作のうち本実施形態に関連する回転工具モータの通電動作を示したラダー図である。
図6図2に示した信号判定部の動作を示すフローチャートである。
図7図2に示した削減量算出部の動作を示すフローチャートである。
図8図2に示した表示指令部からの指示によって表示部に表示される削減電力量などの表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、本発明をNC旋盤に適用した例を用いて説明する。
【0034】
図1は、本実施形態にかかるNC旋盤1のハードウェア構成を示す図である。
【0035】
図1に示すように、本実施形態のNC旋盤1は、NC装置2と、操作パネル3と、駆動制御装置4と、スピンドル5と、回転工具6と、クーラントポンプ7とを備えている。NC装置2は、CPU21と、メモリ22と、タイマ23とを備えている。メモリ22には、不揮発性メモリと揮発性メモリが含まれている。CPU21は、不揮発性メモリに格納されたプログラムおよびデータ並びに算出過程のデータなどを揮発性メモリに一時的に記憶させて揮発性メモリを作業用の領域として使用して処理を実行する。
【0036】
メモリ22には、制御プログラムPR1と、マクロプログラムPR2と、加工プログラムPR3と、平均消費電力データADとが格納されている。制御プログラムPR1は、サーボモータに対するNC制御や各種電動機器に対するPLCによる制御を実行するための基本となるプログラムである。また、制御プログラムPR1には、表示部32に画像を表示する機能や削減電力量を算出する機能を発揮させるプログラムも含まれている。これらの機能については後に詳述する。
【0037】
マクロプログラムPR2は、NC旋盤1の製造メーカによってあらかじめ所定の動作が記述されたプログラムである。メモリ22には、複数のマクロプログラムPR2が格納されている。また、NC旋盤1のオペレータがマクロプログラムPR2を作成してメモリ22に格納することもできる。
【0038】
加工プログラムPR3は、NCプログラムとも称されるプログラムであり、主にNC旋盤1のオペレータが作成する。加工プログラムPR3は、主軸台や刃物台等の移動指令を表すGコード、使用する工具の呼出指令を表すTコード、補助機能指令を表すMコードなどのコード体系を持つプログラムである。NC装置2が加工プログラムPR3に従って刃物台や主軸の動作を制御することで、被加工対象物であるワークが所望の形状に加工され、加工された加工済みワークが切り離される。切り離された加工済みワークがNC旋盤1で製造された製品になる。製造された製品は、製品排出動作によって所定の位置に排出される。この加工、切り離し及び排出を1サイクルとして複数回のサイクルを実行することでサイクル数と同数の製品が製造される。NC装置2は、加工プログラムPR3を1行ずつ読み込んでその指令を解釈し、指令の実行に必要なデータを参照しながら、加工プログラムPR3に記述された指令を順次実行していく。読み込んだブロックにマクロプログラムPR2の実行が指定されている場合は、CPU21は、その指定されたマクロプログラムPR2を実行する。
【0039】
平均消費電力データADは、クーラントポンプ7、スピンドルモータ42及び回転工具モータ44それぞれの通電時における単位時間当たりの平均消費電力のデータである。これらのスピンドルモータ42、回転工具モータ44及びクーラントポンプ7が、電動機器の一例に相当する。なお、NC旋盤1には、正面主軸台、正面用刃物台、背面主軸台および背面用刃物台を移動させる各サーボモータ、並びに冷却ファン、製品コンベア、ドアロックスイッチ、主軸冷却装置、照明機器など他にも多くの電動機器が備えられているが、図1では簡略化のため図示省略している。以下、スピンドルモータ42、回転工具モータ44及びクーラントポンプ7を対象電動機器と称し、それら以外の電動機器を他の電動機器と称する。クーラントポンプ7については、クーラントの吐出動作をしている際に消費する電力である消費電力が平均消費電力データADとしてメモリ22に格納されている。一方、スピンドルモータ42及び回転工具モータ44については、モータ出力軸が回転していない状態を保持する励磁の際に消費する電力である消費電力が平均消費電力データADとしてメモリ22に格納されている。平均消費電力データADにおける平均消費電力の値は、クーラントポンプ7については、ポンプのカタログ値をメモリ22に格納している。ただし、クーラントポンプ7を動作させて各消費電力を電力計を用いて計測し、その計測値をクーラントポンプ7の平均消費電力データADとしてもよい。スピンドルモータ42及び回転工具モータ44については無回転で励磁した状態における各消費電力を電力計(図示せず)を用いて計測し、その計測値を平均消費電力データADとして工場出荷前にメモリ22に格納している。ただし、スピンドルモータ42及び回転工具モータ44についても無回転で励磁した状態における各消費電力がモータのカタログ値として存在していればそのカタログ値を平均消費電力データADとしてもよい。なお、メモリ22に格納された平均消費電力データADは、工場出荷の前後に関わらず適宜変更可能である。
【0040】
タイマ23は、時間の経過を測定するために使用するものである。例えば、NC旋盤1の電源が投入されてからの経過時間を測定したり、後述する信号判定部13(図2参照)や削減量算出部14(図2参照)を所定時間ごとに動作させるためにタイマ23を使用する。
【0041】
操作パネル3は、操作部31と表示部32とを備えている。操作部31は、NC旋盤1のオペレータによる入力操作を受け付ける複数のボタンやキー等からなる。なお、操作部31は、表示部32と一体化されたタッチパネルであってもよい。オペレータは、操作部31や外部コンピューターを用いて作成した加工プログラムPR3をメモリ22に格納することができる。また、オペレータは、操作部31を用いて加工プログラムPR3の修正を行い、修正した加工プログラムPR3をメモリ22に格納することもできる。さらに、オペレータは、操作部31を用いて後述するECOモードと通常モードとの切り替えや電力削減対象にする対象電動機器の選択ができる。
【0042】
表示部32は、マクロプログラムPR2、加工プログラムPR3、各種設定値、エラー内容および後述する表示指令部15(図2参照)によって指令された削減電力量など、NC旋盤1に関する各種情報を表示するディスプレイである。
【0043】
駆動制御装置4は、スピンドルアンプ41と、スピンドルモータ42と、回転工具アンプ43と、回転工具モータ44とを備えている。これらスピンドルモータ42と回転工具モータ44とが、モータの一例に相当する。なお、ここでは簡略化のため図示省略しているが、駆動制御装置4には、正面主軸台、正面用刃物台、背面主軸台および背面用刃物台を移動させる各サーボモータとサーボアンプが移動軸ごとに設けられている。本実施形態におけるスピンドルアンプ41およびスピンドルモータ42は、背面主軸(スピンドル5)を回転させるためのアンプおよびモータである。なお、駆動制御装置4には、正面主軸を回転させるためのアンプおよびモータも設けられているが、ここでは省略する。さらに、回転工具アンプ43および回転工具モータ44は、回転工具6を取り付け可能な刃物台ごとに設けられている。
【0044】
スピンドル5は、スピンドルモータ42によって回転する部分である。スピンドル5は、背面主軸台に設けられている。このスピンドル5が、主軸の一例に相当する。なお、正面主軸台には正面スピンドルが設けられているが、ここでは省略する。回転工具6は、回転工具モータ44によって回転する工具であり、ワークを加工する加工室内に配置されている。多くのNC旋盤1では、1つの刃物台に複数の回転工具6が取り付け可能に構成されている。そして、1つの刃物台に取り付けられた複数の回転工具6は、1つの回転工具モータ44によって回転する。クーラントポンプ7は、クーラント液を循環させるために用いるポンプである。このクーラントポンプ7は、通電されることで加工室内にクーラント液を吐出する。
【0045】
図2は、図1に示したNC装置2の主要な機能構成を示す図である。
【0046】
図2に示すように、NC装置2は、PLC11と、信号判定部13と、削減量算出部14と、表示指令部15と、グラフ作成部16とを機能構成として有している。これらは主に図1に示したCPU21と制御プログラムPR1によって達成される機能構成である。PLC11は、通電信号切替部111と禁止信号切替部112を有している。通電信号切替部111は、NC旋盤1(図1参照)が備えている対象電動機器ごとに設定された通電信号を、対象電動機器それぞれに対して通電を要求する通電要求状態と通電を要求しない通電不要状態とに切り替えるものである。なお、PLC11は、NC旋盤1に設けられた他の電動機器への通電や動作を切り替える信号も制御しているが、図2には本実施形態に関連するもののみが示されている。通常モードである場合には、通電信号切替部111が切り替えた通電信号のみによって対象電動機器への通電と通電停止とが制御される。すなわち、通電要求状態の場合には対象電動機器へ通電され、通電不要状態の場合には対象電動機器への通電が停止される。本実施形態のPLC11は、信号電圧をHレベルとLレベルとに切り換えることで通電要求状態と通電不要状態とを切り替えている。ただし、他の方法で通電要求状態と通電不要状態とを切り替えてもよい。この実施形態の通電信号切替部111は、クーラント通電信号切替部111aと、スピンドル通電信号切替部111bと、回転工具通電信号切替部111cとを含んでいる。
【0047】
クーラント通電信号切替部111aは、クーラントポンプ7(図1参照)に対する通電要求状態であるクーラント通電要求状態と、クーラントポンプ7に対する通電不要状態であるクーラント通電不要状態とにクーラントポンプ7に対する通電信号を切り替えるものである。スピンドル通電信号切替部111bは、スピンドルモータ42(図1参照)に対する通電要求状態であるスピンドル通電要求状態と、スピンドルモータ42に対する通電不要状態であるスピンドル通電不要状態とにスピンドルモータ42に対する通電信号を切り替えるものである。回転工具通電信号切替部111cは、回転工具モータ44(図1参照)に対する通電要求状態である回転工具通電要求状態と、回転工具モータ44に対する通電不要状態である回転工具通電不要状態とに回転工具モータ44に対する通電信号を切り替えるものである。クーラント通電信号切替部111a、スピンドル通電信号切替部111bおよび回転工具通電信号切替部111cによって切り替えられた通電信号それぞれは、信号判定部13が8msec等の所定時間間隔ごと又は常時監視している。なお、信号判定部13が通電信号の状態を直接監視することに代えて、通電信号の状態情報をメモリ22の所定領域に記憶させ、信号判定部13がその所定領域に記憶された通信信号の状態情報を取得するように構成してもよい。すなわち、信号判定部13は、通電信号の状態を間接的に監視してもよい。
【0048】
禁止信号切替部112は、NC旋盤1(図1参照)が備えている対象電動機器ごとに設定された通電禁止信号を、対象電動機器それぞれに対して通電を禁止する禁止状態と通電を許可する許可状態とに切り替えるものである。本実施形態のPLC11は、信号電圧をHレベルとLレベルとに切り換えることで禁止状態と許可状態とを切り替えている。ただし、他の方法で禁止状態と許可状態とを切り替えてもよい。この実施形態の禁止信号切替部112は、クーラント禁止信号切替部112aとスピンドル禁止信号切替部112bと回転工具禁止信号切替部112cとを含んでいる。
【0049】
クーラント禁止信号切替部112aは、クーラントポンプ7(図1参照)に対する禁止状態であるクーラント禁止状態と、クーラントポンプ7に対する許可状態であるクーラント許可状態とにクーラントポンプ7に対する通電禁止信号を切り替えるものである。スピンドル禁止信号切替部112bは、スピンドルモータ42(図1参照)に対する禁止状態であるスピンドル禁止状態と、スピンドルモータ42に対する許可状態であるスピンドル許可状態とにスピンドルモータ42に対する通電禁止信号を切り替えるものである。回転工具禁止信号切替部112cは、回転工具モータ44(図1参照)に対する禁止状態である回転工具禁止状態と、回転工具モータ44に対する許可状態である回転工具許可状態とに回転工具モータ44に対する通電禁止信号を切り替えるものである。クーラント禁止信号切替部112a、スピンドル禁止信号切替部112bおよび回転工具禁止信号切替部112cによって切り替えられた通電禁止信号それぞれは、信号判定部13が8msec等の所定時間間隔ごと又は常時監視している。なお、信号判定部13が通電信号の状態を直接監視することに代えて、通電禁止信号の状態情報をメモリ22の所定領域に記憶させ、信号判定部13がその所定領域に記憶された通信禁止信号の状態情報を取得するように構成してもよい。すなわち、信号判定部13は、通電禁止信号の状態を間接的に監視してもよい。
【0050】
信号判定部13は、通電信号切替部111と禁止信号切替部112によって切り替えられた信号を受信し、対象電動機器に対する通電信号が通電要求状態で且つ通電禁止信号が禁止状態であるか否かを対象電動機器ごとに判定するものである。以下、通電信号が通電要求状態で且つ通電禁止信号が禁止状態である状態を電力削減状態と称することがある。信号判定部13は、NC旋盤1(図1参照)の電源が投入されてからの経過時間の情報をタイマ23から常時取得している。信号判定部13は、NC旋盤1の電源が投入されてから例えば8msec毎に対象電動機器が電力削減状態であるか否かを判定する。この判定のタイミングは、8msec以外でもよく、先の判定が完了したら即時次の判定作業を開始することで常時監視してもよい。そして、信号判定部13は、電力削減状態である場合には、判定をするごとに電力削減状態である旨の情報をメモリ22に設けられた削減時間記憶部221に記憶させていく。ここで、信号判定部13は、前回の判定結果と今回の判定結果とを比較し、変化があった場合にのみ変化後の状態情報を削減時間記憶部221に記憶させていってもよい。こうすることで、メモリ22における判定結果を保存するための占有領域を少なくすることができる。また、信号判定部13は、例えば1min毎など判定の時間間隔と異なる時間間隔で判定結果を削減時間記憶部221に記憶させていってもよい。なお、この時間間隔は、表示指令部15が表示部32の表示を更新する時間間隔と一致させておくことも好ましい。こうすることでも、メモリ22における判定結果を保存するための占有領域を少なくすることができる。この削減時間記憶部221に記憶させる情報には、NC旋盤1の電源が投入されてからの経過時間の情報が付加されている。なお、信号判定部13は、電力削減状態でない場合にも、電力削減状態でない旨の情報を経過時間の情報とともにメモリ22に設けられた削減時間記憶部221に記憶させていってもよい。また、信号判定部13は、電力削減状態と判定した場合にはその判定ごとに電力削減状態である旨の情報を削減量算出部14に送信する。
【0051】
削減量算出部14は、信号判定部13と同じ8msec毎に以下の処理を実行する。まず、削減量算出部14は、削減時間記憶部221に記憶された電力削減状態の時間を対象電動機器ごとに累積して対象電動機器ごとに電力削減状態であった時間の累積時間を求める。そして、その累積時間に対象電動機器ごとの平均消費電力を乗算することで機器別削減電力量を演算する。ここで対象電動機器ごとの平均消費電力は、平均消費電力データAD(図1参照)を参照することで取得した値を用いる。次いで、削減量算出部14は、全ての対象電動機器に対して演算した機器別削減電力量を合算することで削減電力量を算出する。さらに、削減量算出部14は、信号判定部13から過去8msecの間に受信した電力削減状態の対象電動機器の平均消費電力を合算することでその時点において削減している電力である瞬間削減電力を算出する。その後、削減量算出部14は、得られた機器別削減電力量、削減電力量、瞬間削減電力を削減電力量記憶部223に記憶させる。なお、削減量算出部14は、図2に破線の矢印に示すように、機器別削減電力量、削減電力量、瞬間削減電力、時系列グラフのうち表示指令部15から要求されたもののみを演算、算出または作成して削減電力量記憶部223に記憶させてもよい。
【0052】
グラフ作成部16は、グラフ表示指令部153から要求があった場合に、削減電力量記憶部223に記憶されているデータを使用してNC旋盤1の電源が投入されてからの経過時間に対する削減電力量の推移を表す時系列グラフをその経過時間と削減電力量を軸として作成する。そして、グラフ作成部16は、作成した時系列グラフを削減電力量記憶部223に記憶させる。なお、グラフ作成部16は、作成した時系列グラフをグラフ表示指令部153に送信してもよい。
【0053】
表示指令部15は、NC旋盤1のオペレータによる操作部31の入力操作によって要求された情報を表示部32に表示させるものである。表示指令部15は、機器別削減電力量表示指令部151と、削減電力量表示指令部152と、グラフ表示指令部153と、瞬間削減電力表示指令部154とを有している。機器別削減電力量表示指令部151は、削減量算出部14が削減電力量記憶部223に記憶させた機器別削減電力量を呼び出して表示部32に対象電動機器別に表示させるものである。削減電力量表示指令部152は、削減量算出部14が削減電力量記憶部223に記憶させた削減電力量を呼び出して表示部32に表示させるものである。グラフ表示指令部153は、グラフ作成部16が削減電力量記憶部223に記憶させた時系列グラフを呼び出して表示部32に表示させるものである。ここで、グラフ表示指令部153は、削減量算出部14が作成した時系列グラフのうち、オペレータが指定した期間の経過時間とその経過時間における削減電力量を切り出して表示部32に表示させる機能も有する。瞬間削減電力表示指令部154は、削減量算出部14が削減電力量記憶部223に記憶させた瞬間削減電力を呼び出して表示部32に表示させるものである。
【0054】
メモリ22は、削減時間記憶部221と、消費電力記憶部222と、削減電力量記憶部223とを有している。上述したように、削減時間記憶部221には、NC旋盤1(図1参照)の電源が投入されてから対象電動機器が電力削減状態であったか否かの8msec毎の情報がNC旋盤1の電源が投入されてからの経過時間の情報と関連づけて対象電動機器ごとに記憶されている。消費電力記憶部222には、対象電動機器ごとの平均消費電力データADが記憶されている。削減電力量記憶部223には、削減量算出部14によって演算または算出された機器別削減電力量、削減電力量および瞬間削減電力並びにグラフ作成部16によって作成された時系列グラフの情報が記憶されている。
【0055】
図3は、図2に示したPLC11の動作のうち本実施形態に関連するクーラントポンプ7の通電動作を示したラダー図である。
【0056】
図3のラダー図に示す接点R20.1、接点R30.1、接点R30.2、接点R30.3および接点α0はいわゆるA接点であり、接点β0はいわゆるB接点である。そして、接点R20.1がONである場合に信号α0はON(Hレベル)になり、接点R20.1がOFFである場合に信号α0はOFF(Lレベル)になる。この信号α0が、クーラントポンプ7に対する通電信号の一例に相当する。また、この信号α0のON/OFFを切り替える接点R20.1がクーラント通電信号切替部111aに相当する。そして、信号α0のONがクーラント通電要求状態であり、信号α0のOFFがクーラント通電不要状態である。接点R20.1は、加工プログラムPR3(図1参照)に記述された指令を順次実行した際に、その指令がクーラントポンプ7を駆動する指令である場合にONになり、クーラントポンプ7の駆動を停止する指令である場合にOFFになる接点である。
【0057】
また、接点R30.1と接点R30.2と接点R30.3の全てがONである場合に信号β0はONになり、接点R30.1と接点R30.2と接点R30.3の何れか1つでもOFFである場合に信号β0はOFFになる。この信号β0が、クーラントポンプ7に対する通電禁止信号の一例に相当する。また、この信号β0のON/OFFを切り替える接点R30.1、接点R30.2及び接点R30.3がクーラント禁止信号切替部112aに相当する。そして、信号β0のONがクーラント禁止状態であり、信号β0のOFFがクーラント許可状態である。接点R30.1は、ECOモードが選択されている場合にONになり、通常モードが選択されている場合にOFFになる接点である。接点R30.2は、電力削減対象にクーラントポンプ7が含まれている場合にONになり、クーラントポンプ7が含まれていない場合にOFFになる接点である。この電力削減対象にクーラントポンプ7を含むか否かは、NC旋盤1(図1参照)のオペレータが操作部31(図1参照)を用いて任意に変更できる。接点R30.3は、加工プログラムPR3(図1参照)に記述された指令を順次実行した際に、その指令が製品排出動作を行うマクロプログラムPR2の実行を指定する指令である場合にONになり、製品排出動作を行うマクロプログラムPR2の実行が終了した場合にOFFになる接点である。この製品排出動作の開始から終了までの動作中が所定期間の一例に相当し、その所定期間か否かが禁止信号切替部112が通電を禁止する禁止状態に切り替えるか否かを決定する所定条件の一例に相当する。また、製品排出動作を行うマクロプログラムPR2またはそのマクロプログラムPR2を呼び出す指令には、クーラントポンプ7が関連付けられている。なお、製品排出動作をマクロプログラムPR2で行わない場合、PLC11は例えば以下の様にして製品排出動作の開始と終了を判定する。背面主軸は、閉じることでワークを把持する開閉可能なチャックを有している。PLC11は、背面主軸が製品排出のための第1位置に移動する指令を実行したとき又は加工済みワークを把持していたチャックが開く指令を実行したときに製品排出動作の開始と判定して接点R30.3をONにする。また、PLC11は、背面主軸が製品を把持するための第2位置に移動してワークを把持するチャックが閉じる指令を実行したときに製品排出動作の終了と判定して接点R30.3をOFFにする。
【0058】
そして、上述したように接点α0は、A接点であるので信号α0がON(Hレベル)である場合にONになり、信号α0がOFF(Lレベル)である場合にOFFになる接点である。接点β0は、B接点であるので信号β0がOFF(Lレベル)である場合にONになり、信号β0がON(Hレベル)である場合にOFFになる接点である。PLC11は、信号α0がONであるクーラント通電要求状態である場合に接点α0をONにする。一方、PLC11は、信号α0がOFFであるクーラント通電不要状態である場合に接点α0をOFFにする。PLC11がこの信号α0を検出する工程が、通電信号検出工程の一例に相当する。また、PLC11は、信号β0がOFFであるクーラント許可状態である場合に接点β0をONにする。一方、PLC11は、信号β0がONであるクーラント禁止状態である場合に接点β0をOFFにする。PLC11がこの信号β0を検出する工程が、禁止信号検出工程の一例に相当する。接点α0がONで且つ接点β0がONである場合に信号ε0がONになりクーラントポンプ7に通電されてクーラントポンプ7は駆動する。一方、接点α0がOFFであるか、接点β0がOFFである場合には、信号ε0がOFFになりクーラントポンプ7に通電されずにクーラントポンプ7は停止する。上述したように、信号α0がクーラント通電要求状態で且つ信号β0がクーラント禁止状態である状態がクーラントポンプ7の電力削減状態になる。
【0059】
図4は、図2に示したPLC11の動作のうち本実施形態に関連するスピンドルモータ42の通電動作を示したラダー図である。
【0060】
図4のラダー図に示す接点R21.1、接点R31.1、接点R31.2、接点R31.3、接点ε1、接点R41.1、接点γ1および接点α1はいわゆるA接点であり、接点Δ1および接点β1はいわゆるB接点である。そして、接点R21.1がONである場合に信号α1はONになり、接点R21.1がOFFである場合に信号α1はOFFになる。この信号α1が、スピンドルモータ42に対する通電信号の一例に相当する。また、この信号α1のON/OFFを切り替える接点R21.1がスピンドル通電信号切替部111bに相当する。そして、信号α1のONがスピンドル通電要求状態であり、信号α1のOFFがスピンドル通電不要状態である。接点R21.1は、加工プログラムPR3(図1参照)に記述された指令を順次実行した際に、その指令がスピンドルモータ42を励磁する指令である場合にONになり、スピンドルモータ42の励磁を停止する指令である場合にOFFになる接点である。
【0061】
また、接点R31.1と接点R31.2と接点R31.3と接点Δ1の全てがONである場合に信号β1はONになり、接点R31.1と接点R31.2と接点R31.3と接点Δ1の何れか1つでもOFFである場合に信号β1はOFFになる。この信号β1が、スピンドルモータ42に対する通電禁止信号の一例に相当する。また、この信号β1のON/OFFを切り替える接点R31.1、接点R31.2、接点R31.3及び接点Δ1がスピンドル禁止信号切替部112bに相当する。そして、信号β1のONがスピンドル禁止状態であり、信号β1αのOFFがスピンドル許可状態である。接点R31.1は、ECOモードが選択されている場合にONになり、通常モードが選択されている場合にOFFになる接点である。接点R31.2は、電力削減対象にスピンドルモータ42が含まれている場合にONになり、スピンドルモータ42が含まれていない場合にOFFになる接点である。この電力削減対象にスピンドルモータ42を含むか否かは、NC旋盤1(図1参照)のオペレータが操作部31(図1参照)を用いて任意に変更できる。接点R31.3は、接点R30.3と同様に加工プログラムPR3(図1参照)に記述された指令を順次実行した際に、その指令が製品排出動作を行うマクロプログラムPR2の実行を指定する指令である場合にONになり、製品排出動作を行うマクロプログラムPR2の実行が終了した場合にOFFになる接点である。すなわち、製品排出動作を行うマクロプログラムPR2またはそのマクロプログラムPR2を呼び出す指令には、スピンドルモータ42が関連付けられている。なお上述したように、ここでいうスピンドルモータ42は、背面主軸台に搭載された背面主軸(図1におけるスピンドル5)を回転させるためのモータである。製品排出動作をマクロプログラムPR2で行わない場合は接点R30.3で説明した内容と同様の判定方法を用いてPLC11は製品排出動作の開始と終了を判定する。
【0062】
そして、PLC11は、信号α1がONであるスピンドル通電要求状態である場合に接点α1をONにする。一方、PLC11は、信号α1がOFFであるスピンドル通電不要状態である場合に接点α1をOFFにする。PLC11がこの信号α1を検出する工程が、通電信号検出工程の一例に相当する。また、PLC11は、信号β1がOFFであるスピンドル許可状態である場合に接点β1をONにする。一方、PLC11は、信号β1がONであるスピンドル禁止状態である場合に接点β1をOFFにする。PLC11がこの信号β1を検出する工程が、禁止信号検出工程の一例に相当する。接点α1がONで且つ接点β1がONである場合に信号ε1がONになりスピンドルモータ42に通電されてスピンドルモータ42は励磁される。スピンドルモータ42は、励磁されているときは回転していない状態で且つ回転方向の外力が加わっても出力軸が回転しない状態(後述の信号Δ1がOFF)であるか、出力軸が回転している状態(後述の信号Δ1がON)である。一方、接点α1がOFFであるか、接点β1がOFFである場合には、信号ε1がOFFになりスピンドルモータ42に通電されずにスピンドルモータ42は励磁されない。スピンドルモータ42は、励磁されてないときは回転していない状態で且つ回転方向の外力が加わると出力軸が回転する状態である。上述したように、信号α1がスピンドル通電要求状態で且つ信号β1がスピンドル禁止状態である状態がスピンドルモータ42の電力削減状態になる。
【0063】
上述の接点Δ1は、信号Δ1がONである場合にOffになり、信号Δ1がOFFである場合にONになる接点である。この信号Δ1がONであるとスピンドルモータ42の出力軸が回転し、信号Δ1がOFFであるとスピンドルモータ42の出力軸は停止する。すなわち、信号Δ1はスピンドルモータ42の回転信号に相当する。信号Δ1は、接点γ1がONである場合にONになり、接点γ1がOFFである場合にOFFになる信号である。さらに、接点γ1は、信号γ1がONである場合にONになり、信号γ1がOFFである場合にOFFになる接点である。そして、信号γ1は、接点ε1がONで且つ接点R41.1がONであるときにONになり、接点ε1と接点R41.1の何れか一方がOFFであるときにOFFになる信号である。接点ε1は、信号ε1がONであるときにONになり、信号ε1がOFFであるときにはOFFになる。接点R41.1は、加工プログラムPR3(図1参照)に記述された指令を順次実行した際に、その指令がスピンドルモータ42を回転する指令である場合にONになり、スピンドルモータ42の回転を停止する指令である場合にOFFになる接点である。
【0064】
図5は、図2に示したPLC11の動作のうち本実施形態に関連する回転工具モータ44の通電動作を示したラダー図である。
【0065】
図5のラダー図に示す接点R22.1、接点R32.1、接点R32.2、接点R32.3、接点ε2、接点R42.1、接点γ2および接点α2はいわゆるA接点であり、接点Δ2および接点β2はいわゆるB接点である。そして、接点R22.1がONである場合に信号α2はONになり、接点R22.1がOFFである場合に信号α2はOFFになる。この信号α2が、回転工具モータ44に対する通電信号の一例に相当する。また、この信号α2のON/OFFを切り替える接点R22.1が回転工具通電信号切替部111cに相当する。そして、信号α2のONが回転工具通電要求状態であり、信号α2のOFFが回転工具通電不要状態である。接点R22.1は、加工プログラムPR3(図1参照)に記述された指令を順次実行した際に、その指令が回転工具モータ44を励磁する指令である場合にONになり、回転工具モータ44の励磁を停止する指令である場合にOFFになる接点である。
【0066】
また、接点R32.1と接点R32.2と接点R32.3と接点Δ2の全てがONである場合に信号β2はONになり、接点R32.1と接点R32.2と接点R32.3と接点Δ2の何れか1つでもOFFである場合に信号β2はOFFになる。この信号β2が、回転工具モータ44に対する通電禁止信号の一例に相当する。また、この信号β2のON/OFFを切り替える接点R32.1、接点R32.2、接点R32.3及び接点Δ2が回転工具禁止信号切替部112cに相当する。そして、信号β2のONが回転工具禁止状態であり、信号β2αのOFFが回転工具許可状態である。接点R32.1は、ECOモードが選択されている場合にONになり、通常モードが選択されている場合にOFFになる接点である。接点R32.2は、電力削減対象に回転工具モータ44が含まれている場合にONになり、回転工具モータ44が含まれていない場合にOFFになる接点である。この電力削減対象に回転工具モータ44を含むか否かは、NC旋盤1(図1参照)のオペレータが操作部31(図1参照)を用いて任意に変更できる。接点R32.3は、加工プログラムPR3(図1参照)に記述された指令を順次実行した際に、その指令が回転工具以外の工具の選択を行うマクロプログラムPR2の実行を指定する指令である場合にONになり、回転工具以外の工具の選択を行うマクロプログラムPR2の実行が終了した場合にOFFになる接点である。すなわち、回転工具以外の工具の選択を行うマクロプログラムPR2またはそのマクロプログラムPR2を呼び出す指令には、回転工具モータ44が関連付けられている。なお、ここでいう回転工具以外の工具の選択を行うマクロプログラムPR2の実行が終了したとは、回転工具の選択を行うマクロプログラムPR2の実行が開始されたことをいう。すなわち、回転工具以外の工具の選択を行うマクロプログラムPR2の実行によって回転工具以外の工具の選択状態が継続されている間が所定期間の一例に相当し、その所定期間か否かが禁止信号切替部112が通電を禁止する禁止状態に切り替えるか否かを決定する所定条件の一例に相当する。
【0067】
そして、PLC11は、信号α2がONである回転工具通電要求状態である場合に接点α2をONにする。一方、PLC11は、信号α2がOFFである回転工具通電不要状態である場合に接点α2をOFFにする。PLC11がこの信号α2を検出する工程が、通電信号検出工程の一例に相当する。また、PLC11は、信号β2がOFFである回転工具許可状態である場合に接点β2をONにする。一方、PLC11は、信号β2がONである回転工具禁止状態である場合に接点β2をOFFにする。PLC11がこの信号β2を検出する工程が、禁止信号検出工程の一例に相当する。接点α2がONで且つ接点β2がONである場合に信号ε2がONになり回転工具モータ44に通電されて回転工具モータ44は励磁される。回転工具モータ44は、励磁されているときは回転していない状態で且つ回転方向の外力が加わっても出力軸が回転しない状態(後述の信号Δ2がOFF)であるか出力軸が回転している状態(後述の信号Δ2がON)である。一方、接点α2がOFFであるか、接点β2がOFFである場合には、信号ε2がOFFになり回転工具モータ44に通電されずに回転工具モータ44は励磁されない。回転工具モータ44は、励磁されてないときは回転していない状態で且つ回転方向の外力が加わると出力軸が回転する状態である。上述したように、信号α2が回転工具通電要求状態で且つ信号β2が回転工具禁止状態である状態が回転工具モータ44の電力削減状態になる。
【0068】
上述の接点Δ2は、信号Δ2がONである場合にOFFになり、信号Δ2がOFFである場合にONになる接点である。この信号Δ2がONであると回転工具モータ44の出力軸が回転し、信号Δ2がOFFであると回転工具モータ44の出力軸は停止する。すなわち、信号Δ2は回転工具モータ44の回転信号に相当する。信号Δ2は、接点γ2がONである場合にONになり、接点γ2がOFFである場合にOFFになる信号である。さらに、接点γ2は、信号γ2がONである場合にONになり、信号γ2がOFFである場合にOFFになる接点である。そして、信号γ2は、接点ε2がONで且つ接点R42.1がONであるときにONになり、接点ε2と接点R42.1の何れか一方がOFFであるときにOFFになる信号である。接点ε2は、信号ε2がONであるときにONになり、信号ε2がOFFであるときにはOFFになる。接点R42.1は、加工プログラムPR3(図1参照)に記述された指令を順次実行した際に、その指令が回転工具モータ44を回転する指令である場合にONになり、回転工具モータ44の回転を停止する指令である場合にOFFになる接点である。
【0069】
図6は、図2に示した信号判定部13の動作を示すフローチャートである。この図6に示す動作は、NC旋盤1(図1参照)の電源が投入されてから例えば8msec毎に実行される。
【0070】
図6に示すように、信号判定部13は、信号α0がクーラント通電要求状態であるか否かを判定する(ステップS31)。クーラント通電要求状態である場合(ステップS31でYES)、信号判定部13は、信号β0がクーラント禁止状態であるか否かを判定する(ステップS32)。クーラント禁止状態である場合(ステップS32でYES)、信号判定部13は、クーラントポンプ7が電力削減状態である旨の情報をNC旋盤1の電源が投入されてから今回の判定を実行するまでの経過時間の情報とともに削減時間記憶部221に記憶させる(ステップS33)。なお、ステップS31とステップS32がともにYESである場合がクーラントポンプ7の電力削減状態であり、クーラントポンプ7を駆動する指令の効力は継続されているもののクーラントポンプ7が停止している状態である。これらステップS31とステップS32が、信号判定工程の一例に相当する。次いで信号判定部13は、クーラントポンプ7が電力削減状態である旨の情報を削減量算出部14に出力する(ステップS34)。信号α0がクーラント通電要求状態でない場合(ステップS31でNO)、信号β0がクーラント禁止状態でない場合(ステップS32でNO)又はステップS34の実行が完了した場合、ステップS35に進む。ここで信号判定部13は、信号α0がクーラント通電要求状態でない場合(ステップS31でNO)又は信号β0がクーラント禁止状態でない場合(ステップS32でNO)には、クーラントポンプ7が電力削減状態でない旨の情報を、NC旋盤1の電源投入時からの経過時間の情報とともに削減時間記憶部221に記憶させてもよく、削減量算出部14に出力してもよい。
【0071】
ステップS35では、信号判定部13は、信号α1がスピンドル通電要求状態であるか否かを判定する。スピンドル通電要求状態である場合(ステップS35でYES)、信号判定部13は、信号β1がスピンドル禁止状態であるか否かを判定する(ステップS36)。スピンドル禁止状態である場合(ステップS36でYES)、信号判定部13は、スピンドルモータ42が電力削減状態である旨の情報をNC旋盤1の電源が投入されてから今回の判定を実行するまでの経過時間の情報とともに削減時間記憶部221に記憶させる(ステップS37)。なお、ステップS35とステップS36がともにYESである場合がスピンドルモータ42の電力削減状態であり、スピンドルモータ42を励磁する指令の効力が継続されているもののスピンドルモータ42の励磁がされていない状態である。これらステップS35とステップS36が、信号判定工程の一例に相当する。次いで信号判定部13は、スピンドルモータ42が電力削減状態である旨の情報を削減量算出部14に出力する(ステップS38)。信号α1がスピンドル通電要求状態でない場合(ステップS35でNO)、信号β1がスピンドル禁止状態でない場合(ステップS36でNO)又はステップS38の実行が完了した場合、ステップS39に進む。ここで信号判定部13は、信号α1がスピンドル通電要求状態でない場合(ステップS35でNO)又は信号β1がスピンドル禁止状態でない場合(ステップS36でNO)には、スピンドルモータ42が電力削減状態でない旨の情報を、NC旋盤1の電源投入時からの経過時間の情報とともに削減時間記憶部221に記憶させてもよく、削減量算出部14に出力してもよい。
【0072】
ステップS39では、信号判定部13は、信号α2が回転工具通電要求状態であるか否かを判定する。回転工具通電要求状態である場合(ステップS39でYES)、信号判定部13は、信号β2が回転工具禁止状態であるか否かを判定する(ステップS40)。回転工具禁止状態である場合(ステップS40でYES)、信号判定部13は、回転工具モータ44が電力削減状態である旨の情報をNC旋盤1の電源が投入されてから今回の判定を実行するまでの経過時間の情報とともに削減時間記憶部221に記憶させる(ステップS41)。なお、ステップS39とステップS40がともにYESである場合が回転工具モータ44の電力削減状態であり、回転工具モータ44を励磁する指令の効力は継続されているものの回転工具モータ44の励磁がされていない状態である。これらステップS39とステップS40が、信号判定工程の一例に相当する。次いで信号判定部13は、回転工具モータ44が電力削減状態である旨の情報を削減量算出部14に出力する(ステップS42)。信号α2が回転工具通電要求状態でない場合(ステップS39でNO)、信号β2が回転工具禁止状態でない場合(ステップS40でNO)又はステップS38の実行が完了した場合、信号判定部13は処理を終了する。ここで信号判定部13は、信号α2が回転工具通電要求状態でない場合(ステップS39でNO)又は信号β2が回転工具禁止状態でない場合(ステップS40でNO)には、回転工具モータ44が電力削減状態でない旨の情報を、NC旋盤1の電源投入時からの経過時間の情報とともに削減時間記憶部221に記憶させてもよく、削減量算出部14に出力してもよい。
【0073】
図7は、図2に示した削減量算出部14の動作を示すフローチャートである。この図7に示す動作は、NC旋盤1(図1参照)の電源が投入されてから例えば8msec毎に実行される。ただし、図7に示す動作は、表示指令部15から要求されたときのみ実行してもよい。また、削減量算出部14は、表示指令部15から要求された情報に必要な動作のみを実行してもよい。
【0074】
図7に示すように、削減量算出部14は、クーラントポンプ7が電力削減状態であった時間のデータを削減時間記憶部221から取得し、クーラントポンプ7の平均消費電力データADを消費電力記憶部222から取得する(ステップS51)。そして、削減量算出部14は、クーラントポンプ7が電力削減状態であった時間を累積した累積時間を求め、その累積時間に平均消費電力データADから得られたクーラントポンプ7の平均消費電力を乗算してクーラントポンプ7の削減電力量を算出して削減電力量記憶部223に記憶させる(ステップS52)。
【0075】
また、削減量算出部14は、スピンドルモータ42が電力削減状態であった時間のデータを削減時間記憶部221から取得し、スピンドルモータ42の平均消費電力データADを消費電力記憶部222から取得する(ステップS53)。そして、削減量算出部14は、スピンドルモータ42が電力削減状態であった時間を累積した累積時間を求め、その累積時間に平均消費電力データADから得られたスピンドルモータ42の平均消費電力を乗算してスピンドルモータ42の削減電力量を算出して削減電力量記憶部223に記憶させる(ステップS54)。
【0076】
さらに、削減量算出部14は、回転工具モータ44が電力削減状態であった時間のデータを削減時間記憶部221から取得し、回転工具モータ44の平均消費電力データADを消費電力記憶部222から取得する(ステップS55)。そして、削減量算出部14は、回転工具モータ44が電力削減状態であった時間を累積した累積時間を求め、その累積時間に平均消費電力データADから得られた回転工具モータ44の平均消費電力を乗算して回転工具モータ44の削減電力量を算出して削減電力量記憶部223に記憶させる(ステップS56)。これらのクーラントポンプ7の削減電力量と、スピンドルモータ42の削減電力量と、回転工具モータ44の削減電力量それぞれが、機器別削減電力量の一例に相当する。
【0077】
次いで、削減量算出部14は、算出したクーラントポンプ7の削減電力量とスピンドルモータ42の削減電力量と回転工具モータ44の削減電力量を合算することで削減電力量を算出して算出時刻とともに削減電力量記憶部223に記憶させる(ステップS57)。これらステップS51~S57が、削減量算出工程の一例である。また、グラフ作成部16は、NC旋盤1の電源が投入されてからの経過時間に対する削減電力量の推移を表す時系列グラフをその経過時間と削減電力量を軸として作成して削減電力量記憶部223に記憶させる(ステップS58)。このステップS58は、グラフ表示指令部153が表示部32に時系列グラフを表示させている間はグラフ表示指令部153からの要求がグラフ作成部16に継続されて実行されるが、時系列グラフを表示していないときには省略される。加えて、削減量算出部14は、過去8msecの間に電力削減状態の対象電動機器であるとして信号判定部13から受信した対象電動機器の平均消費電力を合算することで、その時点において削減している電力である瞬間削減電力を算出する。そして、削減量算出部14は、算出した瞬間削減電力を削減電力量記憶部223に記憶させる(ステップS59)。ここで、既に削減電力量記憶部223に過去のデータがある場合には、削減量算出部14は新たなデータを過去のデータを上書きして記憶させる。なお、削減量算出部14は、削減電力量記憶部223に記憶されている過去のデータを読み出して、新たに信号判定部13から受信した情報を過去のデータに加えることで機器別削減電力量および削減電力量を算出し、或いは時系列グラフを更新して削減電力量記憶部223に記憶させてもよい。
【0078】
図8は、図2に示した表示指令部15からの指示によって表示部32に表示される削減電力量などの表示画面を示す図である。
【0079】
上述したように、表示指令部15は、NC旋盤1のオペレータによる操作部31の入力操作によって要求された情報を表示部32に表示させる。図8には、オペレータが機器別削減電力量と削減電力量と時系列グラフ(削減電力量の推移)と瞬間削減電力を表示させる入力操作を行った場合の画面例が示されている。これらは、削減量算出部14が削減電力量記憶部223に記憶させた情報を用いて、機器別削減電力量表示指令部151と削減電力量表示指令部152とグラフ表示指令部153と瞬間削減電力表示指令部154それぞれが表示部32に表示させている。これらが表示されている間は、表示されている内容は随時更新されていく。更新することで、このNC旋盤1のオペレータがリアルタイムに削減電力量やその推移を確認できる。図8には、機器別削減電力量が下段右側に配置され、時系列グラフが下段左側に配置され、削減電力量が上段の左から2つ目に配置され、瞬間削減電力が上段の右端に配置された画面例が示されている。また、図8には、NC旋盤1の電源投入時からの消費電力量が上段の左端に配置され、通常モードでは消費されたであろう電力量と削減できた削減電力量の比率である電力削減率が上段の右から2つ目に配置された画面例が示されている。この図8に示す時系列グラフには、NC旋盤1の電源投入時からの削減電力量がグラフで示されているが、オペレータの入力操作によって指定された時間のみを時系列グラフとして表示してもよい。また、削減電力量の推移に消費電力量の推移を加えて時系列グラフとして表示してもよく、消費電力量の推移の時系列グラフと削減電力量の推移の時系列グラフを切り替え可能にしてもよい。また、時系列グラフの軸として用いられる経過時間は、秒単位や時間単位など任意の単位に変更可能にしてもよい。また、時系列グラフの軸として用いられる経過時間は、基準時間からの経過時間(1min,2minなど)と実際の時間(10:00,10:01など)とを切り替え可能にしてもよい。
【0080】
以上説明したNC旋盤1では、対象電動機器ごとに電力削減状態であった時間を累積して対象電動機器ごとに電力削減状態の累積時間を求め、その累積時間に平均消費電力を乗算することで機器別削減電力量を演算している。そして、各対象電動機器における機器別削減電力量を合算することで削減電力量を算出しているので削減電力量を正確かつ容易に算出できる。また、比較対象とするデータを必要としないのでNC旋盤1を通常モードで動作させて消費電力量を確認する必要がない。これは、通電信号切替部111による通電要求信号の状態情報を信号判定部13が把握し、その状態情報を用いて削減量算出部14が算出することで、通常モードであるときの電力量とECOモードであるときの電力量との差異である削減電力量を算出できるからである。換言すれば、信号判定部13は、NC旋盤1を通常モードで仮想的に動作させたときの状態を作り出しているともいえる。そして、削減量算出部14は、その状態における電力量とECOモードにおける電力量を比較して削減電力量を算出しているともいえる。従って、NC旋盤1を最初からECOモードで動作させても削減電力量を算出できる。
【0081】
また、製品排出動作を行うマクロプログラムPR2が実行されていることを条件として信号β0と信号β1を禁止状態にすることで、クーラントポンプ7とスピンドルモータ42に対する通電を遮断して不要な電力の消費を防止している。同様に、回転工具以外の工具の選択を行うマクロプログラムPR2が実行されていることを条件として信号β2を禁止状態にすることで、回転工具モータ44に対する通電を遮断して不要な電力の消費を防止している。また、瞬間削減電力を表示することで、実質的にその瞬間における削減電力である前記瞬間削減電力をNC旋盤1のオペレータが認識することができる。また、機器別削減電力量を表示することで、対象電動機器ごとの削減電力量である機器別削減電力量をオペレータが認識することができる。さらに、時系列グラフを表示することで、経過時間と削減電力量の関係をオペレータが認識することができる。
【0082】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことができる。例えば、本実施形態では、NC旋盤1に本発明を適用する例を示したが、マシニングセンタやフライス盤等の他の工作機械に本発明を適用してもよい。また、本実施形態ではスピンドルモータ42、回転工具モータ44及びクーラントポンプ7を対象電動機器として削減電力量を算出しているが、これらの一部または全部に代えて他の電動機器を対象にして削減電力量を算出してもよく、本実施形態の対象電動機器に加えて他の電動機器を追加して削減電力量を算出してもよい。また、通電要求状態と通電不要状態の切替条件および禁止状態と許可状態の切替条件は適宜変更してもよい。さらに、本実施形態のNC旋盤1は、ECOモードと通常モードとを切り替え可能であったが、切り替え不能で常にECOモードが選択されるものであってもよい。
【0083】
以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 NC旋盤(工作機械)
13 信号判定部
14 削減量算出部
111 通電信号切替部
112 禁止信号切替部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8