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  • 特開-容器用キャップ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017440
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】容器用キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 53/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65D53/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120075
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB04
3E084CC01
3E084CC03
3E084DA01
3E084EA01
3E084EB04
3E084EC03
3E084EC10
3E084FA06
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA02
3E084HB03
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】容器本体との高い密封性を付与することができる共に、手指によって簡単に取り換え可能なパッキンを備える容器用キャップを提供すること。
【解決手段】容器本体4の口頚部41に着脱自在に装着される容器用キャップ1であって、容器本体4の口頚部41を覆う天板20と、天板20の外縁部に垂下保持され、天板20と協働してその内側に容器本体4の口頚部41の挿入空間24を区画形成する周壁21と、を備えたキャップ本体2と、天板20に設けられ、容器本体4の口頚部41の突端42に当接して容器本体4の口頚部41を密封するパッキン3と、を有し、パッキン3は、容器本体4の口頚部41の突端42に当接する環状体31と、天板20からの取り外しを可能とする摘み部32と、を有すること。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口頚部に着脱自在に装着される容器用キャップであって、
容器本体の口頚部を覆う天板と、該天板の外縁部に垂下保持され、該天板と協働してその内側に前記容器本体の口頚部の挿入空間を区画形成する周壁と、を備えたキャップ本体と、
前記天板に設けられ、前記容器本体の口頚部の突端に当接して該容器本体の口頚部を密封するパッキンと、を有し、
該パッキンは、前記容器本体の口頚部の突端に当接する環状体と、前記天板からの取り外しを可能とする摘み部と、を有することを特徴とする容器用キャップ。
【請求項2】
前記摘み部は、前記環状体の対向位置に向かって延びるとともに、少なくとも一端が該環状体に繋がるブリッジ片からなることを特徴とする請求項1に記載の容器用キャップ。
【請求項3】
前記摘み部は、前記容器本体の口頚部の挿入空間に向けて垂下保持された突起部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の容器用キャップ。
【請求項4】
前記天板は、前記容器本体の口頚部の挿入空間に向けて垂下保持されたリブを有し、
前記パッキンは、該リブに適合して、該パッキンを前記天板に着脱自在に保持する内縁部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の容器用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口頚部に着脱自在に装着される容器用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内容物を詰め替えることで再利用することのできる容器が広く利用されている。このような容器としては、例えば、特許文献1のような内容物を収容する容器本体と、該容器本体の口頚部に着脱自在に装着されるキャップと、からなる容器が知られているが、内容物を収容した状態で保存したり、かばん等に入れて持ち運んで利用されることがあるため、容器用キャップと容器本体との高い密封性が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6752535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器用キャップと容器本体との密封性は、容器用キャップの容器本体への密着性を向上させることによって確保することができ、その一例を図4(a)~図4(c)に示す。なお、図4(a)~(c)の上段は容器用キャップの底面図であり、下段は容器用キャップの断面を容器本体の口頚部に取り付けた状態で示した図である。
【0005】
図4(a)の容器用キャップ100は、天板101と、該天板101の外縁部から垂下保持された周壁104と、を有し、天板101に垂下保持されたインナーリング102を、容器本体200の口頚部201の内周面に沿って嵌め入れることにより、容器本体200を密封するように構成されている。
【0006】
図4(b)の容器用キャップ100は、天板101と、該天板101の外縁部から垂下保持された周壁104と、を有するキャップ本体105と、天板101下面に設けた弾性材料からなるシール材103(パッキンシート)と、からなり、該シール材103を容器本体200の口頚部201上端(開口部)に密着させることで、容器本体200を密封するように構成されている。
【0007】
また、図4(c)の容器用キャップ100は、天板101と、該天板101の外縁部から垂下保持された周壁104とを有するキャップ本体105と、天板101に垂下保持されたリング部107との間に挿入した環状の弾性材料からなるシール材106(パッキンリング)と、からなり、該シール材106を容器本体200の口頚部201の上端に当接させることで、容器本体200を密封するように構成されている。
【0008】
しかしながら、図4(a)に示す容器用キャップ100は、インナーリング102と周壁104との間に狭幅の隙間が形成され、当該隙間に内容物が入り込むことがあっても洗浄することが難しく、また洗浄した際の水滴が残留して不衛生になることがあった。また、容器用キャップ100の容器本体200への脱着の際に、インナーリング102が折れ曲がったり、破損等して密封性が低下することがあり、耐久性の点でも問題があった。
【0009】
図4(b)および図4(c)に示す容器用キャップ100は、シール材103、106と、キャップ本体105との間(天板101との間や、周壁104との間)に、内容物や洗浄した際の水滴が入り込みやすく不衛生である点に問題があった。シール材103、106は、キャップ本体105に接着または密着されているため、手指によって取り外し、および取り付けることが難しい点に問題があった。
【0010】
そこで本発明では、容器本体との高い密封性を付与することができる共に、手指によって簡単に取り換え可能なパッキンを備える容器用キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を実現するために開発した本発明の容器用キャップは、
容器本体の口頚部に着脱自在に装着される容器用キャップであって、
容器本体の口頚部を覆う天板と、該天板の外縁部に垂下保持され、該天板と協働してその内側に前記容器本体の口頚部の挿入空間を区画形成する周壁と、を備えたキャップ本体と、
前記天板に設けられ、前記容器本体の口頚部の突端に当接して該容器本体の口頚部を密封するパッキンと、を有し、
該パッキンは、前記容器本体の口頚部の突端に当接する環状体と、前記天板からの取り外しを可能とする摘み部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の容器用キャップは、前記摘み部が、前記環状体の対向位置に向かって延びるとともに、少なくとも一端が該環状体に繋がるブリッジ片からなることが好ましい。
【0013】
また、本発明の容器用キャップは、前記摘み部が、前記容器本体の口頚部の挿入空間に向けて垂下保持された突起部を有することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の容器用キャップは、前記天板が、前記容器本体の口頚部の挿入空間に向けて垂下保持されたリブを有し、
前記パッキンが、該リブに適合して、該パッキンを前記天板に着脱自在に保持する内縁部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の容器用キャップによれば、キャップ本体の天板にパッキンを設け、該パッキンが容器本体の口頚部の突端に当接する環状体と、摘み部とを有することで、該環状体と容器本体の口頚部の突端との密着によって、容器本体を密封することができると共に、前記摘み部を手指で引っ張ることで、前記パッキンを、キャップ本体から簡単に取り外すことができる。
そのため、本発明によれば、キャップ本体からパッキンを取り外し、該キャップ本体を洗浄することができるため、パッキンとキャップ本体(天板および周壁)との間に内容物や洗浄水等が残留することがなく衛生的である。
【0016】
また、本発明の容器用キャップによれば、前記摘み部が、前記環状体の対向位置に向かって延びるとともに、少なくとも一端が該環状体に繋がるブリッジ片からなることで、該摘み部を手指でしっかりと把持しながらパッキンを引っ張って、該パッキンをキャップ本体から簡単に取り外すことができるとともに、該パッキンをキャップ本体の天板に向かって押し込んで取り付けることができるため、パッキンの取り外しおよび取り付けが容易になり、パッキンを簡単に取り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明にしたがう容器用キャップの一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は(b)のA-A位置における断面を、容器本体に装着した状態で示した図である。
図2】本発明にしたがう容器用キャップを構成するパッキンの、他の実施形態を示す図である。
図3】本発明にしたがう容器用キャップの他の実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は(b)のB-B位置における断面を、容器本体に装着した状態で示した図である。
図4】従来の容器用キャップの構造を示す図(上段:底面図、下段:容器用キャップの断面を容器本体に取り付けた状態を示した図)であり、(a)は天板にインナーリングを設けた例、(b)は天板の下面全面にシート材を設けた例、(c)は天板下面に環状のシート材を設けた例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にしたがう容器用キャップの一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は図1(b)のA-A位置における断面を容器本体に装着した状態で示した図である。
図1における符号1は、容器用キャップである。容器用キャップ1は、キャップ本体2と、パッキン3により構成されている。符号4は、本発明にかかる容器用キャップ1を着脱自在に装着する容器本体であり、本実施形態では、容器本体4の口頚部41が円筒形状からなる場合を一例として説明する。
【0019】
キャップ本体2は、円盤状の天板20と、天板20の外縁部に垂下保持された円筒形状の周壁21と、を備え、天板20と周壁21によって、その内側に容器本体4の口頚部41の挿入空間24が区画形成されている。
なお、本実施形態では、キャップ本体2が円筒形からなるが、これに限定されるものではなく、楕円形や角形、多角形など各種のものを用いることができる。また、キャップ本体2は、合成樹脂で構成することができるが、その全部もしくは一部分を金属製部材で構成してもよい。
【0020】
天板20は、容器本体4の口頚部41の挿入空間24に向けて垂下保持され、相互に対向する一対の弧状のリブ22を有する。リブ22は、後述するパッキン3の環状体31の内縁部と、該パッキン3の弾性力によって密着し、該パッキン3を天板20の下面に接着することなく着脱可能に保持するためのものである。
本実施形態では、リブ22の一例として、図1に示すパッキン3の、環状体31の内縁部形状(一対の円弧状)に合わせて、一対の弧状からなるものを示したが、これに限定されるものではなく、該リブ22は、複数のリブ片によって構成したり、パッキン3(環状体31)の内縁部形状に合わせて角形にするなど適宜変更される。なお、パッキン3の弾性力によって環状体31の外縁部と周壁21とを密着させ、当該パッキン3を保持してもよい。この場合は、環状体31の内縁部が密着するリブ22を設けても、当該リブ22を設けなくともよい。
【0021】
キャップ本体2の周壁21は、内周面に雌ねじ部23を有し、該雌ねじ部23を、図1(c)に示すように容器本体4の口頚部41の外周面に設けられた雄ねじ部43に螺合することで、容器用キャップ1を、容器本体4に着脱自在に装着することができる。
なお、本実施形態では、容器用キャップ1を、容器本体4に螺着させる場合を一例として示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、容器用キャップ1をアンダーカット嵌合によって容器本体4に取り付けるようにしてもよい。
【0022】
パッキン3は、ゴム材料や樹脂材料などの弾性を有する材料からなり、キャップ本体2の天板20の下面にリブ22を介して着脱自在に保持される。パッキン3は、天板20の外縁部に沿うように形成された環状体31と、環状体31の一部分から、その対向位置にある環状体31に向かって延びる摘み部32と、を有している。なお、環状体31と摘み部32は、端面(容器本体4の口頚部41の挿入空間24側の端面)が同一平面上に位置している。この場合、1枚のシート状物を切り抜く(打ち抜く)という簡便な方法でパッキンを製造することができる。
【0023】
環状体31は、容器本体4の口頚部41の突端42に当接するように形成し、本実施形態では、容器本体4の口頚部41の上端面である、円形からなる突端42の全面に当接するように円環状に形成されている。したがって、環状体31の形状は、容器本体4の口頚部41の突端42に当接するように、該口頚部41の形状に合わせて適宜変更される。
【0024】
なお、環状体31は、容器用キャップ1を容器本体4に装着した際に、キャップ本体2の天板20の下面と、容器本体4の口頚部41の突端42との間に挟み込まれ、これによって容器本体4の口頚部41上端(開口)を密封し、容器本体4内の内容物が漏れ出すことを阻止する役割を有している。
【0025】
摘み部32は、図1に示す実施形態では、環状体31の一部分から、キャップ本体2の中心を通ってその対向位置にある環状体31に繋がるブリッジ片からなるが、図2に示すように環状体31の一端のみに繋がる片持ち形としてもよい。
このように環状体31の一部分から、その対向位置に向かって摘み部32を形成することで、環状体31と摘み部32との間には、図1および図2に示すように空間Sが形成されることになり、該空間Sに指を挿し込みながら摘み部32を把持することができ、摘み部32を指でしっかりと把持しながら引っ張ることでパッキン3をキャップ本体2から簡単に取り外すことができる。また、パッキン3を取り付ける際にも、摘み部32を指でしっかりと把持しながら、キャップ本体2の天板20に設けられたリブ22に沿って、パッキン3の環状体31の内縁部を嵌め入れて、該天板20にパッキン3を固定保持することができる。
【0026】
図3は、本発明にしたがう容器用キャップの他の実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は図3(b)のB-B位置における断面を容器本体に装着した状態で示した図である。
本実施形態の容器用キャップ1では、摘み部32に容器本体4の口頚部41の挿入空間24に向けて垂下保持された突起部33が設けられている。突起部33は、手指で把持して引っ張ることでパッキン3を、キャップ本体2から取り外すためのものであり、指先でしっかりと摘まんで引っ張ることのできる突出長さを有している。また、突起部33は、図3では、摘み部32の径方向略中心位置に設けられているが、これに限定されるものではなく、設置位置は適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の容器用キャップは、飲食品や化粧料、薬剤、化学品等の内容物を収容する容器のキャップとして広く利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 容器用キャップ
2 キャップ本体
20 天板
21 周壁
22 リブ
23 雌ねじ部
24 挿入空間
3 パッキン
31 環状体
32 摘み部
33 突起部
4 容器本体
41 口頚部
42 突端
43 雄ねじ部
100 容器用キャップ
101 天板
102 インナーリング
103 シール材
104 周壁
105 キャップ本体
106 シール材
107 リング部
200 容器本体
201 口頚部

図1
図2
図3
図4