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特開2024-174427二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造
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  • 特開-二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造 図1
  • 特開-二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174427
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/024 20060101AFI20241210BHJP
   E04F 15/10 20060101ALI20241210BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
E04F15/024 603F
E04F15/10 104A
E04F15/00 101D
E04F15/024 603B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092242
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000162135
【氏名又は名称】共同カイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹市 靖規
(72)【発明者】
【氏名】伊東 達哉
(72)【発明者】
【氏名】得原 湧
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA29
2E220AA55
2E220AB06
2E220AB08
2E220AC03
2E220CA07
2E220CA10
2E220CA62
2E220DB09
2E220DB12
2E220FA11
2E220GA24Y
2E220GA25X
2E220GB34Y
(57)【要約】
【課題】床下地材を効率的に取り外すことが可能な二重床用不陸調整シートを提供する。
【解決手段】床スラブF上に床スラブFとの間に空間Sを介して敷設された複数の床下地材10が一方の表面側に設けられ、再剥離及び再粘着可能な粘着剤13を介して複数の床仕上材14が他方の表面側に敷設される二重床用不陸調整シート12aであって、互いに隣り合う床下地材10同士の境界を他方の表面側から視認可能に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床スラブ上に該床スラブとの間に空間を介して敷設された複数の床下地材が一方の表面側に設けられ、
再剥離及び再粘着可能な粘着剤を介して複数の床仕上材が他方の表面側に敷設される不陸調整シートであって、
互いに隣り合う上記床下地材同士の境界を上記他方の表面側から視認可能に設けられていることを特徴とする二重床用不陸調整シート。
【請求項2】
請求項1に記載された二重床用不陸調整シートにおいて、
透明又は半透明に設けられていることを特徴とする二重床用不陸調整シート。
【請求項3】
請求項1に記載された二重床用不陸調整シートにおいて、
不透明に設けられ、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有していることを特徴とする二重床用不陸調整シート。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載された二重床用不陸調整シートと、
上記二重床用不陸調整シートの一方の表面側に設けられ、床スラブ上に該床スラブとの間に空間を介して敷設された複数の床下地材と、
上記二重床用不陸調整シートの他方の表面側に再剥離及び再粘着可能な粘着剤を介して敷設された複数の床仕上材とを備えていることを特徴とする二重床構造。
【請求項5】
請求項4に記載された二重床構造において、
上記粘着剤は、透明又は半透明に設けられていることを特徴とする二重床構造。
【請求項6】
請求項4に記載された二重床構造において、
上記複数の床下地材及び上記二重床用不陸調整シートの間には、再剥離及び再粘着可能な粘着剤が設けられていることを特徴とする二重床構造。
【請求項7】
請求項4に記載された二重床構造において、
上記各床下地材には、開閉可能な蓋材が該各床下地材と異なる色で設けられていることを特徴とする二重床構造。
【請求項8】
請求項4に記載された二重床構造において、
上記各床仕上材の端面には、本実加工が施されていないことを特徴とする二重床構造。
【請求項9】
請求項4に記載された二重床構造において、
上記複数の床下地材は、マトリクス状に設けられていることを特徴とする二重床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスビル等の建築物では、OA(office automation)機器の普及に伴って、OA機器の配線等を床下に収容するOAフロアやフリーアクセスフロア等と呼ばれる二重床が主流になっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、所定の抵抗値を有する裏打合成樹脂層上に、所定の抵抗値を有する導電性基板及び合成樹脂表面層が順に積層され、フリーアクセスフロア上にアクリルエマルジョン系感圧接着剤を使用して敷設されるタイル型帯電防止性床材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4-30506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の床下地材がマトリクス状に敷設された二重床の表面には、隣り合う床下地材同士の間に段差が発生したり、リフォームの際には、床下地材自体の変形や既存のピールアップボンドと呼ばれる粘着剤の付着に起因する不陸が発生したりするおそれがあるので、二重床の表面と床仕上材との間に不陸調整シートを介在させることにより、不陸を調整することが考えられる。そうなると、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合には、不陸調整シートの下側の床下地材の配置等を把握することが困難になり、必要以上に床下地材を取り外すことになってしまうので、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、床下地材を効率的に取り外すことが可能な二重床用不陸調整シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る二重床用不陸調整シートは、床スラブ上に該床スラブとの間に空間を介して敷設された複数の床下地材が一方の表面側に設けられ、再剥離及び再粘着可能な粘着剤を介して複数の床仕上材が他方の表面側に敷設される不陸調整シートであって、互いに隣り合う上記床下地材同士の境界を上記他方の表面側から視認可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、二重床用不陸調整シートの一方の表面側(例えば、下側)に床スラブ上に敷設された複数の床下地材が設けられ、二重床用不陸調整シートの他方の表面側(例えば、上側)に再剥離及び再粘着可能な粘着剤を介して複数の床仕上材が他方の表面側に敷設される。そのため、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合には、対象の複数の床仕上材を剥がすことにより、再剥離及び再粘着可能な粘着剤が表面に塗布された二重床用不陸調整シートが露出することになる。ここで、二重床用不陸調整シートは、互いに隣り合う床下地材同士の境界を他方の表面側から視認可能に設けられているので、二重床用不陸調整シートの上側からその下側における床下地材の配置等を把握することができる。なお、再剥離及び再粘着可能な粘着剤は、例えば、スポンジロール等を用いて、均一に薄く塗布するものであり、しかも乾くと透明になるものが多いので、床下地材同士の境界の視認を妨げるものではない。これにより、二重床用不陸調整シートの上側からその下側に配置する取り外す必要のある床下地材を選定することができるので、床下地材を効率的に取り外すことが可能な二重床用不陸調整シートを提供することができる。
【0009】
さらに、本発明に係る二重床用不陸調整シートは、透明又は半透明に設けられていてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、二重床用不陸調整シートが透明又は半透明に設けられているので、二重床用不陸調整シートの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材同士の境界を具体的に視認することができる。
【0011】
さらに、本発明に係る二重床用不陸調整シートは、不透明に設けられ、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有していてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、二重床用不陸調整シートが不透明に設けられていても、その二重床用不陸調整シートには、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が設けられているので、二重床用不陸調整シートの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材同士の境界を具体的に視認することができる。
【0013】
また、本発明に係る二重床構造は、上述した二重床用不陸調整シートと、上記二重床用不陸調整シートの一方の表面側に設けられ、床スラブ上に該床スラブとの間に空間を介して敷設された複数の床下地材と、上記二重床用不陸調整シートの他方の表面側に再剥離及び再粘着可能な粘着剤を介して敷設された複数の床仕上材とを備えていることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、床スラブ上に敷設された複数の床下地材上に二重床用不陸調整シートが設けられているので、仮に、互いに隣り合う床下地材同士の間に段差が発生したり、床下地材自体の変形や既存のピールアップボンドと呼ばれる粘着剤の付着に起因する不陸が発生したりしても、その段差や不陸を解消又は緩和することができる。そして、その二重床用不陸調整シート上に再剥離及び再粘着可能な粘着剤を介して複数の床仕上材が敷設されている。そのため、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合には、対象の複数の床仕上材を剥がすことにより、再剥離及び再粘着可能な粘着剤が表面に塗布された二重床用不陸調整シートが露出することになる。ここで、二重床用不陸調整シートは、互いに隣り合う床下地材同士の境界を他方の表面側から視認可能に設けられているので、二重床用不陸調整シートの上側(他方の表面側)からその下側(一方の表面側)における床下地材の配置等を把握することができる。なお、再剥離及び再粘着可能な粘着剤は、例えば、スポンジロール等を用いて、均一に薄く塗布するものであり、しかも乾くと透明になるものが多いので、床下地材同士の境界の視認を妨げるものではない。これにより、二重床用不陸調整シートの上側からその下側に配置する取り外す必要のある床下地材を選定することができるので、床下地材を効率的に取り外すことが可能な二重床構造を提供することができる。
【0015】
上記粘着剤は、透明又は半透明に設けられていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、粘着剤が透明又は半透明に設けられているので、二重床用不陸調整シートの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材同士の境界を容易に視認することができる。
【0017】
上記複数の床下地材及び上記二重床用不陸調整シートの間には、再剥離及び再粘着可能な粘着剤が設けられていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、複数の床下地材及び二重床用不陸調整シートの間にも再剥離及び再粘着可能な粘着剤が設けられているので、床スラブ上に敷設された複数の床下地材上に二重床用不陸調整シートを容易に敷くことができる。
【0019】
上記各床下地材には、開閉可能な蓋材が該各床下地材と異なる色で設けられていてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、各床下地材には、開閉可能な蓋材が床下地材と異なる色で設けられているので、例えば、黒やグレー等の目立ち難い色調の床下地材に対して、赤や青等の目立ち易い色調の蓋材を設けることにより、二重床用不陸調整シートの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材同士の境界を視認することができるだけでなく、床下地材に設けられた蓋材を容易に視認することができる。
【0021】
上記各床仕上材の端面には、本実加工が施されていなくてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、各床仕上材の端面に本実加工が施されていないので、互いに隣り合う床仕上材同士の間の段差、床下地材自体の変形や既存のピールアップボンドと呼ばれる粘着剤の付着に起因する不陸が懸念されるものの、各床仕上材の下側に再剥離及び再粘着可能な粘着剤を介して設けられた二重床用不陸調整シートにより、その段差や不陸を解消又は緩和することができる。また、各床仕上材の端面に本実加工が施されていないので、部分的な床仕上材の貼り替えを容易に行うことができる。
【0023】
上記複数の床下地材は、マトリクス状に設けられていてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、複数の床下地材がマトリクス状に設けられているので、互いに隣り合う床下地材同士の境界が直線状に延びるため、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合、対象の床下地材を容易に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、不陸調整シートが互いに隣り合う床下地材同士の境界を他方の表面側から視認可能に設けられているので、床下地材を効率的に取り外すことが可能な二重床用不陸調整シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態に係る二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造の断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る二重床構造を構成する二重床用不陸調整シートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0028】
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係る二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の二重床用不陸調整シート12a及びそれを備えた二重床構造20の断面図である。
【0029】
二重床構造20は、図1に示すように、床スラブF上に床スラブFとの間に空間Sを介してマトリクス状に敷設された複数の床下地材10と、複数の床下地材10上に粘着剤11を介して設けられた二重床用不陸調整シート12aと、二重床用不陸調整シート12a上に粘着剤13を介して敷設された複数の床仕上材14とを備えている。
【0030】
床スラブFは、例えば、オフィスビルの各居室の床面のコンクリートスラブ等により構成されている。
【0031】
床下地材10は、例えば、平面視で縦500mm×横500mm程度の矩形状のコンクリートや金属製等のパネルにより構成されている。また、床下地材10は、その四隅部において、床スラブFの表面に直立するように設けられた支柱10p(図1参照)に支持されている。ここで、支柱10pには、例えば、ねじ式の高さを調整する機構を備えている。なお、本実施形態では、支柱タイプの床下地材10を例示したが、床下地材10は、例えば、置敷タイプ等であってもよい。
【0032】
粘着剤11及び13は、例えば、ピールアップボンドと呼ばれる再剥離及び再粘着可能な再剥離型の粘着剤により構成されている。ここで、粘着剤11及び13は、塗布して乾燥した後にほぼ透明になるものの、塗布して乾燥する前から透明又は半透明に設けられていてもよい。なお、本実施形態の二重床構造20では、粘着剤11が省略されていてもよい。
【0033】
二重床用不陸調整シート12aは、透明又は半透明に設けられ、互いに隣り合う床下地材10同士の境界を視認可能に設けられている。ここで、二重床用不陸調整シート12aは、例えば、厚さ1mm~5mmの塩化ビニル系やオレフィン系等の樹脂シートにより構成されている。なお、二重床用不陸調整シート12aの厚さが1mmよりも薄い場合には、二重床用不陸調整シート12aによる不陸調整効果を得難くなってしまう。また、二重床用不陸調整シート12aの厚さが5mmよりも厚い場合には、床の断面構成の変更が必要となってしまう。
【0034】
床仕上材14は、例えば、20質量%~30質量%の可塑剤を含まない塩化ビニル樹脂及び70質量%~80質量%の炭酸カルシウムを含む厚さ4mm~6mm程度の板状基材と、板状基材の表面に設けられた突板等の厚さ0.2mm~0.4mm程度の表面化粧層と、板状基材の裏面に設けられた不織布等の厚さ0.2mm~0.4mm程度の緩衝材層とを備えている。ここで、床仕上材14は、平面視で長方形の板状に設けられ、その着脱性を考慮して、その端面が表面に垂直な垂直端面となっており、その端面に本実加工が施されていない。なお、本実施形態では、四周の端面が垂直端面となった床仕上材14を例示したが、床仕上材14は、その着脱性を考慮して、対向する長辺の端面に相じゃくり加工のような取り外し容易な実加工が施されていてもよい。
【0035】
上記構成の二重床構造20は、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合、対象の床仕上材14を剥がし、二重床用不陸調整シート12aの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材10同士の境界を視認して取り外す必要のある床下地材10を選定し、その床下地材10を取り外して床下の配線をやり直す作業を行った後に、床下地材10、二重床用不陸調整シート12a及び床仕上げ材14を元に戻すことになる。
【0036】
次に、本実施形態の二重床構造20の施工方法について説明する。
【0037】
<本施工>
まず、床スラブF上に複数の支柱10pを、使用する床下地材10のサイズ(例えば、縦500mm×横500mm程度)に合わせた間隔でマトリクス状に配置した後に、各支柱10pの高さを調整する。
【0038】
続いて、複数の支柱10pの頂部に各床下地材10の四隅部が配置するように、複数の床下地材10を敷設する。なお、床下の配線は、例えば、床下地材10を敷設する前に床スラブF上に設置しておく。
【0039】
その後、複数の床下地材10の表面に、例えば、スポンジロールを用いて、アクリルエマルジョン系のピールアップボンド等の粘着剤11を塗布して乾燥させた後に、その表面に、例えば、厚さ3mm×縦900mm×横1800mm程度の塩化ビニル製の透明な樹脂シートからなる二重床用不陸調整シート12aを貼り付ける。
【0040】
さらに、二重床用不陸調整シート12aの表面に、例えば、スポンジロールを用いて、アクリルエマルジョン系のピールアップボンド等の粘着剤13を塗布して乾燥させた後に、例えば、各々、厚さ5mm×幅135mm×長さ900mm程度の複数の床仕上材14を雁行型等の整列パターンで貼り付ける。
【0041】
以上のようにして、本実施形態の二重床構造20を施工することができる。
【0042】
<リフォーム施工(床下配線のやり直し)>
まず、例えば、吸盤を備えた治具を用いて、対象となる領域に配置する各床仕上材14の表面を引っ張ることにより、所定の床仕上材14を剥がす。
【0043】
続いて、剥がされていない床仕上材14から露出する二重床用不陸調整シート12aの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材10同士の境界を視認することにより、取り外す必要のある床下地材10を選定する。
【0044】
その後、選定された床下地材10上の二重床用不陸調整シート12aを切り出した後に、その二重床用不陸調整シート12aと共に、床下地材10を取り外す。
【0045】
さらに、床下の配線をやり直す作業を行った後に、切り出した二重床用不陸調整シート12aを含む床下地材10及び床仕上げ材14を元に戻す。
【0046】
以上にようにして、本実施形態の二重床構造20のリフォーム施工を行うことができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の二重床用不陸調整シート12a及びそれを備えた二重床構造20によれば、床スラブF上に敷設された複数の床下地材10上に再剥離及び再粘着可能な粘着剤11を介して二重床用不陸調整シート12aが設けられているので、仮に、互いに隣り合う床下地材10同士の間に段差が発生したり、床下地材10自体の変形や既存の粘着剤11の付着に起因する不陸が発生したりしても、その段差や不陸を解消又は緩和することができる。そして、二重床用不陸調整シート12a上に再剥離及び再粘着可能な粘着剤13を介して複数の床仕上材14が敷設されている。そのため、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合には、対象の複数の床仕上材14を剥がすことにより、再剥離及び再粘着可能な粘着剤13が表面に塗布された二重床用不陸調整シート12aが露出することになる。ここで、二重床用不陸調整シート12aは、透明又は半透明に設けられていることにより、互いに隣り合う床下地材10同士の境界を視認可能に設けられているので、二重床用不陸調整シート12aの上側からその下側における床下地材10の配置等を把握することができる。なお、粘着剤11及び13は、例えば、スポンジロール等を用いて、均一に薄く塗布するものであり、しかも乾くと透明になるものが多いので、床下地材10同士の境界の視認を妨げるものではない。これにより、二重床用不陸調整シート12aの上側からその下側に配置する取り外す必要のある床下地材10を選定することができるので、床下地材10を効率的に取り外すことが可能な二重床用不陸調整シート12a及びそれを備えた二重床構造20を提供することができる。
【0048】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12a及びそれを備えた二重床構造20によれば、粘着剤11及び13が透明又は半透明に設けられているので、二重床用不陸調整シート12aの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材10同士の境界を容易に視認することができる。
【0049】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12a及びそれを備えた二重床構造20によれば、複数の床下地材10及び二重床用不陸調整シート12aの間にも再剥離及び再粘着可能な粘着剤11が設けられているので、床スラブF上に敷設された複数の床下地材10上に二重床用不陸調整シート12aを容易に敷くことができる。
【0050】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12a及びそれを備えた二重床構造20によれば、各床仕上材14の端面に本実加工が施されていないので、互いに隣り合う床仕上材14同士の間の段差、床下地材10自体の変形や既存の粘着剤11の付着に起因する不陸が懸念されるものの、各床仕上材14の下側に再剥離及び再粘着可能な粘着剤13を介して設けられた二重床用不陸調整シート12aにより、その段差や不陸を解消又は緩和することができる。また、各床仕上材14の端面に本実加工が施されていないので、部分的な床仕上材14の貼り替えを容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12a及びそれを備えた二重床構造20によれば、複数の床下地材10がマトリクス状に設けられているので、互いに隣り合う床下地材10同士の境界が直線状に延びるため、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合、対象の床下地材10を容易に取り外すことができる。
【0052】
《第2の実施形態》
図2は、本発明に係る二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造の第2の実施形態を示している。ここで、図2は、本実施形態の二重床構造を構成する二重床用不陸調整シート12bの平面図である。なお、以下の実施形態において、図1と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0053】
上記第1の実施形態では、透明又は半透明に設けられた二重床用不陸調整シート12aを備えた二重床構造20を例示したが、本実施形態では、不透明に設けられた二重床用不陸調整シート12bを備えた二重床構造を例示する。
【0054】
本実施形態の二重床構造は、上記第1の実施形態の二重床構造20を構成する二重床用不陸調整シート12aの代わりに二重床用不陸調整シート12bを備え、その他の構成が二重床構造20と実質的に同じになっている。
【0055】
二重床用不陸調整シート12bは、例えば、厚さ1mm~5mmの不透明な塩化ビニル系の樹脂シートやゴムシート等により、平面視で矩形状に設けられている。また、二重床用不陸調整シート12bには、図2に示すように、平面視で、例えば、幅5mm×長さ10mm程度の長円状に形成され、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔Hが複数列の雁行状に設けられている。ここで、平面視で互いに直交するX軸方向(例えば、図2中の横方向)及びY軸方向(例えば、図2中の縦方向)に沿って二重床用不陸調整シート12bの任意の点を中心に互いに平行な一対の仮想線を引いた場合、複数の貫通孔Hは、それらの4辺の仮想線上に存在しなければならない。具体的には、床下地材10同士の境界がX軸方向及びY軸方向のそれぞれについて、概ね20mm~100mm以下毎(好ましくは30mm~70mm毎)に視認できるように貫通孔Hを配置させることが好ましい。また、貫通孔Hは、例えば、図2のように、貫通孔Hの長さ方向(長軸)に等間隔に配列させ、その配列の軸を上記X軸方向又はY軸方向に対して15°~75°程度傾けて整然と配列させればよい。なお、貫通孔Hは、そのサイズが大き過ぎたり、その個数が多過ぎたりすると、粘着剤13による粘着力が低下する原因となる。また、貫通孔Hは、そのサイズが小さ過ぎると、貫通孔Hに充填された粘着剤13により、床下地材10同士の境界が視認し難くなったり、視認できなくなったりするので、好ましくない。また、本実施形態では、長円状(楕円形)の貫通孔Hを例示したが、貫通孔Hは、真円状、矩形状、三角形状等であってもよい。また、貫通孔Hを形成する方法としては、二重床用不陸調整シート自体の形成と同時に形成したり、貫通孔Hが形成されていない二重床用不陸調整シートに、後から打ち抜き加工で形成したりしてもよい。そして、打ち抜き加工で形成した場合には、その打ち抜いた材料を再利用し、別の二重床用不陸調整シートの原材料としてリユースされるのことが好ましい。
【0056】
また、二重床用不陸調整シート12bの下側には、図2に示すように、マトリクス状に敷設された複数の床下地材10が配置されている。また、各床下地材10には、図2に示すように、開閉可能な蓋材Cが各床下地材10の色(例えば、グレー等)と異なる色(例えば、赤や青等)で設けられている。なお、蓋材Cは、例えば、配線の取り出し口として設けられ、上記第1の実施形態の二重床構造20を構成する各床下地材10に設けられていてもよい。
【0057】
本実施形態の二重床構造は、上記第1の実施形態の二重床構造20と同様に、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合、対象の床仕上材14を剥がし、二重床用不陸調整シート12bの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材10同士の境界を視認して、取り外す必要のある床下地材10を選定し、その床下地材10を取り外して、床下の配線をやり直す作業を行った後に、床下地材10、二重床用不陸調整シート12b及び床仕上げ材14を元に戻すように構成されている。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の二重床用不陸調整シート12b及びそれを備えた二重床構造によれば、床スラブF上に敷設された複数の床下地材10上に再剥離及び再粘着可能な粘着剤11を介して二重床用不陸調整シート12bが設けられているので、仮に、互いに隣り合う床下地材10同士の間に段差が発生したり、床下地材10自体の変形や既存の粘着剤11の付着に起因する不陸が発生したりしても、その段差や不陸を解消又は緩和することができる。そして、二重床用不陸調整シート12b上に再剥離及び再粘着可能な粘着剤13を介して複数の床仕上材14が敷設されている。そのため、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合には、対象の複数の床仕上材14を剥がすことにより、再剥離及び再粘着可能な粘着剤13が表面に塗布された二重床用不陸調整シート12bが露出することになる。ここで、二重床用不陸調整シート12bは、不透明であっても、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔Hが設けられていることにより、互いに隣り合う床下地材10同士の境界を視認可能に設けられているので、二重床用不陸調整シート12bの上側からその下側における床下地材10の配置等を把握することができる。なお、粘着剤11及び13は、例えば、スポンジロール等を用いて、均一に薄く塗布するものであり、しかも乾くと透明になるものが多いので、床下地材10同士の境界の視認を妨げるものではない。これにより、二重床用不陸調整シート12bの上側からその下側に配置する取り外す必要のある床下地材10を選定することができるので、床下地材10を効率的に取り外すことが可能な二重床用不陸調整シート12b及びそれを備えた二重床構造を提供することができる。
【0059】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12b及びそれを備えた二重床構造によれば、粘着剤11及び13が透明又は半透明に設けられているので、二重床用不陸調整シート12bの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材10同士の境界を容易に視認することができる。
【0060】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12b及びそれを備えた二重床構造によれば、複数の床下地材10及び二重床用不陸調整シート12bの間にも再剥離及び再粘着可能な粘着剤11が設けられているので、床スラブF上に敷設された複数の床下地材10上に二重床用不陸調整シート12bを容易に敷くことができる。
【0061】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12b及びそれを備えた二重床構造によれば、各床下地材には、開閉可能な蓋材Cが床下地材10と異なる色で設けられているので、グレー等の目立ち難い色調の床下地材10に対して、赤や青等の目立ち易い色調の蓋材Cを設けることにより、二重床用不陸調整シート12bの上側からその下側に配置する互いに隣り合う床下地材10同士の境界を視認することができるだけでなく、床下地材10に設けられた蓋材Cを容易に視認することができる。
【0062】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12b及びそれを備えた二重床構造によれば、各床仕上材14の端面に本実加工が施されていないので、互いに隣り合う床仕上材14同士の間の段差、床下地材10自体の変形や既存の粘着剤11の付着に起因する不陸が懸念されるものの、各床仕上材14の下側に再剥離及び再粘着可能な粘着剤13を介して設けられた二重床用不陸調整シート12bにより、その段差や不陸を解消又は緩和することができる。また、各床仕上材14の端面に本実加工が施されていないので、部分的な床仕上材14の貼り替えを容易に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態の二重床用不陸調整シート12b及びそれを備えた二重床構造によれば、複数の床下地材10がマトリクス状に設けられているので、互いに隣り合う床下地材10同士の境界が直線状に延びるため、例えば、リフォームの際に床下の配線をやり直す作業を行う場合、対象の床下地材10を容易に取り外すことができる。
【0064】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、端面に本実加工が施されていない床仕上材を備えた二重床構造を例示したが、本発明は、端面に本実加工が施されている床仕上材を備えた二重床構造等にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、床下地材を効率的に取り外すことが可能な二重床用不陸調整シート及びそれを備えた二重床構造を提供することができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0066】
C 蓋材
F 床スラブ
H 貫通孔
S 空間
10 床下地材
11,13 粘着剤
12a,12b 二重床用不陸調整シート
14 床仕上材
20 二重床構造
図1
図2