(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174430
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】インク供給機構及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241210BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20241210BHJP
B41J 2/19 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/175 113
B41J2/175 121
B41J2/175 153
B41J2/175 171
B41J2/175 307
B41J2/18
B41J2/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092247
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】前嶌 正展
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA15
2C056EA26
2C056EB21
2C056EB50
2C056FA13
2C056KB15
2C056KB16
2C056KB37
2C056KC02
2C056KD02
(57)【要約】
【課題】空気の溶存したインクや、増粘・固着したインクの記録ヘッドへの供給を抑制して、記録ヘッドの動作不良を抑制すると共に、蒸発・増粘したインクに起因するレベルセンサの検知への影響を抑制する。
【解決手段】プリンター1に備わるインク供給機構20は、インクを収容するインクコンテナ14と、インクコンテナ14から供給されるインクを貯留するサブタンク22と、サブタンク22から下方に延びていて、インクコンテナ14とサブタンク22との間でインクを流通する主流路24と、主流路24の途中から分岐されていて、記録ヘッド13に向けてインクを供給するために、サブタンク22に貯留されたインクの水頭圧を受ける分岐流路25とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容するインクコンテナと、
前記インクコンテナから供給される前記インクを貯留するサブタンクと、
前記サブタンクから下方に延びていて、前記インクコンテナと前記サブタンクとの間で前記インクを流通する主流路と、
前記主流路の途中から分岐されていて、記録ヘッドに向けて前記インクを供給するために、前記サブタンクに貯留された前記インクの水頭圧を受ける分岐流路と、を備えることを特徴とするインク供給機構。
【請求項2】
前記サブタンクに貯留される前記インクの液面のレベルを検出するレベルセンサを備え、
前記レベルセンサは、前記サブタンクの内壁面から離間して前記液面に浮かべたフロートと、前記インクに接液しない位置に設けられて前記フロートを可動する可動部とを備えた可動式センサ、又は前記インクに接液しない位置に設けられた静電容量センサ、フォトインタラプタ若しくは電極式レベルセンサからなる固定式センサで構成されることを特徴とする請求項1に記載のインク供給機構。
【請求項3】
前記インクコンテナから前記主流路を介して前記インクを供給させるポンプを備え、
前記分岐流路は、前記サブタンクと前記ポンプとの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のインク供給機構。
【請求項4】
前記サブタンクと前記分岐流路との間で前記水頭圧を変化させることなく前記インクの入れ替わりを制限する制限部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のインク供給機構。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のインク供給機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドにインクを供給するインク供給機構及びこのインク供給機構を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット式の画像形成装置は、用紙等の記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、インクを収容するインクコンテナと、インクコンテナから供給されるインクを貯留するサブタンクとを備えて、サブタンクと記録ヘッドとの水頭圧を利用して記録ヘッドにインクを供給する。画像形成装置では、サブタンク内でインクの液面が空気と接しているところ、空気がインクに溶存することを抑制する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1において、インクジェット記録装置に備わる供給液タンクユニットは、記録媒体上にインクを吐出する記録ヘッドに供給するインクを貯留する供給液タンクと、供給液タンク内のインクの液面を検知する検知センサとを備える。供給液タンクには、インクを貯留する貯留室を有する内部空間と、内部空間の内圧を大気圧と等しくするための大気開放口と、が設けられている。検知センサは、貯留室内のインク量に応じて上下に移動するフロートと、フロートの上下方向の移動に伴いインクの液面を検知するセンサ本体と、を有する。貯留室の内側面は、フロートの外周面に沿って近接配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の画像形成装置では、フロートとサブタンクの壁面とを近接させることで、インクの空気溶存の速度を遅らせることができるが、液体のブラウン運動によって空気の溶存したインクが拡散してしまう。その結果、空気の溶存したインクが記録ヘッドに供給され、インクを不吐出にする記録ヘッドの動作不良が生じるおそれがある。
【0006】
また、特許文献1のような従来の画像形成装置では、検知センサは、フロートとセンサ本体とによって構成され、サブタンクである貯留室の内側面は、フロートの外周面に沿って近接配置され、センサ本体は、フロートの中心部に挿通される。しかしながら、サブタンク内のインクがフロートとの接触によって蒸発・増粘した場合、フロートとセンサ本体との間や、貯留室の内側面とフロートの外周面との間でインクが固着するおそれがある。その結果、センサ本体に対するフロートの動作不良や貯留室に対するフロートの動作不良が生じて、検知不良が生じるおそれがある。また、増粘・固着インクが、サブタンクから記録ヘッドへの流路に混入した場合、記録ヘッドのノズルが詰まり、記録ヘッドの動作不良が生じるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、空気の溶存したインクや、増粘・固着したインクの記録ヘッドへの供給を抑制して、記録ヘッドの動作不良を抑制すると共に、蒸発・増粘したインクに起因するレベルセンサの検知への影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインク供給機構は、インクを収容するインクコンテナと、前記インクコンテナから供給される前記インクを貯留するサブタンクと、前記サブタンクから下方に延びていて、前記インクコンテナと前記サブタンクとの間で前記インクを流通する主流路と、前記主流路の途中から分岐されていて、記録ヘッドに向けて前記インクを供給するために、前記サブタンクに貯留された前記インクの水頭圧を受ける分岐流路と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、上記したインク供給機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空気の溶存したインクや、増粘・固着したインクの記録ヘッドへの供給を抑制して、記録ヘッドの動作不良を抑制すると共に、蒸発・増粘したインクに起因するレベルセンサの検知への影響を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの例を概要的に示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプリンターのインク供給機構の例を概要的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るプリンターのサブタンクの例を概要的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るプリンターのインク供給機構の第1変形例を概要的に示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るプリンターのインク供給機構の第2変形例を概要的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
先ず、インクジェット式の画像形成装置としてのプリンター1の全体の構成について
図1を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、
図1における紙面手前側をプリンター1の前側とする。各図に適宜付される矢印L、R、U、Loは、それぞれプリンター1の左側、右側、上側、下側を示す。
【0013】
図1に示すように、プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備える。プリンター本体2内の下部には、用紙を収納する給紙カセット3が引出可能に収容される。
【0014】
プリンター本体2内の右部には、用紙の搬送経路4が設けられ、プリンター本体2内の中央部には、昇降可能な用紙搬送ユニット5が給紙カセット3の上方に設けられる。搬送経路4は、給紙カセット3から用紙搬送ユニット5まで設けられ、搬送経路4の用紙の搬送方向に沿って、上流側から順に、給紙ローラー、搬送ローラー及びレジストローラーが設けられる。
【0015】
用紙搬送ユニット5は、搬送フレーム6と、無端状の搬送ベルト7(搬送部材)とを備える。搬送フレーム6には、駆動ローラー、従動ローラー及びテンションローラーが回転可能に設けられ、搬送ベルト7は、搬送フレーム6に対して交換可能に取り付けられ、駆動ローラー、従動ローラー及びテンションローラーに巻き掛けられる。搬送ベルト7は、駆動ローラーの回転に応じて、例えば、正面視反時計回りに回転し、搬送ベルト7上の用紙を右側から左側へと搬送するように、下記の制御部16によって制御される。
【0016】
また、用紙搬送ユニット5は、搬送フレーム6及び搬送ベルト7を上下方向に昇降可能な昇降機構(図示せず)を備え、搬送フレーム6及び搬送ベルト7を、印字動作時に下記の記録ヘッド13に近接した印字位置に移動させ、非印字動作時に記録ヘッド13から離間した退避位置に移動させる。また、用紙搬送ユニット5は、吸気部5aを搬送ベルト7の内側に備える。搬送ベルト7には多数の吸気孔が設けられ、吸気部5aは、搬送ベルト7の上方から内側へ吸気孔を介して吸気する。
【0017】
プリンター本体2内の左部には、印字後の用紙を排出するために、印字位置の用紙搬送ユニット5の左側に、用紙搬送部8、乾燥装置9及び排出ローラー10が設けられる。プリンター本体2の左側面には、排出口11が排出ローラー10の近傍に形成され、排出口11の下方には、排紙トレイ12が左側に突出して設けられる。
【0018】
また、プリンター本体2内には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクにそれぞれ対応して、インクを吐出する4つの記録ヘッド13(13K、13C、13M、13Y)と、インクを収容する4つのインクコンテナ14(14K、14C、14M、14Y)とが設けられる。各記録ヘッド13は、吸引ポンプ21及びサブタンク22を有するインク供給機構20を介して各インクコンテナ14に接続される。なお、
図1では、ブラックのインクに対応するインク供給機構20を図示していて、シアン、マゼンタ、イエローのインクに対応するインク供給機構20を省略している。
【0019】
記録ヘッド13K、13C、13M、13Yの下面には、インク滴を吐出する複数のノズル13aが形成されている。記録ヘッド13K、13C、13M、13Yは、プリンター本体2内の中央部で用紙搬送ユニット5の上方に並設され、例えば、用紙の搬送方向における上流側(右側)から順に配置される。記録ヘッド13K、13C、13M、13Yは、印字動作時に用紙搬送ユニット5の搬送ベルト7の上面と対向して、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを搬送ベルト7上の用紙へ吐出する。
【0020】
インクコンテナ14K、14C、14M、14Yは、プリンター本体2内の左下部に並設され、例えば、下側から順に配置される。インクコンテナ14K、14C、14M、14Yは、例えば、プリンター本体2内の左下部に設けられた各コンテナ収納部(図示せず)に対して着脱可能に収納される。インクコンテナ14K、14C、14M、14Yは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを収容する。
【0021】
また、プリンター本体2内には、プリンター1の各部を制御する制御部16が設けられる。制御部16は、CPU等からなるコンピュータであり、ROMやRAM、HDD等からなる記憶部(図示せず)に記憶された制御プログラムや制御用データに基づいて演算処理を実行することにより、制御部16に接続されたプリンター1の各部を制御する。
【0022】
次に、インク供給機構20の詳細について説明する。
【0023】
インク供給機構20は、各インクコンテナ14(14K、14C、14M、14Y)から各記録ヘッド13(13K、13C、13M、13Y)へとインクを供給する機構である。本実施形態では、インク供給機構20は、
図2に示すように、記録ヘッド13及びインクコンテナ14に加えて、吸引ポンプ21と、サブタンク22と、供給ポンプ23と、主流路24と、分岐流路25と、流路開閉部26と、制限部材27と、ヘッドフィルタ28とを備える。インク供給機構20は、サブタンク22に貯留されたインクの水頭圧を利用して記録ヘッド13に向けてインクを供給するように構成される。
【0024】
インクコンテナ14は、サブタンク22から下方に延びた主流路24に接続されていて、主流路24を介してインクコンテナ14とサブタンク22との間でインクが流通可能になっている。インクコンテナ14とサブタンク22との間、好ましくは吸引ポンプ21とサブタンク22との間で、主流路24の途中から分岐流路25が分岐していて、分岐流路25を介して主流路24から分岐されたインクが流通可能になっている。分岐流路25は、記録ヘッド13に向けてインクを供給するために、サブタンク22に貯留されたインクの水頭圧を受ける。
【0025】
吸引ポンプ21は、ダイアフラムポンプ等で構成され、制御部16によって制御されて、インクコンテナ14から主流路24を介してインクを供給させるものである。吸引ポンプ21は、主流路24においてインクコンテナ14とサブタンク22との間(好ましくは、インクコンテナ14と分岐流路25との間)に設けられ、インクコンテナ14からインクを吸引して主流路24へと供給する。
【0026】
サブタンク22は、インクコンテナ14から供給されるインクを貯留するもので、サブタンク22の下部(好ましくは、下面)に主流路24が接続されている。
図3に示すように、サブタンク22は、タンク本体36と、レベルセンサ37とを備える。レベルセンサ37は、例えば、フロート38と、可動部39と、フロート検出部40とを備えた可動式センサで構成される。
【0027】
タンク本体36は、インクを貯留する筐体であり、タンク本体36の下部(好ましくは、下面)に主流路24が接続される。タンク本体36の内部と主流路24とが連通していて、主流路24から供給されるインクがタンク本体36の内部に貯留される。タンク本体36では、インクの上限貯留量、即ち、インクの液面Sの上限高さが設定され、サブタンク22は、上限貯留量(上限高さ)未満となるように、インクの貯留量(液面高さ)を制御される。
【0028】
フロート38は、タンク本体36の内部上側で可動部39によって上下に可動するように支持されていて、タンク本体36の内壁面から離間した位置(タンク本体36の中央側)で、タンク本体36に貯留されたインクの液面Sに浮かべられる。例えば、フロート38は、長尺状に形成され、基端が可動部39によって支持され、先端がインクの液面Sに浮かべられるように配置される。即ち、フロート38の先端の一部のみが、インクの液面Sに接液される。
【0029】
可動部39は、タンク本体36の内部上側で、タンク本体36に貯留されたインクに接液しないように、当該インクの液面Sよりも上方に設けられ、具体的には、タンク本体36に設定された上限高さよりも上方に設けられる。可動部39は、タンク本体36の天井面に設けられてもよく、あるいは、タンク本体36の内壁面に設けられてもよい。可動部39は、長尺状のフロート38の基端を回動可能に支持することで、フロート38は、可動部39を支点にして上下に回動可能となる。
【0030】
フロート検出部40は、上下に可動するフロート38を検出することで、サブタンク22に貯留されるインクの液面Sのレベルを検出する。例えば、フロート38の先端に磁石等の被検出部が備えられ、タンク本体36の側面(例えば、内壁面)に設けられたフロート検出部40がフロート38の被検出部を検出することで、レベルセンサ37は、タンク本体36に貯留されたインクのレベルを検出する。
【0031】
サブタンク22は、制御部16によって制御されて、フロート検出部40によって検出されたインクの液面Sのレベルに基づいて、記録ヘッド13との水頭差が所定の設定値となるように、インクの貯留量、即ち、インクの液面Sのレベル(高さ)が制御される。なお、タンク本体36の上限高さは、所定の設定値の水頭差を実現するインクの液面高さよりも上方に設定され、また、タンク本体36、フロート38及び可動部39は、上限高さまで移動したフロート38がタンク本体36の天井面に接しないように設計されるとよい。
【0032】
供給ポンプ23は、シリンジポンプなどで構成され、制御部16によって制御されて、インクコンテナ14とサブタンク22との間の主流路24から所定量のインクを充填して記録ヘッド13へと供給するものである。供給ポンプ23には、分岐流路25が接続されていて、更に、主流路24からインクを充填するための充填流路29と、記録ヘッド13へとインクを供給するための供給流路30とが接続されている。また、記録ヘッド13には、インクを供給元に循環して戻すための循環流路31が接続されていて、循環流路31は、充填流路29又は主流路24に接続されている。
【0033】
流路開閉部26は、分岐流路25を開閉する第1開閉部材32と、供給流路30を開閉する第2開閉部材33と、充填流路29を開閉する第3開閉部材34と、循環流路31を開閉する第4開閉部材35とを備える。第1開閉部材32、第2開閉部材33、第3開閉部材34及び第4開閉部材35は、それぞれ制御部16によって制御されて、開放又は閉鎖する。
【0034】
制限部材27は、サブタンク22と分岐流路25との間で水頭圧を変化させることなくインクの入れ替わりを制限するもので多孔質部材やフィルター等で構成される。制限部材27は、例えば、
図3に示すように、サブタンク22のタンク本体36の内部で、タンク本体36の底面とインクの液面Sとの間で上下方向に対向して配置されてよい。あるいは、制限部材27は、主流路24の途中のサブタンク22と分岐流路25との間で主流路24におけるインクの流通方向に対向して配置されてもよく、若しくは、主流路24を接続されるサブタンク22の下面に取り付けられてもよい。
【0035】
ヘッドフィルタ28は、供給流路30において供給ポンプ23と記録ヘッド13との間で、記録ヘッド13の直前に設けられ、供給流路30を介して記録ヘッド13へと供給されるインクから異物を除去するものである。
【0036】
なお、上記した実施形態では、インク供給機構20において、タンク本体36に貯留されたインクのレベルを検出するレベルセンサ37が、フロート38と、可動部39と、フロート検出部40とを備えた可動式センサで構成される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、レベルセンサ37は、静電容量センサ、フォトインタラプタ若しくは電極式レベルセンサからなる固定式センサで構成されてもよい。この場合、レベルセンサ37は、タンク本体36に設定された上限高さよりも上方に設けられる。
【0037】
次に、本実施形態のインク供給機構20の動作例について説明する。
【0038】
インク供給機構20は、通常時には、流路開閉部26において第1開閉部材32、第2開閉部材33、第3開閉部材34及び第4開閉部材35の全てを開放する。これにより、サブタンク22に貯留されたインクの水頭圧が、主流路24、分岐流路25、供給流路30を介して記録ヘッド13に作用し、供給ポンプ23に充填されたインクを適切に記録ヘッド13へと供給することができる。
【0039】
また、インク供給機構20は、インク充填時には、第3開閉部材34を開放する一方、第1開閉部材32、第2開閉部材33及び第4開閉部材35を閉鎖する。これにより、吸引ポンプ21とサブタンク22との間の主流路24から充填流路29を介して供給ポンプ23にインクを充填することができる。
【0040】
また、インク供給機構20は、循環時には、第2開閉部材33及び第4開閉部材35を開放する一方、第1開閉部材32及び第3開閉部材34を閉鎖する。これにより、記録ヘッド13から循環流路31を介して吸引ポンプ21とサブタンク22との間の主流路24にインクを循環することができる。
【0041】
また、インク供給機構20は、エア抜き時には、第1開閉部材32を開放する一方、第2開閉部材33、第3開閉部材34及び第4開閉部材35を閉鎖する。これにより、主流路24、分岐流路25及び供給ポンプ23における不要な空気を取り除くことができる。
【0042】
本実施形態では上述のように、プリンター1に備わるインク供給機構20は、インクを収容するインクコンテナ14と、インクコンテナ14から供給されるインクを貯留するサブタンク22と、サブタンク22から下方に延びていて、インクコンテナ14とサブタンク22との間でインクを流通する主流路24と、主流路24の途中から分岐されていて、記録ヘッド13に向けてインクを供給するために、サブタンク22に貯留されたインクの水頭圧を受ける分岐流路25とを備える。
【0043】
これにより、サブタンク22に貯留したインクの液面S付近で、インクに空気が溶存した場合や、インクが蒸発・増粘して固着した場合でも、インクを記録ヘッド13に供給する流路に、空気の溶存したインクや、増粘・固着したインクが流通することを抑制することができる。従って、空気の溶存したインクに起因してインクを不吐出にするような記録ヘッド13の動作不良を抑制することができる。また、増粘・固着したインクに起因して記録ヘッド13のノズル13aを詰まらせるような記録ヘッド13の動作不良を抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、インク供給機構20は、サブタンク22に貯留されるインクの液面Sのレベルを検出するレベルセンサ37を備え、レベルセンサ37は、サブタンク22の内壁面から離間して液面Sに浮かべたフロート38と、インクに接液しない位置に設けられてフロート38を可動する可動部39とを備えた可動式センサ、又はインクに接液しない位置に設けられた静電容量センサ、フォトインタラプタ若しくは電極式レベルセンサからなる固定式センサで構成される。
【0045】
これにより、サブタンク22に貯留したインクの液面S付近で、インクが蒸発・増粘して固着した場合でも、増粘・固着したインクが、サブタンク22の内壁面に対するフロート38の可動に影響することがなく、可動部39によるフロート38の可動に影響することがないので、可動式センサのレベルセンサ37の検知への影響を抑制することができる。また、増粘・固着したインクが、静電容量センサ、フォトインタラプタ若しくは電極式レベルセンサからなる固定式センサに接することがないので、固定式センサのレベルセンサ37の検知への影響を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、インク供給機構20は、インクコンテナ14から主流路24を介してインクを供給させる吸引ポンプ21を備え、分岐流路25は、サブタンク22と吸引ポンプ21との間に配置される。
【0047】
これにより、より簡易な構成で、サブタンク22に貯留されたインクの水頭圧を変化させることなく分岐流路25を介して記録ヘッド13に付与することができると共に、空気の溶存したインクや、増粘・固着したインクが分岐流路25に流通することを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、インク供給機構20は、サブタンク22と分岐流路25との間で水頭圧を変化させることなくインクの入れ替わりを制限する制限部材27を備える。
【0049】
これにより、サブタンク22に貯留したインクの液面S付近で、インクに空気が溶存した場合や、インクが蒸発・増粘して固着した場合でも、インクを記録ヘッド13に供給する流路に、空気の溶存したインクや、増粘・固着したインクが流通することを、より抑制することができる。
【0050】
なお、上記した実施形態では、インク供給機構20は、インクコンテナ14からインクを吸引する吸引ポンプ21と、充填したインクを記録ヘッド13に供給する供給ポンプ23との両方を備える例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明では、インク供給機構20は、インクコンテナ14とサブタンク22との間の主流路24から分岐流路25を分岐して、記録ヘッド13に向けてインクを供給するために、分岐流路25がサブタンク22に貯留されたインクの水頭圧を受ける構成を有していればよく、他の流路やポンプを様々に組み合わせることができる。
【0051】
例えば、
図4に示すように、第1変形例では、インク供給機構20は、インクコンテナ14からインクを吸引する吸引ポンプ21を備えずに、充填したインクを記録ヘッド13に供給する供給ポンプ50のみを備えて構成されてもよい。第1変形例では、主流路24の途中にシリンジポンプ等の供給ポンプ50が設けられる。供給ポンプ50とサブタンク22との間で、主流路24の途中から分岐流路25が分岐していて、分岐流路25は、ヘッドフィルタ28を介して記録ヘッド13に接続されている。また、記録ヘッド13には、インクを供給元に循環して戻すための循環流路51が接続されていて、循環流路51は、供給ポンプ50に接続されている。
【0052】
更に、主流路24の途中には、供給ポンプ50と分岐流路25との間に、主流路24を開閉する第5開閉部材52が設けられ、循環流路51には、循環流路51を開閉する第6開閉部材53が設けられる。第5開閉部材52及び第6開閉部材53は、それぞれ制御部16によって制御されて、開放又は閉鎖する。
【0053】
次に、第1変形例のインク供給機構20の動作例について説明する。
【0054】
インク供給機構20は、通常時には、第5開閉部材52及び第6開閉部材53の全てを開放する。これにより、サブタンク22に貯留されたインクの水頭圧が、主流路24、分岐流路25を介して記録ヘッド13に作用し、供給ポンプ50に充填されたインクを適切に記録ヘッド13へと供給することができる。
【0055】
また、インク供給機構20は、インク充填時には、第5開閉部材52及び第6開閉部材53の全てを閉鎖する。これにより、インクコンテナ14と供給ポンプ50との間の主流路24から供給ポンプ50にインクを充填することができる。
【0056】
また、インク供給機構20は、循環時には、第6開閉部材53を開放する一方、第5開閉部材52を閉鎖する。これにより、記録ヘッド13から循環流路51を介して供給ポンプ50にインクを循環することができる。
【0057】
あるいは、例えば、
図5に示すように、第2変形例では、インク供給機構20は、充填したインクを記録ヘッド13に供給する供給ポンプ23を備えずに、インクコンテナ14からインクを吸引する吸引ポンプ60のみを備えて構成されてもよい。第2変形例では、主流路24の途中にダイアフラムポンプ等の吸引ポンプ60が設けられる。吸引ポンプ60とサブタンク22との間で、主流路24の途中から分岐流路25が分岐していて、分岐流路25は、ヘッドフィルタ28を介して記録ヘッド13に接続されている。
【0058】
更に、主流路24の途中には、サブタンク22と分岐流路25との間に、主流路24を開閉する第7開閉部材61が設けられる。第7開閉部材61は、それぞれ制御部16によって制御されて、開放又は閉鎖する。
【0059】
次に、第2変形例のインク供給機構20の動作例について説明する。
【0060】
インク供給機構20は、通常時には、第7開閉部材61を開放する。これにより、サブタンク22に貯留されたインクの水頭圧が、主流路24、分岐流路25を介して記録ヘッド13に作用し、吸引ポンプ60を動作させることで、インクを記録ヘッド13へと供給することができる。
【0061】
また、インク供給機構20は、パージ処理時には、第7開閉部材61を閉鎖する。これにより、吸引ポンプ60を動作させることで、インクをサブタンク22に作用させることなく、インクを記録ヘッド13へと供給してパージ処理を行うことができる。
【0062】
本実施形態では、画像形成装置としてプリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、インクジェット式のインク供給機構を備えるものであれば、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の異なる画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 プリンター(画像形成装置)
13 記録ヘッド
13、13K、13C、13M、13Y 記録ヘッド
14、14K、14C、14M、14Y インクコンテナ
20 インク供給機構
21、60 吸引ポンプ
22 サブタンク
23、50 供給ポンプ
24 主流路
25 分岐流路
27 制限部材
36 タンク本体
37 レベルセンサ
38 フロート
39 可動部
40 フロート検出部