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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174432
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65H5/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092249
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】村島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 博之
(72)【発明者】
【氏名】床次 実
(72)【発明者】
【氏名】合田 光弘
【テーマコード(参考)】
3F049
【Fターム(参考)】
3F049AA01
3F049AA02
3F049BA04
3F049DB05
3F049LA16
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】搬送板の熱膨張による記録媒体の吸引力の低下を抑制できる乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置3は、多数の貫通孔を有し、前記媒体を支持して所定の搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、多数の貫通孔を有し、前記搬送ベルトの内周面に接触して該搬送ベルトを支持する搬送板13と、前記搬送ベルトの前記貫通孔及び前記搬送板13の前記貫通孔を通して空気を吸引することで前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける吸引装置と、を備え、前記搬送板13は、前記搬送方向と平行な方向X2に伸縮可能に支持されている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された媒体を搬送しながら高温環境下で乾燥する乾燥装置であって、
多数の貫通孔を有し、前記媒体を支持して所定の搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
多数の貫通孔を有し、前記搬送ベルトの内周面に接触して該搬送ベルトを支持する搬送板と、
前記搬送ベルトの前記貫通孔及び前記搬送板の前記貫通孔を通して空気を吸引することで前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける吸引装置と、を備え、
前記搬送板は、前記搬送方向と平行な方向に伸縮可能に支持されていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトが巻き掛けられる駆動ローラー及び従動ローラーを更に備え、
前記搬送板は、前記駆動ローラー側の端部が移動不能に固定され、前記従動ローラー側の端部が移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記搬送板の伸縮可能な量は、前記駆動ローラーと前記従動ローラー間において、前記媒体の乾燥時の温度上昇によって前記搬送板が前記搬送方向と平行な方向に熱膨張する量以上であることを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記搬送板は、前記搬送方向に沿って固定部材を介して連結された複数枚の板片からなり、
前記固定部材は、前記搬送方向と平行な方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記固定部材が支持される支持板を更に備え、
前記支持板は、前記搬送方向と交差する方向に離間して配置されたピンを有し、
前記固定部材は、前記ピンが挿通される前記搬送方向に沿った長孔を有していることを特徴とする請求項4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記駆動ローラーは、前記搬送方向の下流側に配置され、前記従動ローラーは、前記搬送方向の上流側に配置され、
前記搬送板の、前記搬送方向の上流側の端部は、下方に湾曲していることを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成された記録媒体を搬送しながら高温環境下で乾燥する乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式の画像形成装置を含む画像形成システムには、記録媒体に形成されたインクを乾燥する乾燥装置が備えられる。特許文献1に記載の乾燥装置は、全面に貫通孔が形成された搬送ベルトと、全面に貫通孔が形成され、搬送ベルトを支持する搬送板と、搬送ベルトの貫通孔と搬送板の貫通孔を通して空気を吸引することで、記録媒体を搬送ベルトに引き付ける吸引部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-134456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような乾燥装置では、搬送板は、搬送ベルトが支持されるフレームに固定されている。乾燥装置の作動中の高温環境下においては、搬送板が加熱されて熱膨張して搬送板が浮き上がってしまうことがある。すると、隙間が形成されて空気が漏れ、吸引部によって記録媒体を吸引する力が低下し、記録媒体の搬送不良や乾燥不良が生じる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、搬送板の熱膨張による記録媒体の吸引力の低下を抑制できる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の乾燥装置は、画像が形成された媒体を搬送しながら高温環境下で乾燥する乾燥装置であって、多数の貫通孔を有し、前記媒体を支持して所定の搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、多数の貫通孔を有し、前記搬送ベルトの内周面に接触して該搬送ベルトを支持する搬送板と、前記搬送ベルトの前記貫通孔及び前記搬送板の前記貫通孔を通して空気を吸引することで前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける吸引装置と、を備え、前記搬送板は、前記搬送方向と平行な方向に伸縮可能に支持されていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記搬送ベルトが巻き掛けられる駆動ローラー及び従動ローラーを更に備え、前記搬送板は、前記駆動ローラー側の端部が移動不能に固定され、前記従動ローラー側の端部が移動可能に支持されていることを特徴としてもよい。
【0008】
本発明において、前記搬送板の伸縮可能な量は、前記駆動ローラーと前記従動ローラー間において、前記媒体の乾燥時の温度上昇によって前記搬送板が前記搬送方向と平行な方向に熱膨張する量以上であることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明において、前記搬送板は、前記搬送方向に沿って固定部材を介して連結された複数枚の板片からなり、前記固定部材は、前記搬送方向と平行な方向に移動可能に支持されていることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明において、前記固定部材が支持される支持板を更に備え、前記支持板は、前記搬送方向と交差する方向に離間して配置されたピンを有し、前記固定部材は、前記ピンが挿通される前記搬送方向に沿った長孔を有していることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明において、前記駆動ローラーは、前記搬送方向の下流側に配置され、前記従動ローラーは、前記搬送方向の上流側に配置され、前記搬送板の、前記搬送方向の上流側の端部は、下方に湾曲していることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高温環境下において搬送板が熱膨張した場合、搬送方向と平行な方向への搬送板の伸縮が許容されているので、搬送板の浮き上がりが抑制される。したがって、記録媒体を吸引する力を低下させずに記録媒体を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の内部を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、搬送ユニット(搬送ベルトは図示省略)を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、搬送ユニット(搬送ベルト、搬送板の一部は図示省略)を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、駆動ローラー側の搬送板を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、従動ローラー側の搬送板を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る乾燥装置について説明する。
【0015】
まず、図1を参照して、乾燥装置1の全体の構成について説明する。図1は乾燥装置1の内部を示す正面図である。各図に示すFr、Rr、L、Rは、乾燥装置1の前側、後側、左側、右側をそれぞれ示す。
【0016】
乾燥装置1は、インクジェット方式によって画像が形成された記録媒体を搬送する搬送ユニット3と、搬送ユニット3によって搬送される記録媒体のインクを高温環境によって乾燥させる加熱装置5と、を備えている。
【0017】
まず、搬送ユニット3について、図1図2図5を参照して説明する。図2及び図3は搬送ユニット3を示す斜視図、図4は駆動ローラー33側の搬送板13を示す斜視図、図5は従動ローラー31側の搬送板13を示す側面図である。図2は搬送ベルト11が図示省略されており、図3は搬送ベルト11と板片41の一部が図示省略されている。
【0018】
搬送ユニット3は、図1の右から左へ向かう搬送方向X1に沿って記録媒体を搬送する搬送ベルト11と、搬送ベルト11を支持する搬送板13と、記録媒体を搬送ベルト11に引き付ける吸引装置15と、これらを支持するフレーム17と、を備えている。
【0019】
最初に、フレーム17について説明する。フレーム17は、前後に所定の間隔を開けて配置された、幅方向Y(搬送方向X1と交差する方向、前後方向)に長い前後の側板21(図2図3参照)と、前後の側板21間に設けられた底板23(図3参照)と、底板23よりも上方において前後の側板21間に設けられた支持板25(図3参照)と、を有している。前後の側板21の内側の面には、所定の高さ位置に、左右方向に沿ってレール21a(図3参照)が形成されている。
【0020】
図3に示されるように、底板23と支持板25との間の空間は、幅方向Yに沿った3枚の仕切り板27によって、搬送方向X1に並んだ2つの下部屋29(図1も参照、搬送方向X1の下流側から順に、29-1、29-2とする)に区切られている。この例では、下流側の下部屋29-1の容積が、上流側の下部屋29-2の容積よりもやや大きく形成されている。支持板25には、搬送方向X1に沿って所定の間隔を開けて複数個の矩形状の開口25aが形成されている。
【0021】
前後の側板21の上流側の端部(右端部)間には、従動ローラー31が回転可能に支持され、下流側の端部(左端部)間には駆動ローラー33が回転可能に支持されている。駆動ローラー33は、モーター(図示省略)に接続されている。
【0022】
次に、搬送ベルト11について説明する。搬送ベルト11は無端状のベルトであり、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が全面に形成されている。図1に示されるように、搬送ベルト11は、駆動ローラー33と従動ローラー31とに巻き掛けられている。駆動ローラー33がモーターで駆動されて回転することで、搬送ベルト11は図1の反時計回り方向に循環して走行する。上側の軌道に沿った搬送ベルト11の外側の面が、記録媒体が搬送される搬送面となる。
【0023】
次に、搬送板13について説明する。搬送板13は、上側の軌道を走行する搬送ベルト11の内周面(搬送面の裏側の面)に接触して、搬送ベルト11を支持する。搬送ベルト11の走行時、搬送ベルト11の内周面は、搬送板13の上側の面に沿って摺動する。
【0024】
図2に示されるように、搬送板13は、搬送方向X1に沿って配置された複数枚(この例では4枚)の矩形状の板片41(下流側から順に、言い換えると、駆動ローラー33の側から順に、第1、第2、第3、第4板片41-1、41-2、41-3、41-4とする)からなる。各板片41は、アルミニウムやSUSで作成される。4枚の板片41には、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が全面に形成されている。4枚の板片41は、前後の側板21間の間隔と同じ幅及び所定の厚さを有している。また、搬送方向X1に沿った長さは、第1板片41-1が一番目に短く、第4板片41-4が二番目に短く、第2、第3板片41-2、41-3が同じ長さで最も長い。
【0025】
図4に示されるように、第1板片41-1は、下流側の端部(左端部)が下方に屈曲している。この屈曲した端部には、貫通孔は形成されていない。また、図5に示されるように、第4板片41-4は、上流側の端部41a(右端部)が下方に屈曲している。
【0026】
図3及び図4に示されるように、4枚の板片41は、フレーム17の前後の側板21に形成されたレール21aに乗り、固定部材によって順に連結されると共に支持板25に支持されている。図3に示されるように、固定部材は、2個の端部固定部材43(下流側から順に、言い換えると、駆動ローラー33の側から順に、第1、第2端部固定部材43-1、43-2とする)と、3個の中間固定部材45(下流側から順に、言い換えると、駆動ローラー33の側から順に、第1、第2、第3中間固定部材45-1、45-2、45-3とする)とを含んでいる。端部固定部材43と中間固定部材45の高さは、フレーム17の支持板25から前後の側板21に形成されたレール21aの上面までの高さと等しく、幅は、前後の側板21のレール21a間の間隔と等しい。
【0027】
図4に示されるように、端部固定部材43は、断面形状がコの字状であり、互いに平行な上板43a及び下板43bと、上下板43a、43bに対して垂直な縦板43cと、を有している。中間固定部材45は、断面形状がZ字状で、互いに平行な上板45a及び下板45bと、上下板45a、45bに対して垂直な縦板45cと、を有している。
【0028】
両固定部材43、45の上板43a、45aには、幅方向Wに沿ったスリット(図4には、第1中間固定部材45-1の上板45aのスリット45dのみを図示)が形成されている。また、第2端部固定部材43-2の下板43bと3個の中間固定部材45の下板45bには、幅方向Wに所定の間隔を開けて、搬送方向X1に沿った長孔(図4には、第1中間固定部材45-1の下板45bの長孔45eのみを図示)が形成されている。
【0029】
図3に示されるように、第1端部固定部材43-1は、上板43aと下板43bとが従動ローラー31側に向く姿勢をとり、第2端部固定部材43-2は上板43aと下板43bとが駆動ローラー33側に向く姿勢をとっている。第1~第3中間固定部材45-1、45-2、45-3は、上板45aが駆動ローラー33側を向き、下板45bが従動ローラー31側を向く姿勢をとっている。
【0030】
図3に示されるように、第1板片41-1の下流側端部は、第1端部固定部材43-1に固定され、上流側端部は、第1中間固定部材45-1に固定されている。第2板片41-2(図3には図示省略)の下流側端部は、第1中間固定部材45-1に固定され、上流側端部は、第2中間固定部材45-2に固定されている。第3板片41-3の下流側端部は、第2中間固定部材45-2に固定され、上流側端部は、第3中間固定部材45-3に固定されている。第4板片41-1の下流側端部は、第3中間固定部材45-3に固定され、上流側端部は、第2端部固定部材43-2に固定されている。
【0031】
以下、詳細に説明する。図4に示されるように、第1板片41-1の下流側の端部は、第1端部固定部材43-1の上板43aに、幅方向Yに所定の間隔を開けてビスBで固定され、上流側の端部は、第1中間固定部材45-1の上板45aの先端側(駆動ローラー33側)に、幅方向Yに所定の間隔を開けてビスBで固定されている。各ビスBの上面は、第1板片41-1の上面から突出していない。第1端部固定部材43-1の下板43bは、支持板25に固定されている。一方で、第1中間固定部材45-1の下板45bの長孔45eは、幅方向Yに所定の間隔を開けて支持板25に立設されたヘッド付きのピン51に外嵌されている。つまり、第1中間固定部材45-1は、搬送方向X1と平行な方向X2(図2参照、この例では、搬送方向X1と反対の方向)に移動可能となっている。さらに、ピン51のヘッドによって、第1中間固定部材45-1の下板45bは上下方向の移動が規制されている。
【0032】
また、第1板片41-1の下流側の端部は、駆動ローラー33に可能な限り近接するように、第1端部固定部材43-1によって位置決めされている。
【0033】
第2板片41-2の下流側の端部は、第1中間固定部材45-1の上板45aの基端側(従動ローラー31側)に、幅方向Yに所定の間隔を開けてビスで固定され、上流側の端部は、第2中間固定部材45-2の上板45aの先端側(駆動ローラー33側)に、幅方向Yに所定の間隔を開けてビスで固定されている。各ビスの上面は、第2板片41-2の上面から突出していない。ここで、第2板片41-2の下流側の端部と、第1板片41-1の上流側の端部とは、厚さ方向に重なっていない。第2中間固定部材45-2の下板45bの長孔45eは、幅方向Yに所定の間隔を開けて支持板25に立設されたヘッド付きのピン51に外嵌されている。このように、第2中間固定部材45-2も、搬送方向X1と平行な方向X2に移動可能となっている。さらに、ピン51のヘッドによって、第2中間固定部材45-2の下板45bも上下方向の移動が規制されている。
【0034】
第3板片41-3の下流側の端部は、第2中間固定部材45-2の上板45aの基端側(従動ローラー31側)に、幅方向Yに所定の間隔を開けてビスで固定され、上流側の端部が、第3中間固定部材45-3の上板45aの先端側(駆動ローラー33側)に、幅方向Yに所定の間隔を開けてビスで固定されている。ここでも、各ビスの上面は、第3板片41-3の上面から突出していない。また、第3板片41-3の下流側の端部と、第2板片41-2の上流側の端部とは、厚さ方向に重なっていない。第3中間固定部材45-3の下板45bの長孔45eは、幅方向Yに所定の間隔を開けて支持板25に立設されたヘッド付きのピン51に外嵌されている。このように、第3中間固定部材45-3も、搬送方向X1と平行な方向X2に移動可能となっている。さらに、ピン51のヘッドによって、第3中間固定部材45-3の下板45bも上下方向の移動が規制されている。
【0035】
第4板片41-4の下流側の端部は、第3中間固定部材45-3の上板の基端側(従動ローラー31側)に、幅方向Yに所定の間隔を開けてビスで固定され、上流側の端部が、第2端部固定部材43-2の上板43aに、幅方向Yに所定の間隔を開けてビスで固定されている。ここでも、各ビスの上面は、第4板片41-4の上面から突出していない。また、第4板片41-4の下流側の端部と、第3板片41-3の上流側の端部とは、厚さ方向に重なっていない。第2端部固定部材43-2の下板43bの長孔43eは、幅方向Yに所定の間隔を開けて支持板25に立設されたヘッド付きのピン51に外嵌されている。このように、第2端部固定部材43-2も、搬送方向X1と平行な方向X2に移動可能となっている。さらに、ピン51のヘッドによって、第2端部固定部材43-2の下板43bも上下方向の移動が規制されている。
【0036】
図5に示されるように、第4板片41-4の上流側端部と、従動ローラー31とは所定の間隔が開いている。この間隔は、後述する加熱装置5による高温環境下において搬送板13が熱膨張する量以上(一例で、2mm以上)に設定されている。
【0037】
このように、第1端部固定部材43-1は支持板25に固定され、第1~第3中間固定部材45-1、45-2、45-3と第2端部固定部材43-2とは、搬送方向X1と平行な方向X2に沿って、駆動ローラー33の側から従動ローラー31の側へ移動可能となっている。
【0038】
さらに、図1図3に示されるように、搬送板13と支持板25との間の空間が、端部固定部材43と中間固定部材45とによって、搬送方向X1に並んだ4つの上部屋61(下流側から順に、言い換えると、駆動ローラー33の側から順に、第1、第2、第3、第4上部屋61-1、61-2、61-3、61-4とする)に区切られる。これらの上部屋61は、支持板25に形成された開口25aを介して、下部屋29のいずれかと連通している。この例では、第1上部屋61-1の容積が最も狭く、第4上部屋61-4の容積が二番目に狭く、第2、第3上部屋61-2、61-3の容積が同じで最も広い。
【0039】
次に、吸引装置15について説明する。図1に示されるように、吸引装置15は、フレーム17の2つの下部屋29-1、29-2に配置されている。吸引装置15が駆動されることで、搬送ベルト11の貫通孔及び搬送板13の貫通孔の空気が、支持板25に形成された開口25aと第1~第4上部屋61-1、61-2、61-3、61-4とを通して取り込まれる。
【0040】
次に、加熱装置5について説明する。図1に示されるように、加熱装置5は、搬送ユニット3の上方に配置され、複数個の送風ファン71と、ヒーターユニット73と、を備えている。送風ファン71は、空気を取り込んで下方に向かう気流を発生する。ヒーターユニット73は、発生した気流を加熱する。
【0041】
上記構成を有する乾燥装置1の乾燥動作について説明する。搬送ユニット3においては、駆動ローラー33が駆動されて回転して搬送ベルト11が走行する。その後、インクジェット方式によって画像が形成された記録媒体が、搬送ベルト11の搬送面に搬送される。また、吸引装置15が駆動される。これにより、前述のように搬送ベルト11の貫通孔及び搬送板13の貫通孔内の空気が、第1~第4上部屋61-1、61-2、61-3、61-4と支持板25に形成された開口25aを通して取り込まれ、搬送ベルト11の搬送面の上方が負圧になる。すると、記録媒体が搬送面に引き付けられる。このように、記録媒体は、搬送面に引き付けられながら搬送方向X1に沿って搬送される。
【0042】
なお、図3図4に示されるように、各板片41と各固定部材43、45の上板43a、45aとは重なっているが、上板43a、45aには幅方向Yに沿ってスリット45d(図3参照)が形成されており、このスリット45dと板片41の貫通孔とが連通する。このため、各板片41と各固定部材43、45の上板43a、45aとが重なっている部分においても、スリット45dと貫通孔とを通って空気が引き込まれるので、記録媒体を搬送ベルト11に引き付けることができる。
【0043】
さらに、加熱装置5の送風ファン71とヒーターユニット73とが駆動される。送風ファン71によって取り込まれた空気は、下方に向かって送風される。送風された空気は、ヒーターユニット73で加熱され、加熱された空気が搬送ユニット3を搬送される記録媒体に吹き付けられ、記録媒体のインクを乾燥させる。
【0044】
このように加熱装置5が駆動された高温環境下においては、搬送板13(第1~第4板片41-1、41-2、41-3、41-4)も高温に加熱されて熱膨張する場合がある。各板片41が搬送方向X1と平行な方向X2に熱膨張する場合、第1板片41-1は、駆動ローラー33側の端部(第1端部固定部材43-1)が固定され、従動ローラー31側の端部(第1中間固定部材45-1)は搬送方向X1と平行な方向X2に移動可能であるので、駆動ローラー33側の端部に対して従動ローラー31側の端部が従動ローラー31側に伸長する。一方で、第2~第4板片41-2、42-3、41-3は、両端部(第1~第3中間固定部材45-1、45-2、45-3、第2端部固定部材43-2)とも搬送方向X1と平行な方向X2に移動可能であるので、第1板片41-1の伸長に伴って、従動ローラー31側に移動すると共に従動ローラー31側に伸長する。これにより、搬送板13は全体として、駆動ローラー33側から従動ローラー31側に伸長する。
【0045】
さらに、第1~第3中間固定部材45-1~45-3と第2端部固定部材43-2とは、上下方向への移動が規制されているので、各板片41が上向きに反るような変形も規制される。
【0046】
このように搬送板13が伸長しても、第4板片41-4の上流側端部と従動ローラー31とは所定の間隔が開いている(図5参照)ので、第4板片41-4は従動ローラー31に干渉しない。また、搬送板13が伸長した状態で第4板片41-4が従動ローラー31の側に接近しても、第4板片41-4の上流側端部41aは下方に屈曲している(図5参照)ので、搬送ベルト11には接触せず、搬送ベルト11の走行を妨げない。
【0047】
なお、搬送板13の周囲の温度が所定の温度よりも低くなると、搬送板13は駆動ローラー33の側に収縮して元の長さに戻る。
【0048】
上記説明から明らかなように、本発明の乾燥装置1によれば、高温環境下において搬送板13が熱膨張した場合、搬送方向X1と平行な方向X2への搬送板13の伸縮が許容されているので、搬送板13の浮き上がりが抑制される。したがって、吸引装置15によって記録媒体を吸引する力を低下させずに記録媒体を搬送することができる。
【0049】
また、搬送板13は、一方の端部が固定されているので、熱膨張すると、一方の端部から他方の端部へ向かって伸長する。例えば、搬送板13の一方の端部が固定されていない場合、熱膨張時に各板片41が異なる方向(搬送方向X1又はその反対方向X2)に伸長すると、全体として搬送板13の伸長が不安定になる。本発明では、搬送板13は一方の端部が固定されているので、全ての板片41が、一方の端部から他方の端部へ向かって同じ方向に伸長する。したがって、搬送板13を安定して伸縮させることができる。
【0050】
さらに、搬送板13は、駆動ローラー33側の端部が固定されている。駆動ローラー33の回転軸は、乾燥装置1の装置本体(図示省略)に備えられるモーターの出力軸と同軸上に連結される。このため、駆動ローラー33は従動ローラー31よりも高い精度で位置決めされている。そこで、搬送板13の駆動ローラー33側の端部を固定することで、搬送板13が熱膨張した場合でも、搬送板13の駆動ローラー33側の端部と駆動ローラー33の位置関係を維持したまま、駆動ローラー33の側から従動ローラー31の側へ搬送板13を伸長させることができる。さらに、搬送板13と駆動ローラー33とをできるだけ近接させることで、搬送方向X1の下流側まで記録媒体を搬送板13に引く付けることができるので、記録媒体を乾燥装置1の下流側に安定して搬送することができる。
【0051】
なお、搬送板13は幅方向Yへも熱膨張するが、幅方向Yに沿った長さは搬送方向X1に沿った長さよりも短いので、熱膨張の影響を受けにくい。
【0052】
また、搬送板13は、中間固定部材45を介して連結された複数枚の板片41からなり、中間固定部材45が、搬送方向X1と平行な方向X2に移動可能に支持されている。これにより、板片41の上面を平坦に形成しやすくなるので、搬送ベルト11と搬送板13との摺動性を妨げずに、板片41を連結することができる。また、各固定部材43、45は、搬送方向X1に沿った長孔に沿って移動するので、各板片41も搬送方向X1と平行な方向X2に安定して伸縮可能である。なお、板片41の枚数は4枚に限らない。
【0053】
また、搬送板13の伸縮時に、固定部材43、45が円滑に移動するように、固定部材43、45の下板43b、45bの下面に摺動性の良好な部材を貼り付けたり、下板43b、45bの下面に半球状の突起を形成して固定部材43、45と支持板25との接触面積を狭くしたりしてもよい。
【0054】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、上記実施形態は様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0055】
1 乾燥装置
11 搬送ベルト
13 搬送板
15 吸引装置
25 支持板
31 従動ローラー
33 駆動ローラー
41 板片
43、45 固定部材
51 ピン
図1
図2
図3
図4
図5