(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174433
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/24 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65H29/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092250
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】床次 実
(72)【発明者】
【氏名】合田 光弘
(72)【発明者】
【氏名】村島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 博之
【テーマコード(参考)】
3F049
【Fターム(参考)】
3F049AA01
3F049AA02
3F049BA04
3F049BB09
3F049BB11
3F049FC01
3F049FC21
3F049LA16
3F049LB01
(57)【要約】
【課題】媒体を安定して搬送しながら乾燥する乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置1は、画像が形成された媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送装置3と、前記搬送装置3で搬送される媒体の上方から該媒体に向けて送風することで媒体を乾燥する送風装置5と、前記搬送方向と交差する媒体の幅方向における前記搬送装置3の両側から媒体の上方の空気を取り込んで排気する排気装置7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送装置と、
前記搬送装置で搬送される媒体の上方から該媒体に向けて送風することで媒体を乾燥する送風装置と、
前記搬送方向と交差する媒体の幅方向における前記搬送装置の両側から媒体の上方の空気を取り込んで排気する排気装置と、を備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記排気装置は、前記幅方向において前記搬送装置の両側に配置されたダクトを備え、前記ダクトを介して前記媒体の上方の空気を取り込むことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、
前記媒体を支持する搬送面を有し、多数の貫通孔が開けられた無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの前記搬送面と反対側の面に接触して該搬送ベルトを支持する、多数の貫通孔が開けられた搬送板と、
前記搬送ベルトの貫通孔と前記搬送板の貫通孔とを負圧にして前記搬送面に前記媒体を引き付ける吸引装置と、を備え、
前記搬送板は、前記搬送方向において前記送風装置よりも上流側が下流側よりも前記媒体を前記搬送面に引き付ける力が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記搬送装置は、
前記媒体を支持する搬送面を有し、多数の貫通孔が開けられた無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの前記搬送面と反対側の面に接触して該搬送ベルトを支持する、多数の貫通孔が開けられた搬送板と、
前記搬送ベルトの貫通孔と前記搬送板の貫通孔とを負圧にして前記搬送面に前記媒体を引き付ける吸引装置と、を備え、
前記搬送板は、前記幅方向における中央側が両端側よりも前記媒体を前記搬送面に引き付ける力が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクによって画像が形成された媒体を搬送しながら乾燥する乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式の画像形成装置を含む画像形成システムには、媒体に形成された画像(インク)を乾燥する乾燥装置が備えられている。乾燥装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、外気を取り込んで媒体に向けて送風する送風ファンを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の乾燥装置の送風ファンは、媒体に対してほぼ垂直な方向から空気を吹き付けている。この場合、媒体に強い風が当たると、インクが流れて画像品質が劣化することがある。また、媒体に吹き付けられた空気が、媒体の搬送方向の上流側や下流側に流れると、後続の媒体の先端が捲れ上がったり、先の媒体の後端が捲れ上がったりして、媒体の搬送不良が発生する。
【0005】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、媒体を安定して搬送しながら乾燥する乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の乾燥装置は、画像が形成された媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送装置と、前記搬送装置で搬送される媒体の上方から該媒体に向けて送風することで媒体を乾燥する送風装置と、前記搬送方向と交差する媒体の幅方向における前記搬送装置の両側から媒体の上方の空気を取り込んで排気する排気装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記排気装置は、前記幅方向において前記搬送装置の両側に配置されたダクトを備え、前記ダクトを介して前記媒体の上方の空気を取り込むことを特徴としてもよい。
【0008】
本発明において、前記搬送装置は、前記媒体を支持する搬送面を有し、多数の貫通孔が開けられた無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの前記搬送面と反対側の面に接触して該搬送ベルトを支持する、多数の貫通孔が開けられた搬送板と、前記搬送ベルトの貫通孔と前記搬送板の貫通孔とを負圧にして前記搬送面に前記媒体を引き付ける吸引装置と、を備え、前記搬送板は、前記搬送方向において前記送風装置よりも上流側が下流側よりも前記媒体を前記搬送面に引き付ける力が大きくなるように形成されていることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明において、前記搬送装置は、前記媒体を支持する搬送面を有し、多数の貫通孔が開けられた無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの前記搬送面と反対側の面に接触して該搬送ベルトを支持する、多数の貫通孔が開けられた搬送板と、前記搬送ベルトの貫通孔と前記搬送板の貫通孔とを負圧にして前記搬送面に前記媒体を引き付ける吸引装置と、を備え、前記搬送板は、前記幅方向における中央側が両端側よりも前記媒体を前記搬送面に引き付ける力が大きくなるように形成されていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、幅方向における搬送装置の両側から媒体の上方の空気を取り込んで排気する排気装置を備えるので、送風装置から搬送装置の上方に吹き出されて搬送方向の上流側や下流側に流れる空気の量を少なくすることができる。したがって後続の媒体の先端が捲れ上がったり先の媒体の後端が捲れ上がったりする媒体の搬送不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥装置を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る乾燥装置(送風装置は省略)を上方から見た斜視図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、風の流れを説明する平面図である。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、風の流れを説明する断面斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、搬送板の第1の変形例を示す斜視図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、搬送板の第2の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る乾燥装置について説明する。
【0013】
まず、
図1を参照して、乾燥装置1の全体の構成について説明する。
図1は乾燥装置1の内部を示す正面図である。各図に示すFr、Rr、L、Rは、乾燥装置1の前側、後側、左側、右側をそれぞれ示す。
【0014】
乾燥装置1は、インクジェット方式によって画像が形成された媒体を搬送方向X(
図1の右から左へ向かう方向)に沿って搬送する搬送装置3と、搬送装置3によって搬送される媒体(カットされたシート、長尺のシート等)を乾燥させる送風装置5と、搬送装置3の上方の空間を排気する排気装置7と、を備えている。
【0015】
まず、搬送装置3について説明する。搬送装置3は、媒体を搬送する搬送ベルト11と、搬送ベルト11を支持する搬送板13と、媒体を搬送ベルト11に引き付ける吸引装置15と、を備えている。
【0016】
搬送ベルト11は無端状のベルトであり、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が全面に形成されている。搬送ベルト11は、駆動ローラー17と従動ローラー19とに巻き掛けられている。駆動ローラー17がモーター(図示省略)で駆動されて回転することで、搬送ベルト11は
図1の反時計回り方向に循環走行する。上側の軌道に沿った搬送ベルト11の外側の面が、媒体が搬送される搬送面となる。
【0017】
搬送板13は、上側の軌道を走行する搬送ベルト11の内周面(搬送面の裏側の面)に接触して、搬送ベルト11を支持する。搬送ベルト11の走行時、搬送ベルト11の内周面は、搬送板13の上側の面に沿って摺動する。搬送板13には、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が全面に形成されている。
【0018】
吸引装置15は、搬送ベルト11の中空部に配置されている。吸引装置15が駆動されることで、搬送ベルト11の貫通孔及び搬送板13の貫通孔の空気が取り込まれて、搬送ベルト11の搬送面に媒体が引き付けられる。
【0019】
次に、送風装置5について説明する。この例では、2台の送風装置5が、搬送装置3の上方に、搬送方向Xに並んで配置されている。詳細には、2台の送風装置5は、搬送装置3の搬送方向Xの下流側の部分の上方に配置されている。2台の送風装置5と搬送装置3の搬送ベルト11の搬送面との間には、所定の空間が空いている。
【0020】
各送風装置5は、下面が開口した箱状のケーシング21を有している。ケーシング21の天面には、2台の吹付けファン23が備えられている。4台のファン23は、ケーシング21の内部に空気を送り込む。ケーシング21の内部には熱源25が設けられている。熱源25は、ケーシング21の内部の空気を加熱する。2台のファン23によってケーシング21内に送り込まれた空気が熱源25によって加熱され、加熱された空気が下方に吹き出されることで、搬送装置3の搬送ベルト11の搬送面を搬送される媒体が乾燥される。
【0021】
次に、排気装置7について、
図2と、
図3A及び
図3Bも参照して説明する。
図2は乾燥装置1(送風装置5は省略)を上方から見た斜視図である。
図3A及び
図3Bは排気装置7の風の流れを説明する図である。
【0022】
図1及び
図2に示されるように、排気装置7は、搬送装置3の上方において、2台の送風装置5の下流側に配置されている。排気装置7は、搬送方向Xと直交する媒体の幅方向Yにおいて搬送装置3の両側に配置された2個の吸気ダクト31と、2個の吸気ダクト31が合流する合流ダクト33と、合流ダクト33と外部とを連通する排気ダクト35と、合流ダクト33と排気ダクト35との間に配置された排気ファンとしてのクロスフローファン37と、を有している。
【0023】
図2に示されるように、2個の吸気ダクト31は、それぞれ、搬送ベルト11の上側の軌道の両側に、搬送方向Xに沿って配置されている。搬送方向Xに沿った吸気ダクト31の長さは、送風装置5の長さとほぼ等しい。各吸気ダクト31の、搬送ベルト11の上方の空間に面する面には、搬送方向Xに沿った2個の吸気口31aが形成されている。
図3Aに示されるように、各吸気ダクト31の、搬送方向Xの下流側の端部には、排気口31bが形成されている。合流ダクト33の吸気口33aは、2個の吸気ダクト31の排気口31bに連通している。
【0024】
図3Bに示されるように、合流ダクト33の上面には、排気口33bが形成されている。合流ダクト33の排気口33bには、クロスフローファン37の下向きの吸込み口37aが連通している。クロスフローファン37の吹出口37bは、搬送方向Xの下流側に開口して、排気ダクト35の吸気口35aに連通している。排気ダクト35は湾曲しながら上方に延びている。排気ダクト35の排気口35bは上向きに開口している。
【0025】
クロスフローファン37が駆動されることで、2個の吸気ダクト31の吸気口31aから空気が取り込まれ、撮り込まれた空気が2個の吸気ダクト31から合流ダクト33と排気ダクト35を通って外部に排気される。
【0026】
上記構成を有する乾燥装置1の乾燥動作について、
図1と
図3A及び
図3Bを参照して説明する。搬送装置3においては、駆動ローラー17が駆動されて回転して搬送ベルト11が走行する。その後、インクジェット方式によって画像が形成された媒体が、搬送ベルト11の搬送面に搬送される。また、吸引装置15が駆動される。これにより、前述のように搬送ベルト11の貫通孔及び搬送板13の貫通孔内の空気が取り込まれ、搬送ベルト11の搬送面の上方が負圧になる。すると、媒体が搬送面に引き付けられる。このように、媒体は、搬送ベルト11の搬送面に引き付けられながら搬送方向Xに沿って搬送される。
【0027】
さらに、各送風装置5が駆動されて、2台のファン23によってケーシング21内に送り込まれた空気が熱源25によって加熱され、加熱された空気が下方に吹き出される。加熱された空気は、搬送装置3の搬送ベルト11によって搬送される媒体に吹き付けられ、媒体(インク)を乾燥させる。
【0028】
また、このように下方に吹き出された空気は、搬送ベルト11や媒体に当たって、搬送ベルト11と送風装置5との間の空間(媒体の上方の空間)を通って、搬送方向Xの上流側や下流側に流れる(
図1の矢印参照)。
【0029】
さらに、排気装置7の排気ファン37が駆動される。すると、
図3Aの矢印に示されるように、2個の吸気ダクト31の吸気口31aから、搬送ベルト11の上方の空間の空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、2個の吸気ダクト31内を合流ダクト33に向かって下流側に流れる。その後、吸い込まれた空気は、
図3Bの矢印に示されるように、合流ダクト33内を上昇し、排気ダクト35を通って外部へ排気される。
【0030】
上記説明から明らかなように、本発明の乾燥装置1によれば、搬送ベルト11の上方の空間の空気が、幅方向Yに沿って2個の吸気ダクト31に吸い込まれる。このため、送風装置5から搬送ベルト11の上方の空間に吹き出されて搬送方向Xの上流側や下流側に流れる空気(
図1の矢印で示す)の量を少なくすることができる。したがって後続の媒体の先端が捲れ上がったり先の媒体の後端が捲れ上がったりする媒体の搬送不良を抑制できる。
【0031】
次に、
図4A及び
図4Bを参照して本発明の乾燥装置1の変形例について説明する。
図4A及び
図4Bは搬送装置3の搬送板13を模式的に示す斜視図である。
【0032】
図4Aに示す第1の変形例では、送風装置5よりも搬送方向Xの上流側における搬送板13の一部Aが、媒体を引き付ける力が大きくなるように形成されている。具体的には、搬送板13に形成される貫通孔の径や数を調整することで、他の部分よりも媒体を引き付ける力を大きくすることができる。
【0033】
前述のように、送風装置5から搬送ベルト11の上方の空間に吹き出されて、搬送方向Xの上流側に流れる空気によって、後続の媒体の先端が捲れ上がることがある。そこで、送風装置5の下流側で、媒体を搬送ベルト11に引き付ける力を大きくすることで、媒体の捲れ上がりをより確実に抑制することができる。なお、送風装置5よりも搬送方向Xの下流側における搬送板13の一部も、媒体を引き付ける力が大きくなるように形成してもよい。
【0034】
図4Bに示す第2の変形例では、幅方向Yにおける搬送板13の中央部Aが、媒体を引き付ける力が大きくなるように形成されている。具体的には、前述と同様に、貫通孔の径や数を調整することで、他の部分よりも媒体を引き付ける力を大きくすることができる。
【0035】
媒体が小サイズの場合、送風装置5から搬送ベルト11の上方の空間に吹き出されて、搬送方向Xの上流側に流れる空気によって、先端が特に捲れ上がりやすい。そこで、幅方向Yの中央部Aで、媒体を搬送ベルト11に引き付ける力を大きくすることで、小サイズの媒体を確実に搬送ベルト11に引き付けて搬送することができる。また、小サイズ以外の媒体においても、中央部Aを搬送ベルト11に引き付ける力を大きくすることで、媒体の捲れ上がりを抑制する効果が得られる。
【0036】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、上記実施形態は様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0037】
1 乾燥装置
3 搬送装置
5 乾燥装置
7 排気装置
11 搬送ベルト
13 搬送板
15 吸引装置
31 吸気ダクト