(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174435
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20241210BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20241210BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/18
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092253
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪谷 真吾
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA16
2C056EC03
2C056EC06
2C056EC15
2C056EC32
2C056EC40
2C056FA10
2C056FA13
2C056JC17
2C056KB16
2C056KB26
2C056KB37
(57)【要約】
【課題】インクノズルからのインク吐出に不良を生じることを十分に抑制することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】インクノズル11からインクkを吐出するインクジェットヘッド2と、インクkをインクジェットヘッド2とその外部との間で循環させる循環装置と、インクジェットヘッド2のインクノズル面11aに向けてエアを吹き付けて異物および吐出したインクkから生じるミストを除去するエア吹き付け装置21と、循環装置を制御して、エア吹き付け装置21でエアの吹き付けを行っている際にはインクジェットヘッド2を駆動して画像形成を行っている際に比べてインクkを循環させる際の循環差圧を低減させる制御装置と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクを前記インクジェットヘッドとその外部との間で循環させる循環装置と、
前記インクジェットヘッドのインクノズル面に向けるエア吹き付け装置と、
前記循環装置を制御して、前記エア吹き付け装置でエアの吹き付けを行っている際には前記インクジェットヘッドを駆動して画像形成を行っている際に比べて前記インクを循環させる循環差圧を低減させる制御部と、
を備えている、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記循環装置は、前記インクジェットヘッドのインレット側とアウトレット側との差圧により前記インクの循環を行わせる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
スキャン型であり、
前記エア吹き付け装置は、前記インクジェットヘッドが前記画像形成を行う位置以外の位置にあるときに前記エアの吹き付けを行う、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記エア吹き付け装置は、前記インクジェットヘッドを移動させるキャリッジをメインテナンス部に移動した後に前記エアの吹き付けを行う、請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
シングルパス型であり、
前記エア吹き付け装置の前記エアを吹き出すエアノズルは、複数の前記インクジェットヘッドの並びに沿って複数個並んで配置されている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
シングルパス型であり、
前記エア吹き付け装置の前記エアを吹き出すエアノズルを、副走査方向に複数個の前記インクジェットヘッドの並びに沿って移動させる移動装置を、備えている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記エア吹き付け装置は、その吹き出すエアの風速を可変でき、
前記制御部は、前記風速の増大に伴って前記循環差圧を増大させる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記エア吹き付け装置による前記エアの吹き付けにより除去される前記異物および前記ミストが前記インクの吐出により画像形成される対象物である画像形成媒体に付着するのを抑制するシールド部材、を備えている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記循環差圧をブレーク圧以下としている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記エア吹き付け装置を制御して、前記インクジェットヘッドで画像形成するための画像データに基づいて複数の前記インクジェットヘッドのうち使用頻度が所定程度以上に高いものに限定して、前記エアの吹き付けを行う、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
スキャン型であり、
前記エア吹き付け装置は、前記インクジェットヘッドがスキャンで移動する際に前記エアで前記異物および前記ミストをスキャン方向側に吹き飛ばす、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
スキャン型であり、
前記エア吹き付け装置は、前記エアの吹き付けを毎スキャン行う、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
スキャン型であり、
前記エア吹き付け装置の前記エアを吹き出すノズルは、前記インクの吐出により画像形成を行う対象物である画像形成媒体側とは異なる方向を向いていて、
前記エア吹き付け装置は、前記インクジェットヘッドを移動させるキャリッジが前記画像形成媒体側に移動する際に前記エアの吹き付けを行う、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
インクノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクを前記インクジェットヘッドとその外部との間で循環させる循環装置と、
前記インクジェットヘッドのインクノズル面に向けてエアを吹き付けるエア吹き付け装置と、を備えるインクジェット記録装置を用い、
前記循環装置により、前記エア吹き付け装置でエアの吹き付けを行っている際には前記インクジェットヘッドを駆動して画像形成を行っている際に比べて前記インクを循環させる際の循環差圧を低減させる、インクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッドは、インクノズルからインクを吐出して画像形成を行う。インクノズルからインクを吐出する際には当該インクから派生する微細なインク粒子を含んだミストが空気中を舞う。そして、このミスト中のインク粒子はインクジェットヘッドのインクノズル面に付着する。さらに当該付着したインクに起因してインクノズル面にはゴミなどの異物も付着する。これらのインクノズル面に付着したミストや異物を放置していると、ノズルからのインクの吐出を阻害し、あるいは、インクの吐出方向が曲がってしまったりする。
【0003】
これに対して、特許文献1に開示の技術では、前記のように空気中に舞うミストをエアの吹き付けで吹き飛ばして、インクノズル面にミストや異物が付着することを抑制している。
また、特許文献1では、インクジェットヘッドのインクを循環させることにも言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、前記したインクノズル面へのミストや異物の付着の問題は低減できる。しかし、特許文献1の技術のようにインクノズル面にエアを吹き付けるとインクノズル面の乾燥を促進し、また、インクノズル内にエアを巻き込んでしまって、インクノズルからのインクの吐出に不良が生じやすい。
これに対して、インクジェットヘッド内のノズル近傍のインクを、インクジェットヘッド内とインクジェットヘッド外との間で循環させるようにすれば、インクノズル面の乾燥や、また、インクノズル内へのエアの巻き込みを抑制することができるので、ノズルからのインク吐出に不良を生じることを抑制することが期待できる。
【0006】
しかし、前記のエアの吹き付けでは、エアはインクジェットヘッドの略全てのノズルに吹き付けられることになる。そのため、前記のとおりインクを循環させるときの循環差圧が大きいと、インクジェットヘッド内のインクの流れを促進して、インクノズル側からインクジェットヘッド内への空気の巻き込みが多くなる。そのため、インクノズルからのインクの吐出に不良が生じることを十分には抑制することができないという不具合がある。
そこで、本発明の課題は、インクノズルからのインク吐出に不良を生じることを十分に抑制することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、インクノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクを前記インクジェットヘッドとその外部との間で循環させる循環装置と、前記インクジェットヘッドのインクノズル面に向けるエア吹き付け装置と、前記循環装置を制御して、前記エア吹き付け装置でエアの吹き付けを行っている際には前記インクジェットヘッドを駆動して画像形成を行っている際に比べて前記インクを循環させる循環差圧を低減させる制御部と、を備えている、インクジェット記録装置
である。
【0008】
(2)また、前記循環装置は、前記インクジェットヘッドのインレット側とアウトレット側との差圧により前記インクの循環を行わせる、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0009】
(3)また、スキャン型であり、前記エア吹き付け装置は、前記インクジェットヘッドが前記画像形成を行う位置以外の位置にあるときに前記エアの吹き付けを行う、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0010】
(4)また、前記エア吹き付け装置は、前記インクジェットヘッドを移動させるキャリッジをメインテナンス部に移動した後に前記エアの吹き付けを行う、(3)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0011】
(5)また、シングルパス型であり、前記エア吹き付け装置の前記エアを吹き出すエアノズルは、複数の前記インクジェットヘッドの並びに沿って複数個並んで配置されている、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0012】
(6)また、前記エア吹き付け装置の前記エアを吹き出すエアノズルを、副走査方向に複数個の前記インクジェットヘッドの並びに沿って移動させる移動装置を、備えている、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0013】
(7)また、前記エア吹き付け装置は、その吹き出すエアの風速を可変でき、前記制御部は、前記風速の増大に伴って前記循環差圧も増大させる、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0014】
(8)また、前記エア吹き付け装置による前記エアの吹き付けにより除去される前記異物および前記ミストが前記インクの吐出により画像形成される対象物である画像形成媒体に付着するのを抑制するシールド部材、を備えている、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0015】
(9)また、前記制御部は、前記循環差圧をブレーク圧以下としている、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0016】
(10)また、前記制御部は、前記エア吹き付け装置を制御して、前記インクジェットヘッドで画像形成するための画像データに基づいて複数の前記インクジェットヘッドのうち使用頻度が所定程度以上に高いものに限定して、前記エアの吹き付けを行う、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0017】
(11)また、スキャン型であり、前記エア吹き付け装置は、前記インクジェットヘッドがスキャンで移動する際に前記エアで前記異物および前記ミストをスキャン方向側に吹き飛ばす、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0018】
(12)スキャン型であり、前記エア吹き付け装置は、前記エアの吹き付けを毎スキャン行う、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0019】
(13)スキャン型であり、前記エア吹き付け装置の前記エアを吹き出すノズルは、前記インクの吐出により画像形成を行う対象物である画像形成媒体側とは異なる方向を向いていて、前記エア吹き付け装置は、前記インクジェットヘッドを移動させるキャリッジが前記画像形成媒体側に移動する際に前記エアの吹き付けを行う、(1)に記載のインクジェット記録装置としてもよい。
【0020】
(14)別の本発明は、インクノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクを前記インクジェットヘッドとその外部との間で循環させる循環装置と、前記インクジェットヘッドのインクノズル面に向けてエアを吹き付けるエア吹き付け装置と、を備えるインクジェット記録装置を用い、前記循環装置により、前記エア吹き付け装置でエアの吹き付けを行っている際には前記インクジェットヘッドを駆動して画像形成を行っている際に比べて前記インクを循環させる際の循環差圧を低減させる、インクジェット記録方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、インクノズルからのインク吐出に不良を生じることを十分に抑制することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置に用いるインクジェットヘッド及びその周辺の構造の概念図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置に用いる循環装置の構成を説明する系統図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置の要部の縦断面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置の制御系の電気的な接続を模式的に示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置が実行する制御について説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置の縦断面図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置のエア吹き付け装置の平面図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置のエア吹き付け装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を複数例説明する。
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置は、スキャン型のインクジェット記録装置の例である。すなわち、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドが移動して画像形成を行う装置である。
【0024】
図1は、本実施形態1に係るインクジェット記録装置に用いるインクジェットヘッド及びその周辺の構造の概念図である。このインクジェット記録装置1(
図3)のインクジェットヘッド2は、インクを吐出するインクノズル11が形成されたノズルプレート12を備えている。インクジェット記録装置1においては、複数色のインクごとにそれぞれ対応して複数個のインクノズル11を備えていることが一般的であるが、
図1では、便宜上、単一のインクノズル11のみを図示している。インクノズル11の内周面やその近傍のノズルプレート12の表面を、ここではインクノズル面11aと呼ぶ。インクジェットヘッド2の筐体13内には、インクkをインクノズル11に導くチャネル14と、チャネル14に対して容積変化を与えてインクkをインクノズル11から吐出させるピエゾ素子等のアクチュエータ28とが設けられている。
【0025】
チャネル14には、流路302を介して第1サブタンク55からインクkが供給される。各部におけるインクkの流れは、
図1において白抜き矢印で示している。インクkはインクジェットヘッド2と、その外部との間で循環装置29(
図2を参照して詳細は後記)によって循環される。このインクkの循環のために、筐体13内のチャネル14の上部からインクkをインクジェットヘッド2の外に排出する流路であるマニフォールド循環流路15が設けられている。また、チャネル14の下部でインクノズル11側(インクノズル11の近傍)からインクkをインクジェットヘッド2の外に排出する流路であるノズル循環流路16も設けられている。マニフォールド循環流路15とノズル循環流路16とはそれぞれの下流側で合流して流路303に接続し、流路303を介してインクジェットヘッド2内のインクkは第2サブタンク56に排出される。
【0026】
エア吹き付け装置21は、インクジェットヘッド2の動作に合わせてエアノズル22からエアをインクノズル面11aに吹き付ける装置である。エア吹き付け装置21のエアの吹き付けはポンプ等のアクチュエータ42(
図4)を駆動源として行う。エア吹き付け装置21は、インクノズル面11aにエアを吹き付け、インクノズル11から吐出されるインクkから生じて空中に漂う微細なインク粒子を含むミストを吹き飛ばす。これにより、インクノズル面11aにミストやそれに起因してゴミなどの異物が付着することを抑制する。より詳細なエア吹き付け装置21の構成については後記する。
【0027】
図2は、本実施形態1に係るインクジェット記録装置に用いる循環装置の構成を説明する系統図である。循環装置29は、メインタンク54、第1サブタンク55、第2サブタンク56、脱気モジュール61、フィルタ62、空圧制御部,66等を備えている。
メインタンク54と第1サブタンク55とは流路301により接続され、第1サブタンク55とインクジェットヘッド2とは流路302により接続され、インクジェットヘッド2と第2サブタンク56とは流路303により接続され、第2サブタンク56とメインタンク54とは流路304により接続されている。流路301~304は、それぞれ内部をインクkが通過する例えばチューブ状の部材である。
【0028】
インクジェットヘッド2は、第1サブタンク55から供給されたインクkの一部をインクノズル11から射出し、残ったインクkを第2サブタンク56に排出する。メインタンク54は、循環装置29の各部に流通されるインクkを貯留する。第1サブタンク55は、メインタンク54から供給されるインクkを貯留し、貯留されたインクkはインクジェットヘッド2に供給される。第1サブタンク55は、各種の接続箇所を除いて密閉されたタンク状の容器であり、インク層55aと空気層55bが形成されている。第2サブタンク56は、インクジェットヘッド51から回収されたインクを貯留する。第2サブタンク56は、各種の接続箇所を除いて密閉されたタンク状の容器であり、インク層56aと空気層56bが形成されている。
【0029】
流路301には、脱気モジュール61が設けられ、流路301を通過するインクkの脱気を行う。脱気モジュール61は、例えば、気体透過膜を介して片側にインクkを流下させ、その反対側の気圧を真空ポンプ等によって減圧することにより、気体透過膜に接するインクk中の溶存気体のみが気体透過膜を透過して除去されるように構成されている。
流路302には、フィルタ62が設けられ、流路302を通過するインクkに含まれる埃等の異物の除去を行う。フィルタ62の孔径としては、インクジェットヘッド2のノズル径以上の粒径の異物を除去できる程度の孔径であることが好ましい。
【0030】
流路301にはポンプ63が設けられている。ポンプ63は、メインタンク54から第1サブタンク55にインクkを供給する。ポンプ63としては、例えば、ダイヤフラムポンプ等の容積型のポンプやチューブポンプ等が用いられる。
流路304にはポンプ64が設けられている。ポンプ64は、第2サブタンク56からメインタンク54にインクkを供給する。ポンプ64としては、例えば、ダイヤフラムポンプ等の容積型のポンプやチューブポンプ等が用いられる。
【0031】
空圧制御部65は、第1サブタンク55に接続されて、第1サブタンク55内の空気層55bの圧力を調整するアクチュエータである。空圧制御部66は、第2サブタンク56に接続されて、第2サブタンク56内の空気層56bの圧力を調整するアクチュエータである。空圧制御部65および空圧制御部66の制御により、第1サブタンク55からインクジェットヘッド2へ、インクジェットヘッド2から第2サブタンク56へ流れるインクkの循環差圧を調整することができる。すなわち、インクジェットヘッド2のインレット側とアウトレット側との差圧によりインクkの循環を行うことができ、インクkのインクジェットヘッド2内での流速を調節することができる。また、空圧制御部65および空圧制御部66の制御により、インクジェットヘッド2のインクノズル11の圧力を負圧状態とし、これにより、画像形成や各種のメインテナンスを行わない際にインクノズル11からインクが漏れ出すことを防止することができる。
【0032】
このような構成により、循環装置29においては、メインタンク54-第1サブタンク55-インクジェットヘッド2-第2サブタンク56-メインタンク54という流れでインクkが循環する。循環装置29によるインクkのこのような循環は、インクジェットヘッド2による画像形成動作中か、当該画像形成動作中止中であるかに関わらず、基本的にインクジェット記録装置1がスタンバイ中には継続される。
【0033】
図3は、本実施形態1に係るインクジェット記録装置の要部の縦断面図である。このインクジェット記録装置1は、布、用紙等の画像形成される対象物である画像形成媒体cを載置して、副走査方向(
図3の紙面に対して垂直方向)に当該画像形成媒体cを搬送する搬送ベルト31を備えている。画像形成媒体c、搬送ベルト31の上方には、スキャン方向(主走査方向。
図3の左右方向)を長手方向とするキャリッジレール32が設けられ、このキャリッジレール32に支持されて当該キャリッジレール32の長手方向に移動するキャリッジ33も設けられている。キャリッジ33にはインクジェットヘッド2が設けられ、キャリッジ33によりインクジェットヘッド2はスキャン方向に移動する。一般的には、キャリッジ33には各色のインクkにそれぞれ対応している複数個のインクジェットヘッド2がスキャン方向に並んで設けられている。
【0034】
搬送ベルト31上の領域34は、インクジェットヘッド2が移動しつつ画像形成を行う位置である。メインテナンス部35は、領域34の外部にあり、インクジェットヘッド2に所定のメインテナンスを施す領域である。エア吹き付け装置21は、メインテナンス部35の下部(例えば搬送ベルト31の側部側)等に配置され、メインテナンス部35に位置しているインクジェットヘッド2のインクノズル面11aに対してエアを吹き付ける。そのエアノズル22は搬送ベルト31上の画像形成媒体c側とは異なる方向を向いている。本例では、エアノズル22は領域34側からメインテナンス部35側に傾いた方向側を向いている。これにより、エア吹き付け装置21は、前記したミストや異物をスキャン方向側に吹き飛ばす。
【0035】
また、領域34とメインテナンス部35との間の所定領域には、防御壁状の部材であるシールド部材36が設けられている。シールド部材36は、エア吹き付け装置21によるアの吹き付けにより除去される異物およびミストが画像形成媒体cに付着するのを抑制するシールドとなる。
【0036】
次に、本実施形態1のインクジェット記録装置1で実行する制御の内容について説明する。
図4は、本制御を実行する制御系の電気的な接続を模式的に示すブロック図である。この制御系は、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成される制御装置41(制御部)を中心に構成される。制御装置41には、エア吹き付け装置21のアクチュエータ42、空圧制御部65,66、キャリッジ33の駆動源となるモータ43等の各種アクチュエータや各種センサが所定のインターフェイスを介して接続されている。
【0037】
図5は、本実施形態1のインクジェット記録装置1で実行する制御の内容について示すフローチャートである。本処理により、本発明のインクジェット記録方法を実施する。循環装置29は、前記のとおり、
図2を参照して前記した経路でインクkの循環を行っている。その際、制御装置41は、空圧制御部65,66を制御して、前記したインクkの循環差圧がブレーク圧以下となるように制御している。ブレーク圧とは、インクkのメニスカスが正しく形成されるためのギリギリの圧力のことである。
【0038】
図5のフローチャートは、エア吹き付け装置21によるエアの吹き付け等に関する制御に関するものである。かかる処理は、1回のキャリッジ33(インクジェットヘッド2)のスキャン動作の終了後、次のスキャン動作のためにメインテナンス部35から領域34側に移動を開始したタイミングで開始する。すなわち、
図5の処理は毎スキャンごとに行う。
【0039】
まず、前記のとおり、キャリッジ33には、一般的に各色のインクkのインクジェットヘッド2がスキャン方向に並んで設けられている。そこで、制御装置41は、エア吹き付け装置21によるエアの吹き付けの対象とするインクジェットヘッド2を選択する選択処理を行う(ステップS1)。係る処理では、インクジェットヘッド2で画像形成するための画像データに基づいて複数のインクジェットヘッド2のうち使用頻度が所定程度以上に高いものを選択する処理を行う。かかる処理の前にキャリッジ33は1回スキャン動作を行っている。当該1回のスキャン動作で形成した画像につき、各インクジェットヘッド2からどの程度の数のインク滴が吐出されたか、つまり、この1回のスキャン動作でどの程度の頻度で各インクジェットヘッド2が使用されたかは、画像形成の対象となる画像データを参照することで明らかになる。そこで、当該画像データを参照して、使用頻度が所定程度以上に多かったインクジェットヘッド2をエアの吹き付けの対象とするインクジェットヘッド2として選択する。ステップS1は、キャリッジ33の次のスキャンへの駆動を開始する前に完了してもよい。
【0040】
次に、制御装置41は、ステップS1で選択したインクジェットヘッド2が所定位置にあるか否かを判断する(ステップS2)。各インクジェットヘッド2が現在どの位置に存在しているかは、モータ43の回転数などから制御装置41が判断することができる。所定位置とは、エアノズル22が吹き出すエアが適切に1つのインクジェットヘッド2の各インクノズル11に吹き付けられる位置である。ステップS1で選択したインクジェットヘッド2が所定位置にあるときは(ステップS2のYes)、制御装置41は、アクチュエータ42を制御して、当該所定位置に達したインクジェットヘッド2にエアを吹き付ける(ステップS3)。同時に、このエアの吹き付けを行うときには、制御装置41は、空圧制御部65,66を制御して、インクジェットヘッド2を駆動して画像形成(インクkの吐出)を行っている際に比べて、インクkを循環させる際の前記の循環差圧を低減させる(ステップS3)。ステップS3の処理により、エアノズル22が前記したような配置にあることで、インクジェットヘッド2がスキャンで移動する際にエアで前記の異物およびミストをスキャン方向側に吹き飛ばすことになる。
【0041】
制御装置41は、ステップS1で選択したインクジェットヘッド2が所定位置にないときは(ステップS2のNo)、ステップS4に進む。制御装置41は、ステップS3の処理が終了したときもステップS4に進む。テップS4では、制御装置41は、全てのインクジェットヘッド2が前記の所定位置を通過したか否かを判断する。制御装置41は、前記の所定位置を通過していないインクジェットヘッド2が残っているときは(ステップS4のNo)、ステップS2の処理に戻る。制御装置41は、全てのインクジェットヘッド2が前記の所定位置を通過したと判断したときは(ステップS4のYes)、循環差圧を元に戻して(ステップS5)、
図5の処理を終了する。
【0042】
また、制御装置41は、アクチュエータ42を制御して、エアノズル22から吹き出すエアの風速を可変してもよい。例えば、ステップS1の処理で前回のスキャンにおいて特に使用頻度が高かったと判断されるインクジェットヘッド2が存在していたときは、当該インクジェットヘッド2にエアを吹き付ける際には、通常よりもエアノズル22から吹き出すエアの風速を速くするようにしてもよい。そして、このようにエアノズル22から吹き出すエアの風速を速くするときには、制御装置41は、前記の循環差圧を通常よりも増大させるようにしてもよい。
【0043】
次に、本実施形態1の作用効果について説明する。
まず、エア吹き付け装置21でエアの吹き付けを行うことで、インクノズル面11aへのミストや異物の付着の問題は低減できる。しかし、これはインクノズル面11aの乾燥を促進し、また、ノズル内にエアを巻き込んでしまって、インクノズル11からのインクkの吐出に不良が生じやすい。
これに対して、前記のようにインクkを循環させるようにすれば、インクノズル面11aの乾燥や、また、インクノズル11内へのエアの巻き込みを抑制することができるので、インクノズル11からのインク吐出に不良を生じることを抑制することが期待できる。
【0044】
しかし、前記のエアの吹き付けでは、エアはインクジェットヘッド2の略全てのインクノズル11に吹き付けられることになる。そのため、前記のとおりインクを循環させるときの循環差圧が大きいと、インクジェットヘッド2内のインクkの流れを促進して、インクノズル11側からインクジェットヘッド2内への空気の巻き込みが多くなる。そのため、インクノズル11からのインクkの吐出に不良が生じることを十分には抑制することができないという不具合がある。
【0045】
そこで、インクジェット記録装置1では、エア吹き付け装置21でエアの吹き付けを行っている際には、インクジェットヘッド2を駆動して画像形成(インクkの吐出)を行っている際に比べて、インクkを循環させる際の前記の循環差圧を低減させている(ステップS3)。これにより、インクkの循環によるインクジェットヘッド2内への空気の巻き込みを抑制することができるので、インクノズル11からのインク吐出に不良を生じることを十分に抑制することができる。
【0046】
また、エア吹き付け装置21は、インクジェットヘッド2が画像形成を行う位置(領域34)以外の位置(メインテナンス部35)にあるときにエアの吹き付けを行う。そのため、エアによって吹き飛ばされたミストや異物が画像形成媒体cに付着することを抑制することができる。
エア吹き付け装置21が、その吹き出すエアの風速を通常よりも速くするときには、前記の循環差圧も通常よりも増大させる。これによって、エアの風速の増大でインクノズル面11aが過度に乾燥することを抑制することができる。
【0047】
また、シールド部材36の存在により、エアの吹き付けにより吹き飛ばされた前記のミストや異物が画像形成媒体cに付着することを抑制することができる。
また、前記の循環差圧をブレーク圧以下としているので、インクkのメニスカスを正しく形成することができる。
インクジェット記録装置1は、選択処理(ステップS1)を行って、使用頻度が高いインクジェットヘッド2だけにエアの吹き付けを行なっている(ステップS3)。したがって、ミストや異物があまり付着していないと考えられるインクジェットヘッド2については、インクノズル11aの乾燥等を抑制することができる。
【0048】
エア吹き付け装置21は、インクジェットヘッド2がスキャンで移動する際にエアで異物およびミストをスキャン方向側に吹き飛ばす。よって、副走査方向等に異物等が吹き飛ばされて、画像形成媒体cを汚してしまう可能性を抑制することができる。
また、エアの吹き付けを毎スキャン行うことで、ミストや異物をインクノズル面11aから丁寧に除去することができる。
インクノズル11は画像形成媒体c側とは異なる方向を向いていて、エア吹き付け装置21は、インクジェットヘッド2を移動させるキャリッジ33が画像形成媒体c側に移動する際にエアの吹き付けを行う。よって、エアで吹き飛ばされたミストや異物により画像形成媒体cが汚れることを抑制することができる。
【0049】
<実施形態2>
本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置は、シングルパス型のインクジェット記録装置の例である。すなわち、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドが所定位置に固定されたまま画像形成を行う装置である。
本実施形態2の説明では、実施形態1と共通の部材等については実施形態1と共通の符号を用い、詳細な説明は省略する。しかし、本実施形態2でも適用できる前記した実施形態1の構成は全て本実施形態2でも備えている。
【0050】
図6は、本実施形態2に係るインクジェット記録装置の縦断面図である。インクジェット記録装置401は、供給部410と、画像形成部420と、排出部430と、を備える。
供給部410は、画像形成が行われる画像形成媒体cを画像形成部420に供給する。供給部410は、画像形成媒体cを保持する給紙トレー411と、画像形成部420に画像形成媒体cを供給する搬送部412とを備える。
【0051】
給紙トレー411は、1又は複数の画像形成媒体cを載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー411は、載置された画像形成媒体cの量に応じて上下動するように設けられており、最上の画像形成媒体cが搬送部412により搬送される位置で保持される。
搬送部412は、給紙トレー411に載置された画像形成媒体cのうち最上のものをベルト123上に繰り出し、ベルト123をローラー121,122により回転駆動してベルト123上の画像形成媒体cを搬送する。
【0052】
画像形成部420は、供給部410から供給された画像形成媒体cにインクkを吐出させて画像を形成する。画像形成部420は、画像形成ドラム421と、受け渡しユニット422と、用紙加熱部423と、ヘッドユニット424と、照射部425と、デリバリー部426とを備えている。
画像形成ドラム421は、円筒状の外周面に沿って画像形成媒体cを担持し、同6の反時計方向の回転に伴って画像形成媒体cを搬送する。画像形成ドラム421の外周面は、用紙加熱部423、ヘッドユニット424よび照射部425に対向している。
【0053】
受け渡しユニット422は、搬送部412により搬送された画像形成媒体cを画像形成ドラム421に受け渡す。受け渡しユニット422は、画像形成媒体cの一端を担持するスイングアーム部221、円筒状の受け渡しドラム222等を備え、搬送部412上の画像形成媒体cをスイングアーム部221で取り上げ、受け渡しドラム222により画像形成媒体cを画像形成ドラム421の外周面に沿う向きに誘導して画像形成ドラム421に受け渡す。
【0054】
用紙加熱部423は、画像形成ドラム421に担持された画像形成媒体cを加熱する。用紙加熱部423は、例えば、通電に応じて発熱する赤外線ヒーター等を有する。用紙加熱部423は、画像形成ドラム421の外周面の近傍であって、画像形成媒体cの搬送方向においてヘッドユニット424の上流側に設けられる。用紙加熱部423は、画像形成ドラム421に担持されて用紙加熱部423の近傍を通過する画像形成媒体c所定の温度となるように制御される。
【0055】
ヘッドユニット424は、画像形成ドラム421に担持された画像形成媒体cに対してインクkを吐出し、画像を形成する。複数、この例で4つのヘッドユニット424は、それぞれ異なる色のインクkを吐出する。それぞれインクkの色の異なる各ヘッドユニット424は、それぞれ複数個のインクジェットヘッド2が画像形成ドラム421の胴長さ方向(
図6の紙面に垂直な方向)に並んだ状態で設けられている。
【0056】
照射部425は、画像形成媒体cにインクkが吐出された後に、当該インクkを硬化させるためのエネルギー線を画像形成媒体cに照射する。照射部425は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を備える。照射部425は、画像形成ドラム421の外周面の近傍であって、画像形成媒体cの搬送方向においてヘッドユニット424の下流側に設けられる。
【0057】
デリバリー部426は、画像形成媒体cを画像形成ドラム421から排出部430に搬送する。デリバリー部426は、受け渡しドラム264により画像形成ドラム421に担持された画像形成媒体cをベルト263に受け渡し、ベルト263をローラー261,262により回転駆動してベルト263上の画像形成媒体cを搬送する。
排出部430は、板状の排紙トレー431を備え、画像形成部420から搬送された画像形成媒体cを格納する。
【0058】
図7は、本実施形態2に用いるエア吹き付け装置の平面図であり、
図8は、同側面図である。エア吹き付け装置451は一対のレール452(移動装置)を備えている。このレール452は、
図8に示すように画像形成ドラム421の外周の円弧形状にそうように円弧状に湾曲している(
図7では、便宜上、直線的に図示している)。この一対のレール452には、軸状のノズル支持部453が支持されている。ノズル支持部453は、一対のレール452の長さ方向に沿って当該レール452上をモータ454の駆動により移動可能である。その長さ方向に並んでノズル支持部453には、複数個のエアノズル22が設けられ、各エアノズル22は、実施形態1のものと同様にエアを吹き出す。
【0059】
このような機構によって、複数個のエアノズル22(ノズル支持部453)は、ヘッドユニット424と画像形成ドラム421との間の空間を、画像形成ドラム421の周方向(副走査方向)に移動可能である。ノズル支持部453は、
図7、
図8の矢印に示すように、レール452の長手方向に沿って正逆両方向に移動可能である。よって、ノズル支持部453の長手方向、ひいては複数個のエアノズル22の並び方向は副走査方向と交差(直交)する方向である。そして、各ヘッドユニット424の直下にノズル支持部453が位置したときは、その各エアノズル22が該当のヘッドユニット424の複数個のインクジェットヘッド2と1対1で対向し、各エアノズル22から各インクジェットヘッド2の各インクノズル面11aにエアを吹き付けることが可能である。また、本実施形態2においても、前記したのと同様の循環装置29を備えている。なお、ヘッドユニット424と画像形成ドラム421との間の空間が狭くてノズル支持部453が通過できないときは、ノズル支持部453を当該空間に通過させるときだけ各ヘッドユニット424を画像形成ドラム421側から退避させる機構を設ければよい。
図6では、画像形成する際のヘッドユニット424と画像形成ドラム421との間の空間が狭い状態を図示している。各レール452は、画像形成ドラム421の両側側の画像形成の邪魔にならない位置に設けられている。画像形成を行う際には、ノズル支持部453は画像形成の邪魔にならない領域に退避する。
【0060】
このような構成で、各インクジェットヘッド2のインクノズル面11aにエアを吹き付けるためには、ノズル支持部453を駆動して、各ヘッドユニット424の各インクジェットヘッド2のインクノズル面11aに対して、各エアノズル22からエアを吹き付けるようにする。このようなエアノズル22からのエアの吹き付けの際には、循環装置29を制御して、実施形態1の場合と同様に循環差圧を調節する。
【0061】
本実施形態2では、各ヘッドユニット424のインクジェットヘッド2の並びに対応して、ノズル支持部453に複数個のエアノズル22が設けられているので、各ヘッドユニット424の複数個並んでいるインクジェットヘッド2の全てに対して、エアの吹き付けを行うことができる。
【0062】
また、ノズル支持部453は、全てのヘッドユニット424の下を通過するので、副走査方向に並ぶ全てのヘッドユニット424の全てのインクジェットヘッド2に対してエアの吹き付けを行うことができる。
なお、前記各実施形態は、本発明の一実施形態にすぎず、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1,401 インクジェット記録装置
2 インクジェットヘッド
11 インクノズル
11a インクノズル面
21,451 エア吹き付け装置
22 エアノズル
29 循環装置
34 位置(領域)
35 メインテナンス部
36 シールド部材
41 制御装置(制御部)
452 レール(移動装置)
c 画像形成媒体
k インク