(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174443
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
B64U 50/19 20230101AFI20241210BHJP
A62C 3/07 20060101ALI20241210BHJP
B64U 10/14 20230101ALI20241210BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20241210BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20241210BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241210BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241210BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241210BHJP
H01M 10/6565 20140101ALI20241210BHJP
H01M 50/572 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/204 20210101ALN20241210BHJP
【FI】
B64U50/19
A62C3/07 Z
B64U10/14
H01M10/6563
H01M10/6567
H01M10/613
H01M10/625
H01M50/249
H01M10/6565
H01M50/572
H01M50/204 401F
H01M50/204 401H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092268
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】大園 隆一
(72)【発明者】
【氏名】立川 律哉
(72)【発明者】
【氏名】田邉 成司
(72)【発明者】
【氏名】市來 智之
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H031CC05
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS07
5H043AA04
5H043AA13
(57)【要約】
【課題】バッテリにおける通常時の通気性と消火後の安全性を両立する。
【解決手段】移動体は、バッテリと、通気口を有し、バッテリを収容する収容部と、所定の温度を超えた場合に通気口を閉塞する閉塞手段と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
通気口を有し、前記バッテリを収容する収容部と、
所定の温度を超えた場合に前記通気口を閉塞する閉塞手段と、
を備える移動体。
【請求項2】
前記収容部内に放電処理用の液体を供給可能な給液手段を備える、
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記閉塞手段は、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材であり、前記通気口の周縁に配置されて膨張時に当該通気口を閉塞する、
請求項1に記載の移動体。
【請求項4】
前記収容部内のうち前記バッテリの上方には、所定の温度で落下する消火剤が配置される、
請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
前記バッテリは、ケース部材に収容された状態のバッテリセルであり、
前記収容部は、前記ケース部材を着脱可能に収容する、
請求項1に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体に搭載されるバッテリは、一度発火すると消火後も熱を持ち続け、再発火するおそれがある。再発火を抑制できないと、消火後のバッテリを安全に回収することが難しい。再発火の抑制には、バッテリを低温に保つか、水没等による放電処理が必要になる。
【0003】
例えば特許文献1に記載の技術では、バッテリ(電池モジュール)の温度が所定値(例えば100℃)に達した場合に、バッテリが収容された収容部内に水等の液体を供給してバッテリを水没(液没)させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、バッテリが収容部で囲われてしまうため、通常時でのバッテリの通気性を確保することが難しい。特にマルチコプター等の航空機に搭載されるバッテリでは、放熱しやすい良好な通気性が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、バッテリにおける通常時の通気性と消火後の安全性を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、移動体であって、
バッテリと、
通気口を有し、前記バッテリを収容する収容部と、
所定の温度を超えた場合に前記通気口を閉塞する閉塞手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリを収容する収容部の通気口は、閉塞手段が所定の温度を超えた場合に当該閉塞手段により閉塞される。これにより、通常時には通気口を通じたバッテリへの通気性を確保できる。また、発火時又は消火後には、通気口が閉塞された収容部内に水等の放電処理用の液体を溜めてバッテリを水没(液没)させることができる。したがって、バッテリにおける通常時の通気性と消火後の安全性を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に係るバッテリユニットの断面図である。
【
図3】通常時におけるバッテリユニットの状態を示す断面図である。
【
図4】発火時におけるバッテリユニットの状態を示す断面図である。
【
図5】消火後におけるバッテリユニットの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
[無人航空機の全体構成]
図1は、本実施形態に係る無人航空機1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る無人航空機(以下、単に「無人機」という)1は、本発明に係る移動体の一例であり、複数の回転翼部(プロペラ)21によって揚力(推力)を得るマルチコプターである。
【0011】
具体的に、無人機1は、本体部20と、複数の回転翼部21とを備える。
複数の回転翼部21は、本体部20から四方に延出する複数のアーム部22の先端に設けられている。
本体部20は、矩形箱状に形成され、無人機1の各部に電力を供給するバッテリユニット5(
図2参照)等を備えている。
【0012】
[バッテリユニットの構成]
図2は、バッテリユニット5の断面図である。
図2に示すように、バッテリユニット5は、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)のバッテリセル51を収容するバッテリケース52を含む。
【0013】
バッテリケース52は、例えば矩形箱状に形成されている。
バッテリケース52の側板及び底板(下板)には、当該バッテリケース52の内部と外部を連通する第1通気口52aが形成されている。ただし、第1通気口52aは、バッテリケース52の側板及び底板のうちいずれか少なくとも1つ(1箇所)に形成されていれば、その位置や形状、数量等は特に限定されない。
バッテリケース52の上板には、スリット状の孔部である複数のスリット孔52bが形成されている。スリット孔52bは、後述のとおり、バッテリセル51が発火した場合に後述の消火剤65や水等の放電処理用の液体をケース内部に投入するための貫通孔である。本実施形態のスリット孔52bは、バッテリセル51の直上に形成されている。
【0014】
バッテリケース52内には、バッテリセル51を冷却するための冷却ファン54及び第1冷却水配管55が配置されている。
冷却ファン54は、例えばバッテリセル51の側方に配置され、その駆動によりバッテリケース52内を通気する。
第1冷却水配管55は、例えばバッテリセル51に沿って延在するようにバッテリケース52内を引き回され、両端が外部の冷却水ポンプ(図示省略)に接続されている。当該冷却水ポンプの駆動により、第1冷却水配管55に冷却水が循環し、バッテリケース52内が冷却される。
【0015】
バッテリケース52は、着脱可能なようにバッテリ装着棚61内に収容されている。例えば、バッテリケース52は、
図2の紙面垂直方向に挿抜することで、バッテリ装着棚61に対して着脱可能となっている。
バッテリ装着棚61は、上方に開口した形状に形成され、当該開口を閉塞する機体ボディ23を天板として、当該機体ボディ23の下面に取り付けられている。機体ボディ23は、無人機1の本体部20の一部である。バッテリ装着棚61は、少なくとも平面視形状がバッテリケース52にほぼ対応した形状に形成され、バッテリケース52の側板及び底板との間に殆ど隙間の無い状態で当該バッテリケース52を収容している。
【0016】
バッテリ装着棚61の側板及び底板には、バッテリケース52の第1通気口52aに対応した第2通気口61aが形成されている。第2通気口61aは、対応する位置の第1通気口52aとともに、バッテリケース52の内部とバッテリ装着棚61の外部とを連通している。なお、第2通気口61aは、第1通気口52aに対応して、バッテリ装着棚61の側板及び底板のうちいずれか少なくとも1つ(1箇所)に形成されていれば、その位置や形状、数量等は特に限定されない。
【0017】
各第2通気口61aには、当該第2通気口61aを閉塞可能な閉塞手段62が設けられている。閉塞手段62は、所定の温度を超えた場合に、外部からの電気的な制御に依らず自動的に第2通気口61aを閉塞する。
閉塞手段62には、例えば熱膨張性耐火材を適用できる。熱膨張性耐火材は、所定の温度で数倍から数十倍に膨張する耐火材であり、例えば建築物の防火対策や延焼防止等に用いられる。閉塞手段62としては、このような熱膨張耐火材を、膨張に伴って第2通気口61aを閉塞するように当該第2通気口61aの周縁に配置すればよい。
なお、閉塞手段62は、所定の温度を超えた場合に第2通気口61aを閉塞するものであれば、その具体構成は特に限定されない。例えば、閉塞手段62は、第2通気口61aを閉塞する耐火シャッターを、所定の温度で焼き切れる金属線で片寄せしたもの等であってもよい。また、閉塞手段62は、第2通気口61aを閉塞したときに、空気が漏れないように第2通気口61aを完全に密閉できるのが望ましいが、大量に漏水(漏液)しない程度の密閉状態が得られればよい。
【0018】
バッテリ装着棚61の内部空間S1(正しくは、バッテリ装着棚61と機体ボディ23とで画成される空間)は、バッテリケース52よりも上側にスペース(余剰空間)を有している。この内部空間S1内のスペースには、第2冷却水配管64と消火剤65が設けられている。
第2冷却水配管64は、例えばバッテリケース52に近接させてバッテリ装着棚61の側板に取り付けられ、両端が外部の冷却水ポンプ(図示省略)に接続されている。当該冷却水ポンプの駆動により、第2冷却水配管64に冷却水が循環し、バッテリケース52が冷却される。なお、第2冷却水配管64は、第1冷却水配管55と同一の冷却系統であってもよいし、別の冷却系統であってもよい。
消火剤65は、バッテリケース52の上方に配置され、機体ボディ23の下面に固定されている。消火剤65は、内部空間S1の雰囲気温度が所定の温度を超えた場合に、下方のバッテリケース52へ落下するように封入されている。「所定の温度」とは、バッテリセル51が発火したと考えられる内部空間S1内の温度である。なお、消火剤65は、少なくともスリット孔52bの上方位置に配置されていることが好ましい。ただし、消火剤65は、所定の温度を超えた場合に、外部からの制御に依らずに自動的にバッテリセル51に掛かるように設けられていればよい。
【0019】
また、バッテリ装着棚61の内部空間S1には、圧力調整弁66と給液口67が設けられている。
圧力調整弁66は、内部空間S1とその外部を連通可能に機体ボディ23に配置され、常態(通常時の状態)で閉止している。圧力調整弁66は、所定の温度に達した場合(又は手動操作された場合)に、内部空間S1とその外部とを連通させる。
給液口67は、内部空間S1とその外部を連通可能に機体ボディ23に配置され、常態で閉止している。給液口67の外部側(図中の上側)は、例えば給液ホース等を装着可能なソケットとなっている。給液口67の外部側に給液ホース等を装着することで、外部から内部空間S1内へ放電処理用の液体を供給することができる。
【0020】
バッテリ装着棚61は、周囲をバッテリカバー71に覆われている。
バッテリカバー71は、無人機1の外部に露出している。具体的に、バッテリカバー71は、上方に開口した形状に形成され、当該開口を機体ボディ23で閉塞するように機体ボディ23の下面に取り付けられている。バッテリカバー71は、バッテリ装着棚61との間に所定の通気空間S2を介在させた状態で、バッテリ装着棚61の側方を含むその下側全体を囲うように配置されている。
バッテリカバー71の側板には、無人機1の外部と通気空間S2とを連通するメッシュ状の通風孔71aが形成されている。なお、通風孔71aは、外部と通気空間S2とを連通するように設けられていれば、その位置や形状、数量等は特に限定されない。
【0021】
[バッテリユニットの機能及び動作]
続いて、バッテリユニット5の機能及び動作について説明する。
図3~
図5は、バッテリユニット5の状態を示す断面図であって、
図3が通常時、
図4が発火時、
図5が消火後のものである。
なお、「通常時」とは、発火時や消火後を含む非常時以外の場合をいう。
【0022】
<通常時>
通常時(例えば無人機1の飛行時)には、バッテリユニット5は、バッテリセル51の発電により、無人機1の各部に必要な電力を供給する。
このとき、バッテリセル51は、
図3に示すように、バッテリケース52内を通気する冷却ファン54により空冷される。具体的には、まず無人機1の外気が、例えば無人機1の前側の通風孔71aを通じてバッテリカバー71内の通気空間S2に流入する。通気空間S2の空気は、例えば下側の第1通気口52a及び第2通気口61aを通じてバッテリケース52内に流入してバッテリセル51を冷却した後、側方の第1通気口52a及び第2通気口61aから再び通気空間S2に流出する。バッテリケース52内から通気空間S2に流出した空気は、例えば無人機1の後側の通風孔71aを通じて無人機1の外部に流出する。
このように、バッテリユニット5は通気性の良好な構造を有しており、通常時にはバッテリセル51の熱が好適に除去される。
【0023】
またこのとき、バッテリケース52は、第1冷却水配管55及び第2冷却水配管64に通水(通液)される冷却水によって水冷(液冷)される。具体的には、図示しない冷却水ポンプにより、バッテリケース52内の第1冷却水配管55と、バッテリケース52外の第2冷却水配管64とに冷却水が循環される。第1冷却水配管55は直接にバッテリセル51を冷却し、第2冷却水配管64はバッテリケース52の外部から間接的にバッテリセル51を冷却する。
【0024】
<発火時>
バッテリセル51が何らかの要因により発火した場合、バッテリユニット5では消火動作が実行される。
具体的には、
図4に示すように、まず閉塞手段62がバッテリ装着棚61の第2通気口61aを閉塞し、火元を外気から遮断する。本実施形態の閉塞手段62は熱膨張性耐火材であり、バッテリセル51の発火に伴って所定の温度を超えるまで温度上昇し、膨張して第2通気口61aを閉塞する。これにより、火の広がりを抑制できる。
【0025】
また、バッテリケース52の上方に配置された消火剤65が、バッテリセル51の発火に伴う雰囲気温度の上昇により、溶け出して落下する。この消火剤65は、下方のバッテリケース52へ落下し、スリット孔52bを通じてバッテリケース52内のバッテリセル51に降りかかって消火を行う。
【0026】
また、第2冷却水配管64にバルブを設け、当該バルブが手動又は自動で(温度に応じて自動的に)開放されることで、第2冷却水配管64内の冷却水が放水(放液)されるように構成してもよい。バルブは、第2冷却水配管64内の冷却水を手動又は自動で外部に放出できる構成に代えてもよい。例えば、第2冷却水配管64の一部に、所定の温度で内部の冷却水が自動的に漏出するような、熱に弱い部分を設けてもよい。
さらに、第1冷却水配管55にも、内部の冷却水を手動又は自動で外部に放出できる同様の構成を設けてもよい。
これにより、バッテリ装着棚61の内部空間S1に冷却水を放水(放液)してバッテリセル51を消火できる。
【0027】
<消火後>
上述のとおり、消火剤65の投下、又はさらに冷却水の放水(放液)により、バッテリセル51が消火される。
このとき、消火時(発火時)にバッテリ装着棚61の内部空間S1に冷却水を放水(放液)した場合には、
図5に示すように、バッテリ装着棚61の第2通気口61aが閉塞手段62で閉塞されているため、内部空間S1が冷却水で満たされる。
内部空間S1の水量(液量)が不足している(例えばバッテリケース52が完全に水没(液没)していない)、又はそもそも消火時に冷却水を放水(放液)していない場合には、冷却水をさらに放水(放液)するか、給液口67を通じて外部から内部空間S1内に放電処理用の液体を供給してもよい。
これにより、バッテリセル51をバッテリケース52ごと水没(液没)させることができる。したがって、十分な水量(液量)によってバッテリセル51の冷却と放電処理を行うことができる。
【0028】
なお、内部空間S1内に供給する放電処理用の液体は、バッテリセル51の放電を促進するものであれば特に限定されない。当該液体は、例えば、所定濃度の塩化ナトリウム水溶液や水、特許第6847716号公報に記載の陰イオン性界面活性剤、特開2005-347162号公報に記載のアルカリ金属弱酸性塩の水溶液等である。
また、液体の供給時には、圧力調整弁66を開放して内部空間S1の空気(発生ガスを含む)を外部に逃がしてもよい。この圧力調整弁66の開放は、発火時に手動又は自動で行っていてもよい。
【0029】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、バッテリケース52(バッテリセル51)を収容するバッテリ装着棚61の第2通気口61aは、閉塞手段62が所定の温度を超えた場合に当該閉塞手段62により閉塞される。
そのため、通常時には第2通気口61aを通じたバッテリケース52(バッテリセル51)への通気性を確保できる。また、発火時及び消火後には、第2通気口61aが閉塞されたバッテリ装着棚61の内部空間S1に放電処理用の液体を溜めて、バッテリケース52を水没(液没)させることができる。これにより、バッテリセル51の放電処理を好適に行い、再発火や感電のおそれを抑制して安全にバッテリケース52を回収できる。
したがって、バッテリにおける通常時の通気性と消火後の安全性を両立することができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、バッテリ装着棚61の内部空間S1に放電処理用の液体を供給可能な給液手段(第1冷却水配管55、第2冷却水配管64及び給液口67の少なくとも1つ)を備える。
これにより、発火時又は消火後に速やかに内部空間S1に放電処理用の液体を供給して、好適にバッテリセル51を消火又は水没(液没)させることができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、閉塞手段62は、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材であり、第2通気口61aの周縁に配置されて膨張時に当該第2通気口61aを閉塞する。
これにより、簡便な構成、かつ、電気的な制御の必要ない自動的な動作で、第2通気口61aを好適に所定の温度で閉塞することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、バッテリ装着棚61の内部空間S1のうちバッテリケース52の上方には、所定の温度で落下する消火剤65が配置される。
これにより、簡便な構成、かつ、電気的な制御の必要ない自動的な動作で、発火時のバッテリケース52(バッテリセル51)を好適に消火することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、バッテリ装着棚61は、バッテリセル51を収容した状態のバッテリケース52を着脱可能に収容する。
これにより、複数のバッテリセル51等をモジュール化(ユニット化)して、消火後の回収を含む当該モジュールのハンドリングを容易に行うことができる。
【0034】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態(変形例含む)に限られない。
例えば、上記実施形態では、バッテリセル51の発火を消火剤65と冷却水で消火することとした。しかし、冷却水は使用せず、消火剤65だけで消火することとしてもよい。この場合、第1冷却水配管55及び第2冷却水配管64は不要である。
また、バッテリセル51の冷却系統に用いる液体は、水(冷却水)や、凍結防止等の添加剤を含む液体である。
【0035】
また、上記実施形態では、バッテリ装着棚61の第2通気口61aを閉塞手段62により閉塞し、バッテリ装着棚61の内部空間S1に放電処理用の液体を供給することとした。しかし、バッテリケース52の第1通気口52aに閉塞手段を配置して、発火時には当該閉塞手段により第1通気口52aを閉塞し、バッテリケース52内に液体を供給することとしてもよい。このような構成によってもバッテリセル51を水没(液没)させることができる。
【0036】
また、上記実施形態では、本発明に係る移動体の一例として無人航空機を挙げて説明した。しかし、本発明は、バッテリを搭載する移動体(例えば、車両や船舶、又はこれらを模した玩具等)に広く適用できる。ただし、本発明に係る移動体は、バッテリが堅牢な筐体で密閉される自動車(電気自動車)等よりも、通常時におけるバッテリの通気性や軽量化の要請が強い航空機に、より好適に適用できる。
【0037】
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 無人航空機(移動体)
5 バッテリユニット
23 機体ボディ
51 バッテリセル
52 バッテリケース(ケース部材)
52a 第1通気口
52b スリット孔
54 冷却ファン
55 第1冷却水配管(給液手段)
61 バッテリ装着棚(収容部)
61a 第2通気口(通気口)
62 閉塞手段
64 第2冷却水配管(給液手段)
65 消火剤
66 圧力調整弁
67 給液口(給液手段)
71 バッテリカバー
71a 通風孔
S1 内部空間
S2 通気空間