IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図1
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図2
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図3
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図4A
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図4B
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図4C
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図5
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図6
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図7A
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図7B
  • 特開-照明装置及び無線給電システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174446
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】照明装置及び無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20241210BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241210BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20241210BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241210BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241210BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241210BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241210BHJP
【FI】
H02J50/20
F21V23/00 120
F21V23/00 160
F21S9/02
H02J7/00 301D
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092272
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】石森 淳允
(72)【発明者】
【氏名】亀田 圭以
(72)【発明者】
【氏名】田上 直紀
【テーマコード(参考)】
3K014
5G503
【Fターム(参考)】
3K014AA01
5G503AA00
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB09
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】効率良く無線給電を行う。
【解決手段】照明装置100は、電源回路120と、電源回路120から供給される電力を用いて、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射するアンテナ140と、電源回路120から供給される電力を用いて、照明光を照射する照明部130と、を備え、電波の最大放射方向21は、照明光の最大光度方向11と異なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路と、
前記電源回路から供給される電力を用いて、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射するアンテナと、
前記電源回路から供給される電力を用いて、照明光を照射する照明部と、を備え、
前記電波の最大放射方向は、前記照明光の最大光度方向と異なっている、
照明装置。
【請求項2】
前記電波の最大放射方向と前記照明光の最大光度方向とがなす角度は、30°未満である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記電波の最大放射方向と前記照明光の最大光度方向とがなす角度は、90°以上である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記電波の放射範囲は、前記照明光の照明範囲に重ならない、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
電源回路と、
前記電源回路から供給される電力を用いて、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射するアンテナと、
前記電源回路から供給される電力を用いて、照明光を照射する照明部と、を備え、
前記電波のビーム角は、前記照明光のビーム角と異なっている、
照明装置。
【請求項6】
前記電波の最大放射方向は、前記照明光の最大光度方向と同じである、
請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
さらに、前記電波の最大放射方向、前記照明光の最大光度方向、前記電波の放射範囲及び前記照明光の照明範囲の少なくとも1つを変更する変更部を備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記変更部は、
前記照明光及び前記電波の少なくとも一方を反射させる反射部材と、
前記反射部材と前記アンテナ及び前記照明部の少なくとも一方との位置関係を変更する駆動部と、を含む、
請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記照明装置は、少なくとも一部に金属を含む板材を備え、
前記板材には、厚み方向に貫通する開口が設けられ、
前記アンテナの少なくとも一部は、前記開口内に位置し、又は、前記開口から突出している、
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
さらに、前記アンテナと前記開口との位置関係を変更することで、前記電波の最大放射方向及び前記電波の放射範囲の少なくとも1つを変更する変更部を備える、
請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記照明装置は、少なくとも一部に金属を含む板材を備え、
前記アンテナの少なくとも一部は、前記板材を基準として、前記照明光の照射側とは反対側に位置している、
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記照明部は、前記板材と、前記板材の表面に実装された複数の発光素子と、を含む、
請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記照明部は、複数の最大光度方向を有するように前記照明光を照射し、
前記電波の最大放射方向は、前記複数の最大光度方向の少なくとも1つと異なっている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項14】
交流電力を受電する受電部を備え、
前記電源回路は、前記受電部が受電した交流電力を直流電力に変換して前記アンテナ及び前記照明部に出力する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置と、
電気機器と、を備え、
前記電気機器は、
前記アンテナから放射される前記電波を受ける受電アンテナと、
前記受電アンテナで受けた電波を用いて充電池を充電する充電回路と、を備える、
無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マイクロ波を無線送信する送電器を備えるLED(Light Emitting Diode)灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-212849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、効率良く無線給電を行うことができる照明装置及び無線給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る照明装置は、電源回路と、前記電源回路から供給される電力を用いて、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射するアンテナと、前記電源回路から供給される電力を用いて、照明光を照射する照明部と、を備え、前記電波の最大放射方向は、前記照明光の最大光度方向と異なっている。
【0006】
本発明の別の一態様に係る照明装置は、電源回路と、前記電源回路から供給される電力を用いて、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射するアンテナと、前記電源回路から供給される電力を用いて、照明光を照射する照明部と、を備え、前記電波のビーム角は、前記照明光のビーム角と異なっている。
【0007】
本発明の一態様に係る無線給電システムは、上記一態様に係る照明装置と、電気機器と、を備え、前記電気機器は、前記アンテナから放射される前記電波を受ける受電アンテナと、前記受電アンテナで受けた電波を用いて充電池を充電する充電回路と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効率良く無線給電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る無線給電システムによる電波及び照明光の出射範囲を概略的に示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る無線給電システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る照明装置の構成を示す図である。
図4A図4Aは、実施の形態1の変形例1に係る無線給電システムによる電波及び照明光の出射範囲を概略的に示す図である。
図4B図4Bは、実施の形態1の変形例2に係る無線給電システムによる電波及び照明光の出射範囲を概略的に示す図である。
図4C図4Cは、実施の形態1の変形例3に係る無線給電システムによる電波及び照明光の出射範囲を概略的に示す図である。
図5図5は、実施の形態1の変形例3に係る照明装置の構成を示す図である。
図6図6は、実施の形態2に係る無線給電システムの構成を示すブロック図である。
図7A図7Aは、実施の形態2に係る照明装置のアンテナの調整の第1例を示す図である。
図7B図7Bは、実施の形態2に係る照明装置のアンテナの調整の第1例を示す図である。
図8図8は、実施の形態2に係る照明装置のアンテナの調整の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施の形態に係る照明装置及び無線給電システムについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
また、本明細書において、平行又は垂直等の要素間の関係性を示す用語、円筒又は矩形等の要素の形状を示す用語、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0013】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0014】
(実施の形態1)
[無線給電システム]
まず、実施の形態1に係る照明装置を備える無線給電システムについて、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る無線給電システム1による電波及び照明光の出射範囲の一例を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る無線給電システム1の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、無線給電システム1は、照明装置100と、電気機器200と、を備える。
【0016】
照明装置100は、空間を照明する照明機能だけでなく、他の機器(具体的には、電気機器200)に対して電力を無線で供給する無線給電機能を有する装置である。照明装置100は、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射する。
【0017】
図1に示すように、一般的に、照明装置100は、照明光を遮る障害物の少ない天井等に取り付けられることが多い。このため、照明装置100から放射される無線給電用の電波は、広範囲に、又は、遠い距離に届かせやすくなるという利点がある。
【0018】
照明装置100は、例えば、天井面に取り付けられるシーリングライトであるが、これに限定されない。照明装置100は、例えば、電球型ランプ、ハロゲンランプ、高輝度放電灯(HIDランプ)、GX53形の口金(導電ピン)を有するランプ、直管ランプ、スポットライト、ベースライト(ライトバー)又はダウンライトなどであってもよい。
【0019】
電気機器200は、無線で供給される電力を受ける機器である。電気機器200は、無線で受けた電力を用いて動作する。電気機器200は、例えば、スマートフォンであるが、これに限定されない。電気機器200は、生体情報、環境情報若しくは機器情報を検出するセンサデバイス、ワイヤレスイヤホン、ゲームコントローラなどの情報機器、タブレットPCなどの携帯端末、又は、家電などであってもよい。また、電気機器200は、例えば、無線で供給される電力を受けるPC外付けデバイスなどであってもよい。また、電気機器200は、搬送ロボット、移動ロボット、車などの移動体に組み込まれていてもよい。
【0020】
[照明装置]
続いて、本実施の形態に係る照明装置100の具体的な構成について、図2及び図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る照明装置100の構成を示す図である。
【0021】
図2に示すように、照明装置100は、AC受電部110と、電源回路120と、照明部130と、アンテナ140と、を備える。また、図3に示すように、照明装置100は、筐体170を備える。なお、図3では、照明装置100の各構成要素の位置関係を説明することを目的として、照明部130及び筐体170の断面構造を模式的に示している。照明部130及び筐体170以外の構成要素については、機能ブロックとして表している。
【0022】
AC受電部110は、交流電力を受電する受電部の一例である。例えば、AC受電部110は、商用電源などの外部電源から交流電力を受電する。交流電力の大きさは、例えば、AC100V等の国又は地域毎に定められた値であり、AC110V、AC220V、AC240V等であるが、特に限定されない。AC受電部110は、受けた交流電力を電源回路120に供給する。例えば、AC受電部110は、口金、導電ピン又はアダプタなどであり、口金若しくは導電ピンの受具(ソケット)、引掛けシーリングボディ、配線ダクト又は端子台などに接続可能な構造を有する。
【0023】
電源回路120は、AC受電部110が受電した交流電力を直流電力に変換して、照明部130及びアンテナ140に出力する。図2に示すように、電源回路120は、点灯回路121と、無線給電回路122と、を備える。
【0024】
点灯回路121は、照明部130に供給する電力を生成して、照明部130に出力する。具体的には、点灯回路121は、AC受電部110から供給される交流電力に基づいて直流電力を生成し、生成した直流電力を照明部130に供給することで、照明部130を点灯させる。
【0025】
無線給電回路122は、アンテナ140に供給する電力を生成して、アンテナ140に出力する。具体的には、無線給電回路122は、AC受電部110から供給される交流電力が変換された直流電力を無線電力に変換し、変換した無線電力をアンテナ140から電波として放射させる。
【0026】
電源回路120は、1以上の基板(図示せず)と、当該基板に実装された複数の回路素子(図示せず)と、を含む。基板は、例えばプリント配線基板であり、複数の回路素子を電気的に接続する配線を含む。複数の回路素子は、集積回路(IC)素子、抵抗、ダイオード、トランジスタ、トランス、インダクタ、コンデンサなどの少なくとも1つを含む。複数の回路素子が電気的に接続されることによって、AC/DCコンバータ、昇圧回路、降圧回路等を構成し、点灯回路121及び無線給電回路122の機能を実現している。
【0027】
また、電源回路120は、マイクロコントローラ等の制御回路を含んでもよい。マイクロコントローラは、例えば、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどを含んでいる。また、制御回路は、プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサであってもよい。制御回路が実行する機能は、ソフトウェアで実現されてもよく、ハードウェアで実現されてもよい。
【0028】
照明部130は、電源回路120から供給される電力を用いて、照明光を照射する。図3に示すように、照明部130は、例えば、基板131と、照明光用の光を発する発光素子132と、を含む。本実施の形態では、複数の発光素子132が基板131に実装されている。
【0029】
基板131は、例えばプリント配線基板であり、表面に実装された複数の発光素子132と点灯回路121とを電気的に接続する配線を含んでいる。配線は、例えば、銅などの金属を用いて形成されたパターン配線である。基板131には、厚み方向に貫通する開口(貫通孔)131bが設けられている。開口131bは、アンテナ140の少なくとも一部を配置するための開口であり、例えば、基板131の中央に設けられている。
【0030】
なお、基板131は、少なくとも一部に金属を含む板材の一例である。また、基板131は、照明光及び電波の少なくとも一方を反射させる反射部材の一例でもある。基板131に含まれる金属が電波を反射させることができる。なお、基板131に含まれる金属は、例えば、銅の配線であるが、これに限らない。例えば、基板131の裏面(発光素子132の実装面とは反対側の面)又は基板131の内部には、平面視における大きさが基板131とほぼ同じである金属膜(ベタ膜)が設けられていてもよい。また、例えば、基板131の表面には、白色塗料(白レジスト)が塗装されてもよい。白レジストは、高い光反射性を有するので、照明装置100の光取り出し効率を高めることができる。
【0031】
複数の発光素子132は、点灯回路121から供給される直流電力で発光する素子であり、例えばLED(Light Emitting Diode)素子である。LED素子は、例えば青色光を発するLEDチップと、LEDチップが発する青色光によって励起されて黄色光を放出する黄色蛍光体とを含む。LEDチップが発する青色光と黄色蛍光体が放出する黄色光との混合光である白色光が照明光として出射される。なお、発光素子は、レーザ発光素子であってもよく、有機EL(Electroluminescence)素子であってもよい。また、照明光は、白色光に限定されず、有色光であってもよい。
【0032】
複数の発光素子132は、点灯回路121から供給される電力量に応じて、発光強度が変化する。このため、供給される電力量を調整することによって、照明光の強度の調整(すなわち、調光)が可能になる。
【0033】
また、複数の発光素子132は、互いに同じ色温度の白色光を発するが、異なる色温度の白色光を発する発光素子を含んでもよい。異なる色温度の白色光を発する複数の発光素子の各々の発光強度を調整することによって、照明光の光色の調整(すなわち、調色)が可能になる。なお、複数の発光素子132はそれぞれ、RGBに対応した発光素子であってもよい。なお、照明部130は、調光及び調色の機能を有しなくてもよい。
【0034】
アンテナ140は、指向性を有するアンテナである。すなわち、アンテナ140は、無線給電用の電波が放射されやすい方向と放射されにくい方向とを有している。このため、アンテナ140の位置及び向きを調整することによって、無線給電用の電波の最大放射方向及び放射範囲を調整することができる。
【0035】
なお、1本のアンテナ140からの給電可能な範囲(電波が十分な強度で到達できる範囲)は、例えば、アンテナ140を基準として3m以内の範囲である。一般的な建物の屋内では天井の高さが3mを超えないので、天井に照明装置100が固定された場合、照明装置100の直下の領域だけでなく、一定の範囲の広さにまで給電用の電波を到達させることができる。複数のアンテナ140からの電波の放射方向を調整することにより、広範囲に、又は、高い電波強度で無線給電を行うことができる。なお、1本のアンテナ140からの給電範囲は3mを超えていてもよい。これにより、天井が高い建造物などに適用された場合でも、高い電波強度で無線給電を行うことができる。
【0036】
アンテナ140は、例えば、マイクロ波帯(300MHz~300GHz)のうち、920MHz帯に含まれる周波数の電波を放射する。あるいは、アンテナ140は、例えば、2.4GHz帯及び5.7GHz帯に含まれる周波数の電波を放射してもよい。なお、周波数帯は、日本国内においては空間伝送型ワイヤレス電力伝送の技術基準として、無線設備規則第24条、第49条の9、別表第1号及び別表第3号等で規定されている。
【0037】
920MHz帯(具体的には、917.8MHz以上919.4MHz以下の範囲)は、電波の放射源から所定範囲内に人が居ても使用可能な周波数帯である。2.4GHz帯(具体的には、2410MHz以上2486MHz以下の範囲)は、電波の放射源から所定範囲内に人が居る場合には使用が禁止されている周波数帯である。5.7GHz帯(具体的には、5738MHz以上5766MHz以下の範囲)も同様に、電波の放射源から所定範囲内に人が居る場合には使用が禁止されている周波数帯である。2.4GHz帯及び5.7GHz帯は、ハイパワーな無線給電が可能であるので、急速充電に有用である。
【0038】
本実施の形態では、図3に示すように、アンテナ140は、少なくとも一部が、基板131に設けられた開口131b及び器具本体171に設けられた貫通孔171b内に位置している。具体的には、アンテナ140は、少なくとも一部が開口131bから突出するように設けられている。突出方向は、主な照明方向であり、例えば、照明装置100が天井に取り付けられた場合の床面方向である。これにより、アンテナ140からは、電波を床面側に向けて放射することができる。なお、アンテナ140は、開口131bから突出していなくてもよい。例えば、アンテナ140の先端が、開口131bの開口面(具体的には、基板131の床面側の主面(発光素子132の実装面)の延長面)と面一になるようにアンテナ140が設けられてもよい。
【0039】
筐体170は、照明部130を支持する筐体である。具体的には、筐体170は、照明部130が載置される載置面171aを有する。本実施の形態では、筐体170は、照明装置100の外郭筐体である。図3に示すように、筐体170は、器具本体171と、透光カバー172と、を含む。
【0040】
器具本体171は、照明装置100の本体部である。器具本体171の主要な面の1つが、照明部130が載置される載置面171aである。載置面171aは、器具本体171の外側表面の一部である。このため、照明部130は、器具本体171の外側に配置されており、透光カバー172に覆われている。なお、載置面171aは、器具本体171の内側の表面であってもよく、器具本体171の内部に照明部130が収容されていてもよい。
【0041】
図3に示されるように、載置面171aには、アンテナ140の少なくとも一部を配置するために、載置面171aを貫通する貫通孔171bが設けられている。図には示されていないが、貫通孔171bには、点灯回路121と照明部130とを電気的に接続するケーブルなどの有線が挿通されていてもよい。
【0042】
本実施の形態では、器具本体171は、アルミニウム又は鉄などの金属材料を用いて形成されている。熱伝導率の高い金属材料を用いることにより、照明部130で生じる熱を放散させることができる。照明部130の温度上昇を抑制することで、発光効率の低下を抑制することができる。
【0043】
器具本体171は、例えば、ダイキャスト又は板金加工によって形成されている。器具本体171の表面には、樹脂材料を用いたコーティングが行われていてもよい。例えば、器具本体171の外表面及び内表面には、絶縁膜が形成されていてもよい。これにより、器具本体171を介した短絡及び漏電の発生を抑制することができる。なお、器具本体171は、樹脂製の筐体であってもよい。器具本体171が樹脂製の筐体である場合、アンテナ140からの電波が器具本体171によって遮断されないので、電波の利用効率(無線給電の効率)を高めることができる。
【0044】
透光カバー172は、照明部130の光照射側に配置され、照明部130から照射される光を透過させる。透光カバー172は、可視光に対して透光性を有する材料を用いて形成されている。例えば、透光カバー172は、アクリル樹脂などの透明樹脂を用いて形成されている。
【0045】
透光カバー172には、光を散乱させる光散乱構造が設けられていてもよい。例えば、透光カバー172の表面には、光を散乱させる微細凹凸が設けられていてもよい。あるいは、透光カバー172の内部には、光を散乱させるフィラーなどの粒子が分散されていてもよい。光を散乱させることによって、局所的に強い光が照射されるのを抑制することができる。
【0046】
なお、透光カバー172は設けられていなくてもよい。また、照明装置100の種類によっては、透光レンズなどが設けられていてもよい。透光カバー172及び器具本体171の具体的な構成、形状及び大きさなどは、照明装置100の種類及び大きさによって適宜変更可能である。
【0047】
[電気機器]
続いて、本実施の形態に係る電気機器200の具体的な構成について、図2を用いて説明する。
【0048】
図2に示すように、電気機器200は、受電アンテナ210と、充電回路220と、充電池230と、を備える。
【0049】
受電アンテナ210は、アンテナ140から放射される無線給電用の電波を受ける。受電アンテナ210は、例えば、基板に設けられた配線を有するパターンアンテナである。あるいは、受電アンテナ210はそれぞれ、棒状アンテナであってもよい。無線給電用の電波を受電できれば、受電アンテナ210の種類は特に限定されない。
【0050】
充電回路220は、受電アンテナ210で受けた電波を用いて充電池230を充電する。具体的には、充電回路220は、1つ以上の基板(図示せず)と、当該基板に実装された複数の回路素子(図示せず)と、を含む。基板は、例えばプリント配線基板であり、複数の回路素子を電気的に接続する配線を含む。複数の回路素子は、集積回路(IC)素子、抵抗、ダイオード、トランジスタ、トランス、インダクタ、コンデンサなどの少なくとも1つを含む。複数の回路素子が電気的に接続されることによって、充電回路220を構成している。
【0051】
充電池230は、充放電可能な二次電池である。充電池230は、充電回路220によって充電される。なお、充電池230は、電気機器200に対して着脱自在であってもよい。
【0052】
電気機器200は、充電池230に充電された電力を用いて動作する。図2には示していないが、電気機器200は、その機能を発揮するための構成要素を備える。例えば、電気機器200がスマートフォンの場合、電気機器200は、ディスプレイ、タッチセンサ、スピーカ、マイクロフォン、カメラ、プロセッサ、メモリ、通信インタフェースなどを備える。電気機器200は、充電池230に充電された電力を用いて、これらの各種構成要素を動作させることによって、所定の機能を実行する。
【0053】
[電波及び照明光の出射範囲]
続いて、本実施の形態に係る照明装置100からの電波及び照明光の出射範囲の複数の例について、図1を用いて説明する。
【0054】
照明装置100は、照明光及び電波をそれぞれ出射(照射及び放射)する。図1では、照明光の最大光度方向11及び照明範囲12と、電波の最大放射方向21及び放射範囲22とを表している。
【0055】
照明光の最大光度方向11は、照明装置100の中心から照明光の最大光度点に向かう方向である。なお、照明装置100の中心は、照明部130の中心とみなすことができる。具体的には、照明装置100の中心は、基板131の主面のうち、複数の発光素子132が実装される主面を平面視したときの、当該主面の中心(重心)とみなすことができる。照明光の最大光度点は、照明装置100から出射される照明光のうち、最も光度が高い点である。図1に示す例では、最大光度方向11は、鉛直下方であるが、これに限定されない。
【0056】
照明光の照明範囲12は、照明光のビーム角θ1によって定義される範囲である。ビーム角θ1は、半値角又は1/2ビーム角とも呼ばれ、最大光度の1/2の光度になる2点の、光中心に対する角度で定義される。光中心は、照明装置100の中心とみなしてもよい。
【0057】
電波の最大放射方向21は、アンテナ140の中心から電波の最大強度点に向かう方向である。なお、アンテナ140の中心は、パターンアンテナが形成された基板の中心(又は給電点)とみなすことができる。あるいは、最大放射方向21は、最大光度方向11と同様に、照明装置100の中心を起点として定義されてもよい。例えば、照明装置100が複数のアンテナ140を備える場合には、照明装置100の中心を起点とすることができる。電波の最大強度点は、照明装置100から出射される電波のうち、最も放射強度が高い点である。
【0058】
電波の放射範囲22は、電波のビーム角θ2によって定義される範囲である。ビーム角θ2は、半値角又は1/2ビーム角とも呼ばれ、最大強度の1/2の強度になる2点の、電波中心に対する角度で定義される。電波中心は、アンテナ140の中心又は照明装置100の中心とみなしてもよい。
【0059】
図1に示すように、本実施の形態では、電波の最大放射方向21は、照明光の最大光度方向11と異なっている。電波の最大放射方向21と照明光の最大光度方向11とがなす角度θは、90°未満であるが、これに限定されない。角度θは、45°未満であってもよい。
【0060】
また、例えば、電波の最大放射方向21と照明光の最大光度方向11とは、ほぼ一致していてもよい。具体的には、角度θは、30°未満であってもよく、20°未満であってもよく、10°未満であってもよく、5°未満であってもよい。
【0061】
照明装置100がシーリングライトのように室内の天井のほぼ中心に設置される照明装置の場合、室内を全体的に照明することを目的としているため、最大光度方向11は、床面に向かった鉛直下方になることが多い。これに対して、無線給電の対象となる電気機器200は、照明装置100の鉛直下方に置かれるとは限らないため、最大放射方向21を最大光度方向11と一致させたとしても、高効率な無線給電が実現できない場合がある。
【0062】
このため、本実施の形態に係る照明装置100では、最大放射方向21を最大光度方向11とは異ならせている。例えば、最大放射方向21は、無線給電の対象となる電気機器200が位置する場所に向かう方向になるように設定される。これにより、効率良く無線給電を行うことができる。
【0063】
[変形例]
続いて、実施の形態1の複数の変形例について説明する。以下に示す複数の変形例ではいずれも、実施の形態1と比較して、電波及び照明光の出射範囲が主として相違する。以下の説明では、実施の形態1との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0064】
[変形例1]
まず、変形例1について、図4Aを用いて説明する。
【0065】
図4Aは、実施の形態1の変形例1に係る無線給電システム1Aによる電波及び照明光の出射範囲を概略的に示す図である。図4Aに示す無線給電システム1Aは、照明装置100Aを備える。照明装置100Aの具体的な構成は、図2及び図3に示した照明装置100の構成と同様である。本変形例に係る照明装置100Aでは、照明部130が複数の最大光度方向を有するように照明光を照射する点が相違する。
【0066】
具体的には、図4Aに示すように、照明装置100Aから照射される照明光は、最大光度方向11a及び11bを有する。最大光度方向11a及び11bは、互いに異なる方向であり、かつ、照明装置100Aの正面方向(図4Aの例では鉛直下方)に対して傾斜した方向である。このため、照明装置100Aの正面方向の周囲に照明光の照明範囲12a及び12bが形成される。このような照明光の配光は、バットウィング配光とも呼ばれる。バットウィング配光は、照明部130が備える発光素子132の配置及び/又はレンズ等の光学部材を調整することによって実現可能である。
【0067】
本変形例では、電波の最大放射方向21は、照明装置100Aの鉛直下方に一致しており、最大光度方向11a及び11bのいずれとも異なっている。照明光の最大光度方向11a及び11bに依存せずに、例えば、無線給電の対象となる電気機器200の位置に応じて電波の最大放射方向21及び放射範囲22を設定することができる。これにより、効率良く無線給電を行うことができる。
【0068】
また、本変形例では、電波の放射範囲22は、照明光の照明範囲12a及び12bのいずれにも重なっていない。無線給電の対象となる電気機器200が照明範囲12a及び12bのいずれにも存在しない場合であっても、電気機器200に向けて電波を放射し、効率良く無線給電を行うことができる。
【0069】
なお、複数の最大光度方向11a及び11bがある場合には、電波の最大放射方向21は、複数の最大光度方向11a及び11bの一方と同じであってもよい。つまり、電波の最大放射方向21は、複数の最大光度方向11a及び11bの少なくとも1つと異なっていればよい。
【0070】
[変形例2]
次に、変形例2について、図4Bを用いて説明する。
【0071】
図4Bは、実施の形態1の変形例2に係る無線給電システム1Bによる電波及び照明光の出射範囲を概略的に示す図である。図4Bに示す無線給電システム1Bは、照明装置100Bを備える。照明装置100Bの具体的な構成は、図2及び図3に示した照明装置100の構成と同様である。本変形例に係る照明装置100Bでは、照明光の最大光度方向11と電波の最大放射方向21とが同じである。つまり、最大光度方向11と最大放射方向21とがなす角度θは0°である。
【0072】
本変形例では、図4Bに示すように、照明光のビーム角θ1と電波のビーム角θ2とが異なっている。すなわち、照明光の拡がり具合が電波の拡がり具合とは異なっている。図4Bでは、ビーム角θ1がビーム角θ2よりも大きい。これにより、広範囲に照明光を照射しながら、狭範囲にスポット的に電波を放射することができる。電波の放射範囲22を狭めることで、電力の無駄を減らすことができるので、効率良く無線給電を行うことができる。
【0073】
なお、照明光のビーム角θ1が電波のビーム角θ2よりも小さくてもよい。これにより、広範囲に電波を放射しながら、狭範囲にスポット的に照明光を照射することができる。例えば、無線給電の対象となる電気機器200が複数離れて存在する場合であっても、複数の電気機器200の各々に対する無線給電を行うことができる。また、照明光の照明範囲12を狭めることで、電力の無駄を減らすことができるので、エネルギー効率を高めることができる。
【0074】
電波及び照明光の出射範囲は、アンテナ140及び照明部130の配置、並びに、反射板又はレンズ等の電波及び/又は光の進行方向の調整が可能な部材の配置等を調整することによって実現される。
【0075】
[変形例3]
次に、変形例3について、図4Cを用いて説明する。
【0076】
図4Cは、実施の形態1の変形例3に係る無線給電システム1Cによる電波及び照明光の出射範囲を概略的に示す図である。図4Cに示す無線給電システム1Cは、照明装置100Cを備える。照明装置100Cの具体的な構成は、図2に示した照明装置100の構成と同様である。本変形例に係る照明装置100Cでは、照明光の最大光度方向11と電波の最大放射方向21とがなす角度θが90°以上である。
【0077】
例えば、図4Cに示すように、最大光度方向11と最大放射方向21とがなす角度θは180°である。電波の放射範囲22は、照明光の照明範囲12には重なっていない。具体的には、照明光は、照明装置100Cが配置された室内に向けて照射されるのに対して、電波は、照明装置100Cが配置された部屋の上のフロアに向けて照射される。このように、電波が放射されて無線給電が可能な部屋と、照明光が照射されて照明される部屋とが異なっている。
【0078】
本変形例に係る照明装置100Cは、電波の最大放射方向21及び放射範囲22が、照明光の最大光度方向11及び照明範囲12とは反対側に位置している。このため、金属を含む板材がアンテナ140の床面側(光照射側)に設けられている場合に、当該板材には開口(貫通孔)が設けられていなくてもよい。
【0079】
図5は、本変形例に係る照明装置100Cの構成を示す断面図である。図5に示すように、照明装置100Cは、図3に示した照明装置100と比較して、照明部130及び筐体170の代わりに、基板131Cを有する照明部130Cと、器具本体171Cを有する筐体170Cと、を備える。アンテナ140は、基板131Cを基準として、照明光の照射側とは反対側(具体的には、天井側)に位置している。基板131Cには、開口131bが設けられていない。器具本体171Cには、貫通孔171bが設けられていない。なお、器具本体171Cが金属製である場合には、アンテナ140よりも天井側に電波を通すための貫通孔が設けられていてもよい。
【0080】
本変形例によれば、照明される空間とは異なるフロアに存在する電気機器200に対する無線給電を行うことができる。また、照明光の照明範囲12と電波の放射範囲22とが実質的に重ならないので、電波の放射方向等を考慮せずに、照明設計が実現できる。例えば、基板131Cには開口を設けずに、より多くの発光素子132を配置することもでき、照明光の光量を増やすことができる。
【0081】
なお、照明装置100Cは、複数の最大放射方向を有する電波を放射してもよい。例えば、照明装置100Cは、互いに放射方向が異なる複数のアンテナ140を備えてもよい。一例として、1本のアンテナ140からの電波の放射方向を、照明光の出射側に設定し、他の1本のアンテナ140からの電波の放射方向を、照明光の出射側とは反対側に設定する。これにより、1つの照明装置100Cによって複数のフロアに跨る無線給電を実行することができる。
【0082】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
【0083】
実施の形態2では、実施の形態1と比較して、電波及び照明光の少なくとも一方の出射方向又は出射範囲を変更することができる点が相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0084】
図6は、本実施の形態に係る無線給電システム2の構成を示すブロック図である。図6に示すように、無線給電システム2は、実施の形態1に係る無線給電システム1と比較して、照明装置100の代わりに照明装置101を備える。照明装置101は、照明装置100と比較して、駆動部150を備える点が相違する。
【0085】
駆動部150は、電波の最大放射方向、照明光の最大光度方向、電波の放射範囲及び照明光の照明範囲の少なくとも1つを変更する変更部の一部である。本実施の形態では、駆動部150は、反射部材の一例である基板131とアンテナ140及び照明部130の少なくとも一方との位置関係を変更する。駆動部150は、例えば、アンテナ140及び照明部130の少なくとも一部の位置及び/又は姿勢を変更することができる。駆動部150は、モータ等のアクチュエータ等で実現されるが、これに限らない。
【0086】
[アンテナ調整]
以下では、照明部130の基板131が反射部材の一例であり、基板131とアンテナ140との位置関係を変更する例について説明する。
【0087】
図7A及び図7Bは、本実施の形態に係る照明装置101のアンテナ140の調整の第1例を示す図である。第1例では、変更部(駆動部150)は、例えば、アンテナ140と基板131の開口131bとの位置関係を変更することで、電波の最大放射方向及び電波の放射範囲の少なくとも1つを変更する。
【0088】
図7Aに示すように、基板131には、開口131bが設けられている。駆動部150は、アンテナ140と開口131bとの位置関係を変更することができる。具体的には、駆動部150は、アンテナ140の位置を変更可能に保持しており、開口131bに挿入可能である。なお、図7Aでは、駆動部150がアーム状の保持部を備える例を示しているが、これに限定されない。
【0089】
例えば、駆動部150は、図7Bに示すように、アンテナ140を開口131bに挿入し、開口131bからの床面方向への突出量を増やす。これにより、電波のビーム角θ2を大きくすることができ、電波の放射範囲22を広げることができる。あるいは、図7Aに示すように、アンテナ140の、開口131bからの床面方向への突出量を0未満にする(後退させる)ことにより、電波のビーム角θ2を小さくすることができる。このように、アンテナ140と開口131bとの位置関係を調整することにより、電波の放射範囲22を変更することができる。あるいは、駆動部150は、アンテナ140の向きを変更してもよい。アンテナ140の向きを変更することによって、電波の最大放射方向21を変更することができる。
【0090】
図8は、本実施の形態に係る照明装置101のアンテナ140の調整の第2例を示す図である。図8に示すように、アンテナ140は、金属製の筒体142内に配置されている。筒体142は、反射部材の一例である。筒体142の形状は、円筒状であるが、角筒状であってもよい。また、筒体142の軸方向の両端部は塞がれていてもよく、開放されていてもよい。
【0091】
筒体142の側面には、スリット144が設けられている。図8では、2本のスリット144が設けられているが、スリット144の本数は特に限定されない。スリット144を介してアンテナ140からの電波を放射させることができる。
【0092】
図8に示す例では、駆動部150は、筒体142を回動可能に支持する。筒体142を軸周りに回動させることによって、スリット144の位置が変化する。スリット144の位置が変化することによって、電波の最大放射方向21及び放射範囲22を変更することができる。例えば、スリット144と開口131bとを近づけることにより、電波の放射範囲22を広げることができる。
【0093】
駆動部150は、例えば、図示しない制御部によって実行される。例えば、制御部は、リモートコントローラ又はスマートフォン等の操作端末からの指示に基づいて駆動部150を制御する。あるいは、制御部は、無線給電の対象となる電気機器200の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて駆動部150を制御してもよい。電気機器200の位置情報は、例えば、カメラ等のセンサ又は電気機器200との通信等によって得ることができる。
【0094】
以上のように、アンテナ140又は筒体142のスリット144と開口131bとの位置関係等を変更することにより、電波の最大放射方向21及び放射範囲22を変更することができる。なお、駆動部150は、アンテナ140又はスリット144の代わりに、基板131の位置又は姿勢を変更してもよい。
【0095】
また、例えば、駆動部150は、照明光を反射する反射板、又は、照明光を透過させるレンズ等の光学部材の位置及び姿勢を変更してもよい。例えば、駆動部150は、基板131を傾けて保持できてもよい。これにより、照明光の最大光度方向11及び照明範囲12を変更させることができる。
【0096】
あるいは、照明装置101は、互いに最大放射方向が異なる複数のアンテナ140と、複数のアンテナ140の中から、電波を放射させるアンテナ140を選択する制御部と、を備えてもよい。当該制御部は、電波の最大放射方向、照明光の最大光度方向、電波の放射範囲及び照明光の照明範囲の少なくとも1つを変更する変更部の一部である。制御部は、複数のアンテナ140のうち、無線給電を行わせるアンテナ140を選択することにより、照明装置101からの電波の最大放射方向を変更することができる。
【0097】
また、本実施の形態では、駆動部150によって自動でアンテナ140の位置を変更することができる例を示したが、これに限定されない。照明装置101は駆動部150を有さなくてもよい。例えば、照明装置101の設置時に、業者又はユーザが手動でアンテナ140の位置を調整してもよい。例えば、照明装置101は、アンテナ140を複数の位置及び/又は姿勢の各々で固定できる機構を備えてもよい。
【0098】
(まとめ)
以上のように、本発明の第1態様に係る照明装置は、上述した照明装置100、100A、100C又は101のように、電源回路120と、電源回路120から供給される電力を用いて、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射するアンテナ140と、電源回路120から供給される電力を用いて、照明光を照射する照明部130と、を備え、電波の最大放射方向21は、照明光の最大光度方向11と異なっている。
【0099】
これにより、照明及び無線給電の各々の要望に応じて適切な方向に最大光度方向11と最大放射方向21とを設定することができる。例えば、空間内の全体的な照明を行いながら、特定の領域に配置される電気機器200に向けて電波を放射させることができる。アンテナ140から放射される電波の無駄を減らすことができるので、効率良く無線給電を行うことができる。
【0100】
また、本発明の第2態様に係る照明装置は、第1態様に係る照明装置において、電波の最大放射方向21と照明光の最大光度方向11とがなす角度θは、30°未満である。
【0101】
これにより、電波の最大放射方向21と照明光の最大光度方向11とを僅かに異ならせることもできるので、要望への対応精度を高めることができる。アンテナ140から放射される電波の無駄を減らすことができるので、効率良く無線給電を行うことができる。
【0102】
また、本発明の第3態様に係る照明装置は、第1態様に係る照明装置において、電波の最大放射方向21と照明光の最大光度方向11とがなす角度θは、90°以上である。
【0103】
これにより、例えば、照明される空間の上のフロアに向けて電波を放射することができる。
【0104】
また、本発明の第4態様に係る照明装置は、第1態様~第3態様のいずれか1つに係る照明装置において、電波の放射範囲22は、照明光の照明範囲12に重ならない。
【0105】
これにより、電気機器200が照明範囲12内に存在しない場合であっても、効率良く無線給電を行うことができる。
【0106】
また、本発明の第5態様に係る照明装置は、上述した照明装置100Bのように、電源回路120と、電源回路120から供給される電力を用いて、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射するアンテナ140と、電源回路120から供給される電力を用いて、照明光を照射する照明部130と、を備え、電波のビーム角θ2は、照明光のビーム角θ1と異なっている。
【0107】
これにより、照明及び無線給電の各々の要望に応じてビーム角θ1及びθ2を設定することができる。例えば、空間内の全体的な照明を行いながら、特定の領域に配置される電気機器200に向けて電波を放射させることができる。アンテナ140から放射される電波の無駄を減らすことができるので、効率良く無線給電を行うことができる。
【0108】
また、本発明の第6態様に係る照明装置は、第5態様に係る照明装置において、電波の最大放射方向21は、照明光の最大光度方向11と同じである。
【0109】
これにより、照明光による照明範囲12の中心付近には電波が放射されているので、電波の放射範囲22をユーザが判別しやすくなる。電気機器200を配置すべき位置が分かりやすくなるので、電波の無駄を減らすことができ、効率良く無線給電を行うことができる。
【0110】
また、本発明の第7態様に係る照明装置は、第1態様~第6態様のいずれか1つに係る照明装置において、さらに、電波の最大放射方向21、照明光の最大光度方向11、電波の放射範囲22及び照明光の照明範囲12の少なくとも1つを変更する変更部を備える。
【0111】
これにより、照明装置の設置状況又は電気機器200の位置等に応じた変更ができるので、要望への対応が容易になり、かつ、電波の無駄を減らし、効率良く無線給電を行うことができる。
【0112】
また、本発明の第8態様に係る照明装置は、第7態様に係る照明装置において、変更部は、照明光及び電波の少なくとも一方を反射させる反射部材(例えば、基板131、筒体142)と、反射部材とアンテナ140及び照明部130の少なくとも一方との位置関係を変更する駆動部150と、を含む。
【0113】
これにより、反射部材を利用して簡単に最大放射方向21及び最大光度方向11等の変更が実現できる。
【0114】
また、本発明の第9態様に係る照明装置は、第1態様~第8態様のいずれか1つに係る照明装置において、少なくとも一部に金属を含む板材(基板131)を備え、板材には、厚み方向に貫通する開口131bが設けられ、アンテナ140の少なくとも一部は、開口131b内に位置し、又は、開口131bから突出している。
【0115】
これにより、開口131bとの位置関係によって、電波の最大放射方向21及び放射範囲22を簡単に変更することができる。
【0116】
また、本発明の第10態様に係る照明装置は、第9態様に係る照明装置において、さらに、アンテナ140と開口131bとの位置関係を変更することで、電波の最大放射方向21及びの放射範囲22の少なくとも1つを変更する変更部を備える。
【0117】
これにより、照明装置の設置状況又は電気機器200の位置等に応じた変更ができるので、要望への対応が容易になり、かつ、電波の無駄を減らし、効率良く無線給電を行うことができる。
【0118】
また、本発明の第11態様に係る照明装置は、第1態様~第8態様のいずれか1つに係る照明装置において、少なくとも一部に金属を含む板材を備え、アンテナ140の少なくとも一部は、板材を基準として、照明光の照射側とは反対側に位置している。
【0119】
これにより、照明光の妨げになりにくい場所にアンテナ140を配置することができるので、照明光を空間照明に効率良く利用することができる。
【0120】
また、本発明の第12態様に係る照明装置は、第11態様に係る照明装置において、照明部130又は130Cは、板材(基板131又は131C)と、板材の表面に実装された複数の発光素子132と、を含む。
【0121】
また、本発明の第13態様に係る照明装置は、第1態様~第12態様のいずれか1つに係る照明装置において、照明部130又は130Cは、複数の最大光度方向を有するように照明光を照射し、電波の最大放射方向は、複数の最大光度方向の少なくとも1つと異なっている。
【0122】
また、本発明の第14態様に係る照明装置は、第1態様~第13態様のいずれか1つに係る照明装置において、交流電力を受電するAC受電部110を備え、電源回路120は、AC受電部110が受電した交流電力を直流電力に変換してアンテナ140及び照明部130に出力する。
【0123】
これにより、一般的な商用電源等を利用できるので、照明装置の設置の自由度を高めることができる。
【0124】
また、本発明の第15態様に係る無線給電システムは、上述した無線給電システム1、1A、1B、1C又は2のように、照明装置100、100A、100B、100C又は101と、電気機器200と、を備え、電気機器200は、アンテナ140から放射される電波を受ける受電アンテナ210と、受電アンテナ210で受けた電波を用いて充電池230を充電する充電回路220と、を備える。
【0125】
これにより、上述した各態様に係る照明装置と同様の効果を得ることができる。具体的には、電気機器200に対して効率良く無線給電を行うことができる。
【0126】
(その他)
以上、本発明に係る照明装置及び無線給電システムについて、上記の実施の形態などに基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0127】
例えば、照明部130は、空間照明のメインの照明光ではなく、補助的な照明光を照射してもよい。例えば、照明部130は、いわゆる常夜灯用の光源部であってもよい。
【0128】
また、照明装置100、100A、100B、100C又は101は、屋外で使用されてもよい。例えば、照明装置100、100A、100B、100C又は101は、支柱などの構造物に固定された街路灯、道路灯又はトンネル灯などであってもよい。
【0129】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1、1A、1B、1C、2 無線給電システム
11、11a、11b 最大光度方向
12、12a、12b 照明範囲
21 最大放射方向
22 放射範囲
100、100A、100B、100C、101 照明装置
110 AC受電部
120 電源回路
121 点灯回路
130、130C 照明部
131、131C 基板
131b 開口
132 発光素子
140 アンテナ
142 筒体
144 スリット
150 駆動部
200 電気機器
210 受電アンテナ
220 充電回路
230 充電池
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図8