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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174451
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/122 20230101AFI20241210BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20241210BHJP
   H10K 71/20 20230101ALI20241210BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20241210BHJP
   H10K 50/81 20230101ALI20241210BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241210BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H10K59/122
H10K50/844
H10K71/20
H10K71/16
H10K50/81
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/00 342
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092277
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 有親
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107CC33
3K107CC45
3K107DD10
3K107DD37
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD95
3K107DD96
3K107EE21
3K107EE48
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG12
3K107GG28
5C094AA31
5C094BA27
5C094DA15
5C094EA04
5C094EA07
5C094EC04
5C094FA02
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA14
5G435BB05
5G435KK05
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上方に配置された有機絶縁層と、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、前記有機絶縁層の上に配置され、前記下電極の側面に接触する平坦化層と、前記平坦化層を覆うとともに、前記下電極の周縁部を覆う無機絶縁層と、前記無機絶縁層の上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記隔壁で囲まれ、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記隔壁で囲まれ、前記有機層の上に配置され、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に配置された有機絶縁層と、
前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
前記有機絶縁層の上に配置され、前記下電極の側面に接触する平坦化層と、
前記平坦化層を覆うとともに、前記下電極の周縁部を覆う無機絶縁層と、
前記無機絶縁層の上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、
前記隔壁で囲まれ、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記隔壁で囲まれ、前記有機層の上に配置され、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
平面視において、前記平坦化層は、格子状に形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記平坦化層の上面の少なくとも一部は、前記下電極の上面よりも突出している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記平坦化層の上面の少なくとも一部は、前記下電極の上面よりもくぼんでいる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記平坦化層は、ポジ型の感光性樹脂によって形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
さらに、前記上電極の上に配置されたキャップ層と、
前記キャップ層の上に配置され、無機絶縁材料で形成された封止層と、を備え、
前記封止層は、前記下電極の直上の前記キャップ層を覆い、且つ、前記隔壁に接触している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
基板の上方に有機絶縁層を形成し、
前記有機絶縁層の上に下電極を形成し、
前記有機絶縁層及び前記下電極を覆うポジ型の感光性樹脂を塗布し、
前記感光性樹脂をパターニングして、前記下電極の側面に接触する平坦化層を形成し、
前記平坦化層を覆うとともに、前記下電極の周縁部を覆う無機絶縁層を形成し、
前記無機絶縁層の上に位置し導電材料で形成された下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、
前記隔壁をマスクとした蒸着により、前記下電極の上に位置し、発光層を含む有機層を形成し、
前記隔壁をマスクとした蒸着により、前記有機層の上に位置し、前記隔壁の前記下部に接触する上電極を形成する、表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記感光性樹脂のパターニングする工程は、
マスクを用いることなく前記感光性樹脂の全面を露光し、
前記感光性樹脂を現像し、
前記感光性樹脂を焼成する工程を含む、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記感光性樹脂のパターニングする工程は、
前記下電極に重なる領域の露光量が前記下電極に重ならない領域の露光量より大きい露光条件で前記感光性樹脂を露光し、
前記感光性樹脂を現像し、
前記感光性樹脂を焼成する工程を含む、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記感光性樹脂のパターニングする工程は、
マスクを用いることなく前記感光性樹脂の全面を露光し、
前記下電極に重なる領域に開口を有し前記下電極に重ならない領域を遮光するマスクを用いて前記感光性樹脂を露光し、
前記感光性樹脂を現像し、
前記感光性樹脂を焼成する工程を含む、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記上電極を形成した後に、
前記上電極の上にキャップ層を形成し、
前記キャップ層の上に、無機絶縁材料で封止層を形成し、
前記封止層は、前記下電極の直上の前記キャップ層を覆い、且つ、前記隔壁に接触している、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
さらに、前記封止層を形成した後に、前記封止層の上にパターニングしたレジストを形成し、
前記レジストから露出した前記封止層、前記キャップ層、前記上電極、及び、前記有機層を順次エッチングにより除去する、請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
表示素子において、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方に配置された有機絶縁層と、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、前記有機絶縁層の上に配置され、前記下電極の側面に接触する平坦化層と、前記平坦化層を覆うとともに、前記下電極の周縁部を覆う無機絶縁層と、前記無機絶縁層の上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記隔壁で囲まれ、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記隔壁で囲まれ、前記有機層の上に配置され、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、を備える。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、
基板の上方に有機絶縁層を形成し、前記有機絶縁層の上に下電極を形成し、前記有機絶縁層及び前記下電極を覆うポジ型の感光性樹脂を塗布し、前記感光性樹脂をパターニングして、前記下電極の側面に接触する平坦化層を形成し、前記平坦化層を覆うとともに、前記下電極の周縁部を覆う無機絶縁層を形成し、前記無機絶縁層の上に位置し導電材料で形成された下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、前記隔壁をマスクとした蒸着により、前記下電極の上に位置し、発光層を含む有機層を形成し、前記隔壁をマスクとした蒸着により、前記有機層の上に位置し、前記隔壁の前記下部に接触する上電極を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
図2図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図4図4は、平坦化層13の一例を示す平面図である。
図5図5は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図6図6は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図7図7は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図8図8は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図9図9は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図10図10は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図11図11は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図12図12は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図13図13は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図14図14は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図15図15は、平坦化層13を形成する一手法を説明するための図である。
図16図16は、平坦化層13を形成する他の手法を説明するための図である。
図17図17は、平坦化層13を形成する他の手法を説明するための図である。
図18図18は、平坦化層13の断面形状の一例を示す図である。
図19図19は、平坦化層13の断面形状の他の例を示す図である。
図20図20は、平坦化層13を表示領域DAに選択的に形成する工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAよりも外側の周辺領域SAと、を有する表示パネルPNLを備えている。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1、SP2、SP3とともに、あるいは副画素SP1、SP2、SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0016】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0017】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0018】
周辺領域SAには、ICチップやフレキシブルプリント回路基板を接続するための端子TEが設けられている。
【0019】
図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。副画素SP1及び副画素SP2が第1方向Xに並び、副画素SP1及び副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。
【0020】
副画素SP1、SP2、SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並んでいる。
【0021】
なお、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトは図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1、SP2、SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0022】
表示領域DAには、無機絶縁層5及び隔壁6が配置されている。無機絶縁層5は、副画素SP1、SP2、SP3においてそれぞれ開口AP1、AP2、AP3を有している。これらの開口AP1、AP2、AP3を有する無機絶縁層5は、リブと称する場合がある。
隔壁6は、平面視において無機絶縁層5と重なっている。隔壁6は、開口AP1、AP2、AP3を囲む格子状に形成されている。隔壁6は、無機絶縁層5と同様に副画素SP1、SP2、SP3において開口を有するということもできる。
【0023】
副画素SP1、SP2、SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201、202、203を備えている。
【0024】
副画素SP1の表示素子201は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1を備えている。下電極LE1の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE1、有機層OR1、及び、上電極UE1を備える表示素子201は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR1及び上電極UE1のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR1は、例えば青波長域の光を放つ発光層を含む。
【0025】
副画素SP2の表示素子202は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2を備えている。下電極LE2の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE2、有機層OR2、及び、上電極UE2を備える表示素子202は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR2及び上電極UE2のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR2は、例えば緑波長域の光を放つ発光層を含む。
【0026】
副画素SP3の表示素子203は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3を備えている。下電極LE3の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE3、有機層OR3、及び、上電極UE3を備える表示素子203は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR3及び上電極UE3のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR3は、例えば赤波長域の光を放つ発光層を含む。
【0027】
図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0028】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。
【0029】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0030】
図2の例においては、開口AP1の面積、開口AP2の面積、及び、開口AP3の面積は、互いに異なる。開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0031】
図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【0032】
回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1などの各種回路と、走査線GL、信号線SL、電源線PLなどの各種配線と、を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する有機絶縁層である。
【0033】
下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12の上に配置され、互いに離間している。下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じて副画素SP1、SP2、SP3のそれぞれの画素回路1に接続されている。なお、絶縁層12のコンタクトホールは、図3では省略するが、図2のCH1、CH2、CH3に相当する。
【0034】
平坦化層13は、絶縁層12の上に配置され、下電極LE1、LE2、LE3の各々の上面を露出するとともに、下電極LE1、LE2、LE3の各々の側面に接触している。平坦化層13は、下電極LE1、LE2、LE3の各々と同等の厚さを有している。一例では、平坦化層13の厚さは、50~100nmである。
【0035】
無機絶縁層5は、平坦化層13を覆うとともに、下電極LE1、LE2、LE3の周縁部を覆っている。無機絶縁層5の開口AP1は下電極LE1に重なり、開口AP2は下電極LE2に重なり、開口AP3は下電極LE3に重なっている。
【0036】
隔壁6は、無機絶縁層5の上に配置された導電性を有する下部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を有している。図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に位置している。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。上部62の両端部は、下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0037】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、開口AP1から露出した下電極LE1を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
【0038】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、開口AP2から露出した下電極LE2を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下部61に接触している。
【0039】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、開口AP3から露出した下電極LE3を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下部61に接触している。
【0040】
図3の例においては、副画素SP1はキャップ層CP1及び封止層SE1を有し、副画素SP2はキャップ層CP2及び封止層SE2を有し、副画素SP3はキャップ層CP3及び封止層SE3を有している。キャップ層CP1、CP2、CP3は、それぞれ有機層OR1、OR2、OR3から放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。
【0041】
キャップ層CP1は、上電極UE1の上に配置されている。
キャップ層CP2は、上電極UE2の上に配置されている。
キャップ層CP3は、上電極UE3の上に配置されている。なお、キャップ層CP1、CP2、CP3は、省略してもよい。
【0042】
封止層SE1は、キャップ層CP1の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0043】
図3の例においては、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部は、副画素SP1の周囲の隔壁6の上に位置している。これらの部分は、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のうち開口AP1に位置する部分(表示素子201を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のそれぞれの一部は、副画素SP2の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のうち開口AP2に位置する部分(表示素子202を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のそれぞれの一部は、副画素SP3の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のうち開口AP3に位置する部分(表示素子203を構成する部分)から離間している。
【0044】
封止層SE1、SE2、SE3の端部は、隔壁6の上に位置している。図3の例においては、副画素SP1、SP2間の隔壁6の上に位置する封止層SE1、SE2の端部同士が離間し、副画素SP2、SP3間の隔壁6の上に位置する封止層SE2、SE3の端部同士が離間している。
【0045】
封止層SE1、SE2、SE3は、樹脂層RL1によって覆われている。樹脂層RL1は、封止層14によって覆われている。封止層14は、樹脂層RL2によって覆われている。
【0046】
無機絶縁層5、封止層SE1、SE2、SE3、及び、封止層14は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al)などの無機絶縁材料で形成されている。
【0047】
絶縁層12は、樹脂によって形成されている。平坦化層13は、ポジ型の感光性樹脂によって形成されている。平坦化層13は、絶縁層12とは異なる材料で形成されてもよいし、絶縁層12と同一材料で形成されてもよい。
【0048】
隔壁6の下部61は、導電材料で形成され、上電極UE1、UE2、UE3と電気的に接続されている。隔壁6の上部62は、例えば導電材料によって形成されているが、絶縁材料で形成されもよい。下部61は、上部62とは異なる材料で形成されている。
【0049】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの酸化物導電材料で形成された透明電極と、銀などの金属材料で形成された金属電極(反射電極)とを含む多層体である。
【0050】
有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM1、発光層EM2、及び、発光層EM3は、互いに異なる材料で形成されている。一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
また、有機層OR1、OR2、OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。
【0051】
上電極UE1、UE2、UE3は、例えば、マグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。
【0052】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、複数の薄膜の多層体である。複数の薄膜は、いずれも透明であり、しかも、互いに異なる屈折率を有している。
【0053】
図4は、平坦化層13の一例を示す平面図である。
平坦化層13は、平面視において、格子状に形成されている。下電極LE1、LE2、LE3の各々は、平坦化層13で囲まれている。つまり、下電極LE1の側面は、全周に亘って平坦化層13に接触している。同様に、下電極LE2の側面は、全周に亘って平坦化層13に接触し、下電極LE3の側面も、全周に亘って平坦化層13に接触している。これにより、互いに隣接する下電極LE1、LE2、LE3の間の段差が平坦化層13によって緩和される。
【0054】
このように、平坦化層13が下電極LE1、LE2、LE3の間の段差を緩和することにより、平坦化層13及び下電極LE1、LE2、LE3に重なる無機絶縁層5の上面が平坦化される。これにより、下電極LE1、LE2、LE3の段差に起因した無機絶縁層5におけるクラックの発生が抑制される。
【0055】
無機絶縁層5のクラックは、絶縁層12に含まれる水分の発散経路となり得る。このため、クラックが無機絶縁層5を貫通している場合、絶縁層12に含まれる水分が下電極LEの端部を伝わり、クラックを透過する恐れがある。この場合、無機絶縁層5の上に位置する有機層ORは、クラックを透過した水分によってダメージを受け、発光性能の低下を招く。
【0056】
上記の通り、本実施形態によれば、無機絶縁層5のクラックの発生が抑制されるため、絶縁層12に含まれる水分の発散経路が遮断される。これにより、無機絶縁層5の上に位置する有機層ORの水分による劣化が抑制される。したがって、信頼性の低下を抑制することができる。
【0057】
また、隔壁6の下地となる無機絶縁層5の表面が平坦化されるため、所望の形状の隔壁6を形成することができる。
【0058】
また、無機絶縁層5にクラックが生じることを想定して、クラックを覆うように隔壁6の下部61の幅を拡張した場合と比較して、各副画素の表示に寄与する面積を拡大することができる。
【0059】
また、無機絶縁層5にクラックが生じることを想定して、隣接する下電極LEを接近して配置し、各下電極LEの端部が下部61の直下に位置する場合と比較して、隣接する下電極LEの間での電気的な絶縁を確保することができる。
【0060】
また、樹脂で形成した平坦化層13は、無機絶縁層5によって覆われており、無機絶縁層5から露出していない。このため、有機層ORと平坦化層13との接触が回避される。これにより、平坦化層13に含まれる水分による有機層ORの劣化を抑制することができる。
【0061】
次に、図5乃至図14を参照して、表示装置DSPの製造方法について説明する。なお、図5乃至図14においては、絶縁層12よりも下方の図示を省略している。
【0062】
まず、図5に示すように、処理基板SUBを用意する。処理基板SUBを用意する工程は、絶縁層12を形成する工程と、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する工程と、を含んでいる。下電極LE1、LE2、LE3を形成する工程は、透明な導電層を形成する工程と、金属層を形成する工程と、これらの導電層及び金属層を一括してパターニングする工程と、を含んでいる。
【0063】
続いて、図6に示すように、絶縁層12の上に平坦化層13を形成する。平坦化層13を形成する工程については、後に詳述するが、絶縁層12及び下電極LE1、LE2、LE3を覆う感光性樹脂を塗布する工程と、この感光性樹脂をパターニングする工程と、を含んでいる。
【0064】
続いて、図7に示すように、下電極LE1、LE2、LE3及び平坦化層13を覆う無機絶縁層5を形成する。一例では、CVD(Chemical-Vapor Deposition)法により、シリコン酸窒化物を表示領域DAの全域に堆積する。
【0065】
続いて、図8に示すように、無機絶縁層5の上に隔壁6を形成する。隔壁6を形成する工程は、無機絶縁層5の上に金属層を形成する工程と、金属層の上に薄膜を形成する工程と、薄膜の上に隔壁6の形状に対応したレジストを形成する工程と、レジストをマスクとして薄膜及び金属層を順次エッチングする工程と、レジストを除去する工程と、を含んでいる。金属層をパターニングすることにより、無機絶縁層5の上に位置する下部61が形成される。また、薄膜をパターニングすることにより、下部61の上に位置し下部61の側面から突出した上部62が形成される。
【0066】
続いて、図9に示すように、無機絶縁層5に開口AP1、AP2、AP3を形成する。開口AP1は下電極LE1に重なり、開口AP2は下電極LE2に重なり、開口AP3は下電極LE3に重なる。このようにして形成された無機絶縁層5は、平坦化層13を覆い、下電極LE1、LE2、LE3の各々の周縁部を覆っている。
なお、上記の例では、隔壁6を形成した後に、開口AP1、AP2、AP3を形成したが、この例に限らず、開口AP1、AP2、AP3を有する無機絶縁層5を形成した後に、隔壁6を形成してもよい。
【0067】
続いて、表示素子201を形成する。
まず、図10に示すように、隔壁6をマスクとして、下電極LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層(EM1)、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。
その後、隔壁6をマスクとして、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
その後、隔壁6をマスクとして、上電極UE1の上に、第1透明層TL1を形成するための高屈折率材料及び第2透明層TL2を形成するための低屈折率材料を順次蒸着して、キャップ層CP1を形成する。
これらの有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、真空環境を維持した状態で連続して形成される。
【0068】
その後、CVD法により、キャップ層CP1及び隔壁6を連続的に覆うように、封止層SE1を形成する。
【0069】
有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1は、少なくとも表示領域DAの全体に形成され、副画素SP1だけでなく副画素SP2、SP3にも配置されている。有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。
【0070】
有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際に、蒸着源から放たれた材料は、上部62によって遮られる。このため、上部62の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、下電極LE1の直上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1から離間している。
封止層SE1は、隔壁6の直上のキャップ層CP1を覆うとともに、下電極LE1の直上のキャップ層CP1を覆い、かつ、隔壁6に接触している。
【0071】
続いて、図11に示すように、封止層SE1の上に、所定の形状にパターニングされたレジストRSを形成する。レジストRSは、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0072】
続いて、図12に示すように、レジストRSをマスクとしてエッチングを行うことにより、レジストRSから露出した封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。これにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE3が露出する。
その後、レジストRSを除去する。これにより、副画素SP1に表示素子201が形成される。
【0073】
続いて、図13に示すように、表示素子202を形成する。表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成する。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極UE2、及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202が形成され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0074】
続いて、図14に示すように、表示素子203を形成する。表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成する。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極UE3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203が形成される。
【0075】
その後、図3に示した樹脂層RL1、封止層14、及び、樹脂層RL2を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0076】
なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成される場合を想定したが、表示素子201、202、203の形成順はこの例に限られない。
【0077】
次に、平坦化層13を形成するためのいくつかの手法について説明する。
【0078】
図15は、平坦化層13を形成する一手法を説明するための図である。
【0079】
まず、上段に示すように、絶縁層12及び複数の下電極LEを覆うポジ型の感光性樹脂PRを塗布する。ここでの複数の下電極LEは、図3に示した下電極LE1、LE2、LE3のいずれかに相当する。下電極LEの各々は、第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3の多層体である。第1層L1及び第3層は、いずれも透明電極である。第2層L2は、銀等の金属電極である。つまり、下電極LEの各々は、一対の透明電極の間に反射電極となり得る金属電極を有している。
【0080】
続いて、中段に示すように、マスクを用いることなく感光性樹脂PRの全面を露光する。感光性樹脂PRのうち、下電極LEに重なる領域は、露光装置の光源から照射された光で露光されるとともに下電極LEの第2層L2で反射された光でも露光される。感光性樹脂PRのうち、下電極LEに重ならない領域(あるいは、隣接する下電極LEの間に重なる領域)は、光源から照射された光で露光される。したがって、感光性樹脂PRの表層が露光され、現像液に対して可溶性を呈するように変化する。
【0081】
続いて、下段に示すように、感光性樹脂PRを現像する。感光性樹脂PRを現像することにより、感光性樹脂PRの表層が除去され、下電極LEの上面が露出し、また、下電極LEの間に感光性樹脂PRが残留する。
その後、感光性樹脂PRを焼成する。これにより、感光性樹脂PRから水分が除去され、平坦化層13が形成される。
【0082】
図16は、平坦化層13を形成する他の手法を説明するための図である。なお、図15を参照して説明した内容と重複する説明は適宜省略する。
【0083】
まず、絶縁層12及び複数の下電極LEを覆うポジ型の感光性樹脂PRを塗布する。
【0084】
続いて、マスクM1を用いて感光性樹脂PRを露光する。マスクM1は、開口部OPと、開口部OPよりも低い透過率を有する低透過部LTと、を有している。開口部OPは、下電極LEに対応した形状を有している。低透過部LTは、平坦化層13を形成すべき領域(下電極LEに重ならない領域)に対応した形状を有している。なお、低透過部LTは、隣接する下電極LEの間隔よりも大きい幅を有し、下電極LEの端部に重なる。このようなマスクM1を介して感光性樹脂PRを露光した場合、下電極LEに重なる領域の露光量は、下電極LEに重ならない領域の露光量より大きい露光条件が実現される。
感光性樹脂PRのうち、下電極LEに重なる領域は、開口部OPを透過した光で露光されるとともに、下電極LEの第2層L2で反射された光でも露光される。感光性樹脂PRのうち、下電極LEに重ならない領域は、低透過部LTを透過した光で露光されるとともに、下電極LEの第2層L2で反射された拡散光でも露光される。したがって、感光性樹脂PRの表層が露光され、現像液に対して可溶性を呈するように変化する。
【0085】
続いて、感光性樹脂PRを現像した後、感光性樹脂PRを焼成する。これにより、平坦化層13が形成される。
【0086】
図17は、平坦化層13を形成する他の手法を説明するための図である。なお、図15を参照して説明した内容と重複する説明は適宜省略する。
【0087】
まず、絶縁層12及び複数の下電極LEを覆うポジ型の感光性樹脂PRを塗布する。
【0088】
続いて、マスクを用いることなく感光性樹脂PRの全面を露光する。
【0089】
続いて、マスクM2を用いて感光性樹脂PRを露光する。マスクM2は、開口部OPと、遮光部LSと、を有している。開口部OPは、下電極LEに対応した形状を有している。遮光部LSは、平坦化層13を形成すべき領域(下電極LEに重ならない領域)に対応した形状を有している。なお、遮光部LSは、隣接する下電極LEの間隔よりも大きい幅を有し、下電極LEの端部に重なる。
感光性樹脂PRのうち、下電極LEに重なる領域は、先の全面露光工程で露光されるとともに、マスクM2を介した露光工程により開口部OPを透過した光で露光される。感光性樹脂PRのうち、下電極LEに重ならない領域は、先の全面露光工程で露光される一方で、マスクM2を介した露光工程では遮光部LSによって遮光される。このような露光量の差を形成することにより、下電極LEに重なる領域の感光性樹脂PRは確実に除去可能となるように露光され、また、下電極LEに重ならない領域の感光性樹脂PRは表層が除去可能となりまた底部が残留するように露光される。
【0090】
続いて、感光性樹脂PRを現像した後、感光性樹脂PRを焼成する。これにより、平坦化層13が形成される。
【0091】
次に、平坦化層13の形成され得る断面形状について説明する。
【0092】
図18は、平坦化層13の断面形状の一例を示す図である。
平坦化層13の上面US13は、下電極LE1の上面US1及び下電極LE2の上面US2よりも突出している。図示した例では、上面US13の全体が上面US1などよりも突出し、凸面を形成している。上面US13の一部が上面US1などよりも突出している場合もあり得る。なお、図18では、下電極LE3の図示を省略しているが、上面US13の少なくとも一部は、下電極LE1、LE2、L3の各上面よりも突出している。一例では、隣接する下電極LEからほぼ等距離の中間地点において、平坦化層13の厚さが最大となる。
【0093】
図19は、平坦化層13の断面形状の他の例を示す図である。
平坦化層13の上面US13は、下電極LE1の上面US1及び下電極LE2の上面US2よりもくぼんでいる。図示した例では、上面US13の全体が上面US1などよりもくぼんでおり、凹面を形成している。上面US13の一部が上面US1などよりもくぼんでいる場合もあり得る。なお、図19では、下電極LE3の図示を省略しているが、上面US13の少なくとも一部は、下電極LE1、LE2、L3の各上面よりもくぼんでいる。一例では、隣接する下電極LEからほぼ等距離の中間地点において、平坦化層13の厚さが最小となる。
【0094】
図20は、平坦化層13を表示領域DAに選択的に形成する工程を説明するための図である。
【0095】
まず、上段に示すように、絶縁層12及び複数の下電極LEを覆うポジ型の感光性樹脂PRを塗布する。このとき、感光性樹脂PRは、表示領域DAのみならず、周辺領域SAにも塗布される。
【0096】
続いて、中段に示すように、マスクM1を用いて感光性樹脂PRを露光する。マスクM1は、開口部OPと、開口部OPよりも低い透過率を有する低透過部LTと、を有している。開口部OPは、下電極LEに対応した形状を有するとともに、周辺領域SAに対応した形状を有している。低透過部LTは、平坦化層13を形成すべき領域(下電極LEに重ならない領域)に対応した形状を有している。このようなマスクM1を介して感光性樹脂PRを露光した場合、下電極LEに重なる領域及び周辺領域SAの露光量は、表示領域DAにおいて下電極LEに重ならない領域の露光量より大きい露光条件が実現される。
感光性樹脂PRのうち、下電極LEに重なる領域及び周辺領域SAは、開口部OPを透過した光で露光される。感光性樹脂PRのうち、表示領域DAの下電極LEに重ならない領域は、低透過部LTを透過した光で露光される。したがって、表示領域DAに位置する感光性樹脂PRの表層が露光され、また、周辺領域SAに位置する感光性樹脂PRの全体が露光される。感光性樹脂PRのうち、露光された領域は、現像液に対して可溶性を呈するように変化する。
【0097】
続いて、下段に示すように、感光性樹脂PRを現像した後、感光性樹脂PRを焼成する。これにより、平坦化層13が形成される。また、周辺領域SAにおいては、感光性樹脂PRが除去される。これにより、周辺領域SAにおいて、図1に示した端子TE等が平坦化層13から露出する。
【0098】
図20では、図16に示したマスクM1を用いて周辺領域SAの感光性樹脂PRを除去する場合について説明したが、図17に示したマスクM2を用いて周辺領域SAの感光性樹脂PRを除去することもできるし、図15に示した全面露光工程を適用しても周辺領域SAの感光性樹脂PRを除去することができる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0101】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0102】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0103】
DSP…表示装置 10…基板
5…無機絶縁層 AP1、AP2、AP3…開口
6…隔壁 61…下部 62…上部
12…絶縁層(有機絶縁層) 13…平坦化層
SP1、SP2、SP3…副画素
20、201、202、203…表示素子(有機EL素子)
LE、LE1、LE2、LE3…下電極
UE、UE1、UE2、UE3…上電極
OR、OR1、OR2、OR3…有機層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20