IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本協同企画株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174463
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】葉柄切断方法と葉柄切断装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/00 20060101AFI20241210BHJP
   B26D 3/26 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A23N15/00 Z
B26D3/26 602G
B26D3/26 602A
B26D3/26 605E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092296
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA01
4B061AA03
4B061BA03
4B061BB07
4B061BB11
4B061CB05
(57)【要約】
【課題】 ブロッコリーの葉柄の上部を花蕾を損傷せずに切断にすることも、不要な葉柄の下部を切断することもできる葉柄切断方法と葉柄切断装置の提供。
【解決手段】 花蕾を上、茎を下にしてブロッコリーを台座にセットして、葉柄の上部と花蕾を台座の上方に、茎を台座の下方に突出させ、葉柄の上部を上刃物で花蕾の側方で切断除去し、切断箇所より下方を花蕾の外周に残すようにした方法である。不要な葉柄の下部を台座の下方から下刃物で切断除去することもできる。前記した葉柄の上部切断と下部切断とは同時に又は別々に行うこともできる。台座の下方に突出している茎を切断除去することもできる。ブロッコリーをセットできる台座と、台座の上方に突出する葉柄の上部を切断できる上刃物を備えた葉柄切断装置である。台座の下方に、不要な葉柄の下部を切断除去できる下刃物を設けることもできる。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
花蕾を上、茎を下にしてブロッコリーを台座にセットして、葉柄の上部と花蕾を台座の上方に、茎を台座の下方に突出させ、
台座の上方の上刃物により、葉柄の上部を花蕾の横で切断除去して、その葉柄の切断箇所より下方を花蕾の外周に残すようにした、
ことを特徴する葉柄切断方法。
【請求項2】
花蕾を上、茎を下にしてブロッコリーを台座にセットして、葉柄の上部と花蕾を台座の上方に、茎を台座の下方に突出させ、
台座の上方の上刃物を、台座にセットしたブロッコリーの葉柄の上部と花蕾の間に降下させ、当該上刃物を花蕾側から葉柄側に広げて、前記ブロッコリーの葉柄の上部を花蕾の横で切断除去して、その葉柄の切断箇所より下方を花蕾の外周に残すようにした、
ことを特徴とする葉柄切断方法。
【請求項3】
花蕾を上、茎を下にしてブロッコリーを台座にセットして、葉柄の上部と花蕾を台座の上方に、茎を台座の下方に突出させ、
台座の下方の下刃物により、台座の下方から、不要な葉柄の下部を切断除去する、
ことを特徴する葉柄切断方法。
【請求項4】
花蕾を上、茎を下にしてブロッコリーを台座にセットして、葉柄の上部と花蕾を台座の上方に、茎を台座の下方に突出させ、
台座の上方の上刃物により、葉柄の上部を花蕾の横で切断除去して、その葉柄の切断箇所より下方を花蕾の外周に残し、
台座の下方の下刃物により、台座の下方から、不要な葉柄の下部を切断除去する、
ことを特徴する葉柄切断方法。
【請求項5】
花蕾を上、茎を下にしてブロッコリーを台座にセットして、葉柄の上部と花蕾を台座の上方に、茎を台座の下方に突出させ、
台座の上方の上刃物により、葉柄の上部を花蕾の横で切断除去して、その葉柄の切断箇所より下方を花蕾の外周に残し、
台座の下方の下刃物により、台座の下方から、不要な葉柄の下部を切断除去し、
台座の下方の茎刃物により、台座の下方に突出している茎を切断する、
ことを特徴とする葉柄切断方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の葉柄切断方法において、
ブロッコリーを一台の葉柄切断装置の台座にセットし、そのブロッコリーの葉柄の上部を当該葉柄切断装置の上刃物で、不要な葉柄の下部を同葉柄切断装置の下刃物で一個ずつ個別に切断する、
ことを特徴とする葉柄切断方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の葉柄切断方法において、
台座を備えた葉柄切断装置二台以上を、セット場所-切断場所と往復移動又は循環移動させ、
前記移動中に、セット場所で、台座にブロッコリーをセットし、移動径路にある上刃物でブロッコリーの葉柄の上部を、移動径路にある下刃物で不要な葉柄の下部を切断し、葉柄切断後のブロッコリーを台座から排出して台座を空にし、
空にした台座を備えた葉柄切断装置をセット場所に戻し、
いずれか一台の葉柄切断装置が前記往復移動又は循環移動している間に、他の葉柄切断装置の台座にブロッコリーをセットして、次のブロッコリーの移動準備をできるようにした、
ことを特徴とする葉柄切断方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の葉柄切断方法において、
台座二以上を、セット場所-切断場所と往復移動又は循環移動させ、
前記移動中に、セット場所で、台座にブロッコリーをセットし、移動径路にある上刃物でブロッコリーの葉柄の上部を、移動径路にある下刃物で不要な葉柄の下部を切断し、葉柄切断後のブロッコリーを台座から排出して台座を空にし、
空にした台座を備えた台座をセット場所に戻し、
いずれか一つの台座が前記往復移動又は循環移動している間に、他の台座にブロッコリーをセットして、次のブロッコリーの移動準備をできるようにした、
ことを特徴とする葉柄切断方法。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の葉柄切断方法において、
台座を無端走行体の走行により移動させ、その台座にブロッコリーをセットして無端走行体の走行により搬送し、
搬送中に、搬送径路であって台座の上方にある上刃物を降下させて、前記ブロッコリーの葉柄の上部を切断し、搬送径路であって台座の下方にある下刃物を上昇させて、前記ブロッコリーの不要な葉柄の下部を切断する、
ことを特徴とする葉柄切断方法。
【請求項10】
葉柄の上部と花蕾を上方に突出させ、茎を下方に突出させてセットすることのできる台座と、台座の上方に配置された上刃物を備え、
上刃物は台座の上方に突出している葉柄の上部を花蕾の横で切断除去できる、
ことを特徴する葉柄切断装置。
【請求項11】
葉柄の上部と花蕾を上方に突出させ、茎を下方に突出させてセットすることのできる台座と、台座の上方に配置された上刃物を備え、
上刃物は台座にセットしたブロッコリーの葉柄の上部と花蕾の間に降下させることができ、花蕾側から葉柄側に裾広がりに広がってブロッコリーの葉柄の上部を花蕾の横で切断除去できる、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項12】
葉柄の上部と花蕾を上方に突出させ、茎を下方に突出させてセットすることのできる台座と、台座の下方に配置された下刃物を備え、
下刃物は台座の下方から、不要な葉柄の下部を切断除去できる、
ことを特徴する葉柄切断装置。
【請求項13】
葉柄の上部と花蕾を上方に突出させ、茎を下方に突出させてセットすることのできる台座と、
台座の上方に突出している葉柄の上部を花蕾の横で切断除去できる上刃物と、台座の下方から不要な葉柄の下部を切断できる下刃物とを備えた、
ことを特徴する葉柄切断装置。
【請求項14】
請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の葉柄切断装置において、
葉柄の上部と花蕾を上方に突出させ、茎を下方に突出させてセットすることのできる台座と、台座の上下に配置された上刃物と下刃物と、台座を上刃物と下刃物の間と、上刃物と下刃物の側方に往復移動させることのできるガイドレールと、台座の移動により移動されるブロッコリーの茎を切断する茎刃物を備えた、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項15】
請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の葉柄切断装置において、
葉柄の上部と花蕾を上方に突出させ、茎を下方に突出させてセットすることのできる台座と、台座にセットされたブロッコリーの葉柄の上部を切断できる上刃物と、不要な葉柄の下部を切断できる下刃物が一台にまとめられた、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項16】
請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の葉柄切断装置において、
台座を備えた葉柄切断装置二台以上が、セット場所-切断場所間で循環移動又は往復移可能であり、
前記葉柄切断装置はセット場所において台座にブロッコリーをセットすることができ、
前記葉柄切断装置の移動径路に、ブロッコリーの葉柄の上部を切断できる上刃物と、不要な葉柄の下部を切断できる下刃物があり、
葉柄切断装置は、葉柄切断後にブロッコリーを排出して台座を空にしてから、セット場所に戻すことができ、
いずれか一台の葉柄切断装置が前記循環移動又は往復移動している間に、他の葉柄切断装置の台座に次に切断するブロッコリーをセットして、次のブロッコリーの移動準備ができるようにした、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項17】
請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の葉柄切断装置において、
台座二以上を、セット場所-切断場所間で循環移動又は往復移可能とし、
台座の移動中に、セット場所で、台座にブロッコリーをセットすることができ、
前記切断場所にはブロッコリーの葉柄の上部を切断できる上刃物と、不要な葉柄の下部を切断できる下刃物があり、台座は葉柄切断後にブロッコリーを排出して空にしてからセット場所に戻すことができ、
いずれか一つの台座が前記循環移動又は往復移動している間に、他の台座に次に切断するブロッコリーをセットして、次のブロッコリーの移動準備をできるようにした、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【請求項18】
請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の葉柄切断装置において、
無端走行体に取り付けられて無端走行体の走行により移動する台座があり、その台座にセットされたブロッコリーは台座の移動により搬送されるようにし、
台座の搬送径路であって台座の上方に上刃物があり、下方に下刃物があり、
上刃物は台座側に降下して搬送中のブロッコリーの葉柄の上部を切断でき、下刃物は台座側に上昇して搬送中のブロッコリーの不要な葉柄の下部を切断でき、
葉柄切断後のブロッコリーを台座から排出できる、
ことを特徴とする葉柄切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収穫されたブロッコリーやカリフラワー、その他の野菜(以下、まとめて「ブロッコリー」と記載する。)の葉柄、茎、その他の不要部を自動的に切断できる葉柄切断方法と葉柄切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
収穫されたブロッコリーA(図1(a)、図2(a))は、花蕾Bの外周に数本の葉柄Cが伸びている。不要な葉柄は収穫時に畑で切り落としているが、茎Dの周囲から花蕾Bの周囲上方に伸びた数本の葉柄Cは残った状態で選果場に持ち込まれている。これら葉柄Cや茎Dは選果場で所望長に切断してから箱詰(包装)し、出荷している。
【0003】
葉柄の切断箇所、切断長さは出荷する地域によって異なる。例えば、北海道に出荷する(北海道仕様の)ブロッコリーAは、図1(b)のように花蕾Bの外周上方に突出している葉柄Cを、花蕾Bの高さ方向略中央部で切断して、花蕾Bの高さ方向略中央部よりも下部を残してある。また、茎Dは葉柄Cの下で切断している。関東・九州方面に出荷する(関東・九州仕様の)ブロッコリーAは、図2(b)のように葉柄Cを付け根付近(根元)で切断し、茎Dを所望長に切断している。
【0004】
ブロッコリーAの葉柄Cや茎Dの切断は、従前は手作業で行っていたが、近年は自動的に切断できる切断装置(特許文献1)がある。
【0005】
特許文献1の自動切断装置は、手作業での切断に比して作業性が向上する。しかし、葉柄を付け根付近で切断するものであるため、葉柄の一部が花蕾の外周に残らず、花蕾が丸裸の状態になる。このため、葉柄を花蕾の外周に残す北海道仕様に切断することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-138590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、花蕾の外側上方に伸びている葉柄の上部を、花蕾の横で、花蕾を損傷することなく切断することも、葉柄の付け根付近で切断することもできる葉柄切断方法と葉柄切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[葉柄切断方法]
本発明の葉柄切断方法は、花蕾を上、茎を下にしてブロッコリーをバケット(台座)にセットして、葉柄の上部と花蕾を台座の上方に、茎を台座の下方に突出させ、葉柄の上部を上刃物により花蕾の高さ方向略中央部付近(以下「花蕾の横」という:以下の説明においても同じ。)で切断除去し、切断箇所より下方を花蕾の外周に残すようにした方法である。この場合、上刃物を降下させて葉柄と花蕾の間に入れてから外側(葉柄側)に広げて葉柄の上部を切断すると、上刃物で花蕾を損傷することなく、葉柄の上部を花蕾の横で切断除去することができる。
【0009】
本発明の葉柄切断方法は、不要な葉柄(主として、花蕾の横に残す葉柄よりも茎の軸方向下方から伸びている葉柄:以下の説明において同じ)を、その付け根付近(以下「下部」という。)から、下刃物で切断除去することもできる。葉柄の上部切断と下部切断は同時に又は別々に行うこともできる。いずれの葉柄切断方法でも、茎を茎刃物で切断除去して、所望長残することもできる。
【0010】
本発明の葉柄切断方法は、ブロッコリーをセットできる台座をセット場所と切断場所の間で往復移動させ、セット場所に移動した台座にブロッコリーをセットし、その台座を切断場所に移動してブロッコリーの葉柄を切断し、切断後にセット場所に戻して、ブロッコリーのセットと葉柄の切断を繰り返すこともできる。
【0011】
本発明の葉柄切断方法は、ブロッコリーをセットできる台座を備えた二台以上の葉柄切断装置、又は二以上の台座を、ブロッコリーをセットするセット場所と、台座にセットされたブロッコリーの葉柄を切断する切断場所の間で往復移動又は循環移動させ、いずれか一台の葉柄切断装置又はいずれか一つの台座にブロッコリーをセットし、そのブロッコリーを切断場所に移動して葉柄を切断し、その間に、他の葉柄切断装置又は他の台座に他のブロッコリーをセットして、次の葉柄切断の準備をしておくこともできる。
【0012】
本発明の葉柄切断方法は、多数の台座を無端走行体(例えば、チェーン)で移動させ、それら台座にブロッコリーをセットして搬送し、搬送中のブロッコリーの葉柄の上部を上刃物で、不要な葉柄の下部を下刃物で切断除去する搬送式の葉柄切断方法とすることもできる。
【0013】
[葉柄切断装置]
本発明の葉柄切断装置は、ブロッコリーをセットできる台座と、上刃物を備えたものである。台座は葉柄の上部と花蕾を上方に突出させ、茎を下方に突出させてセットすることができる。上刃物は台座の上方に突出する葉柄の上部をブロッコリーの花蕾の横で切断することができる。この葉柄切断装置は、台座の下方に下刃物を設けて、台座の下から不要な葉柄の下部を切断除去できるようにすることもできる。いずれの場合も、台座の下方に茎刃物を設けて、その茎刃物で、台座の下方に突出している茎を所望長残して切断除去できるようにすることもできる。
【0014】
本発明の葉柄切断装置は、ブロッコリーをセットできる台座と、上下に配置した上刃物と下刃物を備え、台座を、上刃物と下刃物の間とそれ等の側方のセット場所の間で往復移動可能とし、セット場所に移動した台座にブロッコリーをセットし、その台座を切断場所に移動させてブロッコリーを切断場所で切断し、このブロッコリーのセット、葉柄の切断を繰り返し行うことができるようにしたものであってもよい。
【0015】
本発明の葉柄切断装置は、ブロッコリーをセットできる台座を備えた二台以上の葉柄切断装置又は二以上の台座を、ブロッコリーをセットするセット場所と切断場所の間で往復移動又は循環移動するようにし、いずれか一つの台座又はいずれか一台の葉柄切断装置の台座にブロッコリーをセットし、そのブロッコリーを切断場所で切断している間に、他の台座又は他の葉柄切断装置の台座に他のブロッコリーをセットして、次の葉柄切断の準備をしておくことができるようにしたものであってもよい。
【0016】
本発明の葉柄切断装置は、多数の台座を走行体(例えば、チェーン)に取り付けて、チェーンの移動により台座を移動させ、それら台座にブロッコリーをセットして搬送し、台座の移動径路の上方に上刃物を、下方に下刃物を設置して、ブロッコリーの搬送中に上刃物で葉柄の上部を、下刃物で不要な葉柄の下部を切断できるようにしたものであってもよい。この場合も、台座の下方に茎刃物を設けて、搬送中に茎を切断できるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の葉柄切断方法は次のような効果がある。
(1)葉柄を北海道仕様にも、関東・九州仕様にも切断することができるので便利である。
(2)葉柄の上部を花蕾の横で切断除去して、下部を残す場合は、花蕾が残された葉柄の下部で囲われて保護され、傷みにくくなる。
(3)往復移動式、循環移動式の葉柄切断方法の場合は、一台の葉柄切断装置で葉柄切断している間に、次に葉柄切断するブロッコリーを他の葉柄切断装置にセットして準備しておくことができるので、効率の良い切断作業ができる。
(4)搬送式葉柄切断方法の場合は、ブロッコリーの搬送中に、順次、葉柄を切断することができるので、作業能率が特に向上する。
【0018】
本発明の葉柄切断装置は次のような効果がある。
(1)一台の葉柄切断装置で、葉柄を北海道仕様にも、関東・九州仕様にも切断できるので便利である。
(2)往復移動式、循環移動式の葉柄切断装置の場合は、いずれか一台の葉柄切断装置又は台座にブロッコリーをセットして葉柄を切断している間に、他の葉柄切断装置又は台座にブロッコリーをセットして、次に葉柄切断するブロッコリーの切断準備をしておくことができるので、葉柄切断の作業効率が向上する。
(3)搬送式の葉柄切断装置は、多数の台座にセットされて搬送されるブロッコリーの葉柄を、搬送中に、順次、切断できるので、切断作業の効率が特に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)(b)は北海道仕様の葉柄切断の説明図であり、(a)は切断前、(b)は切断後の説明図。
図2】(a)(b)は関東・九州仕様の葉柄切断の説明図であり、(a)は切断前、(b)は切断後の説明図。
図3】(a)~(c)は本発明の葉柄切断方法及び葉柄切断装置のブロッコリーセット時及び茎切断時の側面概要図。
図4】(a)~(c)は本発明の葉柄切断方法及び葉柄切断装置の葉柄切断時の側面概要図。
図5】(a)~(c)は本発明の葉柄切断方法及び葉柄切断装置の葉柄切断後の側面概要図。
図6】(a)(b)は茎及び葉柄切断後のブロッコリーの排出説明図。
図7】本発明における台座へのブロッコリーのセット状況の説明図。
図8】(a)(b)は本発明の個別葉柄切断装置の概要側面図。
図9】(a)~(e)は本発明の葉柄切断装置を往復移動式とした場合の説明図。
図10】(a)~(e)は本発明における台座を往復移動式とした場合の説明図。
図11】本発明の葉柄切断装置を循環移動式とした場合の平面説明図。
図12】本発明の葉柄切断装置における台座を循環移動式とした場合の側面説明図。
図13】本発明の搬送式葉柄切断装置の平面説明図。
図14】本発明の搬送式葉柄切断装置の方向転換部の斜視概要説明図。
図15】(a)は図14の搬送式葉柄切断装置の方向転換部の平面概要説明図、(b)は同方向転換部の側面概要説明図、(c)は搬送式葉柄切断装置における茎切断部の説明図。
図16】(a)~(c)は本発明の葉柄切断装置における上刃物と台座と下刃物の配置説明図。
図17】本発明の葉柄切断装置における台座の斜視図。
図18図17の台座にブロッコリーをセットした状態の斜視図。
図19】本発明の葉柄切断装置における台座をチェーンに取り付けてレールにセットした状態の斜視図。
図20】(a)は本発明の葉柄切断装置における台座を傾けた状態の斜視図、(b)は台座を傾けてブロッコリーを排出する状態の斜視図。
図21】本発明の葉柄切断装置における上刃物がブロッコリーの上方に待機している状態の説明図。
図22】本発明の葉柄切断装置における上刃物及び上支持具が降下して、上支持具がブロッコリーの花蕾に押し付けられた状態の説明図。
図23】本発明の葉柄切断装置における上刃物及び上支持具が降下して、上刃物が葉柄側に開いた状態の説明図。
図24】本発明の葉柄切断装置における下刃物の待機状態の斜視図。
図25】本発明の葉柄切断装置における下刃物が茎側に振られた状態の斜視図。
図26】本発明の葉柄切断装置における下刃物で葉柄の下部が切断された状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(葉柄切断方法の実施形態)
本発明の葉柄切断方法は、ブロッコリーを台座にセットして花蕾と葉柄を台座の上方に、茎を台座の下方に突出させ、その葉柄の上部を上刃物で切断する方法である。必要に応じて、不要な葉柄をその下部から下刃物で切断除去することもできる。この葉柄切断方法には各種実施形態がある。以下に、各種実形態について図面を参照して説明する。
【0021】
(葉柄切断方法の実施形態1:個別葉柄切断方法)
実施形態1の葉柄切断方法は、ブロッコリーを一台の葉柄切断装置を使用して一個ずつ個別に切断する個別葉柄切断方法である。葉柄切断装置には各種形態のものを使用できるが、以下に、図3図6の葉柄切断装置を使用する場合を一例として説明する。
【0022】
図3(a)~(c)の葉柄切断装置Mは、台座1と、台座1の上方に配置した上刃物2及び上支持具3と、台座1の下方に配置した下刃物4及び下支持具6を備えている。台座1の下方には茎刃物5も配置してある。台座1は上下に配置した上刃物2と下刃物4の間とその側方の間を、ガイドレール7に沿って往復移動可能としてある。
【0023】
台座1は開閉式であり、ブロッコリーAをセットするときは図3(a)のように広がっており、セット後に図3(b)のように閉じるようにしてある。台座1の開閉は作業員のスイッチ操作により行うことも、セットされたブロッコリーAを感知して自動的に行われるようにすることもできる。
【0024】
上刃物2と上支持具3は上昇降体8の昇降に伴って一緒に昇降し、下刃物4と下支持具6は下昇降体10の昇降に伴って一緒に昇降するようにしてある。
【0025】
上刃物2は、静止時には図3(a)のように上支持具3の上に収まっており、図4(a)のように、そのままの状態で降下して、花蕾Bと葉柄Cの間に進入し、進入後に上回転体9が高速回転するとそれに伴って高速回転し、その遠心力で図4(b)(c)のように外側(ブロッコリーA側)に広がって、図7のように台座1の上方に突出しているブロッコリーAの葉柄Cの上部に接触し、その上部を切断除去できるようにしてある。
【0026】
下刃物4は下昇降体10の上昇に伴って上昇し、下回転体11が高速回転するとそれに伴って高速回転し、その遠心力で図4(a)~(c)のように内側(ブロッコリーA側)に寄って(首振りし)、台座1の下方から、不要な葉柄Cの下部を切断除去できるようにしてある。
【0027】
茎刃物5はガイドレール7の下方(台座1の下方)であって、上下に配置されている上刃物2と下刃物4よりも、台座1の移動方向手前側(図3(a)~(c)の左側)に配置されている。茎刃物5は円盤状の刃物であり回転式である。
【0028】
上支持具3は降下時に図4(a)~(c)のように花蕾Bの上に押し当り、下支持具6は上昇時に図4(a)~(c)のように茎Dの底面に押し当り、これら押し当りにより、上刃物2及び下刃物4の回転力でブロッコリーAが空転しないようにするものである。
【0029】
台座1は開閉式でなくともよい。上刃物2と上支持具3は別々に、下刃物4と下支持具6も別々に昇降するようにしてもよい。
【0030】
[ブロッコリーのセット]
図3(a)~(c)の葉柄切断装置Mを使用する葉柄切断方法は、図3(a)のようにガイドレール7に沿って上刃物2と下刃物4の左側に移動している台座1に、図3(b)のように、ブロッコリーAを一個ずつ差し込んで(押し込んで)セットする。セット状態は図7のように、葉柄Cの上部と花蕾Bを台座1の上方に突出させ、葉柄Cの下部と茎Dを台座1の下方に突出させる。セットは作業員が手動で又はロボット等の機械で行うことができる(このセット方法は、以下のセットにおいても同じ)。ブロッコリーAをセットした台座1は、作業員がスイッチ操作を行うことにより、又は自動的に、図3(b)のように閉じてブロッコリーAを保持する。
【0031】
[茎の切断除去]
図3(b)のようにブロッコリーAを保持した台座1をガイドレール7に沿って、図3(c)のように右側に移動させる。この移動中に、台座1の下方に突出しているブロッコリーAの茎Dが茎刃物5に当たって図3(c)のように切断除去される。
【0032】
[葉柄上部の切断除去]
茎Dの切断後に、台座1がガイドレール7に沿って図3(c)のように右側に移動して図4(a)のように上刃物2と下刃物4の間に自動的に停止する。この状態で、上昇降体8を降下させて上支持体3を花蕾Bに押し付け、上刃物2を花蕾Bとその外側に広がっている葉柄Cの間に降下させて、上刃物2が花蕾Bに接触しないようにする。その後、上回転体9を高速回転(例えば、2000~4000rpm:この回転数は以下の高速回転においても同じ。)すると、高速回転の遠心力で上刃物2の下方が外側(ブロッコリーA側)に広がって、台座1の上方に突出している葉柄Cの上部を図4(b)(c)のように切断除去する。この場合、花蕾Bの横で切断して、図1(b)のように、花蕾Bを包んでいる葉柄Cの下部を残し、残った葉柄Cで花蕾Bが囲まれたままにしておいて、花蕾Bを残された葉柄Cで囲われたままにして損傷しにくくなるようにする。葉柄Cの上部の切断方法は以下の葉柄切断においても同じである。上刃物2は機械的に外側に開き、元の状態に戻るようにすることもできる(以下の葉柄切断方法においても同じ)。
【0033】
[葉柄下部の切断除去]
図4(b)のように、下昇降具(例えば、シリンダー)10で下回転体11を上昇させて下支持具6を、切断後の茎Dの底面E(図21)に図22のように押し付け、下刃物4を葉柄Cの下部の横にセットする。この状態で下回転体11を高速回転させて下刃物4を高速回転させ、高速回転の遠心力で下刃物4を図4(c)のように内側(ブロッコリーA側)に寄せて、不要な葉柄Cの下部を、台座1の下から図1(b)のように切断除去する。不要な葉柄Cの下部の切断除去は、葉柄Cの上部の切断除去と同時に行うこともできる。この場合、図22のように花蕾Bを上支持具3で支持し、茎Dを下支持具6で支持することにより、上刃物2と下刃物4の回転力でブロッコリーAが空転しないようにすることができる。
【0034】
[上刃物、下刃物の戻し]
葉柄Cの上部、不要な葉柄Cの下部を切断除去してから、図5(b)のように上昇降体8を上昇させて上刃物2及び上支持具3を降下前の元の位置に戻す。このとき、上回転体9の回転停止に伴って上刃物2が内側に閉じて上支持具3の上に収まる。また、下昇降体10を降下させて下刃物4及び下支持具6を上昇前の元の位置に戻す。このとき、下回転体11の回転停止に伴って下刃物4が図5(b)(c)のように外側に広がって元の位置に戻る。また、図21のように、下支持具6が茎Dの底面Eから離れる。
【0035】
[ブロッコリーの排出]
図6(a)のように台座1を傾け、台座1を開いて、台座1からブロッコリーAを排出コンベア12の上に排出する。排出されたブロッコリーAは排出コンベア12で次工程の場所に搬送して箱詰するなどする。ブロッコリーAは傾けた台座1を開くと自動的に排出されるようにすることも、ロボット等の機械で引き出して排出し、作業員が手作業で引き出して排出したりする。図6(a)の排出コンベア12はベルトコンベアであり、ガイドレール7の右端(台座1の移動方向終端部)に、ガイドレール7と直交方向に配置されている。排出コンベア12はベルトコンベア以外のコンベアであってもよい。
【0036】
ブロッコリーAを排出し終えた台座1はガイドレール7に沿って元の位置(図6(b))に戻る。戻った台座1に、次に葉柄切断するブロッコリーAをセットする。以下、前記動作を繰り返し行うことができる。
【0037】
(葉柄切断方法の実施形態2:個別葉柄切断方法)
実施形態2の葉柄切断方法も、一台の葉柄切断装置を使用してブロッコリーを一個ずつ切断する個別葉柄切断方法であり、葉柄切断装置が図8(a)(b)の場合である。図8(a)(b)の葉柄切断装置Mの基本的構成は図3図6の葉柄切断装置Mと同じであり、異なるのは、上下に間隔をあけて配置した上刃物2及び上支持具3と、下刃物4及び下支持具6の間に、台座1を配置固定したものである。
【0038】
[ブロッコリーのセット]
この切断方法では、図8(a)の台座1に、図8(b)のようにブロッコリーAをセットする。セットは図7のように、葉柄Cと花蕾Bを上方に突出させ、茎Dを下方に突出させて行う。
【0039】
[茎の切断]
ブロッコリーAは茎Dを切断せずに台座1にセットすることも、切断してからセットすることもできる。切断は作業員が手作業で行うことも、葉柄切断装置Mの近くに配置した茎刃物(図示せず)で行うこともできる。
【0040】
[葉柄上部の切断除去]
ブロッコリーAをセットした台座1の上から、上刃物2と上支持具3を降下させて、上支持具3を花蕾Bに押し付け、上刃物2を花蕾Bとその外側に広がっている葉柄Cの間に降下させる。その後、上回転体9を高速回転させて、上刃物2の下方を外側(ブロッコリーA側)に広げて、台座1の上方に突出している葉柄Cの上部を図1(b)のように切断除去する。
【0041】
[葉柄下部の切断除去]
台座1の下方の下刃物4と下支持具6を上昇させて、下支持具6を茎Dの底面E(図21)に押し当て、下刃物4を台座1の下に接近させる。下刃物4は下回転体11を高速回転させ、その遠心力で不要な葉柄Cの下部に接触するまで寄せて、接触した不要な葉柄Cの下部を、台座1の下方から切断する。
【0042】
[上刃物、上支持具、下刃物、下支持具の復帰]
葉柄切断後は、上刃物2及び上支持具3を降下前の状態に戻し、下刃物4及び下支持具6を上昇前の状態に戻す。
【0043】
[ブロッコリーの排除]
葉柄切断後のブロッコリーAは、台座1から取り出す(排除する)。排除は作業員が手作業で行うことも、葉柄切断装置Mの近くに配置したロボットで行うこともできる。
【0044】
[前記作業の繰り返し]
前記作業を繰り返して、一個ずつブロッコリーAの葉柄Cを切断する。
【0045】
(葉柄切断方法の実施形態3:葉柄切断装置往復移動式の葉柄切断方法)
実施形態3の葉柄切断方法は、図9(a)~(e)のように、二台の葉柄切断装置M1、M2を使用するものである。二台の葉柄切断装置M1、M2は同じものである。一方の葉柄切断装置M1は図9(b)~(e)のように、一つの筐体13の上下方向中程に台座1aを、台座1aの上に上刃物2aを、台座1aの下に下刃物4aを配置してある。他方の葉柄切断装置M2は図9(b)~(e)のように、一つの筐体13の上下方向中程に台座1bを、台座1bの上に上刃物2bを、台座1bの下に下刃物4bを配置してある。台座1a、1bも、上刃物2a、2bも、下刃物4a、4bも同じものである。これら二台の葉柄切断装置M1、M2を横に並べて配置し、一方の葉柄切断装置M1をセット場所Sと切断場所T1の間で、他方の葉柄切断装置M2をセット場所Sと切断場所T2の間で往復移動させて、二台の葉柄切断装置M1、M2で交互にブロッコリーAの葉柄Cを切断する葉柄切断装置往復移動式の葉柄切断方法である。
【0046】
[ブロッコリーのセット]
図9(b)のように、セット場所Sに移動させた葉柄切断装置M1の台座1aにブロッコリーAをセットする。セット状態は図7のように葉柄Cの上部と花蕾Bを台座1aの上方に突出させ、葉柄Cの下部と茎Dを台座1aの下方に突出させる。
【0047】
[葉柄上部の切断除去]
ブロッコリーAをセットした葉柄切断装置M1を図9(c)のように切断場所T1に移動させてから、葉柄Bの上部を上刃物2aで図1(b)のように切断除去する。また、不要な葉柄Cの下部を下刃物4aで図1(b)のように切断除去する。
【0048】
[ブロッコリーの排出、戻し]
葉柄Cの上部と下部を切断したブロッコリーAを台座1aから排出して台座1aを空にしてから葉柄切断装置M1をセット場所Sに戻す。この排出も手作業で又は機械的に行うことができる(以下の実施形態の排出においても同じ)。
【0049】
[次のブロッコリーの準備]
葉柄切断装置M1がセット場所Sに戻る間(前)に、図9(d)のようにセット場所Sに移動させた他方の葉柄切断装置M2の台座1bに次のブロッコリーAをセットし、その葉柄切断装置M2を図9(e)のように切断場所T2に移動させて、そのブロッコリーAの葉柄Cの上部、不要な葉柄Cの下部を切断除去する。切断後に、ブロッコリーAを台座1bから排出して台座1bを空にしてから、葉柄切断装置M2をセット場所Sに戻す。
【0050】
以下、前記と同様にして、葉柄切断装置M1の台座1aにセットされたブロッコリーAの葉柄Cの上部と下部、葉柄切断装置M2の台座1bにセットされたブロッコリーAの葉柄Cの上部と下部を、順次、繰り返し切断除去する。この葉柄切断方法でも、台座1a又は1bにセットされているブロッコリーAの茎Dを所望長残して茎刃物5で切断除去することもできる。茎刃物5は葉柄切断装置M1、M2の夫々の筐体13の任意箇所に設置することも、筐体13とは別に設置しておくこともできる。茎刃物5の設置は、以下の実施形態においても同じである。
【0051】
(葉柄切断方法の実施形態4:台座往復移動式の葉柄切断方法)
実施形態4の葉柄切断方法は、図10(a)~(e)のように、二台の葉柄切断装置M1、M2を使用する。葉柄切断装置M1は台座1aと上刃物2aと下刃物4aを別々にしてあり、上刃物2aと下刃物4aを切断場所T1に配置固定し、台座1aを切断場所T1の上刃物2aと下刃物4aの間と、セット場所Sとの間を往復移動可能としてある。葉柄切断装置M2は台座1bと上刃物2bと下刃物4bを別々にし、上刃物2bと下刃物4bを切断場所T2に配置固定し、台座1bを切断場所T2の上刃物2bと下刃物4bの間と、セット場所Sとの間を往復移動可能としてある。この実施形態の葉柄切断方法は台座1aにセットされたブロッコリーAの葉柄Cを切断場所T1で、台座1bにセットされたブロッコリーAの葉柄Cを切断場所T2で切断する台座往復移動式の葉柄切断方法である。
【0052】
図10(b)のようにセット場所Sにある台座1aに、ブロッコリーAを図7のようにセットする。その台座1aを図10(c)のように切断場所T1に移動させて葉柄Cの上部を上刃物2aで、不要な葉柄Cの下部を下刃物4aで切断除去する。切断済みのブロッコリーAを台座1aから排出して台座1aを空にし、空の台座1aをセット場所Sに戻す。
【0053】
空の台座1aがセット場所Sに戻る前に、図10(d)のように他の台座1bをセット場所Sに移動させ、その台座1bに次のブロッコリーを図7のようにセットし、図10(e)のように切断場所T2に移動させてから葉柄Cの上部を上刃物2bで、不要な葉柄Cの下部を下刃物4bで切断除去する。切断後にブロッコリーAを台座1bから排出して台座1bを空にし、空の台座1bをセット場所Sに戻す。
【0054】
以下、前記と同様にして、台座1a、1bにセットされたブロッコリーAの葉柄Cを、順次、繰り返し切断除去する方法である。
【0055】
この切断方法でも、台座1a又は台座1bにセットされているブロッコリーAの茎Dを所望長残して茎刃物5で切断除去することもできる。
【0056】
(葉柄切断方法の実施形態5:葉柄切断装置循環移動式の葉柄切断方法)
実施形態5の葉柄切断方法は、葉柄切断装置を循環移動させながら、台座にセットされたブロッコリーの葉柄を切断する葉柄切断装置循環移動式の葉柄切断方法である。
【0057】
この切断方法では、図8(a)のように、台座1の上方に上刃物2及び上支持具3が、下方に下刃物4及び下支持具6が配置された葉柄切断装置を二台使用し、図11のように、二台の葉柄切断装置M1、M2を、待機場所W-セット場所S-切断場所T-排出場所U-待機場所Wを経てセット場所Sに戻るように循環移動させる。
【0058】
セット場所Sにおいて、葉柄切断装置M1の台座1aにブロッコリーAを図7のようにセットし、その葉柄切断装置M1を切断場所Tに移動させて、その葉柄切断装置M1の上刃物2(図8(a))を台座1a側に降下させると共に回転させて葉柄Cの上部を図1(b)のように切断除去する。また、下刃物4を台座1a側に上昇させると共に回転させて、不要な葉柄Cの下部を台座1aの下方から図1(b)のように切断除去する。このとき、上刃物2と同時に降下する上支持具3で花蕾Bを支持し、下刃物4と同時に降下する下支持具6で茎Dを支持する。
【0059】
葉柄切断後に葉柄切断装置M1を排出場所Uに移動させて、葉柄切断済みのブロッコリーAを台座1aから排出して台座1aを空にし、その葉柄切断装置M1を待機場所Wに送る。その前に、待機場所Wに待機していた葉柄切断装置M2をセット場所Sに移動させておく。
【0060】
台座1aが空になった葉柄切断装置M1が待機場所Wに来る間(前)に、セット場所Sに移動させた他の葉柄切断装置M2の台座1bに次のブロッコリーAをセットし、葉柄切断装置M2を切断場所Tに移動させてブロッコリーAの葉柄Cの上部を上刃物2で、不要な葉柄Cの下部を下刃物4で切断除去する。葉柄切断後に葉柄切断装置M2を排出場所Uに移動させてブロッコリーAを葉柄切断装置M2の台座1bから取り出して台座1bを空にする。その葉柄切断装置M2を待機場所Wに送る。その前に、葉柄切断装置M1をセット場所Sに移動させて、葉柄切断装置M1の台座1aに次のブロッコリーAをセットできるようにする。
【0061】
以下、葉柄切断装置M1の台座1aにセットされたブロッコリーAの葉柄切断、葉柄切断装置M2の台座1bにセットされたブロッコリーAの葉柄切断を、順次、繰り返す。
【0062】
この葉柄切断方法でも、葉柄Cの上部、不要な葉柄Cの下部を切断する前に、台座1a(1b)の下方に突出しているブロッコリーAの茎Dを茎刃物5で所望長に切断除去しておくことができる。
【0063】
この実施形態は、二台の葉柄切断装置M1、M2を循環移動させる場合であるが、三台以上の葉柄切断装置を循環移動させて、それら三台の葉柄切断装置で順次、葉柄Cを切断除去することもできる。
【0064】
(葉柄切断方法の実施形態6:台座循環移動式の葉柄切断方法)
実施形態6の葉柄切断方法は、図12のように、別々にした上刃物2と下刃物4を、切断場所Tに上下に配置固定し、二つの台座1a、1bを待機場所W-セット場所S-切断場所Tに上下に配置した上刃物2と下刃物4の間-排出場所Uの順に循環移動可能とした、台座循環移動式の葉柄切断方法である。
【0065】
セット場所Sで台座1aにブロッコリーを図7のようにセットし、その台座1aを切断場所Tに移動させて上刃物2と下刃物4の間に停止させる。この停止状態で、上刃物2を降下させると共に回転させて、台座1aの上方に突出している葉柄Cの上部を図1(b)のように切断除去する。また、下刃物4を上昇させると共に回転させて、台座1aの下方に突出している不要な葉柄Cの下部を切断除去する。このとき、上支持具3で花蕾Bを、下支持具6で茎Dを支持する。
【0066】
台座1aを排出場所Uに移動させて、葉柄切断済みのブロッコリーを台座1aから排出して台座1aを空にし、空になった台座1aを待機場所Wに送る。その前に、待機場所Wにあった台座1bをセット場所Sに移動させておく。
【0067】
空になった台座1aが待機場所Wに来る間(前)に、セット場所Sにおいて、他の台座1bに次のブロッコリーAを図7のようにセットしておく。その台座1bを切断場所Tに移動させて、そのブロッコリーAの葉柄Cの上部を図1(b)のように切断除去し、不要な葉柄Cの下部を下刃物4により図1(b)のように切断除去する。
【0068】
台座1bを排出場所Uに移動させて、台座1bからブロッコリーAを取り出して台座1bを空にし、その台座1bを待機場所Wに戻す。
【0069】
前記のように、台座1a、1bを循環移動させ、夫々の台座1a、1bにブロッコリーAをセットし、その葉柄Cの上部、不要な葉柄Cの下部の切断除去を順次、繰り返し行う。
【0070】
この切断方法でも、葉柄Cを切断する前に、茎刃物5で茎Dを所望長に切断除去することもできる。
【0071】
この実施形態は、二つの台座1a、1bを循環移動させる場合であるが、三以上の台座を循環移動させることもできる。
【0072】
(葉柄切断方法の実施形態7:搬送式葉柄切断方法)
実施形態7の葉柄切断方法は、図13図15のように、水平回転する無端走行体(例えば、チェーン:以下では「チェーン」と記載する。)20に取り付けた多数の台座1をチェーン20の走行により移動させ、台座1にブロッコリーAを図7のようにセットし、搬送中又は一時停止中に、台座1の移動径路にある上刃物2(図14)が降下し且つ高速回転して葉柄Cの上部を図1(b)のように切断除去し、台座1の移動径路にある下刃物4(図14)が上昇し且つ高速回転して不要な葉柄Cの下部を図1(b)のように切断除去する搬送式葉柄切断方法である。
【0073】
この搬送式葉柄切断方法では、台座1が移動してくると、上刃物2がその移動と同期移動しながら台座1側に降下し、且つ高速回転して葉柄Cの上部を切断する。また、下刃物4がその移動と同期移送しながら台座1側に上昇し、且つ高速回転して不要な葉柄Cの下部を切断除去する。
【0074】
この搬送式葉柄切断方法では、台座1が一時停止している間に葉柄Cの上部及び不要な葉柄Cの下部を切断除去することもできる。この場合は、上刃物2、下刃物4は同期移動する必要はなく、所定箇所で降下、又は上昇して切断除去することができる。
【0075】
この切断方法でも、台座1の移動径路にある茎刃物5(図14)で、台座1の下方に突出している茎Dを所望長残して切断除去することができる。
【0076】
ブロッコリーAの葉柄Cの上部を上刃物2で、不要な葉柄Cの下部を下刃物4で同時に切断する場合、ブロッコリーAの花蕾Bに上支持具3(図4)を押し当て、ブロッコリーAの茎Dを下支持具6(図3(a))で保持して、ブロッコリーAを上下から保持することにより、高速回転する上刃物2と下刃物4の回転力でブロッコリーAが空転するのを防止することもできる。
【0077】
台座1は葉柄切断後もチェーン20の移動に伴って移動し、排出場所で傾いて排出コンベア12に排出され、空になっても移動し続ける。
【0078】
(葉柄切断装置の実施形態)
本発明の葉柄切断装置にも各種実施形態がある。これら実施形態について図面を参照して説明する。
【0079】
(葉柄切断装置の実施形態1:個別葉柄切断装置)
実施形態1の葉柄切断装置は、図3図6のように、ブロッコリーAをセットできる台座1と、台座1にセットされたブロッコリーAの葉柄Cの上部を切断できる上刃物2と、不要な葉柄Cの下部を切断できる下刃物4を備えており、上刃物2は台座1の上に昇降可能に配置固定され、下刃物4は台座1の下に昇降可能に配置固定されている。台座1は図3(a)のように上刃物2と下刃物4の外側位置から、図3(a)のように上刃物2と下刃物4の間まで、ガイドレール7に沿って往復移動可能としてある。また、図3(a)のように、上刃物2と下刃物4の外側であって、ガイドレール7の下に茎刃物5が配置固定されている。茎刃物5は円板状であり、回転式であり、回転により図3(c)のようにブロッコリーAの茎Dを切断できるようにしてある。
【0080】
[台座]
台座1は、図7のようにブロッコリーAをセットすることができるものであり、ベース30の上に本体31がある。
【0081】
[ベース]
台座1のベース30は角形の底板32(図20(a))の横幅方向両側に側壁33が上向きに立ち上がっているコ字形状であり、底板32の中央に貫通孔34(図20(a))が開口されている。底板32にはチェーン20(図19)に取り付け可能なブラケット35(図19)と、チェーン20と平行するレール36に載せる車輪37(図17)が取り付けられており、チェーン20が走行すると台座1がレール36の上を移動できるようにしてある。
【0082】
[本体]
台座1の本体31(図17)は角形の箱状であり、ベース30の上に配置されて、ベース30に連結ピン38で回動可能に取り付けられて、図19の水平状態から図20(a)の起立状態まで回動可能としてある。図20(a)のように起立させることにより、葉柄切断済みのブロッコリーAを台座1から排出して、排出コンベア12(図20(b))の上に排出し易くしてある。
【0083】
本体31の中央部には円形の差込み孔(セット孔)39(図17)がある。セット孔39は図7のように花蕾Bを上、茎Dを下にして差し込んで(押し込んで)、ブロッコリーAをセットすることができる大きさである。セット孔39は図17のようにベース30の貫通孔34(図20(a))と連通している。セット孔39の内周面39aは上下方向に高さがあり、上方から下方に向けて内側に下り傾斜になって、内径が下方に向けて次第に小さく(細く)なっていて、ブロッコリーAを差し込み易くなっている。
【0084】
図17のように、セット孔39の上面周縁の対向位置には、略半円形の二枚の開閉板40が配置されている。両開閉板40は二枚の連結板41で連結されており、連結板41は図示しない牽引具(例えば、スプリング)で互いに引き寄せられている。二枚の開閉板40はセット孔39内にブロッコリーAを押し込むと外側に押し広げられ(拡径し)、ブロッコリーAを排出すると元の位置に戻る(縮径する)開閉式にしてある。開閉式にすることで、ブロッコリーAを上方からセット孔39内に押し込み易くなり、押し込みを終えると二枚の開閉板40がブロッコリーAの外周に接してブロッコリーAを外側から保持することができる。
【0085】
[上昇降体]
図8(a)の上昇降体8は、図16(a)のように、二本一組の上支持軸42に昇降可能に取り付けた板状の上ベース43に、モータ44と上回転体9が取り付けられている。上ベース43は図示しない昇降機構により二本の上支持軸42に沿って昇降可能としてある。上回転体9はモータ44の高速回転に伴って高速回転する。
【0086】
[上刃物]
図16(a)の二本の上刃物2は細長であり、横幅方向外側に刃先2cを備えており、上昇降体8に取り付けてある上回転体9に取り付けてある。上刃物2は上回転体9の静止時には、図21のように吸盤状の上支持具3の上に収まっているが、上回転体9が高速回転すると高速回転し、遠心力で図23のように外側に下方広がり、高速回転が停止すると図22の元の状態に閉じる開閉式である。
【0087】
上刃物2(図16(a))は、上ベース43の降下に伴って図22のように台座1側へ降下し、図23のように花蕾Bの外側上方に突出している葉柄Cの上端部から葉柄Cの内側に進入し、上回転体9の高速回転に伴ってその遠心力で外側(葉柄C側)に広がって、刃先2cが葉柄Cの上部に接触して、葉柄Cの上部を花蕾Bの横で切断できるようにしてある。切断後は図21のように花蕾Bの上方(元の位置)まで上昇し、高速回転が停止すると広がる前の元の状態(図21の状態)に閉じる(戻る)ようにしてある。
【0088】
上刃物2は回転時の遠心力での開閉ではなく、機械的な開閉操作(図示しない)で開閉するようにすることもできる。
【0089】
[上支持具]
上支持具3(図16(a))は裾広がりの吸盤状であり、上昇降体8の降下に伴って上刃物2と共に降下して、図22のように、台座1の上方に突出している花蕾Bに押し付けることができるようにしてある。
【0090】
[下昇降体]
図16(c)の下昇降体10は、二本一組の下支持軸50に昇降可能に取り付けた板状の下ベース51に、モータ52と下回転体11が取り付けられている。下ベース51は図示しない昇降機構により二本の下支持軸50に沿って昇降可能としてある。下回転体11はモータ52の高速回転に伴って高速回転する。
【0091】
[下刃物]
図16(c)の二本の下刃物4は、上部が尖鋭な三角形の板状であり、その横幅方向内側に刃先4cがある。この下刃物4は下昇降体10に取り付けた下回転体11に支持軸53で回転可能に取り付けてある平行な二本の細長の基板54の長手方向一端上面に上向きに取り付けてある。基板54の長手方向他端下面には錘55を下向きに取り付けてある、
【0092】
二本の下刃物4は、下回転体11の静止時には図16(c)のように平行になっているが、下回転体11の高速回転に伴って高速回転し、その遠心力で図25図26のように内側(ブロッコリーA側)に振られて刃先4cが不要な葉柄Cの下部に接触し、台座1の高速回転が停止すると図16(c)の元の状態(並行状態)に戻る首振り式である。
【0093】
下刃物4は回転時の遠心力での首振りではなく、機械的な操作(図示しない)で首振りするようにすることもできる。
【0094】
[下支持具]
下支持具6(図8(a))の形状、構造は特に限定されないが、例えば、図21のように、肉厚円筒状の基部の上面に突起を備えた形状である。この下保持具6は下昇降体10(図16(c))に取り付けて、下昇降体10の昇降に伴って下刃物4と共に上昇し、図22のように台座1の下方に突出しているブロッコリーAの切断後の茎Dの底面E(図21)に押し当るようにしてある。茎Dは下保持具6が押し当る前に茎刃物5で図16(b)のように所定長に切断してある。
【0095】
[上支持具、下支持具によるブロッコリーの保持]
図16(b)のように台座1にセットされているブロッコリーAの葉柄Cの上部を上刃物2で切断する場合、上刃物2の降下と共に降下する上支持具3を、図22のようにブロッコリーAの花蕾Bに押し付け、下刃物4の上昇と共に上昇する下支持具6を、図22のようにブロッコリーAの茎Dの底面E(図16(b))に押し付けて、ブロッコリーAを上下から支持し、ブロッコリーAが上刃物2と下刃物4の回転力で空転しないようにすることができる。
【0096】
(葉柄切断装置の実施形態2:個別葉柄切断装置)
実施形態2の葉柄切断装置は、基本的構成は実施形態1(図3図6)と同様であり、異なるのは、図3図6のガイドレール7をなくし、図8(a)のように、台座1を固定し、その上に上刃物2を昇降可能に、下に下刃物4を昇降可能に配置して、一台にまとめたものである。上刃物2、上支持具3、下刃物4、下支持具6の構造、動作は、実施形態1のそれらと同じである。
【0097】
(葉柄切断装置の実施形態3:往復移動式の葉柄切断装置)
実施形態3の葉柄切断装置は、図9(b)~(e)のように、台座1a、1bの上方に上刃物2a、2bを配置し、下方に下刃物4a、4bを配置した二台の葉柄切断装置M1、M2が図9(a)のように横に離して配置され、葉柄切断装置M1がセット場所Sと切断場所T1の間で、葉柄切断装置M2がセット場所Sと切断場所T2の間で往復移動するようにしたものである。
【0098】
葉柄切断装置M1、M2は、上刃物2a、2b、下刃物4a、4bの他に、図8(a)のように上支持具3と下支持具6をも備えている。それら上刃物2a、2b、下刃物4a、4b、上支持具3、下支持具6の個々の構成は実施形態1の個別葉柄切断装置のそれらと同じものでも、異なるものでもよいが、以下の説明は、同じものを使用した場合である。
【0099】
この実施形態では、次のようにして葉柄Cを切断することができる。図9(b)のように、セット場所Sに移動させた葉柄切断装置M1の台座1aにブロッコリーAを、図7のように花蕾Bを上、茎Dを下にしてセットする。その葉柄切断装置M1を図9(c)のように切断場所T1に移動させて台座1aの上方に突出している葉柄Cの上部を上刃物2aで図1(b)のように切断し、台座1aの下方に突出している不要な葉柄Cの下部を下刃物4aで図1(b)のように切断する。また、台座1aの下方に突出している茎Dを所望長残して茎刃物5で切断する。切断後にブロッコリーAを台座1aから排出して台座1aを空にしてから、葉柄切断装置M1をセット場所Sに戻す。
【0100】
葉柄切断装置M1がセット場所Sに戻る間(前)に、図9(d)のように、他の葉柄切断装置M2をセット場所Sに移動させ、その葉柄切断装置M2の台座1bに次のブロッコリーAを前記と同様にセットする。その葉柄切断装置M2を図9(e)のように切断場所T2に移動させて葉柄Cの上部、不要な葉柄Cの下部を前記切断と同様に切断することができる。更に、台座1bの下方に突出している茎Dを所望長残して茎刃物5で切断することもできる。これら切断後に、ブロッコリーAを台座1bから排出して、葉柄切断装置M2をセット場所Sに戻すことができる。葉柄切断装置M1、M2は図示しないガイドレールに沿って往復移動できるようにすることができる。往復移動は、作業者がスイッチ操作で行うことも、自動的に行われるようにすることもできる。
【0101】
前記葉柄切断装置M1の台座1a、葉柄切断装置M2の台座1bへのブロッコリーAのセット、セットされたブロッコリーAの葉柄切断を、前記のように繰り返し行うことができる。
【0102】
(葉柄切断装置の実施形態4:台座往復移動式の葉柄切断装置)
実施形態4の葉柄切断装置は、図10(a)のように、台座1a、1bと、上刃物2a、2bと、下刃物4a、4bを別体にし、この上刃物2aと下刃物4aを切断場所T1に上下に配置固定し、他の上刃物2bと下刃物4bを切断場所T2に上下に配置固定する。また、二つの台座1a、1bのうち、一方の台座1aをセット場所Sと切断場所T1の間で、他方の台座1bをセット場所Sと切断場所T2の間を往復移動可能としたものである。台座1a、1bは図示しないガイドレールに沿って往復移動できるようにすることができる。往復移動は自動的に、又は作業作業者のスイッチ操作で行うこともできる。
【0103】
この実施形態では、台座1a、1b、上刃物2a、2b、下刃物4a、4bの他に上支持具3及び下支持具6も備えている。これらは実施形態1のそれらと同じものでも、異なるものでもよいが、以下の説明は、同じものを使用した場合である。
【0104】
この実施形態の葉柄切断装置によれば、次のようにして葉柄Cを切断することができる。図10(b)のように、セット場所Sに移動させた台座1aにブロッコリーAを、図7のように、花蕾Bを上、茎Dを下にしてセットする。その台座1aを図10(c)のように切断場所T1に移動させて台座1aの上方に突出している葉柄Cの上部を上刃物2aで図1(b)のように切断し、不要な葉柄Cの下部を下刃物4aで図1(b)のように切断する。また、台座1aの下方に突出している茎Dを所望長残して茎刃物5で切断する。切断後にブロッコリーAを台座1aから取り出して台座1aを空にし、空の台座1aをセット場所Sに戻す。
【0105】
台座1aがセット場所Sに戻る間(前)に、図10(d)のように、他の台座1bをセット場所Sに移動させ、その台座1bに次のブロッコリーAを前記と同様にセットする。その台座1bを図10(e)のように切断場所T2に移動させて葉柄Cの上部、不要な葉柄Cの下部を前記切断と同様に切断することができる。更に、台座1bの下方に突出している茎Dを所望長残して茎刃物5で切断することもできる。これら切断後に、ブロッコリーAを台座1bから取り出して台座1bを空にし、空の台座1bをセット場所Sに戻すことができる。このように、台座1a、1bへのブロッコリーAのセット、セットされたブロッコリーAの切断場所T1、T2への移動、切断場所T1、T2での葉柄Cの切断を繰り返し行うことができる。
【0106】
(葉柄切断装置の実施形態5:循環移動式の葉柄切断装置)
実施形態5の葉柄切断装置は、図11(a)のように、ブロッコリーAをセットできる台座1と、台座1の上に配置した上刃物2と、台座1の下に配置した下刃物4を備えた葉柄切断装置を二台用意する。二台の葉柄切断装置M1、M2を、図11(a)のように、待機場所W-ブロッコリーAを台座1にセットするセット場所S-葉柄Cを切断する切断場所T-ブロッコリーAを台座1から排出する排出場所U-前記待機場所Wの順に循環移動し、循環移動中に、セット場所S、排出場所Uで一時停止するようにした葉柄切断装置M1、M2はガイドレール(図示せず)の上を循環移動するようにすることができる。
【0107】
葉柄切断装置M1、M2には実施形態1の個別葉柄切断装置を使用することも、他の構造の葉柄切断装置を使用することもできるが、以下の説明は、実施形態1の個別葉柄切断装置を使用した場合である。
【0108】
この実施形態によれば、葉柄切断装置M1、M2のいずれか(例えば、M1)がセット場所Sに一時停止している間に、その葉柄切断装置M1の台座1aにブロッコリーAをセットし、切断場所Tに一時停止している間に上刃物2aで葉柄Cの上部を、下刃物4aで不要な葉柄Cの下部を切断し、排出場所Uを通過中に又は排出場所Uに一時停止中に、台座1aから葉柄切断済みのブロッコリーAを排出して台座1aを空にし、空の台座1aを元のセット場所Sに戻して(移動させて)、その台座1aに次のブロッコリーAをセットすることができる。
【0109】
前記切断作業を葉柄切断装置M1、M2で繰り返し行うことができる。上刃物2a、2b及び上支持具3、下刃物4a、4b及び下支持具6の動作は実施形態1の場合と同様である。葉柄切断装置M1、M2は台座1a、1bの上方に上支持具3を、台座1a、1bの下方に下支持具6を備えているので、上支持具3でブロッコリーAの花蕾Bを下方に押し、下支持具6で茎Dを支持して、ブロッコリーAを上下から保持して、上刃物2a、2bと下刃物4a、4bで葉柄Cの上部と不要な葉柄Cの下部を同時に切断するときに、ブロッコリーAが空転しないようにすることもできる。
【0110】
(葉柄切断装置の実施形態6:台座循環移動式の葉柄切断装置)
実施形態6の葉柄切断装置は、図12のように、上刃物2と下刃物4を台座1と別体にして切断場所Tに上下に離して配置固定し、二台の台座1a、1bを待機場所W-セット場所S-切断場所Tの上刃物2と下刃物3の間-排出場所U-待機場所Wと循環移動するようにしたものである。この場合も、ガイドレールに沿って循環移動するようにする。循環移動は自動的に、又は作業者のスイッチ操作で行うこともできる。
【0111】
台座1a、1b、上刃物2、下刃物4には実施形態1の葉柄切断装置のそれらと同じものを使用することも、他の構造のものを使用することもできるが、以下の説明は、同じものを使用した場合である。
【0112】
この台座循環移動式の葉柄切断装置によれば、セット場所Sで台座1aにブロッコリーAをセットし、その台座1aを切断場所Tに移動させて上刃物2と下刃物4の間に一時停止させる。停止中に、上刃物2を降下させ且つ高速回転させて、図7のように台座1aの上方に突出している葉柄Cの上部を図1(b)のように切断し、下刃物4を上昇させ且つ高速回転させて、図7のように台座1aの下方に突出している不要な葉柄Cの下部を図1(b)のように切断する。この場合、図7のように台座1aの下方に突出している茎Dを、台座1aの下方に配置してある茎刃物5で切断することもできる。
【0113】
台座1aを排出場所Uに移動させて、葉柄切断済みのブロッコリーAを台座1aから排出して台座1aを空にし、空の台座1aをセット場所Sに戻す。
【0114】
空になった台座1aがセット場所Sに戻る間(前)に、セット場所Sにおいて、他の台座1bに次のブロッコリーAを前記と同様にセットし、その台座1bを切断場所Tに移動さて、図7のように台座1bの上方に突出しているブロッコリーAの葉柄Cの上部を図1(b)のように切断する。この場合も、図7のように台座1bの下方に突出している不要な葉柄Cの下部を下刃物4により図1(b)のように切断することができる。また、台座1bの下方に突出している茎Dを所望長残して茎刃物5で切断することもできる。
【0115】
台座1bを排出場所Uに移動させて、台座1bからブロッコリーAを取り出して台座1bを空にし、空の台座1bをセット場所Sに戻す。この繰り返しにより、台座1a、1bを循環移動させ、夫々の台座1a、1bにセットされたブロッコリーAの葉柄Cを繰り返し切断することができる。
【0116】
この実施形態は、二台の台座1a、1bを使用する場合であるが、三台以上の台座を循環移動させることもできる。
【0117】
(葉柄切断装置の実施形態7:搬送式葉柄切断装置)
実施形態7の葉柄切断装置は、図13図15のように、多数の台座1を、無端走行体20に一定間隔で取り付けて、それら台座1が無端走行体20の走行により移動されるようにしてある。無端走行体20の移動径路には、上刃物2、上支持具3、下刃物4、茎刃物5、下支持具6が配置されている。無端走行体20は台座1を移動できるものであればチェーン、その他の走行体とすることができるが、以下ではチェーンの場合を一例として説明する。
【0118】
[無端走行体:チェーン]
チェーン20は汎用のチェーンと同様のものであり、横に並んでいる円盤状の二つのスプロケット60、61(図13図14)の外周に周回させてあり、両スプロケット60、61の水平回転に伴って水平回転する。スプロケット60、61は双方が駆動用であってもよく、一方が駆動用、他方が従動用であってもよい。
【0119】
台座1の一例は図17図20(a)(b)のものであり、その構造、動作は前記した葉柄切断方法の実施形態7で説明したとおりである。この台座1のベース30を図19のようにチェーン20に取り付け、車輪37(図17図18)をレール36(図19)に載せて、チェーン20の移動に伴ってレール36の上を移動できるようにしてある。
【0120】
[上回転盤、下回転盤]
一方のスプロケット60(図13)の回転軸62には、図14のように上回転盤63と下回転盤64が取り付けられている。上回転盤63はスプロケット60よりも上に、下回転盤64はスプロケット60よりも下に取り付けられている。上回転盤63と下回転盤64は回転軸62の回転に伴って、それと同方向に回転するようにしてある。
【0121】
[上昇降体、下昇降体]
図14のように、上回転盤63の下には複数の上昇降体8(図16(a))が取り付けられ、下回転盤64の下には複数の下昇降体10(図16(c))が取り付けられている。上昇降体8は、上回転盤63から下方に突出している二本一組の上支持軸42に取り付けられて、図示しない昇降機構により上支持軸42に沿って昇降するようにしてある。下昇降体10、下回転盤64(図14)から下方に突出している二本一組の下支持軸50に昇降可能に取り付けられて、図示しない昇降機構により下支持軸50に沿って昇降するようにしてある。上昇降体8、下昇降体10は他の構成であてもよい。
【0122】
[上刃物]
上刃物2は葉柄Cの上部を切断できれば、形状、構造、動作等に特定はないが、一例としては図16(a)のようなものである。この上刃物2は細長板状の基板の外周縁に刃先2cがある。上刃物2は上昇降体8に取り付けられて上昇降体8の昇降に伴って昇降するようにしてあり、上昇降体8に取り付けられている上回転体9に二枚一組として取り付けてある。静止時(不回転時)には、上回転体9に取り付けてある上支持具3(図16(a))の上に収まっている。
【0123】
上刃物2は上昇降体8の降下に伴って降下する。降下すると図22のように花蕾Bの外側にある葉柄Cの内側に進入し、その状態で上回転体9が高速回転すると遠心力で、下部が図23のように外側に広がって、葉柄Cの上部に接触して上部を切断除去できるようにしてある。葉柄Cの上部の切断が終わると上昇降体8と共に上昇する。図21のように花蕾Bの上まで上昇し、上回転体9の高速回転が停止すると、内側に閉じて上支持具3の上に収まる(元の状態に戻る)ようにしてある。
【0124】
[下刃物]
下刃物4も不要な葉柄Cの下部を切断できれば形状、構造、動作等は特定されないが、一例としては、図16(c)のように上向きに先鋭な略三角形の基板の一辺に刃先4cがあり、両下刃物4の刃先4cを反対向きにして、二本の細長の基板54に取り付けられている。
【0125】
二本の基板54は下昇降体10に取り付けられて下昇降体10の昇降に伴って昇降し、長手方向略中央部が下回転体11に支持軸53で回転可能に取り付けられて下回転体11の回転に伴って回転するようにしてある。これら二本の基板54の長手方向一端の上面に下刃物4が取り付けられ、他端下面に錘55が取り付けられている。
【0126】
二本の下刃物4は、下回転体11の停止時(不回転時)には図16(c)のように平行になっているが、下回転体11が高速回転すると、その遠心力で図25のように互いに接近して(葉柄C側に振られて)、台座1にセットされているブロッコリーAの不要な葉柄Cの下部に接触し、図26のように不要な葉柄Cの下部を切断できるようにしてある。切断が終わると下回転体11の回転が停止し、二本の基板54の回転が停止し、二本の基板54が図24のように平行に戻り、下刃物4も回転前の平行状態(元の状態)に戻るようにしてある。
【0127】
[上支持具]
図16(a)のように、上支持具3は上回転体9に取り付けられている。上支持具3は上昇降体8の降下に伴って降下して図22のように台座1にセットされたブロッコリーAの花蕾Bに上方から押し当たり、上昇降体8の上昇に伴って上昇して花蕾Bから離れる。図16(a)の上支持具3は下方広がりの吸盤形状であるが、葉柄Cを回転式の上刃物2と下刃物4で切断するときに花蕾Bに押し当ってブロッコリーAの空転を防止できれば、他の形状、構造であってもよい。また、花蕾Bに押し当っても花蕾Bが傷付きにくい材質、例えば、ゴム、ウレタン等で形成するのが望ましい。
【0128】
[下支持具]
図16(c)のように、下支持具6は下回転体11に取り付けられている。下支持具6は下昇降体10の上昇に伴って上昇して、台座1にセットされたブロッコリーAの茎Dの底面E(図21)に下方から押し当たり(突き刺さり)、下昇降体10の降下に伴って降下して茎Dから離れる。図21の下支持具6は肉厚リング状の基材の上面に突起が突設されているが、下支持具6はブロッコリーAの葉柄Cを支持できれば他の形状、構造であってもよい。
【0129】
[茎刃物]
チェーン20(図14)に取り付けられた台座1の下方であって、スプロケット60(図13)の手前側には、ブロッコリーAの茎Dを所望長に切断する茎刃物5(図14)が配置固定されている。茎刃物5は台座1にセットされたブロッコリーAがチェーン20の走行に伴って搬送されてくると、茎Dに接触して、茎Dの下部を切断できる回転式である。図示した茎刃物5は電動回転式の円盤状の回転刃物であるが、他の形状、構造のものであってもよい。
【0130】
[台座通路]
図14のように、上昇降体8と下昇降体10の間には空間があり、その空間が、チェーン20に取り付けられている台座1及びそれにセットされたブロッコリーAが通過できる台座通路となっている。
【0131】
[搬送式葉柄切断装置の使用例]
前記した搬送式切断装置の使用例は次のようになる。
(1)図13のように、チェーン20の走行により移動している台座1に、作業者がブロッコリーAを差し込んでセットする。
(2)セットされたブロッコリーAはチェーン20の走行に伴って図13の矢印方向(左方向)に搬送される。ブロッコリーAが茎刃物5(図14)に差し掛かり、回転している茎刃物5に接触すると、茎Dが切断される。
(3)茎切断後もチェーン20が走行を続けて、台座1にセットされているブロッコリーAが方向転換部(スプロケット60)に差し掛かると、上昇降体8が降下して上支持具3がブロッコリーAの花蕾Bの上に接触する。このとき、下昇降体10が上昇し、その上昇に伴って下支持具6が上昇して、先に茎刃物5で切断されている茎Dの底面Eに突き刺さり、茎Dを下から支持する。これにより、ブロッコリーAは上下から保持されて安定する。
(4)前記支持状態で、降下する二枚の上刃物2が花蕾Bとその外側に突出している葉柄Cの間に進入し、進入後に高速回転の遠心力で外側に開いて葉柄Cの上部に当たって葉柄Cを切断することができる。また、下回転体11が高速回転するとその遠心力で基板54が回転し、下刃物4側が図25のように内側に首振りされて葉柄Cに当り、図26のように不要な葉柄Cの下部を切断することができる。
(5)葉柄Cが切断されると、上昇降体8が上昇して上回転体9及び上支持具3も上昇し、上支持具3が花蕾Bから離れて降下前の元の位置に戻る。また、上回転体9の回転が停止して上刃物2が上支持具3の上に収まる。下昇降体10が降下し、下回転体11及び下支持体6も降下して、下支持体6がブロッコリーAの茎Dから離れて元の状態に戻り、二本の基板54の回転が停止して平行に戻り、二本の下刃物4も平行になる。
(6)葉柄C、茎Dが切断されたブロッコリーAは、台座1にセットされたまま搬送され、搬送中に台座1が図20(b)のように起立して横向きになり、ブロッコリーAが台座1から排出されて排出コンベア12の上に落下する。台座1からのブロッコリーAの排出は自動的に、又は作業員が手動で、又は機械的に(例えば、ロボットで)行うことができる。
(7)前記(1)~(6)の動作は、各台座1にセットされているブロッコリーAが搬送されてくる度に自動的に繰り返し行われる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
前記実施形態は、上刃物2と下刃物4の双方を設けてあるが、上刃物2だけを設けて、葉柄の上部だけを切断できるようにすることも、下刃物4だけを設けて葉柄の根元付近だけを切断できるようにすることもできる。また、上刃物2と上支持具3は別々に昇降し、別々に回転するようにすることもできる。下刃物4と下支持具6も別々に昇降し、別々に回転するようにすることもできる。上刃物2の降下位置、下刃物4の上昇位置を変えることにより、それら刃物による葉柄の切断位置(箇所)を変えることもできる。下刃物4の上昇位置を高くすると、図2(b)のように全ての葉柄を下部から切断除去することができる。
【0133】
本発明における上刃物2、上支持具3、下刃物4、茎刃物5、下支持具6、上昇降体8、上回転体9、下昇降体10、下回転体11、その他の各種部材の形状、構造、配置、動作の、動作の順番等は本発明の課題を解決できる範囲で設計変更可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 台座
1a 台座
1b 台座
2 上刃物
2a 上刃物
2b 上刃物
2c (上刃物の)刃先
3 上支持具
4 下刃物
4a 下刃物
4b 下刃物
4c (下刃物の)刃先
5 茎刃物
6 下支持具
7 ガイドレール
8 上昇降体
9 上回転体
10 下昇降体
11 下回転体
12 排出コンベア
13 筐体
20 無端走行体(チェーン)
30 (台座の)ベース
31 (台座の)本体
32 底板
33 側壁
34 貫通孔
35 ブラケット
36 レール
37 車輪
38 連結ピン
39 差込み孔(セット孔)
39a (セット孔の)内周面
40 開閉板
41 連結板
42 上支持軸
43 上ベース
44 モータ
50 下支持軸
51 下ベース
52 モータ
53 支持軸
54 基板
55 錘
60、61 スプロケット
62 (スプロケットの)回転軸
63 上回転盤
64 下回転盤
A ブロッコリー
B 花蕾
C 葉柄
D 茎
E (茎の)底面
M 葉柄切断装置
M1 葉柄切断装置
M2 葉柄切断装置
S セット場所
T 切断場所
T1 切断場所
T2 切断場所
U 排出場所
W 待機場所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26