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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174478
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241210BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20241210BHJP
   B60L 50/72 20190101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2475
B60L50/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092327
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】村木 俊博
【テーマコード(参考)】
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA13
5H125AC07
5H125AC14
5H125FF08
5H126FF10
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE13
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】固定機構に係る作業性を向上させる。
【解決手段】燃料電池モジュール10は、燃料電池と、燃料電池に供給する燃料ガスを貯蔵する燃料タンク15と、燃料電池及び燃料タンク15が搭載されるフレーム20と、フレーム20に設けられるとともに燃料タンク15を押圧することで燃料タンク15を固定する固定機構54と、を備える。固定機構54は、タンク本体部15aよりも上方に位置し、タンク本体部15aへの押圧力が調整されることにより、鉛直方向Zにおいて燃料タンク15を固定する第1固定機構54aと、タンク端部15bよりも上方に位置し、タンク端部15bへの押圧力が調整されることにより、タンク本体部15aの軸方向Xにおいて燃料タンク15を固定する第2固定機構54bと、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池に供給する燃料ガスを貯蔵する燃料タンクと、
前記燃料電池及び前記燃料タンクが搭載されるフレームと、
前記フレームに設けられるとともに前記燃料タンクを押圧することで前記燃料タンクを固定する固定機構と、を備える燃料電池モジュールであって、
前記燃料タンクは、円筒状のタンク本体部と、前記タンク本体部の軸方向における前記燃料タンクの両端部に位置するタンク端部と、を有し、
前記タンク端部は、前記タンク本体部の軸方向において前記タンク本体部から離れるほど外径が小さくなっており、
前記固定機構は、
前記タンク本体部よりも上方に位置し、前記タンク本体部への押圧力が調整されることにより、鉛直方向において前記燃料タンクを固定する第1固定機構と、
前記タンク端部よりも上方に位置し、前記タンク端部への押圧力が調整されることにより、前記タンク本体部の軸方向において前記燃料タンクを固定する第2固定機構と、を有する、ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
前記フレームは、
前記燃料電池及び前記燃料タンクが搭載される第1フレームと、
前記第1フレームに取り付けられ、前記燃料タンクよりも上方に位置し、前記燃料タンクに沿って前記タンク本体部の軸方向に延びる第2フレームと、を有し、
前記第1固定機構及び前記第2固定機構は、前記第2フレームに取り付けられている、請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記第2フレームを上方からみて、前記第2フレームは、前記タンク本体部の軸線に沿って延びるフレーム本体部と、前記タンク端部の軸線に沿って延びるフレーム端部と、を有し、
前記第1固定機構は、前記フレーム本体部に取り付けられており、
前記第2固定機構は、前記フレーム端部に取り付けられており、
前記第1固定機構を上方から見ると、前記第1固定機構は、前記タンク本体部のうち前記タンク本体部の軸線と重なる部分を押圧しており、
前記第2固定機構を上方から見ると、前記第2固定機構は、前記タンク端部のうち前記タンク端部の軸線と重なる部分を押圧している、請求項2に記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記第2固定機構は、
前記タンク端部を押圧する押圧部と、
前記第2フレームから前記タンク端部に近づく押圧方向に前記押圧部を変位させる変位部と、
前記押圧方向に延びる長孔が形成されたガイド部と、を有し、
前記第2フレームは、前記第2フレームに対して変位可能に前記変位部を支持する支持部と、前記支持部が固定されるとともに前記長孔に挿入された締結部材が固定される固定部と、を有し、
前記ガイド部は、前記長孔における前記締結部材の挿入位置が変位しつつ、前記押圧部と共に変位可能である、請求項2又は請求項3に記載の燃料電池モジュール。
【請求項5】
前記タンク本体部の軸方向と前記鉛直方向とに直交する方向を直交方向とすると、
前記第1フレームに取り付けられ、前記タンク本体部よりも下方に位置し、前記直交方向における前記タンク本体部よりも外側から前記タンク本体部を支持する支持機構を有する、請求項2又は請求項3に記載の燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の燃料電池モジュールは、燃料電池と、燃料電池に供給する燃料ガスを貯蔵する燃料タンクと、燃料電池及び燃料タンクが搭載されるフレームと、を備える。また、燃料電池モジュールとしては、燃料タンクを固定する固定機構を備えるものが知られている。固定機構は、例えば、フレームに設けられるとともに燃料タンクを押圧することで燃料タンクを固定する。こうした燃料電池モジュールにおいては、フレームに燃料タンクが搭載された後に、固定機構から燃料タンクへの押圧力を調整するための調整作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-116750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固定機構の配置場所によっては、固定機構の周りのスペースが小さいために、固定機構に係る調整作業を行うための視認性が低下することで、固定機構に係る作業性が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する燃料電池モジュールは、燃料電池と、前記燃料電池に供給する燃料ガスを貯蔵する燃料タンクと、前記燃料電池及び前記燃料タンクが搭載されるフレームと、前記フレームに設けられるとともに前記燃料タンクを押圧することで前記燃料タンクを固定する固定機構と、を備える燃料電池モジュールであって、前記燃料タンクは、円筒状のタンク本体部と、前記タンク本体部の軸方向における前記燃料タンクの両端部に位置するタンク端部と、を有し、前記タンク端部は、前記タンク本体部の軸方向において前記タンク本体部から離れるほど外径が小さくなっており、前記固定機構は、前記タンク本体部よりも上方に位置し、前記タンク本体部への押圧力が調整されることにより、鉛直方向において前記燃料タンクを固定する第1固定機構と、前記タンク端部よりも上方に位置し、前記タンク端部への押圧力が調整されることにより、前記タンク本体部の軸方向において前記燃料タンクを固定する第2固定機構と、を有する、ことを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、フレームに燃料タンクを搭載した後、燃料タンクよりも上方にスペースのある状態で、固定機構の調整作業ができる。固定機構が燃料タンクの下部を固定する場合と比較して、固定機構の調整作業を行う際の視認性が向上するため、固定機構に係る作業性を向上させることができる。
【0007】
燃料電池モジュールにおいて、前記フレームは、前記燃料電池及び前記燃料タンクが搭載される第1フレームと、前記第1フレームに取り付けられ、前記燃料タンクよりも上方に位置し、前記燃料タンクに沿って前記タンク本体部の軸方向に延びる第2フレームと、を有し、前記第1固定機構及び前記第2固定機構は、前記第2フレームに取り付けられていてもよい。
【0008】
上記構成によれば、第2フレームが第1フレームに取り付けられることで、第1固定機構及び第2固定機構を燃料タンクよりも上方の位置に配置できる。したがって、固定機構に係る作業性をさらに向上させることができる。
【0009】
燃料電池モジュールにおいて、前記第2フレームを上方からみて、前記第2フレームは、前記タンク本体部の軸線に沿って延びるフレーム本体部と、前記タンク端部の軸線に沿って延びるフレーム端部と、を有し、前記第1固定機構は、前記フレーム本体部に取り付けられており、前記第2固定機構は、前記フレーム端部に取り付けられており、前記第1固定機構を上方から見ると、前記第1固定機構は、前記タンク本体部のうち前記タンク本体部の軸線と重なる部分を押圧しており、前記第2固定機構を上方から見ると、前記第2固定機構は、前記タンク端部のうち前記タンク端部の軸線と重なる部分を押圧していてもよい。
【0010】
上記構成によれば、第1固定機構がタンク本体部のうちタンク本体部の軸線からずれた部分を押圧する場合や、第2固定機構がタンク端部のうちタンク端部の軸線からずれた部分を押圧する場合よりも、固定機構によって燃料タンクをより適当に固定できる。
【0011】
燃料電池モジュールにおいて、前記第2固定機構は、前記タンク端部を押圧する押圧部と、前記第2フレームから前記タンク端部に近づく押圧方向に前記押圧部を変位させる変位部と、前記押圧方向に延びる長孔が形成されたガイド部と、を有し、前記第2フレームは、前記第2フレームに対して変位可能に前記変位部を支持する支持部と、前記支持部が固定されるとともに前記長孔に挿入された締結部材が固定される固定部と、を有し、前記ガイド部は、前記長孔における前記締結部材の挿入位置が変位しつつ、前記押圧部と共に変位可能であってもよい。
【0012】
上記構成によれば、変位部によって押圧部を押圧方向に変位させる作業を行うことで、第2固定機構からタンク端部に作用する押圧力を調整できる。したがって、固定機構に係る作業性をさらに向上させることができる。
【0013】
燃料電池モジュールにおいて、前記タンク本体部の軸方向と前記鉛直方向とに直交する方向を直交方向とすると、前記第1フレームに取り付けられ、前記タンク本体部よりも下方に位置し、前記直交方向における前記タンク本体部よりも外側から前記タンク本体部を支持する支持機構を有してもよい。
【0014】
上記構成によれば、第1フレームへの燃料タンクの搭載時に支持機構によってタンク本体部が支持されるため、燃料タンクの直交方向への位置ずれを抑制できる。また、燃料タンクの自重が支持機構に作用することにより、支持機構によるタンク本体部の支持がなされるため、第1フレームへの燃料タンクの搭載後に支持機構の調整作業を行わなくてもよい。したがって、支持機構は、周囲のスペースが小さい場所に取り付け可能であるため、設計自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、固定機構に係る作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、燃料電池モジュールを搭載するフォークリフト示す側面図である。
図2図2は、燃料電池モジュールを示す斜視図である。
図3図3は、フレームを示す斜視図である。
図4図4は、第1フレーム及び燃料タンクの一部を拡大して示す断面図である。
図5図5は、フレーム及び固定機構を示す断面図である。
図6図6は、第2フレーム及び燃料タンクを示す上面図である。
図7図7は、第2フレーム及び固定機構を示す斜視図である。
図8図8は、第2フレーム及び固定機構を示す側面図である。
図9図9は、第2フレーム及び固定機構を示す上面図である。
図10図10は、第2フレーム及び固定機構を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、燃料電池モジュールをフォークリフトに搭載された燃料電池モジュールに具体化した一実施形態について、図面にしたがって説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、フォークリフトを運転する作業者が車両前方(前進方向)を向いた状態を基準とした場合の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」のことをいう。
【0018】
<燃料電池モジュールを搭載したフォークリフト>
図1に示すように、フォークリフトFは、燃料電池モジュール10と、車体11と、荷役装置12と、を備えている。フォークリフトFは、カウンタバランス型フォークリフトである。車体11は、運転席11aを有している。車体11は、収容空間11bを有している。収容空間11bは、運転席11aの下方に位置している。燃料電池モジュール10は、収容空間11bに収容されている。車体11は、カウンターウェイト11cを有している。カウンターウェイト11cは、車体11の後部に位置している。荷役装置12は、車体11の前方に設けられている。荷役装置12は、荷役動作を行う。
【0019】
<燃料電池モジュール>
図2に示すように、燃料電池モジュール10は、燃料電池14と、燃料タンク15と、燃料電池14及び燃料タンク15が搭載されるフレーム20と、を備える。燃料電池14は、複数の燃料電池セルがスタック化されたものである。燃料電池セルは、例えば、固体分子型燃料電池である。燃料電池14は、水素と空気中の酸素とによって発電を行う。すなわち、本実施形態における水素は燃料ガスに相当する。
【0020】
燃料タンク15は、燃料電池14に供給する燃料ガスとしての水素を貯蔵する。燃料タンク15は、円筒状のタンク本体部15aと、タンク端部15bと、を有する。タンク本体部15aの軸線L1が延びる方向をタンク本体部15aの軸方向Xという。以下では、タンク本体部15aの軸方向Xを単に軸方向Xということもある。燃料タンク15は、タンク本体部15aの軸線L1が左右方向に延びるように、燃料電池モジュール10に搭載されている。すなわち、軸方向Xは左右方向と同方向である。以下では、上下方向を鉛直方向Zともいう。タンク本体部15aの軸方向Xと鉛直方向Zとに直交する方向を直交方向Yとする。直交方向Yは前後方向と同方向である。
【0021】
タンク端部15bは、タンク本体部15aの軸方向Xにおける燃料タンク15の両端部に位置する。タンク端部15bは、タンク本体部15aの軸方向Xにおいて、タンク本体部15aよりも一方側と他方側とに位置している。タンク端部15bは、燃料タンク15の端部に相当する。タンク端部15bは、タンク本体部15aの軸方向Xにおいてタンク本体部15aから離れるほど外径が小さくなっている。タンク端部15bの軸線L2は、タンク本体部15aの軸線L1の延長上にある。そのため、タンク本体部15aの軸線L1及びタンク端部15bの軸線L2は、燃料タンク15の軸線Lに相当する。軸方向Xは、タンク端部15bの軸線L2が延びる方向であるとともに、燃料タンク15の軸線Lが延びる方向である。
【0022】
燃料タンク15は、燃料タンク15の端部としてのタンク端部15bに位置する口金15cを有する。口金15cは、軸方向Xに延びる円筒状である。口金15cの外径は、タンク本体部15aの外径よりも小さい。口金15cは、軸方向Xにおけるタンク本体部15aよりも一方側に位置するタンク端部15bから軸方向Xに延びている。口金15cには、図示しないバルブと図示しない水素供給路が接続されている。水素は、燃料タンク15から水素供給路を通って燃料電池14に供給される。燃料タンク15から燃料電池14に供給される水素の量は、バルブによって調整される。
【0023】
燃料電池モジュール10は、DC/DCコンバータ16と、キャパシタ17と、を備えている。DC/DCコンバータ16は、例えば、燃料電池14の出力電圧を変圧してキャパシタ17に出力する。DC/DCコンバータ16からの出力電圧は、フォークリフトFを駆動する図示しない電動機に供給される。キャパシタ17は、燃料電池モジュール10に搭載される各種の補機を駆動するための電力を蓄電する。
【0024】
燃料電池モジュール10は、熱交換器18と、コンプレッサ19と、を備える。熱交換器18は、燃料電池14と熱交換した熱交換媒体と外気との間で熱交換を行う。熱交換媒体としては冷却水が用いられるが、その他の媒体を用いてもよい。熱交換器18には、例えば、図示しないリザーバータンクから冷却水が供給される。コンプレッサ19は、空気を圧縮する。コンプレッサ19によって圧縮された空気は、図示しない空気供給路を通って燃料電池14に供給される。
【0025】
<フレーム>
図2及び図3に示すように、フレーム20は、第1フレーム21と、第2フレーム22と、第3フレーム23と、を有する。
【0026】
<第1フレーム>
第1フレーム21は、前フレーム部21aと、後フレーム部21bと、を有する。前フレーム部21aと後フレーム部21bとは、互いに別体であるとともに互いに接続されている。燃料電池モジュール10がフォークリフトFに搭載された状態で、後フレーム部21bは、前フレーム部21aよりもフォークリフトFの後方に位置する。例えば、後フレーム部21bは、前フレーム部21aよりも重量が大きい。前フレーム部21aは、例えば80kgである。後フレーム部21bは、例えば300kgである。
【0027】
前フレーム部21aは、第1底部31と、第1底部31から上方に延びる立設部32と、第1底部31よりも上方に位置する板部33と、板部33の周りに設けられる側壁部34と、を有する。第1底部31は、前フレーム部21aの下部を構成する。第1底部31は、鉛直方向Zに直交するように延びる略平板状である。立設部32は、第1底部31の上面から上方に延びている。板部33は、立設部32の上端に接続されている。板部33は、鉛直方向Zに直交するように延びる平板状である。第1底部31上にあって、立設部32よりも右方には、熱交換器18が搭載されている。第1底部31上にあって、立設部32よりも左方には、図示しない補機が搭載されている。板部33上にあって、且つ側壁部34よりも内側のスペースには、燃料電池14及びコンプレッサ19が載置されている。すなわち、燃料電池14は、前フレーム部21aに搭載されている。したがって、第1フレーム21には、燃料電池14が搭載されている。
【0028】
後フレーム部21bは、第2底部35を有する。第2底部35は、後フレーム部21bの下部を構成する。第1底部31と第2底部35とで、フレーム20の底部24が構成されている。第1底部31の下面と第2底部35の下面とで、フレーム20の底面20aが構成されている。したがって、第1フレーム21は、フレーム20の底面20aを有する底部24を有する。底面20aは、鉛直方向Zに直交するように延びる平面である。直交方向Yは、底面20aに沿う方向であって且つタンク本体部15aの軸線L1に直交する方向である。
【0029】
第2底部35の上面には湾曲面35aによって囲まれた収容部35bが形成されている。湾曲面35aは、収容部35bの前後左右に位置している。収容部35bは、上方に開口した空間である。収容部35bに燃料タンク15が収容された状態で、燃料タンク15は後フレーム部21bに搭載されている。すなわち、燃料タンク15は、後フレーム部21bに搭載されている。したがって、第1フレーム21には、燃料タンク15が搭載されている。燃料タンク15の下方の一部が収容部35bに収容されている。湾曲面35aは、燃料タンク15の外面に沿って延びている。
【0030】
図4に示すように、燃料電池モジュール10は、直交方向Yにおけるタンク本体部15aよりも外側からタンク本体部15aを支持する支持機構36を有する。支持機構36は、第1フレーム21に取り付けられている。支持機構36は、タンク本体部15aよりも下方に位置している。詳細には、支持機構36は、後フレーム部21bにおける湾曲面35aのうち、収容部35bよりも前方に位置する部分と、収容部35bよりも後方に位置する部分と、に取り付けられている。支持機構36は、例えばゴム製である。燃料タンク15が収容部35bに収容された状態で、支持機構36はタンク本体部15aの外面に接する。これにより、支持機構36は、燃料タンク15の直交方向Yへの変位を抑制している。
【0031】
図3に示すように、第1フレーム21は、第1延設部37と、第2延設部38と、を有する。第1延設部37は、後フレーム部21bの左端部から上方に延びている。第2延設部38は、後フレーム部21bの右端部から上方に延びている。収容部35bは、軸方向Xにおける第1延設部37と第2延設部38との間に位置している。
【0032】
第1延設部37は、第1上面37aと第2上面37bとを有する。第1上面37a及び第2上面37bの各々は、第1延設部37の上端に位置するとともに鉛直方向Zに直交するように延びる平面である。第1上面37aは第2上面37bよりも前方に位置する。
【0033】
第1延設部37には、複数のボルト孔Hが形成されている。第1延設部37に形成される複数のボルト孔Hは、直交方向Yにおいて互いに離れている。本実施形態における第1延設部37には、例えば、4つのボルト孔Hが形成されている。図3においては、第1延設部37における4つのボルト孔Hのうち、2つのボルト孔Hが図示されており、その他のボルト孔Hの図示は省略している。ボルト孔Hは、第1上面37aと第2上面37bとに開口している。第1上面37aにおいて、2つのボルト孔Hが開口している。第2上面37bにおいて、2つのボルト孔Hが開口している。
【0034】
第2延設部38は、一対の延設部41と、第3延設部42と、を有する。一対の延設部41は、直交方向Yにおいて互いに離れている。第3延設部42は、一対の延設部41よりも後方に位置している。口金15cは、一対の延設部41の間に位置する。
【0035】
図5に示すように、一対の延設部41の各々は、第3上面41aを有する。第3上面41aは、一対の延設部41の各々の上端に位置するとともに鉛直方向Zに直交するように延びる平面である。一対の延設部41の各々には、ボルト孔Hが形成されている。本実施形態における一対の延設部41の各々には、1つのボルト孔Hが形成されている。一対の延設部41の各々において、ボルト孔Hは第3上面41aに開口している。
【0036】
図3に示すように、第3延設部42は、第4上面42aを有する。第4上面42aは、第3延設部42の上端に位置するとともに鉛直方向Zに直交するように延びる平面である。
【0037】
第3延設部42には、複数のボルト孔Hが形成されている。第3延設部42に形成される複数のボルト孔Hは、直交方向Yにおいて互いに離れている。本実施形態における第3延設部42には、2つのボルト孔Hが形成されている。第4上面42aにおいて、2つのボルト孔Hが開口している。なお、図3においては、第3延設部42における2つのボルト孔Hのうち、1つのボルト孔Hを図示しており、その他のボルト孔Hの図示を省略している。
【0038】
<第2フレーム>
図2及び図3に示すように、第2フレーム22は、第2底部35よりも上方に位置する。言い換えると、第2フレーム22は、フレーム20の底部24よりも上方に位置する。第2フレーム22は、例えば10kg以下である。
【0039】
第2フレーム22は、第1フレーム21に取り付けられている。第2フレーム22は、燃料タンク15よりも上方に位置する。第2フレーム22は、燃料タンク15に沿ってタンク本体部15aの軸方向Xに延びている。
【0040】
第2フレーム22は、フレーム本体部51と、フレーム端部52と、を有する。フレーム本体部51は、直交方向Yに互いに離れる一対の第1板部51aを有する。一対の第1板部51aは、直交方向Yに直交するように延びる略平板状である。一対の第1板部51aの長手は、軸方向Xに延びている。一対の第1板部51aの短手は、鉛直方向Zに延びている。
【0041】
フレーム端部52は、フレーム本体部51よりも右側と左側とに位置している。フレーム端部52は、タンク端部15bに沿って延びている。詳細には、フレーム端部52は、直交方向Yに互いに離れる一対の第2板部52aを有する。一対の第2板部52aは、直交方向Yに直交するように延びる略平板状である。一対の第2板部52aは、一対の第1板部51aに繋がっている。フレーム本体部51よりも右側に位置するフレーム端部52において、一対の第2板部52aは、一対の第1板部51aから右方に離れるほど下方に位置するように湾曲している。フレーム本体部51よりも左側に位置するフレーム端部52において、一対の第2板部52aは、一対の第1板部51aから左方に離れるほど下方に位置するように湾曲している。
【0042】
図6に示すように、第2フレーム22を上方からみて、フレーム本体部51は、タンク本体部15aの軸線L1に沿って延びている。第2フレーム22を上方からみて、一対の第1板部51a同士の間にタンク本体部15aの軸線L1が位置している。第2フレーム22を上方からみて、フレーム端部52は、タンク端部15bの軸線L2に沿って延びている。第2フレーム22を上方からみて、一対の第2板部52a同士の間にタンク端部15bの軸線L2が位置している。
【0043】
図2に示すように、第2フレーム22は支持板部53を有する。支持板部53は、フレーム本体部51よりも上方に位置する。支持板部53は、例えば、一対の第1板部51aの上端に固定されている。支持板部53にはDC/DCコンバータ16が搭載されている。したがって、第2フレーム22には、DC/DCコンバータ16が搭載されている。
【0044】
図3及び図6に示すように、第2フレーム22は、複数の第1固定板部55を備える。本実施形態における第2フレーム22は、2つの第1固定板部55を備える。2つの第1固定板部55のうち、一方は軸方向Xにおける第2フレーム22の一端に位置し、他方は軸方向Xにおける第2フレーム22の他端に位置する。フレーム端部52は、フレーム本体部51と第1固定板部55との間に位置する。第1固定板部55は、フレーム端部52に接続されている。
【0045】
第1固定板部55は、鉛直方向Zに直交するように延びる平板状である。第1固定板部55にはボルト孔Hが形成されている。ボルト孔Hは、第1固定板部55の下面にて開口している。本実施形態における第1固定板部55には、2つのボルト孔Hが形成されている。2つのボルト孔Hは、第1固定板部55において直交方向Yに互いに離れている。
【0046】
図3に示すように、2つの第1固定板部55は、第1延設部37の第1上面37aと、一対の延設部41の第3上面41aと、に載置されている。第1延設部37におけるボルト孔Hと、第1延設部37に載置された第1固定板部55におけるボルト孔Hと、には締結部材Bが挿入されている。一対の延設部41におけるボルト孔Hと、一対の延設部41に載置された第1固定板部55におけるボルト孔Hと、には締結部材Bが挿入されている。これにより、締結部材Bによって、第2フレーム22は、第1フレーム21に取り付けられている。
【0047】
図5に示すように、第2フレーム22は、取付部70を有する。取付部70は、軸方向Xにおける第2フレーム22の両端部に位置する。取付部70は、支持部71と、固定部72と、を有する。言い換えると、第2フレーム22は、支持部71と、固定部72と、を有する。
【0048】
図7図8、及び図9に示すように、固定部72は、平板状である。固定部72は、フレーム端部52における一対の第2板部52a同士の間に位置する。固定部72は、一対の第2板部52aに直交するように延びている。固定部72には支持部71が固定されている。支持部71は、固定部72に対して直交するように固定部72から延びている。支持部71は、固定部72から第1固定板部55に対して離れる方向に延びている。支持部71のうち、固定部72と接続する端部を基端とすると、支持部71の先端には貫通孔71hが形成されている。貫通孔71hは、支持部71を貫通する丸孔である。支持部71のうち、貫通孔71hを形成する内周面には、図示しないねじ溝が形成されている。
【0049】
<第3フレーム>
図2及び図3に示すように、第3フレーム23は、第2底部35よりも上方に位置する。言い換えると、第3フレーム23は、フレーム20の底部24よりも上方に位置する。第3フレーム23は、例えば10kg以下である。
【0050】
第3フレーム23は、鉛直方向Zに延びる一対の柱部61と、一対の柱部61同士を連結する連結部62と、を有する。一対の柱部61は、軸方向Xに互いに離れている。連結部62は、軸方向Xにおける一対の柱部61同士の間に位置する。連結部62は、例えば、長手が軸方向Xに延びる矩形平板状である。軸方向Xにおける連結部62の一端が一対の柱部61の一方に連結され、他端が一対の柱部61の他方に連結されている。
【0051】
軸方向Xにおける一対の柱部61同士の間には、キャパシタ17が載置されている。キャパシタ17は、図示しない連結部材によって一対の柱部61に連結されている。これにより、キャパシタ17は、一対の柱部61に搭載されている。第3フレーム23には、キャパシタ17が搭載されている。
【0052】
図3に示すように、第3フレーム23は、複数の第2固定板部63を備える。本実施形態における第3フレーム23は、2つの第2固定板部63を備える。第2固定板部63は、柱部61の下端に設けられている。2つの第2固定板部63のうち、一方は一対の柱部61のうちの一方に設けられ、他方は一対の柱部61のうちの他方に設けられている。
【0053】
第2固定板部63は、鉛直方向Zに直交するように延びる平板状である。第2固定板部63にはボルト孔Hが形成されている。ボルト孔Hは、第2固定板部63の下面にて開口している。本実施形態における第2固定板部63には、2つのボルト孔Hが形成されている。2つのボルト孔Hは、第2固定板部63において直交方向Yに互いに離れている。なお、図面においては、第2固定板部63における2つのボルト孔Hのうち、1つのボルト孔Hを図示しており、その他のボルト孔Hの図示を省略している。
【0054】
2つの第2固定板部63は、第1延設部37の第2上面37bと、第3延設部42の第4上面42aと、に載置されている。第1延設部37におけるボルト孔Hと、第1延設部37に載置された第2固定板部63におけるボルト孔Hと、には締結部材Bが挿入されている。第3延設部42におけるボルト孔Hと、第3延設部42に載置された第2固定板部63におけるボルト孔Hと、には締結部材Bが挿入されている。これにより、締結部材Bによって、第3フレーム23は、第1フレーム21に取り付けられている。
【0055】
<固定機構>
図5に示すように、燃料電池モジュール10は、固定機構54を備える。固定機構54は、第1固定機構54aと、第2固定機構54bと、を有する。第1固定機構54a及び第2固定機構54bは、第2フレーム22に取り付けられている。第1固定機構54aは、フレーム本体部51に取り付けられている。第2固定機構54bは、フレーム端部52に取り付けられている。したがって、固定機構54は、フレーム20に設けられている。固定機構54は、燃料タンク15を押圧することで燃料タンク15を固定する。
【0056】
第1固定機構54aは、タンク本体部15aよりも上方に位置する。第1固定機構54aは、タンク本体部15aへの押圧力が調整されることにより、鉛直方向Zにおいて燃料タンク15を固定する。第1固定機構54aは、例えば、一対の第1板部51a同士の間に設けられている。
【0057】
第2固定機構54bは、タンク端部15bよりも上方に位置する。第2固定機構54bは、タンク端部15bへの押圧力が調整されることにより、タンク本体部15aの軸方向Xにおいて燃料タンク15を固定する。第2固定機構54bは、例えば、一対の第2板部52a同士の間に設けられている。
【0058】
図6に示すように、第1固定機構54aを上方から見ると、第1固定機構54aは、タンク本体部15aのうちタンク本体部15aの軸線L1と重なる部分を押圧している。第2固定機構54bを上方から見ると、第2固定機構54bは、タンク端部15bのうちタンク端部15bの軸線L2と重なる部分を押圧している。
【0059】
図7図8、及び図9に示すように、第2固定機構54bは、押圧部73と、変位部74と、ガイド部75と、を有する。変位部74は、ボルトである。変位部74は、ねじ頭部74bと、ねじ頭部74bから延びるとともに外周面にねじ溝が形成された軸部74aを有する。軸部74aは、支持部71の貫通孔71hに挿入されている。これにより、支持部71は、第2フレーム22に対して変位可能に変位部74を支持する。軸部74aのうち、貫通孔71hに挿入されている部分のねじ溝は、支持部71のねじ溝と噛み合っている。軸部74aが貫通孔71hに挿入された状態で、軸部74aのねじ溝が支持部71のねじ溝と噛み合いながら、変位部74は軸部74aの軸線を中心に回転されることで軸部74aの延びる方向に変位可能である。軸部74aの延びる方向を以下では押圧方向Dともいう。押圧方向Dは、第2フレーム22からタンク端部15bに近づく方向である。
【0060】
軸部74aの両端部のうち、ねじ頭部74bとは反対側の端部を軸端部74cという。軸端部74cは、押圧方向Dにおける変位部74の端部に相当する。軸部74aには挿通部材80が挿通されている。挿通部材80は例えばナットである。挿通部材80は、軸部74aのうち、支持部71の貫通孔71hへの挿入部分とねじ頭部74bとの間に挿通されている。挿通部材80は、軸部74aのねじ溝に沿って回転することにより軸部74aに沿って変位可能である。挿通部材80が支持部71に接した状態では、軸部74aの変位が規制される。
【0061】
第2固定機構54bは、2つのガイド部75を有する。2つのガイド部75は、支持部71を挟んで対をなすように配置されている。ガイド部75は、押圧方向Dに延びる平板状である。ガイド部75には、押圧方向Dに延びる長孔75hが形成されている。長孔75hはガイド部75を貫通している。長孔75hには締結部材Bが挿入されている。長孔75hに挿入された締結部材Bは、固定部72の図示しない締結孔に締結されている。これにより、固定部72は、長孔75hに挿入された締結部材Bが固定されている。ガイド部75は、固定部72に取り付けられている。ガイド部75は、長孔75hにおける締結部材Bの挿入位置が変位されつつ、押圧方向Dに変位可能である。
【0062】
押圧部73は、第1接続部73aと、第2接続部73bと、押圧本体部73cと、を有する。第1接続部73aは、押圧方向Dにおけるガイド部75の端部から屈曲するように延びる平板状である。第1接続部73aはガイド部75と一体となっている。そのため、第1接続部73aは、ガイド部75と共に変位可能である。第2接続部73bは、第1接続部73aに取り付けられている。押圧本体部73cは、第2接続部73bに取り付けられている。そのため、押圧本体部73cは、第2接続部73bを介して第1接続部73aに取り付けられている。第1接続部73a、第2接続部73b、及び押圧本体部73cは、ガイド部75はと共に変位可能である。したがって、ガイド部75は、長孔75hにおける締結部材Bの挿入位置が変位しつつ、押圧部73と共に変位可能である。
【0063】
第1接続部73aにはガイド部75の軸端部74cが接している。ガイド部75の変位に伴って、軸部74aの軸端部74cによって第1接続部73aが押圧方向Dに押されることにより、ガイド部75及び押圧部73が押圧方向Dに変位する。こうして変位部74は、第2フレーム22からタンク端部15bに近づく押圧方向Dに押圧部73を変位させる。押圧本体部73cはタンク端部15bの外面に接する。これにより、押圧部73はタンク端部15bを押圧する。
【0064】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用について、燃料電池モジュール10の組立方法の一例と共に説明する。
【0065】
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール10を組み立てる際には、まず前フレーム部21aに燃料電池14、熱交換器18、及びコンプレッサ19をはじめとする各種の補機が搭載される。こうして補機が搭載された前フレーム部21aは、後フレーム部21bと取り付けられる。こうして前フレーム部21aと後フレーム部21bとが一体化されることにより、第1フレーム21が形成される。以降の燃料電池モジュール10の組み立ては、第1フレーム21の底部24の下面である底面20aが作業場所に載置された状態で行われる。そして、後フレーム部21bに燃料タンク15が搭載される。後フレーム部21bに燃料タンク15が搭載された後、第2フレーム22及び第3フレーム23が第1フレーム21の底部24よりも上方に配置される。このとき、例えば、作業者の手によって、第2フレーム22及び第3フレーム23は順次配置される。
【0066】
図9に示すように、後フレーム部21bへの第2フレーム22の搭載後に、第1固定機構54a及び第2固定機構54bによるタンク端部15bへの押圧力を調整する調整作業が行われる。この調整作業は、フレーム20への第2フレーム22の搭載後であって、且つ第2フレーム22の周りに補機等の搭載を行う前に行われる。そのため、上記の調整作業は、第1固定機構54a及び第2固定機構54bの周りのスペースを確保した状態で行うことができる。
【0067】
図9及び図10に示すように、第2固定機構54bにおける上記調整作業に際しては、まず作業者が変位部74を押圧方向Dに変位させる。これにより、第1接続部73aが軸端部74cによって押圧方向Dに押されるため、ガイド部75及び押圧部73が押圧方向Dに変位する。このとき、固定部72に締結された締結部材Bが長孔75hに挿通された状態でガイド部75は押圧方向Dに変位するため、ガイド部75及び押圧部73は軸端部74cに対して位置ずれしにくい状態で変位する。ガイド部75及び押圧部73が押圧方向Dに変位することにより、押圧本体部73cがタンク端部15bの外面に近づく。なお、図9は、ガイド部75及び押圧部73が押圧方向Dに変位する前の第2固定機構54bを示している。図10は、ガイド部75及び押圧部73が押圧方向Dに変位した後の第2固定機構54bを示している。
【0068】
図10に示すように、押圧本体部73cがタンク端部15bの外面に接すると、作業者は、変位部74の変位作業を停止する。作業者は、挿通部材80を支持部71に接するまで回転させる。挿通部材80が支持部71に接することで、変位部74の変位が規制される。これにより、押圧本体部73cを介して第2固定機構54bからタンク端部15bに押圧力が付与された状態が維持される。これにより、第2固定機構54bによって、燃料タンク15は、タンク本体部15aの軸方向Xに固定される。
【0069】
上記の調整作業においては、第2固定機構54bからタンク端部15bに適切に押圧力が付与されているか否かを確認する確認作業を行ってもよい。この確認作業においては、例えば、押圧本体部73cとタンク端部15bの外面との間に作業者が工具の挿入を試みることにより、押圧本体部73cとタンク端部15bの外面との間に隙間が生じていないことを確認する。この確認作業によって、押圧本体部73cとタンク端部15bの外面との間に隙間が生じていると判断される場合は、上記の変位部74の変位による第2固定機構54bの押圧力の調整作業を再び行ってもよい。
【0070】
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)固定機構54は、タンク本体部15aよりも上方に位置する第1固定機構54aと、タンク端部15bよりも上方に位置する第2固定機構54bと、を有する。第1固定機構54aは、タンク本体部15aへの押圧力が調整されることにより、鉛直方向Zにおいて燃料タンク15を固定する。第2固定機構54bは、タンク端部15bへの押圧力が調整されることにより、タンク本体部15aの軸方向Xにおいて燃料タンク15を固定する。そのため、フレーム20に燃料タンク15を搭載した後、燃料タンク15よりも上方にスペースのある状態で、固定機構54の調整作業ができる。固定機構54が燃料タンク15の下部を固定する場合と比較して、固定機構54の調整作業を行う際の視認性が向上するため、固定機構54に係る作業性を向上させることができる。
【0071】
(2)フレーム20は、燃料電池14及び燃料タンク15が搭載される第1フレーム21と、第1フレーム21に取り付けられる第2フレーム22と、を有する。第2フレーム22は、燃料タンク15よりも上方に位置し、燃料タンク15に沿ってタンク本体部15aの軸方向Xに延びている。第1固定機構54a及び第2固定機構54bは、第2フレーム22に取り付けられている。そのため、第2フレーム22が第1フレーム21に取り付けられることで、第1固定機構54a及び第2固定機構54bを燃料タンク15よりも上方の位置に配置できる。したがって、固定機構54に係る作業性をさらに向上させることができる。
【0072】
(3)第2フレーム22を上方からみて、第2フレーム22は、タンク本体部15aの軸線L1に沿って延びるフレーム本体部51と、タンク端部15bの軸線L2に沿って延びるフレーム端部52と、を有する。第1固定機構54aは、フレーム本体部51に取り付けられている。第2固定機構54bは、フレーム端部52に取り付けられている。第1固定機構54aを上方から見ると、第1固定機構54aは、タンク本体部15aのうちタンク本体部15aの軸線L1と重なる部分を押圧している。第2固定機構54bを上方から見ると、第2固定機構54bは、タンク端部15bのうちタンク端部15bの軸線L2と重なる部分を押圧している。したがって、第1固定機構54aがタンク本体部15aのうち軸線L1からずれた部分を押圧する場合や、第2固定機構54bがタンク端部15bのうち軸線L2からずれた部分を押圧する場合よりも、固定機構54によって燃料タンク15をより適当に固定できる。
【0073】
(4)第2固定機構54bは、押圧部73と、変位部74と、ガイド部75と、を有する押圧部73は、タンク端部15bを押圧する。変位部74は、第2フレーム22からタンク端部15bに近づく押圧方向Dに押圧部73を変位させる。ガイド部75は、押圧方向Dに延びる長孔75hが形成されている。第2フレーム22は、第2フレーム22に対して変位可能に変位部74を支持する支持部71と、支持部71が固定されるとともに長孔75hに挿入された締結部材Bが固定される固定部72と、を有する。ガイド部75は、長孔75hにおける締結部材Bの挿入位置が変位しつつ、押圧部73と共に変位可能である。そのため、変位部74によって押圧部73を押圧方向Dに変位させる作業を行うことで、第2固定機構54bからタンク端部15bに作用する押圧力を調整できる。したがって、固定機構54に係る作業性をさらに向上させることができる。
【0074】
(5)燃料電池モジュール10は、直交方向Yにおけるタンク本体部15aよりも外側からタンク本体部15aを支持する支持機構36を有する。支持機構36は、第1フレーム21に取り付けられるとともに、タンク本体部15aよりも下方に位置する。そのため、第1フレーム21への燃料タンク15の搭載時に支持機構36によってタンク本体部15aが支持されるため、燃料タンク15の直交方向Yへの位置ずれを抑制できる。また、燃料タンク15の自重が支持機構36に作用することにより、支持機構36によるタンク本体部15aの支持がなされるため、第1フレーム21への燃料タンク15の搭載後に支持機構36の調整作業を行わなくてもよい。したがって、支持機構36は、周囲のスペースが小さい場所に取り付け可能であるため、設計自由度を向上させることができる。
【0075】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0076】
○ 支持機構36は、直交方向におけるタンク端部15bよりも外側からタンク端部15bを支持するものであってもよい。支持機構36は、第2固定機構54bのように、燃料タンク15への押圧力が調整可能であってもよい。
【0077】
○ 燃料タンク15の直交方向への位置ずれが生じにくい場合では、燃料電池モジュール10から支持機構36を省略してもよい。
○ 第2固定機構54bは、押圧部73と、変位部74と、ガイド部75と、を有するものに限らない。要するに、第2固定機構54bは、タンク端部15bへの押圧力が調整されることにより、タンク本体部15aの軸方向Xにおいて燃料タンク15を固定するものであれば、その構成は自由に変更可能である。なお、この変更例においては、第2フレーム22から支持部71及び固定部72を省略してもよい。
【0078】
○ 第1固定機構54aを上方から見て、第1固定機構54aは、タンク本体部15aのうちタンク本体部15aの軸線L1からずれた部分を押圧するものであってもよい。第2固定機構54bを上方から見て、第2固定機構54bは、タンク端部15bのうちタンク端部15bの軸線L2からずれた部分を押圧するものであってもよい。この変更例においては、第2フレーム22を上方からみて、フレーム本体部51は、タンク本体部15aの軸線L1からずれた位置にて延びるものであってもよい。第2フレーム22を上方からみて、フレーム端部52は、タンク端部15bの軸線L2からずれた位置にて延びるものであってもよい。
【0079】
○ 第3フレーム23に搭載される部材は、キャパシタ17以外の部材であってもよい。
○ 第2フレーム22に搭載される部材は、DC/DCコンバータ16以外の部材であってもよい。
【0080】
○ 燃料電池モジュール10から第3フレーム23を省略してもよい。
○ 第1固定機構54a及び第2固定機構54bの少なくとも一方は、第2フレーム22以外の部材に取り付けられてもよい。
【0081】
○ 前フレーム部21aと後フレーム部21bとは、別部材ではなく、1つの部材であってもよい。この場合の第1フレーム21は全体で一部材であってもよい。
○ 燃料電池モジュール10は、乗用車、船舶、鉄道などに搭載されていてもよい。
【0082】
○ 燃料電池モジュール10は、定置式の発電装置として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0083】
B…締結部材、D…押圧方向、L1…(タンク本体部の)軸線、L2…(タンク端部の)軸線、X…軸方向、Y…直交方向、Z…鉛直方向、10…燃料電池モジュール、14…燃料電池、15…燃料タンク、15a…タンク本体部、15b…タンク端部、20…フレーム、21…第1フレーム、22…第2フレーム、36…支持機構、51…フレーム本体部、52…フレーム端部、54…固定機構、54a…第1固定機構、54b…第2固定機構、71…支持部、72…固定部、73…押圧部、74…変位部、75…ガイド部、75h…長孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10