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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017448
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65B31/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120085
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】田代 秀行
【テーマコード(参考)】
3E053
【Fターム(参考)】
3E053AA06
3E053BA01
3E053CA01
3E053CB02
3E053CB04
3E053FA01
3E053GA19
3E053JA04
(57)【要約】
【課題】包装袋の開口から液体が溢れ出たとしても、溢れ出た液体が昇降シリンダ内に流入しないようにする。
【解決手段】包装機10は、チャンバベース21に上下動可能に設けられて包装袋の開口周縁部を載置可能な下側ブロック31と、チャンバカバー22の下面にて下側ブロック31の上側に設けられた上側ブロック32と、下側ブロック31に設けられて包装袋の開口周縁部を溶着させるヒータ33と、下側ブロック31を昇降させる昇降機構34とを備え、昇降機構34は、下側ブロック31を上下動可能に支持する支持シャフト35と、支持シャフト35を上方に突出させるための挿通孔38eを有して支持シャフト35を上下動させる昇降シリンダ36とを有し、昇降シリンダ36の上部には挿通孔38eの外周部に上方に突出する環状突部38fを形成した。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋を載置可能とするチャンバベースと、
前記チャンバベースの上側に設けられたチャンバカバーと、
前記チャンバベースに上下動可能に設けられて包装袋の開口周縁部を載置可能な下側ブロックと、
前記チャンバカバーの下面にて前記下側ブロックの上側に設けられた上側ブロックと、
前記下側ブロックまたは前記上側ブロックに設けられて前記包装袋の開口周縁部を溶着させるヒータと、
前記下側ブロックを前記上側ブロックから離間した位置と前記上側ブロックに押圧させる位置との間で昇降させる昇降機構とを備え、
前記昇降機構は、前記下側ブロックを上下動可能に支持する支持シャフトと、前記支持シャフトを上方に突出させるための挿通孔を有して前記支持シャフトを上下動させる昇降シリンダとを有した包装機であって、
前記昇降シリンダの上部には前記挿通孔の外周部に上方に突出する環状突部が形成されたことを特徴とする包装機。
【請求項2】
包装袋を載置可能とするチャンバベースと、
前記チャンバベースの上側に設けられたチャンバカバーと、
前記チャンバベースに上下動可能に設けられて包装袋の開口周縁部を載置可能な下側ブロックと、
前記チャンバカバーの下面にて前記下側ブロックの上側に設けられた上側ブロックと、
前記下側ブロックまたは前記上側ブロックに設けられて前記包装袋の開口周縁部を溶着させるヒータと、
前記下側ブロックを前記上側ブロックから離間した位置と前記上側ブロックに押圧させる位置との間で昇降させる昇降機構とを備え、
前記昇降機構は、前記下側ブロックを上下動可能に支持する支持シャフトと、前記支持シャフトを上方に突出させるための挿通孔を有して前記支持シャフトを上下動させる昇降シリンダとを有した包装機であって、
前記支持シャフトには昇降シリンダの上側に環状のキャップ体を設けたことを特徴とする包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋の開口周縁部を上側ブロックと昇降機構によって上昇する下側ブロックとによって挟持した状態で封止する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には食材、調理物等の被包装物を入れた包装袋を真空状態で包装する真空包装機が開示されている。この真空包装機は、チャンバベースの上側をチャンバカバーにより開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されるチャンバと、チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプと、チャンバベースに上下動可能に設けられて包装袋の開口周縁部を載置可能とする下側ブロックと、チャンバカバーの下面にて下側ブロックの上側に設けられた上側ブロックと、下側ブロックに設けられて包装袋の開口周縁部を溶着させて封止するヒータと、下側ブロックを上側ブロックから離間した位置と上側ブロックに押圧させる位置との間で昇降させる昇降機構とを備えている。
【0003】
昇降機構は、下側ブロックを上下動可能に支持する支持シャフトと、支持シャフトを上下動させる昇降シリンダと、昇降シリンダ内にて支持シャフトに固定された鍔部と、昇降シリンダ内にて支持シャフトを下方に付勢するばね部材とを備えている。支持シャフトは昇降シリンダの上部に形成された挿通孔を通って上方に突出しており、下側ブロックは支持シャフトの上端部に係止されて支持されている。また、昇降シリンダ内は鍔部によって上側空間と下側空間とに仕切られており、昇降シリンダの上側空間にはチャンバを負圧化させる真空ポンプが接続されている。真空ポンプにより昇降シリンダの上側空間を吸引すると、支持シャフトはばね部材の付勢力に抗して上昇し、下側ブロックは上側ブロックに押しつけられるようになる。
【0004】
この真空包装機の制御装置のメモリには、常温の食材や調理物を入れた包装袋を真空包装する常温用の包装プログラムと、シチューやスープ等の温かい調理物を入れた包装袋を真空包装する、所謂、ホットパック用の包装プログラムが記憶されている。常温の被包装物を入れた包装袋を真空包装するときには、常温用の包装プログラムを選択し、包装袋の開口周縁部を下側ブロックの上側に載るように包装袋をチャンバベースに寝かせて置く。チャンバベースの上面開口をチャンバカバーによって閉じると、制御装置は常温用の包装プログラムを実行する。常温用の包装プログラムの実行によって、チャンバ内は真空ポンプによって脱気され、チャンバ内の脱気後に下側ブロックが昇降機構により上側ブロックに押圧するように上昇し、包装袋の開口周縁部は下側及び上側ブロックにより挟持された状態でヒータの加熱によって溶着されて封止され、包装袋は脱気された状態で密封されることにより真空包装される。
【0005】
温かい調理物よりなる被包装物を入れた包装袋を真空包装するときには、ホットパック用の包装プログラムを選択し、包装袋の開口周縁部を下側ブロックの上側に載るように包装袋をチャンバベースに寝かせて置く。チャンバベースの上面開口をチャンバカバーによって閉じると、制御装置はホットパック用の包装プログラムを実行する。ホットパック用の包装プログラムの実行によって、チャンバ内は真空ポンプによって脱気されるとともに下側ブロックが昇降機構により上側ブロックに押圧するように上昇し、包装袋はチャンバが減圧されたことによって内部の調理物に含まれる水分が気化して膨らむ。チャンバ内の脱気を中断させた後で上昇した下側ブロックを昇降機構により下降させると、包装袋は内部の空気がチャンバ内に放出されて膨らみがなくなる。チャンバ内を脱気する過程で包装袋内で気化した水分を含む空気を繰り返し放出させ、包装袋が膨らむタイミングが遅くなると、包装袋は開口周縁部が封止装置の下側及び上側ブロックにより挟持された状態でヒータの加熱によって溶着され、包装袋は脱気された状態で密封されることにより真空包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-095175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の真空包装機においては、ホットパック用の包装プログラムを実行して包装袋内から水分を含む空気を放出させるときに、包装袋内のシチューやスープ等の被包装物に含まれる液体が沸騰し、沸騰した液体が包装袋の開口から溢れ出ることがある。包装袋の開口から溢れ出た液体は下側ブロックの下側に配置される昇降シリンダに落下し、落下した液体は支持シャフトを挿通させる挿通孔から昇降シリンダ内に流入するおそれがある。シチューやスープ等の液体に含まれる成分が昇降シリンダ内で固化すると、支持シャフトが昇降シリンダによって上下動しなくなるおそれがある。本発明は、包装袋の開口から液体がこぼれ落ちたとしても、昇降シリンダ内に液体が流入しにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、包装袋を載置可能とするチャンバベースと、チャンバベースの上側に設けられたチャンバカバーと、チャンバベースに上下動可能に設けられて包装袋の開口周縁部を載置可能な下側ブロックと、チャンバカバーの下面にて下側ブロックの上側に設けられた上側ブロックと、下側ブロックまたは上側ブロックに設けられて包装袋の開口周縁部を溶着させるヒータと、下側ブロックを上側ブロックから離間した位置と上側ブロックに押圧させる位置との間で昇降させる昇降機構とを備え、昇降機構は、下側ブロックを上下動可能に支持する支持シャフトと、支持シャフトを上方に突出させるための挿通孔を有して支持シャフトを上下動させる昇降シリンダとを有した包装機であって、昇降シリンダの上部には挿通孔の外周部に上方に突出する環状突部が形成されたことを特徴とする包装機を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した包装機においては、昇降シリンダの上部には支持シャフトが上下動可能に挿通される挿通孔の外周部に上方に突出する環状突部が形成されているので、包装袋の開口から溢れ出た液体が昇降シリンダの上側にこぼれ落ちたとしても、こぼれ落ちた液体は環状突部によって挿通孔から昇降シリンダ内に流入しにくくなる。これにより、包装袋から溢れ出た液体に含まれる成分が昇降シリンダ内に流入することに起因した不具合の一例として、包装袋から溢れ出た液体に含まれる成分が昇降シリンダ内で固化することで、支持シャフトが上下動しなくなる不具合の発生を防ぐことができる。
【0010】
本発明は、他の実施形態において、包装袋を載置可能とするチャンバベースと、チャンバベースの上側に設けられたチャンバカバーと、チャンバベースに上下動可能に設けられて包装袋の開口周縁部を載置可能な下側ブロックと、チャンバカバーの下面にて下側ブロックの上側に設けられた上側ブロックと、下側ブロックまたは上側ブロックに設けられて包装袋の開口周縁部を溶着させるヒータと、下側ブロックを上側ブロックから離間した位置と上側ブロックに押圧させる位置との間で昇降させる昇降機構とを備え、昇降機構は、下側ブロックを上下動可能に支持する支持シャフトと、支持シャフトを上方に突出させるための挿通孔を有して支持シャフトを上下動させる昇降シリンダとを有した包装機であって、支持シャフトには昇降シリンダの上側に環状のキャップ体を設けたことを特徴とする包装機を提供するものである。
【0011】
上記のように構成した包装機においては、支持シャフトには昇降シリンダの上側に環状のキャップ体を設けているので、包装袋の開口から溢れ出た液体が支持シャフトを伝って昇降シリンダ内に流入するおそれがあるが、支持シャフトを伝う液体はキャップ体によって昇降シリンダ内に流入しにくくなる。これにより、包装袋から溢れ出た液体に含まれる成分が昇降シリンダ内に流入することに起因した不具合の一例として、包装袋から溢れ出た液体に含まれる成分が昇降シリンダ内で固化することで、支持シャフトが上下動しなくなる不具合の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の真空包装機の斜視図である。
図2図1のチャンバカバーを開放したときの斜視図である。
図3】A-A断面図である。
図4】真空包装機の概略図である。
図5図3の前部の一部拡大断面図である。
図6】チャンバカバーを開放した状態で上側ブロックを上側に移動させたときの斜視図である
図7図6の前部の一部拡大斜視図である。
図8】下側ブロックを昇降機構により上側に移動させたときの図5の一部拡大断面図である。
図9】制御装置のブロック図である。
図10】常温用の包装プログラムを示すフローチャートである。
図11】ホットパック用の包装プログラムを示すフローチャートである。
図12】ホットパック用の包装プログラムの袋内排気制御を示すフローチャートである。
図13】支持シャフトにキャップ体を設けた他の実施形態の図8に相当する一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の包装機の一実施形態を真空包装機の実施形態により添付図面を参照して説明する。この実施形態の真空包装機10は、包装袋の開口周縁部を下側ブロック31と上側ブロック32との間で挟持した状態で、包装袋の開口周縁部を下側ブロック31に設けたヒータ33により熱溶着させて封止するものである。特に、この真空包装機10は、チャンバ20内を真空ポンプ41にて脱気して負圧化させ、チャンバ20内に収容した包装袋内を脱気した状態にて包装袋の開口周縁部を封止することで包装袋を真空包装するようにしたものである。
【0014】
図1図4に示したように、真空包装機10は、略直方体形状をしたケーシング11の上部に設けられたチャンバ20と、チャンバ20内に収容した包装袋の開口周縁部を密封する封止装置30と、ケーシング11内の下部に設けられてチャンバ20内を脱気して負圧化させる真空ポンプ41と、チャンバ20内に収容した包装袋の膨らみを検知する膨らみ検知部50とを備えている。
【0015】
図1図3に示したように、チャンバ20は、ケーシング11の上部に設けたチャンバベース21と、チャンバベース21の上面開口を開閉自在に塞ぐチャンバカバー22とを備え、チャンバベース21とチャンバカバー22との間に包装袋を収容する密閉空間Sを形成したものである。図2及び図3に示したように、チャンバベース21は、ステンレス等の板金部材をプレス加工によって上面が開口した浅い箱形に形成したものである。チャンバベース21の前部には他の部分より浅く形成された段部21aが形成されており、段部21aの上側には後述する封止装置30を構成する下側ブロック31が上下に移動可能に設けられている。
【0016】
図1及び図2に示したように、チャンバカバー22は、チャンバベース21の上面開口を開閉自在に塞ぐものであり、ケーシング11の後部に水平軸線回りに回動可能に軸支されている。図1に示したように、チャンバカバー22は水平位置にあるときにはチャンバベース21の上面開口を塞ぐ閉塞位置となっており、図2に示したように、チャンバカバー22の前部を上側に回動させると、チャンバカバー22は傾斜位置にあってチャンバベース21の上面開口を開放する開放位置となる。
【0017】
図2及び図3に示したように、チャンバカバー22の下面の周縁部にはシール部材としてゴム製のパッキン23が設けられており、パッキン23はチャンバカバー22を閉じて閉塞位置としたときにチャンバベース21とチャンバカバー22との間を気密にシールする。図4に示したように、ケーシング11の後部にはガススプリング(付勢部材)12が設けられており、ガススプリング12は、チャンバカバー22の前部を上方に付勢して、チャンバカバー22を開放位置に付勢している。図1及び図2に示したように、ケーシング11の右側面の前端部にはチャンバカバー22の上面前端部に係止可能なストッパ13が水平軸線回りに回動可能に設けられており、ストッパ13はチャンバカバー22の上面前端部に係止することでチャンバカバー22を閉止位置に留めている。
【0018】
図4に示したように、ケーシング11の後部にはチャンバカバー22の開閉状態を検知する開閉検知器14が設けられており、チャンバカバー22の後部には開閉検知器14によりチャンバカバー22が閉塞位置であることを検知させる磁石15が設けられている。開閉検知器14は、リードスイッチ等の近接スイッチを用いたものであり、チャンバカバー22の後部に設けた磁石15が近接または離間することによりチャンバカバー22が閉塞位置または開放位置にあることを検知する。チャンバカバー22がチャンバベース21の上面開口を塞ぐ閉塞位置にあるときには、磁石15は開閉検知器14に近接して、開閉検知器14は磁石15が近接することによってオン信号を出力して閉止位置にあることを検知する。チャンバカバー22がチャンバベース21の上面開口を開放する開放位置にあるときには、磁石15は開閉検知器14から離間し、開閉検知器14は磁石15が離間することによってオフ信号を出力して開放位置にあることを検知する。
【0019】
図2図4に示したように、封止装置30は、チャンバ20内に収容した包装袋の開口周縁部を熱溶着によって封止することによって包装袋を密封するものである。封止装置30は、包装袋の開口周縁部を挟持する下側及び上側ブロック31,32を備えている。下側ブロック31はアルミニウム製の角パイプ部材を加工したものであり、チャンバベース21の段部21aの上側に着脱可能かつ上下に移動可能に支持されている。下側ブロック31の上面にはニクロム材よりなる帯板形状のヒータ33が設けられており、ヒータ33は熱溶着可能な包装袋を加熱して包装袋の開口周縁部を封止するものである。上側ブロック32は、弾性変形可能なシリコーン製のブロック体を用いたものであり、チャンバカバー22の下面前部にて下側ブロック31の上側に対向する位置に取り付けられている。
【0020】
図3及び図4に示したように、チャンバベース21の段部21aの下側には下側ブロック31を上下に昇降させる左右一対の昇降機構34が設けられている。各昇降機構34は、下側ブロック31を上側ブロック32から離間した位置と上側ブロック32に押圧させる位置との間で昇降させるものであり、下側ブロック31を上下に移動可能に支持する支持シャフト35と、支持シャフト35を上下動させる昇降シリンダ36とを備えている。昇降シリンダ36は、支持シャフト35が挿通されて上面が開口した略筒形(筒形)のシリンダ本体37と、シリンダ本体37をチャンバベース21の段部21aに固定するためのフランジ付きナット38とを備えている。
【0021】
図5に示したように、シリンダ本体37は略筒形の本体部37aの上部に本体部37aよりも径の細い細径部37bを備え、細径部37bの外周部にはフランジ付きナット38を締結させるための雄ねじ部37cが形成されている。雄ねじ部37cには昇降シリンダ36の上部を構成するフランジ付きナット38が螺着されており、シリンダ本体37はこのフランジ付きナット38によってチャンバベース21の段部21aに固定されている。
【0022】
図5図7に示したように、フランジ付きナット38は、略円筒形状をした円筒部38aと、円筒部38aの内周部に形成された雌ねじ部38bと、円筒部38aの外側に突出して形成された環状のフランジ部38cとを備えている。フランジ付きナット38の円筒部38aの内側にはシリンダ本体37の細径部37bが挿通され、円筒部38aの内周部の雌ねじ部38bに細径部37bの外周部の雄ねじ部37cが螺着されている。
【0023】
図5図7及び図8に示したように、円筒部38aは上部に上壁部38dを有しており、上壁部38dには支持シャフト35を上側に突出するように挿通させるための挿通孔38eが形成されている。円筒部38aの上壁部38dには挿通孔38eの外周部に上方に突出する環状突部38fが形成されており、環状突部38fは挿通孔38eから昇降シリンダ36内に水等の液体が流入するのを防ぐ機能を有している。
【0024】
昇降シリンダ36のシリンダ本体37はチャンバベース21の段部21aの下側に配置され、フランジ付きナット38のフランジ部38cが段部21aの上面に係止した状態でフランジ付きナット38の円筒部38aがチャンバベース21の段部21aに形成された貫通孔21bに挿通され、フランジ付きナット38の円筒部38aの内周部の雌ねじ部38bにシリンダ本体37の雄ねじ部37cが螺着されることで、昇降シリンダ36はチャンバベース21の段部21aに固定されている。
【0025】
図5に示したように、支持シャフト35は、昇降シリンダ36のシリンダ本体37内に上下に移動可能に挿通され、フランジ付きナット38の挿通孔38eから上側に突出している。図4及び図5に示したように、支持シャフト35の軸方向の中間部には昇降シリンダ36内で鍔部39が設けられており、鍔部39は昇降シリンダ36内を上側空間36aと下側空間36bとに気密に仕切っている。昇降シリンダ36の上側空間36aには支持シャフト35の外周にばね部材40が介装されており、ばね部材40は鍔部39を介して支持シャフト35を下側に付勢している。図5に示したように、支持シャフト35がばね部材40に付勢された状態では、下側ブロック31は上側ブロック32と離間した下側位置にある。図8に示したように、上側空間36aが後述する真空ポンプ41により負圧吸引されると、支持シャフト35がばね部材40の付勢力に抗して上側に移動し、下側ブロック31は上側ブロック32に押し付けられた上側位置に移動する。
【0026】
図4に示したように、ケーシング11内の下部には真空ポンプ41が設けられている。ケーシング11内には真空ポンプ41とチャンバ20とを接続する吸引管(吸引経路)42が設けられており、吸引管42には真空弁43が介装されている。チャンバ20内の空気は真空弁43の開放によって真空ポンプ41に吸引可能となる。吸引管42にはチャンバ20と真空弁43との間に外気を導入する外気導入管44が接続されており、外気導入管44は第1管部44aと、第1管部44aから分岐した第2管部44cとを備えている。第1及び第2管部44a,44cにはこれらを開閉する第1及び第2外気導入弁44b,44dが介装されている。第1外気導入弁44bは第2外気導入弁44dより弁口径が大きく形成されており、第1外気導入弁44bを開放したときにはチャンバ20内に速く外気が導入され、第2外気導入弁44dを開放したときには、第1外気導入弁44bを開放したときよりもチャンバ20内にゆっくりと外気が導入される。
【0027】
吸引管42には外気導入管44の第1管部44aを介して圧力検出管45が接続されており、圧力検出管45にはチャンバ20の圧力を検出する真空センサ46が設けられている。チャンバ20内を真空ポンプ41により脱気していないときには、真空センサ46により検出されるチャンバ20内の圧力は大気圧と同じ100kPa(abs)であり、このときの真空度は0%である。チャンバ20内を真空ポンプ41により脱気して負圧化させ、真空センサ46により検出されるチャンバ内の圧力が0kPa(abs)であるときには、真空度は100%である。なお、真空センサ46によって直接検出されるのはチャンバ20内の圧力であるが、以後の説明では、真空センサ46によって検出された圧力をチャンバ20内の真空度Pに置き換えて説明をする。
【0028】
吸引管42には真空ポンプ41と真空弁43との間からシリンダ管47が分岐しており、シリンダ管47は昇降シリンダ36の上側空間36aに接続されている。シリンダ管47には三方弁48が介装されており、三方弁48の2つのポートはシリンダ管47の真空ポンプ41側と昇降シリンダ36側に接続され、三方弁48の残る1つのポートは外気側に開放されている。三方弁48の真空ポンプ41側と昇降シリンダ36側を連通状態で真空ポンプ41を作動させると、昇降シリンダ36の上側空間36aは負圧化され、支持シャフト35はばね部材40の付勢力に抗して上昇する。三方弁48の昇降シリンダ36側と外気側とを連通状態にすると、昇降シリンダ36の上側空間36aは負圧化されないようになり、支持シャフト35はばね部材40の付勢力によって下降する。
【0029】
図2及び図4に示したように、チャンバ20には収容した包装袋の膨らみを検知する膨らみ検知部50が設けられている。膨らみ検知部50はチャンバカバー22の下面前部に水平軸線回りに回動可能に支持された膨らみ検知板51と、膨らみ検知板51の左側部の後端に固定した磁石52と、磁石52を介して膨らみ検知板51の位置を検出するリードスイッチ等の近接スイッチよりなる膨らみ検知器53とを備えている。
【0030】
図2及び図4に示したように、膨らみ検知板51は、下側及び上側ブロック31,32と同様に左右方向に延びる帯板形状をしている。膨らみ検知板51は、チャンバカバー22の前部下面の上側ブロック32の直ぐ後側に配置され、後側が自由端となって上下動するように前部が水平軸線回りに回動可能に支持されている。膨らみ検知板51の左側部の後端には磁石52が固定されており、磁石52は膨らみ検知板51の回動によって上下動する。チャンバ20内に収容した包装袋が膨らんでいないときには、膨らみ検知板51は斜め下方に傾斜しており、膨らみ検知板51の後端の磁石52はチャンバ20内の下部に位置(下位置)する(図4の実線にて示した)。チャンバ20内に収容した包装袋が膨らんだときには、膨らみ検知板51は膨らんだ包装袋によって持ち上げられて回動し、膨らみ検知板51の後端の磁石52はチャンバ20内の上部に位置(上位置)する(図4の二点鎖線で示した)。
【0031】
膨らみ検知器53は、包装袋が膨らんだときに上側に回動する膨らみ検知板51の後端の磁石52の位置を検知することで包装袋の膨らみを検知するものである。膨らみ検知器53はチャンバベース21の外側にて上位置となった膨らみ検知板51の磁石52に対向する位置に配置されている。膨らみ検知板51の磁石52が包装袋が膨らんでいないことで下位置にあるときには、膨らみ検知器53は下位置にある磁石52が離間していることでオフ信号を出力する。膨らみ検知板51の磁石52が包装袋が膨らむことで上位置になると、膨らみ検知器53は上位置にある磁石52が近接することでオン信号を出力する。なお、膨らみ検知器53を上下に複数設け、複数の膨らみ検知器を用いて包装袋の膨らみの程度を分けて検知できるようにしてもよい。
【0032】
真空包装機10は制御装置60を備えており、図9に示したように、この制御装置60は開閉検知器14と、ヒータ33と、真空ポンプ41と、真空弁43と、第1及び第2外気導入弁44b,44dと、真空センサ46と、三方弁48と、膨らみ検知器53と、ケーシング11の前面に設けた操作パネル61とに接続されている。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0033】
制御装置60のROMには、包装袋を脱気した状態で密封して真空包装する包装プログラムが記憶されている。包装プログラムは、常温または常温以下の温度の食材または調理物の包装に適した常温用の包装プログラムと、常温より温度の高い食材または調理物の包装に適したホットパック用の包装プログラムを備えている。常温用の包装プログラムとホットパック用の包装プログラムの各々は真空度等の制御条件の異なる複数の包装プログラムが設定されており、真空度等の制御条件を調理物等の被包装物に応じて変更可能としている。
【0034】
常温用の包装プログラムは、真空ポンプ41を作動させることによってチャンバ20内を負圧化させ、チャンバ20内が設定真空度Px以上(設定圧力以下)となると、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止するように制御して包装袋を真空包装するものである。ホットパック用の包装プログラムは、真空ポンプ41を作動させることによってチャンバ20内を負圧化させ、膨らみ検知器53による包装袋の膨らみを検知に基づいて袋内排気制御を実行した後で、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止するように制御して包装袋を真空包装するものである。
【0035】
常温用の包装プログラムを図10に示したフローチャートにより説明する。操作パネル61により常温用の包装プログラムを選択した状態では、図10に示したように、制御装置60は、ステップ101において、開閉検知器14からオン信号が入力されたか否かを判定している。チャンバカバー22が閉じられるまでは、開閉検知器14からオン信号が入力されないので、制御装置60はステップ101にてNOと判定してこのプログラムを終了する。チャンバカバー22が閉じられるまで、制御装置60がステップ101の判定処理でNOの判定を繰り返し実行しており、包装袋の開口周縁部を下側ブロック31の上側に載るように包装袋をチャンバベース21に寝かせて置いた後で、チャンバカバー22が閉じられて磁石15が開閉検知器14に接近すると、開閉検知器14から制御装置60にオン信号が入力され、制御装置60はステップ101にてYESと判定してステップ102に進める。
【0036】
制御装置60は、ステップ102にて、真空弁43を開放させ、第1及び第2外気導入弁44b,44dを閉止させるとともに真空ポンプ41を作動させると、チャンバカバー22がガススプリング12の付勢力に抗してチャンバベース21に負圧吸引され、チャンバ20内は真空ポンプ41によって脱気されて負圧化していく。制御装置60は、ステップ103にて、真空センサ46によって検出されるチャンバ20内の真空度Pが予め設定された真空度Px以上(所定の設定圧力以下)となったか否かを繰り返し判定する。チャンバ20内の圧力が徐々に低下し、真空センサ46によって検出されるチャンバ20内の真空度Pが予め設定された真空度Px以上(所定の設定圧力以下)となると、制御装置60は、ステップ103にてYESと判定してステップ104に進める。制御装置60は、ステップ104にて、真空弁43を閉止させてチャンバ20内の脱気を中止してステップ105に進める
【0037】
制御装置60は、ステップ105にて、三方弁48の昇降シリンダ36側と真空ポンプ41側とを連通させる(外気側を閉止状態とする)と、昇降シリンダ36の上側空間36aは真空ポンプ41によって負圧化され、支持シャフト35はばね部材40の付勢力に抗して上昇し、下側ブロック31は上昇する支持シャフト35によって上昇する。下側ブロック31は上昇する支持シャフト35によって上側ブロック32に押しつけられ、包装袋の開口周縁部は下側ブロック31と上側ブロック32とによって挟持される。制御装置60は、ステップ106において、ヒータ33に通電させて発熱させると、包装袋の開口周縁部は熱溶着によって閉じられて、包装袋が脱気された状態(真空状態)で密封される。
【0038】
制御装置60は、ステップ107にて、真空ポンプ41の作動を停止させるとともに第1または第2外気導入弁44b,44dを開放し、ステップ108にて、三方弁48の昇降シリンダ36側と外気側とを連通させる(真空ポンプ41側を閉止状態とする)。チャンバ20内は第1または第2外気導入弁44b,44dから導入される外気によって大気圧に戻され、チャンバカバー22は負圧吸引されずにガススプリング12の付勢力によって開放される。また、三方弁48の昇降シリンダ36側と外気側とを開放させたことで、昇降シリンダ36の上側空間36aに外気が導入されて負圧状態が解除され、支持シャフト35はばね部材40の付勢力によって下降し、下側ブロック31は上側ブロック32から離間し、包装袋の開口周縁部は下側及び上側ブロック31,32から挟持された状態が解除される。このようにして、包装袋は脱気された状態(真空状態)で密封される。
【0039】
次に、ホットパック用の包装プログラムを図11及び図12に示したフローチャートにより説明する。操作パネル61によりホットパック用の包装プログラムを選択した状態では、図11に示したように、制御装置60は、ステップ201において、開閉検知器14からオン信号が入力されたか否かを判定している。チャンバカバー22が閉じられるまでは、開閉検知器14からオン信号が入力されないので、制御装置60はステップ201にてNOと判定してこのプログラムを終了する。チャンバカバー22が閉じられるまで、制御装置60がステップ201の判定処理でNOの判定を繰り返し実行しており、包装袋の開口周縁部を下側ブロック31の上側に載るように包装袋をチャンバベース21に寝かせて置いた後で、チャンバカバー22が閉じられて磁石15が開閉検知器14に接近すると、開閉検知器14から制御装置60にオン信号が入力され、制御装置60はステップ201にてYESと判定してステップ202(ステップ210)以後の袋内排気制御に進める。
【0040】
図12に示したように、制御装置60は、袋内排気制御としてステップ211にて、真空ポンプ41を作動させ、真空弁43を開放させ、第1及び第2外気導入弁44b,44dを閉止させ、これらと同時に三方弁48を昇降シリンダ36側と真空ポンプ41側とを連通状態(外気側を閉止状態)として下側ブロック31を上昇させる。チャンバ20内は真空ポンプ41によって脱気されて負圧化され、昇降シリンダ36の上側空間36aも負圧化されて支持シャフト35が上昇し、下側ブロック31は上昇して上側ブロック32に押しつけられ、包装袋の開口周縁部は下側ブロック31と上側ブロック32とにより挟持されて包装袋の開口部が一時的に閉じられる。
【0041】
ステップ211の処理によって、チャンバ20内の包装袋の開口部を一時的に閉じた状態で、チャンバ20内を脱気して負圧化させると、包装袋は内部の水分が気化することによって膨らむようになる。制御装置60は、ステップ212にて、膨らみ検知器53からのオン信号の入力の有無に基づいて、包装袋が膨らんだか否かを判定する。包装袋が膨らむまでは、制御装置60はステップ212の判定処理でNOの判定を繰り返し実行し、包装袋がチャンバ20内の負圧化によって膨らみ検知板51を上位置まで押し上げるまで膨らみ、膨らみ検知器53から制御装置60にオン信号の入力があると、制御装置60はステップ212にてYESと判定してステップ213に進める。
【0042】
制御装置60は、ステップ213にて、真空弁43を閉止してチャンバ20内の脱気を一時的に中断するとともに、真空センサ46により検出された真空度PをRAMに記憶させる。制御装置60は、ステップ214にて、三方弁48を昇降シリンダ36側と外気側を連通状態(真空ポンプ41側を閉止状態)とすることで、下側ブロック31を下降させる。下側ブロック31を下降させることで、包装袋の開口部が開放され、包装袋内に充満している気体がチャンバ20内に排出される。
【0043】
制御装置60は、ステップ215にて、真空弁43を所定の追加時間だけ開放させ、包装袋の開口部から内部の気体をさらに排出させ、ステップ216にて、5秒間待機する。次に、制御装置60は、ステップ217にて、第2外気導入弁44dを開放してチャンバ20内に一時的に吸気するようにする。ステップ217の処理は、包装袋内にて被包装物が沸騰した状態であると、以後の処理にて包装袋の膨らみを検知することができなくなるのを防ぐためのものであり、チャンバ20内に外気を導入して真空度を低下させるものである。制御装置60は、ステップ217にて、ステップ213にて検出した真空度Pより低い真空度として、真空度Pから10%(10%は一例であり、これに限られるものでない)減じた値まで第2外気導入弁44dを開放して、チャンバ20内に外気を導入する。
【0044】
制御装置60は、ステップ218にて、ステップ213のタイミングで検出してRAMに記憶させた真空度Pとなるまで真空弁43を開放してチャンバ20内を脱気する。ステップ213のタイミングで検出した真空度Pは包装袋内の被包装物が吹きこぼれることのない程度に包装袋を膨らますまでの真空度であるので、包装袋を開放した状態でステップ213にて検出した真空度Pまでチャンバ20内を脱気しても、包装袋内の被包装物が吹きこぼれることがない。
【0045】
ステップ218の処理後に、制御装置60は、ステップ219にて、袋内排気制御の実行回数R=R+1として実行回数Rに1を加算してステップ220に進める。次に、制御装置60は、ステップ220にて、この袋内排気制御を5回以上実行したか否かを判定する。袋内排気制御を5回以上実行していなければ、制御装置60はNOと判定してステップ211から始まる袋内排気制御を繰り返し実行する。なお、ステップ220の処理後に再びステップ211から始まる袋内排気制御を実行するときには、真空ポンプ41は作動中であり、真空弁43は開放され、第1外気導入弁44bは閉止された状態であるので、ステップ211に戻したときにも真空ポンプ41は継続して作動し、真空弁43は開放され、第1外気導入弁44bは閉止された状態を維持する。
【0046】
袋内排気制御を実行することで、包装袋内は徐々に脱気され、袋内排気制御を5回実行したときに、制御装置60は、ステップ220にてYESと判定してステップ203に進める。ステップ203以後の処理は、最後の袋内排気制御と包装袋の開口周縁部の封止処理を実行する処理である。制御装置60は、ステップ203にて、真空弁43を開放するとともに、下側ブロック31を上側ブロック32に押しつけるように上昇させて、チャンバ20内を負圧化させた状態で包装袋の開口周縁部を下側ブロック31と上側ブロック32とにより挟持させて包装袋の開口部を再び一時的に閉じる。ステップ203の処理によって、チャンバ20内の包装袋の開口部を一時的に閉じた状態で、チャンバ20内が引き続き脱気されて負圧化されると、包装袋は内部の水分が気化することによって膨らむようになる。
【0047】
制御装置60は、ステップ204にて、膨らみ検知器53からのオン信号の入力の有無に基づいて、包装袋が膨らんだか否かを判定する。包装袋が膨らむまでは、制御装置60はステップ204の判定処理でNOの判定を繰り返し実行し、包装袋がチャンバ20内の負圧化によって膨らみ検知板51を上位置まで押し上げるまで膨らみ、膨らみ検知器53から制御装置60にオン信号の入力があると、制御装置60はステップ204にてYESと判定してステップ205に進める。
【0048】
制御装置60は、ステップ205にて、真空弁43を閉止してチャンバ20内の脱気を一時的に中断するとともに下側ブロック31を下降させ、ステップ206にて5秒間待機させることで、包装袋内に残る気体を排出させる。制御装置60は、ステップ207にて、下側ブロック31を上側ブロック32に押しつけるように上昇させ、包装袋の開口周縁部を下側ブロック31と上側ブロック32とにより挟持させて包装袋の開口部を閉じる。制御装置60は、ステップ208にて、ヒータ33に通電させると、包装袋の開口周縁部は熱溶着によって閉じられて、包装袋が脱気された状態(真空状態)で密封される。制御装置60は、ステップ209にて、真空ポンプ41の作動を停止させるとともに、第1または第2外気導入弁44b,44dを開放することでチャンバ20内の負圧状態を解消させるとともに、下側ブロック31を下降させて、ホットパック用の包装プログラムを終了する。
【0049】
この真空包装機10においては、スープやシチュー等の液体を含む被包装物を入れた包装袋を密封するときに、包装袋内の液体が開口から溢れ出ることがある。特にこの真空包装機10は、常温より温度の高い食材及び調理物の包装に適したホットパック用の包装プログラムを実行可能とし、包装袋内の空気を排気する袋内排気制御を実行するときに、包装袋内で沸騰する液体が開口から溢れ出るおそれがある。包装袋の開口から溢れ出た液体が流れ落ちて下側ブロック31を昇降させる昇降シリンダ36内に流入すると、液体に含まれる成分が昇降シリンダ36内で固まり、支持シャフト35が昇降機構34によって昇降しなくなるおそれがある。
【0050】
この実施形態の真空包装機(包装機)10は、包装袋を載置可能とするチャンバベース21と、チャンバベース21の上側に設けられたチャンバカバー22と、チャンバカバー22の下面に設けられた上側ブロック32と、上側ブロック32の下側でチャンバベース21に上下動可能に設けられた下側ブロック31と、下側ブロック31に設けられて包装袋の開口周縁部を溶着させるヒータ33と、下側ブロック31を上側ブロック32から離間した位置と上側ブロック32に押圧させる位置との間で昇降させる昇降機構34とを備えている。
【0051】
昇降機構34は、下側ブロック31を上下動可能に支持する支持シャフト35と、支持シャフト35を上方に突出させるための挿通孔38eを有して支持シャフト35を上下動させる昇降シリンダ36とを備え、昇降シリンダ36の上部を構成するフランジ付きナット38の上壁部38dには挿通孔38eの外周部に上方に突出する環状突部38fが形成されている。スープやシチュー等の液体を含む被包装物を入れた包装袋を密封するときに、包装袋の開口からこぼれ落ちた液体が昇降シリンダ36の上側に落下するおそれがあるが、昇降シリンダ36の上側に落下した液体は環状突部38fによって挿通孔38eから昇降シリンダ36内に流入しにくくなり、包装袋から溢れ出た液体に含まれる成分が昇降シリンダ36内に流入することに起因した不具合の一例として、包装袋から溢れ出た液体に含まれる成分が昇降シリンダ36内で固化することで、支持シャフト35が上下動しなくなる不具合の発生を防ぐことができる。
【0052】
この実施形態の真空包装機(包装機)10においては、昇降シリンダ36の上部を構成するフランジ付きナット38には支持シャフト35が上下動可能に挿通される挿通孔38eの外周部に環状突部38fを形成するようにしているが、図13に示した他の実施形態の真空包装機(包装機)10においては、支持シャフト35には昇降シリンダ36の上側に環状のキャップ体35aを設けるようにしている。包装袋内の空気を排気する袋内排気制御を実行するときに、包装袋内で沸騰する液体が開口から溢れ出て、包装袋の開口から溢れ出た液体が支持シャフト35を伝って昇降シリンダ36内に流入するおそれがあるが、支持シャフト35を伝う液体はキャップ体35aによって昇降シリンダ36内に流入しにくくなり、包装袋から溢れ出た液体に含まれる成分が昇降シリンダ36内に流入することに起因した不具合の一例として、包装袋から溢れ出た液体に含まれる成分が昇降シリンダ36内で固化することで、支持シャフト35が上下動しなくなる不具合の発生を防ぐことができる。
【0053】
本発明は、包装機の一実施形態としてチャンバ20内を脱気した状態とすることで包装袋を真空包装する真空包装機の実施形態により説明したが、これに限られるものでなく、チャンバ20を脱気することなく包装袋を包装する包装機であってもよい。また、この実施形態の真空包装機(包装機)10においては、下側ブロック31にヒータ33を設けるようにしているが、これに限られるものでなく、上側ブロック32にヒータ33を設けるようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…包装機(真空包装機)、21…チャンバベース、22…チャンバカバー、31…下側ブロック、32…上側ブロック、33…ヒータ、34…昇降機構、35…支持シャフト、35a…キャップ体、36…昇降シリンダ、38e…挿通孔、38f…環状突部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13