(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174481
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】エアジェット織機における情報表示装置
(51)【国際特許分類】
D03D 47/30 20060101AFI20241210BHJP
D03D 47/34 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
D03D47/30
D03D47/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092331
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】八木 大輔
【テーマコード(参考)】
4L050
【Fターム(参考)】
4L050AA15
4L050AB03
4L050AB09
4L050CB04
4L050CB06
4L050CB07
4L050CB31
4L050CB55
4L050CC21
4L050EA03
4L050EA08
4L050EA10
4L050EA14
4L050EA16
4L050EB05
4L050EC03
4L050EC04
4L050ED11
4L050ED14
4L050ED17
4L050ED31
4L050EE05
(57)【要約】
【課題】緯入れ開始時期を変えることなく、緯糸係止ピンによる緯糸係止時に緯糸に作用する衝撃を小さくできるような動作パターンを容易に設定できるエアジェット織機における情報表示装置を提供すること。
【解決手段】情報表示装置100のパターン設定記憶部111は、複数のサブノズルの各々に接続されたサブバルブの動作をサブバルブ毎に設定した動作パターンを記憶し、記憶した複数の動作パターン毎に最終到達時点及び中間到達時点を取得する。また、パターン設定記憶部111は、最終到達時点と中間到達時点との差である時間差を動作パターン毎に紐付けて記憶する。パターン抽出部121は、パターン設定記憶部111に記憶された複数の動作パターンのうち、紐付けされた時間差が最大となった動作パターンを抽出する。表示装置202は、パターン抽出部121によって抽出された動作パターンを表示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留ドラムに巻かれた緯糸を緯糸係止ピンの後退により解舒するとともに、解舒された前記緯糸をメインノズル及び複数のサブノズルによって筬の筬内通路を飛走させて、経糸の開口に緯入れする緯入れ装置と、
緯入れされた前記緯糸の先端が、当該緯糸の最終到達位置に到達した最終到達時点を出力する第1緯糸検知部と、
緯入れされた前記緯糸の先端が、前記最終到達位置より緯入れ方向の上流側の所定位置に到達した中間到達時点を出力する第2緯糸検知部と、を備えるエアジェット織機における情報表示装置であって、
前記サブノズルから圧縮エアを噴射させるサブバルブの動作を複数のサブバルブ毎に設定した動作パターンを記憶し、記憶した複数の前記動作パターン毎に前記最終到達時点及び前記中間到達時点を取得するとともに、前記最終到達時点と前記中間到達時点との差である時間差を前記動作パターン毎に紐付けて記憶するパターン設定記憶部と、
前記パターン設定記憶部に記憶された複数の前記動作パターンのうち、紐付けされた前記時間差が最大となった動作パターンを抽出するパターン抽出部と、
前記パターン抽出部によって抽出された動作パターンを表示する表示装置と、を備えることを特徴とするエアジェット織機における情報表示装置。
【請求項2】
前記第2緯糸検知部は、織幅内の前記筬内通路に対向する位置に配置されている請求項1に記載のエアジェット織機における情報表示装置。
【請求項3】
前記第2緯糸検知部は、前記貯留ドラムから解舒される前記緯糸を検出するバルーンセンサである請求項1に記載のエアジェット織機における情報表示装置。
【請求項4】
前記パターン抽出部は、前記パターン設定記憶部に記憶された複数の前記動作パターンのうち、前記最終到達時点が所定値以下で、かつ紐付けされた前記時間差が最大となった動作パターンを抽出する請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機における情報表示装置。
【請求項5】
前記時間差が最大となった動作パターンを抽出するための条件を選択可能に前記表示装置に表示させるモード選択部を備える請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機における情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアジェット織機における情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアジェット織機において、緯糸は、メインノズル及びサブノズルからの圧縮エアの噴射によって筬内通路を飛走する。エアジェット織機は、緯入れの終期に、緯糸を緯糸係止ピンに係止させて、緯糸の緯入れを終了させる。緯糸に緯糸係止ピンが係止したとき、緯糸に衝撃が作用する。
【0003】
例えば、特許文献1には、緯糸に緯糸係止ピンが係止したときに緯糸に作用する衝撃を緩和するジェットルームが開示されている。特許文献1に開示のジェットルームは、緯糸を感知する複数の光電センサを備える。複数の光電センサは、緯糸の飛走方向に間隔を空けて配置されている。また、複数の光電センサは、緯入れの終期において、緯糸に緯糸係止ピンが係止する直前の緯糸を感知するように、反給糸側に配置されている。
【0004】
そして、特許文献1に開示のジェットルームでは、複数の光電センサによる緯糸の検知タイミングの差に基づいて、緯糸の飛走速度を算出する。そして、算出された飛走速度が速くなった場合には、緯糸の緯入れ開始時期を遅延させる制御を行う。これにより、制動装置が動作したときから緯糸が係止ピンに係止されるときまでの時間が長くなるため、緯糸は、それだけ長時間制動力を受ける結果、緯糸に作用する衝撃が小さくなる。逆に、算出された飛走速度が遅くなった場合は、上記と逆に、緯入れ開始時期を早める制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、緯入れ開始時期を遅延させると、緯糸先端の最終到達位置への到達が遅れるため、緯入れミスが発生しやすくなる虞がある。逆に緯入れ開始時期を早めると、緯入れした緯糸が筬内通路入口側の経糸に接触する虞が高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するためのエアジェット織機における情報表示装置は、貯留ドラムに巻かれた緯糸を緯糸係止ピンの後退により解舒するとともに、解舒された前記緯糸をメインノズル及び複数のサブノズルによって筬の筬内通路を飛走させて、経糸の開口に緯入れする緯入れ装置と、緯入れされた前記緯糸の先端が、当該緯糸の最終到達位置に到達した最終到達時点を出力する第1緯糸検知部と、緯入れされた前記緯糸の先端が、前記最終到達位置より緯入れ方向の上流側の所定位置に到達した中間到達時点を出力する第2緯糸検知部と、を備えるエアジェット織機における情報表示装置であって、前記サブノズルから圧縮エアを噴射させるサブバルブの動作を複数のサブバルブ毎に設定した動作パターンを記憶し、記憶した複数の前記動作パターン毎に前記最終到達時点及び前記中間到達時点を取得するとともに、前記最終到達時点と前記中間到達時点との差である時間差を前記動作パターン毎に紐付けて記憶するパターン設定記憶部と、前記パターン設定記憶部に記憶された複数の前記動作パターンのうち、紐付けされた前記時間差が最大となった動作パターンを抽出するパターン抽出部と、前記パターン抽出部によって抽出された動作パターンを表示する表示装置と、を備えることを要旨とする。
【0008】
これによれば、パターン設定記憶部は、動作パターン毎に、最終到達時点及び中間到達時点を実際に取得するとともに、取得した最終到達時点と中間到達時点とから時間差を算出して、動作パターンに紐付けて記憶する。そして、パターン抽出部は、実際に取得された値に基づいて、最終到達時点と中間到達時点の時間差を最大にする動作パターンを抽出する。最終到達時点と中間到達時点の時間差が大きいほど、緯糸に緯糸係止ピンが係止したときに緯糸に作用する衝撃は小さくなる。このため、抽出された最終到達時点と中間到達時点の時間差が最大となる動作パターンに基づいて複数のサブバルブの各々を動作させれば、緯糸に緯糸係止ピンが係止したときに作用する衝撃を最も小さくできる。しかも、背景技術のように緯入れ開始時期を変更するのではなく、サブノズルから圧縮エアを噴射させるサブバルブの動作を複数のサブバルブ毎に設定した複数の動作パターンの中から、紐付けされた前記時間差が最大となった動作パターンを抽出する。よって、緯入れ開始時期を遅延させたり、早めたりすることなく、緯糸係止ピンによる緯糸係止時に緯糸に作用する衝撃を小さくできるような動作パターンを容易に設定できる。
【0009】
エアジェット織機における情報表示装置について、前記第2緯糸検知部は、織幅内の前記筬内通路に対向する位置に配置されていてもよい。
これによれば、第2緯糸検知部が筬内通路の織幅外に配置される場合と比較して、第1緯糸検知部と第2緯糸検知部との距離を大きく取ることができるため、衝撃の大きさと時間差との相関関係がより正確になる。
【0010】
エアジェット織機における情報表示装置について、前記第2緯糸検知部は、前記貯留ドラムから解舒される前記緯糸を検出するバルーンセンサであってもよい。
これによれば、緯糸を飛走させるために必要とされるバルーンセンサを用いて中間到達時点を取得できるため、部品点数を増加することなく、中間到達時点を取得できる。
【0011】
エアジェット織機における情報表示装置について、前記パターン抽出部は、前記パターン設定記憶部に記憶された複数の前記動作パターンのうち、前記最終到達時点が所定値以下で、かつ紐付けされた前記時間差が最大となった動作パターンを抽出してもよい。
【0012】
これによれば、所定値以下の最終到達時点を確保して緯糸の搬送効率を維持しつつ、緯糸に作用する衝撃を小さくすることができるような動作パターンを容易に設定できる。
エアジェット織機における情報表示装置について、前記時間差が最大となった動作パターンを抽出するための条件を選択可能に前記表示装置に表示させるモード選択部を備えていてもよい。
【0013】
これによれば、緯糸に作用する衝撃を小さくできる動作パターンの抽出作業が容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、緯入れ開始時期を変えることなく、緯糸係止ピンによる緯糸係止時に緯糸に作用する衝撃を小さくできるような動作パターンを容易に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、エアジェット織機の緯入れ装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は、エアジェット織機の緯入れ装置を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、情報表示装置を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、動作パターンを模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、3つの条件を表示する表示装置を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、2つのモードを表示する表示装置を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、抽出された動作パターンを表示する表示装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、エアジェット織機における情報表示装置を具体化した一実施形態を
図1~
図7にしたがって説明する。なお、以下の説明において、経糸開口内に緯糸を緯入れして緯糸が飛走する方向を緯入れ方向とする。
【0017】
<エアジェット織機>
図1に示すように、エアジェット織機は、緯入れ装置10と、第1緯糸検知部40と、第2緯糸検知部41と、を備える。また、
図3に示すように、エアジェット織機は、情報表示装置100を備える。
【0018】
<緯入れ装置>
図1に示すように、緯入れ装置10は、緯入れノズル11、給糸部12、緯糸測長貯留装置13、筬14、複数のサブノズル15、ブレーキ23、及び制御装置16を備える。
【0019】
給糸部12は、緯入れノズル11よりも緯入れ方向Xの上流側に配設されている。給糸部12の緯糸Yは、緯糸測長貯留装置13の図示しない巻付けアームの回転により引き出されるとともに、貯留ドラム17に巻き付けられた状態で貯留される。
【0020】
緯糸測長貯留装置13は、緯糸係止ピン18、及び緯糸測長貯留装置13からの緯糸Yの解舒を検出するバルーンセンサ19を備える。緯糸係止ピン18及びバルーンセンサ19は、貯留ドラム17の周囲に配設されている。緯糸係止ピン18は、制御装置16と電気的に接続されている。緯糸係止ピン18は、予め設定された織機回転角度において、緯糸係止ピン18の後退により貯留ドラム17に貯留された緯糸Yを解舒する。緯糸係止ピン18が緯糸Yを解舒する時点は、緯入れ開始時点である。
【0021】
バルーンセンサ19は、緯入れ中、貯留ドラム17から解舒される緯糸Yを検出する。バルーンセンサ19は、緯糸解舒信号を制御装置16に出力する。制御装置16は、予め設定されたn回の緯糸解舒信号を入力すると、緯糸係止ピン18を解舒させる前の位置に復帰させる。
【0022】
緯糸係止ピン18を解舒させる前の位置に復帰させると、緯糸係止ピン18は、貯留ドラム17から解舒される緯糸Yに係止して、緯入れを終了させる。なお、緯糸係止ピン18が緯糸Yに係止する時点は、織幅TLに相当する長さの緯糸Yを貯留ドラム17に貯留するために要する巻き付け回数に応じて設定されている。
【0023】
ブレーキ23は、貯留ドラム17よりも緯入れ方向Xの下流側に配置されている。ブレーキ23は、緯糸Yの緯入れ終了前に、飛走する緯糸Yを制動する。ブレーキ23は、高速で飛走する緯糸Yを制動して緯糸Yの飛走速度を低下させる。これにより、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止する前に、緯糸Yの飛走速度が低下する。その結果、緯糸Yの先端が、緯入れ終端である最終到達位置に到達する時点で、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときに、緯糸Yに作用する衝撃を小さくする。本実施形態においては、ブレーキ23による緯糸Yの制動に加え、緯糸Yの飛走速度を制御することによって、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときの衝撃を小さくする。
【0024】
緯入れノズル11は、貯留ドラム17の緯糸Yを引き出すタンデムノズル21と、緯糸Yを筬14の筬内通路14aに緯入れする緯入れ用のメインノズル22と、を備える。メインノズル22は、配管22aを介してメインバルブ22vに接続されている。メインバルブ22vは、配管22bを介してメインエアタンク26に接続されている。タンデムノズル21は、配管21aを介してタンデムバルブ21vに接続されている。タンデムバルブ21vは、配管21bを介してメインバルブ22vと共通のメインエアタンク26に接続されている。なお、タンデムバルブ21vは、メインエアタンク26とは別のエアタンクに接続されていてもよい。メインエアタンク26は、織布工場に設置された共通のエアコンプレッサ31に接続されている。メインエアタンク26には、エアコンプレッサ31から供給された圧縮エアが貯蔵されている。
【0025】
複数のサブノズル15は、1例として6群に分けられ、各群は、4本のサブノズル15を備える。4本のサブノズル15の群に1個のサブバルブ32が接続されている。したがって、緯入れ装置10は、6個のサブバルブ32を備える。各群の各サブノズル15は、配管33を介して各サブバルブ32に接続されている。各サブバルブ32は、共通のサブエアタンク34に接続されている。
【0026】
メインバルブ22v、タンデムバルブ21v、及びサブバルブ32は、制御装置16と電気的に接続されている。そして、エアジェット織機において、緯糸Yは、制御装置16によるメインバルブ22v及びサブバルブ32の動作の制御による、メインノズル22及びサブノズル15からのエア噴射により、筬内通路14aを経て緯入れされる。したがって、緯入れ装置10は、緯糸Yをメインノズル22及び複数のサブノズル15によって筬14の筬内通路14aを飛走させて、経糸開口内に緯入れする。
【0027】
具体的には、緯糸Yの緯入れ時、制御装置16は、メインバルブ22v及びタンデムバルブ21vに作動指令信号を出力する。また、緯糸Yの緯入れ時、制御装置16は、サブバルブ32に作動指令信号を出力する。すると、緯糸Yは、メインノズル22から噴射される圧縮エアを受けて飛走を開始するとともに、飛走開始後は、複数のサブノズル15から噴射される圧縮エアを受けて最終到達位置まで飛走する。緯糸Yの緯入れに関し、所望する飛走速度での飛走を実現するために、メインバルブ22v及びサブバルブ32の動作パターンが予め設定されている。なお、メインバルブ22vの動作については、複数の動作パターンで全て同じであるため、サブバルブ32の動作パターンについて説明する。
【0028】
<動作パターン>
図4に示すように、メインバルブ22v及びサブバルブ32の動作パターンは、メインバルブ22v及びサブバルブ32の開き始め時点及び開く時間の長さによって決まる。
図4のグラフの横軸は、メインバルブ22v及びサブバルブ32の開き始め時点及び開く時間の長さを示す。なお、上下に並ぶ複数の横棒のうち、一番下の横棒は、メインバルブ22vの開き始め時点及び開く時間の長さを示しているとともに、それ以外の横棒は、全てサブバルブ32の開き始め時点及び開く時間の長さを示している。以下の説明において、メインノズル22及びサブバルブ32を開く時間の長さを[開時間]と記載する。
【0029】
また、
図4のグラフの縦軸は、緯入れ方向Xの上流側から下流側への緯糸Yの飛走距離を示している。また、
図4の1点鎖線は、緯糸Yが飛走したときの緯糸Yの先端の軌跡である飛走曲線を示している。
【0030】
緯糸Yは、メインノズル22からの圧縮エアによって飛走を開始した後は、緯入れ方向Xに並ぶ各サブノズル15から噴射された圧縮エアによって飛走していく。メインノズル22及び各サブノズル15から噴射された圧縮エアの圧力や噴射時間が多いほど、緯糸Yの平均飛走速度は速くなる。
【0031】
サブバルブ32の開時間が長いほど、そのサブバルブ32に接続されたサブノズル15から噴射される圧縮エアの量は多くなる。サブノズル15から噴射される圧縮エアの量が多くなると、緯糸Yの飛走速度は速くなる。したがって、サブバルブ32の開き始め時点及び開時間を種々設定すれば、緯糸Yの飛走速度を異ならせた動作パターンが設定できる。そして、緯糸Yが緯糸係止ピン18に係止されるときの緯糸Yの飛走速度が遅くなれば、緯糸Yに作用する衝撃が小さくなる。よって、複数の動作パターンのうち、緯糸Yが緯糸係止ピン18に係止される時点で、緯糸Yの飛走速度が遅くなる動作パターンであれば、緯糸Yに作用する衝撃を小さくできる。そして、緯糸Yの飛走速度を異ならせた動作パターンを複数設定するとともに、各動作パターンで試織を行うと、その試織結果から、緯糸Yに作用する衝撃を小さくできる動作パターンを複数抽出することが可能になる。
【0032】
なお、抽出された複数の動作パターンにおいては、メインバルブ22vの開時間を全て同じとしている。また、抽出された複数の動作パターンにおいては、特定のサブバルブ32の開時間をその他のサブバルブ32より長くするとともに、他のサブバルブ32の開時間を微調整して設定されている。
【0033】
図2に示すように、メインノズル22、サブノズル15、及び筬14は、スレイ24上に配設されている。メインノズル22、サブノズル15、及び筬14は、スレイ24と一体になってエアジェット織機の前後方向に往復揺動される。各サブノズル15は、支持ブロック25を介してスレイ24に固定されている。各サブノズル15は、スレイ24の揺動に伴って経糸Tの列の間から経糸開口内に対して出入り可能となっている。
【0034】
なお、図示しないが、タンデムノズル21、ブレーキ23、緯糸測長貯留装置13、及び給糸部12は、エアジェット織機のフレーム又は床面に取り付けられたブラケット等に固定されている。
【0035】
筬14は、ガイド凹部14bを有する筬羽14cが緯入れ方向Xに複数列設されて構成されている。筬内通路14aは、複数の筬羽14cのガイド凹部14bによって形成されている。
【0036】
<第1緯糸検知部及び第2緯糸検知部>
図1及び
図2に示すように、第1緯糸検知部40は、筬内通路14aの緯入れ方向Xの下流側に対向する位置に配設されている。第1緯糸検知部40は、織幅TLの外に配置されている。
【0037】
第1緯糸検知部40は、緯糸Yが正常に緯入れされた状態で、貯留ドラム17のn巻数分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yの先端位置が、第1緯糸検知部40の検出位置となるように配置されている。第1緯糸検知部40は、制御装置16と電気的に接続されている。第1緯糸検知部40は、緯糸Yの先端を検知すると緯糸検出信号を出力する。この緯糸検出信号は、緯糸Yの最終到達位置への到達信号である。第1緯糸検知部40の出力した緯糸検出信号に基づいて、制御装置16は、緯糸Yの先端が第1緯糸検知部40の検出位置に到達した最終到達時点Twを認識する。したがって、第1緯糸検知部40は、緯入れされた緯糸Yの先端が、当該緯糸Yの最終到達位置に到達した最終到達時点Twを制御装置16が認識するための緯糸検出信号を出力する。
【0038】
第2緯糸検知部41は、第1緯糸検知部40よりも緯入れ方向Xの上流側において、織幅TL内の筬内通路14aに対向する位置に配設された織幅内センサである。第2緯糸検知部41は、織幅TLの中央よりもメインノズル22とは反対側に配設されている。第2緯糸検知部41は、緯糸Yが正常に緯入れされた状態で、貯留ドラム17の(n-1)巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yの先端位置が、第2緯糸検知部41の検出位置となるように配置されている。第2緯糸検知部41は、制御装置16と電気的に接続されている。第2緯糸検知部41は、緯糸Yの先端を検知すると緯糸検出信号を出力する。第2緯糸検知部41の出力した緯糸検出信号に基づいて、制御装置16は、緯糸Yの先端が第2緯糸検知部41の検出位置に到達した中間到達時点Tiを認識する。したがって、第2緯糸検知部41は、緯入れされた緯糸Yの先端が、最終到達時点Twより緯入れ方向Xの上流側の所定位置に到達した中間到達時点Tiを制御装置16が認識するための緯糸検出信号を出力する。
【0039】
図2に示すように、第1緯糸検知部40及び第2緯糸検知部41は、支持ブロック43を介してスレイ24に位置調整可能に固定されている。第2緯糸検知部41は、メインノズル22の噴射圧の影響を受けない範囲において緯糸Yを検知可能な位置でスレイ24に固定されている。
【0040】
上記したように、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときに緯糸Yに作用する衝撃は、緯糸Yの飛走速度が遅いほど小さくなる。緯糸Yの飛走速度が遅くなるほど、中間到達時点Tiから最終到達時点Twに到達するまでに要する時間が長くなる。したがって、緯入れ方向Xの下流側で緯糸Yを大きく減速させて、飛走速度を遅くするほど、つまり時間差ΔTが大きくなるほど、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときに緯糸Yに作用する衝撃が小さくなる。
【0041】
よって、
図4に示すように、動作パターンにおいて、最終到達時点Twと中間到達時点Tiの時間差ΔTを最大とする動作パターンを複数の動作パターンの中から抽出することにより、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときに、緯糸Yに作用する衝撃を最も小さくできる。
【0042】
<情報表示装置>
図3に示すように、情報表示装置100は、パターン設定記憶部111と、パターン抽出部121と、表示装置202と、を備える。また、情報表示装置100は、モード選択部131を備えていてもよい。パターン設定記憶部111と、パターン抽出部121と、モード選択部131とは、制御装置16に設けられている。表示装置202は、制御装置16と電気的に接続されている。また、情報表示装置100は、制御装置16と電気的に接続された入力装置201を備えていてもよい。
【0043】
入力装置201は、物理ボタン、タッチパネル、又は音声入力装置である。入力装置201は、各種条件を制御装置16に入力するための装置である。各種条件としては、織物条件及び製織条件である。織物条件としては、例えば、緯糸Yに使用する糸の材質、番手、等の緯糸種類、緯糸密度、経糸Tに使用する糸の材質、番手等の経糸種類、経糸密度、織幅TL、織物組織等が含まれている。製織条件としては、例えば、織機回転数、メインエアタンク26及びサブエアタンク34の圧縮エアの圧力、メインバルブ22v、タンデムバルブ21v及びサブバルブ32の開度、緯入れ開始タイミング等が含まれる。そして、サブバルブ32の動作パターンの設定モードの選択や、動作パターンの設定などは、入力装置201によって行われる。
【0044】
表示装置202は、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
パターン設定記憶部111は、設定された動作パターンを記憶する。動作パターンとして、第1動作パターンP1と、第2動作パターンP2と、第3動作パターンP3とがパターン設定記憶部111に記憶されている。
【0045】
第1動作パターンP1、第2動作パターンP2、及び第3動作パターンP3は、それぞれ緯糸Yの飛走速度を異ならせた動作パターンとして記憶されている。
第1動作パターンP1、第2動作パターンP2、及び第3動作パターンP3は、実験や経験則に基づいて、人がサブバルブ32の開度や開時間を実際に調整したり、実験したりして設定されている。又は、第1動作パターンP1、第2動作パターンP2、及び第3動作パターンP3は、パターン設定記憶部111による機械学習によって生成されてもよい。機械学習のアルゴリズムとしては、例えば、SSD(Single Shot Multibox Detector)、R-CNN(Regional Convolutional Neural Network)、fast R-CNN、faster R-CNN、及びYOLO(You Only Look Once)を挙げることができる。
【0046】
なお、最終到達時点Twに係るデータを[最終到達時点データD1]と記載するとともに、中間到達時点Tiに係るデータを[中間到達時点データD2]と記載する。また、時間差ΔTに係るデータを[時間差データD3]と記載する。
【0047】
パターン設定記憶部111は、パターン設定記憶部111に記憶された3つの動作パターン毎に、エアジェット織機によって実際に試織されたときの最終到達時点データD1を第1緯糸検知部40から取得するとともに、中間到達時点データD2を第2緯糸検知部41から取得する。取得された最終到達時点データD1及び中間到達時点データD2は、パターン設定記憶部111に記憶、蓄積される。また、パターン設定記憶部111は、パターン設定記憶部111に記憶された3つの動作パターン毎に、取得した最終到達時点データD1及び中間到達時点データD2を用いて時間差データD3を算出する。算出された時間差データD3は、パターン設定記憶部111に記憶、蓄積される。そして、パターン設定記憶部111は、動作パターン毎に、最終到達時点データD1、中間到達時点データD2、及び時間差データD3を紐付けて記憶する。
【0048】
パターン抽出部121は、パターン設定記憶部111において、動作パターン毎に紐付けされた時間差データD3に基づいて、第1動作パターンP1、第2動作パターンP2、及び第3動作パターンP3の中から、時間差データD3、つまり時間差ΔTが最大となった動作パターンを抽出する。本実施形態では、パターン抽出部121は、第1動作パターンP1を抽出する。つまり、パターン抽出部121は、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときに緯糸Yに作用する衝撃を最も小さくする動作パターンとして、第1動作パターンP1を抽出する。
【0049】
パターン抽出部121は、抽出した動作パターン、つまり第1動作パターンP1を表示装置202に表示させる。したがって、表示装置202は、パターン抽出部121によって抽出された第1動作パターンP1を表示する。このとき、
図7に示すように、表示装置202には、メインバルブ22v及びサブバルブ32の開時間と、緯糸Yの飛走曲線とが表示される。
【0050】
なお、第1動作パターンP1、第2動作パターンP2、及び第3動作パターンP3のうち、第2動作パターンP2は、最終到達時点Twが最小となる動作パターンとなる。また、第3動作パターンP3は、最終到達時点Twが所定値以下で、かつ紐付けされた時間差ΔTが最大となる動作パターンとなる。なお、第3動作パターンP3における「最終到達時点Twが所定値以下」の所定値とは、緯糸Yの搬送効率を高めに維持できる最終到達時点Twの値である。
【0051】
図6に示すように、モード選択部131は、2つの条件モードを表示装置202に表示させる。2つの条件モードは、条件選択モードM1と、条件入力モードM2である。条件選択モードM1は、予め設定された複数の条件の中から所望する条件を選択可能にするモードである。そして、条件選択モードM1が選択されると、モード選択部131は、時間差ΔTが最大となる動作パターンを抽出するための条件を選択可能に、
図5に示すように、表示装置202に高搬送効率J1、衝撃緩和J2、及びバランスJ3といった複数の条件を表示装置202に表示させる。
【0052】
衝撃緩和J2は、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときに緯糸Yに作用する衝撃を最小にすること、つまり時間差ΔTが最大となることを条件とする。高搬送効率J1は、最終到達位置に緯糸Yの先端を最速で到達させること、つまり最終到達時点Twが最小となることを条件とする。バランスJ3は、最終到達時点Twが所定値以下で、かつその所定値以下の最終到達時点Twの中でも時間差ΔTが最大となることを条件とする。
【0053】
条件入力モードM2は、所望する条件を入力装置201から入力するモードである。所望する条件としては、例えば、第3動作パターンP3における所定値や、高搬送効率J1や衝撃緩和J2を条件とした場合に表示させる動作パターンの数などが挙げられる。
【0054】
<実施形態の作用>
次に、情報表示装置100を用いて、エアジェット織機の使用者に対し、使用者が所望する動作パターンを提示する方法を作用として説明する。なお、情報表示装置100は、使用者とは別の操作者が操作するが、使用者が操作してもよい。
【0055】
まず、操作者による入力装置201の操作によって動作パターンの設定モードが選択されると、情報表示装置100には、動作パターンの設定モードが設定される。
動作パターンの設定モードが選択された後、エアジェット織機による試織が行われて緯入れ装置10による緯入れが行われると、パターン設定記憶部111は、パターン設定記憶部111に記憶された第1~第3動作パターンP1~P3を個別に実行するとともに、第1~第3動作パターンP1~P3毎に、最終到達時点データD1及び中間到達時点データD2を取得する。取得された最終到達時点データD1及び中間到達時点データD2はパターン設定記憶部111に記憶、蓄積されていく。また、パターン設定記憶部111は、第1~第3動作パターンP1~P3毎に、取得した最終到達時点データD1及び中間到達時点データD2を用いて時間差データD3を算出する。算出された時間差データD3は、第1~第3動作パターンP1~P3毎に紐付けしてパターン設定記憶部111に記憶、蓄積されていく。
【0056】
所定量のデータが蓄積された時点で、操作者は、入力装置201を操作して、動作パターンの抽出モードを実行させる。
図6に示すように、モード選択部131は、表示装置202に2つの条件モードを表示させる。操作者が、条件選択モードM1を選択すると、
図5に示すように、モード選択部131は、3つの条件を表示装置202に表示させる。操作者が、衝撃緩和J2を条件として選択すると、パターン抽出部121は、第1~第3動作パターンP1~P3に紐付けされた時間差データD3に基づいて、第1~第3動作パターンP1~P3の中から、時間差データD3の最も大きくなった第1動作パターンP1を抽出する。つまり、「衝撃緩和J2」に合致する動作パターンとして、パターン抽出部121は第1動作パターンP1を抽出する。そして、パターン抽出部121は、抽出した第1動作パターンP1を表示装置202に表示させる。
【0057】
その結果、
図7に示すように、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときの衝撃を最も小さくするためのサブバルブ32の動作パターンが、エアジェット織機の使用者に提案される。使用者は、提案された第1動作パターンP1の動作パターンで、緯入れ装置10による緯入れを行うべく、サブバルブ32の開度を調整する。
【0058】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)情報表示装置100において、パターン設定記憶部111は、試織を行った際に第1~第3動作パターンP1~P3毎に、最終到達時点データD1及び中間到達時点データD2を実際に取得するとともに、時間差データD3を算出して、第1~第3動作パターンP1~P3に紐付けて記憶する。そして、パターン抽出部121は、実際に取得された値に基づいて、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときの衝撃を最も小さくできる動作パターンとして、第1動作パターンP1を抽出する。時間差ΔTが大きいほど、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときに緯糸Yに作用する衝撃は小さくなる。このため、時間差ΔTを示す時間差データD3が最大である第1動作パターンP1に基づいて複数のサブバルブ32の各々を動作させることにより、緯糸Yに緯糸係止ピン18が係止したときに緯糸Yに作用する衝撃を最も小さくできる。しかも、緯糸Yの緯入れ開始時期を変更するのではなく、サブノズル15から圧縮エアを噴射させるサブバルブ32の動作を複数のサブバルブ32毎に設定した第1~第3動作パターンP1~P3の中から、紐付けされた時間差ΔTが最大となった第1動作パターンP1を抽出する。よって、緯入れ開始時期を遅延させたり、早めたりすることなく、緯糸係止ピン18による緯糸Y係止時に緯糸Yに作用する衝撃を小さくできるような動作パターンを容易に設定できる。
【0059】
(2)第1~第3動作パターンP1~P3は、いずれも緯入れ開始時期は同じである。したがって、パターン抽出部121によって第1~第3動作パターンP1~P3のいずれが抽出されても、織物の生産性に影響はない。そして、複数のサブバルブ32の動作を調整するだけで、緯糸Yに作用する衝撃を小さくできるため、織物の生産コストの増加及び織物の生産性の低下のいずれも生じさせることなく、緯糸Yに作用する衝撃を小さくできる。
【0060】
(3)最終到達時点Twと中間到達時点Tiの時間差ΔTが最大になると、緯糸Yに作用する衝撃を最も小さくできることを発明者は見出した。このため、緯糸Yに作用する衝撃の測定は、ロードセルを用いずに行うことができる。よって、ロードセルを用いた場合のように、緯糸Yを接触させたときの摺動抵抗の発生、ひいては、摺動抵抗を原因とした噴射圧の増大を発生させることなく、緯糸Yに作用する衝撃を小さくできる。
【0061】
(4)第3動作パターンP3は、最終到達時点Twが所定値以下で、かつ所定値以下の最終到達時点Twの中でも紐付けされた時間差ΔTが最大となった動作パターンである。この第3動作パターンP3を抽出することで、所定値以下の最終到達時点Twを確保して緯糸Yの搬送効率を高めに維持しつつ、緯糸Yに作用する衝撃を小さくすることができるような動作パターンを容易に設定できる。
【0062】
(5)中間到達時点Tiを検知する第2緯糸検知部41は、織幅TL内の筬内通路14aに対向する位置に配設された織幅内センサである。第2緯糸検知部41が筬内通路14aの織幅TL外に配置される場合と比較して、第1緯糸検知部40と第2緯糸検知部41との距離を大きく取ることができるため、衝撃の大きさと時間差ΔTとの相関関係がより正確になる。
【0063】
(6)情報表示装置100のモード選択部131は、抽出条件を予め選択できるように表示装置202に表示させる。したがって、緯糸Yに作用する衝撃を小さくできる動作パターンの抽出作業が容易となる。
【0064】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○エアジェット織機による試織は、パターン設定記憶部111に記憶された全ての動作パターンについて行うのではなく、過去の試織結果に基づいて絞り込まれた動作パターンについて行ったり、記憶された動作パターンから新たに生成した動作パターンについて行ったりしてもよい。
【0065】
○パターン抽出部121は、時間差ΔTが最大となる動作パターンだけを抽出するのではなく、時間差ΔTが最大となる動作パターンを含む複数の動作パターンを抽出してもよい。例えば、パターン抽出部121は、時間差ΔTが最大となる動作パターンを最上位として、その他、時間差ΔTを順番に小さくした上位複数の動作パターンを抽出してもよい。
【0066】
○中間到達時点Tiは、バルーンセンサ19の出力した緯糸解舒信号から取得してもよい。この場合、中間到達時点Tiは、バルーンセンサ19の出力した緯糸解舒信号のうち、(n-1)回目の緯糸解舒信号を取得して、中間到達時点Tiとする。このように構成した場合、第2緯糸検知部41を用いずに、パターン設定記憶部111は中間到達時点Tiを取得できる。つまり、緯糸Yを飛走させるために必要とされるバルーンセンサ19を用いて中間到達時点Tiを取得できるため、部品点数を増加することなく、中間到達時点Tiを取得できる。
【0067】
○情報表示装置100は、モード選択部131を備えていなくてもよい。この場合、パターン抽出部121は、時間差ΔTが最大となる動作パターンを常に抽出して、表示装置202に表示させる。
【0068】
○モード選択部131は、条件選択モードM1のみ又は条件入力モードM2のみを表示装置202に表示させてもよい。
○パターン設定記憶部111に記憶される動作パターンは、第1動作パターンP1及び第3動作パターンP3の2種類としてもよいし、第1動作パターンP1及び第2動作パターンP2の2種類としてもよい。
【0069】
○パターン設定記憶部111に記憶される動作パターンは4種類以上あってもよい。
○パターン抽出部121によって抽出された動作パターンの表示のさせ方は、
図7のようなグラフとしてでなくてもよい。つまり、第1動作パターンP1を実現できる程度に、サブバルブ32の動作パターンを把握することができれば、第1動作パターンP1の表示のさせ方は、適宜変更してもよい。例えば、各サブバルブ32の開時間を数値で表示したり、開時間を長くするサブバルブ32の位置を文章で表示したりしてもよい。
【0070】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[態様1]
貯留ドラムに巻かれた緯糸を緯糸係止ピンの後退により解舒するとともに、解舒された前記緯糸をメインノズル及び複数のサブノズルによって筬の筬内通路を飛走させて、経糸の開口に緯入れする緯入れ装置と、
緯入れされた前記緯糸の先端が、当該緯糸の最終到達位置に到達した最終到達時点を出力する第1緯糸検知部と、
緯入れされた前記緯糸の先端が、前記最終到達位置より緯入れ方向の上流側の所定位置に到達した中間到達時点を出力する第2緯糸検知部と、を備えるエアジェット織機における情報表示装置であって、
前記サブノズルから圧縮エアを噴射させるサブバルブの動作を複数のサブバルブ毎に設定した動作パターンを記憶し、記憶した複数の前記動作パターン毎に前記最終到達時点及び前記中間到達時点を取得するとともに、前記最終到達時点と前記中間到達時点との差である時間差を前記動作パターン毎に紐付けて記憶するパターン設定記憶部と、
前記パターン設定記憶部に記憶された複数の前記動作パターンのうち、紐付けされた前記時間差が最大となった動作パターンを抽出するパターン抽出部と、
前記パターン抽出部によって抽出された動作パターンを表示する表示装置と、を備えることを特徴とするエアジェット織機における情報表示装置。
【0071】
[態様2]
前記第2緯糸検知部は、織幅内の前記筬内通路に対向する位置に配置されている[態様1]に記載のエアジェット織機における情報表示装置。
【0072】
[態様3]
前記第2緯糸検知部は、前記貯留ドラムから解舒される前記緯糸を検出するバルーンセンサである[態様1]に記載のエアジェット織機における情報表示装置。
【0073】
[態様4]
前記パターン抽出部は、前記パターン設定記憶部に記憶された複数の前記動作パターンのうち、前記最終到達時点が所定値以下で、かつ紐付けされた前記時間差が最大となった動作パターンを抽出する[態様1]~[態様3]のいずれか一つに記載のエアジェット織機における情報表示装置。
【0074】
[態様5]
前記時間差が最大となった動作パターンを抽出するための条件を選択可能に前記表示装置に表示させるモード選択部を備える[態様1]~[態様4]のいずれか一つに記載のエアジェット織機における情報表示装置。
【符号の説明】
【0075】
ΔT…時間差、T…経糸、Ti…中間到達時点、Tw…最終到達時点、Y…緯糸、10…緯入れ装置、14…筬、14a…筬内通路、15…サブノズル、17…貯留ドラム、18…緯糸係止ピン、19…バルーンセンサ、22…メインノズル、32…サブバルブ、40…第1緯糸検知部、41…第2緯糸検知部、100…情報表示装置、111…パターン設定記憶部、121…パターン抽出部、131…モード選択部、202…表示装置。