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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174485
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ベルトモール
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20241210BHJP
   B60J 10/75 20160101ALI20241210BHJP
   B60J 10/36 20160101ALI20241210BHJP
   B60J 10/23 20160101ALI20241210BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B60R13/04 Z
B60J10/75
B60J10/36
B60J10/23
F16B5/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092337
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大
【テーマコード(参考)】
3D023
3D201
3J001
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB01
3D023AC03
3D023AD03
3D023AD26
3D201AA21
3D201BA01
3D201CA20
3D201DA16
3D201DA31
3D201DA34
3D201EA03A
3D201FA05
3J001FA03
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA04
3J001HA10
3J001JC02
3J001JC06
3J001JC13
3J001KA19
3J001KA21
3J001KB01
(57)【要約】
【課題】フランジ部と窓板との間の距離に関わらず、クリップ部材を安定してフランジ部に取り付けでき、かつ、シール部材のシール部を窓板に接触可能なベルトモールを提供する。
【解決手段】車両用ドア1のドアパネル10上縁に形成されたフランジ部100に沿って取り付けられるベルトモール2は、長尺状のモール本体部材3と、窓板12に接触可能なシール部40を備え、モール本体部材3に固定されるシール部材4と、モール本体部材3をフランジ部100に取り付け可能なクリップ部材5とを有する。モール本体部材3は、車外側側壁部31と車内側側壁部32と頂壁部33とを有する。車内側側壁部32は、シール部材取付部321とクリップ部材取付部322とがベルトモール2の長手方向で隣接形成されている。クリップ部材5を支持するクリップ部材取付部322は、シール部材4を支持するシール部材取付部321に対して車外側に位置している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアのドアパネルの上縁に形成されたフランジ部に沿って取り付けられる長尺状のベルトモールであって、
上記ベルトモールは、長尺状のモール本体部材と、上記車両用ドアの窓板に接触可能に形成されたシール部を備え、上記モール本体部材に固定されるシール部材と、上記モール本体部材を上記フランジ部に取り付け可能に形成されたクリップ部材とを有しており、
上記モール本体部材は、互いに対向する車外側側壁部および車内側側壁部と、これら両側壁部を一体に連結する頂壁部とを有しており、
上記車内側側壁部は、上記シール部材を取り付けるためのシール部材取付部と、上記クリップ部材を取り付けるためのクリップ部材取付部とが上記ベルトモールの長手方向において隣接して形成されており、
上記クリップ部材を支持する上記クリップ部材取付部は、上記シール部材を支持する上記シール部材取付部に対して車外側に位置している、
ベルトモール。
【請求項2】
上記シール部材は、上記シール部材取付部に固定される固定部と、上記固定部から車内側に突出する上記シール部とを有しており、
上記シール部材取付部は、板状に形成されており、
上記シール部材取付部の車内側の面に、上記シール部材の上記固定部が重ねられて固定されている、
請求項1に記載のベルトモール。
【請求項3】
上記シール部材取付部は、車内側の面から車内側に突出する突出部を有しており、
上記シール部材は、上記固定部に形成された貫通孔を有しており、
上記突出部が上記貫通孔に挿通されて加締められた状態とされることにより、上記シール部材取付部に上記シール部材が固定されている、
請求項2に記載のベルトモール。
【請求項4】
上記クリップ部材は、上記クリップ部材取付部に支持される基部を有しており、
上記クリップ部材取付部は、上記シール部材取付部よりも車外側に位置して上記クリップ部材の上記基部を支持する支持部と、上記支持部から車内側に突出するとともに上記シール部材取付部と連結する嵩高部とを有している、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルトモール。
【請求項5】
上記嵩高部の車内側の面は、上記シール部材取付部の車内側の面と同一面である、
請求項4に記載のベルトモール。
【請求項6】
上記クリップ部材は、上記基部の下端に係止部を有しており、
上記クリップ部材取付部は、上記支持部の下端に被係止部を有しており、
上記係止部が上記被係止部に係止されている、
請求項4に記載のベルトモール。
【請求項7】
上記シール部材は、上記シール部材取付部に固定される固定部と、上記固定部から車内側に突出する上記シール部とを有しており、
上記車内側側壁部は、上記ベルトモールの長手方向において断続的に形成された複数のリブ部を有しており、
上記リブ部は、上記固定部を支持する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルトモール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトモールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両のフロントドアやリアドアなどの車両用ドアにおいて、ドアパネルの上縁に形成されたフランジ部に沿って取り付けられる長尺状のベルトモールが知られている。ベルトモールは、ドアパネルと窓板(ウインドガラス)との間をシールするとともに、窓板が昇降する際に弾接状態で窓板と擦れ合うことにより窓板表面の雨水や塵埃などを拭き取ることができる。この種のベルトモールとしては、長尺状に形成されたモール本体部と、モール本体部をフランジ部に取り付けるためのクリップ部材とを有するものが知られている。
【0003】
上記のようなベルトモールとしては、例えば、特許文献1に記載のものが公知である。なお、以下に示す特許文献1の各部材の符号は、特許文献1の記載のものを使用する。特許文献1のドアモール7(ベルトモールに相当)では、具体的には、特許文献1の図2に記載されるように、アウタパネル23(ドアパネルに相当)の上端部24(フランジ部に相当)をクリップ17の本体部10と挟持部26とで挟持している。そして、大きいリップ部8aが窓板に接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-72548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のドアモール7は、アウタパネル23の上端部24と窓板との間の距離が大きい場合、アウタパネル23の上端部24をクリップ17が挟持できるようにドアモール7を配置すると、大きいリップ部8aが窓板に接触せず、窓板の雨水などを拭き取ることができないおそれがある。また、仮に、大きいリップ部8aの長さを長くしたとしても、大きいリップ部8aの反力が下がるため、窓板の雨水などを十分に拭き取ることが困難である。
【0006】
一方、大きいリップ部8aが窓板に接触するようにドアモール7を配置すると、ドアモール7の内側端21がアウタパネル23から離れた位置になる。そのため、アウタパネル23の上端部24をクリップ17で挟持できず、ドアモール7をアウタパネル23に安定して取り付けることができない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、フランジ部と窓板との間の距離に関わらず、クリップ部材を安定してフランジ部に取り付けることができ、かつ、シール部材のシール部を窓板に接触させることが可能なベルトモールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るベルトモールは、以下の通りである。
【0009】
第1の発明は、
車両用ドアのドアパネルの上縁に形成されたフランジ部に沿って取り付けられる長尺状のベルトモールであって、
上記ベルトモールは、長尺状のモール本体部材と、上記車両用ドアの窓板に接触可能に形成されたシール部を備え、上記モール本体部材に固定されるシール部材と、上記モール本体部材を上記フランジ部に取り付け可能に形成されたクリップ部材とを有しており、
上記モール本体部材は、互いに対向する車外側側壁部および車内側側壁部と、これら両側壁部を一体に連結する頂壁部とを有しており、
上記車内側側壁部は、上記シール部材を取り付けるためのシール部材取付部と、上記クリップ部材を取り付けるためのクリップ部材取付部とが上記ベルトモールの長手方向において隣接して形成されており、
上記クリップ部材を支持する上記クリップ部材取付部は、上記シール部材を支持する上記シール部材取付部に対して車外側に位置している、
ベルトモールとしたものである。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、
上記シール部材は、上記シール部材取付部に固定される固定部と、上記固定部から車内側に突出する上記シール部とを有しており、
上記シール部材取付部は、板状に形成されており、
上記シール部材取付部の車内側の面に、上記シール部材の上記固定部が重ねられて固定されている、
ベルトモールとしたものである。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、
上記シール部材取付部は、車内側の面から車内側に突出する突出部を有しており、
上記シール部材は、上記固定部に形成された貫通孔を有しており、
上記突出部が上記貫通孔に挿通されて加締められた状態とされることにより、上記シール部材取付部に上記シール部材が固定されている、
ベルトモールとしたものである。
【0012】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれか1つにおいて、
上記クリップ部材は、上記クリップ部材取付部に支持される基部を有しており、
上記クリップ部材取付部は、上記シール部材取付部よりも車外側に位置して上記クリップ部材の上記基部を支持する支持部と、上記支持部から車内側に突出するとともに上記シール部材取付部と連結する嵩高部とを有している、
ベルトモールとしたものである。
【0013】
第5の発明は、第4の発明において、
上記嵩高部の車内側の面は、上記シール部材取付部の車内側の面と同一面である、
ベルトモールとしたものである。
【0014】
第6の発明は、第4の発明または第5の発明において、
上記クリップ部材は、上記基部の下端に係止部を有しており、
上記クリップ部材取付部は、上記支持部の下端に被係止部を有しており、
上記係止部が上記被係止部に係止されている、
ベルトモールとしたものである。
【0015】
第7の発明は、第1の発明から第6の発明のいずれか1つにおいて、
上記シール部材は、上記シール部材取付部に固定される固定部と、上記固定部から車内側に突出する上記シール部とを有しており、
上記車内側側壁部は、上記ベルトモールの長手方向において断続的に形成された複数のリブ部を有しており、
上記リブ部は、上記固定部を支持する、
ベルトモールとしたものである。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明のベルトモールにおいては、クリップ部材を支持する車内側側壁部のクリップ部材取付部が、シール部材を支持する車内側側壁部のシール部材取付部に対して車外側に位置している。そのため、第1の発明のベルトモールによれば、クリップ部材取付部にクリップ部材を当てた状態で取り付け、シール部材取付部にシール部材を当てた状態で取り付けることができる。それ故、第1の発明のベルトモールによれば、フランジ部と窓板との間の距離に関わらず、クリップ部材を安定してフランジ部に取り付けることができ、かつ、シール部材のシール部を窓板に接触させることができるという効果がある。
【0017】
第2の発明のベルトモールによれば、第1の発明のベルトモールの効果に加えて、さらに、シール部材取付部が板状であるため、シール部材取付部の車内側の面にシール部材の固定部を重ねて安定して固定することができるという効果がある。
【0018】
第3の発明のベルトモールによれば、第2の発明のベルトモールの効果に加えて、さらに、シール部材取付部にシール部材を強固に固定することができるという効果がある。
【0019】
第4の発明のベルトモールによれば、第1の発明から第3の発明のいずれか1つのベルトモールの効果に加えて、さらに、クリップ部材取付部の支持部によりクリップ部材の基部を安定して支持することができ、また、クリップ部材取付部の嵩高部によりシール部材が車外側へたわむことを抑制することができるという効果がある。
【0020】
第5の発明のベルトモールによれば、第4の発明のベルトモールの効果に加えて、さらに、クリップ部材取付部において、嵩高部の車内側の面でもシール部材を支えることが可能になり、シール部材をモール本体部材に安定して固定することができるという効果がある。
【0021】
第6の発明のベルトモールによれば、第4の発明または第5の発明のベルトモールの効果に加えて、さらに、クリップ部材をモール本体部材に比較的簡易に固定することができるという効果がある。
【0022】
第7の発明のベルトモールによれば、第1の発明から第6の発明のいずれか1つのベルトモールの効果に加えて、さらに、シール部材の固定部をリブ部でも支えることができるため、シール部材の固定部が変形するなどしてシール部材の性能が低下することを抑制することができるという効果がある。また、第7の発明のベルトモールによれば、第1の発明から第6の発明のいずれか1つのベルトモールの効果に加えて、さらに、車内側側壁部に、複数のリブ部がベルトモールの長手方向で断続的に形成されているため、肉厚に形成される部分を少なくすることができ、モール本体部材にヒケが発生することを抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、一実施形態に係るベルトモールが適用される車両用ドアの正面図である。
図2図2は、リアドアのドアパネルの上縁に形成されたフランジ部に沿って取り付けられる一実施形態に係るベルトモールの分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係るベルトモールが有するモール本体部材の部分拡大図である。
図4図4は、一実施形態に係るベルトモールの斜視図である。
図5図5は、図4に示した部分Aの拡大図である。
図6図6は、一実施形態に係るベルトモールにおいて、車内側側壁部にリブ部が形成されている部位のVI-VI線断面図である。
図7図7は、一実施形態に係るベルトモールの変形例を図6に対応させて示した断面図である。
図8図8は、一実施形態に係るベルトモールにおいて、シール部材取付部に突出部が形成されている部位のVIII-VIII線断面図である。
図9図9は、一実施形態に係るベルトモールにおいて、クリップ部材取付部に被係止部が形成された部位のIX-IX線断面図である。
図10図10は、一実施形態に係るベルトモールにおいて、クリップ部材取付部に被係止部が形成されていない部位のX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
一実施形態のベルトモールについて、図1図10を用いて説明する。以下に示す本実施形態では、車両(自動車)の左側面に装着される車両用ドアの一つである左側のリアドアに取り付けられるベルトモールを例に用いて説明するが、かかる形態に限定されない。本開示のベルトモールは、例えば、右側のリアドア、左側のフロントドア、右側のフロントドアなどの車両用ドアに取り付けられるものであってもよい。なお、本実施形態では、図1図2図3および図6に示した各方向を、上側、下側、前側および後側とする。また、図2および図3に示した各方向を、車外側および車内側とする。
【0025】
(車両用ドア)
図1に例示されるように、車両用ドア1(フロントドア1f、リアドア1r)は、ドア本体を構成するドアパネル10と、ドアパネル10の上側に形成され、窓開口部111が設けられた窓枠11と、窓開口部111内を上下昇降可能に配設された窓板12とを有している。ドアパネル10は、車外側に配置されたアウタードアパネル101(図6参照)と、車内側に配置されたインナードアパネル(不図示)とを有している。ドアパネル10の上縁(窓開口部111の下縁)には、ドアパネル10の先端部が折り返された状態にヘミング加工されることによりフランジ部100(図6参照)が形成されている。車両用ドア1は、フランジ部100に沿って長尺状のベルトモール2が車両前後方向に取り付けられている。なお、本実施形態において、ベルトモール2は、具体的には、アウターベルトモールであり、ドアパネル10は、アウタードアパネル101である。
【0026】
(ベルトモール)
ベルトモール2は、上述したように、車両用ドア1のドアパネル10の上縁に形成されたフランジ部100に沿って取り付けられる長尺状のものである。ベルトモール2は、図2に例示されるように、モール本体部材3と、シール部材4と、クリップ部材5とを有している。図2では、ベルトモール2が、さらに、弾性部材6を有している例が示されている。なお、弾性部材6は、必要に応じて設けることができるものである。
【0027】
モール本体部材3は、ベルトモール2の本体をなす部材であり、熱可塑性樹脂を用いたガスアシスト射出成形により長尺状に形成されている。モール本体部材3を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂などを用いることができる。モール本体部材3を構成する熱可塑性樹脂のロックウェル硬度は、例えば、100~120などとすることができる。ここでは、ロックウェル硬度が115であるアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂を用いる。
【0028】
モール本体部材3は、図6などに例示されるように、互いに対向する車外側側壁部31および車内側側壁部32と、これら車外側側壁部31および車内側側壁部32を一体に連結する頂壁部33とを有している。本実施形態において、モール本体部材3は、車外側側壁部31および車内側側壁部32が互いに所定の間隔で対向して設けられていることにより、車両前後方向に垂直な断面視で略U字形状に形成されている。また、モール本体部材3において、頂壁部33の内部には、図6などに例示されるように、上述したガスアシスト射出成形に起因する中空部330が形成されている。
【0029】
車内側側壁部32は、図2に例示されるように、シール部材4を取り付けるためのシール部材取付部321と、クリップ部材5を取り付けるためのクリップ部材取付部322とがベルトモール2の長手方向において隣接して形成されている。本実施形態では、車内側側壁部32は、具体的には、複数のシール部材取付部321と複数のクリップ部材取付部322とを有しており、これらシール部材取付部321およびクリップ部材取付部322がベルトモール2の長手方向において交互に隣り合うように配置されている。クリップ部材取付部322はクリップ部材5を支持可能に構成され、シール部材取付部321はシール部材4を支持可能に構成されている。詳細については後述する。
【0030】
シール部材4は、車両用ドア1の窓板12に接触可能に形成されたシール部40を備え、モール本体部材3に固定されている。ベルトモール2がドアパネル10のフランジ部100に沿って取り付けられた際に、シール部40が窓板12と弾接することにより、窓板12の昇降時に窓板12表面の雨水や塵埃などが拭き取られる。
【0031】
本実施形態では、シール部材4は、シール部材取付部321に固定される固定部41を有している。シール部40は、固定部41から車内側に突出するように形成されている。なお、図2では、シール部材4が、互いに離間して配置された複数のシール部40を有する例が示されているが、シール部材4は、単数のシール部40を有するように構成されていてもよい。また、シール部材4は、図2などに例示されるように、固定部41の上端から上方へ突出するように形成された車内側リップ部42を有していてもよい。車内側リップ部42は、先端部をモール本体部材3に弾接させることにより、シール部材取付部321およびクリップ部材取付部322の上側をシールするためのものである。
【0032】
本実施形態では、シール部材4は、シール部40および車内側リップ部42が熱可塑性エラストマーにより形成されており、固定部41が熱可塑性樹脂により形成されている。シール部材4は、具体的には、シール部40および車内側リップ部42を形成するための熱可塑性エラストマーと、固定部41を形成するための熱可塑性樹脂とを用いた共押出成形により形成することができる。本実施形態では、シール部40および車内側リップ部42を構成する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどを用いることができ、固定部41を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンなどを用いることができる。シール部40および車内側リップ部42を構成する熱可塑性エラストマーのJIS K 7215によるデュロメータ硬さ(タイプA)は、例えば、70~90などとすることができる。ここでは、デュロメータ硬さ(タイプA)が70であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる。固定部41を構成する熱可塑性樹脂のJIS K 7215によるデュロメータ硬さ(タイプD)は、例えば、60~80などとすることができる。ここでは、デュロメータ硬さ(タイプD)が70であるポリプロピレン(PP)を用いる。
【0033】
クリップ部材5は、モール本体部材3をフランジ部100に取り付け可能に形成されている。本実施形態では、クリップ部材5は、図2および図9に例示されるように、クリップ部材取付部322に支持される基部51と、基部51よりも車外側に位置して基部51との間でフランジ部100を挟持する挟持部52とを少なくとも有している。クリップ部材5は、熱可塑性樹脂を用いた射出成形により形成されている。ここでは、クリップ部材5を構成する熱可塑性樹脂として、ポリアセタール(ポリオキシメチレン、POM)樹脂を用いる。
【0034】
弾性部材6は、必要に応じて、モール本体部材3の車外側側壁部31における車内側の面に取り付けられる。弾性部材6は、車外側側壁部31の下側からフランジ部100側へ雨水や風などが侵入しないようにシールするためのものである。
【0035】
本実施形態では、弾性部材6は、図2および図6などに例示されるように、車外側側壁部31における車内側の面に取り付けるための取付部61と、取付部61の下縁から突出する複数の車外側リップ部621、622とを有している。ここでは、取付部61は、両面テープ60を介して車外側側壁部31における車内側の面に接着されている。なお、車外側に配置される車外側リップ部621は、車外側側壁部31の下端部と弾接し、車外側リップ部621よりも車内側に配置される車外側リップ部622は、ドアパネル10に弾接する。これにより、車外側側壁部31の下側からフランジ部100側への雨水や風などの侵入を防止することができる。
【0036】
本実施形態では、弾性部材6は、車外側リップ部621、622が熱可塑性エラストマーにより形成されており、取付部61が熱可塑性樹脂により形成されている。弾性部材6は、具体的には、車外側リップ部621、622を形成するための熱可塑性エラストマーと、取付部61を形成するための熱可塑性樹脂とを用いた共押出成形により形成することができる。本実施形態では、車外側リップ部621、622を構成する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどを用いることができ、取付部61を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンなどを用いることができる。車外側リップ部621、622を構成する熱可塑性エラストマーのJIS K 7215によるデュロメータ硬さ(タイプA)は、例えば、70~90などとすることができる。ここでは、デュロメータ硬さ(タイプA)が70であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる。取付部61を構成する熱可塑性樹脂のJIS K 7215によるデュロメータ硬さ(タイプD)は、例えば、60~80などとすることができる。ここでは、デュロメータ硬さ(タイプD)が70であるポリプロピレン(PP)を用いる。
【0037】
ここで、ベルトモール2では、図6図10などに例示されるように、クリップ部材5を支持するクリップ部材取付部322が、シール部材4を支持するシール部材取付部321に対して車外側に位置している。見方を変えれば、シール部材4を支持するシール部材取付部321が、クリップ部材5を支持するクリップ部材取付部322に対して車内側に位置しているということもできる。なお、クリップ部材取付部322とシール部材取付部321の位置関係は、車外内方向において、クリップ部材取付部322におけるクリップ部材5を支持している部分の位置と、シール部材取付部321におけるシール部材4を支持している部分の位置とを比較することにより把握することができる。
【0038】
本実施形態では、クリップ部材取付部322は、図3図9などに例示されるように、シール部材取付部321よりも車外側に位置してクリップ部材5の基部51を支持する支持部322aを有している。ここでは、支持部322aは、クリップ部材取付部322における車両前側の端縁と、クリップ部材取付部322における車両後側の端縁とにそれぞれ設けられている。つまり、各クリップ部材取付部322は、それぞれ一対の支持部322aを有しており、車両前側の支持部322aおよび車両後側の支持部322aは、空間を空けて配置されている。本実施形態では、図9などに例示されるように、クリップ部材取付部322におけるクリップ部材5を支持している部分は、クリップ部材5が支持部322aに当接している面322mであるということができる。
【0039】
本実施形態では、シール部材取付部321は、図3および図6などに例示されるように、板状に形成されている。このシール部材取付部321の車内側の面321mに、シール部材4の固定部41が重ねられて固定されている。本実施形態では、図6などに例示されるように、シール部材取付部321におけるシール部材4を支持している部分は、シール部材4の固定部41が当接するシール部材取付部321の車内側の面321mであるということができる。
【0040】
図3図6および図9などによれば、本実施形態のベルトモール2では、車外内方向において、クリップ部材取付部322におけるクリップ部材5を支持している上述の面322mの位置は、シール部材取付部321におけるシール部材4を支持している上述の面321mの位置よりも車外側に位置していることが理解される。
【0041】
このように本実施形態のベルトモール2は、クリップ部材5を支持する車内側側壁部32のクリップ部材取付部322が、シール部材4を支持する車内側側壁部32のシール部材取付部321に対して車外側に位置している。そのため、本実施形態のベルトモール2によれば、クリップ部材取付部322にクリップ部材5を当てた状態で取り付け、シール部材取付部321にシール部材4を当てた状態で取り付けることができる。それ故、本実施形態のベルトモール2によれば、フランジ部100と窓板12との間の距離に関わらず、クリップ部材5を安定してフランジ部100に取り付けることができ、かつ、シール部材4のシール部40を反力が落ちないような状態で窓板12に接触させることができる。
【0042】
なお、本実施形態のベルトモール2においては、図10に例示されるように、フランジ部100と窓板12との距離Xが比較的大きな場合であっても、クリップ部材5が安定してフランジ部100を挟持することができ、かつ、シール部材4のシール部40を窓板12に弾接させることができる。
【0043】
本実施形態のベルトモール2において、シール部材4は、図2図6および図8などに例示されるように、シール部材取付部321に固定される固定部41と、固定部41から車内側に突出するシール部40とを有している。また、シール部材取付部321は、図2図3図6および図8などに例示されるように、板状に形成されている。そして、シール部材取付部321の車内側の面321mに、シール部材4の固定部41が重ねられて固定されている。
【0044】
本実施形態のベルトモール2によれば、シール部材取付部321が板状であるため、シール部材取付部321の車内側の面321mにシール部材4の固定部41を重ねて安定して固定することができる。
【0045】
本実施形態のベルトモール2において、シール部材取付部321は、図2および図3などに例示されるように、車内側の面321mから車内側に突出する突出部321aを有している。また、シール部材4は、図2および図8などに例示されるように、固定部41に形成された貫通孔411を有している。そして、シール部材4は、図8などに例示されるように、突出部321aが貫通孔411に挿通されて加締められた状態とされることによってシール部材取付部321に固定されている。
【0046】
本実施形態では、具体的には、貫通孔411に挿通した突出部321aの先端を加熱溶融させながら突出部321aを潰す方向に力を加え、突出部321aの先端を変形させて熱加締め部321bとすることにより、シール部材取付部321にシール部材4を固定している。なお、突出部321aの先端にある熱加締め部321bの外径が固定部41の貫通孔411の外径よりも大きく形成されることにより、熱加締め後に、熱加締め部321bが貫通孔411から抜けないように固定される。
【0047】
本実施形態のベルトモール2によれば、シール部材取付部321にシール部材4を強固に固定することができる。なお、本実施形態では、図2および図3に例示されるように、各シール部材取付部321に突出部321aが2個ずつ形成され、これに対応して、シール部40の固定部41に貫通孔411が形成されている例が示されているが、突出部321aおよび貫通孔411の数は、特に限定されるものではない。突出部321aは、各シール部材取付部321に単数ずつ形成されていてもよいし、2個以外の複数個ずつ形成されていてもよい。また、各シール部材取付部321および各固定部41に形成される突出部321aおよび貫通孔411の数は、同じであってもよいし、貫通孔411の数が多くてもよい。更に、貫通孔411の形状は、特に限定されるものではない。貫通孔411は、丸孔のみでも長孔のみでも両者の混合でも良い。例えば、シール部材4の長手方向の片側の端部の貫通孔411のみを丸孔にしてモール本体部材3に対するシール部材4の位置の基準にし、他の貫通孔411を長孔にすることにより突出部321aと貫通孔411との互いの位置のばらつきを吸収しても良い。
【0048】
本実施形態のベルトモール2において、クリップ部材5は、図2図9および図10などに例示されるように、クリップ部材取付部322に支持される基部51を有している。また、クリップ部材取付部322は、図3図9および図10などに例示されるように、シール部材取付部321よりも車外側に位置してクリップ部材5の基部51を支持する支持部322aと、支持部322aから車内側に突出するとともにシール部材取付部321と連結する嵩高部322bとを有している。
【0049】
本実施形態では、具体的には、嵩高部322bは、板状に形成されている。嵩高部322bの車両前側の端面は、クリップ部材取付部322よりも車両前側にて隣り合うシール部材取付部321の車両後側の端縁に連結している。同様に、嵩高部322bの車両後側の端面は、クリップ部材取付部322よりも車両後側にて隣り合うシール部材取付部321の車両前側の端縁に連結している。したがって、嵩高部322bは、図3に例示されるように、隣り合うシール部材取付部321間に位置するクリップ部材取付部322の空間部分を車両前後方向で橋掛けするように形成されているということもできる。また、本実施形態では、図3に例示されるように、嵩高部322bの車内側の面322nは、シール部材取付部321の車内側の面321mと同一面となるように配置されている。
【0050】
本実施形態のベルトモール2によれば、クリップ部材取付部322の支持部322aによりクリップ部材5の基部51を安定して支持することができ、また、クリップ部材取付部322の嵩高部322bによりシール部材4が車外側へたわむことを抑制することができる。とりわけ、本実施形態のベルトモール2では、嵩高部322bの車内側の面322nがシール部材取付部321の車内側の面321mと同一面であるため、クリップ部材取付部322において、嵩高部322bの車内側の面322nでもシール部材4を支えることが可能になり、シール部材4をモール本体部材3に安定して固定することができる。なお、本実施形態では、図3などに例示されるように、各クリップ部材取付部322に嵩高部322bが1個ずつ形成されている例が示されているが、嵩高部322bの数は、特に限定されるものではない。嵩高部322bは各クリップ部材取付部322に複数個ずつ形成されていてもよい。また、各クリップ部材取付部322において、嵩高部322bの数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、嵩高部322bの車内側の面322nは、シール部材取付部321の車内側の面321mよりも車外側に形成されていても良い。
【0051】
また、図10に例示されるように、嵩高部322bの長さYは、フランジ部100と窓板12との距離Xに対応して適宜設定することができる。例えば、車両用ドア1において、車両前後方向におけるフランジ部100と窓板12との距離Xが一定でない場合には、クリップ部材5がフランジ部100に取り付けられる位置によって嵩高部322bの長さYを適宜変えて対応すればよい。
【0052】
本実施形態のベルトモール2において、クリップ部材5は、図2および図9に例示されるように、基部51の下端に係止部53を有している。また、クリップ部材取付部322は、支持部322aの下端に被係止部322cを有している。そして、クリップ部材5の係止部53がクリップ部材取付部322の被係止部322cに係止されている。
【0053】
本実施形態では、具体的には、クリップ部材5の係止部53は、基部51の下端から車内側へ延びた後に上側へ延びた延設部分の先端(上端)に、車外側に突出する係止部側爪状部530が形成されている。また、クリップ部材取付部322の被係止部322cは、支持部322aの下端に、車内側に突出する被係止部側爪状部322dが形成されている。
【0054】
本実施形態のベルトモール2によれば、クリップ部材5の係止部53をクリップ部材取付部322の被係止部322cに係止することにより、クリップ部材5をモール本体部材3に比較的簡易に固定することができる。なお、本実施形態では、図9に例示されるように、係止部側爪状部530を有する係止部53と、被係止部側爪状部322dを有する被係止部322cとが係合することによって、係止部53が被係止部322cに係止されるように構成されているが、これに限定されることなく、種々の係止構造を採用することが可能なものである。
【0055】
本実施形態のベルトモール2において、車内側側壁部32は、図2図3図6および図9などに例示されるように、ベルトモール2の長手方向において断続的に形成された複数のリブ部323を有しており、リブ部323は、シール部40が当接した際に固定部41を支持可能とされている。
【0056】
本実施形態では、具体的には、複数のリブ部323は、車内側側壁部32の上端縁に、ベルトモール2の長手方向において所定間隔離間した状態で立設されている。各リブ部323は、いずれも板状に形成されている。リブ部323は、シール部40の固定部41の上部を支持可能とされている。
【0057】
本実施形態のベルトモール2によれば、シール部材4の固定部41をリブ部323でも支えることができるため、シール部材4の固定部41が変形するなどしてシール部材4の性能が低下することを抑制することができる。また、本実施形態のベルトモール2によれば、車内側側壁部32に、複数のリブ部323がベルトモール2の長手方向で断続的に形成されているため、肉厚に形成される部分を少なくすることができ、モール本体部材3にヒケが発生することを抑制することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、図3図6および図9などに例示したように、車内側側壁部32にリブ部323が形成されている例を示したが、車内側側壁部32にリブ部323を形成せずに、例えば、図7に例示されるように、シール部材4の固定部41の上部における車外側の面に、固定部41を支える凸部43を形成してもよい。この場合、凸部43は、車内側側壁部32の上部に当接し、固定部41を支持する。凸部43は、シール部材4の長手方向に沿って連続的に形成されていても断続的に形成されていてもよい。なお、シール部材4の長手方向に沿って連続して延びる凸部は、シール部材4を押出成形する際に簡易に形成することが可能である。
【0059】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記実施形態に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。また、出願当初の特許請求の範囲に記載の各請求項同士は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用ドア
10 ドアパネル
100 フランジ部
12 窓板
2 ベルトモール
3 モール本体部材
31 車外側側壁部
32 車内側側壁部
321 シール部材取付部
322 クリップ部材取付部
33 頂壁部
4 シール部材
40 シール部
5 クリップ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10