(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017449
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】水切り部品及び建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/14 20060101AFI20240201BHJP
E06B 3/00 20060101ALI20240201BHJP
E06B 3/96 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E06B7/14
E06B3/00 A
E06B3/96 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120088
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】車谷 安奈
【テーマコード(参考)】
2E035
2E036
【Fターム(参考)】
2E035AA02
2E035AA03
2E035BA02
2E036RA06
2E036RA08
2E036RA10
2E036RB02
2E036RC02
2E036TA01
2E036UA01
(57)【要約】
【課題】外壁が汚損する事態を防止し、かつ取付作業を容易化する。
【解決手段】外壁Wから突出する枠体10の下隅部に取り付けられ、枠体10の下方域に配置される下方水切り部31と、少なくとも一部が下方水切り部31よりも上方に位置し、枠体10の側方域に配置される側方水切り部32とを有した水切り部品30であって、下方水切り部31の外壁W側となる後面31aと側方水切り部32の外壁W側となる後面32aとが互いに同一の平面上に位置するように設けられ、下方水切り部31の後面31a及び側方水切り部32の後面32aには、外壁Wとの間に介在される後方水密材3が設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁から突出する構造物の下隅部に取り付けられ、前記構造物の下方域に配置される下方水切り部と、少なくとも一部が前記下方水切り部よりも上方に位置し、前記構造物の側方域に配置される側方水切り部とを有した水切り部品であって、
前記下方水切り部の前記外壁側となる後面と前記側方水切り部の前記外壁側となる後面とが互いに同一の平面上に位置するように設けられ、
前記下方水切り部の後面及び前記側方水切り部の後面には、前記外壁との間に介在される後方水密材が設けられていることを特徴とする水切り部品。
【請求項2】
前記側方水切り部は、少なくとも一部が前記外壁から離隔する方向に向けて下方に延在する側方水受面と、前記側方水受面の側縁部から上方に突出するように設けられ、前記構造物の側面に対向する側方側壁部とを有し、
前記側方側壁部には、前記外壁に近接する後縁部に幅広部が設けられ、
前記幅広部の後面は、前記側方水切り部の後面と同一の平面上に位置し、
前記幅広部の後面には、前記外壁との間に介在される後方水密材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水切り部品。
【請求項3】
前記下方水切り部の後面から前記側方水切り部の後面及び前記幅広部の後面にわたる部分に前記後方水密材が一連に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の水切り部品。
【請求項4】
前記下方水切り部には、上下方向に沿ってネジ挿通孔が貫通され、
前記ネジ挿通孔を介して前記構造物の下面にネジを螺合することにより前記構造物の下隅部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の水切り部品。
【請求項5】
前記ネジ挿通孔は、前記外壁に対して近接離隔する方向に沿って長孔状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の水切り部品。
【請求項6】
前記側方水切り部において前記下方水切り部よりも上方に位置する部分には、前記構造物との間に介在される側方水密材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水切り部品。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一つに記載された水切り部品が枠体の下隅部に取り付けられていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具やベランダ等の構造物を適用対象とする水切り部品及びこれを取り付けた建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁から突出した窓等の構造物を適用対象とする水切り部品としては、構造物の下方域に配置される下方水切り部と、構造物の側方域に配置される側方水切り部とを有したものがある。この水切り部品は、例えば下方水切り部に設けられたネジ挿通孔を介して構造物の下面にネジを螺合することによって取り付けられた状態となる。上記のようにして水切り部品を取り付けた構造物によれば、側方水切り部によって構造物よりも側方の外壁を伝う水が外壁から離間する方向に案内されるため、外壁を伝う水が構造物の下面に到達する事態を防止することができる。また、下方水切り部によって構造物の下面を伝う水が外壁から離間する方向に案内されるため、構造物を通過した水が外壁に到達することを防止することができ、外壁が汚損される事態を招来するおそれがなくなる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、構造物の内部には、リブ等の補強部が設けられている場合が多い。このため、ネジを螺合する際に補強部と合致すると、ネジを螺合することができず、取付作業が困難となる。特に、部品の共用化を図るべく形状が異なる構造物に対して同じ水切り部品を取り付ける場合には上述の問題に遭遇する頻度が増す。外壁に対する水切り部品の見込み方向の取付位置を調整すれば上述の問題を解決することは可能である。つまり、水切り部品を外壁に近接離隔する方向に移動させることによりネジ挿通孔の位置を補強部に合致しない位置までずらせば良い。しかしながら、上述の水切り部品によって外壁の汚損を確実に防止するには、側方水切り部の後面に設けられた水密材を外壁に当接させると同時に、下方水切り部の後面を外壁に隙間無く当接させる必要があるため、水切り部品の取付位置を調整して対応することは困難となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、外壁が汚損する事態を防止し、かつ取付作業を容易化することのできる水切り部品及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る水切り部品は、外壁から突出する構造物の下隅部に取り付けられ、前記構造物の下方域に配置される下方水切り部と、少なくとも一部が前記下方水切り部よりも上方に位置し、前記構造物の側方域に配置される側方水切り部とを有した水切り部品であって、前記下方水切り部の前記外壁側となる後面と前記側方水切り部の前記外壁側となる後面とが互いに同一の平面上に位置するように設けられ、前記下方水切り部の後面及び前記側方水切り部の後面には、前記外壁との間に介在される後方水密材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、側方水切り部の後面及び下方水切り部の後面にそれぞれ後方水密材を設けるようにしているため、外壁との間に隙間を生じることなく外壁への取付位置を見込み方向に調整することが可能となる。これにより、外壁が汚損する事態を防止し、かつ取付作業を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1である建具を室外側から見た姿図である。
【
図3】
図1に示した建具の要部を示すもので、(a)は水切り部品を取り付ける以前の縦断面図、(b)は水切り部品を取り付けた状態の縦断面図である。
【
図4】
図1に示した建具に適用する水切り部品を示すもので、(a)は前面側から見た斜視図、(b)は平面図、(c)は前面側から見た図、(d)は底面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図、(g)は縦断面図である。
【
図5】
図1に示した建具に適用する水切り部品を後面側から見たもので、(a)は斜視図、(b)は後方水密材を取り外した状態の分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態2である水切り部品を適用した建具の要部横断面図である。
【
図7】
図6に示した建具の要部を示すもので、(a)は水切り部品を取り付ける以前の縦断面図、(b)は水切り部品を取り付けた状態の縦断面図である。
【
図8】
図6に示した建具に適用する水切り部品を示すもので、(a)は前面側から見た斜視図、(b)は平面図、(c)は縦断面図、(d)は後方水密材を取り外した状態を後面側から見た分解斜視図である。
【
図9】本発明に係る水切り部品の変形例1を前面側から見た斜視図である。
【
図10】本発明に係る水切り部品の変形例2を前面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る水切り部品及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
(実施の形態1)
図1~
図3は、本発明の実施の形態1である建具を示すものである。ここで例示する建具は、枠体10及び2枚の障子20を備えた引き違い窓と称されるもので、建築物の外壁Wから室外に突出する状態で取り付けられるものである。枠体10は、左右の縦枠11、上枠12、下枠13を四周組することによって開口部を構成したものである。縦枠11、上枠12、下枠13は、それぞれ樹脂によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分が一様の断面形状を有するように構成してある。本実施の形態1では、縦枠11、上枠12、下枠13として互いに同一の断面形状を有したものを適用し、それぞれの端部に形成した45°の傾斜接合面を互いに溶着することによって枠体10を構成している。より具体的には、中空状を成し、かつ中空内部に適宜リブ14を設けることによって所望の強度を有した縦枠11、上枠12、下枠13がそれぞれ構成してある。障子20は、それぞれガラス等の面材21の四周に框22を装着することによって構成したもので、左右方向に沿ってスライドさせることにより枠体10の開口部を開閉することが可能である。
【0011】
この建具には、下枠13と左右の縦枠11との連結部にそれぞれ水切り部品30が取り付けてある。水切り部品30は、枠体10の両側下隅部において雨水等の水を外壁Wから離隔する方向に案内するもので、樹脂や金属によって下方水切り部31及び側方水切り部32が一体に成形してある。以下、下方水切り部31及び側方水切り部32の構成について詳述する。なお、実施の形態1で適用する水切り部品30は、左右で対称の構成を有している。このため、以下においては室外側から見て左側の下縁部に取り付けられる水切り部品30を代表して説明することとする。また、便宜上、外壁W側を後方、室外側を前方とし、上下については取り付け姿勢で水切り部品30の方向を特定することとする。
【0012】
下方水切り部31は、枠体10の下方域に配置されるもので、
図4及び
図5に示すように、下方水受面41、後縁壁部42、下方側壁部43、柱状部44を有している。下方水受面41は、下方水切り部31の上面を構成するもので、後方側がほぼ水平に延在するとともに、前方側に向けて下方となるように延在し、さらに前面部がほぼ鉛直に沿って延在している。後縁壁部42は、下方水受面41の後縁となる位置から上方に向けて突出したものである。後縁壁部42の下方水受面41からの突出寸法は、全域において一定である。下方側壁部43は、下方水受面41の側縁部となる位置から上方に向けて突出したものである。下方側壁部43の後縁部は、下方水受面41からの突出寸法が後縁壁部42とほぼ同じであり、その後縁が後縁壁部42に連続するように接合している。下方側壁部43の前縁部は、上方への突出寸法が前方に向けて下方となるように形成してある。下方側壁部43の前縁は、下方水受面41の前面よりも前方に突出している。柱状部44は、下方水受面41においてほぼ水平に延在する部分から上方に向けて突出したもので、中心部に上下に沿ったネジ挿通孔44aを有している。ネジ挿通孔44aは、断面が円形の貫通孔であり、ネジ1の軸部1aを挿通可能、かつネジ1の頭部1bを挿通不可とする内径に構成してある。図からも明らかなように、この柱状部44は、外径寸法が下方水受面41の幅よりも小さく、後述する側方水切り部32との間に隙間無く設けてある一方、下方側壁部43及び後縁壁部42との間にはそれぞれ隙間が確保してある。柱状部44の上面は、後縁壁部42の上縁とほぼ同じ高さである。
【0013】
側方水切り部32は、下方水切り部31よりも上方に突出し、その上端部が枠体10の側方域に配置されるもので、シール受け部45、側方水受面46、側方側壁部47を有している。シール受け部45は、水切り部品30を取り付けた後にシール部材2が塗布される部分であり、側方水切り部32の後縁から前方に向けて上方となるように延在している。シール受け部45の前縁は、下方水切り部31における後縁壁部42の上縁よりも上方に位置している。側方水受面46は、シール受け部45の前縁から前方に向けて下方となるように延在し、さらに前面部がほぼ鉛直に沿って延在したものである。側方水受面46の前面は、下方水受面41の前面とほぼ同一の鉛直平面上に位置している。側方側壁部47は、側方水受面46の側縁部となる位置から上方に向けて突出したものである。側方側壁部47の上面は、前方に向けて下方となるように延在し、さらに、前縁部がほぼ鉛直に沿って延在している。側方側壁部47の前縁は、側方水受面46の前面よりも前方側に突出し、下方側壁部43とほぼ同じ鉛直平面上に位置している。側方側壁部47の後縁部には、幅広部48が設けてある。幅広部48は、側方側壁部47の後縁部から下方水切り部31に向けてほぼ直角に屈曲して延在するものである。
【0014】
図からも明らかなように、下方水切り部31(後縁壁部42)の後面31a、側方水切り部32の後面32a、幅広部48の後面48aは、ほぼ鉛直に沿って互いに同一の平面上に位置するものであり、それぞれにわたる部分に後方水密材3が設けてある。後方水密材3は、弾性に富み、かつ水密性を有した板状を成すもので、下方水切り部31の後面31aから側方水切り部32の後面32aにわたる部分を覆うようにほぼ水平に延在し、さらに上方に屈曲して延在することにより幅広部48の後面48aを覆うように一連に構成してある。例えば、図示のものでは10mm程度となる一定の板厚を有した後方水密材3を水切り部品30に設けるようにしている。
【0015】
上記の構成を有する水切り部品30を枠体10の下隅部に取り付けるには、後方水密材3を外壁Wに押し当てた状態で下方水切り部31の後縁壁部42及び下方側壁部43をそれぞれ下枠13の下面13aに当接させるとともに側方水切り部32を縦枠11の外周側となる見込み面11aに当接させる。この状態からネジ挿通孔44aを介して下枠13の下面13aにネジ1を螺合すれば、上述の状態を確保した状態で水切り部品30が枠体10の下隅部に取り付けられた状態となる。その後、側方水切り部32に設けたシール受け部45にシール部材2を塗布すれば良い。
【0016】
水切り部品30が取り付けられた状態においては、建具よりも側方の外壁Wを伝う雨水等の水が側方水切り部32の側方水受面46で受け止められ、外壁Wから離隔する方向に案内されるため、外壁Wを伝う水が下枠13の下面13aに到達する事態を防止することができる。また、水切り部品30の下方水受面41は、下枠13の下面13aに対向した状態に配置されている。従って、障子20や枠体10に降り掛かった後に枠体10の下隅部から下枠13の下面13aに到達した雨水等の水は、下方水切り部31の後縁壁部42や下方側壁部43によって下方水受面41に案内され、さらに下方水受面41によって外壁Wから離隔する方向に案内される。このため、障子20や枠体10を通過した水が外壁Wに到達することを防止することができ、外壁Wが汚損される事態を招来するおそれがなくなる。また、凹凸の大きな外壁Wに対しても隙間無く取り付けることが可能となり、外壁Wへの水の到達をより確実に防止することができる。
【0017】
ここで、水切り部品30を介して下枠13の下面13aにネジ1を螺合する際に、ネジ挿通孔44aの延長上に下枠13や縦枠11に設けられたリブ14が配置された場合には、ネジ1を螺合する作業が困難となる。しかしながら、上述の水切り部品30によれば、下方水切り部31の後面31a及び側方水切り部32の後面32aに後方水密材3を設けるようにしている。従って、この後方水密材3の板厚分だけ外壁Wに対する水切り部品30の見込み方向の取付位置を調整した場合にも、外壁Wとの間に隙間が生じる事態を防止することが可能となる。これにより、水切り部品30のネジ挿通孔44aを枠体10のリブ14からずらした状態でネジ1を螺合することができ、外壁Wが汚損する事態を防止し、かつ水切り部品30の取付作業を容易化することが可能となる。加えて、上述の水切り部品30によれば、側方側壁部47の後縁部に幅広部48を設け、この幅広部48の後面48aにも後方水密材3を設けるようにしているため、外壁Wに対する見込み方向の取付位置を調整した場合にも側方側壁部47と外壁Wとの間に隙間が生じることがない。これにより、側方水受面46の水が水切り部品30の側方に漏出する事態を招来するおそれもない。
【0018】
(実施の形態2)
図6、
図7は、本発明の実施の形態2である水切り部品を適用した建具を示すものである。ここで例示する建具は、実施の形態1と同様、枠体10及び2枚の障子20を備えた引き違い窓であり、実施の形態1とは水切り部品に設けた柱状部の構成が異なっている。以下、実施の形態1と異なる構成について主に説明し、同様の構成については同一の符号を付すこととする。なお、実施の形態2で適用する水切り部品130についても、左右で対称の構成を有しているため、室外側から見て左側の下縁部に取り付けられる水切り部品130を代表して説明する。また、水切り部品130の方向についても実施の形態1と同様に特定する。
【0019】
図8、
図9に示すように、実施の形態2の水切り部品130では、下方水切り部131に設けた柱状部144は、後縁壁部42から前方に向けて延在するように設けたもので、内部にネジ挿通孔144aを有している。ネジ挿通孔144aは、前後方向に沿った長孔状を成す貫通孔であり、ネジ1の軸部1aを挿通可能、かつネジ1の頭部1bを挿通不可とする一定の幅に構成してある。
【0020】
上記の構成を有する水切り部品130を枠体10の下隅部に取り付けるには、後方水密材3を外壁Wに押し当てた状態で下方水切り部131の後縁壁部42及び下方側壁部43をそれぞれ下枠13の下面13aに当接させるとともに側方水切り部32を縦枠11の外周側となる見込み面11aに当接させる。この状態からネジ挿通孔144aを介して下枠13の下面13aにネジ1を螺合すれば、上述の状態を確保した状態で水切り部品130が枠体10の下隅部に取り付けられた状態となる。その後、側方水切り部32に設けたシール受け部45にシール部材2を塗布すれば良い。
【0021】
水切り部品130が取り付けられた状態においては、建具よりも側方の外壁Wを伝う雨水等の水が側方水切り部32の側方水受面46で受け止められ、外壁Wから離隔する方向に案内されるため、外壁Wを伝う水が下枠13の下面13aに到達する事態を防止することができる。また、障子20や枠体10に降り掛かった後に枠体10の下縁部から下枠13の下面13aに到達した雨水等の水は、下方水切り部131の後縁壁部42や下方側壁部43によって下方水受面41に案内され、さらに下方水受面41によって外壁Wから離隔する方向に案内される。このため、障子20や枠体10を通過した水が外壁Wに到達することを防止することができ、外壁Wが汚損される事態を招来するおそれがなくなる。また、凹凸の大きな外壁Wに対しても隙間無く取り付けることが可能となり、外壁Wへの水の到達をより確実に防止することができる。
【0022】
加えて、実施の形態2の水切り部品130によれば、下枠13や縦枠11に設けられたリブ14を避けた位置において下枠13の下面13aにネジ1を螺合することが可能となる。すなわち、上述の水切り部品130によれば、ネジ挿通孔144aが前後方向に沿って長孔状である。このため、外壁Wに対する水切り部品130の見込み方向の取付位置を調整することなく、ネジ挿通孔144aの延在長さの範囲でネジ1の位置を調整して螺合することができる。これにより、リブ14を避けてネジ1を螺合することができ、外壁Wが汚損する事態を防止し、かつ水切り部品130の取付作業を容易化することが可能となる。さらに、実施の形態1に比べて板厚の薄い後方水密材3を適用することできる利点もある。
【0023】
なお、上述した実施の形態では、いずれも側方水切り部32を直接縦枠11の外周側となる見込み面11aに当接させるようにしているが、
図9に示す変形例1及び
図10に示す変形例2のように、側方水切り部32の上端部側面に側方水密材4を配設し、この側方水密材4を介して側方水切り部32を縦枠11の外周側となる見込み面11aに当接させるようにしても良い。より具体的に説明すると、変形例1及び変形例2の水切り部品30,130では、側方水切り部32の上端部に凹部32bを形成し、この凹部32bに側方水密材4が設けてある。変形例1において実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付してあり、変形例2において実施の形態2と同様の構成については同一の符号が付してある。これらの変形例1及び変形例2によれば、側方水受面46の水が側方水切り部32と縦枠11との当接部から下方水切り部31,131に漏出する事態をより確実に防止することができるようになるという利点がある。
【0024】
また、上述した実施の形態では、いずれも樹脂から成る枠体10を備えた引き違い窓を例示しているが、金属製の枠体や金属と樹脂とから成る金属樹脂複合枠体を備えた建具であっても良いし、引き違い窓以外のFIX窓や縦すべり出し窓等のあらゆる種類の建具にも適用することが可能である。さらには、必ずしも構造物が建具である必要はなく、ベランダ等の屋外構造物にも適用することは可能である。
【0025】
またさらに、上述した実施の形態では、いずれも側方側壁部47の後縁部に幅広部48を設け、この幅広部48の後面48aにも後方水密材3を設けるようにしているが、必ずしも幅広部48は設ける必要はない。また、下方水切り部31,131の後面31aから側方水切り部32の後面32aにわたる部分に連続して後方水密材3を設けるようにしているが、それぞれの後面31a,32aに個別の後方水密材を設けても良い。
【0026】
以上のように、本発明に係る水切り部品は、外壁から突出する構造物の下隅部に取り付けられ、前記構造物の下方域に配置される下方水切り部と、少なくとも一部が前記下方水切り部よりも上方に位置し、前記構造物の側方域に配置される側方水切り部とを有した水切り部品であって、前記下方水切り部の前記外壁側となる後面と前記側方水切り部の前記外壁側となる後面とが互いに同一の平面上に位置するように設けられ、前記下方水切り部の後面及び前記側方水切り部の後面には、前記外壁との間に介在される後方水密材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、側方水切り部の後面及び下方水切り部の後面にそれぞれ後方水密材を設けるようにしているため、外壁との間に隙間を生じることなく外壁への取付位置を見込み方向に調整することが可能となる。これにより、外壁が汚損する事態を防止し、かつ取付作業を容易化することができる。
【0027】
また本発明は、上述した水切り部品において、前記側方水切り部は、少なくとも一部が前記外壁から離隔する方向に向けて下方に延在する側方水受面と、前記側方水受面の側縁部から上方に突出するように設けられ、前記構造物の側面に対向する側方側壁部とを有し、前記側方側壁部には、前記外壁に近接する後縁部に幅広部が設けられ、前記幅広部の後面は、前記側方水切り部の後面と同一の平面上に位置し、前記幅広部の後面には、前記外壁との間に介在される後方水密材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、側方水受面の側縁部に側方側壁部が設けてあるため、側方水受面を伝う水が側方に漏れる事態を防止することができる。
【0028】
また本発明は、上述した水切り部品において、前記下方水切り部の後面から前記側方水切り部の後面及び前記幅広部の後面にわたる部分に前記後方水密材が一連に設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、下方水切り部、側方水切り部、幅広部の後方水密材が連続しているため、構造物を通過した水が外壁に到達する事態をより確実に防止することができる。
【0029】
また本発明は、上述した水切り部品において、前記下方水切り部には、上下方向に沿ってネジ挿通孔が貫通され、前記ネジ挿通孔を介して前記構造物の下面にネジを螺合することにより前記構造物の下隅部に取り付けられることを特徴としている。
この発明によれば、ネジ挿通孔を介して構造物にネジを螺合することで構造物に取り付けることが可能となる。
【0030】
また本発明は、上述した水切り部品において、前記ネジ挿通孔は、前記外壁に対して近接離隔する方向に沿って長孔状に形成されていることを特徴としている。
この発明によれば、ネジ挿通孔の内部においてネジの螺合位置を調整することができるため、外壁への取付位置を見込み方向に調整することが可能となる。
【0031】
また本発明は、上述した水切り部品において、前記側方水切り部において前記下方水切り部よりも上方に位置する部分には、前記構造物との間に介在される側方水密材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、側方水密材により、側方水切り部と構造物との間を通じた水漏れを防止することが可能となる。
【0032】
また、本発明に係る建具は、上述した水切り部品が枠体の下隅部に取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、側方水切り部の後面及び下方水切り部の後面にそれぞれ後方水密材を設けるようにしているため、外壁との間に隙間を生じることなく外壁への取付位置を見込み方向に調整することが可能となる。これにより、外壁が汚損する事態を防止し、かつ取付作業を容易化することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 ネジ、3 後方水密材、4 側方水密材、10 枠体、30,130 水切り部品、31,131 下方水切り部、31a 後面、32 側方水切り部、32a 後面、41 下方水受面、42 後縁壁部、44a,144a ネジ挿通孔、46 側方水受面、47 側方側壁部、48 幅広部、48a 後面、W 外壁