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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174509
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】車内組付用ベッド設備
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20241210BHJP
   B60P 3/38 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
B60P3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092366
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】305021513
【氏名又は名称】株式会社日本トレーディング
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 勇志
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088CA08
(57)【要約】
【課題】大人2名と子供2名の就寝スペースをもつベッドを簡単な組立て工数で実現できる車内組付用ベッド設備を提供する。
【解決手段】自動車の車室内の左右両側に立てられる2本の支柱1,1と、車室内に立てられた左右の支柱1,1の間に掛け渡される横梁2と、自動車の1列目座席における背凭れS1bの上端と横梁2の間に掛け渡される上段用マット3と、自動車の2列目座席および3列目座席において背凭れS2b,S3bを倒伏した状態の上面に置かれる下段用マット4とからなる。支柱1は、車室の天井に取付けられたアシストグリップGに引掛けるための引掛け金具12と、軽量材を用いた支柱本体11と、支柱本体11の側面に沿って取付けられる長尺の支柱板13とからなる。自動車の2列目座席S2と3列目座席S3にベッド設備を組み付けると、車内で寝泊りすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車室内の左右両側に立てられる2本の支柱と、
車室内に立てられた左右の支柱の間に掛け渡される横梁と、
自動車の1列目座席における背凭れの上端と前記横梁の間に掛け渡される上段用マットと、
自動車の2列目座席および3列目座席において背凭れを倒伏した状態の上面に置かれる下段用マットとからなる
ことを特徴とする車内組付用ベッド設備。
【請求項2】
前記支柱は、車室の天井に取付けられたアシストグリップに引掛けるための引掛け金具と、軽量材を用いた支柱本体と、該支柱本体の側面に沿って取付けられる長尺の支柱板とからなり、
該支柱板の上端に形成された連結板と前記引掛け金具とは互いに締結可能であり、かつ締結位置を車室内幅方向で調整する横幅調整機構を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の車内組付用ベッド設備。
【請求項3】
前記支柱本体の上端に取付けられた上端金具と、前記支柱板とは、互いに結合可能であり、かつ互いの結合位置を高さ方向で変更する支柱長さ調整機構を備えている
ことを特徴とする請求項2記載の車内組付用ベッド設備。
【請求項4】
前記支柱板と、前記横梁の端部に取付けられた端部金具とは、互いに結合可能であり、かつ結合位置を高さ方向で変更可能にする横梁高さ調整機構を備えている
ことを特徴とする請求項2記載の車内組付用ベッド設備。
【請求項5】
前記横幅調整機構は、
締結用のボルト・ナットと、
前記支柱板における前記連結板に形成された車室内幅方向に間隔をあけた複数個のボルト孔と、
前記引掛け金具に形成された車室内幅方向に間隔をあけた複数個のボルト孔とからなる
ことを特徴とする請求項2記載の車内組付用ベッド設備。
【請求項6】
前記支柱長さ調整機構は、
前記上端金具に形成された引掛け片と、
前記支柱板の上端部において上下方向に間隔をあけて形成された複数個の引掛け孔とからなる
ことを特徴とする請求項3記載の車内組付用ベッド設備。
【請求項7】
前記横梁高さ調整機構は、
前記端部金具に形成された引掛け片と、
前記支柱板の上端部より下方の部分において上下方向に間隔をあけて形成された複数個の引掛け孔とからなる
ことを特徴とする請求項4記載の車内組付用ベッド設備。
【請求項8】
自動車の1列目座席における左右の背凭れの上端同士の間に渡し掛けられる補強梁と、
該補強梁を左右の背凭れに固定的に保持する保持金具とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の車内組付用ベッド設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内組付用ベッド設備に関する。さらに詳しくは、本発明は、自動車の車内で寝泊りするための車内組付用ベッド設備に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用自動車のうち、ワンボックスカーは広い車内空間があり7人から10人位の座席が備えられている。ミニバン車も3列シートが備わっていて7人ないし8人が乗車できる。これらの自動車は5人乗り乗用車より大きな利便性を有することから、キャンプ等を含むレジャー用途に多用されている。
【0003】
ミニバン車を利用して、車内で宿泊できるようにベッド設備を設けた従来技術として、特許文献1、2の技術がある。
特許文献1の技術は、キャンピングカーに転用できる貨客兼用車であって、後部ドアより出し入れ自在な荷物室に形成しており、荷物室には後向きに引き出し可能な引出しを備え、且つ上面が略水平なマット面に形成された収納ボックスを取付けるとともに、荷物室の前方に位置する後部座席の背凭はその背面を該背凭の伏倒時にマット面に続いて略水平なベッド面を形成する副マット面に形成したものである。
【0004】
特許文献2の技術は、経済的なキャンピングカーに転用できる貨客兼用車であって、背凭を伏倒自在とした後部座席に続いて後部ドアより荷物を出し入れ自在な荷物室を形成しており、後ろ向きに引き出し可能な引き出しを備えるとともに上面を平坦なマット面とした収納ボックスを前記荷物室に取り付け、また、前記引き出しには調理台システムを着脱自在に収納できるようにしたものである。
【0005】
上記従来技術は、いずれも3列シートを有する自動車において後方2列のシート上に、マットを2列敷いてベッドとするものである。
これらの従来技術では、大人2人が寝ることはできるが、3人以上寝ることはできない。キャンプは家族で行うことが多いので、本来ならば大人(親)2人と子供1人か2人分の就寝スペースが欲しいところである。しかるに上記従来技術では、その需要に応えることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-132954号公報
【特許文献2】特開平9-301047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、大人2名と子供2名の就寝スペースをもつベッドを簡単な組立て工数で実現できる車内組付用ベッド設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の車内組付用ベッド設備は、自動車の車室内の左右両側に立てられる2本の支柱と、車室内に立てられた左右の支柱の間に掛け渡される横梁と、自動車の1列目座席における背凭れの上端と前記横梁の間に掛け渡される上段用マットと、自動車の2列目座席および3列目座席において背凭れを倒伏した状態の上面に置かれる下段用マットとからなることを特徴とする。
第2発明の車内組付用ベッド設備は、第1発明において、前記支柱は、車室の天井に取付けられたアシストグリップに引掛けるための引掛け金具と、軽量材を用いた支柱本体と、該支柱本体の側面に沿って取付けられる長尺の支柱板とからなり、該支柱板の上端に形成された連結板と前記引掛け金具とは互いに締結可能であり、かつ締結位置を車室内幅方向で調整する横幅調整機構を備えていることを特徴とする。
第3発明の車内組付用ベッド設備は、第2発明において、前記支柱本体の上端に取付けられた上端金具と、前記支柱板とは、互いに結合可能であり、かつ互いの結合位置を高さ方向で変更する支柱長さ調整機構を備えていることを特徴とする。
第4発明の車内組付用ベッド設備は、第2発明において、前記支柱板と、前記横梁の端部に取付けられた端部金具とは、互いに結合可能であり、かつ結合位置を高さ方向で変更可能にする横梁高さ調整機構を備えていることを特徴とする。
第5発明の車内組付用ベッド設備は、第2発明において、前記横幅調整機構は、締結用のボルト・ナットと、前記支柱板における前記連結板に形成された車室内幅方向に間隔をあけた複数個のボルト孔と、前記引掛け金具に形成された車室内幅方向に間隔をあけた複数個のボルト孔とからなることを特徴とする。
第6発明の車内組付用ベッド設備は、第3発明において、前記支柱長さ調整機構は、前記上端金具に形成された引掛け片と、前記支柱板の上端部において上下方向に間隔をあけて形成された複数個の引掛け孔とからなることを特徴とする。
第7発明の車内組付用ベッド設備は、第4発明において、前記横梁高さ調整機構は、前記端部金具に形成された引掛け片と、前記支柱板の上端部より下方の部分において上下方向に間隔をあけて形成された複数個の引掛け孔とからなることを特徴とする。
第8発明の車内組付用ベッド設備は、第1発明において、自動車の1列目座席における左右の背凭れの上端同士の間に渡し掛けられる補強梁と、該補強梁を左右の背凭れに固定的に保持する保持金具とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、自動車の車室内の左右両側に2本の支柱を立て、2本の支柱の間に横梁を掛け渡しておいて、1列目座席の背凭れの上端と横梁の間に上段用マットを渡し掛け、2列目座席と3列目座席の背凭れを倒して、その上面に下段用マットを敷くと、車内で寝泊りすることができる。下段用マットには大人2人が利用でき、上段用マットには子供2人が利用できる。
第2発明によれば、支柱本体は軽量材を用いているので、組立て時に扱い易く、支柱は引掛け金具で車室の天井にあるアシストグリップに引掛けて立てるので使用時に安定しており、支柱板と引掛け金具は車室内幅方向で締結位置を調整できるので、車種による車内幅の違いに対応できる。
第3発明によれば、支柱本体と支柱板との結合位置は、支柱長さ調整機構によって高さを変更できるので、車種による車室高さの違いに対応できる。
第4発明によれば、横梁高さ調整機構により支柱板に対する端部金具の結合位置を高さ方向で変更すれば、横梁の高さを変更でき、横梁の上に載せる上段用マットの高さを1列目座席の背凭れの上端に合わせて上段ベッドとしたり、高さをより低くしてテーブルとして使うこともでき、利便性が高まる。
第5発明によれば、車室内の左右で支柱を立てる幅方向位置は、連結板に形成されたボルト孔と引掛け金具に形成されたボルト孔を選択してボルトを通すことで行えるので車種による幅寸法の違いに容易に対応できる。
第6発明によれば、車室内で立てる支柱の長さは、支柱板に形成された複数個の引掛け孔のうちの一つを選択して引掛け片を引掛けることで行えるので、車種による室内高さ寸法の違いに容易に対応できる。
第7発明によれば、横梁の設定高さは、支柱板に形成された複数個の引掛け孔のうちの一つを選択して端部金具の引掛け片を引掛けることで容易に行える。
第8発明によれば、左右の上段用マットに子供2人が寝るとき、たとえ中央寄りに子供が寄ってきても、上段用マットを補強梁が下支えするので、上段用マットが中央に向けて倒れ込むことがなくなる。このため、快適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車内組付用ベッド設備の使用状態説明図(側面図)である。
図2図1におけるII-II線矢視図(正面図)である。
図3】横梁2を上段ベッドとして利用する場合の説明図である。
図4】支柱板13と引掛け金具12の斜視図である。
図5】支柱板13の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
図6】(A)は上端金具の斜視図、(B)は端部金具の斜視図、(C)は拘束具の斜視図である。
図7】横梁2をテーブルとして利用する場合の説明図である。
図8】補強梁で上段用マット3を下支えする使用状態の説明図である。
図9】保持金具の説明図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る車内組付用ベッド設備の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
以下の実施形態は3列座席(7/8人乗り)を有する自動車(いわゆるミニバン)に適用した車内組付用ベッド設備(以下、ベッド設備ということがある)である。
【0012】
なお、本明細書において、ワンボックスカーとは、エンジンが運転席下にあり、車内空間が一つの箱のようになっている形状の車をいう。ミニバン車とは、エンジンが運転席の前にあって、車体形状が2つの箱のようになっている車をいい、エンジン部分が小さく、7/8人乗りで車内空間の広いものも含まれる。
【0013】
図1および図2において、Cは自動車であり、Bは車室内に組付けたベッド設備である。車内の座席は3列座席であって、1列目座席S1(運転席と助手席)、2列目座席S2および3列目座席S3からなる。
各座席S1,S2,S3は座面S1s,S2s,S3sと背凭れS1b,S2b,S3bからなる。各座面S1s,S2s,S3sは自動車の車内で前後方向に移動可能であり、背凭れS1b,S2b,S3bは起立・倒伏可能である。各座席S1~S3は、車幅方向では左右2列である。図2では、2列目座席S2の左右の座面S2s,S2sのみが示されている。
【0014】
(ベッド設備Bの構成)
図1および図2に示すように、ベッド設備Bは、自動車Cの車室内の左右両側に立てられる2本の支柱1,1と、左右の支柱1,1の間に掛け渡される横梁2と、1列目座席S1における背凭れS1bの上端と横梁2との間に掛け渡される上段用マット3と、2列目座席S2および3列目座席S3において背凭れS2b,S3bを倒伏した状態の座面S2s,S3sの上面に置かれる下段用マット4とからなる。
図示のごとく、上段用マット3は左右2列になる2枚が用いられ、下段用マット4は左右2列、かつ前後2列の計4枚が用いられる。
【0015】
図3は、左右2本の支柱1のうち向かって左側の支柱1のみを示しているが、向かって右側の支柱1と実質同一構造である(左右勝手が違うのみ)ので、図示の支柱1を代表させて説明する。
支柱1は、軽量材を用いた支柱本体11を備え、自動車Cの天井に取付けられたアシストグリップGに引掛けて立設される。このため、支柱1はアシストグリップGに引掛けるための引掛け金具12と、支柱本体11の側面に沿って取付けられる長尺の支柱板13とからなる。
【0016】
支柱本体11は、軽量材を用いて軽く作られるが、それは使用者(女性も含めて)が組立て・分解を容易にできるようにするためである。
本明細書にいう軽量材には、重量が軽いものであれば良く特に制限は無いが、木製の角材や中空のアルミパイプを例示できる。木製であれば支柱本体11の長さ調整を鋸で切断することで容易に行える。
図3および図4に示すように、引掛け金具12は平板の連結部12aと断面逆U字形の引掛け部12bとからなる。連結部12aには、車室内幅方向に間隔をあけて形成された複数個のボルト孔12hが形成されている。
【0017】
支柱板13の上端に形成された連結板14と引掛け金具12とは互いに締結可能であり、かつ締結位置を車室内幅方向で調整する横幅調整機構を備えている。
本明細書でいう横幅調整機構は、図3および図4に示すように、締結用のボルト・ナット15と、支柱板13における連結板14に形成された車室内幅方向に間隔をあけた複数個のボルト孔14hと、引掛け金具12に形成された車室内幅方向に間隔をあけた複数個のボルト孔12hとから構成されている。
【0018】
車室内の左右でベッド設備Bを組立てる場合は、車室内の2列目座席S2の両側に支柱1,1を立てることになる。その場合の左右の支柱1,1間の距離(幅寸法)の調整は、連結板14に形成されたボルト孔14hと引掛け金具12に形成されたボルト孔12hを選択してボルト15を通すことで行える。このため、自動車の車種による幅寸法の違いに容易に対応できる。
なお、図3に示す例では、ボルト・ナット15を2列分用いているが、強度的に充分であれば、1列分を用いてもよい。また、支柱1,1間の幅調整ができるなら、上記以外の構成の横幅調整機構を用いてもよい。
【0019】
図3に示すように、支柱本体11と支柱板13とは、互いに結合可能である。図5に示すように、支柱板13の上段部には上段の引掛け孔17が5段分形成されている。やや下方の中段部には中段の引掛け孔18が9段分形成されている。さらに、最下段には下段の引掛け孔19が3段分形成されている。
これらの引掛け孔17は後述する上端金具20を引掛けるための長孔であり、各引掛け孔18,19は後述する端部金具30を引掛けるための長孔である。
いずれの引掛け孔17,18,19も横長い孔に形成されている。また、各引掛け孔17,18,19の段数は上記の段数に制限されることなく自由に段数を選択できる。
【0020】
図6(A)は上端金具20を示している。
上端金具20は、天面22と2枚の側板23から断面逆U字形に形成された金具本体21と、一方の側板23に取付けられた断面L字形の引掛け片24とからなる。金具本体21の2枚の側板22にはビス孔が形成されている。
この上端金具20を支柱本体11の上端に差し込みビス止めすると、図3に示すように、支柱本体11に上端金具20を固定することができる。
【0021】
支柱1はその長さを変更する支柱長さ調整機構を備えている。
この支柱長さ調整機構は、上端金具20に形成された引掛け片24(図6(A)参照)と、支柱板13の上端部において上下方向に間隔をあけて形成された複数個の引掛け孔17(図5参照)とから構成されている。
車室内で立てる支柱1の長さは、支柱板13に形成された複数個の引掛け孔17のうちの一つを選択して上端金具20の引掛け片24に引掛けることで長短に調整できるので、車種による室内高さ寸法の違いに容易に対応できる。
なお、支柱1の長さ調整ができるなら、上記以外の構成を用いてもよい。
【0022】
図3に示す横梁2は、左右の支柱1,1間に掛け渡される梁材であって、軽量材を用いて軽く作られる。軽量材を用いるのは、使用者(女性も含めて)が組立て・分解を容易にできるようにするためである。
本明細書にいう軽量材には、重量が軽いものであれば良く特に制限は無いが、木製の角材や中空のアルミパイプを例示できる。木製であれば横梁2の長さ調整を鋸で切断することで容易に行える。
【0023】
図6(B)は、端部金具30を示している。
端部金具30は、端面板32と2枚の横板33とから断面U字形に形成された金具本体31と、上側の横板33から延出するように形成された引掛け片34とからなる。金具本体31の2枚の横板33にはビス孔が形成されている。
この端部金具30を横梁2の両側の端部に差し込みビス止めすると図3に示すように、支柱板13に引掛け固定することができる。
【0024】
図6(C)は、拘束金具40を示している。
拘束金具40は、支柱本体11に支柱板13を合わせた状態で両部材が互いに離れないように拘束する金具である(図3参照)。この目的を達成できるなら、どのような形状であってもよいが、図示の例では帯板で四辺を囲み、かつ一辺を中間部分を切り欠いた形状としている。
【0025】
図3に示すように、支柱板13と、横梁2の端部に取付けられた端部金具30とは、互いに係合可能であり、かつ係合位置を高さ方向で変更可能にする横梁高さ調整機構を備えている。
横梁高さ調整機構は、端部金具30に形成された引掛け片34と、支柱板13の上端部より下方の部分において上下方向に間隔をあけて形成された複数個の引掛け孔18,19とから構成されている。
【0026】
横梁2の高さ変更は、支柱板13に形成された複数個の引掛け孔18,19のうちの一つを選択して端部金具30の引掛け片34を引掛けることで容易に行える。
この横梁高さ調整機構により支柱板に13対する端部金具30の結合位置を高さ方向で変更すれば、横梁2の高さを自在に変更でき、横梁2の上に載せる上段用マット3の高さを1列目座席の背凭れS1bの上端に合わせて上段ベッドとしたり、高さをより低くしてテーブルとして使うこともでき、利便性が高まる。
なお、横梁2の高さを調整できるなら、上記以外の構成を用いてもよい。
【0027】
上段用マット3と下段用マット4は、構造は実質同一であってよく、いずれも木製等の底板と弾力性のあるマット素材(スポンジ等)を重ね、表皮(樹脂製や不織布などの公知の表皮素材)で包装したものである。
寸法は一つの座席の背凭れを倒して、座面と背凭れの上に置けるものが便利である。
【0028】
本発明のベッド設備Bは、製造業者-販売業者が上記の各部材をユニットとして販売し、購入した使用者が自分で組立てて使用するのに適している。
【0029】
(ベッド設備Bの利用上の事前準備)
以下の事前準備は、ユニットとしてのベッド設備Bを市場で購入した使用者か、販売業者が購入者の求めに応じて行うとよい。
支柱本体11の上端には上端金具20をビスで止めて固定し、かつ支柱本体11の長さを、使用者所有の自動車の車室内高さに合わせて調整しておく。この長さ調整は、支柱本体11が木製であると、家庭内にある鋸で切断することにより行えるので、便利である。
また、横梁3の両端に端部金具30,30を嵌め、ビス止めしておく。横梁2の長さも使用者所有の自動車の車幅に合わせて長さを合わせておく。この長さ調整も、家庭内にある鋸で切断することにより行えるので、便利である。
【0030】
(ベッド設備Bの組立て方法)
使用者がベッド設備Bを利用するときの組立て手順は次のとおりとなる。
(1)支柱1を用意する
図3に示すように、支柱板13を支柱本体11に沿わせ、上端金具20の引掛け片24に支柱板13の引掛け孔17の一つを選択して引掛ける。このとき、支柱本体11に支柱板13に沿わせた状態で拘束金具40を外挿しておく。
(2)支柱1を車室内に立てる
図3に示すように、車室内のアシストグリップGに引掛け金具12を引掛ける。
2本の支柱本体11を2列目座席S2の両横に立てる(図2参照)。そして、支柱板13の連結板14と引掛け金具12の連結部12aを合わせるよう支柱板13の高さを調整する(図4参照)。この調整は、上端金具20の引掛け片24に支柱板13の引掛け孔の一つを選択することで行える。つぎに、連結部12aと連結板14それぞれのボルト孔12hと14hを合わせる。このとき、支柱本体11が垂直に立つように調整すると、車室内幅方向に合わせて支柱1を立てる横幅調整が行える。そして、ボルト・ナット15で締結する。
(3)横梁2の高さを調整する
図3に示すように、横梁2の端部金具30の引掛け片34を支柱板13の中段の引掛け孔18(図5参照)の一つに引掛ける。引掛け孔18の一つを適正に選択することで、1列目座席S1の背凭れS1bの高さに合わせることができる(図1参照)。なお、背凭れS1bを若干倒伏させたときは、選択すべき引掛け孔18を高くか低くかすれば、高さを適正に合わすことができる。
このように高さ調整した横梁2と1列目座席S1の背凭れS1bの上端に上段用マット3を渡し掛ければ、上段用マット3を水平に置くことができる(図1参照)。
(4)横梁2の高さを変える
横梁2の高さは、端部金具30を引掛ける複数ある引掛け孔18,19(図5参照)のうちいずれか一つを選択することで、可変に調整できる。
【0031】
(ベッド設備Bの使用方法)
(1)ベッドとして使用する
ベッドとして使用する場合、図1に示すように、2列目座席S2の背凭れS2bと3列目座席S3の背凭れS3bを略水に倒伏させ、それらの座席の上面に4枚の下段用マット4を置く。この下段用マット4には大人2人(たとえば、夫婦)が就寝することができる。1列目座席S1の背凭れS1bと横梁2の間に渡し掛けた上段用マット3には子供2人が就寝することができる。
(2)テーブルとして使用する
図7に示すように、横梁2の高さを低くし、1列目座席S1の背凭れS1bも倒伏した場合は、それらの上にテーブル5を載せることができる。この場合、キャンプ用の調理などに利用することができる。
【0032】
上記ベッド設備Bを使用した後で分解するときは、前記組立て手順を概ね逆順に行えばよく、使用者が手軽に行うことができる。
また、分解した状態では、さほどスペースをとらないので、各部材をまとめて車載し、持ち帰ることができる。
【0033】
以上のとおり、本実施形態のベッド設備Bは、支柱本体11は木材等の軽量材を用いているので、組立て時に扱い易く、支柱1は引掛け金具12で車室の天井にあるアシストグリップGに引掛けて立てるので使用時に安定しており、支柱板13と引掛け金具12は車室内幅方向で締結位置を調整できるので、車種による車内幅の違いに対応できる。
【0034】
(他の実施形態)
図8および図9に基づき、本発明の他の実施形態を説明する。
ミニバン車では、一般的に1列目シートにおける運転席と助手席の間には20cm程度の間隔が空いている。この場合、運転席の背凭れS1bと助手席の背凭れS1bの上面に2枚の上段用マットを並べて置くと、左右の背凭れS1b,S1bの間に沈み込むことがある。そこで、図8に示すように、左右の背凭れS1b,S1bの上に補強梁51を置き、その上に左右の上段用マット3,3が中央に向けて倒れ込むことがなくなる。
【0035】
補強梁51は、軽量で強度の高い金属パイプ、たとえばステンレスパイプやアルミパイプを好適に利用できる。
補強梁51は適宜の保持金具52を用いて、背凭れS1b,S1bの上で保持できるようにしておくことが好ましい。保持金具52は、補強梁51を保持できれば、どのようなものでもよいが、図9に示すように、刺股型の金具本体53とこれに取付けられた支軸54とからなり、背凭れS1b,S1bに設けられたヘッドレスト固定用孔に挿入できるものを例示できる。
図8に示すように、この保持金具52を4個用いると、横向きにした補強梁51を安定して下支えすることができる。
このため、この実施形態によれば、左右の上段用マット3,3に子供2人が寝るとき、たとえ中央寄りに子供が寄ってきても、上段用マット3,3が中央に向けて倒れ込むことがなくなり、快適に使用できる。
【0036】
図10に基づき、さらに他の実施形態を説明する。
同図に示すように、本実施形態の上段用マット3は図1に示す上段用マット3よりも長尺のものである。
上段用マット3の前端は、運転席のハンドル(ステアリングホイール)Hの上端に載せられる。上段用マット3の後端は横梁2よりも更に後方に延びている。図では3点で支持しているが、安定性を増すため、車内の適宜の物に紐などでくくり付けておくとよい。
助手席側にも同じ長尺の上段用マット3を使えるが、上段用マット3の前端側はサンバイザーやバックミラーなどに紐でくくり付ければよい。上段用マット3の後端は運転席側と同様にすればよい。
【0037】
下段用マット4と2列目座席S2の座面S2sとの間には、支え部材61を置くことが好ましい。この場合、人が寝たときの下段用マット4の垂れ下がりを防止できる。
支え部材61としては下段用マット4にかかる荷重を支えることができれば、どのような構造のものでもよい。
2つの部材からなり、互いに折り畳み可能なものでもよく、一体物を下段用マット4と座面S2sの間に挿入するものでもよい。
また、支え部材61は、3列目座席S3の座面S3sとの間に使用してもよい。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
上記各実施形態は、3列座席を有するミニバン車に適用したベッド設備Bであるが、以上のほか4列以上の座席を備えるワンボックスカーにも適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 支柱
2 横梁
3 上段用マット
4 下段用マット
5 テーブル
11 支柱本体
12 引掛け金具
13 支柱板
20 上端金具
30 端部金具
51 補強梁
52 保持金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10