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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174523
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20241210BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H05K5/02 V
H05K7/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092386
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 憲明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 定臣
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB17
4E360AB20
4E360EA24
4E360GA04
4E360GA49
4E360GB25
5E322BA01
5E322BA05
(57)【要約】
【課題】設置時の作業負担の軽減および移設時の連続運用の実現を図ることができる電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る電子機器は、少なくとも1つの制御ユニットと、前記制御ユニットへ電源を供給する電源ユニットと、前記制御ユニットおよび前記電源ユニットを収納するキャビネットとを備え、前記キャビネットは、前記制御ユニットおよび前記電源ユニットごとに分割可能な複数の筐体部の結合体である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの制御ユニットと、
前記制御ユニットへ電源を供給する電源ユニットと、
前記制御ユニットおよび前記電源ユニットを収納するキャビネットと
を備え、
前記キャビネットは、前記制御ユニットおよび前記電源ユニットごとに分割可能な複数の筐体部の結合体である
電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記制御ユニットは、第1制御ユニットおよび第2制御ユニットを含む複数の制御ユニットであり、
前記第1制御ユニットおよび前記第2制御ユニットは共通の電子機器であり、一方が現用機器、他方が予備機器として前記電源ユニットへ切り替え可能に接続される
電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記複数の筐体部は、前記第1制御ユニットを収容する第1筐体部と、前記第2制御ユニットを収容する第2筐体部と、前記電源ユニットを収容する第3筐体部とを有し、
前記第1筐体部、前記第2筐体部および前記第3筐体部は、上下方向に積み重ねられる
電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部および前記第2筐体部の少なくとも一方は、前記第3筐体部の上に配置される
電子機器。
【請求項5】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部または前記第2筐体部に取り付けられ、前記第1制御ユニット、前記第2制御ユニットおよび前記電源ユニットの運転状態を表示する表示装置をさらに備える
電子機器。
【請求項6】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記第1の制御ユニットおよび前記第2の制御ユニットは各々、複数の制御基板がその面内方向に垂直な軸方向に間隔をおいて配置された基板配列体であり、
前記第1筐体部および前記第2筐体部は、前記複数の制御基板の間に空気流を形成する送風機を有する
電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部は、前記第2筐体部の内部と連通する開口部を有し、
前記第1筐体部の内部に収納された前記複数の制御基板は、前記第2筐体部の内部に収納された前記複数の制御基板と前記軸方向と直交する方向に平行に配置される
電子機器。
【請求項8】
請求項3~7のいずれか1つに記載の電子機器であって、
前記第1制御ユニットおよび前記第2制御ユニットと前記電源ユニットとの間を接続する複数の配線ケーブルをさらに備え、
前記複数の配線ケーブルは、前記複数の筐体部の外側を通るように敷設される
電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器であって、
前記キャビネットは、前記複数の筐体部の背面にそれぞれ取り付けられ前記複数の配線ケーブルが通過する空間部を形成するカバー部材をさらに有する
電子機器。
【請求項10】
請求項8または9に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部および前記第2筐体部は、六面体を形成するためのフレーム部と、前記フレーム部の背面側に取り付けられ水平方向に延在する横桟部とをそれぞれ有し、
前記複数の配線ケーブルは、前記横桟部に支持される
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば消防システム用の回線制御装置として用いられる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
消防システムは、通報の受付、緊急車両の出動指令、出動部隊の支援を行うための無線通信システムであり、通信指令を行う通信指令台、通信回線の交換接続制御を行う回線制御装置、基地局無線装置、移動局無線装置(消防車、救急車)などにより構成され、回線制御装置の制御のもと、基地局無線装置を介して通信指令台と移動局無線装置との通信が行われる。
【0003】
回線制御装置は、回線制御を行うための制御ユニットと、制御ユニットに電源等を供給する電源ユニットとを備える。また、制御ユニットの故障により回線制御装置の運用ができなくなることを防ぐため、現用と予備の二つの制御ユニットを備えることが一般的である。この場合、電源ユニットは、現用の制御ユニットが故障したときは速やかに予備の制御ユニットに切り替えできるように、現用の制御ユニットと予備の制御ユニットで共通に接続されて動作する一つの共用ユニットとして用いられる。
【0004】
なお通信機器の分野においては、基本装置の上に増設装置を積み上げて一体化する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-83151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、回線制御装置は、一つ又は複数の制御ユニットおよび電源ユニットが共通のキャビネットに収容されているため、内蔵される機器の種類や構成によっては当該キャビネットの大型化、回線制御装置の大重量化が避けられず、回線制御装置の設置時における作業負担が大きいという問題がある。さらに回線制御装置の移設時は、作業負担だけでなく、一旦機器の電源を切る必要があるため連続運用に対する要求を十分に満足することが難しいという問題があった。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、設置時の作業負担の軽減および移設時の連続運用の実現を図ることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る電子機器は、少なくとも1つの制御ユニットと、前記制御ユニットへ電源を供給する電源ユニットと、前記制御ユニットおよび前記電源ユニットを収納するキャビネットとを備え、前記キャビネットは、前記制御ユニットおよび前記電源ユニットごとに分割可能な複数の筐体部の結合体である。
【0009】
上記電子機器によれば、キャビネットが制御ユニットおよび電源ユニットごとに分割可能な複数の筐体部の結合体であるため、設置および移設を筐体部ごとに行うことができる。これにより、作業負担の軽減を図ることができるとともに、運用を止めることなく移設作業を行うことができるため連続運用の要請に対応できる。
【0010】
前記制御ユニットは、前記第1制御ユニットおよび前記第2制御ユニットを含む複数の制御ユニットであってもよく、前記第1制御ユニットおよび前記第2制御ユニットは共通の電子機器であり、一方が現用機器、他方が予備機器として前記電源ユニットへ切り替え可能に接続されてもよい。
【0011】
前記複数の筐体部は、前記第1制御ユニットを収容する第1筐体部と、前記第2制御ユニットを収容する第2筐体部と、前記電源ユニットを収容する第3筐体部とを有し、前記第1筐体部、前記第2筐体部および前記第3筐体部は、上下方向に積み重ねられてもよい。
【0012】
この場合、電子機器の移設作業を容易にするため、前記第1筐体部および前記第2筐体部の少なくとも一方は、前記第3筐体部の上に配置されてもよい。
【0013】
前記電子機器は、表示装置をさらに備えてもよい。前記表示装置は、前記第1筐体部または前記第2筐体部に取り付けられ、前記第1制御ユニット、前記第2制御ユニットおよび前記電源ユニットの運転状態を表示する。
【0014】
前記第1の制御ユニットおよび前記第2の制御ユニットは各々、複数の制御基板がその面内方向に垂直な軸方向に間隔をおいて配置された基板配列体であってもよく、前記第1筐体部および前記第2筐体部は、前記複数の制御基板の間に空気流を形成する送風機を有してもよい。
【0015】
前記第1筐体部は、前記第2筐体部の内部と連通する開口部を有してもよい。前記第1筐体部の内部に収納された前記複数の制御基板は、前記第2筐体部の内部に収納された前記複数の制御基板と前記軸方向と直交する方向に平行に配置されてもよい。
【0016】
前記電子機器は、前記第1制御ユニットおよび前記第2制御ユニットと前記電源ユニットとの間を接続する複数の配線ケーブルをさらに備えてもよく、前記複数の配線ケーブルは、前記複数の筐体部の外側を通るように敷設されてもよい。
【0017】
前記キャビネットは、カバー部材をさらに有してもよい。前記カバー部材は、前記複数の筐体部の背面にそれぞれ取り付けられ、前記複数の配線ケーブルが通過する空間部を形成する。
【0018】
前記第1筐体部および前記第2筐体部は、六面体を形成するためのフレーム部と、前記フレーム部の背面側に取り付けられ水平方向に延在する横桟部とをそれぞれ有しもよく、前記複数の配線ケーブルは、前記横桟部に支持されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、設置時の作業負担の軽減および移設時の連続運用の実現を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器を示す概略正面図である。
図2】上記電子機器の概略斜視図である。
図3】上記電子機器の他の設置レイアウト例を示す説明図である。
図4】上記電子機器の移設手順の一例を示す説明図である。
図5】上記電子機器の移設手順の一例を示す説明図である。
図6】上記電子機器の移設手順の一例を示す説明図である。
図7】上記電子機器における第1筐体部の構成を概略的に示す分解斜視図である。
図8】上記第1筐体部の概略正面図である。
図9】上記第1筐体部に収容された第1制御ユニットの構成を示す概略斜視図である。
図10】上記電子機器の作用を説明する概略正面図である。
図11】上記電子機器の背面図である。
図12】上記電子機器の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
[電子機器の全体構成]
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器100を示す概略正面図、図2はその概略斜視図である。図中、X軸、Y軸およびZ軸は相互に直交する3軸方向を示しており、X軸およびY軸は水平方向、Z軸は高さ方向にそれぞれ相当する。本実施形態では、電子機器100として、消防システム用の回線制御装置への適用例について説明する。
【0023】
図1に示すように、電子機器100は、第1制御ユニット11と、第2制御ユニット21と、共用ユニット31と、これらを収容するキャビネット40とを備える。
【0024】
第1制御ユニット11および第2制御ユニット21は、図示しない指令台からの制御指令に基づいて図示しない複数の基地局無線装置から1または2以上の基地局無線装置を選択するための回線制御を行うための回線接続装置やそれらの制御装置などを含む。第1制御ユニット11および第2制御ユニット21は共通の構成を備えており、一方が現用の制御ユニットとして用いられ、他方が予備の制御ユニットとして用いられる。本実施形態では、第1制御ユニット11が現用の制御ユニットとして用いられ、第2制御ユニット21が予備の制御ユニットとして用いられる。
【0025】
なお、「現用」と「予備」は単に役割の違いを表すもので、現用の制御ユニットとは動作中あるいは動作する役割を担う方の制御ユニットをいい、予備の制御ユニットとは、現用の制御ユニットに代わって動作可能にスタンバイしている方の制御ユニットをいう。
【0026】
共用ユニット31は、第1制御ユニット11および第2制御ユニット21へ電源を供給する電源装置や指令台からの制御指令を中継する中継装置などを含む電源ユニットである。共用ユニット31は、第1制御ユニット11および第2制御ユニット21にそれぞれ配線ケーブルで接続されており、通常は、現用の制御ユニットである第1制御ユニット11へ電力や中継信号を伝送し、第1制御ユニット11から第2制御ユニット21へ運用を切り替えるとき、つまり、動作させる制御ユニットを現用の制御ユニットから予備の制御ユニットに変更して(切り替えて)回線制御装置を運用するときは、第1制御ユニット11から第2制御ユニット21へ電源の供給および制御指令の出力を切り替え可能とされている。
【0027】
キャビネット40は、第1制御ユニット11、第2制御ユニット21および共用ユニット31ごとに分割可能な複数の筐体部の結合体である。より具体的に、キャビネット40は、第1制御ユニット11を収容する第1筐体部41と、第2制御ユニット21を収容する第2筐体部42と、共用ユニット31を収容する第3筐体部43とを有する。キャビネット40は、各筐体部41~43の間をボルトやネジ等の複数の締結具を用いて固定することで一体化される。
【0028】
第1筐体部41、第2筐体部42および第3筐体部43は、いずれも立方体形状を有し、その大きさは任意に設定可能である。本実施形態では、第1筐体部41、第2筐体部42および第3筐体部43はX軸方向(奥行)およびY軸方向(幅)の長さが同一とされる。これにより各筐体部41~43を一体的に整然と積み上げることができる。高さ寸法についても各筐体部41~43で同一とされるが、これに限られず、第3筐体部43が第1筐体部41および第2筐体部42よりも低くてもよいし、高くてもよい。
【0029】
キャビネット40が上述のように各筐体部41~43に分割可能に構成されることで、電子機器100は、第1筐体部41に第1制御ユニット11が収容された現用機である第1の機器10と、第2筐体部42に第2制御ユニット21が収容された予備機である第2の機器20と、第3筐体部43に共用ユニット31が収容された第3の機器30との結合体として構成される。
【0030】
これにより、電子機器100が機器10~30ごとに個別に搬送可能となるため、電子機器100の搬送および設置あるいは移設の作業性が高められる。また、個々の各筐体部41~43をアルミニウム合金等の軽金属で構成することで各筐体部41~43を軽量化でき、これにより搬送時の作業負担を軽減することができる。
【0031】
本実施形態において電子機器100は、図1に示すように第1の機器10、第2の機器20および第3の機器30が上下方向に積み重ねられるようにして設置される。これにより、電子機器100の設置面積を小さくできる。この場合、共用ユニット31を収容する第3の機器30が最下段に位置する方が、電子機器100の移設時の作業性が高められる点で好ましい。
【0032】
一方、本実施形態の電子機器100は各機器10~30が分離可能に構成されているため、設置高さに制限がある環境下においても電子機器100の設置レイアウトの自由度を高めることができる。例えば図3Aに示すように1つの機器(機器10)が他の2つの機器(機器20,30)の横に並置されてもよいし、図3Bに示すように3つの機器10~30がそれぞれ横並びに配置されてもよい。
【0033】
さらに本実施形態によれば、共通の2つの制御ユニット11,21を備えているため、システムの運用を停止させることなく、あるいは運用の停止期間が極力短くなるように電子機器100の移設作業を行うことができる。図4図6は、建屋1に設置された電子機器100を建屋2への移設手順の一例を示す説明図である。なお、図4に示す電子機器100Aは移設元である建屋1に設置された電子機器100を示し、図5に示す電子機器100Bおよび図6に示す電子機器100Cはそれぞれ移設先である建屋2に設置された電子機器100を示すものとする。
【0034】
電子機器100の移設時は、図4に示すように、移設用の共用機器30'が建屋2に設置される。この共用機器30'は、建屋1の第3の機器30と同一の構成を有し、共用ユニット31と同一機能の電源ユニットを収容する。そして、この共用機器30'を図示しない指令台および基地局無線装置と通信可能に接続することで、指令台および基地局無線装置とそれらの間に接続された電子機器100Aとにより形成される既存の第1の通信経路に加えて、上記指令台および基地局無線装置とそれらの間に接続された電子機器100B,100Cとを有する第2の通信経路が新たに形成される。
【0035】
移設作業の順序としては先ず、建屋1に設置された電子機器100Aについて、動作させる制御ユニットを現用機として動作させていた第1の機器10(第1の制御ユニット)から予備機としてスタンバイさせていた第2の機器20(第2の制御ユニット21)へ切り替えた後、第1の機器10を第2の機器20から分離する。この状態では、電子機器100Aを含む第1の通信経路により指令台と基地局無線装置との間の通信が維持される。
【0036】
続いて図5に示すように、分離した第1の機器10を移設先である建屋2に設置された共用機器30'に接続することで、当該第1の機器10が現用の制御ユニットとして機能する電子機器100Bを構成する。そして、指令台と基地局無線装置との間の通信経路を第1の通信経路から第2の通信経路に切り替えることで、電子機器100Aに代わり、電子機器100Bが回線制御装置として運用を開始する。
【0037】
続いて図6に示すように、建屋1に残された第2の機器20が第3の機器30から分離されて移設先である建屋2へ搬送される。搬送された第2の機器20は建屋2の共用機器30'に接続されるとともに、第1の機器10上に設置されることで、電子機器100Cにより回線制御装置としての運用が継続される。その後必要に応じて、現用の制御ユニットが第1の機器10から第2の機器20へ切り替えられる。なお移設先(建屋2)で使用されている共用機器30'は、移設元(建屋1)で使用されていた第3の機器30の機能を代替するため、電子機器100の移設完了後は、当該第3の機器30は使用せずに回収される。
【0038】
このように本実施形態によれば、システムの運用を停止させることなく移設先への電子機器100の移設作業を行うことができるので、移設時の連続運用を実現できる。
【0039】
[電子機器の各部の詳細]
(筐体部)
図7は、第1筐体部41の構成を概略的に示す分解斜視図である。第2筐体部42および第3筐体部43も第1筐体部41と同様に構成されるため、ここでは説明を省略する。
【0040】
図7に示すように、第1筐体部41は、六面体を形成するためのフレーム部50を有する。フレーム50は例えばアルミニウム合金製であり、前後方向(X軸方向)、左右方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)にそれぞれ開口する開口面を有する。フレーム部50は、例えば断面L字形状の複数のアングル材を組み合わせて形成される。
【0041】
フレーム部50の各開口面には、前面パネル51、側面パネル52,53、天面板54および底面板55がそれぞれ取り付けられる。前面パネル51は、例えば開閉扉であり、図8に示すように取っ手510や鍵穴511などが備え付けられる。天板部54および底板部55には通風孔54a,55aが設けられる。なお、前面パネル51および側面パネル52,53にも外気を取り込む通風部が設けられてもよい。また、通風孔54a,54bは、異物混入を防止するためメッシュ構造であってもよい。
【0042】
フレーム部50の背面側の側面パネル52,53が取り付けられていない開口面には、左右方向に延びる横桟部56が設けられている。横桟部56は、筐体部41を補強する機能を有するとともに、後述するように第1制御ユニット11(第2筐体部42の場合は第2制御ユニット21)に接続される配線ケーブルを支持する機能を有する(図12参照)。
【0043】
(制御ユニット)
図9は、第1制御ユニット11の構成を概略的に示す斜視図である。第2制御ユニット21も第1制御ユニット11と同様に構成されるため、ここでは説明を省略する。
【0044】
図9に示すように、第1制御ユニット11は、複数の制御基板70がその面内方向(XZ平面に沿う方向)に垂直な軸方向(Y軸方向)に間隔をおいて配置された基板配列体である。本実施形態では同図に示すように、各制御基板70は縦向きの姿勢で第1筐体部41の幅方向に間隔をおいて配列される。各制御基板70は、プリント配線基板などであり、回線制御を行うための各種電子部品やスイッチングハブ等の電子機器が搭載される。第1制御ユニット11は図示しない支持部材を介してフレーム部50に支持される。支持形態は特に限定されず、各制御基板70が個々にフレーム部50に支持されてもよいし、各制御基板70が共通の支持部材を介して一括的にフレーム部50に支持されてもよい。
【0045】
第1制御ユニット11および第2制御ユニット21を上述のように複数の制御基板70が配列された基板配列体とすることにより、図10に示すように、各制御基板70の間に空気が通る通風路Pが形成される。第1筐体部41および第2筐体部42は、通風路Pを通る空気流を形成するための送風機60を有し、第1制御ユニット11および第2制御ユニット21を当該空気流で冷却する。これにより、各制御ユニット11,21の発熱による誤作動を防ぐことができる。
【0046】
なお、各筐体部41,42の送風機60をすべて作動させる必要はなく、いずれか一方の送風機のみを作動させてもよい。例えば、現用の制御ユニット(第1の制御ユニット11)を収容する筐体部(第1筐体部41)の送風機のみが作動する。本実施形態では、各筐体部41,42の内部が天面部54および底板部55の通風孔54a,55aを介して連通しているため、各筐体部41~43の内部を通して空気流を通過させることができる。
【0047】
さらに図10に示すように、第1制御ユニット11を形成する基板配列体と第2制御ユニット12を形成する基板配列体の各々を構成する各制御基板70が上下方向(Z軸方向)に平行に配置されるため、各筐体部41の制御基板70に空気流を均等に接触させることができる。これにより、各制御ユニット11,21の冷却効率を高めることができる。この場合、各筐体部41,42の制御基板70が上下方向に整列するように、第1筐体部41内の各制御基板70の下端部を第2筐体部42内の各制御基板70の上端部と対向して配置することで、空気流の通過抵抗を小さくすることができる。
【0048】
(表示装置)
図8に示すように、第1筐体部41には、表示装置80が取り付けられている。本実施形態において表示装置80は、フレーム部50に取り付けられ、前面パネル51に形成された開口部を介して外部へ露出する。表示装置80は、第1制御ユニット11、第2制御ユニット21および共用ユニット31の運転状態を表示するためのもので、本実施形態では表示内容に応じて予め割り当てられた複数の表示灯を有する。複数の表示灯としては、例えば、電子機器100の動作時(回線制御装置の運用時)に点灯するランプ、第1制御ユニット11および第2制御ユニット21のうちいずれが現用の制御ユニットであるかを点灯表示するランプ、電子機器100が保守点検中であることを点灯表示するランプ、異常報知用の警報ランプなどが挙げられる。これにより、電子機器100の現在の運用状態を外部から確認することができる。
【0049】
上記表示灯の少なくとも1つは、対応する各種動作を実行するための押圧スイッチ(切替スイッチ)として構成されてもよい。この場合、上述した電子機器100の移設作業時において、現用の制御ユニットから予備の制御ユニットへの切り替えのほか、第1の通信経路から第2の通信経路への切り替えを当該表示装置80(表示灯)に対する入力操作によって行うことができる。
【0050】
表示装置80は、第1筐体部41に代えて第2筐体部42に取り付けられてもよいし、第1筐体部および第2筐体部42の双方に取り付けられてもよい。表示装置80は上述の複数の表示灯で構成される場合に限られず、文字や図形を表示可能なディスプレイであってもよいし、ブザーやアラーム等の鳴動機能を備えていてもよい。
【0051】
(配線ケーブル)
図11は、電子機器100の各筐体部41~43の背面側から見た背面図、図12は、第1筐体部41を右側から見た側面図である。
【0052】
図11に示すように、電子機器100は、第1制御ユニット11と共用ユニット31との間を接続する複数の第1配線ケーブル91と、第2制御ユニット21と共用ユニット31との間を接続する複数の第2配線ケーブル92を備える。
【0053】
第1配線ケーブル91の一方の端部は、第1制御ユニット11のコネクタ端子13に接続され、第1配線ケーブル91の他方の端部は、共用ユニット31のコネクタ端子33に接続される。コネクタ端子13は、第1制御ユニット11を形成する複数の制御基板70にそれぞれ配置され、各制御基板70が個々の第1配線ケーブル91を介して、対応する共用ユニット31のコネクタ端子に接続される。第1配線ケーブル91は、電源供給用の電源ケーブル、信号伝送用の伝送ケーブルなどを含む。
【0054】
同様に、第2配線ケーブル92の一方の端部は、第2制御ユニット21のコネクタ端子23に接続され、第2配線ケーブル92の他方の端部は、共用ユニット31のコネクタ端子33に接続される。コネクタ端子23は、第2制御ユニット21を形成する複数の制御基板70にそれぞれ配置され、各制御基板70が個々の第2配線ケーブル92を介して、対応する共用ユニット31のコネクタ端子に接続される。第2配線ケーブル92は、電源供給用の電源ケーブル、信号伝送用の伝送ケーブルなどを含む。
【0055】
第1配線ケーブル91および第2配線ケーブル92は、各筐体部41~43の背面の外側を通るように敷設される。これにより各筐体部41~43に配線ケーブルを通す領域を確保する必要がなくなるため、各筐体部41~43を小型化でき、軽量化も図れる。さらに、各配線ケーブル91,92の脱着が容易になり、電子機器100の移設時や設置レイアウトの変更時の作業性が向上する。
【0056】
また図12に示すように、第1制御ユニット11を形成する制御基板70のコネクタ端子13に接続された第1配線ケーブル91は、第1筐体部41の背面側に設けられた横桟部56によって支持される。これにより、第1配線ケーブル91の自重が直接コネクタ端子13に作用することを防いでコネクタ端子13からの第1配線ケーブル91の脱落や接続不良を抑制できる。各第1配線ケーブル91は、結束バンドなどを用いて横桟部56の一部に共通に括り付けられてもよい。
【0057】
同様に、第2制御ユニット21を形成する制御基板70のコネクタ端子23に接続された第2配線ケーブル92は、第2筐体部42の背面側に設けられた横桟部56によって支持される。これにより、第2配線ケーブル92の自重が直接コネクタ端子23に作用することを防いでコネクタ端子23からの第2配線ケーブル92の脱落や接続不良を抑制できる。各第2配線ケーブル91は、結束バンドなどを用いて横桟部56の一部に共通に括り付けられてもよい。
【0058】
横桟部56が設けられる位置は、コネクタ端子13,23に接続された配線ケーブル91,92の少なくとも一部を支持できる位置であれば特に限定されず、コネクタ端子13,23と同一の高さ位置に設けられてもよいし、コネクタ端子13,23の位置よりも低い位置あるいは高い位置に設けられてもよい。
【0059】
さらに本実施形態の電子機器100は、各配線ケーブル91,92が通過する空間部85sを有するカバー部材85をさらに備える。カバー部材85は、筐体部41~43の背面に取り付けられ、外部から配線ケーブル91,92を視認できないように、また、外部から配線ケーブル91,92に接触できないように、配線ケーブル91,92を保護する。
【0060】
カバー部材85は、板材を断面コの字状に折り曲げることで中空部85sを形成したプレス加工体であってもよいし、内部に空間部85sを形成する平らな筒体などであってもよい。カバー部材85は、筐体部41~43ごとに個々に独立して設けられるが、各筐体部41に共通に形成されてもよい。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0062】
例えば以上の実施形態では、電子機器100として、消防システム用の回線制御装置への適用例について説明したが、これに限られず、例えば同じく消防ステム用の指令制御装置にも本発明は適用可能である。これ以外にも、消防システム以外の他の用途の電子機器にも本発明は適用可能である。
【0063】
また以上の実施形態では、現用および予備の2つの制御ユニット(第1制御ユニット21、第2制御ユニット21)を備えた電子機器100を例に挙げて説明したが、制御ユニットは1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、制御ユニットおよび共用ユニットのほか、さらに他の電子ユニットが追加で設置されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
11…第1制御ユニット
21…第2制御ユニット
31…共用ユニット(電源ユニット)
40…キャビネット
41…第1筐体部
42…第2筐体部
43…第3筐体部
50…フレーム部
56…横桟部
70…制御基板
80…表示装置
85…カバー部材
91…第1配線ケーブル
92…第2配線ケーブル
100,100A,100B,100C…電子機器
図1
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図12