(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174525
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】監視装置、表面実装機及び監視装置の位置調整方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092392
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡嵜 真一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC21
5E353EE31
5E353EE33
5E353GG01
5E353HH12
5E353HH29
5E353HH32
5E353HH34
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK05
5E353KK11
5E353LL02
5E353LL03
5E353LL06
5E353QQ11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フィーダバンクに対するフィーダの設置不良を検出すると共に、フィーダの部品供給位置の上方領域に侵入する侵入物を検出することを課題とする。
【解決手段】部品供給位置に電子部品Wを供給するフィーダ80を設置するフィーダ設置部を第1方向に複数有するフィーダバンク70の監視装置150であって、フィーダバンクの第1方向の一端部に配置された投光センサ160と、フィーダバンクの第1方向の他端部に配置され、フィーダを間にして、投光センサと対向する受光センサ170とを含む。投光センサは、フィーダの上方を通過する帯状ライン光LCを出力し、受光センサは、フィーダ設置部に設置されたフィーダの上空を通過した帯状ライン光を受光し、帯状ライン光は、平面視において、フィーダの前記部品供給位置に重なるように位置しており、フィーダ設置部に設置されたフィーダの部品供給位置の上方領域を監視する。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給位置に電子部品を供給するフィーダを設置可能なフィーダ設置部を第1方向に複数有するフィーダバンクの監視装置であって、
前記フィーダバンクのうち前記第1方向の一端部に配置された投光センサと、
前記フィーダバンクのうち前記第1方向の他端部に配置され、前記フィーダ設置部に設置されたフィーダを間にして、前記投光センサと対向する受光センサと、を含み、
前記投光センサは、前記フィーダ設置部に設置された前記フィーダの上方を通過する帯状ライン光を出力し、
前記受光センサは、前記フィーダ設置部に設置された前記フィーダの上空を通過した前記帯状ライン光を受光し、
前記帯状ライン光は、平面視において、前記フィーダの前記部品供給位置に重なるように位置しており、前記フィーダ設置部に設置された前記フィーダの前記部品供給位置の上方領域を監視する、監視装置。
【請求項2】
表面実装機であって、
ヘッドユニットと、
フィーダバンクと、
前記フィーダバンクに配置される、複数本のフィーダと、
請求項1に記載の監視装置と、を備え、
前記ヘッドユニットは、前記フィーダにより供給される電子部品を前記部品供給位置から取り出して基板に搭載する実装ヘッドを有し、
前記監視装置は、基板に対して電子部品を実装する生産の開始から生産が終了するまでの基板生産期間を対象として、前記帯状ライン光により、前記フィーダの部品供給位置の上方領域を監視する、表面実装機。
【請求項3】
請求項2に記載の表面実装機であって、
前記帯状ライン光は、上下方向において、前記フィーダの上面の高さ位置を下限とし、
前記実装ヘッドが部品取出前の待機位置に移動した時の、前記実装ヘッドの先端部の高さ位置を上限とする範囲に位置する、表面実装機。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の表面実装機であって、
前記監視装置は、前記基板生産期間のうち、前記フィーダから電子部品を取り出すため、前記実装ヘッド又は前記実装ヘッドに保持した電子部品が、前記帯状ライン光を横切って遮光する遮光期間は、前記帯状ライン光による、監視を実施しない、表面実装機。
【請求項5】
請求項2又は請項3に記載の表面実装機であって、
前記監視装置は、前記帯状ライン光の監視範囲のうち、前記フィーダから電子部品を取り出すため、前記実装ヘッドが通過する領域を不感帯として設定する、表面実装機。
【請求項6】
請求項2又は請求項3に記載の表面実装機であって、
前記フィーダから電子部品を保持して取り出し後、前記実装ヘッドに保持された電子部品が前記帯状ライン光を通過する時点の前記実装ヘッドの高さ位置の情報に基づいて、前記フィーダから取り出した電子部品の高さ寸法を計測する、表面実装機。
【請求項7】
フィーダバンクを監視する監視装置の位置調整方法であって、
前記フィーダバンクのフィーダ設置部に設置された治具に形成されたスリットを帯状ライン光が通過するように、前記フィーダバンクに対する投光センサの位置を調整し、
前記治具のスリットを通過した帯状ラインが受光できるように、前記フィーダバンクに対する受光センサの位置を調整する、監視装置の位置調整方法。
【請求項8】
フィーダバンクを監視する監視装置の位置調整方法であって、
投光センサから出力した帯状ライン光を、前記フィーダバンクのフィーダ設置部に設置された治具に搭載されたカメラにより撮影し、
前記カメラにより撮影された帯状ライン光が定められた位置になるように、前記フィーダバンクに対する前記投光センサの位置を調整し、
前記投光センサの位置調整後、前記投光センサの出力した帯状ライン光が受光できるように、前記フィーダバンクに対する受光センサの位置を調整する、監視装置の位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を供給するフィーダの周辺技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表面実装機に部品を供給する装置の一例としてテープフィーダが知られている。特許文献1は、「第1の実装レーンL1、第2の実装レーンL2を備え、独立実装モード、交互実装モードを選択可能に構成された部品実装装置において、実装対象となる基板種の変更に伴う機種切替え作業を実行するに際し、部品供給部においてオペレータの身体の一部または異物が進入可能な開口部の近傍に設けられたテープフィーダ浮き検出センサがオペレータの手指などの身体の一部または異物を検出したならば、当該部品供給部の属する実装レーンとは反対側の実装レーンに属する部品実装機構による作業動作を停止させる。」ことを開示する。
【0003】
また、特許文献1の段落24には、「第1の部品供給部、第2の部品供給部に設けられた開口部は、台車を分離した状態においてオペレータによるアクセスが可能であることから、オペレータの身体の一部または異物が開口部を介して進入した状態で第1の実装ヘッド、第2の実装ヘッドが動作すると、不安全状態を招くおそれがある。このような不安全状態を防止するため、テープフィーダ浮き検出センサをオペレータの安全確保用の光学センサとして用いるようにしている。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィーダバンクに対するフィーダの設置不良が発生すると、電子部品を正確に供給することができず、電子部品の吸着ミスが発生し易くなるから、フィーダの設置不良を検出する必要がある。また、表面実装機は、フィーダ上方に実装ヘッドを移動させた後、実装ヘッドをフィーダ高さに下降させ、フィーダ部品供給位置から電子部品を取り出している。
フィーダ部品供給位置の上方領域に侵入物がある場合、電子部品の取り出しを行う際、実装ヘッドが侵入物に接触したり、干渉する可能性がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、フィーダバンクに対するフィーダの設置不良を検出すると共に、フィーダ部品供給位置の上方領域に対する侵入物を検出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)部品供給位置に電子部品を供給するフィーダを設置可能なフィーダ設置部を第1方向に複数有するフィーダバンクの監視装置であって、前記フィーダバンクのうち前記第1方向の一端部に配置された投光センサと、前記フィーダバンクのうち前記第1方向の他端部に配置され、前記フィーダ設置部に設置されたフィーダを間にして、前記投光センサと対向する受光センサと、を含む。
前記投光センサは、前記フィーダ設置部に設置された前記フィーダの上方を通過する帯状ライン光を出力し、前記受光センサは、前記フィーダ設置部に設置された前記フィーダの上空を通過した前記帯状ライン光を受光する。前記帯状ライン光は、平面視において、前記フィーダの前記部品供給位置に重なるように位置しており、前記フィーダ設置部に設置された前記フィーダの前記部品供給位置の上方領域を監視する。
【0008】
この構成によれば、フィーダバンクに対するフィーダの設置不良を検出することが出来る。更に、フィーダ部品供給位置の上方領域に対する侵入物を検出することが出来る。
【0009】
(2)本発明は、表面実装機であって、ヘッドユニットと、フィーダバンクと、前記フィーダバンクに配置される、複数本のフィーダと、(1)に記載の監視装置と、を備え、前記ヘッドユニットは、前記フィーダにより供給される電子部品を前記部品供給位置から取り出して基板に搭載する実装ヘッドを有し、前記監視装置は、前記基板に対して電子部品を実装する生産の開始から生産が終了するまでの基板生産期間を対象として、前記帯状ライン光により前記フィーダの部品供給位置の上方領域を監視してもよい。
【0010】
このようにすれば、基板生産中のトラブルにより、部品供給位置の上方領域に侵入する侵入物を、検出することが出来る。基板生産中のトラブルとしては、部品供給テープのジャム、トップテープの巻き取り不調、フィーダ搬送不良による電子部品の飛び出しを例示することが出来る。
【0011】
(3)(2)に記載の表面実装機であって、前記帯状ライン光は、上下方向において、前記フィーダの上面の高さ位置を下限とし、前記実装ヘッドが部品取出前の待機位置に移動した時の、前記実装ヘッドの先端部の高さ位置を上限とする範囲に位置してもよい。このようにすれば、電子部品取り出しの際、実装ヘッドに接触又は干渉する可能性のある侵入物を、精度よく検出することが出来る。
【0012】
(4)(2)又は(3)に記載の表面実装機であって、前記監視装置は、前記基板生産期間のうち、前記フィーダから電子部品を取り出すため、前記実装ヘッド又は前記実装ヘッドに保持した電子部品が、前記帯状ライン光を横切って遮光する遮光期間は、前記帯状ライン光による、監視を実施しないようにしてもよい。このようにすれば、フィーダから電子部品の取り出しを行う実装ヘッドや実装ヘッドに保持した電子部品を、侵入物として、誤検出することを抑制できる。
【0013】
(5)(2)又は(3)に記載の表面実装機であって、前記監視装置は、前記帯状ライン光の監視範囲のうち、前記フィーダから電子部品を取り出すため、前記実装ヘッドが通過する領域を不感帯として設定してもよい。このようにすれば、フィーダから電子部品の取り出しを行う実装ヘッドや実装ヘッドに保持した電子部品を、侵入物として、誤検出することを抑制できる。
【0014】
(6)(2)~(5)のいずれか一項に記載の表面実装機であって、前記フィーダから電子部品を保持して取り出した後、前記実装ヘッドに保持された電子部品が前記帯状ライン光を通過する時点の前記実装ヘッドの高さ位置の情報に基づいて、前記フィーダから取り出した電子部品の高さ寸法を計測してもよい。このようにすれば、監視装置の機能(帯状ライン光)を利用して、電子部品の高さ寸法を計測することが出来る。
【0015】
(7)本発明は、フィーダバンクを監視する監視装置の位置調整方法であって、前記フィーダバンクのフィーダ設置部に設置された治具に形成されたスリットを帯状ライン光が通過するように、前記フィーダバンクに対する投光センサの位置を調整し、前記治具のスリットを通過した帯状ラインが受光できるように、前記フィーダバンクに対する受光センサの位置を調整する。このようにすれば、フィーダバンクの両端部に対向配置される投光センサと受光センサの取り付け位置を、正確に調整することが出来る。
【0016】
(8)本発明は、フィーダバンクを監視する監視装置の位置調整方法であって、投光センサから出力した帯状ライン光を、前記フィーダバンクのフィーダ設置部に設置された治具に搭載されたカメラにより撮影し、前記カメラにより撮影された帯状ライン光が定められた位置になるように、前記フィーダバンクに対する前記投光センサの位置を調整し、前記投光センサの位置調整後、前記投光センサの出力した帯状ライン光が受光できるように、前記フィーダバンクに対する受光センサの位置を調整する。
このようにすれば、フィーダバンクの両端部に対向配置される投光センサと受光センサの取り付け位置を、正確に調整することが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィーダ上空を監視する帯状ライン光により、フィーダバンクに対するフィーダの設置不良を検出することが出来る。フィーダの設置不良を検出した場合、エラー表示等を行うことで、フィーダの設置不良を報知することが出来る。また、部品吸着動作前であれば、部品吸着動作前に、表面実装機のXYZ軸移動動作を停止することも出来る。更に部品吸着動作中および部品装着点への移動動作中であれば、表面実装機のXYZ軸移動動作を即時停止することも出来る。
【0018】
また、帯状ライン光は、フィーダの部品供給位置の上方領域を監視するから、部品供給位置の上方領域に対する侵入物を検出することが出来る。侵入物を検出した場合、警告等を行うことで、フィーダの部品供給位置から電子部品を取り出す際に、実装ヘッドが侵入物に接触したり、干渉することを抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】Xビーム及びヘッドユニットの正面図である。
【
図6A】フィーダバンク及び監視装置の平面図である。
【
図6B】フィーダバンク及び監視装置の正面図である。
【
図7A】フィーダバンク及び監視装置の平面図である。
【
図7B】フィーダバンク及び監視装置の正面図である。
【
図8】実装ヘッドの待機位置、部品取出位置、上昇位置を示す図である。
【
図9A】フィーダバンク及び監視装置の平面図である。
【
図9B】フィーダバンク及び監視装置の正面図である。
【
図10】帯状ライン光による監視処理の実行期間を示す図である。
【
図11】実装ヘッドによる電子部品のピックアップ動作を示す図である。
【
図13】1つの吸着ノズルによる電子部品の単独吸着動作を示す図である。
【
図14】複数の吸着ノズルによる電子部品の連続吸着動作を示す図である。
【
図15】複数の吸着ノズルによる電子部品の同時吸着動作を示す図である。
【
図16】表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図17】電子部品の高さ計測に関する制御ブロックを示す図である。
【
図18】電子部品の高さの計測方法の説明図である。
【
図19】電子部品の高さの計測方法の説明図である。
【
図20】投光センサと受光センサの位置調整作業を示す図である。
【
図21】投光センサと受光センサの位置調整作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
1.表面実装機1の全体構成
表面実装機1は、
図1に示すように、基台11、搬送コンベア20、駆動装置30、ヘッドユニット60、フィーダバンク70A~70D、フィーダバンク70A~70Dに設置される複数本のフィーダ80及び監視装置150A~150Dを備えている。
【0021】
以下の説明において、基台11の長手方向(
図1の左右方向)をX方向と呼ぶものとし、基台11の奥行方向(
図1の上下方向)をY方向、
図2の上下方向(実装ヘッド63の昇降方向)をZ方向とする。
【0022】
搬送コンベア20は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア20はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト21を備えており、搬送ベルト21上のプリント基板Pを、X方向に搬送する。
【0023】
本実施形態では、
図1に示す左側が入り口となっており、プリント基板Pは、
図1に示す左側より搬送コンベア20を通じて機内へと搬入される。搬入されたプリント基板Pは、搬送コンベア20により基台中央の作業位置まで運ばれる。
【0024】
駆動装置30は、
図1、
図2に示すように、一対のYビーム41、Xビーム51、Y軸ボールねじ45、Y軸モータ47、X軸ボールねじ55、X軸モータ57、Z軸ボールねじ65、Z軸モータ67から構成される。
【0025】
具体的に説明すると、
図1に示すように、一対のYビーム41は、基台11のX方向両側に位置している。一対のYビーム41は、Y方向に平行に延びており、Xビーム51をY方向にスライド可能に支持している。
【0026】
Yビーム41の上面には、Y方向に延びるY軸ボールねじ45と、その軸端部にY軸モータ47が配置されている。Y軸ボールねじ45は、Y軸方向の駆動軸であり、Xビーム51の下面に固定されたボールナット52が螺合している。
【0027】
Y軸モータ47の駆動により、Y軸ボールねじ45を軸中心に回転させることで、Xビーム51及びヘッドユニット60をY方向に移動させることができる(Y軸サーボ機構)。
【0028】
Xビーム51は、
図2に示すように、X方向に長い形状であり、ヘットユニット60をX方向に沿ってスライド可能に支持している。Xビーム51の側面には、X方向に延びるX軸ボールねじ55と、その軸端部にX軸モータ57が配置されている。X軸ボールねじ55は、X軸方向の駆動軸であり、ヘッドユニット60に固定されたボールナット(図略)が螺合している。
【0029】
X軸モータ57の駆動により、X軸ボールねじ55を軸中心に回転させることで、Xビーム51に対して、ヘッドユニット60をX方向に移動させることができる(X軸サーボ機構)。
【0030】
以上のことから、X軸モータ57、Y軸モータ47を複合的に制御することで、基台11上の任意の位置に、ヘッドユニット60を移動させることが出来る。
【0031】
ヘッドユニット60は、複数本の実装ヘッド63を有している。実装ヘッド63はヘッドユニット60に対してX方向に一列状に配置されている。各実装ヘッド63は、Z軸モータ67の駆動により、Z軸ボールねじ65を介して、上下方向に移動することが出来る(Z軸サーボ機構)。
【0032】
実装ヘッド63はZ方向に長いシャフトであり、先端(下端)には、吸着ノズル68を有している。吸着ノズル68の内圧を、負圧と正圧に切り換えることで、電子部品Wを保持又は解放できる。
【0033】
このような構成とすることで、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータ67を所定のタイミングで作動させることにより、フィーダ80を通じて供給される電子部品Wを実装ヘッド63により取り出して、プリント基板P上に装着することが出来る。
【0034】
尚、
図1に示す符号15は部品認識カメラ、符号62は基板認識カメラである。部品認識カメラ15は基台11上において撮像面を上に向けて固定されており、実装ヘッド63により取り出された電子部品Wの画像(下面画像)を撮像する。
【0035】
基板認識カメラ62はヘッドユニット60に撮像面を下に向けた状態で固定されている。基板認識カメラ62は、ヘッドユニット60と共に一体的に移動し、プリント基板P上の任意の位置の画像を撮像する。
【0036】
2.部品供給テープ75及びフィーダ80の構成
部品供給テープ75は、
図3に示すように、キャリアテープ76と、これに貼着されるトップテープ78とから構成されている。
【0037】
キャリアテープ76は、部品収納部77を一定間隔置きに有している。部品収納部77は、上方に開口した空洞状であり、チップ抵抗等の小型電子部品Wを収納する。
【0038】
フィーダ80は、部品供給テープ75をY方向に送り出すことにより、電子部品Wを部品供給位置Gに供給する装置である。
【0039】
フィーダ80は、
図4、
図5に示すように、送出装置90と、テープガイド97と、引取装置100と、テープ収納部120と、これらが取り付けられるフレーム81とを備える。
【0040】
フレーム81は、Y方向に長い形状であり、例えば、アルミダイキャスト製である。フレーム81には、部品供給テープ75を通すためのテープ通路85が設けられている。
【0041】
送出装置90は、フレーム81の前部側に設けられている。送出装置90は、第一モータ91、複数枚のギヤからなるギヤ列93、スプロケット95からなる。ギヤ列93は、第一モータ91の動力を伝達してスプロケット95を回転させる。
【0042】
スプロケット95はフレーム81の前端上部に配置されている。スプロケット95の外周には等間隔で歯95Aが形成されている。スプロケット95の歯95Aは部品供給テープ75の係合孔76Aと係合しており、スプロケット95を回転させることにより、部品供給テープ75をフィーダ前部の部品供給位置Gに送出することが出来る。
【0043】
テープガイド97は、前後に長い形状をなし、フレーム81の上面前部に設置されている。テープガイド97は、部品供給テープ75の両側をガイドするガイド壁97Aを有し、フレーム上面を送られる部品供給テープ75の姿勢が斜かないようにしている。
【0044】
図4に示すように、テープガイド97の上面壁98には、部品取出孔98Aが設けられている。部品取出孔98Aは、部品供給位置G(
図5参照)に対応して設けられている。
【0045】
図5に示すように、トップテープ78は、部品取出孔98Aまで移動した時点で、部品取出孔98Aのエッジ等により上流側に折り返されて、キャリアテープ76から引き剥がされる構造となっている。
【0046】
これにより、電子部品Wの搬送タイミングに合わせて、実装ヘッド63を部品供給位置Gに移動することにより、部品取出孔98Aを介して、キャリアテープ76の部品収納部77から電子部品Wをピックアップすることが出来る。
【0047】
引取装置100は、キャリアテープ76から剥離したトップテープ78を引き取ってテープ収納部120に回収する装置であり、第二モータ101、複数枚のギヤからなるギヤ列103と、引っ張りローラ105、ピンチローラ107からなる。
【0048】
3.監視装置150
図6Aはフィーダバンク70の平面図、
図6Bはフィーダバンク70の正面図である。フィーダバンク70は、
図6A、
図6Bに示すように、ベース71と、一対のサイド壁73A、73Bを備えている。
【0049】
一対のサイド壁73A、73Bは、ベース71のX方向両側に位置している。ベース71上には、X方向に等間隔でフィーダ設置部72が複数設けられており、複数本のフィーダ80をX方向に配置することが出来る。尚、X方向が本発明の「第1方向」に相当する。
【0050】
この実施形態では、
図1に示すように、基台11上に4台のフィーダバンク70A~70Dを設置しており、4台のフィーダバンク70A~70Dに対してそれぞれ監視装置150A~150Dが設置されている。尚、以下の説明において、フィーダバンク70A~70Dを総称して、フィーダバンク70とし、監視装置150A~150Dを総称して、監視装置150とする。
【0051】
監視装置150は、投光センサ160と受光センサ170からなる。投光センサ160は、
図6A、
図6Bに示すように、一方のサイド壁73Aに取り付けられており、受光センサ170は、他方のサイド壁73Bに取り付けられている。一方のサイド壁73Aは、本発明の「一方端部」に相当し、他方のサイド壁73Bが本発明の「他方端部」に相当する。
【0052】
投光センサ160と受光センサ170は、ベース71上に配置された複数本のフィーダ80を間にして向かい合っている。投光センサ160は、光源160Aを有している。
【0053】
光源160Aは、X方向に平行で、Y方向に所定幅を持つ帯状ライン光LCを出力する。帯状ライン光LCは、X方向に平行な光線Lの集合体、つまり、X方向に平行な光線LをY方向に複数本併設することで、Y方向の帯状としたものである。光源160Aは、例えば、レーザ光源などを用いることが出来る。
【0054】
受光センサ170は、ラインセンサ170Aを有している。ラインセンサ170Aは、Y方向に複数の受光素子を有している。各受光素子は、帯状ライン光LCの各光線Lに対応しており、各光線Lの光量を検出することが出来る。つまり、受光センサ170は、各受光素子により、帯状ライン光LCを構成する各光線Lの入光/遮光を、それぞれ検出することが出来る。
【0055】
帯状ライン光LCは、
図6Bに示すように、上下方向(Z方向)において、ベース71に取り付けられたフィーダ80の上面(具体的には、
図4に示すテープガイド97の上面壁98の上面)よりも僅かに高い位置にあって、平面方向では、
図6Aに示すように、帯状ライン光LCの概ね中央が、各フィーダ80の部品供給位置Gを結ぶ直線LG上に位置している。このように、帯状ライン光LCは、上方から見た平面視において、ベース71に配置されたフィーダ80の部品供給位置Gに重なるように配置されている。
【0056】
ベース71に対するフィーダ80の設置不良(ベース上面に対してフィーダ下面が密着せず、一部又は全体が浮いた状態になる不良)がある場合、
図7A、
図7Bに示すように、設置不良のフィーダ80Aが帯状ライン光LCを遮光する。
【0057】
以上のことから、受光センサ170により、帯状ライン光LCの遮光を検出することで、ベース71に対するフィーダ80Aの設置不良を検出することが出来る。
【0058】
また、帯状ライン光LCによる監視高さは、フィーダ80から電子部品Wを取り出す際の実装ヘッド63の動きを考慮して、決定してもよい。
【0059】
図8は、フィーダ80から電子部品Wを取り出す際の実装ヘッド63の移動軌跡を示す図である。P1は待機位置、P2は部品取出位置、P3は上昇位置である。
【0060】
実装ヘッド63は、フィーダ80から電子部品Wを取り出す際に、まず、フィーダ側方の待機位置P1に移動する。待機位置P1の高さ位置は、実装ヘッド63の先端部(吸着ノズル68の先端)がフィーダ80の構成部品(テープガイドやカバー類)に干渉しないように、電子部品Wの上面の高さ位置を基準として、所定距離、上方に位置している。
【0061】
その後、待機位置P1に移動した実装ヘッド63は、電子部品Wの搬送タイミングに合わせて、フィーダ80に接近しつつ、部品取出位置P2まで下降する。部品取出位置P2において、実装ヘッド63の先端部(吸着ノズル68の先端)の高さ位置は、電子部品Wの上面の高さ位置と一致しており、実装ヘッド63は、電子部品Wの上面を吸着する。
【0062】
電子部品Wを吸着した実装ヘッド63は、その後、フィーダ側方の上昇位置P3に移動する。上昇位置P3の高さ位置は、実装ヘッド63が電子部品Wをプリント基板Pに搭載するため基台上を移動する中で、ノズル先端に吸着保持した電子部品Wがコンベアガイド(図略)などの構造部品に干渉しない高さ位置である。
【0063】
図8において、h0はフィーダ80の上面(テープガイド97の上面)の高さ位置、h1は、待機位置P1に移動した時の実装ヘッド63の先端部(吸着ノズル68の先端)の高さ位置、h3は部品取出後、実装ヘッド63が上昇位置P3に移動した時の部品下面の高さ位置である。
【0064】
帯状ライン光LCを、上下方向(Z方向)において、高さ位置h0から高さ位置h1の範囲Hに設置することで、電子部品取出時(P1からP2への移動時)に、実装ヘッド63に接触又は干渉する可能性のある侵入物を、精度よく検出することが出来る。
【0065】
例えば、
図9A、
図9Bに示すように、フィーダ80から飛び出した電子部品Wや、巻き取り不良となったトップテープ78を精度よく検出することが出来る。
【0066】
<部品供給位置上空の侵入物>
(1)部品供給テープ75の収納部77から飛び出した電子部品W
(2)巻き取り不良となったトップテープ78
【0067】
部品供給位置Gの上方領域を帯状ライン光LCにより監視し、侵入物を検出することで、フィーダ80から電子部品Wを取り出す際に、実装ヘッド63が、侵入物に接触したり、干渉することを避けることができる。
【0068】
図10は、帯状ライン光LCによる部品供給位置上空の監視処理の実行期間を示す図である。帯状ライン光LCによる監視処理は、表面実装機1がプリント基板Pの生産を開始した時点taから、プリント基板Pの生産を終了する時点tbまでの基板生産期間を対象に実行される。尚、生産は、1枚のプリント基板Pでもよいが、同じ品種の複数枚のプリント基板Pを生産する場合を含む。
【0069】
また、
図11に示すように、実装ヘッド63がフィーダ80から電子部品Wを取り出す動作中、吸着ノズル68や吸着ノズル68に吸着した電子部品Wが、帯状ライン光LCを遮ってしまう。
【0070】
そのため、フィーダバンク70に設置された、いずれかのフィーダ80から電子部品Wを取り出すため、吸着ノズル68又は吸着ノズル68に保持した電子部品Wが、帯状ライン光LCを横切って遮光する遮光期間Aは、監視除外期間とし、帯状ライン光LCによる部品供給位置上空の監視を実施しない。具体的には、同期間は、帯状ラインLCの投光を止める、或いは帯状ラインLCの受光結果を無効にすることにより、非監視とする。
【0071】
遮光期間Aを監視除外にすることで、フィーダ80から電子部品Wの取り出しを行う実装ヘッド63を、侵入物として、誤検出することを抑制できる。
【0072】
尚、部品供給位置Gの上方領域の監視は、実装ヘッド63が部品吸着動作に入る直前の一瞬だけ行い、ノズルが安全に下降できることを確認するだけでもよい。
【0073】
また、監視除外期間を設ける方法の他、帯状ライン光LCの監視範囲Fに、不感度帯を設定する方法でも、同様の効果を得ることが可能である。尚、不感帯の設定は、例えば、受光センサ170を構成する受光素子の一部をマスク(光線の受光信号を無効化)することにより、実施可能である。
【0074】
図12に示すB1は第1不感帯、B2は第2不感帯である。第1不感帯B1は、帯状ライン光LCの監視範囲Fのうち、吸着ノズル68及び吸着ノズル68に保持された電子部品Wが通過する可能性のある範囲を不感帯としたものである。また、第2不感帯B2は、帯状ライン光LCの監視範囲Fのうち、キャリアテープ76から剥離したトップテープ78が通過する可能性のある範囲を不感帯としたものである。
【0075】
尚、帯状ライン光LCのY方向の帯幅(監視範囲)Fは、
図12に示すように、部品取出孔98AのY方向の幅F0よりも、広いことが望ましい。帯状ライン光LCのY方向の帯幅Fを、部品取出孔98AのY方向の幅F0よりも広くすることで、部品取出孔98Aから飛び出した電子部品Wや、巻き取り不良となったトップテープ78を精度よく検出することが出来る。
【0076】
また、実装ヘッド63による電子部品Wの取り出し方には、
図13に示すように、1本の実装ヘッド63で1台のフィーダ80から電子部品Wを取り出す単独吸着に加え、
図14に示すように、2本の実装ヘッド63A、63Bで1台のフィーダ80から電子部品Wを連続して取り出す連続吸着や、
図15に示すように、2本の実装ヘッド63A、63Bで2台のフィーダ80A、80Bから電子部品Wを同時に取り出す同時吸着がある。
【0077】
単独吸着、連続吸着及び同時吸着は、監視するフィーダ80の並び方向、部品取出時の実装ヘッド63の移動方向、センサ160、170の投受光方向はいずれもX方向(第1方向)で平行であることから、電子部品Wを単独吸着する場合に限らず、連続吸着や同時吸着する場合についても、帯状ライン光LCによる、遮光期間以外の部品供給位置Gの上空監視については、これらを区別することなく、行うことが出来る。
【0078】
また、不感帯を設定する場合についても、フィーダ80から電子部品Wを取り出す際に、吸着ノズル68や吸着ノズル68に吸着された電子部品Wが通過する領域を不感帯として監視すれば、単独吸着、同時吸着、同時吸着の区別なく行うことが出来る。
【0079】
尚、
図14、
図15中、2つの実装ヘッド63A、63Bを識別するため、1番目の実装ヘッド63Aに「1」の番号を付し、2番目の実装ヘッド63Bに「2」の番号を付している。
【0080】
4.表面実装機1の電気的構成
表面実装機1は、
図16に示すように、制御コントローラ210を有している。制御コントローラ210は、制御部であるCPU(中央演算処理装置)211、記憶部212、メモリ213、表示部214、入力装置215、モータコントローラ216、カメラI/F217、照明コントローラ218及び各種I/O219を備えている。
【0081】
モータコントローラ216には、モータドライバ221を介して、各軸モータ47、57、67が接続されている。カメラIF217には、部品認識カメラ15、基板認識カメラ62が接続されている。照明コントローラ218は、部品認識カメラ15の照明部15A、基板認識カメラ62の照明部62Aが接続されている。
【0082】
CPU211は、モータコントローラ216を介して、各軸モータ47、57、67の回転速度や回転量を制御する。これにより、ヘッドユニット60を基台11上の任意の位置に移動し、実装ヘッド63による電子部品Wの実装動作を行うことが出来る。
【0083】
CPU211は、カメラI/F217を介して、基板認識カメラ62による基板Pの撮影や、部品認識カメラ15による電子部品Wの撮影を行う。基板画像より基台上における基板Pの位置を認識することが出来る。部品画像より実装ヘッド63に吸着保持された電子部品Wの吸着状態を認識することが出来る。
【0084】
記憶部212は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)など、SSD(ソリッドステートドライブ)などであり、プリント基板Pに電子部品を実装するための実装プログラムや各種データなどが記憶されている。表示部214は、表面実装機1の稼働状態など、各種のデータを表示する。入力装置215は、ユーザ用のインターフェースであり、プリント基板Pの生産に必要なデータ等を入力することが出来る。
【0085】
表面実装機1は、更に、センサコントローラ225を有している。センサコントローラ225には、監視装置150の2つのセンサ160、170が接続されている。
図16は、2つのセンサ160とセンサコントローラ225を接続する信号線のうち、受光センサ側の信号線のみ示し、投光センサ側の信号線は省略している。
【0086】
センサコントローラ225は、受光センサ170による帯状ライン光LCの受光結果の情報(具体的には帯状ライン光LCを構成する各光線Lの受光量情報)をアナログ出力やデジタル出力することが出来る。更に、受光した割合の閾値を、モータコントローラ内の内部メモリに設定しておくことで、任意の条件で、判定信号Sの出力が可能である。
【0087】
例えば、帯状ライン光LCを構成する各光線Lのうち、どこか一部でも光が遮られた場合、停止を示すOFFの判定信号Sを、センサコントローラ225からモータコントローラ216に出力するように設定しておけば、部品供給位置上空の監視領域内で異常があった場合、表面実装機1を即時停止することが出来る。
【0088】
尚、センサコントローラ225を、制御コントローラ210の各種IF222に接続し、センサコントローラ225の判定信号Sを、各種IF222、IFコントローラ219を介してモータコントローラ216に入力した場合、モータコントローラ216の信号検知に遅れが発生し、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータ67等の軸停止が遅れる場合がある。
【0089】
センサコントローラ225を、各種IF222に接続にせず、モータコントローラ216に直接接続し、センサコントローラ225の判定信号Sを、モータコントローラ216の停止インターロック入力に直接入力した方が、信号検知の遅延を抑制できる。
【0090】
更に、この場合、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータ67は、電磁ブレーキ付きの製品が好ましく、電磁ブレーキを有することで、例えば、Z軸などは、イナーシャや自重により、下降する実装ヘッド63の動きを止めることが出来る。
【0091】
5.効果
監視装置150により、フィーダバンク70に対するフィーダ80の設置不良を検出することが出来る。フィーダ80の設置不良を検出した場合、表示部214にエラー表示等を行うことで、フィーダ80の設置不良を報知することが出来る。
【0092】
また、基板生産期間中、遮光期間A以外は、帯状ライン光LCにより、部品供給位置Gの上方領域を監視することで、部品吸着後、次の部品吸着開始までの期間に起きた異常を検出することが出来る。例えば、トップテープの巻き取り不良による部品供給位置Gの上空侵害や、部品供給テープ75のジャムによる部品供給位置Gの上空侵害、或いは電子部品Wの飛び出しなどによる部品供給位置Gの上空侵害等を検知することが出来る。
【0093】
部品供給位置Gの上空侵害(侵入物)を検出した場合、表面実装機1を停止又は警告等を行うことで、部品供給位置Gから電子部品Wを取り出す際に、実装ヘッド63が侵入物に接触したり、干渉することを抑制できる。
【0094】
<実施形態2>
実施形態2は、
図17に示すように、監視装置150とZ軸エンコーダ67Aを使用して、フィーダ80から取り出した電子部品Wの高さ寸法Zwを計測する。Z軸エンコーダ67Aは、実装ヘッド63を上下移動させるZ軸モータ67の回転量や回転角度等の軸値を検出する検出器である。
【0095】
電子部品Wの高さ計測方法について、具体的に説明すると、
図18に示すように、部品未吸着の実装ヘッド63を帯状ライン光LCより高い位置から下降させると、ノズル先端が帯状ライン光LCを遮る時点で、帯状ライン光LCの一部は遮光状態となる。
【0096】
その後、フィーダ80から電子部品Wを取り出し、実装ヘッド63を上昇させると、実装ヘッド63に吸着保持された電子部品Wが帯状ライン光LCを通過した時点で、帯状ライン光LCの遮光は解除される。
【0097】
電子部品Wが帯状ライン光LCを通過する時点の実装ヘッド63の高さ位置H1は、ノズル先端が帯状ライン光LCを遮る時点の実装ヘッドの高さ位置H0よりも、吸着保持された電子部品Wの高さ寸法だけ、高い。
【0098】
そのため、ノズル先端が帯状ライン光LCを遮る時点の実装ヘッド63の高さ位置H0を予め計測してメモリ213等に記憶しておけば、CPU211等により、電子部品Wの高さ寸法Zwを、電子部品Wが帯状ライン光LZを通過する時点の実装ヘッド63の高さ位置H1より求めることが出来る。
【0099】
具体的には、(1)式より、算出することが出来る。
Zw=H1-H0・・・(1)
【0100】
尚、実装ヘッド63の高さ方向の位置は、Z軸エンコーダ67Aの検出値(Z軸モータ67の軸値)より把握できるから、電子部品Wが帯状ライン光LCを通過する時点の実装ヘッド63の高さ位置H1は、帯状ライン光LCの遮光解除タイミング(監視装置150にて検出可能)と、その時のZ軸エンコーダ67Aの検出値(Z軸モータ67の軸値)から算出することが出来る。
【0101】
電子部品Wの高さ寸法Zwの計測は、少なくとも、フィーダバンク70のフィーダ80を交換したタイミング(電子部品の部品種を変更したタイミングや電子部品を補充したタイミング)で行うとよい。
【0102】
また、電子部品Wが、IC部品など、帯状ライン光LCの監視範囲Fよりも外形が大きく、監視範囲Fから部品の一部が飛び出している場合、
図19に示すように、実装ヘッドにより電子部品Wを90度回転してから、電子部品Wの高さ寸法を計測してもよい。電子部品Wを90度回転することで、監視範囲Fに部品の全体を収めることができ、部品全体の高さ寸法を計測することが出来る。
【0103】
<実施形態3>
実施形態3は、フィーダバンク70に対する投光センサ160と受光センサ170の取付方法について説明する。
【0104】
センサ取付治具250は、
図20に示すように、側面に貫通穴スリット260を有するスリット治具である。センサ取付治具250は、フィーダバンク70の任意の位置、具体的には、ベース71上の任意のフィーダ設置部72に装着できる。
【0105】
貫通穴スリット260は、治具側面の設計上定められた位置、つまり、部品供給位置上空の監視位置(帯状ライン光LCの監視予定位置)に対応した位置に形成されている。
【0106】
貫通穴スリット260の形状は、帯状ライン光LCに対応したY方向の線状であり、帯状ライン光LCを通過可能とする。具体的には、貫通穴スリット260の横幅は、受光センサ170の計測可能幅以上とする。横幅は、帯状ライン光LCの厚さ以上であり、受光センサ170の計測許容幅に応じて決定する。
【0107】
位置調整時、まず、センサ取付治具250を所定のフィーダ設置部72にセットし、投光センサ160から帯状ライン光LCを出力する。そして、帯状ライン光LCが、貫通穴スリット260を通過するように、フィーダバンク70(この例では、
図6A、
図6Bに示すサイド壁73A)に対する投光センサ160の取り付け位置を調整する。
【0108】
受光側は、帯状ライン光LCを正確に受光できるように、フィーダバンク70(この例では、
図6A、
図6Bに示すサイド壁73B)に対する受光センサ170の取り付け位置を調整する。具体的には、受光センサ170をパソコン等の携帯情報端末280に接続し、携帯情報端末280のモニタ290上に表示される帯状ライン光LCの受光波形を見ながら、フィーダバンク70に対する取り付け位置を調整する。以上により、投光センサ160と受光センサ170の位置を調整することが出来る。
【0109】
尚、センサ取付治具250は、
図20に示すように、フィーダ中央のフィーダ設置部72Bなど特定の1箇所に固定してもよいし、センサ取付治具250をベース71上の複数のフィーダ設置部72に移動し、フィーダ設置部72ごとに、貫通穴スリット260に帯状ライン光LCを通過させて、受光状態を確認することにより、投光センサ160と受光センサ170の位置関係を確認してもよい。
【0110】
例えば、センサ取付治具250を、ベース両端のフィーダ設置部72A、72Cに移動し、各フィーダ設置部72A、72Cについてそれぞれ、貫通穴スリット260に帯状ライン光LCを通過させて、受光状態を確認することにより、投光センサ160と受光センサ170の位置関係を確認してもよい。
【0111】
また、ベース71上の全てのフィーダ設置部72にセンサ取付治具250を移動し、投光センサ160と受光センサ170の位置関係を確認してもよい。このようにすることで、投光センサ160と受光センサ170の位置を高精度に位置調整することが出来る。
【0112】
<実施形態4>
実施形態3では、投光センサ160と受光センサ170の位置調整を、センサ取付治具(スリット治具)250を用いて調整した例を説明したが、実施形態4では、センサ取付治具350にカメラ治具を用いる。
【0113】
図21に示すように、センサ取付治具350は、カメラ360を搭載したカメラ治具であり、フィーダバンク70の任意の位置、具体的には、ベース71上の任意のフィーダ設置部72に装着できる。
【0114】
調整時は、
図21に示すように、投光センサ160から出力された帯状ライン光LCを、センサ取付治具350のカメラ360で受光し、撮影した帯状ライン光LCをモニタ370に表示する。そして、帯状ライン光LCが設計上定められた位置(部品供給位置上空の監視位置)になるように、モニタ画面を見ながら、フィーダバンク70(この例では、
図6A、
図6Bに示すサイド壁73A)に対する投光センサ160の取り付け位置を調整する。
【0115】
位置調整時、センサ取付治具(カメラ治具)350は、
図21に示すように、ベース中央のフィーダ設置部72Bなど特定の1箇所に固定してもよいし、センサ取付治具(カメラ治具)350を複数又は全てのフィーダ設置部72に移動し、各フィーダ設置部72についてそれぞれ、帯状ライン光LCの位置を確認してもよい。
【0116】
受光側は、帯状ライン光LCを正確に受光できるように、フィーダバンク70(この例では、
図6A、
図6Bに示すサイド壁73B)に対する受光センサ170の取り付け位置を調整する。具体的には、受光センサ170をパソコン等の携帯情報端末280に接続し、携帯情報端末280のモニタ290上に表示される帯状ライン光LCの波形を見ながらフィーダバンク70に対する取り付け位置を調整する。以上により、投光センサ160と受光センサ170の位置を調整することが出来る。
【0117】
センサ取付治具250(スリット治具)を使用した場合、投光センサ160の位置と受光センサ170の位置を同時に調整する必要がある。センサ取付治具350(カメラ治具)を使用した場合、投光センサ160の位置と受光センサ170の位置を別々に調整することが可能であることから、投光センサ160と受光センサ170の位置調整が行い易いと言うメリットがある。
【0118】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0119】
(1)実施形態1では、帯状ライン光LCの光源160Aをレーザ光源としたが、光源160Aは、レーザ光源以外でもよい。
【0120】
(2)実施形態1では、帯状ライン光LCの概ね中央部分が、部品供給位置Gに対して重なる配置とした。帯状ライン光LCのうち少なくとも一部が、部品供給位置Gに重なっていればよく、帯状ライン光LCのうち中央からオフセットした位置が、部品供給位置Gに重なっていてもよい。
【0121】
(3)実施形態1では、帯状ライン光LCの高さ位置の範囲について、下限を、フィーダの上面の高さ位置h0とし、上限を、部品取出前の待機位置P1に移動した時の実装ヘッド63のノズル先端の高さ位置とした(
図8参照)。上限は、部品取出後、実装ヘッド63が上昇位置P3まで移動した時の部品下面の高さ位置h3でもよい。
【0122】
(4)実施形態1では、電子部品Wを、負圧を利用して吸着したが、電子部品Wの保持は負圧に限らず、チャック式でもよい。
【0123】
(5)実施形態2では、フィーダ80を交換したタイミングで、電子部品Wの高さ寸法Zwを計測した。電子部品Wの高さ寸法Zwの計測は、部品吸着時に毎回実施してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…表面実装機
20…搬送コンベア
60…ヘッドユニット
63…実装ヘッド
70…フィーダバンク
71…ベース
72…フィーダ設置部
80…フィーダ
150…監視装置
160…投光センサ
170…受光センサ
G…部品供給位置
L…光線
LC…帯状ライン光
W…電子部品