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特開2024-174538画像処理装置、画像処理システム、画像処理装置の制御方法及び制御プログラム
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  • 特開-画像処理装置、画像処理システム、画像処理装置の制御方法及び制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174538
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理装置の制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20241210BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092409
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】久世 伊純
(72)【発明者】
【氏名】權藤 昌之
(72)【発明者】
【氏名】原田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】李 鋒
(72)【発明者】
【氏名】渕本 信行
(72)【発明者】
【氏名】曽根 正樹
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA11
5B376CA13
5B376CA36
5B376GA01
(57)【要約】
【課題】ファームウェアの更新の自由度を向上できる画像処理装置、画像処理システム、画像処理装置の制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置10は、本体と、取得処理部と、更新処理部172と、を備える。本体は、画像処理機能を有する。取得処理部は、本体の制御に用いられる複数のファームウェアFW1~FW10のうち少なくとも一部のファームウェアFW1~FW10について、更新用プログラムUP1~UP10をファームウェアごとに個別に取得する。更新処理部172は、更新用プログラムUP1~UP10に基づいて、ファームウェアFW1~FW10を個別に更新する。複数のファームウェアFW1~FW10は、他のファームウェアと関連しない独立ファームウェアと、他のファームウェアと関連する関連ファームウェアと、に分類される。更新処理部172は、独立ファームウェアに該当するファームウェアを個別に更新する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理機能を有する本体と、
前記本体の制御に用いられる複数のファームウェアのうち少なくとも一部のファームウェアについて、更新用プログラムを前記ファームウェアごとに個別に取得する取得処理部と、
前記更新用プログラムに基づいて、前記ファームウェアを個別に更新する更新処理部と、を備え、
前記複数のファームウェアは、他のファームウェアと関連しない独立ファームウェアと、他のファームウェアと関連する関連ファームウェアと、に分類され、
前記更新処理部は、前記独立ファームウェアに該当する前記ファームウェアを個別に更新する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記更新処理部は、前記関連ファームウェアに該当する前記ファームウェアについては、互いに関連する2以上の前記ファームウェアに対応する2以上の前記更新用プログラムが取得されるのを待って、一括で更新する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記更新処理部は、特定条件を満たす場合には、前記関連ファームウェアに該当する前記ファームウェアについても個別に更新可能である、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定条件は、前記本体が有する機能に関する条件を含む、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特定条件は、オペレーティングシステムのバージョン情報に関する条件を含む、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記取得処理部は、前記更新用プログラムを格納する格納部に格納可能な容量となるように、取得する前記更新用プログラムを選択する、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の画像処理装置と、
前記更新用プログラムを配信する配信装置と、を備える、
画像処理システム。
【請求項8】
他のファームウェアと関連しない独立ファームウェアと、他のファームウェアと関連する関連ファームウェアと、に分類され、画像処理機能を有する本体の制御に用いられる複数のファームウェアのうち少なくとも一部のファームウェアについて、更新用プログラムを前記ファームウェアごとに個別に取得することと、
前記更新用プログラムに基づいて、前記独立ファームウェアに該当する前記ファームウェアを個別に更新することと、を有する、
画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
他のファームウェアと関連しない独立ファームウェアと、他のファームウェアと関連する関連ファームウェアと、に分類され、画像処理機能を有する本体の制御に用いられる複数のファームウェアのうち少なくとも一部のファームウェアについて、更新用プログラムを前記ファームウェアごとに個別に取得することと、
前記更新用プログラムに基づいて、前記独立ファームウェアに該当する前記ファームウェアを個別に更新することと、
を1以上のプロセッサーに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理装置の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、プリンター、複写機又は複合機等の画像処理装置(画像形成装置)において、多機能化を図って付加価値を高めるべく、各機能がファームウェア(プログラム)制御によって実現される画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この関連技術では、当初から完璧なファームウェアを実現するのが困難であるため、ユーザーに対する販売又は納入が行われた後でも、ファームウェアの更新が可能に構成されている。
【0003】
ファームウェアの更新は、例えば、画像処理装置が、サーバー装置に格納された更新用プログラムを、インターネット等のネットワークを介してダウンロードすることにより行われる。一般的に、画像処理装置は、複数のファームウェアを実装しているため、これら複数のファームウェア全てについての更新用プログラムを一括してダウンロードし、これら複数のファームウェア全てについて一括して更新を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-234330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記関連技術の構成では、画像処理装置は、複数のファームウェア全てについて更新用プログラムを一括してダウンロードするので、通信量及びネットワーク負荷が大きくなるという問題がある。また、複数のファームウェア全てについて一括して更新するため、更新中の長時間にわたり、画像処理装置を使用できない場合がある。さらに、例えば、セキュリティー又は脆弱性等に関連して早急に更新することが好ましいファームウェアにあっては、他のファームウェアと同時に更新するべく、当該他のファームウェアの更新用プログラムがリリースされるまで更新できないといった問題も生じ得る。
【0006】
本発明の目的は、ファームウェアの更新の自由度を向上できる画像処理装置、画像処理システム、画像処理装置の制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る画像処理装置は、本体と、取得処理部と、更新処理部と、を備える。前記本体は、画像処理機能を有する。前記取得処理部は、前記本体の制御に用いられる複数のファームウェアのうち少なくとも一部のファームウェアについて、更新用プログラムを前記ファームウェアごとに個別に取得する。前記更新処理部は、前記更新用プログラムに基づいて、前記ファームウェアを個別に更新する。複数のファームウェアは、他のファームウェアと関連しない独立ファームウェアと、他のファームウェアと関連する関連ファームウェアと、に分類される。前記更新処理部は、前記独立ファームウェアに該当する前記ファームウェアを個別に更新する。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像処理システムは、前記画像処理装置と、前記更新用プログラムを配信する配信装置と、を備える。
【0009】
本発明の他の局面に係る画像処理装置の制御方法は、他のファームウェアと関連しない独立ファームウェアと、他のファームウェアと関連する関連ファームウェアと、に分類され、画像処理機能を有する本体の制御に用いられる複数のファームウェアのうち少なくとも一部のファームウェアについて、更新用プログラムを前記ファームウェアごとに個別に取得することと、前記更新用プログラムに基づいて、前記独立ファームウェアに該当する前記ファームウェアを個別に更新することと、を有する。
【0010】
本発明の他の局面に係る制御プログラムは、他のファームウェアと関連しない独立ファームウェアと、他のファームウェアと関連する関連ファームウェアと、に分類され、画像処理機能を有する本体の制御に用いられる複数のファームウェアのうち少なくとも一部のファームウェアについて、更新用プログラムを前記ファームウェアごとに個別に取得することと、前記更新用プログラムに基づいて、前記独立ファームウェアに該当する前記ファームウェアを個別に更新することと、を1以上のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ファームウェアの更新の自由度を向上できる画像処理装置、画像処理システム、画像処理装置の制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る画像処理装置の概略ブロック図である。
図2図2は、実施形態1に係る画像処理装置の外観を示す概略図である。
図3図3は、実施形態1に係る画像処理装置のファームウェアの更新に係る処理を模式的に表す概略図である。
図4図4は、実施形態1に係る画像処理装置のファームウェアの更新に係る処理を模式的に表す概略図である。
図5図5は、実施形態1に係る画像処理装置のファームウェアの更新に係る処理を模式的に表す概略図である。
図6図6は、実施形態1に係る画像処理装置のファームウェアの更新に係る処理を模式的に表す概略図である。
図7図7は、実施形態1に係る画像処理装置のファームウェアの更新に係る処理を模式的に表す概略図である。
図8図8は、実施形態1に係る画像処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0014】
(実施形態1)
[1]画像処理装置の全体構成
まず、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係る画像処理装置10の全体構成について説明する。
【0015】
本実施形態に係る画像処理装置10は、一例として、原稿から画像データを取得するスキャン機能、画像データに基づいて画像を形成するプリント機能、ファクシミリ機能、及びコピー機能等の複数の機能を有する複合機である。画像処理装置10は、画像を形成する機能と画像データを取得する機能との少なくとも一方を含む画像処理機能を有していればよく、プリンター、スキャナー、ファクシミリ装置、及びコピー機等であってもよい。
【0016】
画像処理装置10は、図1に示すように、自動原稿搬送装置11と、画像読取部12と、画像形成部13と、給紙部14と、表示部15と、操作部16と、制御部17と、通信部18と、を備える。自動原稿搬送装置11は、ADF(Auto Document Feeder)であるので、図1では「ADF」と表記し、かつ以下の説明でも「ADF11」と称する。本実施形態では、図2に示すように、画像処理装置10は本体101を備えている。ADF11、画像読取部12、画像形成部13、給紙部14、表示部15、操作部16、制御部17及び通信部18は、本体101に設けられている。
【0017】
ADF11は、画像読取部12によって画像が読み取られる原稿を搬送する。ADF11は、原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ及び排紙部等を有する。
【0018】
画像読取部12は、原稿から画像を読み取り、読み取られた画像に対応する画像データを出力する。画像読取部12は、原稿台、光源、複数のミラー、光学レンズ及びCCD(Charge Coupled Device)等を有する。
【0019】
画像形成部13は、画像読取部12から出力される画像データに基づいて、電子写真方式でシートに画像を形成する。また、画像形成部13は、パーソナルコンピューター等の、画像処理装置10の外部の情報処理装置から入力される画像データに基づいて、シートに画像を形成する。画像形成部13は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の4色に対応する4つの画像形成ユニット、光走査装置、中間転写ベルト、二次転写ローラー並びに定着装置等を有する。画像形成部13は、例えば、インクジェット方式等、電子写真方式以外の画像形成方式により、シートに画像を形成する構成であってもよい。
【0020】
画像形成部13は、現像剤としてのトナーを用いて、シートに画像を形成する。画像形成部13がインクジェット方式で画像を形成する場合、トナーに代えてインク(現像剤の他の一例)が供給される。画像形成部13に供給されるトナーとしては、例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の複数色のトナーがある。画像形成部13での画像形成後のシートは、後加工のため拡張機器等に排出(供給)される。
【0021】
給紙部14は、画像形成部13にシートを供給する。給紙部14は、給紙カセット、手差しトレイ、シート搬送路及び複数の搬送ローラー等を有する。画像形成部13は、給紙部14から供給されるシートに画像を形成する。画像形成部13に供給されるシートは、一例として紙であるが、紙に限らず、例えば、樹脂フィルム等であってもよい。
【0022】
表示部15は、画像処理装置10において、ユーザーに情報を提示(表示)するためのユーザーインターフェイスである。表示部15は、制御部17からの制御指示に応じて各種の情報を表示する。本実施形態では一例として、表示部15は、液晶ディスプレーを含んでおり、種々の情報を含む表示画面を液晶ディスプレーに表示する。
【0023】
操作部16は、例えば、表示部15に表示される表示画面に対するユーザーによる操作入力を受け付けるためのユーザーインターフェイスである。操作部16は、例えば、ユーザーの操作に応じた電気信号を出力することにより、ユーザーによる各種の操作を受け付ける。本実施形態では一例として、操作部16は、スイッチ又はタッチパネル等を有する。
【0024】
また、画像処理装置10は、ユーザーインターフェイスとして、表示部15及び操作部16に加えて又は代えて、例えば、音声出力部及び音声入力部等を備えていてもよい。
【0025】
制御部17は、1以上のプロセッサー及び1以上のメモリーを有するコンピューターシステムを主構成とし、画像処理装置10を統括的に制御する。画像処理装置10では、1以上のプロセッサーがプログラムを実行することにより、制御部17の機能が実現される。本実施形態では一例として、制御部17はCPU(Central Processing Unit)を含んでいる。
【0026】
プログラムは1以上のメモリーに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード又は光学ディスク等の、コンピューターシステムで読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。1以上のプロセッサーは、半導体集積回路を含む1以上の電子回路で構成される。さらに、ここでいうコンピューターシステムは、1以上のプロセッサー及び1以上のメモリーを有するマイクロコントローラーを含む。制御部17は、画像処理装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0027】
通信部18は、画像処理装置10と、例えば、インターネット又はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して接続される外部装置との間で、データ通信を実行するインターフェイスである。本実施形態では、通信部18は、少なくとも配信装置20(図1参照)との間で通信可能に構成されている。
【0028】
配信装置20は、画像処理装置10の本体101の制御に用いられる複数のファームウェアFW0(図1参照)を更新するための更新用プログラムUP0(図1参照)を格納する。配信装置20は、例えば、インターネットに接続されているサーバー装置からなる。配信装置20は、更新用プログラムUP0を画像処理装置10に配信する。つまり、画像処理装置10は、通信部18で配信装置20と通信することにより、配信装置20から更新用プログラムUP0を受信可能に構成されている。
【0029】
画像処理装置10は、配信装置20と共に画像処理システム100(図1参照)を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る画像処理システム100は、画像処理装置10と、更新用プログラムUP0を配信する配信装置20と、を備えている。
【0030】
また、画像処理装置10は、記憶部等を更に備える。記憶部は、1以上の不揮発性のメモリーを含んでおり、制御部17に各種の処理を実行させるための制御プログラム等の情報が予め記憶されている。
【0031】
[2]制御部の構成
次に、図1を参照しつつ、制御部17に含まれる各機能部について、より詳細に説明する。制御部17は、取得処理部171と、更新処理部172と、格納部173と、を有している。すなわち、画像処理装置10は、取得処理部171、更新処理部172及び格納部173を制御部17の一機能として備えている。
【0032】
さらに、制御部17は、複数のファームウェアFW1~FWn(「n」は任意の自然数)を実装している。複数のファームウェアFW1~FWnを特に区別しない場合、ファームウェアFW1~FWnの各々を「ファームウェアFW0」という。本開示でいう「ファームウェア」は、画像処理装置10の本体101に組み込まれたコンピューターシステム(制御部17)を制御するためのソフトウェアであって、ソフトウェアをROM等の集積回路にあらかじめ書き込まれた状態で本体101に組み込まれたものを意味する。ファームウェアFW0は、画像処理機能を有する本体101の基本的な制御を司る機能を有している。
【0033】
取得処理部171は、更新用プログラムUP0を取得する取得処理を実行する。更新用プログラムUP0は、本体101の制御に用いられる複数のファームウェアFW0の更新に用いられるコンピュータープログラムである。複数の更新用プログラムUP0を区別する場合、「更新用プログラムUPn」(「n」は任意の自然数)という。本実施形態では、ファームウェアFWnの更新に用いられるプログラムを更新用プログラムUPnとし、一例として、更新用プログラムUP5はファームウェアFW5の更新に用いられる(図3参照)。
【0034】
本実施形態では、取得処理部171は、通信部18がインターネット又はLAN等の通信ネットワークを介して配信装置20と通信することにより、配信装置20から更新用プログラムUP0をダウンロードし、更新用プログラムUP0を取得する。つまり、取得処理部171は、ダウンロード方式で、配信装置20から更新用プログラムUP0を取得する。
【0035】
格納部173は、更新用プログラムUP0を格納する。格納部173は、1以上の不揮発性のメモリーのうち、更新用プログラムUP0を格納するために割り当てられた記憶領域である。取得処理部171が取得(ダウンロード)した更新用プログラムUP0は、格納部173に格納(記憶)されることになる。格納部173は、制御部17外の記憶部に設けられていてもよい。
【0036】
更新処理部172は、更新用プログラムUP0に基づいて、ファームウェアFW0を更新する更新処理を実行する。具体的に、更新処理部172は、格納部173に格納されている更新用プログラムUP0に基づいて、制御部17に実装されているファームウェアFW0の更新(アップデート)を行う。ここで、更新処理部172は、更新用プログラムUPnを用いてファームウェアFWnを更新するので、一例として、更新用プログラムUP2を用いてファームウェアFW2を更新することになる(図3参照)。更新処理部172が更新に使用した更新用プログラムUP0は、当該更新の完了後に格納部173から削除(消去)されてもよい。
【0037】
ところで、この種の画像処理装置10の関連技術として、多機能化を図って付加価値を高めるべく、各機能がファームウェア(プログラム)制御によって実現される画像処理装置が知られている。この関連技術では、当初から完璧なファームウェアを実現するのが困難であるため、ユーザーに対する販売又は納入が行われた後でも、ファームウェアの更新が可能に構成されている。ファームウェアの更新は、例えば、画像処理装置が、サーバー装置に格納された更新用プログラムを、インターネット等のネットワークを介してダウンロードすることにより行われる。一般的に、画像処理装置は、複数のファームウェアを実装しているため、これら複数のファームウェア全てについての更新用プログラムを一括してダウンロードし、これら複数のファームウェア全てについて一括して更新を行う。
【0038】
上記関連技術の構成では、画像処理装置は、複数のファームウェア全てについて更新用プログラムを一括してダウンロードするので、通信量及びネットワーク負荷が大きくなるという問題がある。また、複数のファームウェア全てについて一括して更新するため、更新中の長時間にわたり、画像処理装置を使用できない場合がある。さらに、例えば、セキュリティー又は脆弱性等に関連して早急に更新することが好ましいファームウェアにあっては、他のファームウェアと同時に更新するべく、当該他のファームウェアの更新用プログラムがリリースされるまで更新できないといった問題も生じ得る。
【0039】
これに対し、本実施形態では、以下に説明する構成により、ファームウェアFW0の更新の自由度を向上できる画像処理装置10を実現する。
【0040】
すなわち、本実施形態に係る画像処理装置10は、本体101と、取得処理部171と、更新処理部172と、を備える。本体101は、画像処理機能を有する。取得処理部171は、本体101の制御に用いられる複数のファームウェアFW0のうち少なくとも一部のファームウェアFW0について、更新用プログラムUP0をファームウェアFW0ごとに個別に取得する。更新処理部172は、更新用プログラムUP0に基づいて、ファームウェアFW0を個別に更新する。
【0041】
要するに、更新用プログラムUP0を取得(ダウンロード)する取得処理部171は、複数のファームウェアFW1~FWnのうち少なくとも一部のファームウェアFW0について、更新用プログラムUP0をファームウェアFW0ごとに個別に取得可能に構成されている。一例として、取得処理部171は、複数のファームウェアFW1~FW10(図3参照)のうちのファームウェアFW1について、これを更新するための更新用プログラムUP1(図3参照)を個別に、つまり他の更新用プログラムUP2~UP10(図3参照)とは別に、更新用プログラムUP1のみを取得可能である。
【0042】
また、ファームウェアFW0を更新する更新処理部172は、更新用プログラムUP0に基づいて、ファームウェアFW0を個別に更新可能に構成されている。一例として、更新処理部172は、更新用プログラムUP1(図3参照)に基づいて、複数のファームウェアFW1~FW10(図3参照)のうちのファームウェアFW1について個別に、つまり他のファームウェアFW2~FW10(図3参照)とは別に、ファームウェアFW1のみを更新可能である。
【0043】
このように、本実施形態に係る画像処理装置10は、少なくとも一部のファームウェアFW0についての更新用プログラムUP0を個別に取得(ダウンロード)し、当該ファームウェアFW0について個別に更新を行うことが可能である。したがって、ファームウェアFW0の更新の自由度を向上できる画像処理装置10を実現可能である。
【0044】
これにより、画像処理装置10は、複数のファームウェアFW0全てについて更新用プログラムUP0を一括してダウンロードする場合に比べて、更新用プログラムUP0を取得(ダウンロード)する際の通信量及びネットワーク負荷を小さく抑えることができる。また、複数のファームウェアFW0全てについて一括して更新する場合に比べて、更新に要する時間を短くできるので、画像処理装置10を使用できないダウンタイムの短縮を図ることが可能である。さらに、例えば、セキュリティー又は脆弱性等に関連して早急に更新することが好ましいファームウェアFW0にあっては、他のファームウェアFW0の更新用プログラムUP0がリリースされるまで待たずに、先に更新することで、セキュリティー又は脆弱性等の対策も迅速にとることが可能である。さらに、画像処理装置10は、複数のファームウェアFW0全てについて更新用プログラムUP0を一括して取得する場合に比べて、更新用プログラムUP0を格納するために必要な格納部173の記憶容量を小さく抑えることが可能である。
【0045】
[3]画像処理装置の制御方法
以下、図3図8を参照しつつ、画像処理装置10において主として制御部17により実行される、取得処理及び更新処理を含む画像処理装置10の制御方法について説明する。図3図7においては、更新用プログラムUP1~UP10の取得(ダウンロード)、及びファームウェアFW1~FW10の更新に係る動作を模式的に表している。
【0046】
ここでは一例として、本体101の制御部17にはファームウェアFW1~FW10が実装されている場合を想定する。これら複数のファームウェアFW1~FW10は、それぞれ対応する複数の更新用プログラムUP1~UP10を用いて更新される。
【0047】
前提として、本体101に実装されている複数のファームウェアFW0は、他のファームウェアと関連しない「独立ファームウェア」と、他のファームウェアと関連する「関連ファームウェア」と、に分類される。つまり、独立ファームウェアとしてのファームウェアFW0は、その機能において他のファームウェアFW0と関連せず、単独で機能を実現可能である。一方、関連ファームウェアとしての複数のファームウェアFW0は、互いに関連し合って動作するため、互いの機能に何かしら影響を与えることになる。
【0048】
そして、基本的には、関連ファームウェアに分類される複数のファームウェアFW0は、当該複数のファームウェアFW0を一組として、更新用プログラムUP0の取得(ダウンロード)、及び更新(アップデート)が組単位で行われる。一例として、ファームウェアFW7とファームウェアFW8とが互いに関連する関連ファームウェアであると仮定すれば、基本的に、画像処理装置10は、これら2つのファームウェアFW7,FW8を更新するための2つの更新用プログラムUP7,UP8を同時に取得し、かつこれら2つのファームウェアFW7,FW8を同時に更新する。
【0049】
以下では、「独立ファームウェア」の更新に係る処理と、「関連ファームウェア」の更新に係る処理と、のそれぞれについて説明する。
【0050】
[3.1]独立ファームウェアの更新
まず、独立ファームウェアの更新に係る処理について、図3を参照して説明する。図3の例では、複数のファームウェアFW1~FW10の全てが「独立ファームウェア」である場合を想定している。
【0051】
本実施形態において、取得処理部171は、上述したように、複数のファームウェアFW1~FWnのうち少なくとも一部のファームウェアFW0について、更新用プログラムUP0をファームウェアFW0ごとに個別に取得可能である。また、更新処理部172は、更新用プログラムUP0に基づいて、ファームウェアFW0を個別に更新可能である。したがって、本実施形態に係る画像処理装置10の制御方法は、画像処理機能を有する本体101の制御に用いられる複数のファームウェアFW0のうち少なくとも一部のファームウェアFW0について、更新用プログラムUP0をファームウェアFW0ごとに個別に取得することと、更新用プログラムUP0に基づいて、ファームウェアFW0を個別に更新することと、を有する。
【0052】
ここで、ファームウェアFW0が「独立ファームウェア」と「関連ファームウェア」とに分類される場合、更新処理部172は、独立ファームウェアに該当するファームウェアFW0を個別に更新する。そのため、図3に例示するように、複数のファームウェアFW1~FW10の全てが「独立ファームウェア」であれば、複数のファームウェアFW1~FW10の全てについて個別に更新が行われる。ファームウェアFW0が「独立ファームウェア」と「関連ファームウェア」とのいずれであるかの判定は、配信装置20と画像処理装置10の本体101(制御部17)との少なくとも一方で行われる。
【0053】
具体的に、取得処理部171は、複数の更新用プログラムUP1~UP10を個別に、つまり別々のタイミングで、配信装置20から取得(ダウンロード)し、格納部173に格納することが可能である。また、更新処理部172は、複数の複数のファームウェアFW1~FW10について個別に、つまり別々のタイミングで、それぞれ対応する更新用プログラムUP1~UP10を用いて更新することが可能である。一例として、複数のファームウェアFW1~FW10のうちのファームウェアFW1のみを更新するに際しては、取得処理部171は、更新用プログラムUP1のみを配信装置20から取得して格納部173に格納し、更新処理部172は、更新用プログラムUP1を用いてファームウェアFW1のみを更新すればよい。
【0054】
これにより、図3に示すように、複数の更新用プログラムUP1~UP10のうち、未リリースの更新用プログラムUP3~UP9が存在する場合でも、画像処理装置10は、リリース済みの更新用プログラムUP1,UP2,UP10のみを先に取得して、これに対応するファームウェアFW1,FW2,FW10のみを更新可能である。ここでいう「未リリースの更新用プログラム」は、例えば、開発途中につき配信装置20からの配信可能な状態にない更新用プログラムを意味し、図3等では想像線(二点鎖線)で示す。
【0055】
その結果、複数の更新用プログラムUP1~UP10を一括してダウンロードする場合に比べて、更新用プログラムUP0を取得(ダウンロード)する際の通信量及びネットワーク負荷を小さく抑えることができる。また、複数のファームウェアFW1~FW10全てについて一括して更新する場合に比べて、更新に要する時間を短くできるので、画像処理装置10を使用できないダウンタイムの短縮を図ることができる。さらに、例えば、ファームウェアFW1,FW2,FW10がセキュリティー又は脆弱性等に関連して早急に更新することが好ましい場合、更新用プログラムUP3~UP9がリリースされるのを待たずに、ファームウェアFW1,FW2,FW10のみを先に更新することで、セキュリティー又は脆弱性等の対策も迅速にとることが可能である。
【0056】
ここで、取得処理部171は、更新用プログラムUP0を格納する格納部173に格納可能な容量となるように、取得する更新用プログラムUP0を選択する。すなわち、取得処理部171は、配信装置20から取得する更新用プログラムUP0の合計容量(データ量)が、格納部173の空き容量以下に収まるように、リリース済みの更新用プログラムUP1,UP2,UP10のうちのいずれを取得するかを選択(決定)する。
【0057】
一例として、更新用プログラムUP1,UP2の組み合わせであれば格納部173の空き容量内で格納可能である場合、取得処理部171は、これら更新用プログラムUP1,UP2の組み合わせを取得し、更新処理部172は、ファームウェアFW1,FW2の更新を行う。また、リリース済みの更新用プログラムUP0の容量(データ量)が動的に大きくなった場合、取得処理部171は、変化後の更新用プログラムUP0の容量に基づいて、更新用プログラムUP1,UP2,UP10のうちのいずれを取得するかを選択する。これにより、更新用プログラムUP0を格納するために必要な格納部173の記憶容量をより小さく抑えることが可能である。
【0058】
[3.2]関連ファームウェアの更新
次に、関連ファームウェアの更新に係る処理について、図4図7を参照して説明する。図4図7の例では、複数のファームウェアFW1~FW10のうち、ファームウェアFW2~FW4が互いに関連する一組の「関連ファームウェア」、ファームウェアFW7,FW8が互いに関連する一組の「関連ファームウェア」、残りのファームウェアFW1,FW5,FW6,FW9,FW10が「独立ファームウェア」である場合を想定している。
【0059】
[3.2.1]第1実施例
関連ファームウェアの更新に際しては、図4に示すように、更新処理部172は、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW2~FW4については、互いに関連する2以上のファームウェアFW2~FW4に対応する2以上の更新用プログラムUP2~UP4が取得されるのを待って、一括で更新する。
【0060】
すなわち、図4に示すように、複数の更新用プログラムUP1~UP10のうち、未リリースの更新用プログラムUP3~UP9が存在する場合でも、画像処理装置10は、リリース済みの更新用プログラムUP1,UP2,UP10のみを先に取得することが可能である。ただし、更新用プログラムUP2に対応するファームウェアFW2は関連ファームウェアであって、これと関連するファームウェアFW3,FW4に対応する更新用プログラムUP3,UP4が未リリースである。そのため、更新処理部172は、ファームウェアFW1,FW10のみを更新し、更新用プログラムUP3,UP4がリリースされ取得されるまで、ファームウェアFW2については更新を保留する。その後、更新用プログラムUP2~UP4が全て取得され次第、更新処理部172は、ファームウェアFW2~FW4を一括で更新する。
【0061】
これにより、個別に更新されることが好ましくない関連ファームウェアに関しては、互いに関連する複数のファームウェアFW0を一括して更新することができ、関連ファームウェアの一部のみが更新されることによる不具合を回避しやすい。
【0062】
[3.2.2]第2実施例
図5は、更新処理部172が、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0について個別に更新する場合の実施例を示す。
【0063】
すなわち、更新処理部172は、特定条件を満たす場合には、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0についても個別に更新可能である。ここでいう「特定条件」は、種々の条件が考えられるところ、本実施形態では本体101の状態に関する条件を含むこととする。要するに、第1実施例で説明したように、基本的には、互いに関連する複数のファームウェアFW0(関連ファームウェア)は一括して更新されるが、例えば、本体101の状態(オプションの有無、又はOS(Operating System)のバージョン等)によっては、個別に更新できる場合がある。
【0064】
具体的に、図5に示すように、複数の更新用プログラムUP1~UP10のうち、更新用プログラムUP3,UP4のみがリリース済みである場合、画像処理装置10は、リリース済みの更新用プログラムUP3,UP4のみを先に取得することが可能である。ここで、画像処理装置10の本体101が、ファームウェアFW2に係る機能をそもそも有していないとすれば、この画像処理装置10においては、そもそもファームウェアFW2の更新は不要である。そうすると、更新用プログラムUP3,UP4に対応するファームウェアFW3,FW4は関連ファームウェアであって、これと関連するファームウェアFW2に対応する更新用プログラムUP2が未リリースであるものの、更新処理部172は、互いに関連するファームウェアFW3,FW4の全てを一括して更新することができる。したがって、この場合、更新用プログラムUP2が取得されなくても、更新用プログラムUP3,UP4が全て取得され次第、更新処理部172は、ファームウェアFW3,FW4を一括で更新する。
【0065】
これにより、本体101の状態によっては、互いに関連する複数のファームウェアFW0の全てに対応する複数の更新用プログラムUP0を全て待たずとも、互いに関連する複数のファームウェアFW0の一部を先に更新することが可能となる。よって、例えば、互いに関連する複数のファームウェアFW0がセキュリティー又は脆弱性等に関連して早急に更新することが好ましい場合、セキュリティー又は脆弱性等の対策を迅速にとることが可能である。
【0066】
ここで、第2実施例では、画像処理装置10の本体101がファームウェアFW2に係る機能を有しないことが、特定条件に含まれている。つまり、画像処理装置10の本体101が、ファームウェアFW2に係る機能を有しないことで、特定条件を満たすことになり、更新処理部172は、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW3,FW4についても個別に更新可能となる。
【0067】
このように、特定条件は、本体101が有する機能(オプション)に関する条件を含む。ここでいう「機能」の一例として、ファクシミリ機能、ステープル機能及びメール機能等がある。これにより、画像処理装置10の本体101がそもそも特定の機能(オプション)を有しない場合には、当該機能に係るファームウェアFW2を更新の対象から外すことで、それ以外の関連ファームウェア(ファームウェアFW3,FW4)を先に更新することが可能となる。
【0068】
[3.2.3]第3実施例
図6は、更新処理部172が、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0について個別に更新する場合の実施例を示す。
【0069】
本体101内のオペレーティングシステムのバージョンが変わり、それに応じてパーティションが変更されると、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0を個別に更新することはできない。一方、事前に本体101内のオペレーティングシステムのバージョンだけが更新されており、パーティションが変更されない場合は、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0を個別に更新できることがある。そこで、第3実施例では、特定条件は、オペレーティングシステムのバージョン情報に関する条件を含むこととする。
【0070】
例えば、オペレーティングシステムのバージョンについて、どこからどこまでのバージョンであれば、パーティションが変更されないか、というパーティションの変更条件を、配信装置20と本体101との少なくとも一方が有し、本体101のオペレーティングシステムのバージョン情報を、当該特定情報と照合することで、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0を個別に更新できるか否かが判断可能となる。
【0071】
具体的に、図6に示すように、本体101のオペレーティングシステムのバージョン情報に関し、「Ver.1」から「Ver.2」にかけてはパーティションが変更されず、「Ver.2」から「Ver.3」にかけてはパーティションが変更される場合を想定する。この場合、更新処理部172は、互いに関連するファームウェアFW2~FW4について、「Ver.1」から「Ver.2」への更新に際しては、個別に更新可能であり、「Ver.1」又は「Ver.2」から「Ver.3」への更新に際しては、個別ではなく一括で更新する。
【0072】
このように、第3実施例では、画像処理装置10の本体101のオペレーティングシステムのバージョンの更新が、パーティションの変更を伴わないことが、特定条件に含まれている。つまり、画像処理装置10の本体101のオペレーティングシステムのバージョンの更新が、パーティションの変更を伴わないことで、特定条件を満たすことになり、更新処理部172は、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW2~FW4についても個別に更新可能となる。これにより、例えば、互いに関連する複数のファームウェアFW0がセキュリティー又は脆弱性等に関連して早急に更新することが好ましい場合、セキュリティー又は脆弱性等の対策を迅速にとることが可能である。
【0073】
[3.2.4]第4実施例
図7は、更新処理部172が、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0について個別に更新する場合の実施例を示す。
【0074】
図7の例では、互いに関連するファームウェアFW2~FW4のうちファームウェアFW2についてのみ、1段階新しいバージョンに更新済み(「FW2’」と表記)の本体101(Ver.2)があると仮定する。この場合に、ファームウェアFW3,FW4をファームウェアFW2’と同じバージョンに更新する前に、ファームウェアFW2~FW4について更に1段階新しいバージョンのファームウェアFW2”~FW4”に更新するための更新用プログラムUP0がリリースされた状況を想定する。
【0075】
この状況にあっては、更新処理部172は、「パターンA」として、ファームウェアFW2’は直接的にファームウェアFW2”に更新し、ファームウェアFW3,FW4については一括で2段階新しいファームウェアFW3”,FW4”に更新することが可能である。一方、更新処理部172は、「パターンB」として、ファームウェアFW2’を一旦更新前のファームウェアFW2に戻してから、ファームウェアFW2~FW4を一括で2段階新しいファームウェアFW2”~FW4”に更新することも可能である。
【0076】
パターンAのように、ファームウェアFW2のみ個別に更新することが可能か否かは、例えば、配信装置20と本体101とのいずれかにおいて、現在のファームウェアのバージョンと今回更新しようとしているファームウェアのバージョンとを比較することで判断可能である。
【0077】
このように、第4実施例では、パターンAのごとくファームウェアFW2のみ個別に更新することが可能である。これにより、例えば、既に更新済みのファームウェアFW0のバージョンを元に戻す処理が不要となり、処理負荷を軽減することが可能である。
【0078】
[3.2.4]個別更新の可否判定
第2実施例~第4実施例のように、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0について個別に更新することができるか否かの判定は、配信装置20と本体101との少なくとも一方で行う。
【0079】
例えば、配信装置20は、リリース済みの更新用プログラムUP0の中でいずれの更新用プログラムUP0(に対応するファームウェアFW0)が互いに関連するか、及びパーティションの変更条件等の情報を、一例としてテーブル形式で管理し、それを用いて判定を行う。配信装置20で判定を行うことで、動的な変更があった場合にも対応可能である。
【0080】
また、画像処理装置10の本体101は、オプションの有無、及び現在のオペレーティングシステムのバージョン情報等を確認することで、関連ファームウェアに該当するファームウェアFW0について個別に更新することができるか否かの判定を行う。
【0081】
[3.3]フローチャート
以下、図8を参照しつつ、本実施形態に係る画像処理装置10におけるファームウェアFW0の更新に係る動作の一例について説明する。ここで、図8に示すフローチャートにおけるステップS1、S2・・・は、いずれも画像処理装置10により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。
【0082】
<ステップS1,S2>
ステップS1において、画像処理装置10は、配信装置20の更新用プログラムUP0を確認する。このとき、制御部17の取得処理部171は、本体101に実装されているファームウェアFW0の更新に必要であって、リリース済みの更新用プログラムUP0を確認する。ステップS2において、画像処理装置10は、ステップS1で確認した更新用プログラムUP0を取得する。このとき、制御部17の取得処理部171は、更新用プログラムUP0を配信装置20からダウンロードすることによって、更新用プログラムUP0を取得する。
【0083】
<ステップS3>
ステップS3において、画像処理装置10は、ステップS2で取得した更新用プログラムUP0に対応するファームウェアFW0に関連する他のファームウェアFW0(関連ファームウェア)があるか否かを判定する。関連ファームウェアがあれば(S3:Yes)、画像処理装置10は、処理をステップS4に移行させる。例えば、ステップS2で取得した更新用プログラムUP0に対応するファームウェアFW0が独立ファームウェアである場合等で、関連ファームウェアがなければ(S3:No)、画像処理装置10は、ステップS4,S5をスキップして処理をステップS6に移行させる。
【0084】
<ステップS4,S5>
ステップS4において、画像処理装置10は、オプションの有無、及び現在のオペレーティングシステムのバージョン情報等を確認する。これらの情報を用いて、画像処理装置10の更新処理部172は、ステップS5において、特定条件を満たすか否かを判定する。特定条件を満たす場合(S5:Yes)、画像処理装置10は、処理をステップS6に移行させる。一方、特定条件を満たさなければ(S5:No)、画像処理装置10は、処理をステップS7に移行させる。
【0085】
<ステップS6,S7>
ステップS6では、更新処理部172は、ステップS2で取得した更新用プログラムUP0に基づいて、ファームウェアFW0を個別に更新する。対して、ステップS7では、更新処理部172は、ステップS2で取得した更新用プログラムUP0に対応するファームウェアFW0について、これに関連するファームウェアFW0の更新用の更新用プログラムUP0が取得されるまで、更新を保留する。
【0086】
以上説明した手順は一例に過ぎず、図8のフローチャートに示す処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0087】
[4]変形例
画像処理装置10に含まれる複数の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、取得処理部171、更新処理部172及び格納部173の少なくとも1つは、別に設けられてもよい。
【0088】
また、表示部15は、液晶ディスプレーに限らず、例えば、有機ELディスプレーに代えて又は加えて、電子ペーパー又はプロジェクター等の表示器を含んでいてもよい。
【0089】
また、取得処理部171が更新用プログラムUP0を取得する手段は、配信装置20からのダウンロードに限らず、その他の装置からのダウンロード、又は更新用プログラムUP0が格納されたUSB(Universal Serial Bus)メモリー等の記録媒体からの読み込み等でもよい。
【0090】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0091】
<付記1>
画像処理機能を有する本体と、
前記本体の制御に用いられる複数のファームウェアのうち少なくとも一部のファームウェアについて、更新用プログラムを前記ファームウェアごとに個別に取得する取得処理部と、
前記更新用プログラムに基づいて、前記ファームウェアを個別に更新する更新処理部と、を備え、
前記複数のファームウェアは、他のファームウェアと関連しない独立ファームウェアと、他のファームウェアと関連する関連ファームウェアと、に分類され、
前記更新処理部は、前記独立ファームウェアに該当する前記ファームウェアを個別に更新する、
画像処理装置。
【0092】
<付記2>
前記更新処理部は、前記関連ファームウェアに該当する前記ファームウェアについては、互いに関連する2以上の前記ファームウェアに対応する2以上の前記更新用プログラムが取得されるのを待って、一括で更新する、
付記1に記載の画像処理装置。
【0093】
<付記3>
前記更新処理部は、特定条件を満たす場合には、前記関連ファームウェアに該当する前記ファームウェアについても個別に更新可能である、
付記1又は2に記載の画像処理装置。
【0094】
<付記4>
前記特定条件は、前記本体が有する機能に関する条件を含む、
付記3に記載の画像処理装置。
【0095】
<付記5>
前記特定条件は、オペレーティングシステムのバージョン情報に関する条件を含む、
付記3又は4に記載の画像処理装置。
【0096】
<付記6>
前記取得処理部は、前記更新用プログラムを格納する格納部に格納可能な容量となるように、取得する前記更新用プログラムを選択する、
付記1~5のいずれかに記載の画像処理装置。
【0097】
<付記7>
付記1~6のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記更新用プログラムを配信する配信装置と、を備える、
画像処理システム。
【符号の説明】
【0098】
10 画像処理装置
20 配信装置
100 画像処理システム
101 本体
171 取得処理部
172 更新処理部
173 格納部
UP0,UP1~UP10 更新用プログラム
FW0,FW1~FW10 ファームウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8