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特開2024-17454生分解性樹脂エマルジョンを用いたグアニル尿素含有粒状肥料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017454
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】生分解性樹脂エマルジョンを用いたグアニル尿素含有粒状肥料
(51)【国際特許分類】
   C05C 9/00 20060101AFI20240201BHJP
   C05G 5/12 20200101ALI20240201BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20240201BHJP
   B01J 2/14 20060101ALI20240201BHJP
   B01J 2/12 20060101ALI20240201BHJP
   B01J 2/10 20060101ALI20240201BHJP
   B01J 2/04 20060101ALI20240201BHJP
   C05G 3/00 20200101ALI20240201BHJP
   C05B 15/00 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
C05C9/00 B
C05G5/12
B01J2/00 C
B01J2/14
B01J2/12
B01J2/10 Z
B01J2/04
C05G3/00 101
C05B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120096
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】591148613
【氏名又は名称】エムシー・ファーティコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】相内 淳
【テーマコード(参考)】
4G004
4H061
【Fターム(参考)】
4G004EA08
4G004FA00
4G004HA00
4G004JA02
4H061AA01
4H061AA02
4H061BB14
4H061BB21
4H061EE35
4H061FF07
4H061GG15
4H061GG26
4H061GG43
4H061HH03
4H061LL02
4H061LL25
4H061LL26
(57)【要約】
【課題】造粒中にグアニル尿素が溶解するのを抑制し、高い製品収率のグアニル尿素粒状肥料を得る。
【解決手段】硫酸グアニル尿素又はリン酸グアニル尿素を80重量%以上含む粒状肥料であって、最低造膜温度80℃以下の生分解性樹脂の水性エマルジョンから形成された生分解性樹脂を粒状肥料内部に分散した状態で有する粒状肥料;及び硫酸グアニル尿素又はリン酸グアニル尿素を含む原料を最低造膜温度80℃以下の生分解性樹脂の水性エマルジョンを用いて造粒することを含む、前記粒状肥料の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸グアニル尿素又はリン酸グアニル尿素を80重量%以上含む粒状肥料であって、最低造膜温度80℃以下の生分解性樹脂の水性エマルジョンから形成された生分解性樹脂を粒状肥料内部に分散した状態で有する粒状肥料。
【請求項2】
生分解性樹脂がポリ乳酸を含む請求項1記載の粒状肥料。
【請求項3】
1-アミジノ-2-チオウレア及びスルファチアゾールを含まない請求項1記載の粒状肥料。
【請求項4】
硫酸グアニル尿素又はリン酸グアニル尿素を含む原料を最低造膜温度80℃以下の生分解性樹脂の水性エマルジョンを用いて造粒することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の粒状肥料の製造方法。
【請求項5】
前記水性エマルジョンが生分解性樹脂を1~50重量%含む請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記水性エマルジョンを噴霧又は滴下して転動造粒することによって造粒する請求項4記載の方法。
【請求項7】
パン造粒機、ドラム造粒機又は撹拌造粒機を用いて造粒する請求項4記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂のエマルジョンを利用したグアニル尿素を主成分とする粒状肥料に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆肥料は1970年代に開発されて以降、特に施肥作業が重労働となる水田では施肥作業の省力化を目的として使用され、また施肥量の抑制による肥料資源の削減となる他、肥料成分の流出による水質汚染の抑制、温室効果ガスとなる亜酸化窒素ガスの発生抑制の効果も得られるとして環境配慮型の農業資材に位置付けられてきた。しかしながら、2000年以降はマイクロプラスチックによる環境汚染が明らかとなり、被覆肥料もその肥料殻がマイクロプラスチックとして残留、流出していることから、従来の非分解性被覆肥料に代わる肥効調節型肥料が要求されている。
【0003】
非分解性被覆肥料に代わる肥効調節型肥料としては、特許文献1~3において粒状加工した肥料を生分解性樹脂によってコーティングする技術が公表されている他、特許文献4においては液肥成分含有穀物をポリ乳酸でコーティングし肥料造粒に用いる技術が公表されている等、生分解性樹脂を利用した肥料被覆について盛んに技術提案や公表がなされている。
【0004】
また、肥効調節型肥料としては多数の緩効性窒素肥料が非特許文献1によって公知のものとされ、これらの中でも特にイソブチルアルデヒド縮合尿素、アセトアルデヒド縮合尿素、メチロール尿素重合肥料、硫酸グアニル尿素、オキサミドが広く利用されている。
【0005】
特にグアニル尿素については特許文献5及び6において、分解抑制剤を添加することで使用場面に応じた肥効調節が可能であることが示されており、非分解性被覆肥料に代わる肥料として有効性の高い緩効性窒素肥料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2019-534837号公報
【特許文献2】特開2003-55079号公報
【特許文献3】特許第4050052号公報
【特許文献4】特許第6491380号公報
【特許文献5】特許第6125446号公報
【特許文献6】特許第6364394号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】農林統計協会著、ポケット肥料要覧2019/2020 p88
【非特許文献2】農林統計協会著、ポケット肥料要覧2019/2020 p377-379
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に広く利用される公知の緩効性窒素肥料の中でも、硫酸グアニル尿素及びリン酸グアニル尿素は水に対する溶解性が高く、これらを一般に行われる湿式転動造粒で造粒した場合、造粒水によってグアニル尿素が溶解して収率が著しく低下する。そのため、グアニル尿素を多量に含有し、なおかつ転動造粒によって粒状化した肥料は製造されていない。類似の肥料として特許文献5及び特許文献6には圧縮成形によって粒状化されたグアニル尿素粒が示されているが、転動造粒によって粒状化された実施例のグアニル尿素は20重量%以下であり、本発明によるグアニル尿素80重量%を超えて含有する粒状肥料を転動造粒で製造した例は確認できない。
【0009】
肥料の造粒には、造粒性の改善と品質向上のために粒状化促進材として非特許文献2に記載の添加材が利用されるが、グアニル尿素造粒に伴う収率低下を改善するためにはグアニル尿素の原料割合を大幅に引き下げねばならず、結果として窒素成分量が低下し、緩効性窒素質の粒状肥料としての有効性が得られない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、グアニル尿素を粒状化する方法を検討した結果、生分解性樹脂のエマルジョンを造粒水及び粒状化促進材として利用することにより、高い製品収率が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)硫酸グアニル尿素又はリン酸グアニル尿素を80重量%以上含む粒状肥料であって、最低造膜温度80℃以下の生分解性樹脂の水性エマルジョンから形成された生分解性樹脂を粒状肥料内部に分散した状態で有する粒状肥料。
(2)生分解性樹脂がポリ乳酸を含む前記(1)に記載の粒状肥料。
(3)1-アミジノ-2-チオウレア及びスルファチアゾールを含まない前記(1)又は(2)に記載の粒状肥料。
(4)硫酸グアニル尿素又はリン酸グアニル尿素を含む原料を最低造膜温度80℃以下の生分解性樹脂の水性エマルジョンを用いて造粒することを含む、前記(1)~(3)のいずれかに記載の粒状肥料の製造方法。
(5)前記水性エマルジョンが生分解性樹脂を1~50重量%含む前記(4)に記載の方法。
(6)前記水性エマルジョンを噴霧又は滴下して転動造粒することによって造粒する前記(4)又は(5)に記載の方法。
(7)パン造粒機、ドラム造粒機又は撹拌造粒機を用いて造粒する前記(4)~(6)のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、造粒中にグアニル尿素が溶解するのを抑制し、原料粉末同士を結合させることで造粒と乾燥の僅か2工程によって高い製品収率を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による硫酸グアニル尿素又はリン酸グアニル尿素の造粒方法は、転動造粒に分類される造粒方法であれば特に限定されないが、例えば次の方法が挙げられる。
【0014】
即ち、粒径1.00mm未満の粉末状の肥料原料を十分に混合する。混合する方法は公知の方法を用いることができ、例えば粉体混合機や擂潰機及びV型混合機、糖衣機によって混合してもよい。
【0015】
造粒に使用される造粒機は転動造粒機に分類される公知の造粒機を使用できるが、特にパン造粒機あるいはドラム造粒機又は撹拌造粒機を使用することが好ましい。
【0016】
生分解性樹脂エマルジョンの粘度が高い場合には、生分解性樹脂エマルジョンと水を混合し粘度を低下させることができる。混合は公知の液体混合方法及び液体混合装置で行うことができる。生分解性樹脂エマルジョンの粘度は転動造粒機に付随する噴霧機及び吐出ノズルの性能に従い、生分解性樹脂エマルジョンを添加可能な範囲内で適宜変更して調整できる。
【0017】
生分解性樹脂エマルジョンの粘度は造粒機の性能に依存するため限定されるものではないが、通常1~1100mPa・sの範囲内で使用することができ、特に噴霧を行う場合には1~50mPa・sの範囲で使用することが好ましい。
【0018】
前記の方法により調製した肥料原料粉末を転動造粒機に投入し、粘度を調整した生分解性樹脂エマルジョンをスプレーノズルで噴霧あるいは滴下しながら転動造粒を行う。この時、転動によって掻き上げられた肥料原料粉末が落下し造粒機内を最も大きく流動する位置に生分解性樹脂エマルジョンを添加することにより、生分解性樹脂エマルジョンと肥料原料粉末を均一に混合することができる。生分解性樹脂エマルジョンは肥料原料粉末の粒子を結合させる造粒水を兼ねており、生分解性樹脂エマルジョンのみの添加で造粒することも可能だが、生分解性樹脂エマルジョンの添加のみでは粒の形成が不十分である場合には、造粒水を追加して添加することができる。
【0019】
硫酸グアニル尿素又はリン酸グアニル尿素の構成割合は、窒素成分をできるだけ高くするという目的のため、80重量%以上であることが必要であり、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは85~95重量%である。
【0020】
生分解性樹脂エマルジョンの生分解性樹脂はポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリテトラメチレンアジペート・コ・テレフタレート、脂肪族芳香族系ポリエステル、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ブタンジオール/長鎖ジカルボン酸共重合体、ポリ乳酸、ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体、ポリ乳酸/ポリカプロラクトン共重合体、ポリグリコール酸、酢酸セルロース、澱粉ポリエステルから選択することができるが、比較的低温で造膜が可能であるポリ乳酸を用いることが望ましい。また、最低造膜温度を調整するために複数の生分解性樹脂を任意の割合で混合して使用することができる。この時にポリ乳酸を使用することで最低造膜温度を低下させることもできる。
【0021】
本発明においては、生分解性樹脂エマルジョンの最低造膜温度を80℃以下、好ましくは60℃以下に調整した生分解性樹脂エマルジョンを使用する。生分解性樹脂エマルジョンの最低造膜温度が80℃を超えると、転動造粒工程において生分解性樹脂がグアニル尿素を結合させる粒状化促進材として機能せず、むしろ生分解性樹脂エマルジョン由来の粘性による造粒機内部への肥料原料の付着が発生し、製品サイズを超えた大粒あるいは塊の発生もしくは粉化物の回収量が増大して製品収率を著しく低下させる。これは造粒するグアニル尿素が硫酸グアニル尿素、リン酸グアニル尿素のどちらの場合も同様に発生する。これらの造粒中に起こる原料溶解の影響を避けるために、生分解性樹脂エマルジョンの最低造膜温度は80℃以下であることが必要である。
【0022】
本発明において、最低造膜温度とは、生分解性樹脂の水性エマルジョンからなる塗膜が白色から透明へと変化する最低温度をいう。
【0023】
最低造膜温度は、例えば、黒色紙にドクターブレード(塗工厚さ:50μm)にて試料を塗工して試験片を作成した後、当該試験片を熱風乾燥機中で規定の温度にて5分間加熱乾燥し、塗膜が白色から透明へと変化する最低温度を求めることにより測定することができる。
【0024】
最低造膜温度80℃以下の生分解性樹脂の水性エマルジョンとしては、例えば、ポリ乳酸エマルジョンが市販されており、当該市販品を用いることができる。
【0025】
本発明の粒状肥料中の生分解性樹脂の含有量は、通常0.5~10.0重量%、好ましくは1.0~5.0重量%である。
【0026】
本発明の粒状肥料には、必要に応じて、粒状化促進材(例えば、アタパルジャイト、CMC(カルボキシメチルセルロース)、リグニンスルホン酸、ポリリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アタパルジャイト、デンプン、アラビアゴム、糖密)、ピートモス、腐植酸質資材、ベントナイト、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、微粉炭焼却灰、石膏等を添加してもよい。
【0027】
これらの肥料成分の使用割合は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、適宜変動させて使用可能である。
【実施例0028】
次に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下で部とあるのは、全て重量部を示す。
【0029】
以下において、生分解性樹脂エマルジョンの最低造膜温度は次のようにして測定した。
【0030】
(生分解性樹脂エマルジョンの最低造膜温度の測定方法)
黒色紙からなる試験片(15cm×7.5cm)を平滑なプラスチックボードに固定し、試験片の中央に生分解性樹脂エマルジョン0.5gを滴下してドクターブレードフィルムアプリケーター((株)オールグッド、塗巾5cm、塗工厚さ50μm)で試験片に塗工した。生分解性樹脂エマルジョンを均一な厚さで塗工した試験片を既定の温度に設定した通風乾燥機で5分間加熱乾燥させた後、被膜の透明性を目視で確認し、試験片の黒色が確認できる程度に透明な被膜となった最も低い温度を最低造膜温度とした。
【0031】
(実施例1)硫酸グアニル尿素95.0部、20℃造膜樹脂エマルジョン噴霧
篩別によって粒径を1.00mm未満に揃えた硫酸グアニル尿素95.0部をパン造粒機(パン径80cm、回転数22rpm、傾斜角度52.5°;以下同様)に投入した。10.0重量%に調整したポリ乳酸エマルジョン(市販品A、最低造膜温度20℃)をポリ乳酸の添加量として5.0部になるまで噴霧しながら転動造粒を行い、粒状肥料を得た。作成した粒状肥料は80℃に設定した通風乾燥機で5時間の乾燥処理を行った。
【0032】
(実施例2)硫酸グアニル尿素87.0部、20℃造膜樹脂エマルジョン滴下
篩別によって粒径を1.00mm未満に揃えた硫酸グアニル尿素87.0部及び公知の粒状化促進材であるアタパルジャイト3.0部、二水石膏5.0部を撹拌造粒機(日本アイリッヒ(株)、インテンシブミキサーR02型)に投入し、40.0重量%に調整したポリ乳酸エマルジョン(市販品A、最低造膜温度20℃)をポリ乳酸の添加量として5.0部になるまで滴下しながら転動造粒を行い、粒状肥料を得た。作成した粒状肥料は80℃に設定した通風乾燥機で5時間の乾燥処理を行った。
【0033】
(実施例3)硫酸グアニル尿素87.0部、80℃造膜樹脂エマルジョン噴霧
篩別によって粒径を1.00mm未満に揃えた硫酸グアニル尿素87.0部及び公知の粒状化促進材であるアタパルジャイト3.0部、二水石膏5.0部を糖衣機で転動混合し、パン造粒機に投入した。10.0重量%に調整したポリ乳酸エマルジョン(市販品B、最低造膜温度80℃)をポリ乳酸の添加量として5.0部になるまで噴霧しながら転動造粒を行い、粒状肥料を得た。作成した粒状肥料は80℃に設定した通風乾燥機で5時間の乾燥処理を行った。
【0034】
(比較例1)硫酸グアニル尿素87.0部、180℃造膜樹脂エマルジョン滴下
篩別によって粒径を1.00mm未満に揃えた硫酸グアニル尿素87.0部及び公知の粒状化促進材であるアタパルジャイト3.0部、二水石膏5.0部を撹拌造粒機(日本アイリッヒ(株)、インテンシブミキサーR02型)に投入し、40.0重量%に調整したポリ乳酸エマルジョン(市販品C、最低造膜温度180℃)をポリ乳酸の添加量として5.0部になるまで滴下しながら転動造粒を行い、粒状肥料を得た。作成した粒状肥料は80℃に設定した通風乾燥機で5時間の乾燥処理を行った。
【0035】
(比較例2)硫酸グアニル尿素100.0部、粒状化促進材不使用
篩別によって粒径を1.00mm未満に揃えた硫酸グアニル尿素100.0部をパン造粒機に投入した。水道水を噴霧しながら転動造粒を行い、粒状肥料を得た。作成した粒状肥料は80℃に設定した通風乾燥機で5時間の乾燥処理を行った。
【0036】
(比較例3)硫酸グアニル尿素90.0部、公知の粒状化促進材10.0部
篩別によって粒径を1.00mm未満に揃えた硫酸グアニル尿素90.0部及び公知の粒状化促進材であるアタパルジャイト5.0部、ベントナイト5.0部を糖衣機で転動混合し、パン造粒機に投入した。水道水を噴霧しながら転動造粒を行い、粒状肥料を得た。作成した粒状肥料は80℃に設定した通風乾燥機で5時間の乾燥処理を行った。
【0037】
(比較例4)硫酸グアニル尿素75.0部、公知の粒状化促進材25.0部
篩別によって粒径を1.00mm未満に揃えた硫酸グアニル尿素75.0部及び過リン酸石灰18.7部、公知の粒状化促進材であるアタパルジャイト6.3部を糖衣機で転動混合し、パン造粒機に投入した。水道水を噴霧しながら転動造粒を行い、粒状肥料を得た。作成した粒状肥料は80℃に設定した通風乾燥機で5時間の乾燥処理を行った。
【0038】
(比較例5)硫酸グアニル尿素71.2部、公知の造粒促進材5.8部
篩別によって粒径を1.00mm未満に揃えた硫酸グアニル尿素71.2部及び過リン酸石灰23.0部、公知の造粒促進材であるアタパルジャイト1.1部、珪藻土4.7部を糖衣機で転動混合し、パン造粒機に投入した。水道水を噴霧しながら転動造粒を行い、粒状肥料を得た。作成した粒状肥料は80℃に設定した通風乾燥機で5時間の乾燥処理を行った。
【0039】
(試験例1)製品収率及び粒度分布評価
表1に示した実施例及び比較例の肥料原料総量を100として、乾燥工程の後に得られた粒状肥料の重量から収率を算出した。更に粒状肥料を市販されている化成肥料の一般的な粒径規格である4.00mmと2.00mmの篩目で篩別し、粒径4.00mm未満かつ2.00mm以上となった粒状肥料の重量から製品収率を算出して、表2の通り評価した。また、転動造粒から乾燥工程において減少した重量、及び篩別により粒径が4.00mm以上あるいは2.00mm未満となった粒状肥料の重量を合計し、粒状肥料の製造工程における損失率を算出して製品収率と共に評価した。また、粒径が篩目4.00mmから2.00mmの間に入った製品規格を更に篩分けし、大粒品とされる粒径4.00mmから3.35mm、中粒品とされる3.35mmから2.83mm、小粒品とされる2.83mmから2.00mmに篩分けされた粒状肥料の重量を測定して粒度分布を算出し表3の通り評価した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
生分解性樹脂エマルジョンの最低造膜温度が80℃以下である実施例1~3は、添加した生分解性樹脂が硫酸グアニル尿素の溶解による粒の過剰な肥大を防ぎ、製品収率を主に小粒規格である粒径2.83mmから2.00mmの範囲で得ると共に、粒径4.00mm以上となることによる損失率の増大を防いでいる。
【0044】
生分解性樹脂及び造粒促進材をいずれも使用しない比較例2は粒径4.00mm以上となることによる損失が60重量%を超えた。粒径4.00mm未満の収率でも粒径がより大きいものの収率が高く、硫酸グアニル尿素の溶解を防止できず、肥大化しやすい状態にあった。
【0045】
生分解性樹脂の最低造膜温度が180℃である比較例1、並びに生分解性樹脂を使用せず、公知の粒状化促進材のみで造粒を行った比較例3~5は粒径4.00mm以上となることによる損失率が50重量%前後となった。製品規格内でも粒径がより大きいものの方が多く、肥料粒は肥大化しやすい状態にあった。