(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174541
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20241210BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20241210BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20241210BHJP
G06F 16/55 20190101ALI20241210BHJP
H04N 23/698 20230101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G01N21/84 B
E01D22/00 A
G06F16/55
H04N23/698
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092413
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】新井 瑠樹
【テーマコード(参考)】
2D059
2G051
5B175
5C122
【Fターム(参考)】
2D059GG39
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC15
2G051AC19
2G051CA04
2G051EA14
2G051FA01
5B175DA02
5B175FA03
5C122DA12
5C122EA40
5C122EA55
5C122GC22
5C122GC75
5C122GD01
5C122GD11
5C122HA05
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA82
5C122HA90
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】 構造物の変状検知において、撮影画像を撮影対象ごとにグルーピングする。
【解決手段】 複数の対象物についてそれぞれ撮影するときに複数の画像の位置関係を取得する第1取得手段と、
前記複数の対象物のそれぞれの形状の境界に設けられる通信装置から電波によって送信される識別情報であって、対象物ごとに異なる識別情報を、前記対象物を撮影するときに取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段によって取得された前記識別情報を前記複数の画像の位置関係に紐づける紐づけ手段と、
前記紐づけ手段によって紐づけられた前記位置関係と前記識別情報に基づいて、前記複数の画像から対象物ごとの画像群を生成する生成手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物についてそれぞれ撮影するときに複数の画像の位置関係を取得する第1取得手段と、
前記複数の対象物のそれぞれの形状の境界に設けられる通信装置から電波によって送信される識別情報であって、対象物ごとに異なる識別情報を、前記対象物を撮影するときに取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段によって取得された前記識別情報を前記複数の画像の位置関係に紐づける紐づけ手段と、
前記紐づけ手段によって紐づけられた前記位置関係と前記識別情報に基づいて、前記複数の画像から対象物ごとの画像群を生成する生成手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
移動体に搭載され、前記複数の対象物を撮影する撮像手段を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1取得手段は、前記移動体の撮影経路に基づいて、前記複数の画像の位置関係を取得することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1取得手段は、前記移動体の位置情報に基づいて、撮影した複数の画像の位置関係を取得することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2取得手段は、通信装置にRFIDを用いて識別情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、所定の対象物の前記識別情報を持つ画像を撮影した位置を含む所定の領域内を撮影した画像について、前記所定の対象物を撮影した画像であると特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の対象物についてそれぞれ撮影するときに複数の画像の位置関係を取得する第1取得工程と、
前記複数の対象物のそれぞれの形状の境界に設けられる通信装置から電波によって送信される識別情報であって、対象物ごとに異なる識別情報を、前記対象物を撮影するときに取得する第2取得工程と、
前記第2取得工程によって取得された前記識別情報を前記複数の画像の位置関係に紐づける紐づけ工程と、
前記紐づけ工程によって紐づけられた前記位置関係と前記識別情報に基づいて、前記複数の画像から対象物ごとの画像群を生成する生成工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の画像処理システムの各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に社会インフラ構造物の点検に用いられる画像の管理をする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁やトンネル等の構造物の経年による損傷を点検する社会インフラ点検の方法として検査対象となる構造物を撮影し、得られた画像を解析する方法が知られている。撮影においてはドローン等の移動体や自動撮影雲台に搭載した撮像装置で撮影する方法が一般的であり、巨大な構造物を複数のエリアに分割して撮影する。分割撮影を行うことで分割画像を取得し、その取得した分割画像を合成して検査対象となる構造物の全体像が写った合成画像を取得する。
【0003】
分割画像から合成画像を取得するためには、検査対象毎に撮影した分割画像をグルーピングする必要がある。このような分割画像をグルーピングする技術として、例えば、特許文献1では、検査対象の全体像を撮影した目印画像を撮影しておき、グルーピング時に指定することで分割画像を自動でグルーピングする技術が開示されている。インフラ点検の分野以外に目を向けると、例えば、特許文献2では撮影対象が切り替わるたびに撮影者がRFIDタグを読み取ることで分割画像をグルーピングする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-124832号公報
【特許文献2】特許第6580286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、検査対象全体が映るレンズの交換や撮影設定変更して目印画像の撮影を行う必要がある。また上述の特許文献2に開示された従来技術では、撮影対象の切り替わりでRFIDタグを読み取る必要があり、分割撮影の撮影順が限定される。
【0006】
そこで、本発明の目的は、構造物の変状検知において、撮影画像を撮影対象ごとにグルーピングすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、
複数の対象物についてそれぞれ撮影するときに複数の画像の位置関係を取得する第1取得手段と、
前記複数の対象物のそれぞれの形状の境界に設けられる通信装置から電波によって送信される識別情報であって、対象物ごとに異なる識別情報を、前記対象物を撮影するときに取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段によって取得された前記識別情報を前記複数の画像の位置関係に紐づける紐づけ手段と、
前記紐づけ手段によって紐づけられた前記位置関係と前記識別情報に基づいて、前記複数の画像から対象物ごとの画像群を生成する生成手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、構造物の変状検知において、撮影画像を撮影対象ごとにグルーピングできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態における撮像システムのブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態における識別情報処理部のブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態における画像処理部のブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態における検査対象の例である。
【
図5】本発明の実施形態におけるインフラ点検作業のフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態における分割撮影の例である。
【
図7】本発明の実施形態における撮影経路情報の例である。
【
図8】本発明の実施形態におけるRFID設置の例である。
【
図9】本発明の実施形態における分割画像の例である。
【
図10】本発明の実施形態における識別情報と位置座標の例である。
【
図11】本発明の実施形態におけるグループ生成部のブロック図である。
【
図12】本発明の実施形態におけるグルーピングのフローチャートの例である。
【
図13】本発明の実施形態におけるグルーピング後の識別情報と位置座標の例である。
【
図14】本発明の実施形態における検査対象の例である。
【
図15】本発明の実施形態における分割画像の例である。
【
図16】本発明の実施形態における識別情報と位置座標の例である。
【
図17】本発明の実施形態におけるグルーピングのフローチャートの例である。
【
図18】本発明の実施形態におけるグルーピング後の識別情報と位置座標の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態に係る撮像システムは、社会インフラ点検の対象となる構造物の検査対象面を撮影し、撮影現場で画像を確認するためのものである。社会インフラ点検の対象となる構造物として、例えば橋梁・トンネル・ビル・道路等がある。
【0011】
橋梁を検査対象とする場合、撮像装置を用いて橋梁を下方及び側方から撮影し、検査範囲について複数の撮影画像(橋梁の異なる部分がそれぞれ撮影された複数の画像)を分割して取得する。撮影は、橋梁の延伸方向及びその直交方向に適宜移動しながら行う。なお、橋梁の周辺状況により、検査員が移動して撮影を行うのは困難な場合があるため、橋梁に沿って移動可能な移動機構を設けて撮影を行うようにすることもできる。なお、本実施形態では、移動機構としてドローンを挙げて説明するが、他にも車両、ロボット、その他の飛翔体でも良い。また、このような移動機構には、さらに撮像装置の昇降機構、回転機構(パン及び/またはチルトを行う機構)を設けても良い。
【0012】
(第1の実施形態)
以下、
図1から
図13を参照して本発明の第1の実施形態によるインフラ点検撮影について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかわる撮像システムのブロック図である。
【0013】
100は、撮像システムを構成する撮像装置である。101は撮像装置100のシステム制御を行うシステム制御部であり、撮影に関わる制御、画像処理、通信、表示等の制御を行う。102は撮像部で、撮像センサを露光・結像するための光学系、撮像センサ、AD変換、ゲイン制御、補正制御を行う。103は画像処理部で、撮像部102で撮像したデータに対し補正、現像、圧縮、符号化等の処理し、画像データを生成する。またAF、AE、WB、手振れ補正、ストロボ調光などの撮影画像高画質化のための制御および処理、画像解析、検出、認識などの処理を行う。104はカメラ100に備える内部メモリおよび着脱可能な外部メモリである。内部メモリは、撮像部102の撮像データ取得や画像処理部103の画像処理の際に一時的にデータ保持するとき、および表示、通信処理の際に一時的にデータ保持するときにも使用する。105は表示部であり、TFT液晶パネルや有機ELパネルを備え、タッチパネル構成によりユーザー入力部を兼ねている。106は通信部で、無線または有線で接続により撮像装置100の外部のシステムと接続し、データの送受信を行う。
【0014】
110は、撮像システムを構成する情報処理装置である。111は情報処理装置110のシステム制御を行うシステム制御部である。112は識別情報処理部であり、対象物の固有IDなどを意味する識別情報の取得と、取得した情報と撮影した画像の紐づけを行う。詳細は後述する。113は画像処理部であり、入力された画像データの位置情報取得や画像群の仕分けの処理を行い、処理結果を出力する。詳細は後述する。114は情報処理装置110に備える内部メモリであり、識別情報処理部112や画像処理部113の入出力データや一時的なデータの保持、および表示、通信処理の際に一時的にデータ保持するときにも使用する。115は表示部であり、TFT液晶パネルや有機ELパネルを備え、タッチパネル構成によりユーザー入力部を兼ねている。116は通信部で、無線または有線で接続により情報処理装置110の外部のシステムと接続し、データの送受信を行う。
【0015】
撮像装置100の通信部106と、情報処理装置110の通信部116は、無線または有線の通信方式で接続されている。
【0016】
120は移動装置(Unmanned Aerial Vehicle、ドローン)である。移動装置120には撮像装置100及び情報処理装置110が載置されており、撮像装置100の位置や姿勢を制御し、飛行により移動することができる。また、移動装置120は、移動を行うための移動方向・距離を入力することができる。移動制御部121は、各種センサ(ジャイロセンサ・加速度センサ・気圧センサ・距離センサ等)により測定された情報を処理して、自身の空間上のX軸Y軸Z軸の特定の位置を認識し、自身の位置や姿勢を維持するよう飛行を制御する。したがって、急な突風などの外乱が発生しても、移動制御部121の飛行制御により元の位置に戻ることができる。さらに、移動制御部121は、システム制御111からの移動指示を受けて、飛行制御を行い、自身の位置を移動させる。なお、移動装置120は、ユーザーが操作するコントローラ装置からの操作信号を受信して、飛行制御することも可能である。
【0017】
ここで
図2を用いて識別情報処理部112について説明する。識別情報処理部112は識別情報取得部201と識別情報紐づけ部202を含む。識別情報取得部201は、検査対象の撮影時に検査対象の識別情報を取得する。識別情報紐づけ部202は、撮影画像と識別情報取得部201によって取得された識別情報を紐づけて記録する。各構成要素の詳細については後述する。
【0018】
また
図3を用いて画像処理部113について説明する。画像処理部113は画像取得部301、画像位置関係取得部302、画像並び替え部303、グループ生成部304を含む。画像取得部301は、撮像装置100で撮像された画像データを取得し、データを保持する。画像位置関係取得部302は、撮影された画像の位置情報を取得する。画像並び替え部303は、画像位置関係取得部302によって取得された位置情報に基づいて撮影画像の相互位置関係を整理する。グループ生成部304は、撮影画像群を検査対象毎にグルーピングする。各構成要素の詳細については後述する。
【0019】
図4は、検査対象のイメージ図である。400a、400bは、インフラ構造物を表しており、本実施形態ではそれぞれを区別して検査する。401の面が構造物400aの点検撮影範囲である。402は、構造物400aにみられるひびなどの変状であり、コンクリートなどで構成される構造物表面で検知可能な特徴点でもある。同様に構造物400bにも変状が存在する。
【0020】
図4に示す検査対象を分割撮影しグルーピングする際の、構成要素について
図5に示す分割画像のグルーピング作業の概要を示すフローチャートと照らし合わせて説明する。
図5においてSはステップを表す。
【0021】
S501で、システム制御111は撮像部102で撮像された分割画像データを通信部116によって受信し、分割画像データを画像取得部301に入力する。画像取得部301は取得した画像データを内部に保持する。ここで
図6は、分割撮影のイメージ図である。600の分割画像は、点線が1枚の分割撮影範囲を表している。本実施形態では構造物400a、構造物400bのそれぞれについて4×3枚の分割撮影をする。
【0022】
S502で、移動制御部121は、ドローン等の移動機構に慣性航法装置(INS:Inertial Navigation System)等を備えることで位置情報を取得する。慣性航法装置は、水平維持した場所に設置された加速度センサの出力を解析することで位置の変化量を得る技術である。分割撮影時に位置の変化量を画像位置関係取得部302に入力することで分割画像の位置情報(撮影経路情報)を記録する。さらに位置情報はドローン等の移動機構のGPS(Global Positioning System)により測定された情報を用いても良い。画像位置関係取得部302によって取得された分割画像の位置情報は画像取得部301によって取得された画像に紐づけられて記録される。ここで
図7は撮影経路情報のイメージ図である。701、702は分割撮影時に画像位置関係取得部302によって取得された位置情報を表している。700は、撮影開始から撮影終了までに得られた位置の変化量に基づいて取得された撮影経路である。
【0023】
S503で、識別情報取得部201は、特定の方向にある通信装置とのみ無線通信するための指向性アンテナを備えており、対象物に設置された通信装置から識別情報を読み取る。通信装置にはRFID(Radio Frequency IDentification)等を用いる。アンテナから発する電波の広がる範囲(アンテナの指向範囲)は、撮影時の画角と同程度の指向性を持つ。このアンテナの指向性により、撮影画像の範囲に存在するRFIDタグのみを読み取る。また識別情報取得部201は通信装置からの信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を同時に測定する。ここで
図8は、RFIDタグ設置のイメージ図である。800a、800bはそれぞれ、構造物400a、構造物400bに設置したRFIDタグの位置を表している。RFIDタグは対象物の形状に基づいて境界部分に配置する。
図8では構造物400aを長方形とみなし、長方形の4つの頂点の位置にRFIDタグを設置する。RFIDタグは、検査前にあらかじめ設置する必要がある。
【0024】
RFIDタグ800aを含む構造物400aに設置された4つのRFIDタグには構造物400aを特定することが可能な識別情報を記録する。例えば以下のような情報である。
00001-1、00001-2、00001-3、00001-4
【0025】
上記の識別情報の例では構造物400aの固有IDが00001であり、ハイフン(-)後の数字はRFIDタグ800aを含む構造物400aに設置された4つのRFIDタグの番号を表している。なお、前記4つのRFIDタグについてはそれぞれについて識別しなくてもグルーピング可能である。また通信装置からの信号強度も同時に記録しても良い。
【0026】
S504は、S503で撮影範囲内に通信装置(RFIDタグ)が存在するかの分岐である。RFIDタグが存在する(識別情報取得部201の指向性アンテナにより撮影範囲内のRFIDタグが読み取れる)場合、S505へ進む。また撮影範囲内にRFIDタグが存在していなくても、通信距離の関係上、撮影範囲外のRFIDタグの識別情報を読み取る可能性がある。識別情報取得部201ではRFIDタグからの信号強度も同時に測定し、記録するので信号強度に閾値を設け、一定値以上の場合はS505へ進む。ここで閾値は撮影範囲内でRFIDタグを受信する場合と撮影範囲外からRFIDタグを受信する場合の信号強度の差に基づいて算出する。
【0027】
S505で、識別情報紐づけ部202は、画像位置関係取得部302によって取得された画像の位置情報と識別情報取得部201によって取得された識別情報とを紐づけて記録する。S503の識別情報取得部201によって撮影範囲内にRFIDが存在しなかった場合は、分割画像に識別情報が紐づかないので、後述するグルーピングの作業では識別情報無しの画像として扱われる。
【0028】
S506は、検査対象物の全ての撮影が終了したかの分岐である。本実施形態では構造物400aと構造物400bの全ての分割撮影が終了した場合にS507に進む。
【0029】
S507で、画像並び替え部303は、画像位置関係取得部302によって取得した画像の位置座標に基づいて画像のマッピングを行う。具体的にはグルーピング用の位置座標(
図10で後述)を分割画像に付与する。ここで
図9は前記マッピングを可視化した図である。900は分割撮影した画像群である。901から924の分割画像は撮影経路700に基づいて並び替えている。付番901~924は、撮影経路700に基づいた撮影順に沿って付けている。本実施形態では各対象物を4×3(4行3列)枚の分割撮影をしているための、各対象物の全体画像は4×3枚分の長方形となる。
【0030】
図10は、画像並び替え部303において分割画像にグルーピング用の位置座標を付与したイメージ図である。1000は分割撮影した画像群であり、1001から1024は分割画像である。分割画像の付番は
図9の分割画像の付番と対応している。例えば分割画像1001は分割画像901に対応する。位置情報に関して、例えば分割画像1001の撮影位置は撮影位置701であり、分割画像1002の撮影位置は撮影位置702であるため、撮影位置に対応するように分割画像に位置座標を割り当てる。このとき分割画像1001の座標を基準とした(行i=1、列j=1)。また撮影画像群1000の分割画像において、識別情報を持つ画像には構造物400aの識別情報(対象物a)もしくは構造物400bの識別情報(対象物b)を示した。
図10の例では対象物aの識別情報付き画像は分割画像1001、1003,1022、1024である。対象物bの識別情報付き画像は分割画像1004、1006、1019、1021である。
【0031】
S508で、グループ生成部304は、識別情報紐づけ部202によって紐づけられた画像の相互位置関係と各画像の識別情報の有無及び識別情報の内容に基づいて、同一の対象物を撮影した画像群(グループ)を生成する。本実施形態においては、識別情報が付与された画像は長方形の頂点に位置するため、4つの頂点を結んだ領域内に含まれる画像には頂点と同一の識別情報を付与する。そして同一の識別情報を持つ画像群(グループ)を作成する。
【0032】
ここで
図11を用いてグループ生成部304について説明する。グループ生成部304は識別情報読み取り部1101、識別情報設定部1102、識別情報書き込み部1103、画像仕分け部1104を含む。
【0033】
図12にグループ生成部304における分割画像のグルーピング処理についてフローチャートを用いて説明する。
図12においてSはステップを表す。
図12においてi、jは
図10における分割画像の位置座標(iは行、jは列)を表す。またk、mはフローチャートで用いる変数である。グループ生成部304は変数i、j、k、mを内部に保持する。
【0034】
まずS1202で、識別情報読み取り部1101は座標i=1、j=1の画像(分割画像1001)の識別情報を読み取る。
【0035】
S1203で、識別情報読み取り部1101は、読み取った識別情報を識別情報設定部1102に入力し、識別情報設定部1102は識別情報Xとして内部に保持する。
【0036】
例えば構造物400aの固有識別IDは00001なので、S1203で、X=00001となる。
【0037】
S1204で、識別情報読み取り部1101は、列方向の画像を読むために列座標をずらす。すなわち、1001から順に列方向の画像(1002、1003、1004、、、)を読み込むため、列座標となるjを+1することで、読み込み対象画像の列座標を進める。
【0038】
S1205で、識別情報読み取り部1101は、座標(i、j)の画像の識別情報を読み込む。S1206は、画像に識別情報が存在するかの分岐であり、S1205で識別情報読み取り部1101が座標(i、j)の画像の識別情報を読み込めなかった(識別情報が存在しない)場合はS1207に進む。S1207で、識別情報書き込み部1103は座標(i、j)の画像に識別情報設定部1102で設定された識別情報Xを付与する。例えばX=00001の場合は、画像の識別情報として00001が書き込まれるため、構造物400aを撮影した画像として扱う。S1208で、識別情報読み取り部1101は、列方向の画像を読むために、列座標となるjを+1することで読み込み対象画像の列座標を進める。
【0039】
S1206で、識別情報が存在した場合はS1209に進む。S1209で、識別情報読み取り部1101は、次に行方向の画像を読むために行座標をずらす。すなわち、1001から順に行方向の画像(1012、1013、1024、、、)を読み込むため、行座標となるiを+1することで、読み込み対象画像の行座標を進める。また識別情報読み取り部1101はS1202から画像読み込みを行った回数を変数mに記録する。
【0040】
S1210で、識別情報読み取り部1101は、座標(i、j)の画像の識別情報を読み込む。S1211で識別情報書き込み部1103は座標(i、j)の画像に識別情報設定部1102で設定された識別情報Xを付与する。S1212は、列座標を表す変数jとS1209で、識別情報読み取り部1101が保持した変数mを比べ、変数jと変数mが等しくない場合はS1213に進む。S1202からS1209の間に識別情報を読み込んだ回数分、S1210からS1211では識別情報が書き込まれる。S1212で変数jと変数mが等しい場合がS1214に進む。S1214は、S1210で、識別情報読み取り部1101が識別情報を読み取れたかの分岐であり、座標(i、j)の画像に識別情報が存在しなかった場合、S1215に進む。S1210からS1214は識別情報書き込み部1103が同一対象物を撮影したすべての分割画像に同一の識別情報を書き込むまで繰り返す。識別情報書き込み部1103が同一対象物を撮影したすべての分割画像に同一の識別情報を書き込んだ場合、S1214からS1216に進む。
【0041】
S1216で、識別情報読み取り部1101は、撮影画像群1000のすべての分割画像に識別情報が付与されているかを確認する。識別情報が付与されていない画像が存在する場合はS1217に進む。S1217で、識別情報読み取り部1101は、行座標、列座標をずらし、S1202からの作業を繰り返す。撮影画像群1000のすべての分割画像に識別情報が付与されている場合は、S1218に進む。
【0042】
S1218で、識別情報読み取り部1101は、撮影画像群1000の分割画像の識別画像を順に読み込む。画像仕分け部1104は識別情報読み取り部1101によって取得された識別情報に基づいて同じ識別情報を持つ画像群を生成する(画像群をフォルダ等に分ける)。
【0043】
図13はグループ生成部304によって対象物ごとのグループを生成した例である。1301~1324は分割画像であり、
図13の分割画像の付番は
図9の分割画像の付番と対応している。例えば分割画像1301は、分割画像901の識別情報と位置座標を表している。1300a、1300bは対象物ごとのグループであり、グループ1300aは構造物400aの分割画像群をまとめた(フォルダに格納)。同様にグループ1300bは構造物400bの分割画像群をまとめた。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像処理部113により分割画像の位置情報を取得し、識別情報処理部112により識別情報と紐づけることで、分割画像を対象物ごとにグルーピングすることが可能になった。
【0045】
(第2の実施形態)
以下、
図14から
図18を参照して本発明の第2の実施形態によるインフラ点検撮影について説明する。第1の実施形態では検査対象の分割撮影において複数行×複数列に分割していたが、変状等を点検するための解像度を満たす撮影が1行×複数列もしくは複数行×1行(以下、I型)の場合もあり得る。以下、I型列の分割撮影における本発明の実施形態を説明する。
【0046】
図14は、I型撮影となる場合の検査対象のイメージ図である。1400a、1400bは、インフラ構造物を表しており、本実施形態ではそれぞれを区別して検査する。1401の面が構造物1400aの点検撮影範囲である。1402は、構造物1400aにみられるひびなどの変状であり、コンクリートなどで構成される構造物表面で検知可能な特徴点でもある。同様に構造物1400bにも変状が存在する。
【0047】
図14に示す検査対象を分割撮影しグルーピングする際の手順は、本発明の第1の実施形態で説明した
図5に示すフローチャートと同様である。したがって第2の実施形態の手順の説明は、第1の実施形態で説明した手順や条件と異なる場合のみ行う。
【0048】
図14において1403の分割画像は、点線が1枚の分割撮影範囲を表している。本実施形態では構造物1400a、構造物1400bのそれぞれについて4×1枚の分割撮影をする。1404a、1404bはそれぞれ、構造物1400a、構造物1400bに設置したRFIDタグの位置を表している。RFIDタグは対象物の形状に基づいて境界部分に配置する。
図14では、構造物1400aを一直線の形状(I型)とみなし、端となる上下2点にRFIDタグを設置する。RFIDタグは、検査前にあらかじめ設置する必要がある。
【0049】
図15は、画像並び替え部303による画像のマッピングを可視化した図である。1500は分割撮影の画像群であり、1501から1508は分割画像である。分割画像1501から1508は撮影経路情報によって並び替えている。行ごとに撮影する撮影経路である。分割画像の付番1501~1508は、撮影経路に基づいた撮影順に沿って付けている。本実施形態では各対象物を4×1(4行1列)枚の分割撮影をしているための、各対象物の全体画像は4×1枚分のI型となる。
【0050】
図16は、画像並び替え部303において分割画像にグルーピング用の位置座標を付与したイメージ図である。分割画像の付番は
図5の分割画像の付番と対応している。例えば1601は分割画像1501の位置座標を表す。位置座標は分割画像1601の座標を基準とした(行i=1、列j=1)。また撮影画像群1600の分割画像において、識別情報を持つ画像には構造物1400aの識別情報(対象物a)もしくは構造物1400bの識別情報(対象物b)を示した。
図16の例では分割画像1601、1608である。対象物bの識別情報付き画像は分割画像1602、1607である。
【0051】
図17は本実施形態のグループ生成部304における分割画像のグルーピングのフローチャートである。
図17においてSはステップを表す。
図17においてi、jは
図16における分割画像の位置座標(iは行、jは列)を表す。グループ生成部304は変数i、jを内部に保持する。
【0052】
まずS1701で座標を初期化する。S1702で、識別情報読み取り部1101は座標i=1、j=1の画像(分割画像1601)の識別情報を読み取る。
【0053】
S1703で、識別情報読み取り部1101は、読み取った識別情報を識別情報設定部1102に入力し、識別情報設定部1102は識別情報Xとして保持する。S1704で、識別情報読み取り部1101は、行方向の画像を読むために、行座標となるiを+1することで、読み込み対象画像の行座標を進める。
【0054】
S1705で、識別情報読み取り部1101は、座標(i、j)の画像の識別情報を読み込む。S1706は、識別情報読み取り部1101で識別情報が存在するかの分岐であり、存在しない場合はS1707に進む。S1707で、識別情報書き込み部1103は座標(i、j)の画像に識別情報設定部1102で設定された識別情報Xを付与する。S1708で、識別情報読み取り部1101は、行方向の画像を読むために、行座標となるiを+1することで、読み込み対象画像の行座標を進める。S1706で、識別情報が存在した場合はS1709に進む。
【0055】
S1709で、識別情報読み取り部1101は、撮影画像群1600のすべての分割画像に識別情報が付与されているかを確認する。識別情報が付与されていない画像が存在する場合はS1710に進む。S1710で、識別情報読み取り部1101は、行座標、列座標をずらし、S1702からの作業を繰り返す。撮影画像群1600のすべての分割画像に識別情報が付与されている場合は、S1711に進む。
【0056】
S1711で、識別情報読み取り部1101は、撮影画像群1600の分割画像の識別画像を順に読み込む。画像仕分け部1104は識別情報読み取り部1101によって取得された識別情報に基づいて同じ識別情報を持つ画像群を生成する(画像群をフォルダ等に分ける)。
【0057】
図18はグループ生成部304によって対象物ごとのグループを生成した例である。1801~1808は分割画像であり、
図18の分割画像の付番は
図5の分割画像の付番と対応している。例えば分割画像1801は、分割画像1501の識別情報と位置座標を表している。1800a、1800bは対象物ごとのグループであり、グループ1800aは構造物1400aの分割画像群をまとめた(フォルダに格納)。同様にグループ1800bは構造物1400bの分割画像群をまとめた。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、I型撮影においても、画像処理部113により分割画像の位置情報を取得し、識別情報処理部112により識別情報と紐づけることで、分割画像を対象物ごとにグルーピングすることが可能になった。
【0059】
本実施形態では複数行×1列のI型列撮影の例を記載したが、1行×複数行のI型列撮影においても実施可能である。また、第1の実施形態で記載した複数行×複数行の分割撮影と組み合わせてグルーピングすることも可能である。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0061】
<構成1>
複数の対象物についてそれぞれ撮影するときに複数の画像の位置関係を取得する第1取得手段と、
前記複数の対象物のそれぞれの形状の境界に設けられる通信装置から電波によって送信される識別情報であって、対象物ごとに異なる識別情報を、前記対象物を撮影するときに取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段によって取得された前記識別情報を前記複数の画像の位置関係に紐づける紐づけ手段と、
前記紐づけ手段によって紐づけられた前記位置関係と前記識別情報に基づいて、前記複数の画像から対象物ごとの画像群を生成する生成手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【0062】
<構成2>
移動体に搭載され、前記複数の対象物を撮影する撮像手段を有することを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
【0063】
<構成3>
前記第1取得手段は、前記移動体の撮影経路に基づいて、前記複数の画像の位置関係を取得することを特徴とする構成2に記載の情報処理装置。
【0064】
<構成4>
前記第1取得手段は、前記移動体の位置情報に基づいて、撮影した複数の画像の位置関係を取得することを特徴とする構成2に記載の情報処理装置。
【0065】
<構成5>
前記第2取得手段は、通信装置にRFIDを用いて識別情報を取得することを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
【0066】
<構成6>
前記生成手段は、所定の対象物の前記識別情報を持つ画像を撮影した位置を含む所定の領域内を撮影した画像について、前記所定の対象物を撮影した画像であると特定する
ことを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
【0067】
<方法1>
複数の対象物についてそれぞれ撮影するときに複数の画像の位置関係を取得する第1取得工程と、
前記複数の対象物のそれぞれの形状の境界に設けられる通信装置から電波によって送信される識別情報であって、対象物ごとに異なる識別情報を、前記対象物を撮影するときに取得する第2取得工程と、
前記第2取得工程によって取得された前記識別情報を前記複数の画像の位置関係に紐づける紐づけ工程と、
前記紐づけ工程によって紐づけられた前記位置関係と前記識別情報に基づいて、前記複数の画像から対象物ごとの画像群を生成する生成工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【0068】
<プログラム1>
構成1~6のいずれか1項に記載の画像処理システムの各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0069】
100 撮像装置
101 システム制御
102 撮像部
103 画像処理部
106 通信部
110 情報処理装置
111 システム制御
112 識別情報処理部
113 画像処理部
116 通信部
120 移動装置
121 移動制御部