IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

特開2024-174548制御システムおよび電力管理システム
<>
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図1
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図2
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図3
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図4
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図5
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図6
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図7
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図8
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図9
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図10
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図11
  • 特開-制御システムおよび電力管理システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174548
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】制御システムおよび電力管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20241210BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241210BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/00 170
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092427
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綱分 智則
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066HA15
5G066HA17
5G066HB03
5G066HB07
5G066HB08
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】電力系統における連系点の電力を要求電力に維持しながら、蓄電装置およびリソースを効率的に利用する。
【解決手段】制御システムは、電力系統との間で電力を授受する蓄電装置と、電力系統および蓄電装置との間で電力を授受するリソースとを制御するシステムであって、稼働計画Uに応じてリソースが稼働し、かつ、電力系統の連系点における電力が電力計画Kによる要求電力Zに維持されるように、蓄電装置および前記リソースの電力を調整する電力制御部40と、電力供出計画と蓄電装置の充電量とに応じて蓄電装置に余力が確保されているか否かを判定する余力判定部50とを具備し、電力制御部40は、蓄電装置に余力が確保されていないと余力判定部が判定した場合に、リソースの稼働を制限する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統との間で電力を授受する蓄電装置と、前記電力系統および前記蓄電装置との間で電力を授受するリソースとを制御するシステムであって、
稼働計画に応じて前記リソースが稼働し、かつ、前記電力系統の連系点における電力が電力計画による要求電力に維持されるように、前記蓄電装置および前記リソースの電力を調整する電力制御部と、
電力供出計画と前記蓄電装置の充電量とに応じて前記蓄電装置に余力が確保されているか否かを判定する余力判定部とを具備し、
前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記リソースの稼働を制限する
制御システム。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記蓄電装置と前記リソースとの間で授受される電力のうち前記蓄電装置の余力を減少させる方向における電力の授受を制限する
請求項1の制御システム。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記蓄電装置と前記リソースとの間で授受される電力、または、前記蓄電装置と前記電力系統との間で授受される電力を、前記蓄電装置の余力が増加する方向に変化させる
請求項1の制御システム。
【請求項4】
前記余力判定部は、前記電力供出計画に応じた必要電力量と、前記蓄電装置が充放電可能な電力量とを比較することで、前記蓄電装置に余力が確保されているか否かを判定する
請求項1の制御システム。
【請求項5】
前記必要電力量は、調整力として前記連系点に供出される電力の最大値または最小値に応じた電力である
請求項4の制御システム。
【請求項6】
前記必要電力量は、さらに、前記電力計画または前記稼働計画に応じて前記連系点または前記リソースと前記蓄電装置との間で授受される電力を、前記最大値または最小値に加算または減算した電力である
請求項5の制御システム。
【請求項7】
前記必要電力量は、さらに、前記蓄電装置に対して前記リソースから融通可能な電力の最大値または最小値を加算または減算した数値である
請求項4の制御システム。
【請求項8】
前記必要電力量は、
複数の時間帯のうち調整力を供出する予定の1以上の第1時間帯については、当該調整力の約定情報に応じた必要電力を、
前記複数の時間帯のうち前記1以上の第1時間帯以外の1以上の第2時間帯については、前記稼働計画および前記電力計画に応じた控除電力を、
現在時刻よりも後の時点から当該現在時刻まで時間的に遡及しながら積算した電力量である
請求項4の制御システム。
【請求項9】
前記控除電力は、前記蓄電装置が充放電可能な電力の最大値または最小値に応じた数値である
請求項8の制御システム。
【請求項10】
前記控除電力は、前記蓄電装置に充放電させる計画における電力に応じた数値である
請求項8の制御システム。
【請求項11】
前記控除電力は、さらに、前記蓄電装置に対して前記リソースから融通可能な電力の最大値または最小値に応じた数値である
請求項8の制御システム。
【請求項12】
前記蓄電装置に対して前記リソースから融通可能な電力の最大値または最小値は、調整力の制御範囲の上限値または下限値を、前記蓄電装置および前記リソースを含むシステムの全体で出力すると仮定した場合における、前記リソースの動作範囲の上限値以下かつ下限値以上である
請求項7または請求項11の制御システム。
【請求項13】
電力系統との間で電力を授受する蓄電装置と、
前記電力系統および前記蓄電装置との間で電力を授受するリソースと、
前記蓄電装置および前記リソースを制御する制御システムとを具備し、
前記制御システムは、
稼働計画に応じて前記リソースが稼働し、かつ、前記電力系統の連系点における電力が電力計画による要求電力に維持されるように、前記蓄電装置および前記リソースの電力を調整する電力制御部と、
電力供出計画と前記蓄電装置の充電量とに応じて前記蓄電装置に余力が確保されているか否かを判定する余力判定部とを具備し、
前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記リソースの稼働を制限する
電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力系統との間で電力を授受する設備を制御する技術に関する
【背景技術】
【0002】
例えば蓄電装置または再生可能エネルギー発電装置等の各種のリソースの調整により、電力系統における連系点の電力を制御する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、連系点の電力が目標値に追従するように、水素製造装置に対する電力供給と、風力発電装置による発電と、蓄電装置から電力系統への電力供給とを管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-225273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
迅速な応動が要求される調整力の提供のために充分な容量が蓄電装置に確保された状態でも、水素製造装置に対する電力供給等、連系点電力の調整以外の目的にも蓄電装置の電力が利用される環境では、蓄電装置に確保されていた電力量が不足する可能性がある。蓄電装置の電力量が不足した場合、調整力の指令に応動できない可能性がある。他方、調整力の提供が想定される時間帯において、連系点電力の調整以外の目的による蓄電装置の使用を完全に停止した場合には、水素製造装置等のリソースの稼働効率または蓄電装置の利用率が低下し、経済的な損失が発生するという課題がある。以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、電力系統における連系点の電力を要求電力に維持しながら、蓄電装置およびリソースを効率的に利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る制御システムは、電力系統との間で電力を授受する蓄電装置と、前記電力系統および前記蓄電装置との間で電力を授受するリソースとを制御するシステムであって、稼働計画に応じて前記リソースが稼働し、かつ、前記電力系統の連系点における電力が電力計画による要求電力に維持されるように、前記蓄電装置および前記リソースの電力を調整する電力制御部と、電力供出計画と前記蓄電装置の充電量とに応じて前記蓄電装置に余力が確保されているか否かを判定する余力判定部とを具備し、前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記リソースの稼働を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】電力管理システムの構成を例示するブロック図である。
図2】制御システムの構成を例示するブロック図である。
図3】制御システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
図4】余力判定部の具体的な構成を例示するブロック図である。
図5】電力供出計画の模式図である。
図6】電力量算定部が必要電力量を算定する方法の説明図である。
図7】第2実施形態の電力量算定部が上げ調整力の必要電力量を算定する処理の説明図である。
図8】変形例aの電力量算定部が上げ調整力の必要電力量を算定する処理の説明図である。
図9】第3実施形態の電力量算定部が上げ調整力の必要電力量を算定する処理の説明図である。
図10】第4実施形態の電力量算定部が上げ調整力の必要電力量を算定する処理の説明図である。
図11】第4実施形態の電力量算定部が必要電力量Eを算定する方法の説明図である。
図12】数式(5)および数式(6)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する形態は、本開示を実施する場合に想定される例示的な一形態である。したがって、本開示の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
【0008】
A:第1実施形態
図1は、第1実施形態における電力管理システム100のブロック図である。第1実施形態の電力管理システム100は、電力系統10との間で電力(交流電力)を授受するシステムである。電力系統10は、例えば、火力発電所または原子力発電所等の発電設備(図示略)により生成された電力を、事業設備または一般家庭等の需要家に供給するための配電系統である。
【0009】
図1に例示される通り、電力管理システム100は、蓄電装置21とリソース22と制御システム30とを具備する。制御システム30は、例えば専用線等の通信網(図示略)を介して蓄電装置21およびリソース22の各々と相互に通信可能である。
【0010】
蓄電装置21およびリソース22は、電力系統10との間で電力を授受する電力装置であり、連系点11において電力系統10に接続される。電力装置は、電力系統10に対する電力の供給と、電力系統10から供給される電力の消費との一方または双方を実行する設備である。なお、以下の説明においては、電力系統10から連系点11を介して蓄電装置21またはリソース22に向かう電力を便宜的に正数で表現する。
【0011】
蓄電装置21は、電力系統10およびリソース22との間で電力を授受する。具体的には、蓄電装置21は、電力系統10またはリソース22に対する電力の放電と、電力系統10またはリソース22からの電力の充電とを実行可能である。蓄電装置21は、蓄電池211と制御機器212とを具備する。蓄電池211は、充電および充電が可能な系統用蓄電池である。制御機器212は、蓄電池211の放電および充電を制御するPCS(Power Conditioning System)である。具体的には、制御機器212は、制御システム30から供給される電力指令値Xに応じて蓄電池211の充放電を制御する。
【0012】
リソース22は、電力系統10および蓄電装置21との間で電力を授受する。具体的には、リソース22は、電力系統10または蓄電装置21に対する電力の供給と電力系統10または蓄電装置21からの電力の消費とを実行可能である。リソース22は、例えば、水素製造装置、燃料電池または発電設備(例えば再生可能エネルギー発電装置)である。またリソース22は、例えば工場等の熱負荷でもよい。リソース22は、制御システム30から供給される電力指令値Yに応じて動作する。具体的には、リソース22は、電力指令値Yに応じた電力を連系点11との間で授受する。
【0013】
制御システム30は、蓄電装置21およびリソース22を制御するコンピュータシステムである。具体的には、制御システム30は、電力指令値Xを蓄電装置21に送信し、電力指令値Yをリソース22に送信する。電力指令値Xおよび電力指令値Yは、電力(kW)の数値であり、所定の周期で制御システム30から送信される。制御システム30による制御のもとで蓄電装置21およびリソース22が動作する結果、電力系統10のうち連系点11における電力(以下「連系点電力」という)は変化する。概略的には、制御システム30は、連系点電力が目標値(要求電力Z)に維持されるように蓄電装置21およびリソース22を制御する。
【0014】
図2は、制御システム30の構成を例示するブロック図である。図2に例示される通り、制御システム30は、制御装置31と記憶装置32と通信装置33とを具備する。なお、制御システム30は、単体の装置により実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置でも実現される。また、制御システム30の機能の一部または全部は、蓄電装置21またはリソース22に搭載されてもよい。
【0015】
制御装置31は、制御システム30の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。具体的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置31が構成される。
【0016】
記憶装置32は、制御装置31が実行するプログラムと制御装置31が使用するデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置32は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体で構成される。複数種の記録媒体の組合せにより記憶装置32が構成されてもよい。制御システム30に対して着脱される可搬型の記録媒体が、記憶装置32として利用されてもよい。
【0017】
通信装置33は、外部装置との間で有線または無線により通信する。具体的には、通信装置33は、蓄電装置21およびリソース22の各々と通信する。例えば、通信装置33は、電力指令値Xを蓄電装置21に送信し、電力指令値Yをリソース22に送信する。なお、制御システム30とは別体の通信装置33が、制御システム30に有線または無線により接続されてもよい。
【0018】
また、通信装置33は、蓄電装置21から充電情報Cを受信する。充電情報Cは、蓄電装置21による充電または放電の状態を表すフィードバック情報である。具体的には、充電情報Cは、例えば蓄電装置21の充電状態を表すSOC(State Of Charge)である。
【0019】
通信装置33は、リソース22から実績情報Fを受信する。実績情報Fは、リソース22による電力の授受の実績を表すフィードバック情報である。具体的には、実績情報Fは、例えばリソース22の稼働により実際に消費された電力を表す。
【0020】
図3は、制御システム30の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置31は、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行することで、蓄電装置21およびリソース22を制御するための複数の機能(電力制御部40および余力判定部50)を実現する。
【0021】
電力制御部40は、蓄電装置21およびリソース22の電力を制御する。具体的には、電力制御部40は、事前に設定された稼働計画Uに応じてリソース22が稼働し、かつ、連系点電力が要求電力Zに維持されるように、蓄電装置21およびリソース22の電力を調整する。第1実施形態の電力制御部40は、蓄電装置21に対する電力指令値Xの送信により蓄電装置21の電力を調整し、リソース22に対する電力指令値Yの送信によりリソース22の電力を調整する。
【0022】
余力判定部50は、蓄電装置21に余力が確保されているか否かを判定する。蓄電装置21の余力とは、電力授受の指令に蓄電装置21が対応可能な余地である。例えば、蓄電装置21から電力系統10に対する電力の供給(上げ調整力)に着目すると、蓄電装置21に充電された電力量または蓄電装置21が放電可能な電力量が、蓄電装置21の余力である。したがって、蓄電装置21の充電により余力が確保される。他方、電力系統10から蓄電装置21に対する電力の供給(下げ調整力)に着目すると、蓄電装置21が充電可能な空き容量が、蓄電装置21の余力である。したがって、蓄電装置21の放電により余力が確保される。なお、前述のように受電方向の電力を正数で表現する場合、上げ調整力は、連系点電力を低下させる調整力を意味し、下げ調整力は、連系点電力を上昇させる調整力を意味する。
【0023】
図3に例示される通り、第1実施形態の電力制御部40は、第1演算部41と第2演算部42と補正部43と調整部44とを具備する。
【0024】
第1演算部41は、連系点電力の要求電力Zを算定する。要求電力Zは、連系点11の電力に関する目標値である。第1演算部41は、電力計画Kに応じて要求電力Zを算定する。電力計画Kは、連系点電力計画Kaと連系点電力指令Kbとを含む。連系点電力計画Kaおよび連系点電力指令Kbは、例えば外部の管理システムから通信装置33が受信する。
【0025】
連系点電力計画Kaは、例えば火力発電所または原子力発電所等の発電設備の稼働に応じた連系点電力の基本的な計画である。例えば、卸電力市場において取引される電力量の計画が、連系点電力計画Kaにより指定される。連系点電力指令Kbは、需給調整市場において指令される電力である。例えば一次調整力の供出におけるガバナフリー制御のための指令値が、連系点電力指令Kbにより指定される。
【0026】
第1演算部41は、例えば、連系点電力計画Kaが現在時刻について指定する電力量を現在時刻以降の残り時間により除算した電力を算定し、連系点電力指令Kbにより指定される電力を加算することで、要求電力Zを算定する。
【0027】
第2演算部42は、リソース22の要求電力Rを算定する。具体的には、第2演算部42は、稼働計画Uを達成するためにリソース22が授受すべき電力の瞬時値を要求電力Rとして算定する。具体的には、第2演算部42は、稼働計画Uと実績情報Fとに応じて要求電力Rを算定する。例えば、第2演算部42は、稼働計画Uにより指定された計画値と実績情報Fが表す電力の実績値との差分に応じて稼働計画Uの達成に必要な電力量を算定し、現在時刻から稼働計画Uの達成までの時間により当該電力量を除算することで、要求電力Rを算定する。
【0028】
補正部43は、第2演算部42が算定したリソース22の要求電力Rからリソース22の電力指令値Yを算定する。具体的には、補正部43は、余力判定部50による判定の結果に応じて要求電力Rを補正することで電力指令値Yを算定する。補正部43が算定した電力指令値Yは、通信装置33によりリソース22に送信される。
【0029】
調整部44は、要求電力Zから電力指令値Yを減算することで蓄電装置21の電力指令値Xを生成する。調整部44が生成した電力指令値Xは、通信装置33により蓄電装置21に送信される。蓄電装置21が電力指令値Xに応じて動作し、かつ、リソース22が電力指令値Yに応じて動作する結果、電力系統10の連系点電力は、要求電力Zに維持される。
【0030】
図3に例示される通り、第1実施形態の補正部43は、補正設定部431と補正制御部432と補正処理部433とを含む。補正設定部431は、要求電力Rの補正に利用される補正電力Hを算定する。補正電力Hは、要求電力Rが電力指令値Yとしてリソース22に指示された場合と比較してリソース22の稼働が制限されるように、補正処理部433が要求電力Rを補正するための数値である。補正処理部433は、第2演算部42が算定した要求電力Rを補正電力Hにより補正することで電力指令値Yを算定する。
【0031】
補正制御部432は、余力判定部50による判定の結果に応じて補正処理部433による電力指令値Yの生成を制御する。具体的には、蓄電装置21に余力が確保されていると余力判定部50が判定した場合、補正制御部432は、補正処理部433に対する補正電力Hの指示を実行しない。したがって、補正処理部433は、第2演算部42が算定した要求電力Rを電力指令値Yとして確定する。すなわち、要求電力Rの補正は実行されない。なお、蓄電装置21に余力が確保されていると判定された場合、補正制御部432は、補正電力Hをゼロに設定してもよい。
【0032】
他方、蓄電装置21の余力が確保されていない(すなわち余力が不足している)と余力判定部50が判定した場合、補正制御部432は、補正電力Hを適用した要求電力Rの補正を補正処理部433に指示する。補正処理部433は、補正制御部432からの指示に応じて要求電力Rを補正する。具体的には、補正処理部433は、要求電力Rから補正電力Hを減算することで電力指令値Yを算定する。前述の通り、補正電力Hは、リソース22の稼働が制限されるように要求電力Rを補正するための数値である。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の電力制御部40は、蓄電装置21に余力が確保されていないと余力判定部50が判定した場合に、リソース22の稼働を制限する。
【0033】
補正設定部431による補正電力Hの設定について以下に詳述する。補正電力Hの符号(正負)は、蓄電装置21とリソース22との間で授受される電力が、蓄電装置21の余力の不足を緩和する方向となるように設定される。前述の通り、電力系統10から蓄電装置21またはリソース22に向かう電力を正数で表現すると、蓄電装置21に上げ調整力のための余力を確保する必要がある場合、補正電力Hは負数に設定される。
【0034】
上げ調整力のための余力が蓄電装置21に不足している場合には,リソース22の電力指令値Yが補正電力Hによって減少する。したがって、要求電力Rと電力指令値Yとの差分により算定される蓄電装置21の電力指令値Xは増加する。以上の動作の結果、蓄電装置21の充電量が増加するから、上げ調整力を供出するための蓄電装置21の余力の不足が解消される。同様に、蓄電装置21に下げ調整力のための余力を確保する必要がある場合は,補正電力Hは正数に設定される。補正電力Hの具体的な設定方法としては、例えば以下の態様1および態様2が例示される。
【0035】
[態様1]
補正設定部431は、電力計画Kおよび稼働計画Uに応じて蓄電装置21とリソース22との間で授受される電力を算定し、当該電力が蓄電装置21の余力を減少させる方向である場合のみ、当該余力の減少が0に相殺されるように補正電力Hを設定する。すなわち、電力制御部40は、蓄電装置21に余力が確保されていないと余力判定部50が判定した場合に、蓄電装置21とリソース22との間で授受される電力のうち蓄電装置21の余力を減少させる方向の電力授受を制限する。態様1によれば、蓄電装置21の余力が減少する方向の電力の授受が制限されるから、蓄電装置21の余力が不足する可能性を有効に低減できる。
【0036】
[態様2]
補正設定部431は、リソース22が応動可能な範囲で絶対値が最大となるように補正電力Hを設定する。または、稼働計画Uに対する許容範囲が設定された構成において、補正設定部431は、実際のリソース22の電力が許容範囲を逸脱しない範囲において絶対値が最大となるように補正電力Hを設定する。すなわち、電力制御部40は、蓄電装置21に余力が確保されていないと余力判定部50が判定した場合に、蓄電装置21とリソース22との間で授受される電力、または、蓄電装置21と電力系統10との間で授受される電力を、蓄電装置21の余力が増加する方向に変化させる。態様2によれば、蓄電装置21とリソース22または電力系統10との間で授受される電力が、蓄電装置21の余力が増加する方向に変化するから、蓄電装置21の余力が不足する可能性を有効に低減できる。
【0037】
なお、蓄電装置21において上げ調整力のための余力と下げ調整力のための余力とが同時に不足した場合、電力制御部40は、上げ調整力および下げ調整力の何れかを選択し、当該調整力のための余力が確保されるように動作する。調整力の選択の方法は任意であるが、例えば、連系点電力指令Kbに追従できない場合のペナルティの程度に応じて調整力を選択する構成が想定される。例えば、電力制御部40は、上げ調整力および下げ調整力のうち、連系点電力指令Kbに追従できない場合のペナルティが大きいほうを選択する。
【0038】
なお、電力制御部40は、上げ調整力および下げ調整力のうち、連系点電力指令Kbによる指令値(上げ調整力については逆潮電力値、下げ調整力については順潮電力値)が増加すると予測される調整力を選択してもよい。連系点電力指令Kbによる未来の指令値は、例えば天候や電力市場の状況に応じて予測され、指令値の予測には例えば深層ニューラルネットワーク等の人工知能、またはカルマンフィルタ等の時系列解析が利用される。また、上げ調整力および下げ調整力のうち、調整力の発動が時間的に喫緊な調整力が優先されてもよい。
【0039】
以上に説明した通り、第1実施形態においては、蓄電装置21の余力が確保されていないと判定された場合にリソース22の稼働が制限される。したがって、蓄電装置21の余力の不足が緩和(理想的には解消)され、かつ、連系点電力が要求電力Zから乖離する可能性が低減される。すなわち、連系点電力を要求電力Zに維持しながら、蓄電装置21およびリソース22を効率的に利用できる。
【0040】
他方、蓄電装置21の余力が確保されていると判定された場合には、第2演算部42が算定した要求電力Rがそのままリソース22の電力指令値Yとして確定されるから、稼働計画Uに沿ってリソース22を稼働できる。蓄電装置21の電力指令値Xは連系点11の要求電力Zとリソース22の電力指令値Yとの差分であるから、余力判定部50による判定の結果に関わらず、連系点電力は常に電力計画K(連系点電力計画Kaおよび連系点電力指令Kb)に追従する。以上の通り、第1実施形態によれば、連系点電力を要求電力Zに追従させながら、調整力の応動に必要な余力を蓄電装置21に確保し、かつ、稼働計画Uに沿ってリソース22を稼働することが可能である。
【0041】
図4は、余力判定部50の具体的な構成を例示するブロック図である。図4に例示される通り、余力判定部50は、電力量算定部51と蓄電余力算定部52と比較部53とを具備する。
【0042】
電力量算定部51は、電力供出計画Aに応じて必要電力量Eを算定する。必要電力量Eは、現在時刻以降に予定される調整力の供出のために蓄電装置21に必要な電力量(kWh)である。第1実施形態の電力量算定部51は、上げ調整力の必要電力量Euと下げ調整力の必要電力量Edとを算定する。
【0043】
図5は、電力供出計画Aの模式図である。電力供出計画Aは、調整力の供出について約定された計画である。具体的には、図5に例示される通り、電力供出計画Aは、時間軸上の複数の時間帯(以下「コマ」という)の各々について上げ調整力の必要電力Quと下げ調整力の必要電力Qdとが登録されたデータテーブルである。電力供出計画Aは、例えば外部の管理システムから通信装置33が受信する。1個のコマは、例えば30分の期間である。電力量算定部51による必要電力量Eの算定は、1個のコマよりも充分に短い期間(以下「単位期間」という)毎に反復される。なお、以下の説明において、上げ調整力の必要電力Quおよび下げ調整力の必要電力Qdの各々を区別する必要がない場合には、両者を必要電力Qとして包括的に表記する。
【0044】
各コマにおける上げ調整力の必要電力Quは、当該コマにおいて指令され得る上げ調整力の最大値(kW)である。同様に、各コマにおける下げ調整力の必要電力Qdは、当該コマにおいて指令され得る下げ調整力の最小値(kW)である。例えば需給調整市場において取引される調整力を想定すると、ΔkW約定量が必要電力Quおよび必要電力Qdに相当する。以上の説明から理解される通り、必要電力Qは、調整力として連系点11に供出される電力の最大値(上げ調整力)または最小値(下げ調整力)に応じた電力である。
【0045】
図6は、電力量算定部51が必要電力量Eを算定する方法の説明図である。図6においては、上げ調整力に関する必要電力量Euの算定が想定されている。電力量算定部51は、蓄電装置21の余力の有無を判定する対象となる期間(以下「解析期間σ」という)内において時間的に遡及しながら上げ調整力の必要電力Quを積算することで必要電力量Euを算定する。解析期間σは、例えば、現在時刻Tcを基点として後方(未来)の所定数のコマにわたる期間である。具体的には、解析期間σは、図6に例示される通り、現在時刻Tcを始点とし、現在時刻Tcを含むコマ1から後方の第5個目に位置するコマ6の終点までの期間である。電力量算定部51は、解析期間σの終点であるコマ6から現在時刻Tcまで時間軸上を遡及しながら必要電力Quを積算する。
【0046】
例えば図5の電力供出計画Aを想定すると、解析期間σのうちコマ6の必要電力Quは0kWであるから積算値は0に維持される。コマ5の必要電力Quは1000kWであるから、当該必要電力Quに1個のコマの時間長(0.5時間)を乗算した500kWhの電力量が、現在の積算値に加算される。また、コマ3およびコマ2の必要電力Quは5000kWであるから、各コマの電力量は2500kWhである。したがって、コマ3およびコマ2の各々において2500kWh(合計5000kWh)が積算値に加算される。現在時刻Tcを含むコマ1の必要電力Quは0kWであるから、直近の積算値(5500kWh)が維持される。以上の処理の結果、現在時刻Tcにおける必要電力量Euは5500kWhと算定される。
【0047】
なお、現在時刻Tcを含むコマ1の必要電力Quがゼロでない場合には、当該コマのうち現在時刻Tc以降の残り時間を当該必要電力Quに乗算した数値が直近の積算値に加算される。
【0048】
また、以上の説明においては上げ調整力の必要電力量Euに着目したが、下げ調整力の必要電力量Edも同様に算定される。すなわち、電力量算定部51は、現在時刻Tcを基準として所定の個数だけ後方(未来)のコマから現在時刻Tcまで時間的に遡及しながら下げ調整力の必要電力Qd積算することで必要電力量Edを算定する。例えば、図5の状態を想定すると、現在時刻Tcにおける必要電力量Edは3000kWhと算定される。
【0049】
図4の蓄電余力算定部52は、蓄電装置21から受信した充電情報Cに応じて余力電力量Mを算定する。余力電力量Mは、蓄電装置21が調整力として充電または放電可能な電力量(kWh)である。第1実施形態の蓄電余力算定部52は、上げ調整力の余力電力量Muと下げ調整力の余力電力量Mdとを算定する。蓄電余力算定部52による余力電力量Mの算定は、単位期間毎に反復される。各単位期間における余力電力量Mの算定には、当該単位期間の直前の充電情報Cが適用される。
【0050】
例えば、蓄電装置21の合計容量が10000kWhである場合を想定する。充電情報Cが表す充電量が70%である場合、蓄電余力算定部52は、上げ調整力の余力電力量Muを7000kWh(=10000kWh×70%)と算定し、下げ調整力の余力電力量Mdを3000kWh(=10000kWh×(100%-70%))と算定する。
【0051】
なお、蓄電装置21の劣化等に応じて充電情報Cの範囲(充電量の数値範囲)が制限される場合がある。例えば充電情報Cが表す充電量の範囲が10%から90%である場合、充電量が70%ならば、蓄電余力算定部52は、上げ調整力の余力電力量Muを6000kW(=10000kWh×(70%-10%))と算定し、下げ調整力の余力電力量Mdを2000kWh(=10000kWh×(90%-70%))と算定する。
【0052】
なお、余力電力量M(Mu,Md)の算定においては、蓄電装置21の応答性(外部指令に対する充電/放電の速度)の誤差を考慮して、以上の手順で算定された数値から所定量または所定割合のマージンを減算した数値を余力電力量Mとして確定してもよい。
【0053】
図4の比較部53は、電力量算定部51が算定した必要電力量Eと蓄電余力算定部52が算定した余力電力量Mとを比較することで、蓄電装置21に余力が確保されているか否かを判定する。具体的には、比較部53は、上げ調整力および下げ調整力の各々について、蓄電装置21の余力の有無を表す2値信号を生成する。比較部53による判定は、単位期間毎に反復される。
【0054】
第1実施形態の比較部53は、上げ調整力および下げ調整力の各々について蓄電装置21の余力の有無を判定する。具体的には、比較部53は、余力電力量Muが必要電力量Euを上回る場合には上げ調整力の余力が確保されていると判定し、余力電力量Muが必要電力量Euを下回る場合には上げ調整力の余力が確保されていないと判定する。同様に、比較部53は、余力電力量Mdが必要電力量Edを上回る場合には下げ調整力の余力が確保されていると判定し、余力電力量Mdが必要電力量Edを下回る場合には下げ調整力の余力が確保されていないと判定する。上げ調整力および下げ調整力の少なくとも一方について余力が確保されていないと判定された場合、比較部53による判定の結果は否定(余力が確保されていない)となる。
【0055】
例えば、図5の電力供出計画Aを前提として、蓄電装置21の劣化を考慮した前述の状況(Mu=6000kWh,Md=2000kWh)を想定すると、上げ調整力の余力電力量Muは必要電力量Eu(5500kWh)を上回るが、下げ調整力の余力電力量Mdは必要電力量Ed(3000kWh)を下回る。したがって、余力判定部50は、蓄電装置21に余力が確保されていないと判定する。なお、必要電力量Eと余力電力量Mとが相等しい場合、比較部53による判定結果は肯定および否定の何れでもよい。
【0056】
以上の説明から理解される通り、余力判定部50は、電力供出計画Aと蓄電装置21の充電量(充電情報C)とに応じて、蓄電装置21に余力が確保されているか否かを判定する。具体的には、余力判定部50は、電力供出計画Aに応じた必要電力量Eと、蓄電装置21が充放電可能な余力電力量Mとを比較することで、蓄電装置21に余力が確保されているか否かを判定する。以上の構成によれば、蓄電装置21における余力の有無を適切に判定できる。
【0057】
すなわち、余力判定部50は、解析期間σに予定される調整力の供出に必要な余力が蓄電装置21に確保されているか否かを判定する。具体的には、解析期間σにおいて調整力の如何なる指令値が発生した場合でも応動できるだけの余力が蓄電装置21に確保されているか否かが判定される。そして、前述の通り、蓄電装置21の余力が確保されていないと判定された場合にリソース22の稼働が制限される。したがって、解析期間σにおいて調整力の応動に必要な余力が蓄電装置21に確保される。すなわち、蓄電装置21は、調整力の指令値に確実に応動可能な状態となる。また、蓄電装置21に必要な余力が確保されている状態では、稼働計画Uに沿ってリソース22を稼働することが可能である。
【0058】
B:第2実施形態
本開示の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明と同様の符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0059】
第2実施形態においては、電力量算定部51による必要電力量Eの算定が第1実施形態とは相違する。必要電力量Eの算定以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0060】
図7は、第2実施形態の電力量算定部51が上げ調整力の必要電力量Euを算定する処理の説明図である。電力量算定部51は、第1実施形態と同様に、解析期間σ内において時間的に遡及しながら上げ調整力の必要電力Quを積算することで必要電力量Euを算定する。第2実施形態においては、必要電力Quの算定が第1実施形態とは相違する。
【0061】
図7に例示される通り、時間軸上の複数のコマの各々について供出電力Gaと連系点計画電力Gbと稼働計画電力Gcとが設定される。供出電力Gaは、第1実施形態における上げ調整力の必要電力Quに相当する。すなわち、各コマの供出電力Gaは、当該コマにおいて指令され得る上げ調整力の最大値(kW)であり、前述の電力供出計画Aにより指定される。
【0062】
連系点計画電力Gbは、電力計画Kに応じて電力管理システム100が連系点11との間で授受する電力である。すなわち、連系点計画電力Gbは、蓄電装置21に充放電させる計画(電力計画K)において指定された電力である。連系点計画電力Gbは、電力管理システム100が連系点11から受電する方向を正方向として設定される。具体的には、連系点計画電力Gbは、例えば電力計画Kに応じて算定されるコマ毎の電力量を、当該コマのうち現在時刻Tcからの残り時間により除算することで算定される。なお、卸電力市場において30分のコマ毎に約定している電力量を2倍(すなわち1時間分)した数値が、連系点計画電力Gbとして設定されてもよい。
【0063】
他方、稼働計画電力Gcは、稼働計画Uに応じてリソース22が授受する電力である。稼働計画電力Gcは、リソース22が受電する方向を正方向として設定される。例えば、稼働計画Uの達成に必要なコマ毎の電力量を、当該コマのうち現在時刻Tcからの残り時間により除算することで算定される。
【0064】
稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)は、蓄電装置21が授受(充電または放電)可能な電力に相当する。差分(Gc-Gb)は、蓄電装置21の放電の方向を正方向として設定される。電力量算定部51は、複数のコマの各々について、稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)を当該コマの供出電力Gaに加算することで、必要電力Quを算定する(Qu=Ga+(Gc-Gb))。
【0065】
例えば、図7のコマ3においては、電力管理システム100が2000kWの連系点計画電力Gbを受電し、かつ、リソース22が1000kWの稼働計画電力Gcを受電する。したがって、稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)は-1000kWである。すなわち、蓄電装置21が供出すべき上げ調整力である供出電力Ga(=5000kW)のうちの1000kWは、稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)により負担可能である。したがって、蓄電装置21が実際に供出すべき最終的な必要電力Quは、供出電力Ga(5000kW)に差分(Gc-Gb)を加算した4000kWに設定される。
【0066】
以上に例示した状況において、蓄電装置21の必要電力Quは供出電力Gaよりも小さい数値に設定される。すなわち、稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)は、蓄電装置21の余力の不足を解消する方向に作用する。そして、必要電力Quが低減される結果、蓄電装置21の必要電力量Euが低減されるから、蓄電装置21の余力が確保されていないと判定される可能性は低下する。すなわち、リソース22の稼働が制限される可能性が低下する。したがって、リソース22の実際の稼働と稼働計画Uとの乖離を低減できる。
【0067】
他方、コマ5においては、電力管理システム100が1000kWの連系点計画電力Gbを受電し、かつ、リソース22が3000kWの稼働計画電力Gcを受電する。したがって、稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)は2000kWである。稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)は、蓄電装置21の放電により負担される必要がある。したがって、蓄電装置21が実際に供出すべき最終的な必要電力Quは、供出電力Ga(1000kW)に差分(Gc-Gb)を加算した3000kWに設定される。すなわち、蓄電装置21の必要電力Quは供出電力Gaよりも大きい数値に設定される。
【0068】
なお、複数のコマのうち供出電力Gaが0kWであるコマにおいては、蓄電装置21が調整力を供出する必要がないことを意味する。したがって、電力量算定部51は、供出電力Gaが0kWであるコマの必要電力Quを、連系点計画電力Gbおよび稼働計画電力Gcに関わらず0kWに設定する。
【0069】
以上の説明においては上げ調整力に着目したが、下げ調整力についても同様の方法により必要電力Qdが算定される。なお、下げ調整力に関する供出電力Gaは、第1実施形態における下げ調整力の必要電力Qdに相当する。すなわち、各コマの供出電力Gaは、当該コマにおいて指令され得る下げ調整力の最小値(kW)である。以上の説明から理解される通り、第2実施形態の必要電力Qは、連系点電力計画Kaまたは稼働計画Uに応じて連系点11またはリソース22と蓄電装置21との間で授受される電力(すなわち差分(Gc-Gb))を、供出電力Gaに加算または減算した電力である。
【0070】
以上に説明した通り、第2実施形態によれば、調整力の供出が要求されるコマの必要電力Qの算定において、蓄電装置21の余力を増加させる方向の電力を授受する計画がある場合に、必要電力Qをさらに低減できる。以上の動作の結果、実際には蓄電装置21に余力が確保されているのに余力が確保されていないと判定される可能性が低下する。したがって、リソース22の実際の稼働と稼働計画Uとの乖離を低減できる。
【0071】
[変形例a]
以上に説明した第2実施形態を変形した形態(変形例a)について説明する。上げ調整力の必要電力量Euの算定において、稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)は、負数である場合に限定して必要電力Quの算定に適用されてもよい。すなわち、蓄電装置21の充電に利用される電力(負数)のみが必要電力Quの算定に適用される。なお、差分(Gc-Gb)が負数である場合は、稼働計画電力Gcが連系点計画電力Gbを下回る場合である。したがって、変形例aは、稼働計画電力Gcが連系点計画電力Gbを下回る場合に限定して、連系点計画電力Gbおよび稼働計画電力Gcを必要電力Quの算定に適用する形態とも表現される。
【0072】
変形例aによれば、差分(Gc-Gb)が正負に関わらず必要電力Qの算定に適用される形態と比較して必要電力量Eが減少する。したがって、蓄電装置21の余力が確保されていないと判定される可能性が低減され、結果的にリソース22の稼働が制限される可能性が低下する。
【0073】
図8は、変形例aの電力量算定部51が上げ調整力の必要電力量Euを算定する処理の説明図である。供出電力Ga、連系点計画電力Gbおよび稼働計画電力Gcは、図7と同様である。図8の必要電力Quは、コマ5の数値以外は図7と同様である。
【0074】
コマ5は、調整力を供出すべきコマであり(Ga>0)、かつ、稼働計画電力Gcが連系点計画電力Gbを上回る。すなわち、差分(Gc-Gb)は正数である。したがって、必要電力Quの算定に差分(Gc-Gb)は適用されず、供出電力Ga(1000kW)がそのまま必要電力Quとして設定される。
【0075】
コマ5において、連系点計画電力Gbと稼働計画電力Gcとを考慮すると、リソース22は、稼働計画電力Gc(3000kW)のうち1000kWを連系点11から受電し、かつ、残りの2000kWを蓄電装置21から受電する必要がある。リソース22が稼働計画Uに沿って稼働する場合、コマ5における蓄電装置21の必要電力Quは、供出電力Gaに2000kWを加算した3000kWとなる。他方、蓄電装置21の余力が不足していると判定された場合、電力制御部40によりリソース22の電力指令値Yを制限することで、蓄電装置21からリソース22に受電される電力を0にすることができる。以上の動作を想定すれば、蓄電装置21に必要な余力の計算に用いる必要電力Quは、上げ調整力の供出電力Gaである1000kWのみを考慮すればよい。
【0076】
また、同様の理由により、下げ調整力の必要電力量Edの算定において、稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)は、正数である場合に限定して必要電力Qdの算定に適用されてもよい。
【0077】
なお、変形例aにおいては、蓄電装置21から放電される計画の電力(正数)が必要電力Quに反映されないため、稼働計画Uまたは電力計画Kの追従に必要な電力を含めた余力が蓄電装置21に残留しているか否かを判定できない。しかし、蓄電装置21の余力が不足していると判定された場合には、補正部43による電力指令値Yの補正により蓄電装置21による放電が制限されるため、蓄電装置21から放電される計画の電力は実際には授受されなくなる。したがって、蓄電装置21から放電される計画の電力が必要電力量Eの計算に利用される場合、調整力の供出に最低限必要な電力量よりも余分な電力量が蓄電装置21に確保されることになる。そのため、蓄電装置21から放電される計画の電力を上げ調整力の必要電力量Eの計算時に考慮する必要はない。
【0078】
C:第3実施形態
第3実施形態においては、電力量算定部51による必要電力量Eの算定が第1実施形態とは相違する。必要電力量Eの算定以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0079】
図9は、第3実施形態の電力量算定部51が上げ調整力の必要電力量Euを算定する処理の説明図である。電力量算定部51は、第1実施形態と同様に、解析期間σ内において時間的に遡及しながら上げ調整力の必要電力Quを積算することで必要電力量Euを算定する。第3実施形態においては、必要電力Quの算定が第1実施形態とは相違する。
【0080】
第3実施形態における稼働計画Uは、基準となる稼働計画電力Gcに加えて稼働計画電力Gcの最大値Gc_maxおよび最小値Gc_minを指定する。最大値Gc_maxは、稼働計画Uのもとでリソース22が受電可能な電力の最大値であり、最小値Gc_minは、稼働計画Uのもとでリソース22が最低限必要な電力である。なお、リソース22が逆潮(すなわち送電)可能な場合には、逆潮電力の最大値に-1を乗算した数値が最小値Gc_minとされる。
【0081】
最大値Gc_maxおよび最小値Gc_minは、例えばリソース22の設備的な制約によるkW容量またはkWh容量である。また、稼働計画Uが指定する稼働計画電力Gcを含む許容範囲の上限値を最大値Gc_maxとし、当該許容範囲のを最小値Gc_minとしてもよい。
【0082】
図9に例示される通り、第3実施形態においては、第2実施形態におけるリソース22の稼働計画電力Gcが、稼働計画電力Gcの最小値Gc_minに置換される。電力量算定部51は、複数のコマの各々について、稼働計画電力Gcの最小値Gc_minと連系点計画電力Gbとの差分(Gc_min-Gb)を当該コマの供出電力Gaに加算することで、必要電力Quを算定する(Qu=Ga+(Gc_min-Gb))。すなわち、電力量算定部51は、供出電力Gaに最小値Gc_minを加算し、さらに連系点計画電力Gbを減算することで上げ調整力の必要電力Quを算定する。
【0083】
以上の説明においては上げ調整力の必要電力Quに着目したが、下げ調整力の必要電力Qdの算定には、稼働計画電力Gcの最大値Gc_maxが適用される。すなわち、電力量算定部51は、複数のコマの各々について、稼働計画電力Gcの最大値Gc_maxと連系点計画電力Gbとの差分(Gc_max-Gb)を当該コマの供出電力Gaに加算することで、必要電力Qdを算定する(Qd=Ga+(Gc_max-Gb))。すなわち、電力量算定部51は、供出電力Gaに最大値Gc_maxを加算し、さらに連系点計画電力Gbを減算することで下げ調整力の必要電力Qdを算定する
【0084】
以上の説明から理解される通り、第3実施形態の必要電力Qは、蓄電装置21に対してリソース22から融通可能な電力の最大値Gc_maxまたは最小値Gc_minを加算または減算した数値である。
【0085】
第3実施形態における蓄電装置21の必要電力量Eには、供出電力Gaと連系点計画電力Gbとに加えて、リソース22が調整可能な電力(Gc_min,Gc_max)が加味される。第3実施形態における上げ調整力の必要電力量Euは、第2実施形態の必要電力量Euと比較して、稼働計画Uから外れてリソース22が融通可能な電力分だけ小さい数値となる。必要電力量Euが減少する結果、蓄電装置21の余力が確保されていないと判定される可能性が低下する。したがって、リソース22の実際の稼働と稼働計画Uとの乖離を低減できる。
【0086】
他方、リソース22の稼働計画Uによっては、電力量算定部51が算定した必要電力量Eよりも大きな余力が蓄電装置21に必要になる場合がある。しかし、蓄電装置21の余力が不足していると判定された場合には、補正部43による電力指令値Yの補正により蓄電装置21の放電が制限される。すなわち、リソース22が授受する電力は、稼働計画Uにより指定された数値(稼働計画電力Gc)ではなく、リソース22が調整可能な範囲で蓄電装置21の余力を増加させる方向の電力となる。したがって、稼働計画Uに指定された稼働計画電力Gcを上げ調整力の必要電力量Euの算定に加味する必要はない。なお、第3実施形態における補正設定部431は、リソース22の電力指令値Yと、必要電力量Eの算定に適用されたリソース22の電力(Gc_min,Gc_max)とが一致するように、補正電力Hを設定することが望ましい。
【0087】
D:第4実施形態
第4実施形態においては、電力量算定部51による必要電力量Eの算定が第1実施形態とは相違する。必要電力量Eの算定以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第4実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0088】
図10は、第4実施形態の電力量算定部51が上げ調整力の必要電力量Euを算定する処理の説明図である。電力量算定部51は、第1実施形態と同様に、解析期間σ内において時間的に遡及しながら上げ調整力の必要電力Quを積算することで必要電力量Euを算定する。第4実施形態においては、必要電力量Euの算定において必要電力Quのほかに控除電力Duを積算する点が第1実施形態と相違する。
【0089】
図10に例示される通り、第4実施形態においては第2実施形態と同様に、時間軸上の複数のコマの各々について、供出電力Gaと連系点計画電力Gbと稼働計画電力Gcとが設定される。また、電力量算定部51は、複数のコマの各々について、必要電力Quと控除電力Duとを算定する。必要電力Quの算定の方法は第2実施形態と同様である。すなわち、電力量算定部51は、稼働計画電力Gcと連系点計画電力Gbとの差分(Gc-Gb)を供出電力Gaに加算することで、必要電力Quを算定する。
【0090】
控除電力Duは、複数のコマのうち蓄電装置21が上げ調整力を供出しない予定のコマ(以下「非供出コマ」という)において必要電力量Eから控除されるべき電力である。電力量算定部51は、複数のコマのうち上げ調整力を供出する予定の各コマ(以下「供出コマ」という)の控除電力Duを0kWに設定する。また、電力量算定部51は、複数のコマのうち供出コマ以外の各非供出コマについては、連系点計画電力Gbと稼働計画電力Gcとの差分(Gb-Gc)を控除電力Duとして算定する(Du=Gb-Gc)。供出コマは、複数のコマのうち供出電力Gaが正数(Ga>0)であるコマであり、非供出コマは、複数のコマのうち供出電力Gaが0であるコマである。供出コマは「第1時間帯」の一例であり、非供出コマは「第2時間帯」の一例である。
【0091】
なお、リソース22が受電できる電力の最大値または最小値と蓄電装置21が充放電可能な電力の最大値との和が、連系点11で授受できる電力の最大値または最小値を超過する場合、電力量算定部51は、連系点11で授受できる電力の最大値または最小値と、リソース22が受電できる電力の最大値または最小値との差を、控除電力Duとして設定してもよい。
【0092】
図11は、電力量算定部51が必要電力量Eを算定する方法の説明図である。第4実施形態の電力量算定部51は、必要電力Quまたは控除電力Duを、解析期間σ内において時間的に遡及しながら積算することで、必要電力量Euを算定する。具体的には、電力量算定部51は、複数のコマのうち各供出コマについては必要電力Quを、複数のコマのうち各非供出コマについては控除電力Duを、解析期間σ内において時間的に遡及しながら積算することで、必要電力量Euを算定する。各非供出コマについては、控除電力Duに-1を乗算した数値が積算される。
【0093】
例えば、図11に例示される通り、コマ6は、控除電力Duが-2000kWに設定された非供出コマである。したがって、必要電力量Euの算定の過程において、コマ6については2000kWが積算される。他方、コマ5は、必要電力Quが2000kWに設定された供出コマである。したがって、コマ5については2000kWが積算される。コマ4は、控除電力Duが1000kWに設定された非供出コマである。したがって、コマ4については-1000kWが積算される。以上の手順により現在時刻Tcまで必要電力Quまたは控除電力Duを積算することで、必要電力量Euが算定される。
【0094】
なお、以上の説明では上げ調整力に着目したが、下げ調整力の必要電力量Edについても同様の手順で算定される。具体的には、電力量算定部51は、各非供出コマについて下げ調整力の控除電力Ddを算定する。具体的には、上げ調整力の控除電力Duの符号を反転した数値が、下げ調整力の控除電力Ddとして算定される。電力量算定部51は、各供出コマについては下げ調整力の必要電力Qdを、各非供出コマについては控除電力Ddを、解析期間σ内において時間的に遡及しながら積算することで、必要電力量Edを算定する。
【0095】
以上の説明の通り、第4実施形態における必要電力量Eは、複数のコマのうち調整力を供出する予定の1以上の供出コマについては必要電力Qを、複数のコマのうち1以上の供出コマ以外の非供出コマについては、稼働計画U(稼働計画電力Gc)および電力計画K(連系点計画電力Gb)に応じた控除電力Dを、解析期間σ内において現在時刻Tcまで時間的に遡及しながら積算した電力量である。そして、控除電力D(Du,Dd)は、連系点計画電力Gbと稼働計画電力Gcとに応じて設定される。すなわち、控除電力Duは、蓄電装置21に充放電させる電力計画Kにおける電力(連系点計画電力Gb)と、蓄電装置21にリソース22から融通可能な電力(稼働計画電力Gc)とに応じた数値に設定される。
【0096】
第4実施形態においては、調整力の応動が要求される各供出コマの必要電力Qのほか、供出コマ以外の各非供出コマにおいて蓄電装置21が電力を授受する計画を考慮して必要電力量が控除される。したがって、蓄電装置21における余力の有無をより正確に判定できる。
【0097】
具体的には、調整力を供出しない非供出コマにおいて電力計画Kおよび稼働計画Uに追従するために必要な電力量(すなわち控除電力D)が、必要電力量Eに加味される。したがって、電力計画Kおよび稼働計画Uによる蓄電装置21の余力の消費を考慮して、蓄電装置21における余力の有無を判定できる。また、電力計画Kおよび稼働計画Uにより蓄電装置21の余力不足が低減される状況では、余力不足の低減を加味して蓄電装置21の余力の有無が判定される。すなわち、実際には蓄電装置21の余力が充分であるのに余力が確保されていないと判定される可能性が低下する。したがって、リソース22の実際の稼働と稼働計画Uとの乖離を低減できる。
【0098】
[変形例b]
以上に説明した第4実施形態を変形した形態(変形例b)について説明する。控除電力Dは、負数となった場合(Gc<Gb)に0に設定されてもよい。変形例bによれば、正数の控除電力Dのみが必要電力量Eの算定に加味されるから、控除電力Dの正負を区別しない構成と比較して必要電力量Eが減少する。したがって、電装置の余力が確保されていないと判定される可能性が低減され、結果的にリソース22の稼働が制限される可能性が低下する。
【0099】
なお、変形例bにおいては、控除電力Dが負数となる非供出コマについて電力計画Kおよび稼働計画Uが必要電力量Eに反映されないから、電力計画Kまたは稼働計画Uの追従に必要な電力を含めた余力が蓄電装置21に残留しているか否かを判定できない。しかし、蓄電装置21の余力が不足していると判定された場合には、補正部43による電力指令値Yの補正により蓄電装置21による放電が制限されるため、負数の控除電力Dは実際には授受されなくなる。すなわち、負数の控除電力Dも必要電力量Eの算定に利用される場合、調整力の供出に最低限必要な電力量よりも余分な電力量が蓄電装置21に確保される。したがって、第4実施形態の例示の通り、負数の控除電力Dを必要電力量Eの算定時に考慮する必要はない。
【0100】
[変形例c]
第4実施形態において、第3実施形態の構成が採用されてもよい。すなわち、図10における稼働計画電力Gcは、稼働計画電力Gcの最大値Gc_maxまたは最小値Gc_minに置換されてもよい。すなわち、変形例cにおける控除電力Dは、蓄電装置21に対してリソース22から融通可能な電力の最大値Gc_maxまたは最小値Gc_minに応じた数値である。具体的には、上げ調整力の控除電力Duの算定には、リソース22が受電できる電力の最小値Gc_minが適用される。また、下げ調整力の控除電力Ddの算定には、リソース22が受電できる電力の最大値Gc_maxが適用される。
【0101】
変形例cによれば、蓄電装置21とリソース22との間で蓄電装置21の余力を増加する方向の電力を授受可能である場合に、当該電力を必要電力Qから控除することで必要電力量Eがさらに減少する。以上の動作の結果、第3実施形態と同様に、実際には蓄電装置21に余力が確保されているのに余力が確保されていないと判定される可能性が低下するから、リソース22の実際の稼働と稼働計画Uとの乖離を低減できる。
【0102】
[変形例d]
控除電力Dは、蓄電装置21が充放電可能な電力の最大値に応じて設定されてもよい。例えば、蓄電装置21が充放電可能な電力の最大値が控除電力Dとして設定される。具体的には、電力量算定部51は、上げ調整力の控除電力Dを、蓄電装置21が充電可能な電力の最大値に設定する。また、電力量算定部51は、下げ調整力の控除電力Dを、蓄電装置21が放電できる電力の最大値に設定する。
【0103】
変形例dによれば、調整力を供出しないコマでは蓄電装置21が連系点11との間で自由に電力を授受できる運用において、蓄電装置21の余力が不足した場合に余力が確保されるように蓄電装置21を最大出力で充放電させることを想定して、蓄電装置21に最低限必要な電力量を必要電力量Eとすることができる。
【0104】
E:第5実施形態
第5実施形態においては、電力量算定部51による必要電力量Eの算定が第1実施形態とは相違する。必要電力量Eの算定以外の構成および動作は第1実施形態と同様である。したがって、第5実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0105】
第5実施形態の電力量算定部51は、各供出コマにおいてリソース22が蓄電装置21に供給可能な電力の最大値Pmaxおよび最小値Pminに応じて必要電力Qおよび控除電力Dを算定する。具体的には、電力量算定部51は、以下の数式(1)から数式(4)の演算により、上げ調整力の必要電力Quおよび控除電力Duと、下げ調整力の必要電力Qdおよび控除電力Ddとを算定する。
【0106】
【数1】
【0107】
数式(1)から数式(4)の各記号の意味は以下の通りである。
Pref:電力計画Kに応じた1個のコマの平均受電電力[kW]
Pu:上げ調整力における逆潮方向の電力の最大値[kW]
Pd:下げ調整力における順潮方向の電力の最大値[kW]
【0108】
上げ調整力の最大値Puは、上げ調整力に関する供出電力Gaの最大値に相当し、下げ調整力の最大値Pdは、下げ調整力に関する供出電力Gaの最大値に相当する。また、平均受電電力Prefは、前述の連系点計画電力Gbに相当する。したがって、数式(1)および数式(3)は、稼働計画電力Gc(Pmin,Pmax)と連系点計画電力Gb(Pref)との差分を供出電力Ga(Pu,Pd)に加算することで必要電力Q(Qu,Qd)を算定する演算に相当し、数式(2)および数式(4)は、連系点計画電力Gb(Pref)から稼働計画電力Gc(Pmin,Pmax)を減算することで控除電力D(Du,Dd)を算定する演算に相当する。
【0109】
電力量算定部51は、数式(1)および数式(2)の最小値Pminを以下の数式(5)により算定し、数式(3)および数式(4)の最大値Pmaxを以下の数式(6)により算定する。第5実施形態においては、第3実施形態または第4実施形態における最小値Gc_minが数式(5)の最小値Pminに置換され、第3実施形態または第4実施形態における最大値Gc_maxが数式(6)の最大値Pmaxに置換される。
【数2】
【0110】
数式(5)および数式(6)の各記号の意味は以下の通りである。
Pr_min:受電方向を正方向とした場合のリソース22の電力の最小値[kW]
Pr_max:受電方向を正方向とした場合のリソース22の電力の最大値[kW]
PB:蓄電装置21の容量[kW]
【0111】
なお、最小値Pr_minは、例えばリソース22の設備性能による出力範囲の下限値であり、最大値Pr_maxは、当該出力範囲の上限値である。なお、最小値Pr_minは、リソース22の運用条件のもとで調整可能な出力範囲の下限値でもよく、最大値Pr_maxは、当該出力範囲の上限値でもよい。
【0112】
図12は、数式(5)および数式(6)の説明図である。図12には、調整力の制御範囲αの上限値Lmaxが図示されている。上限値Lmaxは、平均受電電力Prefに下げ調整力の最大値Pdを加算した数値である(Lmax=Pref+Pd)。
【0113】
また、図12には、リソース22の動作範囲の最小出力Ominが図示されている。蓄電装置21が充電可能な電力の最大値PBと最小出力Ominとの加算値(PB+Omin)が、下げ調整力の指令に応動可能な最大の範囲である。すなわち、下げ調整力の最大値Pdの指令に応動するためには、加算値(PB+Omin)が上限値Lmax以上である必要がある。いま、加算値(PB+Omin)と上限値Lmaxとが相等しい場合の最小出力Ominは、(-PB+Pref+Pd)である。すなわち、電力(-PB+Pref+Pd)は、下げ調整力の最大値Pdの指令に応動するためにリソース22に要求される最低限の電力である。
【0114】
以上の事情を考慮して、第5実施形態の電力量算定部51は、前述の数式(5)の通り、リソース22の電力の最小値Pr_minと電力(-PB+Pref+Pd)とのうちの大きい方を、蓄電装置21にリソース22が供給可能な電力の最小値Pminとして設定する。したがって、下げ調整力の最大値Pdの指令に応動することが可能である。
【0115】
図12には、調整力の制御範囲αの下限値Lminも図示されている。下限値Lminは、平均受電電力Prefから上げ調整力の最大値Puを減算した数値である(Lmin=Pref-Pu)。
【0116】
また、図12には、リソース22の動作範囲の最大出力Omaxが図示されている。蓄電装置21が放電可能な電力の最大値PBを最大出力Omaxから減算した数値(Omax-PB)が、上げ調整力の指令に応動可能な最小の範囲である。すなわち、上げ調整力の最大値Puの指令に応動するためには、減算値(Omax-PB)が下限値Lmin以下である必要がある。いま、減算値(Omax-PB)と下限値Lminとが相等しい場合の最大出力Omaxは、(PB+Pref-Pu)である。すなわち、電力(PB+Pref-Pu)は、上げ調整力の最大値Puの指令に応動するためにリソース22に要求される最大限の電力である。
【0117】
以上の事情を考慮して、第5実施形態の電力量算定部51は、前述の数式(6)の通り、リソース22の電力の最大値Pr_maxと電力(PB+Pref-Pu)とのうちの小さい方を、蓄電装置21にリソース22が供給可能な電力の最大値Pmaxとして設定する。したがって、上げ調整力の最大値Puの指令に応動することが可能である。
【0118】
以上に説明した通り、第5実施形態において、蓄電装置21にリソース22から融通可能な電力の最大値Pmaxまたは最小値Pminは、調整力の制御範囲αの上限値Lmaxまたは下限値Lminを、蓄電装置21およびリソース22を含むシステムの全体で出力すると仮定した場合における、リソース22の動作範囲の上限値以下かつ下限値以上である。
【0119】
第5実施形態においては、蓄電装置21に必要な余力が確保されるようにリソース22を最大限に利用する場合を想定した必要電力量E(Eu,Ed)が算定される。したがって、蓄電装置21の余力がより確実に確保され、結果的にリソース22の実際の稼働と稼働計画Uとの乖離を低減できる。
【0120】
F:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0121】
(1)前述の各形態においては、解析期間σ内の各コマの必要電力Q(Qu,Qd)を積算することで必要電力量E(Eu,Ed)を算定したが、必要電力量Eの算定の方法は、以上の例示に限定されない。
【0122】
例えば、電力量算定部51は、解析期間σ内の各コマの必要電力Q(Qu,Qd)を制限範囲内において積算してもよい。制限範囲は、上限値と下限値との間の範囲である。電力量算定部51は、必要電力量Eの算定の過程における積算値が上限値を上回る場合には当該上限値を積算値として設定し、積算値が下限値を下回る場合には当該下限値を積算値として設定する。なお、上限値および下限値の一方の制限のみを設定してもよい。蓄電装置21が充放電可能なkWh容量の範囲を許容範囲として積算値の上限値および下限値が設定されてもよい。以上の説明の通り、本開示における「積算」には、複数の数値を単純に加算する処理だけでなく、制限範囲内の数値に制限する等の各種の条件のもとで複数の数値を加算する処理も包含される。
【0123】
なお、制限範囲の下限値は例えば0に設定される。すなわち、必要電力Qの積算値は非負の範囲に制限されてもよい。必要電力Qの積算値が負数となり得る形態においては、実際には蓄電装置21に充分な余力が確保されていない状況にも関わらず、必要電力量Eが小さい数値に設定され、結果的に蓄電装置21の余力が確保されていると判定される可能性がある。必要電力Qの積算値が非負の範囲に制限される形態によれば、以上の状況を回避できる。
【0124】
(2)第2実施形態から第4実施形態において、現在時刻Tcよりも一定時間以上未来のコマの必要電力Qを算定する場合、連系点計画電力Gbは、調整力の供出中に当該調整力とは別に連系点11にて授受できる電力の最大値に設定されてもよい。例えば、上げ調整力については、調整力の供出中に調整力とは別に連系点11で受電可能な電力の最大値を、当該調整力の供出電力Gaから減算することで、連系点計画電力Gbが算定される。また、下げ調整力については、調整力の供出中に調整力とは別に連系点11に放電できる電力の最大値を、当該調整力の供出電力Gaから減算することで、連系点計画電力Gbが算定される。
【0125】
以上の構成によれば、調整力を供出している期間に、調整力とは別に連系点11で授受する電力の計画(例えば発電計画や基準値計画等)の変更期限がある場合に、変更が間に合うコマの必要電力Qについて以上の通り補正することで、当該計画の変更を考慮したうえで蓄電装置21に最低限必要な電力量を必要電力量Eとすることができる。
【0126】
(3)解析期間σは以上の例示に限定されない。例えば、卸電力市場において取引単位となる時間帯を解析期間σとしてもよいし、1日を解析期間σとしてもよい。また、直近で予定している調整力の供出期間の終了時までの期間を解析期間σとしてもよいし、連系点電力の計画やリソース22の稼働計画の変更が可能な時間帯までの期間を解析期間σとしてもよい。解析期間σの時間長を所定の条件のもとで動的に変更してもよい。
【0127】
(4)前述の形態に係る制御システム30の機能は、前述の通り、制御装置31を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置32に記憶されたプログラムとの協働により実現される。以上に例示したプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記録媒体が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0128】
G:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0129】
本開示のひとつの態様(態様1)に係る制御システム30は、電力系統との間で電力を授受する蓄電装置と、前記電力系統および前記蓄電装置との間で電力を授受するリソースとを制御するシステムであって、稼働計画に応じて前記リソースが稼働し、かつ、前記電力系統の連系点における電力が電力計画による要求電力に維持されるように、前記蓄電装置および前記リソースの電力を調整する電力制御部と、電力供出計画と前記蓄電装置の充電量とに応じて前記蓄電装置に余力が確保されているか否かを判定する余力判定部とを具備し、前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記リソースの稼働を制限する。以上の態様においては、蓄電装置に余力が確保されていないと判定された場合にリソースの稼働が制限されるから、蓄電装置の余力が過度に不足する事態が抑制され、かつ、連系点の電力が要求電力から乖離する可能性を低減できる。すなわち、連系点の電力を要求電力に維持しながら、蓄電装置およびリソースを効率的に利用できる。
【0130】
態様1の具体例(態様2)において、前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記蓄電装置と前記リソースとの間で授受される電力のうち前記蓄電装置の余力減少させる方向における電力の授受を制限する。以上の態様においては、蓄電装置の余力が減少する方向の電力の授受が制限されるから、蓄電装置の余力が不足する可能性を有効に低減できる。
【0131】
態様1の具体例(態様3)において、前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記蓄電装置と前記リソースとの間で授受される電力、または、前記蓄電装置と前記電力系統との間で授受される電力を、前記蓄電装置の余力が増加する方向に変化させる。以上の態様によれば、蓄電装置とリソースまたは電力系統との間で授受される電力が、蓄電装置の余力が増加する方向に変化するから、蓄電装置の余力が不足する可能性を有効に低減できる。
【0132】
態様1から態様3の何れかの具体例(態様4)において、前記余力判定部は、前記電力供出計画に応じた必要電力量と、前記蓄電装置が充放電可能な電力量とを比較することで、前記蓄電装置に余力が確保されているか否かを判定する。以上の態様によれば、電力供出計画に応じた必要電力量と蓄電装置が充放電可能な電力量とを比較することで、蓄電装置における余力の有無を適切に判定できる。
【0133】
態様4の具体例(態様5)において、前記必要電力量は、調整力として前記連系点に供出される電力の最大値または最小値に応じた電力である。以上の態様によれば、調整力として要求され得る電力の最大値または最小値を時間的に積算することで必要電力量が算定される。したがって、最大値から最小値までの何れの調整力が連系点電力指令により要求された場合でも対応できるように、必要電力量を算定できる。
【0134】
態様4または態様5の具体例(態様6)において、前記必要電力量は、さらに、前記電力計画または前記稼働計画に応じて前記連系点または前記リソースと前記蓄電装置との間で授受される電力を、前記最大値または最小値に加算または減算した電力である。以上の態様によれば、調整力の応動が要求される時間帯の必要電力量の算定において、同時間帯に蓄電装置の余力を増加させる方向の電力を授受する計画がある場合に、必要電力量をさらに低減できる。以上の動作の結果、実際には蓄電装置に余力が確保されているのに余力が確保されていないと判定される可能性が低下するから、リソースの実際の稼働と稼働計画との乖離を低減できる。
【0135】
態様4から態様6の何れかの具体例(態様7)において、前記必要電力量は、さらに、前記蓄電装置に対して前記リソースから融通可能な電力の最大値または最小値を加算または減算した数値である。以上の態様によれば、蓄電装置とリソースとの間で蓄電装置の余力を増加する方向の電力を授受可能である場合に、当該電力を必要電力から控除することで必要電力量がさらに減少する。以上の動作の結果、実際には蓄電装置に余力が確保されているのに余力が確保されていないと判定される可能性が低下するから、リソースの実際の稼働と稼働計画との乖離を低減できる。
【0136】
態様4から態様7の何れかの具体例(態様8)において、前記必要電力量は、複数の時間帯のうち調整力を供出する予定の1以上の第1時間帯については、当該調整力の約定情報に応じた必要電力を、前記複数の時間帯のうち前記1以上の第1時間帯以外の1以上の第2時間帯については、前記稼働計画および前記電力計画に応じた控除電力を、現在時刻よりも後の時点から当該現在時刻まで時間的に遡及しながら積算した電力量である。以上の態様によれば、調整力の応動が要求される各第1時間帯の必要電力のほか、第1時間帯以外の各第2時間帯において蓄電装置が電力を授受する計画を考慮して必要電力量が控除される。したがって、蓄電装置における余力の有無をより正確に判定できる。
【0137】
態様8の具体例(態様9)において、前記控除電力は、前記蓄電装置が充放電可能な電力の最大値または最小値に応じた数値である。以上の態様によれば、調整力に応動する必要がない時間帯では蓄電装置が連系点との間で自由に電力を授受できる運用において、蓄電装置の余力が不足した場合に余力が確保されるように蓄電装置を最大出力で充放電させることを想定して、蓄電装置に最低限必要な電力量を必要電力量とすることができる。
【0138】
態様8または態様9の具体例(態様1)において、前記控除電力は、前記蓄電装置に充放電させる計画における電力に応じた数値である。以上の態様においては、調整力に応動する必要がない時間帯において、蓄電装置の余力を増加する方向の電力の授受が計画されている場合に、当該電力を必要電力から控除することで必要電力量がさらに減少する。以上の動作の結果、実際には蓄電装置に余力が確保されているのに余力が確保されていないと判定される可能性が低下するから、リソースの実際の稼働と稼働計画との乖離を低減できる。
【0139】
態様8から態様10の何れかの具体例(態様11)において、前記控除電力は、さらに、前記蓄電装置に対して前記リソースから融通可能な電力の最大値または最小値に応じた数値である。以上の態様においては、調整力に応動する必要がない時間帯において、蓄電装置とリソースとの間で蓄電装置の余力を解消する方向の電力の授受が可能な場合に、当該電力を時間的に積算した電力量を必要電力量から控除することにより、必要電力量がさらに減少する。以上の動作の結果、実際には蓄電装置に余力が確保されているのに余力が確保されていないと判定される可能性が低下するから、リソースの実際の稼働と稼働計画との乖離を低減できる。
【0140】
態様8または態様11の具体例(態様12)において、前記蓄電装置に対して前記リソースから融通可能な電力の最大値または最小値は、調整力の制御範囲の上限値または下限値を、前記蓄電装置および前記リソースを含むシステムの全体で出力すると仮定した場合における、前記リソースの動作範囲の上限値以下かつ下限値以上である。以上の態様においては、蓄電装置に必要な余力が確保されるようにリソースを最大限に利用する場合を想定した必要電力量を計算できる。したがって、蓄電装置の余力がより確実に確保され、結果的にリソースの実際の稼働と稼働計画との乖離を低減できる。
【0141】
本開示のひとつの態様(態様13)に係る電力管理システムは、電力系統との間で電力を授受する蓄電装置と、前記電力系統および前記蓄電装置との間で電力を授受するリソースと、前記蓄電装置および前記リソースを制御する制御システムとを具備し、前記制御システムは、稼働計画に応じて前記リソースが稼働し、かつ、前記電力系統の連系点における電力が電力計画による要求電力に維持されるように、前記蓄電装置および前記リソースの電力を調整する電力制御部と、電力供出計画と前記蓄電装置の充電量とに応じて前記蓄電装置に余力が確保されているか否かを判定する余力判定部とを具備し、前記電力制御部は、前記蓄電装置に余力が確保されていないと前記余力判定部が判定した場合に、前記リソースの稼働を制限する。
【符号の説明】
【0142】
100…電力管理システム、10…電力系統、11…連系点、21…蓄電装置、211…蓄電池、212…制御機器、22…リソース、31…制御装置、32…記憶装置、33…通信装置、40…電力制御部、41…第1演算部、42…第2演算部、43…補正部、431…補正設定部、432…補正制御部、433…補正処理部、44…調整部、50…余力判定部、51…電力量算定部、52…蓄電余力算定部、53…比較部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12