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特開2024-17455機械式駐車装置と機械式駐車システムとプログラムと機械式駐車装置の入出庫方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017455
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】機械式駐車装置と機械式駐車システムとプログラムと機械式駐車装置の入出庫方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/12 20060101AFI20240201BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E04H6/12 A
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120097
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博美
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢貴
(57)【要約】
【課題】入出庫室に対する車両の入出庫において、車両の利用者の利便性を向上させる。
【解決手段】本発明における機械式駐車装置は、車両Cの入庫と出庫とが行われる入出庫室10を有する機械式駐車装置である。機械式駐車装置は、車両が載置される搬器30と、入出庫室で搬器を旋回させる旋回装置50と、旋回装置の旋回動作を制御する制御装置60と、を有してなる。制御装置は、旋回装置の制御に用いられる旋回情報を受信する受信部61と、受信部が受信した旋回情報に基づいて、旋回動作を制御する制御部62と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入庫と出庫とが行われる入出庫室を有する機械式駐車装置であって、
前記車両が載置される搬器と、
前記入出庫室で前記搬器を旋回させる旋回装置と、
前記旋回装置の旋回動作を制御する制御装置と、
を有してなり、
前記制御装置は、
前記旋回装置の制御に用いられる旋回情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記旋回情報に基づいて、前記旋回動作を制御する制御部と、
を備える、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両が載置された前記搬器が、前記旋回情報により定まる方向に向けられるように前記旋回動作を制御する、
請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記車両の利用者に操作される操作端末から前記旋回情報を受信し、
前記制御装置は、
前記旋回情報を記憶する記憶部、
を備え、
前記制御部は、前記旋回情報に基づいて、前記旋回動作を制御する、
請求項2記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記入出庫室の出入口を開閉する扉、
を有してなり、
前記制御部は、少なくとも前記車両の入庫が行われるとき、または、前記車両の出庫が行われるとき、前記搬器に載置された前記車両の前記入出庫室の内部での前記扉に対する向きに基づいて、前記旋回動作を制御する、
請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記入出庫室に入庫した前記車両が前記搬器に載置された後、前記車両の利用者が降車する前に、前記旋回情報に基づいて、前記利用者が降車するために利用するドアを前記扉に近づけるように、前記旋回動作を制御する、
請求項4記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両が載置された前記搬器が前記入出庫室に搬送されたとき、前記旋回情報に基づいて、前記車両の利用者が前記車両に乗車するために利用するドアを前記扉に近づけるように、前記旋回動作を制御する、
請求項4記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記旋回情報は、
前記入出庫室において、前記車両の利用者が乗車または降車するときに利用するドアのドア位置情報、
を含む、
請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記旋回情報に基づいて、前記旋回動作の有無を制御する、
請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
前記入出庫室の内部の異物を検知する検知センサ、
を有してなり、
前記制御部は、前記検知センサの検知結果に基づいて、前記旋回動作を制御する、
請求項8記載の機械式駐車装置。
【請求項10】
車両の入庫と出庫とが行われる入出庫室を有する機械式駐車装置と、
前記機械式駐車装置に対して、前記機械式駐車装置の動作を指示する動作信号を送信する操作端末と、
を有してなり、
前記機械式駐車装置は、
前記車両が載置される搬器と、
前記入出庫室で前記搬器を旋回させる旋回装置と、
前記旋回装置の旋回動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記旋回装置の制御に用いられる旋回情報を、前記操作端末から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記旋回情報に基づいて、前記旋回を制御する制御部と、
を備える、
機械式駐車システム。
【請求項11】
前記操作端末は、持ち運び可能な携帯端末であり、
前記制御部は、前記車両の利用者が前記入出庫室の外部にいるとき、または、前記利用者が前記搬器に載置された前記車両の内部にいるとき、前記操作端末から受信した前記旋回情報に基づいて、前記旋回動作を制御する、
請求項10記載の機械式駐車システム。
【請求項12】
前記操作端末は、前記機械式駐車装置に取り付けられた操作盤であり、
前記制御部は、前記車両の利用者が前記入出庫室の外部にいるとき、前記操作端末から受信した前記旋回情報に基づいて、前記旋回動作を制御する、
請求項10記載の機械式駐車システム。
【請求項13】
前記旋回情報は、
前記入出庫室において、前記車両の利用者が乗車または降車するときに利用するドアが向けられる向きを指定するドア位置情報、
を含む、
請求項10記載の機械式駐車システム。
【請求項14】
機械式駐車装置と通信可能な操作端末で動作するプログラムであって、
前記機械式駐車装置は、
車両が載置される搬器と、
前記搬器を旋回させる旋回装置と、
前記旋回装置の旋回動作を制御する制御装置と
を備え、
前記操作端末を、
前記車両の利用者に入力された、前記旋回装置の制御に用いられる情報を旋回情報として取得する取得部と、
取得した前記旋回情報を、前記機械式駐車装置に送信する送信部と、
して機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
車両が載置される搬器と、
前記搬器を旋回させる旋回装置と、
前記旋回装置の旋回動作を制御する制御装置と、
を備える機械式駐車装置により実行される機械式駐車装置の入出庫方法であって、
前記機械式駐車装置が、
前記旋回装置の制御に用いられる旋回情報を受信する受信ステップと、
前記受信した前記旋回情報に基づいて、前記旋回動作を制御するステップと、
を有してなる、
機械式駐車装置の入出庫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置と、機械式駐車システムと、プログラムと、機械式駐車装置の入出庫方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置は、限られたスペースに複数の車両を駐車するために利用されている。機械式駐車装置は、マンション、オフィスビル、ショッピングセンター等の建物の地下に配置、あるいは、建物に隣接する地上に併設される。
【0003】
地下に配置される機械式駐車装置の一例として、水平循環方式の駐車装置(以下「水平循環式駐車装置」という。)が知られている。
【0004】
水平循環式駐車装置は、入出庫室と、入出庫扉と、昇降路と、格納空間と、パレットと、リフトと、旋回装置(ターンテーブル)と、を有してなる。入出庫室は、車両の入庫と出庫とが行われる空間である。入出庫扉は、入出庫室の出入口を開閉する。昇降路は、入出庫室と格納空間とを接続する、パレットの上下方向の搬送路である。格納空間は、複数の格納階に区画され、格納階ごとに、車両とパレットとを格納する複数の格納部が区画されている地下空間である。パレットは、入出庫室に前進入庫した車両が載置(搭載)される搬送床である。パレットは、リフトの昇降により昇降路を上下方向に搬送されると共に、地下の格納空間を水平方向に搬送される。パレットは、平面視で矩形状である。格納空間において、パレットは、パレットの長手方向(パレットに載置された車両の前後方向)に搬送(縦送り)され、パレットの短手方向(パレットに載置された車両の幅方向)に搬送(横送り)される。リフトは、昇降路において、車両が載置されたパレット、または、車両が載置されていないパレット(以下「空パレット」という。)を昇降させる。旋回装置は、車両を入出庫室に対して前進入庫や前進出庫させるため、または、入出庫室と格納空間との間でパレットを搬送させるために、入出庫室でパレットを90度または180度旋回させる。
【0005】
水平循環式駐車装置の中には、車両の利用者(例えば、運転者)の利便性を高めるために、入庫時には車両を入出庫扉から入出庫室の内部に前進入庫させて、出庫時には車両を入出庫室の内部から入出庫扉の外(入出庫室の外部)に前進出庫させる形式のものが存在する(例えば、特許文献1参照)。このため、入出庫室に車両を前進入庫させることが可能になるので、車両の入出庫室への入庫は、容易になる。車両の利用者は、パレットに車両を停車した後、車両から降車して、入出庫室から退出する。
【0006】
また、旋回装置は、車両の入出庫室からの出庫時において、格納空間から入出庫室に搬送された車両を入出庫室から前進出庫させるために、車両が載置されたパレットを180度旋回させる。車両の利用者は、車両が載置されたパレットが旋回した後、入出庫室に進入して、車両に乗車する。このように、車両の前進方向に入出庫扉が存在する場合、車両の入出庫室からの出庫は、容易になる。なお、車両の利用者の安全のために、旋回装置は、車両の利用者が入出庫室の内部に進入する前にパレットを旋回させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-52304号公報
【0008】
ここで、近年、車両の中には、車両の利用者が左右のドア(以下「左右ドア」という。)から乗降する形式(以下「左右乗降形式」という。)の車両だけでなく、車両の利用者が前部のドア(以下「前部ドア」という。)から乗降する形式(以下「前部乗降形式」という。)の車両または後部のドア(以下「後部ドア」という。)から乗降する形式(以下「後部乗降形式」という。)の車両が存在する。前部または後部乗降形式の車両では、ドアの開閉時に車両の前方または後方にドアを開閉するためのスペースが必要になる。
【0009】
一般的に、車両を前進入庫・前進出庫させる形式の入出庫室では、パレットに載置された車両の前方(入出庫室における入出庫扉とは反対側の方向)のスペースよりも同車両の後方(入出庫室における入出庫扉の方向)のスペースの方が広い。この場合、例えば、前部乗降形式の車両では、出庫時には車両の前部が入出庫扉の方向に向けられている。そのため、車両の利用者は、広いスペースにおいて降車するため、前部ドアから降車しやすい。一方、入庫時には車両の前部が入出庫扉とは反対側の方向に向けられている。そのため、狭いスペースにおいて降車しなければならず、車両の利用者は、前部ドアから降車しづらい。特に、車イス使用者にとっては、前部ドアからの乗降の難易は、顕著に表れる。このため、前部乗降形式における車両の利用者の利便性は、低くなる。
【0010】
同様に、例えば、後部乗降形式の車両では、入庫時には車両の後部が入出庫扉の方向に向けられている。そのため、車両の利用者は、後部ドアから降車しやすい。一方、出庫時には車両の後部が入出庫扉とは反対側の方向に向けられている。そのため、狭いスペースにおいて乗車しなければならず、車両の利用者は、後部ドアから乗車しづらい。特に、車イス使用者にとっては、後部ドアからの乗降の難易は、顕著に表れる。このため、後部乗降形式における車両の利用者の利便性は、低くなる。
【0011】
さらに、例えば、左右乗降形式の車両では、車イス使用者は、左右ドアからの乗降の際に、左右ドアが入出庫扉の方向に向けられていると、乗降しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、入出庫室に対する車両の入出庫において、車両の利用者の利便性を向上させることができる、機械式駐車装置と、機械式駐車システムと、プログラムと、機械式駐車装置の入出庫方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る機械式駐車装置は、車両の入庫と出庫とが行われる入出庫室を有する機械式駐車装置であって、車両が載置される搬器と、入出庫室で搬器を旋回させる旋回装置と、旋回装置の旋回動作を制御する制御装置と、を有してなり、制御装置は、旋回装置の制御に用いられる旋回情報を受信する受信部と、受信部が受信した旋回情報に基づいて、旋回動作を制御する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入出庫室に対する車両の入出庫において、車両の利用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る機械式駐車システムの実施の形態を示す機能ブロック図である。
図2図1の機械式駐車システムが備える、本発明に係る機械式駐車装置の機能ブロック図である。
図3図2の機械式駐車装置の構成の一部の模式平面図である。
図4図2の機械式駐車装置が備える制御装置の機能ブロック図である。
図5図1の機械式駐車システムが備える、操作端末の機能ブロック図である。
図6】本発明に係るプログラムが実行されることにより図5の操作端末が備える表示部に表示される情報の例を示す模式図である。
図7図1の機械式駐車システムで実行される、本発明に係る機械式駐車装置に対する車両の入出庫動作を示すフローチャートである。
図8図7のフローチャートに含まれる、入庫処理のフローチャートである。
図9図7のフローチャートに含まれる、出庫処理のフローチャートである。
図10】本発明に係る機械式駐車装置への車両の入庫動作を示す実施例の一例を示す模式平面図である。
図11】本発明に係る機械式駐車装置からの車両の出庫動作を示す実施例の一例を示す模式平面図である。
図12】本発明に係る機械式駐車装置への車両の入庫動作を示す実施例の他の一例を示す模式平面図である。
図13】本発明に係る機械式駐車装置からの車両の出庫動作を示す実施例の他の一例を示す模式平面図である。
図14】本発明に係る機械式駐車装置への車両の入庫動作を示す実施例のさらに他の一例を示す模式平面図である。
図15】本発明に係る機械式駐車装置からの車両の出庫動作を示す実施例のさらに他の一例を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る機械式駐車装置と、機械式駐車システムと、プログラムと、機械式駐車装置の入出庫方法と、の実施の形態について説明する。各図において、同一の部材および要素については同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0017】
●機械式駐車システム●
●機械式駐車システムの構成
図1は、本発明に係る機械式駐車システム(以下「本システム」という。)の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【0018】
本システムSは、本発明に係る機械式駐車装置(以下「本装置」という。)1と、操作端末Tと、を有してなる。本システムSでは、操作端末Tから本装置1に対して、本装置1の動作(入庫動作、出庫動作)を指示する動作信号が送信(出力)されて、本装置1が動作信号に基づいて動作する。
【0019】
「動作信号」は、本装置1の動作を指示する信号であり、例えば、後述される旋回情報や、車両情報を含む信号である。「車両情報」は、本装置1に格納される車両C(図3参照)に関する情報(例えば、車両Cのナンバープレート番号など)である。
【0020】
本装置1は、複数の車両Cを格納する。本装置1の具体的構成は、後述される。
【0021】
操作端末Tは、本装置1に対して、動作信号を送信する(出力する)。操作端末Tは、例えば、持ち運び可能な携帯端末、本装置1に備え付けられた持ち運び不可能な操作盤、携帯端末とブルートゥース(登録商標)などの無線通信回線を介して通信可能な車両Cに搭載されたカーナビゲーションシステムである。操作端末Tの具体的構成は、後述される。
【0022】
●機械式駐車装置●
●機械式駐車装置の構成
図2は、本装置1の機能ブロック図である。
図3は、本装置1の構成の一部の模式平面図である。
図2は、説明の便宜上、操作端末Tを破線で示す。図3は、後述される入出庫室10において、車両Cが後述されるパレット30に載置されている状態を示す。また、図2図3では、本装置1の構成の他の一部は、説明の便宜上、それぞれ省略して示される。以下の本装置1の説明において、図1は適宜参照される。
【0023】
本装置1は、格納空間(不図示)と、昇降路(不図示)と、リフト装置(不図示)と、入出庫室10と、入出庫扉20と、パレット30と、開口40hと、旋回装置50と、制御装置60と、検知センサ70と、車両センサ80と、を備える。
【0024】
以下の説明において、本装置1の実施の形態は、車両Cを前進入庫・前進出庫させる水平循環式駐車装置を例に、説明される。また、以下の説明において、車両Cが入出庫室10に入庫されるとき(以下「入庫時」という。)、入出庫室10から格納部(格納空間)に搬送されるパレット30に載置された車両Cの前部は前方に向けられているものとする。また、車両Cが入出庫室10から出庫されるとき(以下「出庫時」という。)、格納部から入出庫室10に搬送されたパレット30が180度旋回されて、車両Cの前部は後方に向けられているものとする。以下の説明において、「パレット30に載置された車両Cの前部が前方に向けられている状態」は「入庫初期状態」といい、「パレット30に載置された車両Cの前部が後方に向けられている状態」は「出庫初期状態」という。
【0025】
ここで、本明細書において、前後左右上下の各方向は、入出庫室10内のパレット30へ進入する車両Cにおける前後左右上下の各方向である。すなわち、例えば、「前方」は、入出庫室10内のパレット30へ車両Cが進入する方向(以下「進入方向」という。)であり、「後方」は、入出庫室10内のパレット30から車両Cが退出する方向(以下「退出方向」という。)である。入出庫室10とパレット30と格納部それぞれの詳細は、後述される。
【0026】
格納空間は、複数の車両Cが格納される空間である。格納空間は、任意の複数の格納階に区画されて、格納階ごとに複数の格納部が区画されている地下空間である。格納部は、車両Cとパレット30とが格納される領域である。
【0027】
昇降路は、入出庫室10と格納空間とに接続される、パレット30を上下方向に搬送する搬送路である。昇降路内では、リフト装置が昇降する。
【0028】
リフト装置は、昇降路内を昇降することによりパレット30を昇降させて、入出庫室10と格納空間との間でパレット30を搬送(移動)させる。
【0029】
入出庫室10は、入出庫扉20を介して、車両Cの入庫と出庫とが行われる空間である。入出庫室10は、例えば、格納空間の上方の地上に設置される。すなわち、例えば、入出庫室10は、地上階である。入庫時において、車両Cは、入出庫室10の外部から内部に前進入庫される。出庫時において、車両Cは、入出庫室10の内部から外部に前進出庫される。
【0030】
入出庫扉20は、入出庫室10の出入口を開閉する扉である。入出庫扉20は、車両Cおよび車両Cの利用者(例えば、運転手)が入出庫室10に出入りするための扉としても機能する。すなわち、例えば、車両Cの利用者は、パレット30に載置された車両Cに乗車するために、入出庫扉20から入出庫室10の内部に進入して乗車する。また、車両Cの利用者は、パレット30に載置された車両Cから降車して、入出庫扉20から入出庫室10の外部に退出する。入出庫扉20は、本発明における扉の例である。
【0031】
なお、車両の利用者は、入出庫扉とは別の扉を介して入出庫室に進入・退出してもよい。この場合、本装置は、車両の利用者の入出庫室への出入りに利用される利用者出入口扉を有する。
【0032】
パレット30は、車両Cが載置される搬送床である。パレット30は、昇降路において入出庫室10と格納空間との間を上下方向に搬送されると共に、格納空間において水平方向に搬送されて、格納部に格納される。パレット30は、平面視において前後方向に長い矩形状である。パレット30は、本発明における搬器の例である。
【0033】
開口40hは、入出庫室10と昇降路とを連通させる平面視において前後方向に長い矩形状の孔である。開口40hは、旋回装置50(後述されるターンテーブル52)の略中央に配置される。パレット30は、開口40hを介して、入出庫室10と昇降路との間を搬送される。開口40hの開口面積は、パレット30の平面積よりも若干広い。入出庫室10において車両Cが入庫可能(出庫可能)な状態のとき、パレット30は、開口40hに配置される。
【0034】
旋回装置50は、入出庫室10においてパレット30を旋回させて、パレット30に載置された車両Cの向きを変更する。旋回装置50は、駆動装置51と、ターンテーブル52と、パレット支持装置(不図示)と、を備える。パレット30が開口40hに配置されているとき、ターンテーブル52(旋回装置50)の上面は、パレット30の上面と、入出庫室10の床と共に、バリアフリーに対応した略平坦な面を構成する。
【0035】
駆動装置51は、制御装置60からの旋回情報に基づいて、ターンテーブル52を旋回させる。駆動装置51は、ターンテーブル52を旋回させる駆動モータである。ターンテーブル52は、駆動装置51の駆動により旋回することで、間接的にパレット30を旋回させる。すなわち、旋回装置50は、パレット30を旋回させる。ターンテーブル52は、略円盤状であり、入出庫室10の床の一部を構成する。パレット支持装置は、開口40hに配置されたパレット30を支持する。駆動装置51は、後述される旋回情報に基づいて駆動する。駆動装置51が駆動することにより、旋回装置50は、パレット支持装置により支持されたパレット30単体、または、車両Cが載置された同パレット30を旋回させる。
【0036】
図4は、制御装置60の機能ブロック図である。
以下の制御装置60の説明において、図2図3は適宜参照される。
【0037】
制御装置60は、本装置1全体の動作(例えば、入出庫扉20の開閉操作、旋回装置50の旋回動作、など)を制御する。制御装置60は、受信部61と、制御部62と、記憶部63と、を備える。
【0038】
受信部61は、無線通信回線を介して、車両Cの利用者に操作される操作端末Tから旋回情報を受信する。
【0039】
制御部62は、本装置1全体の動作(例えば、入出庫扉20の開閉操作、旋回装置50の旋回動作、など)を制御する。制御部62は、例えば、マイコンや、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにより構成される。「旋回動作」は、例えば、パレット30(ターンテーブル52)を、平面視において時計回り(右回り)または反時計回り(左回り)に90度旋回させる動作や180度旋回させる動作である。以下の説明では、「+90度旋回」は時計回りに90度旋回させることを示し、「+180度旋回」は時計回りに180度旋回させることを示す。また、「-90度旋回」は反時計回りに90度旋回させることを示し、「-180度旋回」は反時計回りに180度旋回させることを示す。制御部62の具体的動作の説明は、後述される。
【0040】
記憶部63は、旋回装置50の旋回動作に必要な情報(例えば、旋回情報、入出庫扉位置情報、車両情報)を記憶する。記憶部63は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの情報記憶媒体である。「旋回情報」は、旋回装置50の制御に用いられる情報であり、例えば、車両Cのドア位置情報や、車両Cの運転席の位置情報である。「入出庫扉位置情報」は、入出庫室10における入出庫扉20が配置されている位置を示す情報である。「ドア位置情報」は、入出庫室10において、車両Cの利用者が、乗車または降車するときに利用するドアの位置情報である。すなわち、例えば、ドア位置情報は、車両Cの利用者が左右のドア(以下「左右ドア」という。)から乗降する形式(以下「左右乗降形式」という。)の車両の場合には「左右ドア(右ドア、左ドア)」であり、車両Cの利用者が前部のドア(以下「前部ドア」という。)から乗降する形式(以下「前部乗降形式」という。)の車両の場合には「前部ドア」であり、車両Cの利用者が後部のドア(以下「後部ドア」という。)から乗降する形式(以下「後部乗降形式」という。)の車両の場合には「後部ドア」である。「左右ドア(右ドア,左ドア)」、「前部ドア」、「後部ドア」それぞれは、車両Cにおける「乗降ドア」の一例である。「運転席の位置情報」は、車両Cの運転席の位置を示す情報(右ハンドルか左ハンドルかを示す情報)である。
【0041】
なお、本発明において、記憶部に記憶される情報は、旋回情報と、入出庫位置情報と、車両情報と、に限定されない。すなわち、例えば、記憶部に記憶される情報は、旋回情報と、入出庫位置情報と、車両情報の何れかの情報、または、その他情報や、これらの情報を含む情報でもよい。
【0042】
また、本発明において、旋回情報は、ドア位置情報と、運転席の位置情報と、に限定されない。すなわち、例えば、旋回情報は、ドア位置情報と、運転席の位置情報と、の何れか一方の情報、または、その他情報や、これらの情報を含む情報でもよい。
【0043】
検知センサ70は、入出庫室10の内部の異物を検知する。「異物」は、例えば、人や動物、利用者の荷物など、入出庫室10の内部における、パレット30に載置された車両C以外の者・物である。換言すれば、検知センサ70は、車両Cの内部にいる人や動物、荷物などは検知しない。すなわち、検知センサ70は、入出庫室10の内部であって、かつ、パレット30に載置された車両Cの外部に位置している異物を検知する。検知センサ70は、例えば、いわゆる3D-LiDAR(Light Detection and Ranging)の技術が用いられる公知の3次元測域センサ、または、ミリ波を照射して異物を検出するミリ波センサである。検知センサ70は、例えば、入出庫室10の床、または、内部の壁(以下「内壁」という。)に配置される。
【0044】
なお、本発明において、検知センサは、光電センサや、入出庫室の内部を撮影する複数のカメラで構成されるカメラ装置などのその他のセンサでもよい。
【0045】
車両センサ80は、車両Cがパレット30上の所定位置に停車しているか否かを検知する。「所定位置」は、パレット30の上面のうち、車両Cが載置される適切な位置である。車両センサ80は、例えば、投光器(不図示)と受光器(不図示)とで構成される、公知の光電センサである。車両センサ80は、例えば、入出庫室10の内壁に配置される。
【0046】
なお、本発明において、車両センサは、入出庫室の内部を撮影する複数のカメラで構成されるカメラ装置でもよい。
【0047】
●操作端末●
●操作端末の構成
図5は、操作端末Tの機能ブロック図である。
同図は、説明の便宜上、本装置1を破線で示す。
【0048】
操作端末Tは、前述のとおり、持ち運び可能な携帯端末、本装置1に備え付けられた持ち運び不可能な操作盤、携帯端末と無線通信回線を介して通信可能な車両Cに搭載されたカーナビゲーションシステムなどである。以下に説明する操作端末Tの実施の形態は、操作端末Tが携帯端末である場合を例に説明する。
【0049】
操作端末Tは、本装置1と通信可能な専用のアプリケーションプログラムがインストールされた携帯端末である。「携帯端末」は、例えば、車両Cの利用者が携帯するスマートホンである。操作端末Tでは、本発明に係るプログラム(以下「本プログラム」という。)が動作して、本プログラムが操作端末のハードウェアと協働して、後述される本方法を実現する。本プログラムは、例えば、本システムS専用のアプリケーションプログラムである。本プログラムの具体的な説明は、後述される。
【0050】
操作端末Tは、入力部100と、端末制御部110と、送信部120と、表示部130と、を備える。
【0051】
入力部100は、操作端末Tの使用者(例えば、車両Cの運転者、すなわち、利用者)から操作により、情報が入力される部分である。入力部100には、例えば、旋回情報が入力される。
【0052】
なお、本発明において、操作端末の使用者は、運転者に限られない。すなわち、例えば、操作端末の使用者は、運転者と共に車両に乗車している同乗者でもよい。
【0053】
端末制御部110は、操作端末T全体の動作を制御する。端末制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリと、により構成される。端末制御部110は、取得部111を備える。
【0054】
取得部111は、操作端末Tの使用者により入力部100に入力された旋回情報を取得する。
【0055】
送信部120は、取得部111が取得した旋回情報に応じた動作信号を本装置1に送信(出力)する。
【0056】
表示部130は、操作端末Tの使用者が入力部100に入力するために必要な情報を表示する。入力部100と表示部130とは、例えば、スマートホンのタッチパネル式のディスプレイである。
【0057】
なお、本発明において、表示部は、タッチパネル機能を備えない液晶表示ディスプレイでもよい。このとき、入力部は、例えば、操作ボタンなどの物理的なボタンでもよい。
【0058】
●アプリケーションプログラム●
次に、本プログラムの実施の形態について説明する。本プログラムは、本装置1と通信可能な操作端末Tで動作するプログラムである。本プログラムは、前述のとおり、操作端末Tにインストールされたアプリケーションプログラムである。本プログラムは、例えば、表示部130に情報を表示する情報表示処理、入力部100に入力された旋回情報を取得する情報取得処理、旋回情報を本装置1に送信する情報送信処理、などの各種情報処理を操作端末Tに実行させる。
【0059】
図6は、本プログラムが実行されることにより表示部130に表示される情報の例を示す模式図である。
同図は、操作端末Tのアプリケーションプログラムが実行されることにより表示部130に表示される情報の例を示す模式図である。また、同図は、表示部130に表示されている情報の例として、車両Cを格納するための機械式駐車装置に関する情報(T1)と、入庫・出庫の選択に関する情報(T2)と、車両Cを特定するための情報(T3)と、ドア位置情報(T4)と、運転席の位置情報(T5)と、パレット30の旋回/旋回停止に関する情報(T6)と、が表示されていることを示す。
【0060】
「機械式駐車装置に関する情報(T1)」は、例えば、操作端末Tの使用者が車両Cを入出庫可能な機械式駐車装置の名称を示す情報である。すなわち、機械式駐車装置の情報は、例えば、本プログラムに対応している機械式駐車装置(例えば、本装置1)の入出庫室10の構成などを示す情報である。機械式駐車装置の名称が操作端末Tの使用者に選択されることで、操作端末Tと通信する機械式駐車装置(本実施の形態では、本装置1)が決定される。
【0061】
「入庫・出庫の選択に関する情報(T2)」は、本装置1に実行させる動作を示す情報である。本装置1に実行させる操作は、例えば、入庫動作と出庫動作とである。
【0062】
「パレット30の旋回/旋回停止に関する情報(T6)」は、入出庫室10に配置されたパレット30の旋回の実行と、同パレット30の旋回の停止と、を示す情報である。パレット30の旋回の実行が操作端末Tの使用者に選択されている間(「旋回」の表示が操作端末Tの使用者にタッチ操作されている間)、本装置1の旋回装置50はパレット30を旋回させる。パレット30の旋回の選択の実行が操作端末Tの使用者に選択されていない間(「旋回」の表示が操作端末Tの使用者にタッチ操作されていない間)、本装置1の旋回装置50は、パレット30の旋回を停止する。
【0063】
車両Cを特定するための情報(T3)と、ドア位置情報(T4)と、運転席の位置情報(T5)とは、本プログラムの初回起動時などに操作端末Tの使用者に事前に登録される情報(以下「事前登録情報」という。)である。事前登録情報が事前に登録されておくことで、操作端末Tの使用者は、本プログラムを起動させるごとに同じ情報を入力しなくてよい。事前登録情報は、車両Cの変更などの理由に伴い、変更可能(更新可能)である。換言すれば、事前登録情報は、更新可能である。変更された(更新された)事前登録情報は、本装置1に送信され、記憶部63に記憶される。
【0064】
なお、本発明において、変更された(更新された)事前登録情報は、記憶部に記憶されなくてもよい(元の事前登録情報の上書きがされなくてもよい)。すなわち、記憶部には、元の事前登録情報が残っていてもよい。
【0065】
また、本発明において、車両情報と、ドア位置情報と、運転席の位置情報とは、事前登録せずに、本プログラムが起動されるごとに入力されもよい。
【0066】
本プログラムは、操作端末Tに本プログラムを実行させることで、操作端末Tに各種情報を取得させると共に、取得した各種情報を本装置1に送信する。換言すれば、本プログラムは、操作端末Tの利用者に本プログラムを実行させることで、操作端末Tを、本発明における取得部111として機能させると共に、本発明における送信部120として機能させる。
【0067】
●車両の入出庫動作●
次に、本システムSで実行される、本装置1に対する車両Cの入出庫動作について、説明する。
【0068】
図7は、本システムSで実行される、本装置1に対する車両Cの入出庫動作を示すフローチャートである。
【0069】
先ず、車両Cの利用者は、操作端末Tを操作することにより、操作端末Tに本プログラムを実行させる。その結果、操作端末Tは、車両Cの利用者(すなわち、操作端末Tの使用者)の操作に基づく動作信号を生成し、本装置1の受信部61(制御装置60)に送信する。このとき、制御装置60(制御部62)は、操作端末Tからの動作信号が受信部61に受信されているか否かを判定する(S1)。このとき、操作端末Tの使用者に関する情報(例えば、使用者を特定するためのID情報など)も、本装置1に送信される。
【0070】
動作信号が受信部61に受信されていると制御装置60(制御部62)が判定したとき(S1の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、同動作信号が入庫信号であるか、出庫信号であるか、を判定する(S2)。
【0071】
動作信号が入庫信号であるとき(S2の「入庫」)、本装置1は、入庫処理(S3)を実行する。一方、動作信号が出庫信号であるとき(S2の「出庫」)、本装置1は、出庫処理(S4)を実行する。
【0072】
一方、動作信号が受信されていないと制御装置60(制御部62)が判定したとき(S1の「N」)、本装置1の入出庫処理は、処理S1に戻る。
【0073】
●車両の入庫動作
図8は、入庫処理(S3)のフローチャートである。
【0074】
「入庫処理(S3)」は、本装置1に車両Cを入庫させる処理である。以下に説明される入庫処理(S3)では、車両Cは、本装置1の入出庫室10の外部であって、入出庫扉20の前に到着しているものとする。
【0075】
先ず、制御装置60(制御部62)は、操作端末Tからの動作信号(入庫信号)に基づいて、入出庫扉20を開ける(S301)。このとき、安全性確保のため、車両Cの運転者以外の同乗者は、入出庫扉20が開く前、あるいは、車両Cが入出庫室10に進入する前に車両Cから降車する。すなわち、車両Cの運転者(利用者)は、車両Cに乗車している。
【0076】
次いで、車両Cの運転者は、車両Cを入出庫室10の内部に前進入庫で進入させる。このとき、制御装置60(制御部62)は、車両センサ80の検知結果に基づいて、車両Cがパレット30上の所定位置に停車されたか否かを判定する(S302)。
【0077】
車両Cが所定位置に停車されていないと判定されたとき(S302の「N」)、入庫処理(S3)は、処理S302に戻る。
【0078】
一方、車両Cが所定位置に停車されていると判定されたとき(S302の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、検知センサ70の検知結果に基づいて、入出庫室10の内部の異物の有無を判定する(S303)。
【0079】
入出庫室10の内部に異物が無いと判定されたとき(検知センサ70が異物を検知しないとき)(S303の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、例えば、ID情報に基づいて、使用者(利用者)の事前登録情報が記憶部63に記憶されているか否かを判定する(S304)。一方、入出庫室10の内部に異物が有ると判定されたとき(検知センサ70が異物を検知しているとき)(S303の「N」)、入庫処理(S3)は、処理S303に戻る。
【0080】
使用者の事前登録情報が記憶部63に記憶されているとき(S304の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、事前登録情報に基づいて、旋回装置50に旋回動作させるか否かを判定する(S305)。一方、使用者の事前登録情報が記憶部63に記憶されていないとき(S304の「N」)、制御装置60(制御部62)は、車両Cに乗車している使用者の操作端末Tに情報(旋回情報)を入力させる画面を表示させ、使用者に旋回情報を入力させる(S306)。このとき、旋回情報は、制御装置60に送信される。次いで、入庫処理(S3)は処理S305に戻り、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて旋回装置50の旋回動作をさせるか否かを判定する(S305)。
【0081】
制御装置60(制御部62)は、旋回装置50を旋回動作させると判定したとき(S305の「Y」)、事前登録情報または旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、パレット30を旋回させる(S307)。ここで、制御装置60(制御部62)は、車両Cの利用者によりパレット30の旋回が選択されているとき(「旋回」の表示が操作端末Tの使用者にタッチ操作されている間)、旋回装置50の旋回動作を制御してパレット30を旋回させる。その結果、パレット30に載置されている車両Cの乗降ドアは、所望の方向(例えば、事前登録情報に登録されている方向:本実施の形態では後方(入出庫扉20の方向))に向けられる(車両Cの向きが入庫初期状態から変わる)。
【0082】
ここで、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50がパレット30を旋回させているとき、車両センサ80または検知センサ70の検知結果に基づいて、旋回装置50の旋回動作を停止させ、再開させる。すなわち、例えば、検知センサ70が異物を検知したとき、制御装置60(制御部62)は、検知センサ70が異物を検知している間、旋回装置50の旋回動作を停止させ、検知センサ70が異物を検知しなくなったとき、旋回装置50の旋回動作を再開させる。
【0083】
一方、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50を旋回動作させないと判定したとき(S305の「N」)、旋回装置50の旋回動作を制御して、パレット30を旋回させない。すなわち、車両Cの向きは、入庫初期状態のままである。
【0084】
次いで、車両Cの利用者(運転者)は、車両Cから降車して、入出庫室10の外部に退出する。このとき、制御装置60(制御部62)は、検知センサ70と車両センサ80との検知結果に基づいて、入出庫室10の内部の異常の有無(車両Cの位置のずれ、異物の有無)を判定する(S308)。検知センサ70と車両センサ80とが異常を検知していないとき(S308の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、入出庫室10の内部には異常が無い(入出庫室10の内部は安全である)と判定して、入出庫扉20を閉める(S309)。一方、検知センサ70と車両センサ80とが異常を検知しているとき(S308の「N」)、制御装置60(制御部62)は、検知センサ70と車両センサ80とが異常を検知しなくなるまで、入出庫扉20を閉めない(すなわち、入庫処理(S3)は処理S308に戻る)。
【0085】
次いで、制御装置60(制御部62)は、パレット30に載置された車両Cの向きが入庫初期状態であるか否かを判定する(S310)。パレット30に載置された車両Cの向きが入庫初期状態でないとき(S310の「N」)、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を旋回動作させて、車両Cの向きが入庫初期状態となるようにパレット30を旋回させる(S311)。一方、パレット30に載置された車両Cの向きが入庫初期状態であるとき(S310の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50を旋回動作させない。すなわち、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を旋回させない。その後、車両Cが載置されたパレット30は、格納空間に格納される(S312)。
【0086】
●車両の出庫動作
図9は、出庫処理S4のフローチャートである。
【0087】
「出庫処理S4」は、本装置1から車両Cを出庫させる処理である。以下に説明される出庫処理(S4)では、出庫予定の車両Cの利用者は、本装置1の入出庫室10の外部であって、入出庫扉20の前に到着しているものとする。
【0088】
先ず、制御装置60(制御部62)は、操作端末Tからの動作信号(出庫信号)に基づいて、格納空間に格納されている車両Cが載置されたパレット30を入出庫室10まで搬送する(呼び出す)(S401)。
【0089】
車両Cが載置されたパレット30が入出庫室10に搬送されたとき、車両Cの前部は前方に向けられている。本実施の形態では、出庫初期状態は、パレット30に載置された車両Cの前部が後方を向いている状態である。そのため、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を旋回させる(S402)。その結果、パレット30に載置された車両Cの向きは、出庫初期状態になる。
【0090】
次いで、制御装置60(制御部62)は、例えば、ID情報に基づいて、使用者の事前登録情報が記憶部63に記憶されているか否かを判定する(S403)。使用者の事前登録情報が記憶部63に記憶されているとき(S403の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、事前登録情報に基づいて、旋回装置50を旋回動作させるか否かを判定する(S404)。一方、使用者の事前登録情報が記憶部63に記憶されていないとき(S403の「N」)、制御装置60(制御部62)は、使用者の操作端末Tに情報(旋回情報)を入力する画面を表示させ、使用者に旋回情報を入力させる(S405)。このとき、旋回情報は、操作端末Tから制御装置60に送信される。次いで、出庫処理(S4)は処理S404に戻り、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて旋回装置50の旋回動作をさせるか否かを判定する(S404)。
【0091】
制御装置60(制御部62)は、旋回装置50を旋回動作させると判定したとき(S404の「Y」)、事前登録情報または旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、パレット30を旋回させる(S406)。このとき、パレット30に載置されている車両Cの乗降ドアは、所望の方向(例えば、事前登録情報に登録されている方向:本実施の形態では後方(入出庫扉20の方向))に向けられる(出庫初期状態から変わる)。一方、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50を旋回動作させないと判定したとき(S404の「N」)、旋回装置50の旋回動作を制御して、パレット30を旋回させない。すなわち、車両Cの向きは、出庫初期状態のままである。
【0092】
次いで、車両Cの利用者が入出庫室10の外部にいる状態において、制御装置60(制御部62)は、入出庫扉20を開ける(S407)。
【0093】
ここで、車両Cの利用者は、パレット30に載置された車両Cの乗降ドアの位置を確認して、車両Cに乗車するために旋回装置50の旋回動作が必要であるか否かを検討する。車両Cの利用者は、車両Cに乗車するために旋回装置50の旋回動作が必要であると判断したとき(例えば、車両Cの乗降ドアの位置が所望の位置ではないとき)、操作端末Tを操作して、表示部130に表示されている「パレット30の旋回」を選択する(「旋回」の表示をタッチ操作する)。このとき、旋回情報は、操作端末Tを操作から制御装置60に送信される。一方、車両Cの利用者は、車両Cに乗車するために旋回装置50の旋回動作が必要でないと判断したとき、操作端末Tを操作しない(「旋回」の表示をタッチ操作しない)。
【0094】
次いで、制御装置60(制御部62)は、検知センサ70と車両センサ80との検知結果に基づいて、入出庫室10の内部の異常の有無を判定する(S408)。異常が有ると判定されたとき(S408の「N」)、出庫処理(S4)は、処理S408に戻る。
【0095】
一方、入出庫室10の内部に異常が無いと判定されたとき(S408の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、操作端末Tからの旋回情報が受信部61に受信されているか否かを判定する(S409)。旋回情報が受信部61に受信されているとき(S409の「Y」)、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、パレット30を旋回させる(S410)。すなわち、例えば、車両Cの利用者によりパレット30の旋回が選択されているとき(「旋回」の表示が操作端末Tの使用者にタッチ操作されている間)、制御装置60(制御部62)は、パレット30を旋回させる。一方、旋回情報が受信部61に受信されていないとき(S409の「N」)、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、パレット30を旋回させない(S411)。その結果、パレット30に載置されている車両Cの乗降ドアは、所望の方向(例えば、事前登録情報に登録されている方向:本実施の形態では後方(入出庫扉20))に向けられる(初期出庫状態から変わる)。
【0096】
ここで、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50がパレット30を旋回させているとき、車両センサ80または検知センサ70の検知結果に基づいて、旋回装置50の旋回動作を停止させ、再開させる。すなわち、例えば、検知センサ70が異物を検知したとき、制御装置60(制御部62)は、検知センサ70が異物を検知している間、旋回装置50の旋回動作を停止させ、検知センサ70が異物を検知しなくなったとき、旋回装置50の旋回動作を再開させる。
【0097】
次いで、車両Cの利用者(運転者)は、入出庫室10に侵入して、車両Cに乗車する。
【0098】
次いで、制御装置60(制御部62)は、操作端末Tからの旋回情報が受信部61に受信されているか否かを判定する(S412)。旋回情報が受信部61に受信されているとき(S412の「Y」)、制御装置(制御部62)は、旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、パレット30を旋回させる(S413)。ここで、操作端末Tからの旋回情報は、パレット30を旋回させるために使用者が操作端末Tを操作したときに、操作端末Tから制御装置60に送信される。そして、使用者は、車両Cの前部が後方(入出庫扉20の方向)に向けられていないとき、車両Cの前部が後方に向けられるように、操作端末Tを操作する。すなわち、例えば、車両Cの利用者によりパレット30の旋回が選択されているとき(「旋回」の表示が操作端末Tの使用者にタッチ操作されている間)、制御装置60(制御部62)は、パレット30を旋回させる(S413)。
【0099】
ここで、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50がパレット30を旋回させているとき、車両センサ80または検知センサ70の検知結果に基づいて、旋回装置50の旋回動作を停止させ、再開させる。すなわち、例えば、検知センサ70が異物を検知したとき、制御装置60(制御部62)は、検知センサ70が異物を検知している間、旋回装置50の旋回動作を停止させ、検知センサ70が異物を検知しなくなったとき、旋回装置50の旋回動作を再開させる。
【0100】
一方、車両Cの前部が後方に向けられているとき、使用者は、操作端末Tを操作しない。すなわち、旋回情報は、制御装置60に送信されず、受信部61に受信されない。旋回情報が受信部61に受信されていないとき(S412の「N」)、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、パレット30を旋回させない(S414)。その結果、車両Cの前部は、後方に向けられる(入出庫扉20に向けられる)。その後、使用者は、車両Cを入出庫室10の内部から外部に前進出庫で退出させる。次いで、制御装置60(制御部62)は、入出庫扉20を閉める(S415)。
【0101】
このように、車両Cの入出庫動作において、制御装置60(制御部62)は、使用者が操作端末Tを用いて入力した情報(旋回情報、事前登録情報)に基づいて、旋回動作(旋回の有無、旋回の方向、旋回の量(角度)など)を制御する(S307、S311、S406、S410、S413)。すなわち、本装置1では、制御装置60(制御部62)により旋回装置50の旋回動作が制御される。このため、例えば、制御装置60(制御部62)は、利用者が入出庫室10の外部にいるとき、または、利用者がパレット30に載置された車両Cの内部にいるときであっても、操作端末Tから受信した旋回情報に基づいて、旋回動作を制御する。この構成では、利用者は、自ら入力した情報に基づいて、旋回動作を決定できる。したがって、利用者の利便性は、向上する。
【0102】
また、車両Cの入出庫動作において、制御装置60(制御部62)は、検知センサ70と車両センサ80との検知結果に基づいて、旋回動作(旋回の可否、停止、再開など)を制御する(S307、S406、S410、S413)。すなわち、例えば、制御装置60(制御部62)は、入出庫室10の内部に異常(車両Cの位置ずれ、人の進入など)が有るとき、旋回装置50の旋回を規制・停止する。その結果、本装置1における安全性は、高まる。
【0103】
また、車両Cの入出庫動作において、制御装置60(制御部62)は、車両Cが載置されたパレット30が、旋回情報により定まる方向に向けられるように旋回動作を制御する(S307、S311、S406、S410、S413)。また、制御装置60(制御部62)は、車両Cの入庫時・出庫時、パレット30に載置された車両Cの入出庫室10の内部での入出庫扉20に対する向きに基づいて、旋回動作を制御する(S307、S406、S410、S413)。このように、本装置1は、車両Cの前部の向きが旋回情報により定まる方向に向けられるように、旋回装置50の旋回動作を制御し、パレット30の向きを制御する。その結果、車両Cの利用者は、自ら入力した情報に基づいて、車両Cの前部や乗降位置の向きに応じた旋回動作を決定できる。したがって、利用者の利便性は向上する。
【0104】
さらに、車両Cの入庫動作において、制御装置60(制御部62)は、入出庫室10に入庫した車両Cがパレット30に載置された後、車両Cの利用者が降車する前に、旋回情報に基づいて、利用者が降車するために利用するドアを入出庫扉20に近づけるように、旋回動作を制御する(S305)。また、車両Cの出庫動作において、制御装置60(制御部62)は、車両Cが載置されたパレット30が入出庫室10に搬送されたとき、旋回情報に基づいて、車両Cの利用者が車両Cに乗車するために利用するドアを入出庫扉20に近づけるように、旋回動作を制御する(S406)。このように、本装置1は、利用者の乗降に応じて、制御部62により旋回装置50の旋回動作を制御する。その結果、車両Cの利用者は、車両Cにスムーズに乗降できる。したがって、利用者の利便性は向上する。
【0105】
さらにまた、車両Cの入出庫動作において、制御装置60(制御部62)は、事前登録情報(旋回情報)に基づいて、自動的に、利用者が乗降し易い向きが入出庫扉20に向けられるように、旋回動作を制御する(S307、S406)。この構成では、利用者ごとの旋回情報は、事前に入力されている。このため、入出庫動作における利用者の乗降時において、利用者は、操作端末Tを操作することなく、スムーズに乗降できる。したがって、利用者の利便性はさらに向上する。
【0106】
さらにまた、本装置1に対する車両Cの入出庫動作(入出庫方法)には、本装置1が操作端末Tから旋回情報を受信する受信工程(ステップ)と、本装置1が操作端末Tから受信した旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御する旋回制御工程(ステップ)と、を有する。このため、本装置1は、受信工程と旋回制御工程とにおいて、制御装置60(制御部62)により旋回装置50の旋回動作を制御する。その結果、利用者は、自ら入力した情報に基づいて、車両Cの前部や乗降位置の向きに応じた旋回動作を決定できる。したがって、利用者の利便性は向上する。
【0107】
●実施例●
以下、図10図15を参照しながら、本装置1の実施例が、説明される。以下の各実施例は、車両Cの利用者が乗降するドアが「左右ドア」「前部ドア」「後部ドア」の場合における、入庫時・出庫時の各動作の例である。以下の説明において、図8図9も適宜参照される。また、以下の説明は、旋回動作を中心に説明される。
【0108】
●実施例(1)「左右ドア」
本実施例において、左右ドアのうち、車両Cの利用者が乗降するドア(乗降ドア)は、「右ドア」であるものとする。
【0109】
●入庫動作(1)
図10は、本装置1への車両Cの入庫動作を示す実施例の一例を示す模式平面図であり、(a)は車両Cの入出庫室10への入庫時、(b)は利用者の車両Cからの降車時、(c)は車両Cの格納空間への格納時、における車両Cの向きを示す図である。
【0110】
前述のとおり、車両Cは、入出庫室10に前進入庫される(入出庫室10へ入庫される)(S302)。このとき、パレット30に載置された車両Cの向きは、入庫初期状態(車両Cの前部が前方に向けられた状態)である。
【0111】
パレット30に車両Cが載置された後であって、車両Cの利用者が降車する前に、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「+90度旋回」させる(S307)。これにより、乗降ドア(右ドア)は、入出庫扉20に向けられる。
【0112】
車両Cの利用者が乗降ドア(右ドア)から降車した後であって、車両Cが載置されたパレット30が格納空間に格納される前に、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「-90度旋回」させる(S311)。これにより、パレット30に載置された車両Cの向きは、入庫初期状態になる。
【0113】
●出庫動作(1)
図11は、本装置1からの車両Cの出庫動作を示す実施例の一例を示す模式平面図であり、(a)は車両Cの格納空間から入出庫室10への搬送時、(b)は利用者の車両Cへの乗車時、(c)は車両Cの入出庫室10からの出庫時、における車両Cの向きを示す図である。
【0114】
前述のとおり、車両Cが載置されたパレット30が呼び出されて、入出庫室10に搬送された後、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「+180度旋回(あるいは-180度旋回)」させる(S402)。このとき、パレット30に載置された車両Cの向きは、出庫初期状態(車両Cの前部が後方に向けられた状態)である。
【0115】
車両Cの利用者が乗降ドア(右ドア)から乗車する前(入出庫扉20が開く前)に、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「-90度旋回」させる(S406)。これにより、乗降ドア(右ドア)は、入出庫扉20に向けられる。
【0116】
車両Cの利用者が乗降ドア(右ドア)から乗車した後であって、車両Cが入出庫室10の外部に前進出庫される(入出庫室10から出庫される)前に、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「+90度旋回」させる(S413)。これにより、パレット30に載置された車両Cの向きは、出庫初期状態になる。
【0117】
●実施例(2)「前部ドア」
本実施例において、車両Cのドアのうち、車両Cの利用者が乗降するドア(乗降ドア)は、「前部ドア」であるものとする。
【0118】
●入庫動作(2)
図12は、本装置1への車両Cの入庫動作を示す実施例の他の一例を示す模式平面図であり、(a)は車両Cの入出庫室10への入庫時、(b)は利用者の車両Cからの降車時、(c)は車両Cの格納空間への格納時、における車両Cの向きを示す図である。
【0119】
前述のとおり、車両Cは、入出庫室10に前進入庫される(入出庫室10へ入庫される)(S302)。このとき、パレット30に載置された車両Cの向きは、入庫初期状態である。
【0120】
パレット30に車両Cが載置された後であって、車両Cの利用者が降車する前に、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「+180度旋回(あるいは-180度旋回)」させる(S308)。これにより、乗降ドア(前部ドア)は、入出庫扉20に向けられる。
【0121】
車両Cの利用者が乗降ドア(前部ドア)から降車した後であって、車両Cが載置されたパレット30が格納空間に格納される前に、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「-180度旋回(あるいは+180度旋回)」旋回させる(S312)。これにより、パレット30に載置された車両Cの向きは、入庫初期状態になる。
【0122】
●出庫動作(2)
図13は、本装置1からの車両Cの出庫動作を示す実施例の他の一例を示す模式平面図であり、(a)は車両Cの格納空間から入出庫室10への搬送時、(b)は利用者の車両Cへの乗車時、(c)は車両Cの入出庫室10からの出庫時、における車両Cの向きを示す図である。
【0123】
前述のとおり、車両Cが載置されたパレット30が呼び出されて、入出庫室10に搬送された後、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「+180度旋回(あるいは-180度旋回)」させる(S402)。このとき、パレット30に載置された車両Cの向きは、出庫初期状態である。
【0124】
車両Cの利用者が乗降ドア(前部ドア)から乗車する前(入出庫扉20が開く前)に、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を旋回させない(S404の「N」)。これにより、パレット30に載置された車両Cの向きは出庫初期状態であり、乗降ドア(前部ドア)は入出庫扉20に向けられる。
【0125】
車両Cの利用者が乗降ドア(前部ドア)から乗車した後であって、車両Cが入出庫室10の外部に前進出庫される(入出庫室10から出庫される)前に、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を旋回させない(S414)。これにより、パレット30に載置された車両Cの向きは、出庫初期状態であり、乗降ドア(前部ドア)は入出庫扉20に向けられる。
【0126】
●実施例(3)「後部ドア」
本実施例において、車両Cのドアのうち、車両Cの利用者が乗降するドア(乗降ドア)は、「後部ドア」であるものとする。
【0127】
●入庫動作(3)
図14は、本装置1への車両Cの入庫動作を示す実施例のさらに他の一例を示す模式平面図であり、(a)は車両Cの入出庫室10への乗入時、(b)は利用者の車両Cからの降車時、(c)は車両Cの格納空間への格納時、における車両Cの向きを示す図である。
【0128】
前述のとおり、車両Cは、入出庫室10に前進入庫される(入出庫室10へ入庫される)(S302)。このとき、パレット30に載置された車両Cの向きは、入庫初期状態である。
【0129】
パレット30に車両Cが載置された後であって、車両Cの利用者が降車する前に、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を旋回させない(S305の「N」)。これにより、パレット30に載置された車両Cの向きは入庫初期状態であり、乗降ドア(後部ドア)は入出庫扉20に向けられる。
【0130】
車両Cの利用者が乗降ドア(後部ドア)から降車した後であって、車両Cが載置されたパレット30が格納空間に格納される前に、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を旋回させない(S310の「Y」)。これにより、パレット30に載置された車両Cの向きは入庫初期状態であり、乗降ドア(後部ドア)は入出庫扉20に向けられている。
【0131】
●出庫動作(3)
図15は、本装置1からの車両Cの出庫動作を示す実施例のさらに他の一例を示す模式平面図であり、(a)は車両Cの格納空間から入出庫室10への搬送時、(b)は利用者の車両Cへの乗車時、(c)は車両Cの入出庫室10からの出庫時、における車両Cの向きを示す図である。
【0132】
前述のとおり、車両Cが載置されたパレット30が呼び出されて、入出庫室10に搬送された後、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「+180度旋回(あるいは-180度旋回)」させる(S402)。このとき、パレット30に載置された車両Cの向きは、出庫初期状態である。
【0133】
車両Cの利用者が乗車する前(入出庫扉20が開く前)に、制御装置60(制御部62)は、旋回情報に基づいて、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「+180度旋回(あるいは-180度旋回)」させる(S404)。これにより、乗降ドア(後部ドア)は、入出庫扉20に向けられる。
【0134】
車両Cの利用者が乗降ドア(後部ドア)から乗車した後であって、車両Cが入出庫室10の外部に前進出庫される(入出庫室10から退出される)前に、制御装置60(制御部62)は、旋回装置50の旋回動作を制御して、旋回装置50を「+180度旋回(あるいは-180度旋回)」させる(S413)。これにより、パレット30に載置された車両Cの向きは、出庫初期状態になる。
【0135】
●まとめ●
以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、パレット30と、入出庫室10でパレット30を旋回させる旋回装置50と、旋回装置50の旋回動作を制御する制御装置60と、を有してなる。制御装置60は、受信部61と制御部62とを備える。受信部61は、旋回装置50の制御に用いられる旋回情報を受信する。制御装置60(制御部62)は、車両Cの入出庫動作において、受信部61が受信した旋回情報に基づいて、旋回動作(旋回の有無、旋回の方向、旋回の量(角度)など)を制御する。すなわち、本装置1では、制御部62により旋回装置50の旋回動作が制御される。このため、例えば、制御装置60(制御部62)は、利用者が入出庫室10の外部にいるとき、または、利用者がパレット30に載置された車両Cの内部にいるときであっても、操作端末Tから受信した旋回情報に基づいて、旋回動作を制御する。この構成では、利用者は、自ら入力した情報に基づいて、旋回動作を決定できる。したがって、利用者の利便性は、向上する。
【0136】
また、以上説明した実施の形態によれば、本システムSは、上述の本装置1と、本装置1に対して、本装置1の動作を指示する動作信号を送信する操作端末Tを有する。制御装置60(制御部62)は、利用者が操作端末Tを用いて入力した情報(旋回情報、事前登録情報)に基づいて、旋回動作(旋回の有無、旋回の方向、旋回の量(角度)など)を制御する。すなわち、本装置1では、制御部62により旋回装置50の旋回動作が制御される。このため、例えば、制御装置60(制御部62)は、利用者が入出庫室10の外部にいるとき、または、利用者がパレット30に載置された車両Cの内部にいるときであっても、操作端末Tから受信した旋回情報に基づいて、旋回動作を制御する。この構成では、利用者は、自ら入力した情報に基づいて、旋回動作を決定できる。したがって、本システムSにおいても、利用者の利便性は、向上する。
【0137】
また、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、入出庫室10の内部の異物を検知する検知センサ70を有する。制御装置60(制御部62)は、検知センサ70と車両センサ80との検知結果に基づいて、旋回動作(旋回の可否、停止、再開など)を制御する。制御装置60(制御部62)は、検知センサ70の検知結果に基づいて、旋回動作を制御する。すなわち、例えば、制御装置60(制御部62)は、車両Cの利用者が入出庫室10の外部にいるとき、または、利用者がパレット30に載置された車両Cの内部にいるとき、操作端末Tから受信した旋回情報に基づいて旋回動作を制御する。つまり、制御装置60(制御部62)は、入出庫室10の内部に異常(車両Cの位置ずれ、人の進入など)が有るとき、旋回装置50の旋回を規制・停止する。その結果、本装置1における安全性は、高まる。
【0138】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、制御装置60(制御部62)は、車両Cの入出庫動作において、車両Cが載置されたパレット30が、旋回情報により定まる方向に向けられるように旋回動作を制御する。また、制御装置60(制御部62)は、車両Cの入庫時・出庫時、パレット30に載置された車両Cの入出庫室10の内部での入出庫扉20に対する向きに基づいて、旋回動作を制御する。このように、本装置1は、車両Cの前部の向きが旋回情報により定まる方向に向けられるように、旋回装置50の旋回動作を制御し、パレット30の向きを制御する。その結果、車両Cの利用者は、自ら入力した情報に基づいて、車両Cの前部や乗降位置の向きに応じた旋回動作を決定できる。したがって、利用者の利便性は向上する。
【0139】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、制御装置60(制御部62)は、車両Cの入庫動作において、入出庫室10に入庫した車両Cがパレット30に載置された後であって、車両Cの利用者が降車する前に、旋回情報に基づいて、乗降ドアを入出庫扉20に近づけるように、旋回動作を制御する。また、制御装置60(制御部62)は、車両Cの出庫動作において、車両Cが載置されたパレット30が入出庫室10に搬送された後であって、車両Cの利用者が乗車する前に、旋回情報に基づいて、乗降ドアを入出庫扉20に近づけるように、旋回動作を制御する。このように、本装置1は、利用者の乗降に応じて、制御部62により旋回装置50の旋回動作を制御する。その結果、車両Cの利用者は、車両Cにスムーズに乗降できる。したがって、利用者の利便性は向上する。
【0140】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本プログラムは、操作端末Tで実行されることで、操作端末Tに各種情報を取得させると共に、取得した各種情報を操作端末Tから本装置1に送信させる。換言すれば、本プログラムは、操作端末Tで実行されることで、操作端末Tを、取得部111および送信部120として機能させる。その結果、制御装置60(制御部62)は、操作端末Tからの動作信号に基づいて、上述の旋回動作を制御する。したがって、本プログラムを用いることにより、利用者は、自らが保有する操作端末Tを取得部111および送信部120として機能させることができる。したがって、車両Cの利用者の利便性は向上する。
【0141】
なお、以上説明した実施の形態では、機械式駐車装置は、共通の入出庫扉を用いて前進入庫・前進出庫させる水平循環式駐車装置であった。これに代えて、本発明において、機械式駐車装置は、入出庫に用いられる扉が共通していない構成を有する機械式駐車装置でもよい。また、機械式駐車装置は、水平循環式駐車装置に限定されず、垂直循環式、箱型循環式、エレベータ式などの種々の機械式駐車装置でもよい。また、本発明において、搬器は、パレットに限定されず、くし歯形のリフトケージでもよい。
【0142】
また、以上説明した実施の形態では、車両の入庫時において、車両は、車両が載置されたパレットが格納空間に格納されるとき、車両の前部が前方に向けられた状態(パレットに載置された車両の向きが入庫初期状態)で格納されていた。これに代えて、本発明において、車両は、車両が載置されたパレットが格納空間に格納される前に、車両の前部が後方(入出庫扉)に向けられた状態(パレットに載置された車両の向きが出庫初期状態)にされてから格納されてもよい。
【0143】
さらに、以上説明した実施の形態では、入出庫室内の構成(旋回装置と、開口と、パレット、の配置関係)は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明において、入出庫室内の構成は、入出庫室の内部でパレットが旋回される、いわゆる公知の「旋回装置(ターンテーブル)内蔵型」の構成を有していればよい。
【0144】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、操作端末は、スマートホンに限定されない。すなわち、例えば、本発明において、操作端末は、タブレット、PC(Personal Computer)などの情報処理装置や、リモートコントローラでもよい。また、本発明において、操作端末を、機械式駐車装置に備え付けられた、持ち運びのできない操作盤が操作端末として機能してもよい。この場合、操作盤には、本プログラムがインストールされる。さらに、本発明において、操作端末を、携帯端末(例えば、スマートホン)と無線通信回線を介して通信可能な車両に搭載されたカーナビゲーションシステムが操作端末として機能してもよい。この場合、カーナビゲーションシステムには、本プログラムがインストールされていて動作する。
【0145】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、「旋回動作」は、「+90度旋回」「-90度旋回」「+180度旋回」「-180度旋回」させる動作に限定されない。すなわち、例えば、旋回動作は、パレットを任意の角度に旋回させてもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 機械式駐車装置
10 入出庫室
20 入出庫扉
30 パレット(搬器)
40h 開口
50 旋回装置
51 駆動装置
52 ターンテーブル
60 制御装置
61 受信部
62 制御部
63 記憶部
64 受信判定部
65 指示判定部
70 検知センサ
80 車両センサ
100 入力部
110 端末制御部
111 取得部
120 送信部
130 表示部
S 機械式駐車システム
T 操作端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15